全9件 (9件中 1-9件目)
1
先日読んだ『看護のための精神医学』は教科書でしたが、 こちらは教科書とは言い難いもの。 しかし、「援助者必携」のネーミングに偽りはなし。 まさに、援助者必読の「軽くて、深い、アドバイス集」です。 *** 一般論として、余裕を失うと個別性重視モードでしか思考が働かなくなってしまう。 すると相手のペースに引きずり回されたまま、 自分は強気に出るべきか平身低頭したほうが得策なのかとか、 こんなことを言ったら裏目に出るのだろうかとか、 とにかく目先のことしか考えられなくなってしまう。(p.015)ここから脱却するには、相手をパターンにあてはめてとらえてみること。そして、精神の逸脱の仕方は、そんなにたくさんはなく、著者が臨床現場でカルテに記す病名は、次の7種類程度だと言います。 (1)統合失調症 (2)(躁)うつ病 (3)神経症圏 (4)パーソナリティ障害 (5)外因性ないしは器質性精神病(認知症も含む) それに加えて、 (6)発達障害圏(器質性と捉えてもよいが、先天性であるところが重要) (7)依存症(これは神経症圏やパーソナリティ障害と重なるところが多いが、 治療からは別立てとしたほうが現実的)(p.020)また、病名以外のパターンを用いてケースを把握する方法論もあり、本著は、援助者のためのそういったパターンを考察し、論ずる一冊となっています。 優秀な営業マンやサービス業従事者を観察していますと、 こちらが無理難題を相談したときの対応法が見えてきます。 彼らは、「無理です」なんて却下しません。 その代わり、できるとも言わない。 とにかくこちらの希望にきちんと耳を傾け、 ストレートにそれを解決するのが難しそうだったら、 まずは「一緒に困ってみる」といった振る舞いをするようです。(p.100)精神科で働く看護師、保健師、ホームヘルパー、ケアマネージャーだけでなく、どんな職種のどんな職場で働く人たちにとっても有益なアドバイス。そう、本著に記されている内容は、色んな人たちに読んでもらいたいものばかり。BPDの人たちの「見捨てられ不安」を増強させないための対策も、その一つ。 ①相手に期待され過ぎないようにする ②「枠を設ける」「限界設定」 ③事実と感情との区別を、折に触れてきちんと説明する ④こちらから積極的にアプローチを図って安心感へつなげる ⑤援助者側の心の安定(こちらが不安だと、相手の不安をかき立てやすい) a 相手をパターンで把握する b ケース検討会によって対応法を吟味し、また責任の分散を図る(p.198)そして次の一文には、大いに励まされる人たちも多いのではないでしょうか。 パズルであったら「どうにもならない」ものはどうにもなりません。 今現在であろうと将来であろうと解決策はない。 だが病んだ人や病んだ家族関係、病んだ行為や病んだ生き方は流動的であり 決して固定したものではありません。 刻一刻と人は老いていき、考え方感じ方に変化が訪れる可能性もつねに潜在し、 おまけにいつ予期せぬエピソードや突発的な事態が生じるかもしれない。 いずれにせよ数十年のうちに被援助者やその家族の誰かは必ず死ぬのですから、 未来永劫このままなんてことはあり得ない。(p.294)
2021.02.28
コメント(0)
三重県志摩市東部の的矢湾に浮かぶ渡鹿野島(わたかのじま)。 著者は、売春島”と呼ばれるこの島に出向き、住民から話を聞くと共に、 法務局で不動産登記簿を調べ、国会図書館で住宅地図を閲覧することで、 次のような事実を知ることになります。 まず、パブやスナックを装った置屋ができたのは1970年代のこと。 それまでは、宿泊施設はあったものの、寂れた離島だったということだ。 1980年代に入ると、パチンコ屋が出現するなど 飲み屋とギャンブル場が混在する繁華街の様相になる。 以降、1990年代にかけて置屋が乱立し、文字通り”売春島”の様相に。 ホテルなど商業施設もスクラップ&ビルドを繰り返していた。(中略) そして2000年代に突入すると、パーセルビーチが整備されるなど、 売春島”からの脱却が進められ、それに反比例するかのごとく、 現在に近づくにつれホテルや置屋が廃業していくのである。(p.66)さらに、過去の報道資料や関連書籍に当たるうち、帆船で物資を運搬していた時代には、この島が”風待ち港”として、それらの帆船を、物資調達や船員の休息のために受け入れていたことや、次の事実を知るのです。 走りがね(ハシリカネ)とは、江戸時代より明治30年代頃に鳥羽の名物であった、 船人相手の女郎のことである。