星の国から星の街へ(旧 ヴァン・ノアール)

PR

×

プロフィール

星の国から星の街へ(旧 ヴァン・ノアール)

星の国から星の街へ(旧 ヴァン・ノアール)

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2026.03.20
XML
テーマ: 読書(9971)
カテゴリ: 読書 原田マハ


 聡美の母から「無能な人」として「三行半」を突きつけられ離婚した父がある日突然聡美が勤務する美術館を訪ねてきます。そして展示室でマーク・ロスコの絵に見入っている父の姿を目にします。


昨年3月に佐倉での運営を終了。2030年を目途に六本木の「国際文化会館」へ移転予定。

 聡美の父が見ていた絵について「明るいオレンジ色に縁どられて深い臙脂色の柔らかな輪郭の四角形が2つ上下に並んでいる。ただそれだけなのに、ロスコの絵は言い難く美しかった」とあります。そして毎日この絵が見られる娘の幸せを確信してあまり言葉も交わさずに美術館を去ります。寡黙で仕事ではリストラにも遭い日常生活の場面では「無能な人」と母にレッテルを張られた父が現代アートを扱う小さな美術館を就職先に選んだ事になりよりの理解を示してくれた事に想いを馳せます。

 そしてもう一つ父の愛読書が岡倉天心(1863-1913)著の「茶の本」でした。この本の中の一節が紹介されています。「ーーおのれに存する偉大なるものの小を感ずる琴の出来ない人は、他人に存する小なるものの偉大を見逃しがちである。ーー」哲学を超えるような奥深い言葉にまず驚きます。岡倉天心という名前は知っていても果たしてどんな人物?と調べると武士から商人になった人物で思想家と出てきました。今から120年前の1906年にボストン美術館で岡倉天心が「東洋文化紹介の講演」を基に自らが英語で書いた「The Book of Tea」がオリジナルのようです。

 短編のタイトル「無用な人」は「密やかに美しいものを愛でる心を持った人」が時には社会の中では無用な人の分類に入れられてしまうのかと考えさせられます。副題の「Birthday Surprise」は死期を悟った父から聡美が勤務する美術館に郵送された「部屋の鍵」です。この鍵で開ける部屋を訪ねる途中の景色や部屋に残された遺品の「一冊」は・・。亡くなってから気付く父の美しい心など余韻が続く一遍です。

 【追記】3月31日
この日記を書いた後で「無用の人」が原田マハ氏初監督で映画化され、来年1月に公開される事を知りました。現代アートや茶の湯の奥深い話と父娘の思いがどのように描かれるのか今から楽しみです。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2026.03.31 09:46:25
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: