遊心六中記

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茲愉有人

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2018.03.16
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カテゴリ: 観照

風俗博物館に行く時に、堀川通の東側歩道から、西本願寺阿弥陀堂門を眺めました。
以前、西本願寺細見として境内全体の建物群などを眺めてまとめています。そこで、ちょっと的を絞って、久しぶりにこの門を眺めてみることにしました。 「阿弥陀堂門」そのものを、改めて細見してみたくなったのです。

風俗博物館の前期展示を鑑賞した後、堀川通を横断し、阿弥陀堂門に行きました。
門は境内に入るための通過点として、通り抜けるだけ、せいぜい門全体の景色を記念に撮っておしまいというパターンが大半のような気がします。
しかし、立ち止まって眺めてみると、そこには様々な匠たちの仕事の成果が統合されています。

長年磨かれ培われてきた様々な分野の職人技が集積されて一つの門を作り上げています。この画像だけですと、切妻造の屋根に見えますが冒頭の全景に見るとおり、屋根の前後中央に唐破風が組み込まれています。

一瞥してさらりと通り過ぎるだけではもったいない! ということで、細部を眺めていきましょう。
かなり詳しく説明している竹村俊則著『昭和京都名所圖會』でも、この門は挿絵に描くだけにとどまります。西本願寺のホームページを見ますと、現在は 「重文」に指定
1760年に建立された阿弥陀堂が昭和期に修復された機縁で、 1893(昭和58)年 に檜皮 (ひわだ) の一部葺替、飾金具の修正、金箔押などの補修が行われたそうです。それにより冒頭の全景のように美しい姿が再現され、 2009(平成21)年 にも修復工事が行われています。


屋根の切り妻部分の合掌部には、 三つ花懸魚 が見えます。その側面が飾金具で覆われ、その表面には文様が描かれています。


屋根を支える斗栱は二手先の木組みになっているようです。門は 四脚門 の形式です。
本柱は円柱で、前後の控柱は角柱 木鼻の意匠はごくシンプル です。

本柱と控柱の間の欄間は大きな菊花が透かし彫りで装飾されています。




                    こちらは、南側の欄間です。




控柱の下側の貫の先端部は飾り金具で覆われています。装飾を兼ねた風雨対策なのでしょうか。



近付いて観察しますと、この部分拡大画像に見るとおり、金具の表面には美しい菊花文線刻のレリーフが見られます。
正面の四角い部分には、西本願寺の「家紋=寺紋」である 「九条下り藤」 がレリーフにされています。


控柱の下部に目を転じてみます。礎石の上に乗る柱の下部は金具で覆われています。これもまた、装飾の機能とともに、風雨対策の役割を担っているのでしょう。
そして、もう一つの着目はここに表現されたレリーフです。

南側の控柱のこの飾り金具の四面を撮ってみました。




四面の龍の姿態は少しずつ変化しています。


上掲の北側の控柱の龍像にさらに近づいて撮ってみました。


本柱の方は、また違った形です。


向かって左(南)の本柱の龍像


                             右(北)の柱の龍像の一つ


左右に突き出た本柱の頭貫の先端部もまた、飾り金具で覆われています。
ここの線刻も菊花文様です。

門扉は桟唐戸の形式です。
桟(横木)が細かく入り、入子板が小さくなっています。そして、框と桟には飾り金具がほぼ全体に取り付けられていて、頑丈そうな門扉となっています。


上部には、ここも大きな菊花が彫刻されています。


門扉の飾り金具にも菊花文様が線刻されています。

熟達した匠の技がさりげなく金具の表面を飾り、豊かな表情を生み出しています。

 こちらは南側の門扉 



                      境内から眺めた阿弥陀堂門の全景
細部を眺めて行きましょう。

                      唐破風には獅子口が乗っています。





破風の要所要所の飾り金具には、寺紋がレリーフされていて、兎毛通は菊花文の透かし彫り彫刻です。




屋根の先端部を見ると、檜皮葺の修復されている状況が少しわかります。
破風と垂木の先端は飾り金具でカバーされていて、各垂木の金具の正面には寺紋がレリーフされています。



少し立ち位置を移動して、全景を撮りました。

少し踏み込んで細見しましたが、まだまだ見落としがあると思います。表には名前の出て来ない匠たちの技量がこの阿弥陀堂門に結実しています。さらに、その匠の技が連綿と継承されてきた伝統が修復事業の折に発揮されているのでしょう。

この後は、折々に立ち止まり関心を持った対象物について、単体として細見した結果をご紹介して行きたいと思います。この日はもう一つ、境内の青銅製灯籠に改めて関心を持ち、眺めてから帰りました。

ご一読ありがとうございます。

参照資料
西本願寺 ​ ホームページ
本願寺 ​  :「戦国大名探究」
『図説 歴史散歩事典』 監修・井上光貞 山川出版社
『日本古建築細部語彙 社寺篇』 綜芸舍編集部編  綜芸舍

こちらもご覧いただけるとうれしいです。
スポット探訪 [再録] 京都・下京 西本願寺細見 -1 御影堂門、総門、灯籠と大水盤
    7回のシリーズで、探訪可能な範囲の大凡を細見しています。





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Last updated  2018.03.16 10:45:02
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Re:観照 諸物細見 -1 西本願寺阿弥陀堂門(03/16)  
Jobim さん
私も門徒の一人なので、西本願寺には何度かお参りしていますが、阿弥陀堂門がこんなに立派で、精巧に装飾されているのに気づきませんでした
もったいないことですね

南にある唐門は、有名ですし国宝なので、行く旅に眺めていますが、こちらは素通りでした

それこそ隅から隅まで、「表には名前の出て来ない匠たちの技量」が施されているんですね

この次西本願寺にお参りするときには、茲愉有人さんのこのブログを片手に阿弥陀堂門を見学したいと思います (2018.03.20 13:35:22)

Re:観照 諸物細見 -1 西本願寺阿弥陀堂門(03/16)  
Jobim さん

唐門は、日暮門と別称されるくらいに見飽きることのない門ですね。幾度か写真を撮りに出かけています。

阿弥陀堂門も見応えがある門です。透かし彫りの意匠が少しずつ違うというのに興味を抱いています。移りゆく姿を刻み込み、常ならずということを示しているということでしょうか・・・・・。飾り金具は網羅的に見るというところまでには至っていませんので、もう一度は少なくとも眺めに行きたいと思っています。

行かれたら、ゆっくりとご覧ください。

南隣の興正寺の阿弥陀堂門も別にご紹介していますが、つい最近初めてじっくり観察しました。今までその前を通りすぎるだけでしたので、そば近くで拝見して驚嘆しました。こちらの門もまた一見の価値があると思います。 (2018.03.20 21:47:51)

Re:観照 諸物細見 -1 西本願寺阿弥陀堂門(03/16)  
Jobim さん
西本願寺の南に興正寺というお寺があるんですか
知りませんでした

詳しくご紹介いただいているブログを参考にさせていただき
次回は西本願寺の阿弥陀堂門と合わせて鑑賞させていただきます

ありがとうございました
(2018.03.20 22:40:00)

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