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特に是と云った心境の変化もないのだが、Weblogを再開することにした。尤も、今後どの程度続くかは自分にも分からない。少なくとも、毎日書き込む様なことはない、とだけは言える。この記事も、写真を撮ってから、既に3週間も経っている。 前回の書き込みは平成24年4月1日だから、4年以上ほったらかしにして居たことになる。この間、読者諸賢には何かと御心配頂いた様で、感謝の念に堪えない。 久しぶりに書く気になったのは、これまで我が家で見たことのないウラナミアカシジミ(Japonica saepestriata)が出現したからである。下の写真では、既に御臨終であるが、その前日に生きている所を見つけ、急いでカメラを持って来たのだが、もう見当たらなかった。ウラナミアカシジミ(Japonica saepestriata)(写真クリックで拡大表示)(2016/06/03) 次の日に我が家の簡易雨量計(円筒形の屑籠)を動かした時、その下から、前日の個体と同じ翅の破れ方をしたウラナミアカシジミが、上の写真の様な状態で発見された。 ウラナミアカシジミは、私が小学生の頃は、近くの「成城3丁目緑地」の辺り(当時は只の雑木林)に居たことが分かっていたが、その後絶滅したものと思っていた。しかし、その緑地の傍に住む友人が、最近は沢山居ると云うので喜んでいたのだが、まさかわが家の庭に現れるとは思いもよらなかった。 ウラナミアカシジミは、緑色の光沢はないが、ゼフィルスの仲間である。この辺りに現在も生息しているゼフ(ゼフィルス)としては、他にミズイロオナガ(Antigius attilia)があるが、勿論、我が家で見たことはない。アカシジミ(Japonica lutea)は、以前は少し北の方(調布市)へ行った「中央電気通信学園」(現NTT中央研修センタ)に沢山居て、夕方になると敷地内のコナラやクヌギの梢辺りを乱舞していたものだが、現在ではどうだか不明である。ゼフとしてはかなり異端のウラゴマダラシジミ(Artopoetes pryeri)も少数ながら、通信学園に隣接する谷に棲んでいた。しかし、調布市が、食草であるイボタノキの群落を全部伐採して、平凡な公園(調布市入間公園)にしてしまったことにより、いとも簡単に絶滅してしまった。この当時の市長は、確か古い農家や林の保存に尽力した人物であった様に記憶しているが、全く残念な事をしたものである。イボタノキならば、庭木としても使えなくもないので、それを活かして公園にすることも出来たのではないだろうか。
2016.06.24
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一昨日の日曜日夕刻に帰朝した。2ヶ月と3週間、ほぼ3ヶ月の出張であったが、その割には疲れていない。 さて、帰国後第1回目の更新である。時既に晩秋で、ヒラタアブ類やアブラムシの有翅虫以外は余り虫も見かけない。しかし、この時期にはコナラの葉裏に何かが居る可能性が高い。そこで、コナラの葉を調べてみたが、残念ながら、今年はコナラに余りアブラムシが付いて居らず、その補食者も殆ど居ない。ところが、コナラの根際に植えてあるサツキの上に妙な白っぽい物体を見つけた。一瞬、ナミアゲハかと思ったが、良く見てみると、ボロボロになったアカボシゴマダラ(Hestina assimilis)(タテハチョウ科:Nymnphalidae、コムラサキ亜科:Apaturinae)であった。サツキの葉間に居た瀕死のアカボシゴマダラ(写真クリックで拡大表示)(2011/11/29) まだ生きており、翅も多少は拡げたり出来るが、枝や葉に掴まってぶら下がる程の力はない。かなり大きいし、翅の幅も広いので、雌と思われる。 アカボシゴマダラは、在来種のゴマダラチョウと同様、エノキ類を食草とし幼虫で越冬する(アカボシの場合は3~4齢らしい)。恐らく、この成虫はとうに産卵を済ませ、余生を楽しんだ後、来る冬を前に、漸く死を迎えつつあるだろう。多少は翅を拡げたり出来るが、翅はボロボロ(写真クリックで拡大表示)(2011/11/29) 瀕死のアカボシゴマダラは、以前掲載したことがある。これはこの辺りでは初見の記録の様である。また、発酵したバナナに吸蜜に来た元気な個体も紹介した。従って、今回は、拙Weblogでは避けている重複掲載になる訳だが、まァ、他にネタがないので、御勘弁願いたい。黒と白を基調とする中で、黄色い口吻が目立つ(写真クリックで拡大表示)(2011/11/29) 実は、前回の「お知らせ+シオカラトンボ(雌:ムギワラトンボ)」から、カメラもコムピュータも新しくなっている。今まで時間のかかっていた画像の調整もずっと短時間で終わるので、昨年の秋から溜まっていた画像をこれから少しずつ掲載して行こうと思う。乞う御期待!
2011.11.29
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一昨年、「ルリタテハの幼虫(4齢)」を掲載した時に、「悲報」として、ニシキハギに付いていたキチョウの蛹と終齢幼虫合計15頭以上がスズメ(多分)に食べられてしまったことを附記した。そのニシキハギは、何故かその年の秋に枯れてしまい、昨年はハギは無かったのだが、晩秋になってから1株購入し、今年はその新しいハギにキチョウ(キタキチョウ:Eurema mandarina)が卵を生み始めた。 7月の上旬まではその数も少なかったのだが、その後急に数を増し、8月の初旬には20頭以上の幼虫が終齢に達していた。これを全部スズメに喰われてしまっては大変、と急遽飼育することに決定。 手当たり次第集めて、数えると全部で25頭、これがアゲハ類だったら膨大な食草を準備せねばならないのだが、キチョウは極く小食だし、高密度で飼育しても喧嘩などしないので飼育は容易、100円ショップで売られているパンのケース2箱に詰め込んだ。 飼育後1~4日の間に全部が蛹化した。ハギの小枝2本に付いたキチョウの蛹、全17個他に4齢幼虫が1頭、中央右に写っている(写真クリックで拡大表示)(2011/08/13) キチョウの幼虫は、アゲハ類等とは異なり、今まで葉を食べていた場所の直ぐ近く(20cm以内)で蛹化する。上の写真の様に、ハギの小枝2本に集中して蛹が付いている。全部で17個の蛹が写っているのだが、お分かりだろうか? この小枝に付いてはいるが写っていない蛹が2個、その他、最初に集めた時に幼虫が掴まっていた極く小さな枝で蛹化したもの2頭、飼育箱の内表面で蛹化したもの4頭で、合計25頭。 それが、昨日から羽化し始めた。昨日は3頭だったが、今日は12頭が羽化した。残りは10頭。今日は更に、別に保護していたナミアゲハも羽化し、部屋の中は蝶々だらけで大層賑やか。しかし、その「賑やかさ」を写真に撮るのが難しい。窓際に集めて写真を撮ってみたが、丸で使い物にならない。色々考えてみたが、結局、12頭のキチョウと1頭のナミアゲハが部屋の中を飛び回る様子を読者諸氏の頭の中で絵にして頂く以外に方法はない、と云う無責任な結論に達した。 ・・・と云う訳で、今日は羽化した蝶々の写真はアリマセン。
2011.08.15
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最近はすっかりサボり癖が付いてしまって、更新を8日も空けてしまった。今日は、クロアゲハ・シリーズの最終回である。 先ずは、前蛹から。クロアゲハの前蛹.中々愛らしい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20) アゲハ類(Papilio属)の前蛹と言うのは、何とも可愛い。6cm程あった幼虫がその1/2位に縮まってしまう。何でこうも小さくなれるのか不思議である。どう見ても体積が減っている感じがするが、そんな筈はないだろう。一度体積を量ってみたくなる。前蛹の前半を等倍接写してみた.腹脚が何とも可愛い(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20) 頭に近い方を拡大してみた。胸脚、腹脚共にキチンと揃えていて、大変御行儀が宜しい。次の日チャンと蛹になった.多くは緑色であったが茶色のもあった(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 翌日は、チャンと蛹になった。5頭の内、木の枝で蛹化した4頭は写真の様に普通の緑色をしていたが、飼育箱の下に敷いていた白いコピー用紙のまくれ上がった端で蛹化した1頭だけは茶色の斑の蛹になった。 蛹の色が何によって決まるのかは色々研究されていて、昔何処かで読んだことがあるが、すっかり忘れてしまった。蛹化した場所の色で決まる、と言うような単純なものではなかった筈である。其処で一寸調べてみたら、「ミヤマカラスアゲハの本州西南低地での連続発生」と言う論文の中に「アゲハチョウやクロアゲハの蛹の多型に関与する刺激としては, 植物からの匂い, 蛹化面の幅・粗滑・曲率, 湿度, 温度, 日長など複数の要因が絡んでいるが, 背景色の影響は受けないことが明らかにされている」とあった。 クロアゲハの蛹は、ナミアゲハの蛹とは異なり、背中に突起がない・・・と言うか、ナミアゲハの蛹にのみ突起がある。クロアゲハの蛹.羽化5時間前.シッカリ黒くなっているまだ蛹殻との間に殆ど空気が入っていない(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 最初に示した蛹は10月2日に無事羽化したが、一寸事情があってその後の写真は撮っていない。上の蛹の写真はそれより2~3日遅れて蛹化した個体の羽化当日に撮ったものである。クロアゲハの蛹は、羽化の前日から明らかに黒っぽくなって来る。上の写真は羽化の約5時間前で、既に真っ黒になっている。羽化3時間前.蛹と殻との間に空隙を生じているが腹部にはまだ達していない(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 次は羽化の約3時間前。本体と蛹殻の間に空隙を生じ、其処に空気が入って白く光っている。しかし、まだ腹部の方は白くなっていない。羽化2時間前.腹部の方にも空隙が拡がってきた(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 上はその1時間後(羽化の約2時間前)。腹部の方にも空隙が拡がって来ている。この後、ず~と羽化を待ったのだが変化なし、中々羽化しない。翅が伸びきった直後のクロアゲハ.翅はまだフニャフニャ暗いのでストロボを焚いたら青くなってしまった(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) シビレを切らして一寸他のことをしている間に羽化してしまった。何時もこうである。上の写真は丁度翅が伸びた位のところで、まだフニャフニャ。 雨模様の薄暗い日なので、ストロボを焚いたら、クロアゲハが青アゲハになってしまった。上の写真の約1時間後.無理をして自然光で撮ってみたこれが本当のクロアゲハの色(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 上は一時間後に一寸無理をして自然光で撮ったもの。ブレ止め機構が無いし、レンズは100mmと焦点距離が長いので、雨模様の弱い自然光では撮り難いのである。少し逆光気味であるが、正しいクロアゲハの色が出ている。翅を拡げたクロアゲハ.前翅の地色が淡いので雌であろう(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 羽化後1時間位したら時々翅を拡げるようになった。