遊心六中記

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2016.12.18
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カテゴリ: 観照

京都国立博物館で、特別陳列の企画展示がスタートしました。
私の第1目的は、 生誕300年「伊藤若冲」 の展示作品を鑑賞することです。ところが併せて特別陳列の「皇室の御寺 泉涌寺」と新春特別陳列「とりづくし -干支を愛でる-」が開催されていて、楽しみが倍増しました。この年末から年始にかけては、平成知新館の1階と2階が特別企画を主体にまとめられています。勿論、平常のテーマ別展示も一部行われています。

メインの3企画の開催期間は次のとおりです。
  特別陳列 生誕300年伊藤若冲        2016.12.13(火)~2017.1.15(日)
  新春特別陳列 とりづくし-干支を愛でる-   2016.12.13(火)~2017.1.15(日)
    特別陳列 皇室の御寺 泉涌寺         2016.12.13(火)~2017.2. 5(日)

平成知新館の2階の第3・4・5室の3室を使い「伊藤若冲」の作品が28点展示されています。展示数はそれほど多くはありませんが、若冲40歳台の頃から晩年までの作品が選ばれていますので、若冲の絵の描き方という点では、その変遷がよくわかり若冲回顧という観点で有意義かつ楽しめる企画になっています。


図録 が作られていました。勿論、購入しました。

図録表紙
2000年に若冲没後200年として、特別展覧会がここ京都国立博物館で開催されました。こちらがその表紙ですが、この時の図録は400ページ余の分厚い図録です。確認してみると、この図録に収録されている展示作品もわかりました。

ある意味で、今回の特別展示は2000年に開催された特別展覧会のフォローアップという感じでもありました。今回は大半が水墨画の作品です。墨の濃淡だけでここまで描き分けることができるものか・・・と、色彩への目移りがなくて、対比的に味わうことができます。若冲の年齢とともに、エネルギッシュで鋭いが未だ荒っぽさがある作品から、精緻で緻密な描法の作品を経て、晩年の飄逸ささえ漂う作品までの変遷がおもしろくて、味わえる小展覧会というところです。
2000年の展覧会以来久しぶりに鑑賞できた作品もあれば、画像では知っていても初めて原作を鑑賞する作品、全く初めて接する作品もあり、それなりに満足できた次第です。

今回初めて見る作品が数点あります。
「六歌仙図押絵貼屏風」  六曲一双  本邦初公開の屏風で、近年見出された作品。
  六、七十歳代の作品と推定されているようです。さらりと描いた感じの作品。
  在原業平・大友黒主・僧正遍昭の目の描法がそれぞれの表情をうまく表出していて
  ユーモラスさすら感じます。
「四季花鳥図押絵貼屏風」  六曲一双 2009年に存在が知られるようになった作品。

  若冲の細密な鶏の絵を見ていることからすると稚拙さがある鶏も描かれています。
  一方、筆致はエネルギッシュさに満ち、濃い墨でどんどん描いたという感じです。
「維摩図」  一幅 40歳後半の制作と推定されているもの。
  目の描写が印象的。微笑んでいる印象の目がポイント! ラフに顔の輪郭を描く。
  それだけなのですが、じっと見ていると顔全体に立体感が膨らんでいく不思議さ。
「蝦蟇河豚相撲図」
「河豚図」 と併せて、私は初めて見る作品。突飛な発想が愉快。何かの諷刺かも。
「拾得および鶏図」  三幅対。40代後半頃の制作と推定されているもの。
  「四季花鳥図押絵貼屏風」と対比すると、格段に描写能力が進化しています。
  墨の濃淡の使い分けが巧みであり、鶏のリアル感がよく出ているように思う作品。

今回の図録の表紙もまた、公開されるのは今回初めてというもので、 「大根に鶏図」 です。絹本着色、一幅。今回の展示の中では数少ない着色のある作品。
着色のある作品は、他に2点だけ。それらは2000年の展覧会でも展示されていました。赤と山吹色の鶏頭花がまず目に飛び込んで来て、その上に対峙するかのように蟷螂が立ち上がっている 「鶏頭蟷螂図」 と、何匹いるか数えてみようと投げかけられている 「百犬図」 です。

「百犬図」、「石灯籠図屏風」、「石峰寺図」などは12月4日までで終了した「若冲の京都 KYOTOの若冲」展(京都市美術館)の後半で展示されていた作品ですが、今回も展示されています。しかし、私はこの時会期の前半に出かけていましたので、「百犬図」、「石灯籠図屏風」はこの特別展示で久しぶりに見る作品でした。先日、石峰寺を訪れましたので、「石峰寺図」の原作鑑賞も楽しみにしていました。

「百犬図」 はやはり群がり戯れる仔犬が可愛い!

