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2021.11.01
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テーマ: 読書(8189)
本のタイトル・作者


スモールワールズ [ 一穂 ミチ ]

本の目次・あらすじ

ネオンテトラ
魔王の帰還
ピクニック
花うた
愛を適量
式日

引用

「今は、こんなにある道のどれかを人に決められて走るしかない。でも、大人になったら、好きなところを好きなふうに走れるよ。きみが望まない人とは交差しないようにだって、できるんだから」


感想

2021年256冊目
★★★★

第165回直木賞候補作。


最後にざらっとする、ぞわぞわする、そういうお話たち。
すべての物語がゆるく繋がっている。

「ネオンテトラ」は、水槽の中の魚たちとの比喩にうわ、となる。
子供のできない夫婦。主人公の私はモデルをしているが、紙面のリニューアルでお役御免になりそうだ。
夫は優しいが、無防備に浮気をしている。
子供がいないことへの「幼い屈辱と無力感」。
そんな中、コンビニのイートインスペースに姪のクラスメイトの男子学生がいることに気付く。
家庭内暴力から逃れるため、いつもそこにいる彼。
夜中のコンビニの、水槽の中のような光。

「魔王の帰還」は、山のような大女を姉にもつ鉄二の話。
広島弁でトラック運転手。奇跡的に結婚した姉が出戻ってきた。なぜ?

義父から暴行を受けそうになって逃げた、クラスメイトの菜々子。
三人は、金魚すくい大会に出ることに。
お姉さんのキャラがすごく魅力的で、ほかの話も読みたくなった。

「ピクニック」は、生後十ヶ月の赤ちゃんの死亡事故をめぐる物語。
虐待の疑いで逮捕されたのは、実の祖母。

真相は、誰もしらない。
ただ、風が語るだけ。
これもうラストが怖くて、「シックス・センス」とか、『姑獲鳥の夏』や『狂骨の夢』を思い出した。
本人が無実であると信じているとき、無知であるとき、無自覚であるとき。
罪は繰り返されるのだ。

「花うた」は、ひとりきりの身内である兄を殺された妹と、その犯人との往復書簡。
『アルジャーノンに花束を』を彷彿とさせるストーリー。
作中作「どろぼうの男の子」がすごく良い。

「愛を適量」は、落ちぶれた教師のもとに、離婚した妻に引き取られた娘が訪ねてくる話。
十五年ぶりに会った娘は、トランスジェンダーで手術を受けたいと話した。

「式日」は、ほかに参列者がいないから、と友人の父の葬式に参列する話。
夜間高校で同じ机を共有した昼と夜の生徒が友人となった二人が、卒業後に再会する。
この先輩が、さっぱりしていて残酷なくらいで、そういうところに後輩は救われたのだろうな、と思う。
(この後輩は「ネオンテトラ」の少年)

一穂ミチさん、はじめて読んだけど結構すきな感じ。
ほかの作品も読んでみたい。




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最終更新日  2023.01.01 17:43:00
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