シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2010年01月12日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 供犠を許された存在について想像してみる。この存在は別の存在の中に生きる。「犠牲」を与えた存在の中に永久に生きる。供犠を許されなかった存在は、自身の存在の中に生きることができる。だから、そのような存在は、他の存在の中で(この場合、高次存在だが)経験できた全てから排除される。

 (高次存在に拒絶された存在は「死」を知る。)

 そのとき、実際、もし、その一面性を取り除く為に、進化の過程に介入しようとするような存在が生じなかったら、その問題の存在たちは、進化の過程から排除され、一面性へと突き落とされ、消えてしまっただろう。

 この進化過程に介入するような「存在」とは、一面性への宣告と追放を阻止するような介入を行う新しい存在たちである。「土星」上における意志存在(トローネ)や、「太陽」上における叡智存在(キュリオテテス)の場合と丁度同じように、「月」上では運動霊(デュナメイス)(1)が現れて来るのが見える。

 1)力天使(デュナメイス、運動霊)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%9B%E5%A4%A9%E4%BD%BF

 「運動」という言葉によって、空間中での運動だけをイメージするのではなく、思考過程に関連した存在にも言及すべきである。

 「思考の運動」という表現は、その人自身の思考の流れや流動性を表し、その表現は誰でも知っているが、この表現だけからでも、もし、運動を包括的に把握するなら、運動は空間中における単なる位置の変化(それは運動の1つの側面に過ぎない)以上のものであるということを理解しなければならないことが分かる。

 もし、ある高次存在に対して、多数の人間たちが自らを捧げるなら、それらの人間たちは(そのとき、その存在は、その人間たちの中にある全てを表現することになるが、それは、その存在が犠牲として差し出された全てを受け入れているからである)、その1つの存在の中に生き、その中で充足する。



 しかし、もし、自らの犠牲が拒絶されたなら、自身の中で生きざるを得ず、決して充足できなくなる。そうなったとき、運動霊がやって来て、自身に頼って生きなければならなかったはずの存在たちを、他の全ての存在との関係へと導いた。運動霊を単なる位置の変化を生じさせる存在として考えるべきではない。位置変化だけでなく、ある存在を、絶えず別の存在との新しい関係に導くような事象を生じさせる存在なのである。

 (聖書の「カイン」で表わされる事象)

 ここでも、魂に対応する雰囲気を考察することで、宇宙進化の、この段階で達成されたものに対する考えを形成できる。「憧れ」が停止させられ、行き詰まったとき、そして、いかなる種類の変化も経験できなくなったとき、それがいかに苦痛に満ちたものであるかを知らない人がいるか?

 (「退屈」という苦痛を知らない者はない。)

 それによって人間は耐え難い状態、退屈と呼べる状態に陥る。通常、退屈を、それが表面的にみえる人々にだけ適応させるが、退屈には様々な段階がある。

 偉大で高貴な本性の中にも、外的(物質)世界の中では満足できないような「憧れ」として、その本性自身の本質が表現するものが生きているが、退屈の中には、そのような「憧れ」の本性に影響を及ぼすようなレベルの退屈もある。

 そして、この「憧れ」を満足させる方法として、変化以上に良いものがあるだろうか?

 それは、この「憧れ」を感じる存在たちが絶えず新しい存在たちとの関係を求め続けていることからも分かる。「憧れ」の耐え難い苦しみは、絶えず変化する新しい存在たちの集団との関係によって、しばしば克服へともたらされる。

 (「憧れ」に埋没しないために、新しい関係をもたらす運動霊が救いに訪れた。)

 こうして、「地球」が「月」紀の相状態を通過する間、運動霊が現れなければ、荒廃状態に陥ったはずの「憧れ」に満たされた存在たち(というのも、退屈とは一種の荒廃であるからだが)の生活の中に、変化、動き、新しい存在たちや状況と、絶えず更新される関係がもたらされるのを見ることになる。

 (人間が恋をするのは、「憧れ」を自らで充足できず、新しい関係を求めるからであろう。人間は、「憧れ」に埋没しないため、「退屈」を紛らわすために、新しい変化を求めるのである。「憧れ」を埋没させると、退屈となって消滅してしまう恐れを感じるからである。)



 (特に女性が話したがりなのは、退屈を避けるためであろう。)

 こうして、多様性、変化、そして、経験の中での運動を通して、「憧れ」の中にある一面性を克服する。外(物質)的な空間中に存在する運動は、変化に対する、ある特殊能力に過ぎない。