しかし、天候不順で気温が低いせいか、中々飛びだそうとはしない。 クロアゲハの雄には上の写真では見えない後翅表面の前縁に白条があるのだが(雌にはない)、このことをすっかり忘れていて、調べ損なってしまった。しかし、この個体は前翅の地色が薄いので雌であろう。中々飛ぼうとしなので、シオンの1種に留まらせて記念撮影(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 夕方近くになっても、気温が低いせいか一向に飛ぼうとしない。其処で、一寸シオンの1種に留まらせて記念写真を撮った。一応、花に留まってはいるが、吸蜜はしていない。羽化後1日位は何も摂らない様である。クロアゲハの鱗粉.後翅裏面一番上(第7室)の赤色紋.右は前翅の裏面(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 写真を撮った後、雨が本格的に降り出した。次の日は一日中雨であった。実は、写真に示した個体以外にもう1頭同時に羽化したのだが、2頭揃って我が家の庭先に2日間ジッと留まっていた。その次の日もまた雨模様であった。しかし、何れも知らない間にその姿を消していた。雨の合間に何処かへ飛んでいったらしい。 飼育した5頭は何れも無事羽化した。2齢幼虫の時に初めてその存在に気が付いたので、孵化の日付が分からないが、多分8月20~25日頃であろう。2齢から飼育環境になり、前蛹になったのは9月20~24日、羽化は10月2~7日である。孵化してから前蛹になるまで約1ヶ月、前蛹から羽化までは12日前後と言うことになる。ルリタテハの場合は、その多くが18日前後で前蛹となり、その後8~9日で羽化した。クロアゲハはルリタテハより大きいせいか、生長に時間がかかる様である。 これでクロアゲハの飼育経過報告は終わりである。これまでの記事の内容と掲載日を纏めると以下の通り。 内 容 掲 載 日 1)クロアゲハの2齢幼虫 9月14日 2)クロアゲハの4齢幼虫 10月 3日 3)クロアゲハの5齢(終齢)幼虫 10月 9日
2009.10.30
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これまで、卵と初齢、2~3齢、4齢、終齢幼虫と掲載して来たリタテハ・シリーズも今日は兪々最終回、前蛹、蛹、成虫の3つを纏めて紹介する。ルリタテハの前蛹.体を曲げるのはタテハチョウ科の特徴らしい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/14) 先ずは前蛹、上の写真の様に胸部を曲げてJの字型になっている。ルリタテハ(Kaniska canace)の幼虫は、休むときには何時も丸まっているので、前蛹も丸まるのかと思ったが、よく考えてみると、ツマグロヒョウモンやコミスジの前蛹も胸部を曲げていた。こう言う蛹がぶら下がる形をとる種類(タテハチョウ科)の前蛹は、皆、こうなのかも知れない。前蛹になった直後はかなり曲りが強いが、時間と共に段々緩くなる。 前蛹になる時刻は夕方が多い様に思える。写真の前蛹は半日以上経った次の日の昼近く、脱皮して蛹になる直前に撮ったので、曲りがかなり弱くなっている。最初の写真の2時間後.脱皮して蛹になった(写真クリックで拡大表示)(2009/09/14) 上の写真は、最初の前蛹の写真の約2時間後、脱皮して蛹となった直後に撮ったものである。まだフニャフニャで、気を付けないと傷つけてしまいそうな感じであった。時間が経つと出現する銀色に反射する部分も、この時点では他の部分と見分けが付かない。充分時間が経った蛹.銀青色に光る部分がある(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20 次は充分時間が経ってから撮った写真、但し、別個体である。7頭を一緒に飼育していたので、どれがどれだが分からなくなってしまい、この写真の蛹も羽化の何日前であったか定かでない。しかし、何れにせよ、1~3日以内に羽化したことだけは確かである。 キチョウやクロアゲハの蛹は、羽化が近づくと次第に色が変わり、羽化前日にはハッキリそれと分かる。しかし、ルリタテハの場合は、色が殆ど変わらない様である。何とも不確かな言い方だが、丁度この頃に個人的に些か面倒な事態が出来したのと、別に飼育していたクロアゲハの終齢幼虫の世話に気を取られ、蛹の色の変化は充分に観察していないのである。7頭の何れもが、気が付いたら羽化していた、と言う甚だ不注意な羽化のさせ方をしてしまった。羽化直後のルリタテハ.翅が伸びるのは速い(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20) 羽化の瞬間も、7頭も居ながら、全て見逃してしまった。上の写真はその中でも、まだ翅がクシャクシャの状態で気が付いたのだが、写真を撮る為の準備をしている間に、前翅の先端付近を除いて殆ど伸びてしまった。ルリタテハの場合も僅か数分で翅の伸張は終わる様である。 羽化は殆どが10~12時の間に起こり、明るくなってから(部屋の厚いカーテンを開けてから)4~5時間後に羽化するものと思われる。羽化後数時間経ったルリタテハ(上とは別個体)飛べるが羽化当日は殆ど動かない(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 羽化したルリタテハ。無理矢理サンザシの葉に留まらせて撮った写真である。 飼育した7頭は、何れも無事羽化した。孵化したのが恐らく8月27日、前蛹になったのは最も早い個体で9月10日、一番遅い個体が9月17日、多くは9月12~14日、羽化はそれぞれ9月19日、9月26日、9月20~23日である。 言い換えると、孵化後、最速15日で前蛹、24日で羽化、最遅が22日で前蛹、31日に羽化、多くは17~19日で前蛹、25~28日で羽化したことになる。ルリタテハの顔.サトキマダラヒカゲと同じく複眼には毛が一杯(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 庭に残した数頭の幼虫は、飼育したものに較べて生長が遅かったが、その内でも比較的生長の早かった3頭は、9月19~22日にかけて前蛹となり、何れも10月1~3日の間に無事羽化した。ヤドリバエにほぼ確実に寄生されていると思っていたが、幸いにも大丈夫であった。しかし、生長の後れていた個体は、その後姿を消してしまった。原因は不明である。 孵化後の日数としては、24~27日で前蛹、36~38日で羽化したことになる。個体差が大きいが、飼育環境と比較すると、前蛹になるのが約1週間遅く、羽化は10日前後遅れたと言えるであろう。ルリタテハの横顔.眼の下から伸びる黒いものは前肢(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 飼育個体7頭全部、屋外でも3頭、合計10頭のルリタテハが羽化して、一見万々歳だが、よく考えてみると些か気になることがある。屋外の個体は問題ないが、飼育個体は室内で飼育して居るので、何れも長日環境で生長したことになる。蛹越冬をするアゲハ類(Papilio属)の場合、秋になって気温が下がっても長日環境で飼育すれば、越冬蛹にはならず、年内に羽化してしまう。ルリタテハの場合は成虫越冬なので、羽化してしまえばもうそれで問題は無い様に思えるかも知れない。しかし、成虫越冬をするカメムシ等では、終齢幼虫の時に臨界日長以下の日長で育てば卵巣は発達せず休眠個体になるが、臨界日長を越えた長日環境で生育すると卵巣が発達することが知られている。この現象は、成虫越冬する昆虫では一般的なのではないかと思われる。もしルリタテハでも同じ様に、長日条件で卵巣が発達してしまうのなら、その個体が今後どういう運命になるのか良く分からない。秋の内に無理矢理産卵してしまうのか、越冬に必要な栄養を卵に費やしてしまって越冬を完了出来ないのか、或いは、卵を吸収して越冬の為の栄養に転化できるのか・・・、飼育をした者としては気になるところである。 これでルリタテハの飼育経過報告?は終わりである。これまでの記事の内容と掲載日を纏めると以下の通りとなる。 内 容 掲 載 日 1)ルリタテハの卵と初齢幼虫 8月29日 2)ルリタテハの2~3齢幼虫 9月 8日 3)ルリタテハの4齢幼虫 9月18日 4)ルリタテハの5齢幼虫 10月 6日
2009.10.19
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今日は溜まっている蝶の幼虫(クロアゲハ、ルリタテハ)を出すつもりだったのだが、朝10時頃、変な蝶を見付けたのでそれを優先することにした。 今、昨年掲載した「北米原産シオンの1種(紫花)」が咲き始めている。まだ、秋が深くならないせいか訪れる虫の種類や数は余り多くはないが、今日其処に変な蝶が留まって居るのを見付けた。最初は、裏面に波模様があるので、季節柄ウラナミシジミではないかと思った。しかし、それにしてはかなり小さい。更に、後翅裏面に黒斑がある。これはヒョッとして、今年東京にも現れたと言うあの南方の蝶ではないか? ・・・調べてみると、やはりその通り、クロマダラソテツシジミ(Chilades pandava)であった。クロマダラソテツシジミ.拡大するとそうでもないが遠目にはウラナミシジミを思わせる(写真クリックで拡大表示)(2009/09/25) このクロマダラソテツシジミは本来東南アジアの蝶で、学研の「日本産蝶類標準図鑑」に拠ると、日本では1992~3年に沖縄県南部で初めて発生し、与那国島でも2001年に発生したとのこと。その後のことは良く分からないのだが、沖縄で散発的に発生するだけで、最近までは迷蝶扱いであったらしい。それが一昨年から九州や関西に現れ、今年は遂に東京に現れた。クロマダラソテツシジミの後翅(写真クリックで拡大表示)(2009/09/25) この「東京で現れた」と言う話は、実は、先日(9月22日)一寸野虫氏が「不明幼虫の問い合わせのための画像掲示板」に一連の生態写真を掲載されたので初めて知ったのである。氏の記事によると、神奈川県では報告がないが、他に静岡、千葉の両県でも確認されているとのこと。 そこで一寸調べてみると、9月9日にNHK(日本薄謝協会)の朝のニュースで、クロマダラソテツシジミの発生が品川区と港区で確認されたと報道されたのが、一般向けとしては最初のニュースらしい。何分にも、こちとらはTVを全く見ないと言う仙人の如き生活をしているので、この手の話には全く弱いのである。クロマダラソテツシジミの横顔(写真クリックで拡大表示)(2009/09/25) 世田谷区でも既に報告があり、東京では現在相当広い範囲に拡がっているらしい。しかし、先の一寸野虫氏の記事によると、関西では今年発生が見られないので、越冬出来なかったのではないかとのこと。所謂温暖化の影響で東京まで北上してきたのではないと考えられる。沖縄などから運ばれたソテツの株に付いて来た可能性もあるが、ソテツがそれ程沢山東京に入荷しているのだろうか。・・・或いは、やはり放蝶か?クロマダラソテツシジミの顔.触角が印象的(写真クリックで拡大表示)(2009/09/25) このクロマダラソテツシジミ、大型のヤマトシジミ程度の大きさで、翅表の写真は撮れなかったが、雄のヤマトシジミに比較的似ている(雄は藍色で黒色の細い縁取り、雌ではこの縁取りが拡がって翅の2/3近くを占める)。また、飛び方もヤマトシジミにかなり近く、ウラナミシジミの様な激しい飛び方ではない。この季節、ヤマトシジミは何処にでも沢山飛び交っている。東京やその近郊在住の読者諸氏は、雄のヤマトシジミらしき蝶を見かけられたら、御注意あれ!!
