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2009.10.30
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カテゴリ: 昆虫(蝶)


 最近はすっかりサボり癖が付いてしまって、更新を8日も空けてしまった。今日は、クロアゲハ・シリーズの最終回である。

 先ずは、前蛹から。



クロアゲハの前蛹1


クロアゲハの前蛹.中々愛らしい

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/20)

 アゲハ類( Papilio 属)の前蛹と言うのは、何とも可愛い。6cm程あった幼虫がその1/2位に縮まってしまう。何でこうも小さくなれるのか不思議である。どう見ても体積が減っている感じがするが、そんな筈はないだろう。一度体積を量ってみたくなる。


クロアゲハの前蛹2


前蛹の前半を等倍接写してみた.腹脚が何とも可愛い

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/20)

 頭に近い方を拡大してみた。胸脚、腹脚共にキチンと揃えていて、大変御行儀が宜しい。


クロアゲハの蛹1


次の日チャンと蛹になった.多くは緑色であったが茶色のもあった

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/21)

 翌日は、チャンと蛹になった。5頭の内、木の枝で蛹化した4頭は写真の様に普通の緑色をしていたが、飼育箱の下に敷いていた白いコピー用紙のまくれ上がった端で蛹化した1頭だけは茶色の斑の蛹になった。

 蛹の色が何によって決まるのかは色々研究されていて、昔何処かで読んだことがあるが、すっかり忘れてしまった。蛹化した場所の色で決まる、と言うような単純なものではなかった筈である。其処で一寸調べてみたら、「ミヤマカラスアゲハの本州西南低地での連続発生」と言う論文の中に「アゲハチョウやクロアゲハの蛹の多型に関与する刺激としては, 植物からの匂い, 蛹化面の幅・粗滑・曲率, 湿度, 温度, 日長など複数の要因が絡んでいるが, 背景色の影響は受けないことが明らかにされている」とあった。

 クロアゲハの蛹は、ナミアゲハの蛹とは異なり、背中に突起がない・・・と言うか、ナミアゲハの蛹にのみ突起がある。


クロアゲハの蛹2


クロアゲハの蛹.羽化5時間前.シッカリ黒くなっている

まだ蛹殻との間に殆ど空気が入っていない

(写真クリックで拡大表示)

(2009/10/05)

 最初に示した蛹は10月2日に無事羽化したが、一寸事情があってその後の写真は撮っていない。上の蛹の写真はそれより2~3日遅れて蛹化した個体の羽化当日に撮ったものである。クロアゲハの蛹は、羽化の前日から明らかに黒っぽくなって来る。上の写真は羽化の約5時間前で、既に真っ黒になっている。


クロアゲハの蛹3


羽化3時間前.蛹と殻との間に空隙を生じているが

腹部にはまだ達していない

(写真クリックで拡大表示)

(2009/10/05)

 次は羽化の約3時間前。本体と蛹殻の間に空隙を生じ、其処に空気が入って白く光っている。しかし、まだ腹部の方は白くなっていない。


クロアゲハの蛹4


羽化2時間前.腹部の方にも空隙が拡がってきた

(写真クリックで拡大表示)

(2009/10/05)

 上はその1時間後(羽化の約2時間前)。腹部の方にも空隙が拡がって来ている。この後、ず~と羽化を待ったのだが変化なし、中々羽化しない。


クロアゲハ1


翅が伸びきった直後のクロアゲハ.翅はまだフニャフニャ

暗いのでストロボを焚いたら青くなってしまった

(写真クリックで拡大表示)

(2009/10/05)

 シビレを切らして一寸他のことをしている間に羽化してしまった。何時もこうである。上の写真は丁度翅が伸びた位のところで、まだフニャフニャ。

 雨模様の薄暗い日なので、ストロボを焚いたら、クロアゲハが青アゲハになってしまった。


クロアゲハ2


上の写真の約1時間後.無理をして自然光で撮ってみた

これが本当のクロアゲハの色

(写真クリックで拡大表示)

(2009/10/05)

 上は一時間後に一寸無理をして自然光で撮ったもの。ブレ止め機構が無いし、レンズは100mmと焦点距離が長いので、雨模様の弱い自然光では撮り難いのである。少し逆光気味であるが、正しいクロアゲハの色が出ている。


クロアゲハ3


翅を拡げたクロアゲハ.前翅の地色が淡いので雌であろう

(写真クリックで拡大表示)

(2009/10/05)

 羽化後1時間位したら時々翅を拡げるようになった。しかし、天候不順で気温が低いせいか、中々飛びだそうとはしない。

 クロアゲハの雄には上の写真では見えない後翅表面の前縁に白条があるのだが(雌にはない)、このことをすっかり忘れていて、調べ損なってしまった。しかし、この個体は前翅の地色が薄いので雌であろう。


クロアゲハ4


中々飛ぼうとしなので、シオンの1種に留まらせて記念撮影

(写真クリックで拡大表示)

(2009/10/05)

 夕方近くになっても、気温が低いせいか一向に飛ぼうとしない。其処で、一寸シオンの1種に留まらせて記念写真を撮った。一応、花に留まってはいるが、吸蜜はしていない。羽化後1日位は何も摂らない様である。


クロアゲハ5


クロアゲハの鱗粉.後翅裏面一番上(第7室)の赤色紋.右は前翅の裏面

(写真クリックで拡大表示)

(2009/10/05)

 写真を撮った後、雨が本格的に降り出した。次の日は一日中雨であった。実は、写真に示した個体以外にもう1頭同時に羽化したのだが、2頭揃って我が家の庭先に2日間ジッと留まっていた。その次の日もまた雨模様であった。しかし、何れも知らない間にその姿を消していた。雨の合間に何処かへ飛んでいったらしい。


 飼育した5頭は何れも無事羽化した。2齢幼虫の時に初めてその存在に気が付いたので、孵化の日付が分からないが、多分8月20~25日頃であろう。2齢から飼育環境になり、前蛹になったのは9月20~24日、羽化は10月2~7日である。孵化してから前蛹になるまで約1ヶ月、前蛹から羽化までは12日前後と言うことになる。 ルリタテハ の場合は、その多くが18日前後で前蛹となり、その後8~9日で羽化した。クロアゲハはルリタテハより大きいせいか、生長に時間がかかる様である。


 これでクロアゲハの飼育経過報告は終わりである。これまでの記事の内容と掲載日を纏めると以下の通り。


     内    容         掲 載 日
 1) クロアゲハの2齢幼虫        9月14日
 2) クロアゲハの4齢幼虫       10月 3日
 3) クロアゲハの5齢(終齢)幼虫   10月 9日








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最終更新日  2009.10.31 08:01:34 コメント(10) | コメントを書く


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