「石燈籠図屏風」 は墨の濃淡と点描法で描かれた石灯籠の立体感を久しぶりに原画で楽しめました。この作品は1789~94年頃の制作と想定されているそうです。墨の濃淡だけでの描写なのですが、今回この屏風を見ていて、ふと1880年代にヨーロッパにおいてスーラに代表される新印象主義の画家たちが始めた点描画を連想しました。何と百年近く前に、若冲が墨の濃淡だけで点描画を併用していたのです。浮世絵が西洋の画家に与えたインパクトを考えると、この若冲の「石灯籠図屏風」が伝播していたら・・・・どうだったでしょう?そんなことを思い浮かべました。

「石峰寺図」 を間近に見ると、71.6×101.8というサイズの大きな絹本墨画淡彩の一幅です。その図は実際の石峰寺やその裏山の景色とは全く異なった構図です。説明によると、中国の西湖図の景観イメージを、自らが五百羅漢を石峰寺に奉納しその裏山に配置した状況と重ねて、見立てたものだろうということです。なるほどな・・・若冲が想像空間を重ねて、楽しみながら描いたのかもしれません。


こちらは2階の別の展示室で 新春特別展示「とりづくし」 の会場で入手した 「展示を楽しむための鑑賞ガイド」 のA3二つ折りの表と裏です。開けると「おめでたい鳥を見てみよう」というタイトルでの写真入り説明がなされています。子供と大人の両方にとって良い学習材料です。来年が酉年なので、「とりづくし」として美術品の中の様々な鳥たちが集められていて楽しい企画です。絵巻、屏風、掛幅、衣裳などに描かれた「とりづくし」です。若冲似せの鶏図屏風もありおもしろい。

特別陳列「皇室の御寺 泉涌寺」 では、1階の第2・3・5室の3室を使って前半期として30点が展示されています。国宝1点、重要文化財6点が含まれています。泉涌寺を訪ねても普段なら間近に見られない仏像や律師像(掛幅)、舎利塔や各種密教法具などが展示されていて興味深いところです。
2017.1.11から会期後半となり、天皇像・律師像(掛幅)の展示品替えがある一方、快慶作「三宝大荒神坐像」と有名な「観音菩薩坐像(楊貴妃観音)」が展示に加わる予定です。この後半期、一度は再訪しなければ・・・と思う次第です。

1階の名品ギャラリーも見応えがありました。彫刻、染織、漆工の分野でのテーマ展になっています。ご参考にテーマと会期をご紹介しますと・・・・。

  彫刻 神像と獅子・狛犬     2016.12.13~2017.2.19
  染織 染めと織りの色 金と銀  2016.12.13~2017.1.29
  漆工 大航海時代の日本の蒔絵  2016.12.13~2017.1.22

特に、蒔絵や螺鈿細工の施された洋櫃・書箪笥などの展示は見応えを感じます。IHS紋蒔絵螺鈿聖餅箱、花鳥蒔絵螺鈿聖龕など興味深い作品も展示されています。
詳しくは、京都国立博物館のホームページをご覧ください。

博物館の冬枯れの構内風景をいくつか撮ってみました。

明治古都館



平成知新館の東に続く管理棟。冬枯れの芝生の先に常緑樹がコントラストになっています。






上掲写真は、この「考える人」の背後、東側あたりから眺めた「西の庭」に聳える樹木。
冬のこの高い木の枝振りの姿が好きです。





噴水のあるエリア ロダンの考える人は毎回写真に撮りたくなります。




博物館の冬の構内景色も一興です。





ご一読ありがとうございます。

補遺
京都国立博物館  ホームページ
御寺 泉涌寺  公式サイト
新印象主義   :「コトバンク」
『グランド・ジャット島の日曜日の午後』  :ウィキペディア
西湖(杭州市)  :ウィキペディア
杭州西湖の絶景写真画像   :「Dlift ドリフト」
西湖   :「ALA!中国」
西湖図  :「文化遺産オンライン」
西湖図屏風  :「徴古館」

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!


その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)


観照 若冲徒然 -1 「若冲の京都 KYOTOの若冲」展と過去の若冲展 へ
観照 若冲徒然 -2 「生誕300年記念 伊藤若冲展」と相国寺承天閣美術館 へ
観照 若冲徒然 -3 [番外編] 相国寺承天閣美術館へのアプローチ・前庭 へ
探訪&観照 若冲徒然 -4 石峰寺 晩年の若冲と五百羅漢石像ほか その1 へ
探訪&観照 若冲徒然 -5 [番外編] 石峰寺 本堂ほか その2 へ
観照 若冲徒然 -7 「はじまりは、伊藤若冲」(細見美術館)へ
探訪&観照 若冲徒然 -8 伊藤若冲生家跡(錦小路通・錦市場)・若冲の墓・宝蔵寺 へ
探訪&観照 若冲徒然 -9 錦市場の若冲絵づくし・錦天満宮ほか へ






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Last updated  2018.09.10 01:01:19
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