2009.09.25
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此処暫く5mm以下の小昆虫が続いていたが、今日は久しぶりに大きな虫を紹介する。サトキマダラヒカゲ(Neope goschkevitschii)、開張5~6cm、やや大型のジャノメチョウの仲間である。この専ら単子葉植物を食草とし、多くは日陰を好むグループは、以前はジャノメチョウ科として独立の科になっていたが、今ではタテハチョウ科ジャノメチョウ亜科とするのが一般的らしい。サトキマダラヒカゲ.拡大すると鱗粉が見える(写真クリックで拡大表示)(2009/08/26) この蝶、私が高校生の頃までは只の「キマダラヒカゲ」と呼ばれていた。それが1970年頃にサトキマダラヒカゲとヤマキマダラヒカゲと言う2種に分けられた。サトとヤマの紋様の違いは非常にビミョーで、両者を並べて比較しても良く分からない程の差異である。此処で一方だけの写真を出して、その違いについて書いても殆ど意味が無いと思われるので、その違いについては省略する。サトキマダラヒカゲの鱗粉.被写界深度が浅いので凹凸のある翅の一部にしか焦点が合っていない(写真クリックで拡大表示)(2009/08/26) 紋様は酷似していても、この両者、名前から察せられる様に、棲息する場所が異なる。我が家は世田谷区の標高40m位の所にあるので、文句なしにサトキマダラヒカゲと相成る。しかし、サトは低地、ヤマは山地・・・なのだが、一般的にはそう単純には行かない。ヤマは本州中部では標高240~2000mに分布するが、サトの方も標高1500mを越える亜高山帯にまで棲息するのである。山地で採集したキマダラヒカゲは、そのビミョーな斑紋の違いを見極めて、ヤマかサトかを決めなければならない。サトキマダラヒカゲの横顔.口の下に普段は使わない前脚が見える(写真クリックで拡大表示)(2009/08/26) しかし、2種に分けられたのは、その殆ど見分けが付かない程の微妙な斑紋の差異だけを根拠としたのではない。幼虫の形態や成虫の行動にも差があり、それらの違いを丹念に調べ上げた結果、2種あるとの結論になったのだそうである。 これを調べたのは高橋真弓氏と言う当時高校の教諭で、その後日本鱗翅学会(アマチュア中心の学会)の会長なども務めた方である(一見御婦人の様な名前だが男の人)。サトキマダラヒカゲの顔.触角が赤いのが印象的複眼にはかなり長い毛が生えている(写真クリックで拡大表示)(2009/08/26) 何時もの様に、顔写真を撮ってみた。データをコムピュータに移し、拡大した像を見て驚いたことは、この蝶の複眼に沢山の毛が生えていたことである。しかも、その毛がかなり長い。双翅目(蠅、虻、蚊)には複眼に毛の生えた種類がかなりあるが、鱗翅目(蝶、蛾)ではこれが始めてである。或いは、今まで撮った蝶の中にも良く見れば毛が生えている種類が居たかも知れない。これからは眼の毛にも気をつけてみよう。上の写真の部分拡大.毛で覆われた複眼の中に個眼が見える(写真クリックで拡大表示)(2009/08/26) このサトキマダラヒカゲ、昔は我が家の常連で、秋になると柿の落ちた実などにキタテハと一緒に集っていた。しかし、最近はその数がグッと少なくなった。年に2回位しか姿を見せない。尤も、一緒に居たキタテハの方はもっと少なくなって、全く姿を見ない年の方が多い・・・。余り昔のことを想い出すと、何か寂しくなって来る。思い出話は止めにしよう。
2009.08.27
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一昨日の夕刻近く、カラスアゲハが我が家の庭にやって来た。残念ながらかなり傷んだ個体で、しかも天気は雨模様、既に薄暗くなっていた。御蔭で写真は余り綺麗に撮れていないが、カラスアゲハは最近では1年に1度位しか見ることの出来ない珍しい存在なので、敢えて掲載することにした。 デュランタ・タカラズカの花がお気に召したらしい。デュランタは普通は秋になってから咲くが、今年は冬の間に枝を切らなかったせいで、今、かなり沢山の花が着いている。デュランタ・タカラズカで吸蜜するカラスアゲハ(2009/07/06) 子供の頃は、カラスアゲハはクロアゲハやナミアゲハ、キアゲハと大して変わらない程の普通種で、飼育して羽化させたこともある。しかし何故か、最近では殆ど姿を見せない。ナガサキアゲハよりも珍品になってしまった。 図鑑に拠れば、カラスアゲハの幼虫はコクサギを特に好むとのこと。しかし、この辺りには昔からコクサギは生えていないと思う。我が家では専らサンショウに付く。柑橘類の葉は余り好まないのか、我が家のユズやヒメユズに幼虫が居るのを見たことはない。サンショウならば、今でもこの辺りの家には沢山生えている。鳥の落とし物で、自然に幾らでも生えてくるのである。だから、餌不足でカラスアゲハが少なくなったとは思えない。一体、何が原因であろうか。裏面には青色~緑色の鱗粉が少ない(2009/07/06) この個体は雌である。カラスアゲハ類(他にミヤマ、オキナワ、ヤエヤマの3種がある)の雄には、前翅の後の方(第1b室と第2室)に暗色の「ビロード状性斑」があり、容易に雌雄の判別が出来る。写真の個体は、下の写真で明らかな様にこの性斑がない。従って、雌と言うことになる。 雌ならば、我が家のサンショウに産卵して行けばよいのに、残念ながらデュランタの花蜜を吸っただけで何処かへ行ってしまった。或いは、もう務めを済ませた後なのかも知れない。前側の後翅が妙な具合に開いて、左後翅の表面が見えている中々美しいが、残念ながら左側の尾状突起は切れている(2009/07/06) 今年は余りWeblogの更新はしないつもりであった。しかし、最近は何故か虫の新顔がかなり出現している。「夏枯れ」になるまで、2日に1度位は更新することになるかも知れない。
2009.07.08
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最近、ニシキハギに付いていたキチョウの羽化が続いている。そのキチョウが羽化する時に、奇妙な光景に出会した。 枝の先端に近い所にあるキチョウの蛹に雄のキチョウがやって来て、その蛹に留まっているのである。しかも、2頭も。蛹から羽化するのを待つキチョウの雄(2008/09/21) 蛹をよく見ると、もう羽化直前である。昨年キチョウの羽化を観察したとき、背中に黒斑が明瞭に透けて見える様になってから約6時間後に羽化した。背中にある黒斑の見え方は、その後羽化するまで変化がなかったので、この蛹は多く見積もっても6時間以内に羽化すると考えられる(実際、その後40分以内に羽化した)。蛹は背中の黒斑が明確で、羽化直前であることが分かる(2008/09/21) その羽化直前の蛹の左右に、2頭の雄が仲良く?留まっている。 当然、考えられるのは、羽化待ち即交尾である。先に羽化した雄が羽化してくる雌の前で待っていて、雌が羽化したら直ぐに交尾すると言う図で、虫の種類は忘れたが、これまで何回か写真を見たことがある。 調べてみると、キチョウでも例があり、蛹に留まって待っているところと、その後交尾している写真とを並べているサイトもあった。左右対称に御行儀良く羽化を待つキチョウの雄(2008/09/21) しかし、羽化して来たのは黄色味の強い個体(下の写真)で、どうも雄の様である。上の写真との間には約45分のズレがある。雄と言う明確な証拠はないし(今思えばキチンと調べれば良かった)、その45分間の間に交尾した可能性もある。 しかし、時々雄の個体がやって来て周りを飛ぶが、どうも雌雄の仲と言う感じではない。また、交尾をする形勢もまるでない。羽化してきたキチョウ.黄色味が強く雄だと思われる直ぐ下に周りを飛ぶ個体がぼやけて写っている(2008/09/21) 雌が羽化して来るのを待っているのであれば、雌の蛹からフェロモンでも出ていて、それにつられて雄がやって来たと考えられる。しかし、雄が出て来るのを雌と間違えたとすると、一寸面倒なことになる。 雄の蛹も集合フェロモンの様なものを発散するのか、或いは、キチョウの成虫が自己の蛹の形を先天的に知っていて、目視で蛹を見付けてやって来たのか?? 何れにしても妙な話である。今後、同様の光景を見付けたら、シッカリ観察しようと思う。
2008.09.27
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今日は、虫に関して、我が家始まって以来の椿事がシュッタイした。何と、ミドリヒョウモンが現れたのである。 昨日は些か酒を過ごして起きたのは9時近く、何時もより3時間程遅く庭に出ると、茶色いヒョウモンチョウが産卵場所を探す雌の様な感じで庭の彼方此方を偵察している。この辺りで茶色いヒョウモンと言えば、ツマグロヒョウモンの雄に決まっている。しかし、昔取った杵柄、一瞬でツマグロヒョウモンの雄ではないことを察した。 ヒョウモン類の翅表の紋は互いに似たものが多い。だから、飛んでいるヒョウモンの種類を翅表から判別するのは難しい。初めは、翅の輪郭から何となくクモガタヒョウモンかと思ったが、留まったときに後翅の裏面が見えた。波模様になっている。ミドリヒョウモン以外に有り得ない。ヒメリンゴに留まったミドリヒョウモン後翅裏面の波模様が見える(2008/09/14) これは一大事である。生まれてこの方、この辺り(東京都世田谷区西部)でミドリヒョウモンなんぞ見たことがない。アカボシゴマダラと同じで、誰かが放蝶したのかと思った。 しかし、「東京都本土部昆虫目録」を見てみると、世田谷区でも多くのヒョウモン類が記録されており、特にミドリヒョウモンは都内で最も数多くの場所で記録されている。それでも「月刊むし」や「昆虫と自然」の記事になる位だから、やはり世田谷区では相当に珍しい蝶であることに変わりはない。横から葉裏を撮ろうとしたが、翅を閉じることなく逃げられた(2008/09/14) ミドリヒョウモンは、最南部を除く日本全国に分布する。だから、ツマグロヒョウモンの様な温暖化に伴う分布拡大とは関係ない。また、昔から都内に於ける採取の記録がポツポツとあるので、アカボシゴマダラの様な人為的な放蝶とも関係ないであろう。 この蝶は、暑さが苦手で盛夏には活動が見られなくなり、秋になって発生地から離れた耕作地や住宅地に現れることがあるという。我が家に現れたのも、屹度、この行動様式に拠るものであろう。 ただ、写真の個体は雌だし、産卵場所を探していた様な雰囲気だったので、何処かに卵を産んでいった可能性がある。ミドリヒョウモンの母さんが子供思いでないことは有名で、食草のスミレとはまるで関係のない場所、例えば、大きな木の樹幹とか壁、墓石、酷いのになると、洗濯物に産卵していった例もあると言う。卵を探すのは無理な様である。 幼虫はツマグロヒョウモンとよく似ている。しかし、背中の筋が赤ではなく、濃い黄色。ヒョウモンの幼虫を見付けたら、これからは背中の色に注意せねばならない。サツキに留まったミドリヒョウモン.前翅前縁が白っぽく前翅翅脈上に発香鱗条が見られないので雌である(2008/09/14) しかし、特徴的な波模様のある翅裏と、表からのキチンとした写真が撮れなかったのは、返すがえすも残念無念!! 珍種を採り(撮り)逃がした時の行動は、子供の頃と変わるところはない。何回も外に出ては、また来ていないか、ウロウロ庭を探し回る。今日一日は、仕事になりそうもない。
2008.09.14
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先日、アカボシゴマダラを紹介したが、それは瀕死の個体であった。昨日の朝、今度はチャンと飛べる個体がやって来たので、再度掲載する。 と言っても、余り新鮮な個体ではない。右前翅が少し破れている。発酵したバナナにやって来たアカボシゴマダラ(2008/09/04) 実は、数日前に買ったバナナを食べようとしたら、表皮はまだ黄色いのに、中身の方はもうグジャグジャでアルコール発酵している。少しだけ食べて、後は虫寄せにハナモモの支柱の上に置いておいた。カナブンや(サト)キマダラヒカゲでも来るのではないかと思ったからである。支柱が邪魔して翅表が良く見えない(2008/09/04) 一番沢山やって来たのは予想外のナメクジ!! 5cm位のが一杯集っている。陽が射して来ると何処かへ逃げてしまうので、頃合いを見計らい、そこいら中にナメクジ退治の薬を撒いた。口吻は黄色.先が妙に曲がっている口吻は本来柔らかいものらしい(2008/09/04) アカボシゴマダラがやって来たのは、その次の日である。余程発酵したバナナに御執心と見えて、目の前でストロボをバンバン焚いてもまるで気にしていない。 留まった位置の関係で、翅表を撮ろうとすると支柱が邪魔になる。其処で、翅をつついて少し体をずらしたのだが、まだ充分でない。更に、今度はもう少し強くつついたら、逃げてしまった。・・・当たり前か。口吻は左右2本1対で出来ているらしい(2008/09/04) しかし、何故かチャンと飛べない。直ぐ近くのブルーベリーの枝に逆さまに留まってしまった。弱っているのではなく、バナナの発酵過程で生じたアルコールで酔っぱらっている、と言う感じ。虫でも酔っぱらうのだろうか?? 葉っぱの裏では写真が撮れない。そこで、また少し刺激を与えたら、今度はトベラの高さ2.5m位の所へ移ってしまった。これでは写真は撮れない。部屋へ戻る。翅表がよく撮れなかったので、代わりに翅を拡大普通の接写システムで撮影(超接写ではない)(2008/09/04) 一仕事済ませて、一服しにベランダに出たら、かなり強い雨が降っている。庇の下にある椅子に座ろうとすると、その直ぐ横に置いてある水遣り用のバケツの端で、何と、先程のアカボシゴマダラが水を飲んでいる。チョウも酒の後は水が欲しくなるのか?? バケツの端では写真にならないので、また翅をつついて移動させた。雨の降る中を暫くウロウロ飛び回っていたが、やがてハナモモの木のかなり上の方に留まった。雨の当たる所である。酒で体が火照っていて、雨で冷やそうとでもいうのだろうか?ハナモモの高い所に留まって雨に打たれるアカボシゴマダラ(2008/09/04) アカボシゴマダラが留まったのは、高さ3.5mm位の所だが、一応下から見える。しかし、完全な逆光なので、普段使っているシステムでは写真は撮れない。 其処で、300mmの望遠に切換え、強力な外付けストロボを焚いて撮ったのが上の写真。右側に見える白い筋は雨の跡である。 アカボシゴマダラをこの辺り(東京都世田谷区西部)で見るのは、これで4回目である(全部今年)。どうやら、この外来のチョウは関東で急激に増えているらしい。食草のエノキは小さな草本とは違い大木になる。エノキを食草とするオオムラサキ、ゴマダラチョウ、テングチョウの他に、新たにアカボシゴマダラが加わった位でエノキが急に丸坊主になるとは思えないが、今後何らかの問題を引き起こすのではないかと、何となく気になる存在である。