(中略) 明治以降はハシリカネが禁じられたほか、汽船も登場し、 風待ちの必要がなくなると、船の出入りが徐々に減り、 ハシリカネも姿を消していく。 昭和10年代にはその姿を見なくなったという。 だが、それは遊郭へと形を変え以降も終戦後の1957年、 売春防止法の制定まで女郎の文化は続いた。(p.67)以降、著者はこの島の変遷をより明らかにすべく、次々に関係者を訪ね歩くことに。そして、かつて島の顔役として君臨した大型ホテル『つたや』の原所有者にも会います。その内装工事は中断されたままで、その理由は、次のようなものでした。 今、三重県や志摩市役所から私の資産を差し押さえる旨の督促状がきています。 内容は、競売での取得額が500万ほどのところ、 実際の『つたや』の不動産評価額が1億4000万ほどある。 すると、国に払う名義変更をするための登録免許税が300万ほど、 県に払う不動産取得税に至っては450万ほど。 そうして国が取って、県が取って、 今度は市に払う固定資産税が毎年280万ほどかかってしまうのです。 裁判所の競売で取得した物件は、不動産鑑定士が現場を確認し、 現状の評価額を鑑定して最低売却価格が決まります。 そうしてプロがつけた評価額が、当初は1000万ほどだったところ、 買い手がつかず500万まで下がり、私が購入しました。 そういう経緯があるので、今、不動産取得税は県に対して、 固定資産税は市に対して、物件の評価額が高すぎるという 『審査請求』の異議申し立てを始めたところです。(p.258)地方都市のリゾート地の別荘やホテル、寂れた駅前に立つビジネスホテルは、競売でタダ同然に売り出されていますが、なかなか再生されないのはこのような評価額のバカ高さからだと、この所有者は言います。取得後の税金を考えれば、タダでもいらない物件ばかりだとも。 ***最後の「評価額」の問題は、なるほどなと頷かされました。地域再生を目指すなら、何とかクリアしていかねばならない問題だと感じます。以前読んだ『飛田で生きる』が、そこで生きる人々をリアルに描き出したのに対し、本著は、ちょっと違う視点から島を見つめ、問題提起をしてくれています。
2021.02.28
コメント(0)
このお話の主人公は、ハグこと波口喜美(ハグチ ヨシミ)。 都内大手広告代理店に勤務し、35歳で課長職に。 しかし、5年間付き合っていた彼と別れると、仕事もうまくいかなくなり退職。 郷里・姫路に一人残したままになっている母親への仕送りも困難に。 そんな時、大学時代の親友ナガラから「旅に出よう」とメールが届きます。 そして、大学卒業以来14年ぶりに二人で旅に出かけ、 以後、3~4カ月に一度、日本各地を旅するように。 ハグ自身は、東京でフリーランスの広告ディレクターを始めました。40代になると、母親が認知症の兆候を示し始め、月に2~3度は実家に帰るように。そして50代、母親の介護のため姫路にもどるも、フリーの広告ディレクターは継続。しかし、母親が転倒、足首を複雑骨折して、手術後3か月入院したのを機に、母親は地元のケアホームに入居しますが、ハグは毎日ホームに通い続けます。一方、ハグの親友、ナガラこと長良妙子(ナガラ タエコ)。小豆島出身で、大学卒業後から芦屋に住み、大手証券会社大阪支店に通勤する独身女性。母親は脳梗塞で倒れたものの回復し、小豆島のケアホームで元気に暮らしています。その後、ナガラは総務課課長に抜擢され、やがて八尾に転勤、八尾に引っ越しました。 ***この物語は、ハグとナガラの女二人旅を軸に据えたお話で、作者の原田マハさんと旅友・御八家千鈴さんの「ぽよグル」がベースになっています。けれど、この物語の主題は決して「旅」そのものではなく、介護する者として生きる運命を背負った「独身女性の人生模様」のように感じます。認知症が進む母親の言動に狼狽え、声を荒げるハグ。そして、母親の最期を看取ることができなかったことを激しく後悔するナガラ。高齢化が進む現代、誰にとっても避けることの出来ない、人生の一場面。追いつめられ過ぎることがないようにするための施策が望まれます。
2021.02.21
コメント(0)
