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2019.02.08
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カテゴリ: 観照
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「室町小路広場」の北端 には、この 円筒形と三角柱形の並ぶモニュメント があります。
京都駅ビルの北面、正面側で、前回ガイドマップに青色の丸を付けたところです。

北側から見ると、こんな感じです。おもちゃばこには積み木の一部としてありそうなフォルムです。
西側は「ジェイアール京都伊勢丹」のフロアーとその西側が駐車場。

                壁面の4F部分には多面体のガラス張り突出部の空間が作られています。
                この出っ張り、遊び心でしょうか。

「京都タワー」 があります。


広場北端から下を眺めると、西側には定期観光バスの案内所とターミナル、東側には市バスや京都バスのバスターミナルの屋根が見えます。ロウソクのような京都タワーもすっかり馴染んでしまいました。

脇道に逸れます。この 京都タワー、1964年に竣工 しました。東海道新幹線が開通し、オリンピック東京大会が開催された年です。12月25日にタワービルが全館竣工。同月28日にタワー展望台が開業しました。京都タワーの工期は1年10ヶ月。 建築家・山田守(1894-1966)の作品 だそうです。
高さは地上131m、展望室は4,5階で、その中間が地上100mに あたるそうです。
2014年12月に50周年を迎えています 。2020年の東京オリンピックの年は、56年目になります。半世紀余を経て、オリンピックが巡ってくるということですね。

元に戻ります。

                               この案内図を再掲します。

         この室町小路広場の北東角にこの 記念碑 が設置されています。
京都駅ビルは、「JR京都駅改築設計競技」というコンペ形式でビルの設計が実施されました。その結果、 設計者は原廣司氏 に決定されたのです。 ここにその設計コンセプトが記されています


平安京の都市形態が、今日にも鮮やかにその姿を刻み込んでいるように、歴史はひとつに地理学的である。ここでの提案では、それ故、「地理学的コンコース」なる概念の具象化を門の表現の第一に据えた。多くの人々が、この幅員27m、高さ60mのしかし、長さにして470mのコンコースを通過していくだろう。このコンコースは、日本の伝統的美学である「境界があると同時にない」ことを表すガラスのシェルターで覆われるはずである。駅は、人びとが「空」を見いだす場面を持つ。門の形象化は、京都の空の設計でもある。
「マトリクス」は、門を支える壇であり、空中の地層である。この上に、駅、複合商業、コンベンションホテル、文化、駐車場の5つの施設とさらに細分された諸要素が、相互に関連づけられつつ、同時存在する。ルネサンスに、万物の母胎マトリクスが構想され、それは新しい世界地図となり、やがては鉄道が走った。駅舎は、人びとが離合集散の舞台として、機械の時代の建築を代表した。この提案は「マトリクス」を京都の都市の母胎の切片として位置づけ、駅舎建築の伝統を現代的に解釈して継承しつつ、さまざまな出会いの経路を誘起する。
北面のファサードは、いわば門の表層であるが、広場からみれば暗い陰の面になりがちである。提案では、明るく輝く立面を実現するべく、ほとんどガラス面として、建築はかつ消えかつ浮かんで、輸送された北の空と重なり、人びとは二度と同じ形象を見ることはない。”

私にはこのコンセプト・メッセージの抽象度が高くて充分には理解できないのが残念!
まあ、このビルを眺め、それぞれが体感すればよいのでしょう。

平安京での条坊制という通りの骨格はほぼそのまま現在の京都に継承され、歴史が重層化されて、京都の市域が発展拡張しています。平安京には南に羅城門がありました。京都駅ビルの全体が、羅城門をアナロジーとした現代京都の一つの門に位置付けられるのかもしれません。
羅城門は朱雀大路に入る門でした。しかし、羅城門は形式としての門にしか過ぎなかったと聞いたか読んだ記憶があります。その門の左右から延びて条坊制の街を土塀で囲むようなことはしていなかったと・・・・。豊臣秀吉が御土居を築くことで京都を初めて洛中と洛外に截然と仕切ってしまったにすぎません。その前の時代には、下京と上京はそれぞれが惣構 (そうがまえ) として囲われていたと言うことを聞いた記憶があります。
秀吉が急造した御土居も、秀吉没後は時代の変遷と都市の拡張とともに消滅し、今は一部の御土居跡の遺構を残すにとどまります。
京都の門は境界を示すだけのものがあれば良かった。開かれた門だったのでしょう。
そういう意味では、京都駅ビル自体が京都の北部域に対する単独の大きな門、開かれた風通しのよい門に見えます。