2008.09.05
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今日の朝早く、庭を歩いていると、薄黄と黒の模様をした蝶が地面の上でもがいていた。姫柚子の近くなので、羽化に失敗したナミアゲハかと思ったら、何と、死にかかりのゴマダラチョウであった。翅に破れはないが、全体的に色が褪せている。 ゴマダラチョウは、我が家の周辺では昔から少ない蝶で、一年に数回見るだけである。かなりの稀種と言える。採集したこともこれまでに1度しかない。しかし、少数と雖も毎年現れるのは、お隣に食草であるエノキの大木があるからである。 しかし、このゴマダラ、一寸おかしくはないか? 全体的にゴマダラの力強さが無くて華奢だし、後翅後縁近くに赤い斑紋が数個並んでいる。ヒョッとして・・・、図鑑を調べると、やはり噂に聞いていたアカボシゴマダラであった。死にかかりのアカボシゴマダラ.ゴマダラチョウはもっと模様が粗く胴体は太く、赤い斑紋はない(2008/07/20) 地面の上では写真にならないので、葉っぱにでも留まらないかと思ったが、もう脚の力は全く無い。仕方なく、フキの葉の上に載せて写真を撮った。時々翅を拡げるが、直ぐに畳んでしまう。結局、裏面の写真しか撮れなかった。 この蝶、日本では本来奄美諸島にのみ分布する。沖縄には産しない。大陸ではヴェトナム北部から朝鮮半島に分布し、奄美諸島産と大陸産では斑紋、翅形に違いがあるので、奄美諸島のは奄美亜種とされる。 ところが、最近になって埼玉県(1995年)や神奈川県(1998年)で目撃や採集の報告が相次ぎ、次第に関東一円に拡がり始めた。温暖化に伴う漸進的な北上ではなく、突如として関東に現れたのである。しかも、この関東に出現したアカボシゴマダラは大陸の基亜種(名義タイプ亜種)であり、奄美亜種ではない。・・・と言うことは、飼育個体がエスケープしたか、或いは、意図的な放蝶の可能性が高い、と言える。 ここ数年、昔よりもゴマダラチョウの数が少し多くなった様な感じがしていた。これは、或いは、ゴマダラチョウが増えたのではなく、アカボシゴマダラが増えているのかも知れない。日本の自然も、社会の混乱に比例して、おかしなことになって行くのだろう。
2008.07.20
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我が家で見られるごく普通の虫、しかもかなり大きな虫なのにこれまで紹介していなかった虫が居る。スジグロシロチョウ(スジグロチョウ)である。 余りにもありふれているのと、翅の内側(表面)を撮る機会が中々無かったのが紹介を躊躇っていた主な理由である。今回も翅の開き方は不充分なのだが、「我が家のカナヘビ君」がこのスジグロチョウを狙っているところも撮れたので、この際掲載することにした。スジグロシロチョウを狙う「我が家のカナヘビ君」何時もの癖でついストロボを焚いてしまったので調子のおかしい写真になってしまった(2008/06/08) この写真(下の写真も)を撮ってから、何か用があって10秒位場を離れたのだが、戻って来てみると、スジグロシロチョウは付近をヒラヒラと飛んでおり、カナヘビ君は見当たらなかった。カナヘビ君、攻撃に失敗したらしい。翅を少し開いたスジグロシロチョウ(雄).上と同一個体(2008/06/08) ところで、このスジグロシロチョウ、昔は「シロ」の付かないスジグロチョウと呼んでいなかったか? 中学生の頃に使用していた保育社の「原色日本蝶類図鑑」が何処かにあるはずなので調べてみようと思ったが、廃棄してしまったのか見当たらず、結局分からずじまい。 以下の2枚の写真は丁度昨年の今頃撮ったものである。オクラにするのも勿体ないので、此処に掲載することにした。何れも、今咲いているニワナナカマドの花に来たものである。ニワナナカマドの葉に留まるスジグロチョウの雄(2007/06/01) スジグロシロチョウの仲間は、少し前まではエゾスジグロシロチョウとスジグロシロチョウの2種だけであった(遙か昔はスジグロチョウ1種のみだった様な気がするがこれも定かでない)。ところが、現在ではエゾスジグロシロチョウからヤマトスジグロシロチョウが分離して、3種となってしまった。 この3種、区別が難しい。しかし、エゾスジグロシロチョウは札幌以東に分布するとのことなので、この辺りではヤマトか只のスジグロか、と言うことになる。「原色日本蝶類図鑑(全改訂新版)」と「日本産蝶類標準図鑑」の双方を参考にして調べてみると(此処に掲載していない写真も参照)、今日掲載したのは何れも只のスジグロシロチョウ(1~3番目は雄、4番目は雌)ではないかと思われる。 しかし、どうも良く分からない。交尾器も極めてよく似ているし、2冊の図鑑に載っている区別点と図版を相互に見較べても判然としない場合がある。ニワナナカマドで吸蜜するスジグロチョウの雌(2007/06/02) 日本産蝶類の数は少ないし、今後新種が発見される可能性も極めて低い。一方で、此処50年位の間に1種が2種に分かれた蝶が何種類もある。 分類学者の一部には、自分の専門領域で種や属を増やしたがる人がいる。役人の自己増殖と何となく似ている。専門家のすることに素人が容喙するのは滑稽千万なこととは百も二百も承知のつもりだが、本当に種レベルの差異に相当するだけの違いがあるのだろうか、と思いたくなることがある。
2008.06.10
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今日で16日、1月も真ん中に達した。そろそろ昨年の写真を出しても良いと思うが、どうせ時を遡るなら、一気に37年半遡って、昭和45年夏に撮った昆虫の写真を紹介しよう。 最近、昔撮った数100本分の写真の整理をしている。殆どは白黒だが、リバーサルが1本だけある。北海道を旅行したときに撮ったもので、北海道で撮り切ったと思っていたのだが、一寸中を見てみたらその最後の4枚に昆虫が写っていた。 何処で撮ったものか記録がないが、ゴイシシジミが写っているので、多分昔の我が家であろう。だから、この虫達も「我が家の庭の生き物たち」である。 シジミチョウが3枚、ハチが1枚ある。しかし、何れも縦に青いスジを生じていて、此処に掲載したヤマトシジミ以外は一寸使い物にならない。保存状態は、最近は良いのだが、37年の間には劣悪な時期もあった。しかし、他の写真を見ると変色は思ったほど酷くない様である。なお、下の写真は彩度をごく少し上げてある。37年半前に撮ったヤマトシジミ(1970年夏) この写真は恐らくペンタックスSL(SPから露出計を取り除いたもの)にベローズとベローズタクマー100mmを付け、補助光にP5(ストロボ)を焚いて撮ったものであろう。当時は全て手動なので、ストロボの距離や接写に伴う露出倍数(この程度の接写ならば不要)を計算して撮らなくてはならない。また、ベローズはオートでないから、焦点を合わせたら手動で絞りを回さないといけない。それから思うと今のマクロ撮影なんぞ、殆ど問題にならないくらい楽チンなものである。 白黒の方にも、大雪山で撮ったウスバキチョウ等の写真があるはずである。出て来たら、番外として紹介しよう。
2008.01.16
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今回は、「キチョウの羽化(その2:前編)」の続きである。「前編」を未読の御仁は、先に其方を読まれ度。 愈々羽化の瞬間を迎える時がやって来た様である。 もう17時を回って、辺りは暗くなり始めていた。丁度、蛹の付いているハギの鉢の直ぐ横にある玄関のインターフォーンが故障したと言うので、故障の具合を調べていた。その合間に、ふと蛹をみると、蛹の「蓋」が浮いている。急いでカメラを引っ掴んで写真を撮った。蛹が割れて蝶が現れた.17:05:37(2007/10/07) 「蓋」がカパッと開いて、キチョウの頭胸部が飛び出している。何となく、古代エジプトの棺桶を連想させる。蝶は仰向けになっており、脚は上、触角は腹側に折り畳まれている。こうして見ると、先の「微妙な曲線を描いている黒い筋の部分」は触角であることが分かる。蛹から蝶の体がせり出す.17:05:56(2007/10/07) 側面から撮ったのが次の写真。この間約20秒も開いている。なぜこんなに開いているのか我ながら不可解だが、蛹の時より写す範囲が広くなったので薄暗い中で焦点を合わせ直したのと、かなり強い風が断続的に吹いていて、風が止むのを待っていたのではないかと思われる。 範囲が拡がった結果、ストロボの光がハギの葉で少し遮られてしまったのが残念である。撮影中には気が付かなかった。 蛹から蝶の全身が抜け出すのは一瞬であった。蛹から脱けた瞬間.17:06:11(2007/10/07) 余りに一瞬であったので、蝶がどう言う動きをしたのか良く分からなかった。何となく蝶がコロリと一回転した様に感じられたが、羽化したての蝶が体操の選手の様にバク転するとは考えられない。 脚は上を向いているから、恐らく、脚で蛹の上部に捉まり、体を少し上向きに引っ張り出し、体が脱けた直後に体の重さで少し下側にずれたのだと思う。翅の伸びるのを待つ.17:06:25(2007/10/07) その後は蛹の殻に捉まって翅の伸びるのを待つ。かなり風が強いので、キチョウは右に左に吹き寄せられ、又、時にクルクルと回転を余儀なくされていた。17:06:33+17:08:14(2007/10/07)17:09:19+17:10:05(2007/10/07)17:10:28+17:11:51(2007/10/07) 翅は意外と早く伸びきってしまった。蛹に割れ目が出来てから、高々6分半である。翅を伸ばしている最中の蝶を見る機会は滅多にないと、と言うことになる。まだ翅は固まっていない.17:14:57(2007/10/07) 翅は伸びていても、まだ固まってはいない。一寸風が吹くと、上の写真の様な有様。17:16:31(2007/10/07) それでも少しずつは固くなって行く。どの程度固くなっているのかは、翅を触ってみる以外に調べ様がない。キチョウを驚かすのも気の毒なので、結局翅の硬化にかかる時間は分からなかった。 また、蝶が羽化した後には必ず余分な水分を排泄する。考えてみると、この羽化の際にはその瞬間を見ていない。暗くて気が付かなかったのであろうか。それとも、もっと後に排泄するので見なかったのだろうか? 何となく、後者の様な気がする。ハギの枝下にジッと留まって翅の固まるのを待つキチョウ.上に蛹の殻が見える.17:24:33(2007/10/07) 羽化したキチョウはハギの枝下でジッと翅の固まるのを待っている。辺りは相当暗くなって来た。それでもまだ少し薄明の残る空にシルエットとなって映る触角を頼りに、どうにか焦点を合わせた。羽化したキチョウ.最後に見た姿.18:22:13(2007/10/07) 夕方に羽化したキチョウは、次の日の朝まで此処に留まっている筈である。次の日の朝、また会えると思っていたのだが、少し寝坊をしたせいか、朝見に行った時には、もう其処にその姿は無かった。
2007.10.15