初版は2001年3月に刊行されたものですが、 私が読んだのは、2004年3月刊行の第2版・第13冊(2017年10月発行)。 本著には、実際の臨床場面における看護行為について様々な指針が示されており、 各地の看護大学をはじめ看護教育機関で、教科書・副読本として利用されました。 さらに、精神科医や臨床心理士、精神保健福祉士など看護師以外の専門職の方々や 精神保健に関心をもつ一般の方々にも広く読まれたとのこと。 私も、その中の一人ということになりましたが 著者のお一人が、中井久夫氏であったことが、本著を手にする契機となりました。 *** 人間は、努力の限度と時間の限度が決まっていれば、かなり無理ができる。 しかし無際限・無期限となると、どんな人でも必ずまいってくると思っておいてよい。 また、誰かがみてくれていて、認め、そっと支えてくれることが大切である。 人がまったく認める気配すらないときに努力を無際限に続けられるものではない。 これは、上に立つ立場の人(師長、病棟医、部長、院長など)の心すべきことである。 ついでにいうと、一人しかいない職場、たとえば放射線技師、脳波技師、臨床検査技師、 臨床心理士、ボイラーマンなどにはつとめて声をかけるように心がけてほしい。(p.005)こんなことをさり気なく書いているところが、中井氏のスゴイところです。これは、医療現場だけでなく、どのような職種の職場でも同じことが言えるでしょう。そして、新型コロナウイルスがきついのは、これから先の見通しがなかなか持てないことです。無際限・無期限の努力を求められることが、医療現場でも他の職場でもとても辛い。 とくに、会社でいえばだいたい部長級以上、学校でいえば教頭以上、助教授・講師以上、 中央官庁では課長以上など「エラい」人は、 うつのさなかでも「顔をつくること」ができて、笑顔をたやさないことが多い。 「スマイリング・デプレッション」である。 だから、昨日談笑していた人が今日どうして飛び降り自殺をしたのかと、 まわりがいぶかることになる。(p.158)これも、とても納得できる指摘でした。この後に続く「顔の下半分は偽れないので、目が笑っていても、下半分に苦しみがあふれているので見逃さないように」という神田橋條治氏の指摘は、よくよく心に留めておく必要があると感じました。 実際上、権威のある側が不利である。行動の自由が少ないからである。 たとえば権威のある側の「ささいなルール違反」は、 ない側と違って、社会的対面の喪失、社会的孤立につながりかねない。 そして医療者のもつ権威は社会的には無に等しく、 より強烈な権威は、守ってくれると期待できないどころか、 攻撃者といっしょになって医療者を「犠牲の山羊」にしかねない。(p.232)これは、医療者と患者で人間関係が対立した場合について述べたものです。「人間関係は、攻撃と防御の関係になれば、必ず攻撃者に有利である。攻撃者は攻撃点を自由に選べるが、防御側は全面的に気をくばらねばならない。」との指摘も、全くその通りで、身につまされますね。
2021.02.21
コメント(0)
コロナ禍の中、手にする人がとても増えた様子。 私も、その一人ですが、読んでビックリ、目から鱗が落ちる思い。 日本を含め、世界の歴史が、ここまで感染症と大きく関連していたとは。 学校の教科書では、ここまで突っ込んでは書かれていません。 *** とくに、ドイツ軍と英米仏の連合国軍が膠着状態に陥った西部戦線は、 異常事態が起きていた。 ウイルスはこの最強の防衛線をいとも簡単に乗り越えてきた。 兵士が塹壕にすし詰めになった過密な戦いが3年半もつづいているところに、 インフルエンザウイルスが侵入した。 両軍ともに兵士の半数以上が感染し、戦闘どころではなくなった。 ベルリンでは、毎週平均500人が死亡していた。 米国軍の戦死者は5万3500人だったのに対して、 インフルエンザで死んだ将兵はそれを上回る5万7000人だった。 ドイツ軍の受けた打撃も大きかった。 インフルエンザで約20万人の将兵を失った。(中略) 両陣営とも戦争継続が困難になり、大戦の終結が早まった。 だが、各国から参戦した兵士は、 ヨーロッパ戦線で感染して本国にウイルスを持ち帰ったために、 一挙にインフルエンザのグローバル化が起きた。(p.214)第一次世界大戦の趨勢や、その後の世界各国の社会状況にまでインフルエンザが大きな影響を与えていたとは。もちろん、日本も例外ではなく、国内の感染者は2300万人を超え、死者の合計は38万6000人に達したというから驚きです。この他にも、ペロポネソス戦争の際に大流行した感染症(天然痘とも、発疹チフスともペストともいわれている)により、籠城作戦をとったアテネは、城内の3分の1が死亡し、敗れ去りました。また、ロシア侵攻中のナポレオン軍は、発疹チフスに襲われ、戦闘による死者が約10万人に対し、発疹チフス等による戦病死者は約22万人でした。さらに、クリミア戦争や南北戦争、米西戦争、日清戦争、日露戦争においても、戦死者の多くを戦病死者が占め、その多くが感染症によるものだったといいます。 