 (魂のなかの運動が本質であるという。他者からみれば、エゴイズムのように映る運動である。恋を例にとるとわかりやすい。恋が、ある面で我儘なのは、自由という概念とともに、悪が生み出され、憧れが生じたためである。)

 では、太陽に面している惑星について考えてみる。もし、その惑星が、太陽との関係で、いつも同じ位置にあるなら、もし、その惑星が静止したままだとしたら、一面性の中に固定されてしまうだろう。その惑星は常に同じ面を太陽に向けることになる。

 しかし、運動霊がやって来て、その惑星が太陽の周りを回転するように導き、その位置に変化をもたらす。位置の変化は、変化の一種に過ぎない。そして、運動霊が、宇宙における位置の変化を生じさせるとき、運動という一般的現象の中の特殊な例を生じさせている。



 2)能天使(エクシスアイ、形態霊)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%BD%E5%A4%A9%E4%BD%BF
 「聖書のエロヒムは、つまり神々はこのヒエラルキーに属したという。人類に火、つまり自我をもたらした霊なので、人格霊ともいわれ、仏典では阿修羅ともいわれる。善神と悪神がいて、ゾロアスターは、善神がアフラマズダ(巨大なオーラという意味)で、悪神がアーリマンと呼んで区別した。人間が堕落しすぎると、アーリマンに憑依され、アスラという人格分裂の獣になると預言されている。その獣が「666」の太陽悪魔「ソラト」とヨハネの黙示録には表現されている。「ソラト」という名は666を古代の数字と文字の換算から出るという。」

 この多様性は、いま「憧れ」へと変容した「意志」と共に魂のなかに流れ、そして、これらの存在の中で、人間が「像」として知る存在になるが、まだ思考としては知られていない段階であった。これらの「像」は、人間が夢を見るときに持つイメージによって、いまも視覚化できる。

 流動的で、過ぎ去るような夢の像は、その中に「憧れ」としての意志が生きている存在や、運動霊により、他の存在との関連へともたらされる存在や、そのような存在の中で生じるイメージを呼び起こすことができる。ある存在が別の存在の前に立たされるとき、前者が後者に完全に帰依することは不可能だが、それは、その存在の中にそれ自身の自我が生きているからである。

 しかし、その問題の存在は、別の存在の過ぎ去る像(夢の像のように生きている像)を受け取ることはできる。こうして、イメージの潮流とでも呼べる存在が魂の中に生じる。言い換えれば、この進化期の間に、像の意識(形象意識)が存在するようになった。

 そして、そのときの人間は、現在の地上的な自我意識なしに、この進化期を通過したことから、自身を、今日、自我を通して地上で達成する行為を欠いていた存在として想像する必要がある。当時の人間は、統合的な宇宙の中に存在し織り込まれていたが、一方で、現代人の「憧れ」の経験に比較できるような存在が、当時の人間の中に生きていた。

 ある意味で、苦悩とは(地球上に現れる苦悩の条件を度外視すれば)詩人が述べているように「憧れを知る者だけが、苦悩を知りえる」というようなものに他ならない、と想像できる。

 魂の表現としての苦悩や痛みが人間の本性の中に、そして、人間の進化に結びついた他の存在たちの本性の中に入り込んで来たのは、「月」紀の進化期だった。

 それ以降、運動霊が現れなければ、空虚であったであろう内的な自我が(憧れに苛まれる内的な自我)、治癒的な慰めに満たされることになったが、それは運動霊の活動を通して、憧れに苛まれる本性たちの中に注ぎ込まれた像の意識の形でなされた。

 もし、このような事実が生じなかったら、これらの「月」存在たちは(「月」の本性たち)、その魂の中に 「憧れ」以外の何も存在しない空虚な存在となっただろう。けれども、像という慰めが、その孤独と空虚の中に滴り落ち、多様性で満たし、空虚な存在たちを、追放と非難から解放した。

 (力天使が、カインを救ったと表現される。)

 そのような事実を真剣に受け止めるとき、地球が「月」紀の相状態にあったときに進化した存在の根底に精神的存在として横たわる存在と、意識の奥深くに、「地球」の相状態の下に層を成して横たわる存在との両方を把握できる。

 しかし、その存在は、あまりにも魂の奥深くに横たわるために(この事については、後の公開講演(GA61)で、分かりやすく示す)、海底に押し寄せる水流が海面に波を生じさせるのと同じように、気づかれることなく活動を始め、そして、意識の中へと現れてくる。





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Last updated  2010年01月14日 16時57分29秒
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