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2022.10.24
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テーマ: 読書(8289)

本のタイトル・作者



60歳からのほどよい暮らし 毎日を小さく豊かにすごす34の工夫と発見 [ 石黒 智子 ]

本の目次・あらすじ


はじめに
1.60代からの暮らし、歳をとるのも悪くない
2.働くこと、エンディングのこと、節約のこと
3.心と体の健康を保つ
4.日々の暮らしを楽しむひと工夫
5.くよくよ悩まないヒント
おわりに

引用


エッセイの軸は共感と発見です。文章だけでは伝え足りないので写真を撮るのだけれど、要する時間は執筆よりずっと長い。読者によって共感すること、発見することがまったく違うはずです。
読者が価値観の違いをどうとらえるかが狙いで肯定は共感、否定は発見。


感想


2022年274冊目
★★★


日々に追われて、カレンダーは驚くような速さでめくられて行く。
気づけば昨日産まれたような子どもは小学生に。
その分私も年齢を重ねた。

7年で、赤ん坊は大きくなり漢字を習い始め―――では私は?
このまま漫然と日めくりして徒に齢を数えていくのだろうか。

そんな時、諸先輩方の言葉を聞きたくなる。
あなたが「30代でこうしておけばよかったと思うこと」は何ですか。
今、その年になって、何を思いますか。

それは私の羅針盤になる気がしている。
遠くに光る自分の北極星を見つけるための。

石黒智子さん、お名前はよく目にしていたけれど、何をされた方か詳しく存じ上げなかった。

テレビ「やすとものどこいこ?!」でめちゃくちゃ絶賛されてたやつ~。

この本には写真もたくさん載っている。
この方のおうち、好きだなあ。
画になるけど、片づき過ぎていない。
そこにいる人が見える。


好きなものを手を加え、作りだし、慈しむ。
欠けて使えない器を割って、欠片を磨いて箸置きとカトラリーレストに。
カーテンの穴あきには、小花の形にカットしたネームテープで塞ぐ。
手紙の重さに余裕があるときは絵ハガキや1円切手20枚を同封。
気に入らないカードは買い物カードに使う。
古いパソコンのキーボードをマグネットにリメイク。
使い古され錆の出てきたたくさんの缶!瓶と箱もたくさん。

ああ、素敵だなあ。
慈しむ。愛おしむ。
「丁寧な暮らし」というのは、その言葉だけが上滑りするけれど、本当はこういう暮らしだろう。
自分の暮らしと呼べるものがあり、その手触りを楽しむこと。
この本の中で紹介されている絵本作家M・B・ゴフスタインの家の外壁に刻まれた文字。

A small house
A large garden
A few friends
And many books


これを、著者は「どう進むべきかと迷うときに読む」のだそうだ。
確かに、自分の家をどうしたいか(どう生きたいか?)を考えるとき、これはとてもよい指標になるだろう。
小さな家に、大きな庭。
すこしの友達と、たくさんの本。
私もそうありたい。

2001年にホームページを開設されてから、1日1文毎日更新しているというのもすごい。
写真は家と庭だけ。それでも書きたいことは必ずあるのだそうだ。
何かを切り取って写真にしたり書き留めたりしようと思えば、よほどよく目を凝らして日々を送らなければならないだろう。
そして新しい1文を上げるときは、古い記事は削除するそう。(パソコンからも削除!)
その思い切り、すごいなあ。
記録貧乏性なのでなかなか出来ない。

「続ける」というのはそれだけで力を持っていて、私のブログも自己満足の極みではあるけれど、毎日のように(毎日と言い切れないのが私の性格!)更新している。
過去の自分を重ねると、日々流転するのが人なのだなと思う。
けれど変わらない「核」のようなものもあって、繰り返し繰り返し同じことを言って(書いて)いることが、きっと私の根幹を成しているんだろう。

人生は下りのエスカレーターのようなもの、と前に読んだ。
だから上り続けなければ、同じところにはいられない。
むしろ同じ自分でいることは、変わっていないことは、「動いていない(成長していない)」ことなのだ。

私は今、36歳。
これからの40代、50代、60代、70代、80代、90代?
もう既にうんと生きたような気がして、でも先を見ればそれは途方もなく長く思える。
私は幾つまで生きるのだろう。
平均寿命までだとしたら、87歳くらいまで日本の女性は生きる。
だとしたら、今「もう歳だから」と思うのはあまりにも尚早だ。
だってまだ、半分にも到達していない。

Live as if you were to die tomorrow.
Learn as if you were to live forever.

永遠に生きるかのように学び、明日死ぬかのように生きろ。
ガンジーの言葉だというこれは、その昔「ほぼ日手帳」の今日の言葉に載っていた。

それがいつかは分からなくとも、年齢を言い訳にするのはやめよう。
何歳だから、と枷をはめる必要はない―――もう周囲がそれは十分やってくれてる。
私は、著者が自身のブログを書く時の引用部「肯定は共感、否定は発見」という捉え方をすごいと思う。
歳を重ねるごとに、過ちを認めることが難しくなる。
昔取った杵柄で何でもかんでも解決したくなる。天下の宝刀、打ち出の小槌みたいに。
けれど幾つになっても学ぶ姿勢を持ち続けていたら、日常から何かを感じ取り受け取る力を鍛えていれば、「否定は発見」だと思えるのだ。
であれば、反対意見や不同意はむしろ歓迎すべきものだ。

何を目指してゆけばよいのだろう。
私はどうなっていくのだろう。
欝々と、悶々と、日々を過ごす。
飛ぶように過ぎ去る毎日。
1日はどうして24時間しかないのだろう?
恨み言を口にしながらおざなりに今日を扱う

でも時々、こういう本を読んで、ぴしゃりと頬を打たれたような、頭から冷水を被せられたような気になる。
残された時間の砂時計の砂を御覧なさい。
まだたくさん残されているのに、何を言っているのか。
叱咤激励を受け、しゃんと背筋を伸ばす。
すぐに丸まってしまうそれ。

そうして砂時計の残り―――それにすら意味はないのだと。
「彼女たち」は時計をひっくり返す。
砂は何度でも流れる。循環する。
詰まりながら、遅くなりながら、速くなりながら。
それをひっくり返す限り、積み重なるものは止まない。
積み減らして、積み重ねていける。

だとしたら怖がらなくて良い。
老いることも、死ぬことも。

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最終更新日  2022.12.03 23:28:49
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