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漸くキチョウが羽化するところの写真が出来た。全部で21枚、その内の4枚は2枚の写真を組み合わせてあるので、実質は25枚。普通は多くても1回に付き5枚位だから、5回分以上に相当する。 何でそんなに写真が多いかと言うと、朝、蛹に黒い紋が現れているのを見付けてから羽化するまでにヒジョーに時間がかかったからである。これまでの経験からすると、キチョウは朝やや遅く、8時から10時頃に羽化することが多い。そのつもりで写真を撮っていたら、何時まで経っても羽化せず、夕方、しかももう少し暗くなって来た頃に漸く羽化したのである。 羽化するまでの蛹の写真は省略しても良いのだが、その間に撮った写真を良く見ると、それなりに変化がある。読者の中には羽化の瞬間を自らの眼で確かめたいという御仁も居られるであろう。蛹が変化する過程が分かっていれば、羽化が近いか否かがある程度は分かる。蝶の種類により蛹の色具合は違うかも知れないが、参考にはなるであろう。 尚、全体の文字数が多過ぎて1回分に入りきらない為、2回に分割して掲載することになった。キチョウの蛹.08:28:42(2007/10/07) 先ずは朝の蛹の写真.今日は記録された撮影時刻を示すことにした。カメラの時計は日本標準時から少しずれているので、秒数は単なる目安である。 蛹の腹部には所々に白っぽいところが認められるが、基本的にまだ透明感が残っている。背側.09:22:48+10:51:20(2007/10/07) 今回は背側も一寸撮ってみた。09:22:48に撮った写真では、胴体背側の模様と思われる中央の黒斑がまだ不明瞭だが、10:51:20では明瞭になっている。翅の黒紋は朝既にハッキリしていたのに対し、背中の紋が現れるのは少し遅れる様である。羽化したのはほぼ17時なので、背中の紋がハッキリしていたら、約6時間以内に羽化すると考えて良いと言うことになる(気温による違いに注意)。16:41:28(2007/10/07) 上に羽化の約20分前の写真も示しておいた。6時間前と較べると、多少の差はなくもないが、殆ど変わっていないと言える。15:00:45(2007/10/07) その後は暫く全く変化無し。15時になって、腹部が白くなり始めた.その前に撮ったのは14時過ぎだが、基本的に朝撮った写真との差は認められない。 白くなるのは、蛹の殻と蝶の体の間に隙間を生じて空気が入るからであろう。胸に接する部分から始まり、徐々に背側腹側に白い部分が拡大して行く。以下3枚にその変化を示す。15:45:38(2007/10/07)16:14:18(2007/10/07)16:28:54(2007/10/07) 16時半前に撮った上の写真では、腹部全体が白っぽくなっている。その15分前の写真とは、腹部の色具合は明らかに異なる。羽化はほぼ17時から始まった。腹部全体が充分白ければ、羽化まで30分以内と言うことになる。ただ、白っぽくなり始めたのは14時半頃と思われ、その変化の過程に約2時間かかっていることになるので、色具合の見極めが大切である。 この変化は、羽化の2時間半前から始まる計算である。しかし、前回の羽化の写真を見ると、7時過ぎに撮った写真は既に白っぽくなり始めており、羽化は10時半頃であったと思われるので、約3時間半となる。建物の構造上、この時間帯には蛹のあるハギの鉢に日が当たらないので、温度が低くて羽化の進行に時間がかかっているのかも知れないし、或いは、個体による差なのかも知れない。15:11:00(2007/10/07) ところで、読者諸氏は、蝶が蛹の何処から出てくるのか御存知であろうか。上の写真で下の方に左右の眼が見えるが、その両側から上に向かって微妙な曲線を描いている黒い筋の部分が裂け、蓋のようにカパッと開いて中から蝶が出て来るのである。 ところが、此の部分には羽化の前に何らの変化も現れない。17:02:10(2007/10/07) 上の写真は羽化の約3分前に撮ったものである。その上の羽化約2時間前の写真と何らの差異も認められない。それより前の朝撮ったものでも同じである。17:00:40(2007/10/07) 少し前後するが、上の写真は羽化の約5分前の側面。30分前のもの(16:28:54)と差異は認められない。とすると、蛹の腹部が充分白くなってから羽化までは何も変化も無いので、羽化の瞬間を見るためには、腹部が白くなっていたら、その場を離れずにジッと待っているしか手がない、と言うことになる。 次は兪々羽化である。(続く)
2007.10.15
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前回予告したキチョウが蛹から飛び出すところは、まだ写真の調整が出来ていないので、繋ぎにチャバネセセリを掲載することにした。 この辺りのセセリチョウと言えば、イチモンジセセリ、ダイミョウセセリ、チャバネセセリ、キマダラセセリ位なもので種類は随分と少ない。子供の頃に一度だけアオバセセリを見たことがあるが、今ではまるで夢の様な話である(コキマダラセセリやオオチャバネセセリも昔は居た様な気がするが定かでない)。 キマダラセセリは500m程離れた林の付近には今でもかなり居る。しかし、我が家の様な住宅地では最近は極めて稀で、今年は未だに見ていない。このチャバネセセリも少なく、秋になって漸く少し現れ始めた程度。沢山居るのはイチモンジセセリで、これは今年は晩春から庭の中を飛び回っている。デュランタ・タカラズカで吸蜜するチャバネセセリ(2007/10/05) 食草は、チャバネセセリもイチモンジセセリも殆ど同じである。それなのに、何故、個体数の差がこれだけあるのか不思議に思っていた。 今改めて、ある蝶類図鑑の解説を読んでみると、チャバネセセリの「土着の北限は関東地方よりも西南と考えられ」、「本州東半部ではウラナミシジミと同様に、気温の上昇とともに北上し、気温の低下とともに死滅する状態を毎年くりかえしているものと推定される」と書いてある。そこで、もう1つのもっと新しい図鑑を取り出してみた。この図鑑にはチャバネセセリの分布図が載っており、それによると、越冬可能地域の北限は神奈川県の海沿いの地方で、東京都は全域が越冬可能地域に入っていない。口吻を花の中に差し込んで吸蜜する(2007/10/05) 一方、イチモンジセセリの分布図を見ると、東京都は越冬可能範囲にチャンと入っている(イチモンジセセリの越冬可能地域の北限は関東北部で、中国、近畿、中部の各日本海側、東北以北は移動により分布するとされている)。口吻はムチの様にしなやか(2007/10/05) ・・・と言うことは、イチモンジセセリは春から東京で増殖出来るのに対し、チャバネセセリは気温の上昇に伴って南からやって来ることになる。当然、イチモンジセセリの個体数はチャバネセセリよりも多くなるであろう。少し勉強になった。
2007.10.10
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先日掲載したキチョウの蛹は、鳥に食べられることもなく、また、ヒメバチやヤドリバエに寄生されてもおらず、順調な経過を辿った。 蛹化直後の蛹を先ず示しておこう。これは、先日掲載した写真と同じものである。蛹化直後のキチョウの蛹.この日を蛹化1日目とする。緑色で透き通っている(2007/09/26 07:21) 蛹化直後は透明で緑色をしていた蛹は、次第に不透明になり、且つ、黄色を帯びてくる。蛹化後6日経った10月2日(7日目)の蛹が下の写真である。7日目の蛹.全体的に少し黄色になり、特に翅の部分で著しい(2007/10/02 13:24) その後は日一日と、黄色味が増してくる。以下、毎日撮った写真を示す。8日目(2007/10/03 14:01)9日目(2007/10/04 09:11) 蛹化後9日目になると、翅の部分と眼の辺りが、黄色と言って良い色になって来た。写真は無いが、透過光でみると、翅の部分では影を生じていた。10日目(2007/10/05 10:19)10日目を透過光で撮ったもの(2007/10/05 10:23) 10日目には色が益々濃くなり、翅の部分と眼は透過光では黒っぽく見えるようになった。羽化が近づいている様である。11日目(2007/10/06 07:06) 11日目の朝、蛹を見に行くと、蛹の殻を通して翅の黒い部分が明確に認められた。これまでの経験から、この翅の黒い部分が見えるようになった蛹は、半日以内に羽化する。タイマーをかけて、20分置きに見に行くことにした。 その後は特に変化は認められない様に見えた。しかし、肉眼では良く分からなかったが、上の写真とその約3時間後に撮った下の写真と較べてみると、腹部の白っぽくなった部分が増えている。白っぽくなるのは、蛹の殻と蝶の体の間に隙間が生じて空気が入った為であろう。上の写真の3時間後(2007/10/06 09:00) 背側から見てみると、もう腹部の模様がシッカリ見え、更に、隙間も出来ているらしく白っぽく見える。羽化は間近に迫った様である。少し背側から見てみた(2007/10/06 09:46) 上の写真を撮った後も何回か見に行ったのだが、肉眼的には何も変化が無い。一寸作業に没頭して、シマッタと思ったときには既に遅く、リッパに羽化して翅までチャンと伸びていた。羽化していたキチョウ(2007/10/06 11:11) 今回は不覚にも、蛹から蝶が飛び出すところを撮り逃がしてしまった。残念無念・・・。しかし、蛹から飛び出して翅が伸びる切るまでにどの位の時間がかかるのだろうか。どうも思っているよりもかなり短い様である。 ・・・と思っていたら次の日(10月7日:昨日)、幸にもその蛹から蝶が飛び出す瞬間を何とか捕らえることが出来た。当然写真の枚数が多くなるので、それはまた別の機会に譲ることにしよう。
2007.10.08
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今年はツマグロヒョウモンが多い。一昨年も多くて、我が家のスミレは秋には丸坊主になっていたが、今年も同様である。大群落を作ろうと思って春にスミレ(種としてのスミレ)を沢山植えた一画は、現在では「更地」になってしまった。地植えのスミレ類は殆ど壊滅した様である。スミレ類は地面に生えているもの以外に色々な植木鉢に寄寓しているのが沢山あるので、地植えを食べ尽くした幼虫どもは今はそちらの方に移っている。 実はその他に、今年の春にチャンと種子を蒔いて育てた大事な鉢植えのスミレがある。これは来年シッカリ咲かせるつもりなので保護しているのだが、この残ったスミレの鉢に連日の如くツマグロヒョウモンが産卵にやって来る。 何分にも小さな鉢なので、産んだ卵は直ぐに見つかる。かなり小さな卵で、アゲハチョウの卵よりも2回り位小さい。等倍マクロの能力を超えているが、写真に撮ってみた。 例によって、ピクセル等倍の不鮮明な写真である。恐縮だが、何分にも卵の大きさは1mmの3/4位なので御理解いただきたい。ツマグロヒョウモンの卵.直径約0.75mm(2007/09/21) 写真を拡大してみると、まるで型から抜いたゼリーの様。外側に殻があり、その中に卵の「本体」が入っているらしい。そうだとすると、「本体」が餡で、回りを葛で包んだ和菓子の様にも見える。 昆虫の卵と言うのは、実に繊細な構造を持ったものが多い。Papilio属のアゲハやオオスカシバの卵の様な、殻に模様のない真珠の如き卵はかえって特殊なのかも知れない。ツマグロヒョウモンの卵.出来るだけ横から見たもの(2007/09/21) 卵殻の模様は、多分輸卵管内で形成されるのだろう。しかし、一体どうやってこんな複雑に凸凹した形を作り上げるのだろうか。卵の通過時に輸卵管が収縮して型となり、卵1個ずつ型に嵌めて行くのだろうか? また、考えてみれば、こんな複雑な模様のある卵を作って、如何なる利点があるのかも理解し難い。丸い鶏の様な卵では、何処か不利になることがあるのだろうか? 結語は昨日と同じ、虫の世界、分からないことだらけである。
2007.09.23
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今日は我が家では「珍蝶」のベニシジミを紹介する。 ベニシジミは、全国的にはごく普通のシジミチョウである。この辺りでも少し草の原や畑がある所に行けば沢山居るのだが、我が家のような住宅地のど真ん中では、子供の頃ですらも全く見なかった「非常に珍しい」蝶なのである。食草は、この辺りの空き地には見られないギシギシやスイバ(スカンポ)等だから、それらの生えていない所には居ない、と言うことであろう。 それがどういう訳か、我が家の庭に現れた。菊の花に止まるベニシジミ(2007/09/07) 普段はかなり敏感な蝶である。しかし、まだ台風に吹き込む南風が強かったせいか、花にしがみついていて離れようとしない。逃げない点では楽だったが、矢鱈に揺れるので少し苦労した。ベニシジミの裏面は綺麗.拡大すると鱗粉も見えるのだがこの倍率では無理(2007/09/07) 表面は黒と赤で余りパッとしないが、裏面は見映えがする。派手ではなく、華麗な中にも落ち着いた雰囲気を醸し出している。風の弱まった隙に、裏面を等倍接写してみた。顕微鏡写真の様には行かないが、個々の鱗粉が識別できる。ベニシジミの翅の拡大.鱗粉が見える(2007/09/07) 強風の為、花にしがみついて殆ど動かずどうにも芸がない。そこで、例によってシジミチョウの顔を撮ることにした。シジミチョウ類は頭の大きさに比して目が大きい。顔中眼だらけ!!正面から見たベニシジミ.警戒している風にも見えるが、実際は風に飛ばされない様に踏ん張っているところ(2007/09/07) 他の昆虫と違って、このベニシジミ、複眼に六角形(レンズの絞りの形)のストロボの反射が現れない。複眼が複眼らしく見えず、「漆黒の瞳」と言う感じ。そう思うと、中々可愛らしい。ベニシジミの横顔.円らな「瞳」が愛らしい(2007/09/07) 数時間我が家に逗留した後、このベニシジミは何処とも無く飛び去ってしまった。また、我が家に現れることがあるだろうか?