京都駅の中央改札口は北に開かれた空間でまさにコンコースです。
英語のコンコースの意味を辞書で引くと、第1義に「集合、合流、群集」、第2義に「(公園などの)中央広場、(駅・空港の)中央ホール」を意味するとあります。「競馬場、競技場」という意味も記されています。 (『リーダーズ英和辞典』研究社)

中央改札口が門の中央空間ですが、このビルにはさらに3つの門があります。

その一つがこの室町小路広場です。ここが「室町通/室町小路」に対応しています。

                  南北に開かれた空間になっています。

先に、南側から眺めましょう。 室町小路広場はまさに開かれた門の一つ です。
これは後ほど切り撮る「南遊歩道」の位置から眺めた景色です。
ここを見ると門のイメージがピンときます。

前回切り撮った「大階段」を下りてきたこの4Fの広場にこのオブジェが置かれています。

清水久兵衛作「朱甲舞」 で、平安建都1200年記念として制作・設置されたそうです。
  (2019.2.9 追加)


広場から西側の大階段の上空を眺めると、そこには 空が見えるとともに 、鉄骨で組まれた ガラスのシェルター が見え、 空中通路 が横切っています。


室町小路広場から中央改札口のある東側を眺めましょう。
鉄骨がアーチ状に構築されて、” 「境界があると同時にない」ことを表すガラスのシェルター ”が天空の光を通過させています。東西方向はそのまま空に連接していくオープンな空間です。このシェルターの対極には 「烏丸小路広場」 が見えます。


室町小路広場から、その4Fつづきに 「南広場」へ 。「南広場」はJR中央口の上階部分になります。


南広場は中央部に一列の半円球ドームだけが並ぶ奇妙な空間です。



JR中央口の正面の上部は鉄骨が格子状に組まれたガラス面が光を通過させるとともに、刻々と変化する外部空間を眺めることができます。ガラス障子越しに見る外景色の風情と言えるかもしれません。


この部分を「切り撮る」と京都タワーが檻の中に入っている、あるいは、檻の中から京都タワーを眺めているとも連想できそう・・・・・。



下を眺めて景色を切り撮れば、 JR中央口の北方向は開放された空間 です。
形だけの門(?)の上部には∞(無限大)を連想しそうなお飾りが置かれています。
この出入口、一日にどれくらいの人々が往来するのでしょう?


西側の烏丸小路広場に抜けるまえに、柱の壁面に掲示されている案内図がこれです。
南広場(4F)から1階下がった南側には、「南遊歩道」が一直線に延びています。

では、烏丸小路広場に進みましょう。
つづく

参照資料
京都タワー ​ ホームページ
    ​ 京都タワーについて

京都駅ビル ​ ホームページ 
    ​ ガイドマップ ​ 

補遺
羅城門 ​  :「コトバンク」
羅城門 ​  :ウィキペディア
羅城門跡 ​ :「京都観光Navi」
清水九兵衛 ​ :ウィキペディア
モニュメント ​ :「三栄金属工業所」
  アルミニウム芸術家・清水九兵衛氏の作品が見られるページ
山田守 ​ :ウィキペディア
没後50年で自邸公開! 建築家、山田守とは誰か。 ​ :「Casa BURUTUS」
原広司 ​  :「コトバンク」
【有名建築家紹介】原広司 ​  :「建築デザインどっとこむ」
〈建築理論研究 02〉──原広司『空間〈機能から様相へ〉』 ​ :「10+1website」
【建築】 原広司の建築作品 代表作 NAVERまとめ

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観照 諸物細見 -5 京都駅ビルはおもしろい:切り撮る(1)ガラス面に映じた景色・大階段
観照 諸物細見 -5 京都駅ビルはおもしろい:切り撮る(3)烏丸小路広場とガラスのシェルター へ
観照 諸物細見 -5 京都駅ビルはおもしろい:切り撮る(4)南遊歩道と京都駅ビル南面外観 へ
観照 諸物細見 -5 京都駅ビルはおもしろい:切り撮る(5)大階段から大空広場、そして空中径路 へ
観照 諸物細見 -5 京都駅ビルはおもしろい:切り撮る(6)東広場・中央コンコース へ
観照 諸物細見 -5 京都駅ビルはおもしろい:切り撮る(7)ビル正面の外観と周辺 へ

こちらもご覧いただけるとうれしいです。
観照 諸物細見 一覧表

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Last updated  2019.02.13 13:21:48 コメントを書く


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