2007.09.09
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今年はアゲハ類(Papilio属)が少ない。ナミアゲハはある程度いるのだが、クロアゲハは非常に少ない。今年は2~3回しか見ていないのではないか? また、あの厭なブランコヤドリバエが活躍しているのだと思うと憂鬱になるが、何とも自然の摂理なので致し方ない。 そのクロアゲハが先日デュランタ・タカラズカにやって来た。かなりボロボロの個体である。デュランタ・タカラズカで吸蜜するクロアゲハ.かなり擦り切れている(2007/09/04) クロアゲハは、既に昨年オニユリの所で紹介している。しかし、その時はユリが主人公でクロアゲハは脇役に甘んじていた。今回はクロアゲハが主役である。 しかし、かなり擦り切れた個体なので、普通に撮っても一寸アゲハ君に気の毒。考えてみると、アゲハのような大型で中々静止しない蝶は全体を撮るのが精一杯で、余り細部の写った写真を見たことがない。 そこで、クロアゲハ君の吸蜜中の顔を撮ってみることにした。吸蜜中のクロアゲハ君の顔(2007/09/04) 何か、大きなサングラスをした兄さんがストローを吸っている様な感じ。こんな顔をしているとは、一寸意外であった。斜め後ろから見たクロアゲハ君の顔(2007/09/04) 余り面白くないが、少し後から撮った写真も掲載しておく。脚を全部揃えているのが印象的。踊るクロアゲハ(2007/09/04) オマケにもう1枚、最初の写真に構図は似ているが、表情が何か浮かれた感じ。題して「踊るクロアゲハ」。
2007.09.07
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ダイミョウセセリは当Weblog初登場である。しかし、この蝶は実はこれまでに何回も撮っているのである。それなのに掲載しなかったのは、ダイミョウセセリの写真と言うのはどうも面白味に欠けるからである。 何処に止まっても、出来損ないの展翅標本の様な止まり方をする(正しい展翅標本では、左右の前翅の後縁を一直線に揃える)。これが実に撮り難い。蝶に対して垂直の線から外れると、翅全体に焦点が合わない。斜めから、頭に焦点を合わせ翅をぼかして撮っても、水平に真一文字に伸びた翅が何とも機械的で、風情がない。デュランタの葉に止まるダイミョウセセリ(2007/09/04) 真っ正面から撮ってみたこともあるが、これも今一つ冴えない。 そこで、デュランタの花に逆さになっているところを撮ってみた。しかし、やはり大して面白い写真にはならなかった。それに、頭部下面の白い部分が飛んでしまう。デュランタに逆さに止まって吸蜜するダイミョウセセリ.眼に映るストロボの反射が気になる(2007/09/04) モデルが悪いとも言える。関西型のダイミョウセセリは後翅にも白斑があり見映えがするが、本州中部以北の関東型には殆ど紋がなく、ノッペラボーに近い。 ・・・今日は、どうも文句ばかりになってしまった様である。
2007.09.06
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昨年ヤマトシジミの雄(青色)を紹介したが、ここ2~3日、庭に新鮮な雌(黒色)の個体が逗留しているので、今日はこのヤマトシジミの雌を紹介しよう。 朝まだ早い内は、草木の葉上でジッとしていたが、気温が上がると庭の中を飛び回り始めた。時々カタバミに止まっては産卵している。ヤマトシジミの雌.もう少し写真が大きいと迫力があるのだが・・・(2007/07/26) ヤマトシジミは何処にでも居る、謂わば普通種中の普通種である(北海道を除く)。しかし、雄の翅表は青色に輝き、チョウの中でも綺麗な方に属すと思う。 雌は一見冴えない色だが、良く見てみると、赤味を帯びた黒の中に青色が混じって、中々微妙な色合い。ヤマトシジミの雌.中々渋い色合いをしている(2007/07/26) ヤマトシジミは秋になると非常に数が増える。しかし、春に見ることは稀である。日本では、越冬態は幼虫だそうだが、無事冬を越せる個体の比率はごく僅かなのであろう。
2007.07.26
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一昨日、蹲踞(つくばい)の横にあるミヤギノハギ(ナツハギ)の前を通ったら、其処からヤマトシジミの雄の様な表面の青い小さな蝶が飛び出してきた。注意して見ると、ヤマトシジミではなく小さなルリシジミであった。 ルリシジミはマメ科の他多くの植物の蕾、花、若い果実を食草とする。だから、このハギの周りでは、産卵に来たルリシジミの雌を見かけることが屡々ある。 しかし、この個体は直ぐにハギから離れてしまったし、また、ごく新鮮なので、産卵に来たのではなく、此処で羽化したばかりの個体らしい。デュランタの葉上で休むルリシジミ鱗粉の縞模様が写っているが、この倍率ではよく見えない(2007/07/08) デュランタの葉の上に止まってジッとしている。時折、羽を前後に擦り合わせる様な動作をする。何の意味があるのかは知らないが、シジミチョウによく見られる行動の一つ。真っ正面から見たルリシジミ.表面の青色が隙間から見えている(2007/07/08) 考えてみると、ほぼ1ヶ月前の風の強い日、ここにルリシジミが産卵に来ていた。何しろ風速5~7m位の風だったので、卵を産む方もハギにしがみ付いて逆さになったりひっくり返ったりで、随分難儀の様に見えた。そんな状態なので産卵するところは全く撮れなかったが、産卵の合間に付近の葉の上で休んでいるのを一応撮ってあった。 そのルリシジミが上の個体の母親か否かは分からない。産卵から羽化まで1ヶ月と言うのは、少し早過ぎるかも知れないが、その時のルリシジミ母さんの写真も一緒に載せておこう。約1ヶ月前に産卵に来ていたルリシジミ母さん.食草の近くで休憩中(2007/06/07) 今年に入って蝶を紹介するのは、今日でやっと2回目である。スジグロチョウはまだ掲載していないが、良くやってくる。しかし、今年は全般的にどうも蝶が少ない様に思える。アゲハチョウ類は特に少なく、ナミアゲハですら10日に1度見るかどうか、と言う程度。毎年丸坊主になるはずの本柚子の木には葉がシッカリと繁り、アゲハの幼虫が食事した形跡は全く認められない。 3年程前に一寸した理由があってクロアゲハの幼虫を全部で28頭飼育したことがある。しかし、チャンと羽化したのはたったの3頭、他の25頭は総てブランコヤドリバエにやられていた。 子供の頃は良くアゲハを飼育したものだが、アゲハヒメバチその他のヒメバチ類が出て来ることはあっても、ヤドリハエが出て来たことは一度もなかった。なぜヒメバチがブランコヤドリバエに取って代わられたのだろうか。アゲハヒメバチは綺麗なヒメバチだし、何分にもこちとらはハチ好きなので、蝶の代わりにヒメバチが羽化して来るのは我慢できても、ヤドリバエの蛆が出てくるのは何とも許し難い。 今年、この辺りで蝶が少ないのは、或いは、あの厭なブランコヤドリバエがまた猖獗を極めているのだろうか。
2007.07.10
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先週中半に帰朝した。帰国直後は持ち帰った荷物、資料の仕分け、3ヶ月半の間に溜まった郵便物、電子メールの整理をしなければならない。今回は帰国してみたらADSLのモデムが壊れていて、余計な仕事が一つ増えた。 片付けが一通り終わると、急に全身の力が抜けて何もする気がなくなってしまった。昼間2時間昼寝し、夜9時に床に入れば直ぐに寝付き、朝7時に目が覚めてもまだ眠いのだから、やはり疲れているのだろう。しかし、こんな生活をしていると今度は怠け病に罹ってしまうので、ボーダイ(「膨大」の3乗位)な資料の整理も少しずつ始め、Weblogの更新もすることにしよう。 庭のウメ(4種)、ジンチョウゲ、ニホンスイセン、ワビスケ(数寄屋)はとうに終わり、アセビ、ボケ、ヒュウガミズキ、トサミズキ、黄花の西洋シャクナゲ、クリスマスローズ、ヒヤシンス、ツバキ(肥後、窓の月)はまだ残っているものの盛りはもう過ぎ、今はスミレ類(何種あるか不明)、クロッカス、シジミバナ、ユキヤナギ、ドウダンツツジ、ハナニラ、余り目立たないところではグミ等が咲いている。 我が家の庭の植物の多くは春に花を着けるので、帰国後第1回目は当然花を紹介するつもりであった。しかし3日目の朝、何時ものベランダの椅子に腰掛けてボケーとしていると、アラカシの周りで何か白いものがチラチラしている。ウラギンシジミである。無事越冬を終わって、元気に飛び回っている。ウラギンシジミ(雌)の越冬個体(2007/03/23) このウラギンシジミ、食草はフジやクズなどのマメ科植物なのだが、どういう訳かアラカシの付近で見ることが多い。アラカシに集るアリマキの出す甘露でも吸いに来るのだろうか? アラカシを食草にするムラサキシジミと同じく、枝の高いところに止まって羽を半開きにするので、写真が撮り難い。撮影は諦めて、また椅子の上でボーとしていたら、庭の中に入って来てブルーベリーの葉に止まった。 早速カメラを掴んで接近する。少し近づき過ぎて飛び立ったが、直ぐに隣のニワナナカマドに止まった。普段はかなり敏感な蝶だが、今度はどういう訳か触れる程に近づいても逃げない。真上から撮ったり、下から覗く様にして裏面を撮ったり・・・。ウラギンシジミ(雌)の越冬個体(その2)(2007/03/23) 表面中央の紋が白っぽいから雌である(雄は赤い)。越冬個体なので、御覧の様に表面は色がくすんで冴えないし、裏面には鱗粉の剥げた跡であろうか、暗色の小さな点々が無数にある。しかし、破れはないし、羽も触角もしっかりしている。 これからフジにでも産卵し、務めを終えた後は、何処かで人知れず朽ち果てて行くのであろう。ウラギンシジミ(雌)の越冬個体.裏面(2007/03/23) こちとらも人生中半をとうに過ぎ、もう黄昏時に入らんとしている。3ヶ月半の長い旅行を終えて息絶え絶えの私は、この厳しい数ヶ月の冬を生き延びたウラギンシジミに妙な近親感を覚えるのであった。
2007.03.30
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今回は、一昨日に登場した羽化したてのコミスジの話の続きである。 夕方に羽化してしまったので、暖かい部屋の中に置いておくと色々問題を生ずると思い、飼育箱に入れ、蓋をしないで外のテーブルの上に置いたところまでが前回の話であった。 次の日の朝、やはり一寸気になって起きると直ぐに戸を開けてコミスジを見てみた。もうとっくに何処かへ飛んで行ってしまっただろうと思っていたが、夜中に雨が降って気温が低くなったせいか、コミスジはまだそのまま同じところにいた。飼育箱の縁にチョコンととまってじっとしている。 朝の儀式を済ませ、コーヒーを持ってテーブルのところへ行くと、コミスジはやっと飛んで、少し離れたイボタの葉にとまった。雨に濡れたイボタの葉にとまるコミスジ(2006/10/23) 写真は昨日の夜に一応撮ってある。しかし、部屋の中で撮ったので、背景が茶色になりコミスジの色彩が冴えない。やはり、緑の中にいる方がずっと美しい。そこでまた写真を撮ることにした。コミスジの顔(2006/10/23) 気温が低いので近づいてもじっとしている。そこで、またぞろお決まりの等倍接写をしてみた。ツルバラの葉の上で羽を開くコミスジ(2006/10/23) しかし、余りに近づいたせいか、今度は少し高く飛んで隣の駐車場の方へ逃げてしまった。何処にとまったのかと追いかけ、あちこち探してみたら、我が家の垣根であるツルバラの葉の上にいた。 今度は、羽を開いている。少し写真を撮ったら、また飛んで我が家の壁の高いところへ行き、そこでとまってしまった。 高くて写真は撮れないし、また、もう撮る必要もない。ゆっくりコーヒーを飲み、煙草を2~3本喫ってから部屋に戻った。 やがてまた雨が降り出した。コミスジがとまっていた場所には雨が当たる。当然何処かへ雨宿りに行ってしまっただろうと思い、もう特に表に出てみることはしなかった。
2006.11.10
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先日紹介したコミスジの前蛹は、当然のことながら次の日にはチャンと蛹になった。 しかし、垂直にはぶら下がらず、少し斜めになっている。「原色日本蝶類生態図鑑」を見るとタテハチョウ類の蛹は得てしてこういう形になるらしいが、どうも写真を撮るときに気になる。枝にくっ付いている「足場」の部分が随分と頑丈なのだろう。コミスジの蛹.蛹になったばかり横から(2006/10/15)コミスジの蛹.蛹になったばかり背側から(2006/10/15) 写真では余り明らかでないが、蛹の背側に金属光沢を放つ部分が数個2列に並んでいる。これまで見たことのあるタテハチョウ科の蛹は僅か数種でしかないが、知っている限りでは、総てにこの様な光沢斑があった。こう言うのがタテハチョウ科では一般的らしい。 蛹化してから丁度1週間経った日の朝、蛹を見ると色がすっかり黒ずんでいる。一瞬ブランコヤドリバエにやられたのかと思ってドキリとしたが、そうではない。近づいてよく見てみると、蛹の殻を通して成虫の羽の斑紋が透けて見える。 いよいよ明日は羽化だ!!コミスジの蛹.羽化直前横から(2006/10/22)コミスジの蛹.羽化直前背側から(2006/10/22) ・・・と思ったのが大間違い。 その日の夜8時前、蛹を一寸見てみたら形がおかしい。いや、形がおかしいのではない。もう既に羽化してしまっていたのである!! しかも、羽は充分に伸びていて、触角もピンとしている。 写真を撮る為にハギの枝を少し動かしたら、蛹の殻からハギの枝先に飛び移ってしまった。羽化してからかなりの時間が経っているらしい。羽化したコミスジ.室内なので背景の色が茶色(2006/10/22) 今まで飼育した蝶は、総て夜明け前か、早朝に羽化した。コミスジが夕方に羽化するとは思いもよらなかった。羽化したコミスジ.表面(2006/10/22) 今度は羽をハタハタ開閉させ始めた。このままにして置くと飛んで燈りの中に入ったりするかも知れないので、可哀想だが小さい飼育箱(只のプラスティックの箱)の中に入れてしまった。羽化したコミスジ.裏面(2006/10/22) しかし、室内では気温が高いから、元気になって箱の中で飛び回ったりすると羽を傷つける。そこで、蓋を取ってそのまま屋外のテーブルの上に置いておくことにした。 表は結構寒いから体力を余計に消耗することもないだろうし、テーブルの上ならばヤモリなどの捕食動物も来ないであろう。蓋をしていないから、もし明朝に直射日光が当たっても、暑くなる前に何処かへ飛んでゆくことが出来る。(続く)
2006.11.08
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しばらく鬱陶しい天気が続いていたが、台風は前線を連れて北東の海上に去り、久しぶりの秋晴れとなった。日曜日は些か風が強すぎて写真を撮る状況ではなかったが、昨日と今日は続けて良い日よりで、家ばかりでなく外にも出かけて写真を沢山撮ってしまった。これから暫くネタには事欠かないが、写真の整理が大変、原稿を書く暇がない。 そこで、まず写真1枚で済む、と言うか、近日中に枚数が増える可能性の少ない題材を選んで、取り敢えず載せることにした。 昨日庭の奥の方へ行ったら低いところから小さな蝶が飛び立った。ムラサキシジミである。まだ動きが少し緩慢だし、非常に新鮮なので、どうやら我が家のアラカシで育った個体らしい。反応が鈍いので100mmで撮れたが、生憎木の上の方へ行ってしまった。また降りてくるまで待っても良かったのだが、何しろヤブ蚊がワンワン飛び交っているので直ぐに退散。撮れたのは結局この1枚のみであった。羽化したてのムラサキシジミ(2006/10/09) ムラサキシジミは昔は東京には居なかった蝶で、最初に見たのは1991年の10月下旬か11月だったと思う。 夜遅く帰ってきたら、玄関のインターフォーンの近くの壁に妙な蝶らしきものがとまっている。夜になって気温が下ったので身動きが出来なくなったらしい。 捕まえてみると、ムラサキシジミである。しばらく「ポカ~ン!!??」、ツマグロヒョウモンを始めて見たときと同じ程度にビックリした。 このムラサキシジミの北上も、ツマグロヒョウモンやナガサキアゲハなどと同じく温暖化によるものとされている。しかし、私にはもう一つ別の要素がある様に思えてならない。 ムラサキシジミはカシ類の中でも特にアラカシが好きな様で、我が家にムラサキシジミがウロチョロしているのもアラカシがかなりの数植えてあるせいらしい。 このアラカシ、20年前には東京では殆ど見なかったカシ(Quercus属)で、昔からあるカシ類と言えば、天然状態でも存在したシラカシと生垣用に温暖な地方から移入されたウバメガシだけであった。15年位前から関西では「安物」のアラカシを何故か庭木として植える家が増えた。これらのアラカシは当然関西その他の温暖な地方から運ばれて来たものであり、私の推測によれば、それにムラサキシジミの卵や幼虫が付いていたのだと思う。 温暖化による蝶の北上などが顕著になって騒がれ出したのは最近のことだが、ムラサキシジミは1991年にもう東京の我が家に居たのである。温暖化だけではないと思う所以である。
2006.10.10
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先日、朝のコーヒーをいつものベランダで飲んでいると、直ぐ横のアヤメやペラペラヨメナなどが茂っている辺りで、ガサゴソと音がする。また、カナヘビ君かな?と思ったら、羽化したばかりのツマグロヒョウモンの雌がヤブの中から這い出してきた。 ツマグロヒョウモンの幼虫は矢鱈に目につくのだが、蛹は殆ど見つからない。こんな茂みの中で蛹化していたのなら見つからないのも当然である。羽化したてのツマグロヒョウモンの雌(2006/09/27) 流石に羽化したては綺麗である。ツマグロヒョウモンは既に第1回目で紹介したが、その時の写真はボロボロに近くなった雌が産卵している姿であった。もっと綺麗なのを出したいと思っていたところなので、早速写真に撮って掲載することにした。アヤメの葉の上を歩いていて転けそうになったツマグロヒョウモン(2006/09/27) アヤメからペラペラヨメナ、ペラペラヨメナからアヤメへと羽をハタハタ開閉させながら渡り歩いている。羽は既に充分伸びているが、触角はまだ少し曲がっているし、足元が覚束ない。アヤメの葉から滑り落ちそうになってしがみついたり、ひっくり返って裏側に回ったり・・・と大変そう。アヤメからペラペラヨメナに渡り歩くツマグロヒョウモン(2006/09/27) 少し経って手を貸してやったら、一寸飛んでツルバラの上に留まり、そこでまたハタハタし始めた。 2時間くらい後に見てみたら、まだ同じところでハタハタやっている。気温が低いので中々チャンと飛べるようにならないらしい。 そのうち雨が降り出した。どうしているかなと思ってカーテンの間から覗いてみたら、もう姿は見えなかった。
2006.09.29
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先日ヒカゲチョウ(ナミヒカゲ)が2頭やって来て、庭の中で飛び回っていた。一応写真を撮ったが余りにボロボロなので掲載をためらっていたところ、次の日に今度は新鮮な個体がやって来た。 今までヒカゲチョウは余りやってこなかったのだが、どうも今年はヒメジャノメと同じく数が多い。何故か?「つくばい」の端で吸水するヒカゲチョウ(2006/09/21) ヒカゲチョウはタケやササを食草にする。我が家の庭は、親が他界して私が引っ越してきたときには物凄い荒れ庭になっていて、隣から侵入してきた小型のごくつまらないササ(種は調べていない)とドクダミが猖獗を極めていた。2年程かけてドクダミは壊滅させたが、ササは一部残っており、それがまた最近繁茂し始めた。ヒカゲチョウがよく現れるようになったのは、そのせいかもしれない。三つ葉の葉の上で休むヒカゲチョウ(2006/09/21) 何しろ、ササは地下茎を取り除かなければなかなか根絶出来ない。ササの地下茎は30cm以上も深いところを通っていることもあり、これを取り除くには庭を掘り起こす必要がある。しかし、引っ越してきたときとは違って、今はその上に色々植えてあるから、全面的に庭を掘り起こすことは出来ないし、ササは植えてある草本類の間から出てくるので、除草剤をササの葉だけにかけるのも一寸難しい。全く困ったものだ。庭の飛び石の上で羽を広げるヒカゲチョウ(2006/09/21) ヒカゲチョウは羽を閉じて止まることが多いが、今日は上の写真の様に開いて止まることもあった。おかげで裏面ばかりでなく表面も撮ることが出来たが、普段は余り見ない格好である。
2006.09.26
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我が家の庭に何時もいるもう一種の蝶はイチモンジセセリ。もっとも、夏にならないと現れないが・・・。 いまどき我が家に現れるのはボロボロの個体ばかりなので、新鮮な個体が現れるのを待っていたが、待てど暮らせどやって来ない。イチモンジセセリは超普通種だし、来年に回すか、と気の長いことを考えていたら、ボロボロでも等倍接写が出来たので今回出すことにした。メドーセージの葉上で休むイチモンジセセリ(2006/09/21) これまでカメラを持って蝶を執拗に追いかけ回すと言うことをしたことが無かったので気が付かなかったのだが、敏感に逃げ回っていた蝶が、急に大人しく、と言うか、こちらの動きに殆ど反応しなくなるときがある。こういう時にマクロレンズを持っていると等倍接写が出来る。イチモンジセセリと睨めっコ(2006/09/21) 今日は今まで撮ったことのない、真っ正面から撮ってみた。何時は、羽を閉じている時にシャッターを押しても、写っているのはミラーが跳ね上がった音に反応して既に羽を開いた姿だったりするくらい敏感なのだが、ストロボを焚いても全く反応しない。真っ正面から見ると、何か犬が踏ん張っているように見える。斜め上から撮ったイチモンジセセリ(2006/09/21) 今度は斜め上から撮ってみた。何とも言い難い妙な顔。何となく魚のハタを思い起こさせる。 撮影時には気がつかなかったが、左下端に妙な物が写っている。ダニかと思ったら、9月14日に紹介したのと同じグンバイムシであった。此奴、我が家の庭にかなりの数がいる様で、何処か知らぬ所で結構悪さをしているのかも知れない。
2006.09.21
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毎年チョクチョク顔を出すのに、今年は殆ど見られないのが、かつての超普通種、モンシロチョウ。 有効な農薬を使用しなかった昔は、1kmほど北にあるキャベツ畑に行けば、それこそ「雲霞の如く」モンシロチョウが群らがっていたものである。 キャベツ畑から遠い我が家の庭にもごく普通にやって来た。しかし、農薬を使用しだしてからは激減、と言うより、一時は殆ど絶滅に近い状態で、シロチョウ科の白い蝶と言えば、スジグロチョウと春先のツマキチョウだけになってしまった。 しかし、その後かなり経ってから(10~20年後?)また数は多くないが時々現れるようになった。久しぶりにモンシロチョウを見たときは、かつては超普通種であったことも忘れ、大いに感激したものである。 また現れるようになった理由は良く分からない。農薬を使用しない有機農業が流行り始めるより前の時代だから別の原因があるのだろう。しだれ梅の葉上で休むモンシロチョウ(2006/09/20) ご存じの方も多いと思うが、モンシロチョウの食草はキャベツなどのアブラナ科の栽培植物だけではない。分類学的には同じアブラナ目だが別科のクレオメ(セイヨウフウチョウソウ、我が家では何故か「蝶々花」と呼んでいた)も食草にする。 実は、昔から毎年我が家で「自然発生」しているクレオメに、飛んできたモンシロチョウが産卵してある程度繁殖していた。しかし、何時も食草が不足に陥り、キャベツ畑で育った大きなモンシロチョウから見ると、まるで子供のような矮小な個体になるのが普通であった。 家の改築でクレオメは全滅したが、その後も時々モンシロチョウがやって来た。しかし、昔を懐かしんでクレオメを植えてからは、その数がずっと多くなった。 今年モンシロチョウが少ないのは、その後自然発生的に花を咲かせていたクレオメが今年はたった1本になり、しかもどういう訳かまるで生長が良くないせいなのかも知れない。毎年モンシロチョウが産卵し、生長、羽化していたのだが、今年は食痕が全く無い。クレオメも生長が悪いとモンシロチョウを呼び寄せる物質の発散が少なくなるのだろうか。モンシロチョウの顔(2006/09/14) 昔の庭は広かったからかなりの数のクレオメが生えていた。しかし、今は「猫の額」なので本数はずっと少ない。ある年1本のクレオメに余りに沢山(20匹位)の幼虫がついたので、これでは途中で食草が無くなって全滅すると思い、スーパーで買ってきたキャベツで飼育してやった。ところが、1週間位の間に一匹残らず死んでしまった。体がドロドロに溶けるような、気味の悪い妙な死に方であった。 インターネットで調べてみると、方々の小学校でモンシロチョウの青虫の飼育実験をしており、そのレポートが発表されていた。やはり、スーパーや普通の八百屋で買ってきたキャベツで飼育した場合は全滅し、自然食品販売店で買ってきたキャベツではチャンと羽化している(自然食品と称する物の中には、インチキがかなりあると思っていたのだがそうでもないらしい)。いつも普通種ばかりで恐縮なので、余り撮られていない角度(真上)から撮ってみた(2006/09/14) 犯人はオルトラン(アセフェート)の様な残留型の農薬であろう。一度散布すれば1ヶ月は効力を発揮する非常に便利な農薬である。マウス実験によるアセフェートの半数致死量は約0.5g/kg(体重1kg当たり0.5g、体重50kgであれば25g摂取すると50%が死ぬ)程度でかなり安全であり、「劇物」や「毒物」ではなく「普通物」とされている。しかし、何とも気持ちが悪く、このことを知ってから暫くはキャベツを食べる気がしなかった。
2006.09.20
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先日キアゲハの写真を載せたが、ナミアゲハも負けじと(?)次の日やって来て同じ様なポーズで写真に収まった。比較してみるとやはりキアゲハの方が色合いや模様の配置などずっと洒落ている(と思ったがそうでもないか?)。デュランタ・タカラズカで吸蜜するナミアゲハ(2006/09/05) 我が家に来るアゲハチョウ類としては、オニユリの所で載せたクロアゲハの他、カラスアゲハ、アオスジアゲハなどが挙げられる。 カラスアゲハは滅多に来ないが、一度我が家のサンショウの葉に産卵したことがある(卵を確認した)。これは楽しみだと思っていたら、数日後にやってきた台風で卵が全部吹き飛んでしまった。卵のうちから飼育してやれば良かったと、悔やむことしきり。 アオスジアゲハの方は、すぐ近くに世田谷区の保存樹になっているクスノキ(アオスジアゲハの食草)の大木が何本もあるのでよく来るのだが、すばしっこい蝶なので中々写真が撮れない。 アオスジアゲハをこの時期撮るのならヤブガラシの花が咲いているところで待つのが一番。しかし、ヤブガラシは我が家ではドクダミと並んで徹底駆除の対象だから生えることはあっても花が咲くことはあり得ない。 アオスジはトベラの花にも吸蜜にやって来る。トベラなら1本植えてあるので、花の咲く来年6月になったら写真を撮ってやろうと今から待機している。 来年のことを言うと、鬼が笑うか?
2006.09.19
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昨日のチャドクガの幼虫はやはり余り評判が良くなかったようなので、急いで新しい記事を書くことにした。 3番目の我が家の住人(住蝶?)はヤマトシジミ。これも食草のカタバミ類が我が家に沢山あるからである。10年ほど前に他界した父が「カタハミハ雑草ト認メス、保護スヘシ」とのたもうた為に、そこいら中に繁茂していた。父が他界してから、ある程度は抜いているのだが、根が深くて絶滅できないし、また、する気もない。花は黄色で結構可憐だし、ヤマトシジミが産卵にやって来るからである。 しかし、いまだにヤマトシジミの幼虫を見たことがない。余りに普通種なので探す気が起こらない。ヒュウガミズキの葉の上で休むヤマトシジミ(2006/09/14) 昔はこういう小型のシジミチョウとしては、他にツバメシジミ、ゴイシシジミがいた。しかし、最近は全く見たことがない。考えてみると、ツバメシジミの食草になるようなマメ科の雑草を最近は見かけない。昔は随分道ばたに生えていたものだが・・・。 ゴイシシジミは昔から特定の場所にしかいなかった。ゴイシシジミの幼虫は肉食性で、薄暗いところに生えるササ類につく粉だらけのアブラムシ類を餌とする。近頃は、薄暗いササヤブが殆どなくなったので、ゴイシシジミもいられなくなったのだろう。 一方、ヤマトシジミは、カタバミならそこいら中に生えているので、食草には全く不自由しない。ヤマトシジミだけはちっとも減らない理由である。キク科の花(ペラペラヨメナ:Vittadinia triloba)の上で居眠りするヤマトシジミ(2006/09/15) 上のヤマトシジミはどんなに近づいても逃げなかった。庭の主が楽天家だから、蝶の方もおっとりしているのか? 写真を撮った後もずっと同じ所に留まっていた。ヒョッとすると居眠りをしていたのかも知れない。蚊連草にとまるヤマトシジミ(2006/09/15) 普通種とは言え、上の写真の様に、良く見てみれば結構綺麗な蝶である(もっとも、雌の表は茶色を帯びた黒っぽい色をしているが・・・)。もう少しするとシオンの類が咲き、花の周りにヤマトシジミが乱舞する。実は、これが楽しみでシオンの類を植えているのである。
2006.09.17
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我が家の庭に何時もいる蝶の1つは、キチョウ。これは食草のハギが2個所にあるからである。1個所は庭の真ん中にあり、ミヤギノハギ(ナツハギ)で枝や葉柄に圧毛を密生する。もう一方は、花が一度も咲いたことがないが、古い葉の表面にも圧毛があり、先端は下垂しないのでニシキハギと思われる。自然に生えてきたのを植木鉢に移し、スレート張りの中庭の奥に置いてある。デュランタ・タカラズカで吸蜜するキチョウ(2006/09/07) 庭が狭いので色々な植物を植木鉢に植えてみたが、いくら水をやっても植木鉢では花がよく着かなかったり、生長が悪かったりする種類が結構ある。メドーセージなどはその典型で、茎の先端の最初の花は咲くが、丁度その頃に暑くなって来て、葉腋から出る枝には全く花が着かない。秋になって涼しくなると、また花を少し着ける。 ハギも根が暑くなるのが苦手らしく、植木鉢に移したニシキハギは花が着かない。そんな花の着かないハギを何故そのままにしているかと言うと、一寸した理由がある。 庭の真ん中にあるナツハギにもキチョウは産卵するが、幼虫は途中で居なくなる。こんな事は食痕を見れば直ぐに分かる。中庭の奥にある「ニシキハギ」にも当然キチョウは産卵し、これはよく育ってチャンと羽化する。何故?? 始めはハギの種類の違いが原因かとも思ったが、ミヤギノハギ(ナツハギ)でも飼育した場合には全く問題なく羽化することから、ハギの種類は関係ない様だ。 ある時「ニシキハギ」の方に余りに沢山幼虫が付いたので、このままではハギが丸坊主になると思い、庭の真ん中にあるミヤギノハギの方に移した。しかし、蛹にならないうちに少しずつ数が減って来て、蛹化したのは1/5位であった(キチョウは殆ど移動せずに蛹化する)。デュランタ・タカラズカで吸蜜するキチョウ(2006/09/07) 庭の方にあるミヤギノハギの辺りでは、アシナガバチがよく「遊弋」しているのを見かける。どうやら、ミヤギノハギに付いた幼虫は殆どがアシナガバチに肉団子にされてしまうらしい。「ニシキハギ」の方はスレート張りの中庭の奥にある。アシナガバチはスレート張りが苦手の様で、滅多にここまでやって来ることはない。それで中庭の「ニシキハギ」の方ではキチョウがよく羽化する、と言うことらしい。 花の着かないハギを棄てずに置いてあるのは、実にこのキチョウの保護の為なのである。
2006.09.16
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我が家の猫の額の様な庭でも、常にウロチョロしている蝶が何種類か居る。いわば我が家の住人(住蝶か?)である。 その一つがヒメジャノメ。どうも今年はやや数が増えたような気がする。ヒメジャノメ(2006/09/10) ジャノメチョウ科の蝶と言えば、昔は他にキマダラヒカゲ(サトキマダラヒカゲ)、ナミヒカゲ、ヒメウラナミジャノメがごく普通に居た。しかし、最近では稀に見る程度。キマダラヒカゲは、落ちた柿の実によく集っていた。ヒメジャノメ.上のとは別個体(2006/09/10) ヒメジャノメの幼虫は食物スペクトルが広く、イネ科、カヤツリグサ科、タケ科に属す多くの植物を食べる。最近我が家の庭で数が増えたのは、ひょっとして、草取りをサボっているせいかもしれない。
2006.09.13
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今日は久しぶりにキアゲハがやってきた。昔は普通種だったが、カラスアゲハと同じく一時は全く姿を見せなくなった蝶の1つである。デュランタ・タカラズカで吸蜜するキアゲハ(2006/09/04) しかし、カラスアゲハもキアゲハも1昨年辺りからまた姿を見せ始めた。カラスアゲハの場合、その理由は良く分からない。しかし、キアゲハの場合は食草の変化によるものらしい。 と言うのは、昔キアゲハの幼虫を探すには2kmほど北にあるニンジン畑に行くしかなかったが、最近は昔は全く食べなかったミツバも食べる様になったからである(昭和57発行の「原色日本蝶類生態図鑑」には食草の1つとしてミツバが挙げられているが・・・)。ミツバならこの辺りの古い家には幾らでも生えている。 我が家の庭の一部にもミツバは畑と言っても良いくらい群生していて、昨年はこれにキアゲハの幼虫が20匹位認められた。ところが、トラ模様の終齢幼虫になった途端、鳥に食べられたのか、或いは、スズメバチ科のハチ(我が家にやってくるのは、コガタスズメバチ、セグロアシナガバチ、フタモンアシナガバチ、コアシナガバチ、稀にモンスズメバチの5種)に肉団子にされたのか、2日間で1匹も居なくなってしまった。飼育してやれば良かったと大いに悔やんだが、後の祭り。 残念ながら、今年はまだキアゲハの幼虫を見ていない。もし、去年のが成虫になっていれば、また産卵に来たかも知れないと思うと、なおさら悔やまれる。 写真は深度は浅いし、焦点は甘いし、蝶の動きでブレてもいるが、何となく明るく躍動感に溢れているので特に掲載することにした。
2006.09.04
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何気なくWeblogを開いてしまったが、忙しくて書く暇がない。しかし、何も書いていないにも拘わらず奇特にも参照される御仁も居られて恐縮千万、何か一筆書かざるを得ない。 我が家は東京は世田谷区の西側、小田急線の沿線にあり、駅から約250m、繁華街から住宅地に入って100mもない所にある。約80年前に祖父が家を建てた頃は、東京府北多摩郡狛江村喜多見字東之原と称する土地であった。 子供の頃、我が家には多少広い庭があった。オナガ、シジュウカラ、キジバト、スズメ、ムクドリ等が巣を作り、昭和30年代後半からはヒヨドリも住み着き、また、茶人であった祖母の意志もあって庭は季節の茶花で溢れていた。今から思うと、中々風情のある庭と言えた。 しかし、その後の相続で土地は半分に減じ、家もその次の相続対策上西洋長屋にしてその一階に住み、庭は正に猫の額の如し、と相成った。 昭和30年代後半では、この辺りで確か57種だか58種の蝶を目撃或いは採集していた。今ではその半分も居ないと思うが、逆に昔は居なかったムラサキシジミ、ツマグロヒョウモン等が庭先でウロチョロしているし、ツマキチョウも以前より多くなった様な気がする。全く風情の無い庭だが、それでも生き物は結構棲み着いている様である。 そこで、"こういう都会でも実はイロイロ居ますよ"、と言うことを知って貰うのも何かの役に立つかも知れぬと思い、拙いWeblogを開くことにしたのである。 尤も、動物だけでは限りがあるので、植物の方も紹介することにする。植物も「生き物」なのだから。 第1回目はツマグロヒョウモン。産卵中のツマグロヒョウモン(2006/08/23) ツマグロヒョウモンが我が家に現れたのは、確か一昨年(2004年)の8月下旬であったと思う。この時はビックリした。まさか自分の庭でツマグロヒョウモンを見るとは夢にも思っていなかった。 調べてみると、気候の温暖化でツマグロヒョウモンやナガサキアゲハその他の蝶の生息地が北上して東京都に迫っているとのこと。我が家にはスミレの類が多く、ヒョウモンにとっては絶好の繁殖地なのであった。しかし、南から東京に飛来したツマグロヒョウモンの繁殖は1回限りで終り、第2化は幼虫越冬することになるが、この南方系のヒョウモンにとって東京の冬は寒すぎて絶滅し、また、次の年の夏の終わりに南の方から移動してくる、と言うのが定説らしい。 それが今年は6月下旬からかなりの数が現れた。今年の東京の5月は異常に寒かったことを考えると、どうやら我が家の庭で越冬したらしい。それがまた卵を産み、今年の8月上旬、20頭位のツマグロヒョウモンが羽化した(と思う)。毎朝、羽化したての鮮やかなツマグロヒョウモンを何頭も見た。全く信じがたい光景であった。 その羽化したヒョウモンがまた庭で産卵していた。今年越冬するまでにスミレが丸ボウズにならなければよいのだが・・・。
2006.08.31
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