感染力はきわめて強く、内臓が溶けて全身から血を噴き出して死んでいく 悲惨な症状で、死亡率は90%にも達する。 運よく治っても失明、失聴、脳障害などの重い後遺症が残ることが多い。 さまざまな感染症と戦ってきた人類にとって、 最強の感染症との新たな戦いがはじまった。 治療法がなく、感染者や流行地域を隔離して収まるのをひたすら待つしかない。(p.14)これは、2014年に西アフリカから始まったエボラ出血熱に関する記述。現時点で、感染者を隔離しするか、逃げ出すしか対策がないといいます。そして、現在、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。その収束は、どのような形で、いつ訪れるのでしょうか。
2021.02.14
コメント(0)
カイドウに両手を錠で拘束され、8歳の頃から島で監禁状態だったヤマトは、 エースの弟であるルフィに、一緒に船に乗せてほしいと願い出る。 その時、ライブフロアでは、カイドウの「新鬼ヶ島計画」発表が始まるが、 それは、ワノ国を”世界の大戦”に向け「海賊の帝国」に変えるというものだった。 そこに赤鞘の侍たちが遂に到着し、カイドウに襲い掛かる。 そして、ルフィはビッグ・マムに”全面戦争”を宣言。 城に集結した仲間たちは、次々にそれぞれの闘いを繰り広げ、 サンジは、モモの助の救出に成功する。 そして、ルフィは、屋上に移動した赤鞘の侍たちに合流すべく上を目指す。その行く手を阻もうとするビッグ・マムは、ロビンとジンベエが食い止める。一方、百獣海賊団では、飛六胞の一人・ドレークの裏切りが発覚。追われるドレークは、ルフィに共闘を願い出るのだった。さらに、混乱の中、クイーンの放った”疫災弾”「氷鬼」により、ライブフロアにいた者は、敵味方無差別に疫病に感染し、鬼と化してしまう。そして、その唯一の「抗体」をクイーンから渡されたアブーを、ゾロたちが追う展開に。一方、モモの助を護っていたしのぶは敵襲に倒れ、そこにヤマトが現れる。その頃、屋上では赤鞘の侍たちが、カイドウを追い詰めたかに見えたのだが…… ***裏切りによって敵と味方が入れ替わるなど、益々混沌とした状況に。ドレークの行動の真の目的は何?そして、ヤマトは本当に味方なのか?まだまだ予断を許さない状況が続いています。
2021.02.11
コメント(0)
カン十郎の裏切りにより、味方の情報はオロチらに筒抜け。 さらに、百獣海賊団とビッグ・マム海賊団の情報ももたらされる。 それでも、ルフィ、ロー、キッドらには全く臆するところが見られない。 そこへ狂死郎が現れ、自らの正体を明かし、味方の無事を伝えたのだった。 「鬼ヶ島」討入作戦は、予定通りにその幕を開ける。 そこへ「麦わらの一味」操舵主となったジンベエも駆けつけ、 ルフィたちは、最初の難関であるはずの鳥居の門番を軽く一蹴。 5千以上の兵が、一斉に決戦の城に向けて突き進み、各所で戦闘勃発。事態を知ったオロチは、カン十郎がさらってきたモモの助を磔に。一方、ルフィは百獣海賊団飛六胞のうるティ&ページワンと戦っていたが、そこに割って入ったのが、カイドウの息子(実は娘)のヤマト。彼はおでんを敬い、おでんの「航海日誌」を自身の聖書とする者だった。 赤鞘の侍達も死んだ今…!! 誰かがおでんの意思を継がなくちゃ!! だから僕はこの国を開国するんだ!! 一緒に戦わせて欲しい!!! 光月おでんは男だろ!? だから僕は男になった!! キミは本当に強いな!! まだ本気出してない… エースを思い出す!!! ***最後は全く予想していなかった展開になりました。ヤマトはエースとどこでどのように関わっていたのでしょうか?
2021.02.11
コメント(0)
白ひげの船に乗り込んだ光月おでんは、やがて2番隊の隊長に。 その頃、ワノ国では将軍スキヤキがこの世を去り、 息子・おでんが帰還するまでの間、その弟分・黒炭オロチが代行を務めることに。 しかし、黒炭家はかつて将軍後継争いで敗れた恨みを光月家に対し抱いていた。 おでん出航より4年目、白ひげ海賊団はロジャー海賊団に遭遇。 その激闘は決着がつかぬまま終結し、双方が意気投合することになる。 そんな中、おでんが歴史の本文(ポーネグリフ)の文字を読めることを知り、 ロジャーは白ひげに、おでんを1年貸してくれと頭を下げる。しぶる白ひげに、おでんはロジャーと共に行くことを懇願。おでんは、ロジャーと共に世界を駆け巡り、途中、妻・トキと息子・モモの助らをワノ国に残して、さらに旅を続ける。そして、ロジャー海賊団は、遂に前人未到の世界一周を成し遂げたのだった。しかし、ワノ国に戻ったおでんを待ち受けていたのは、カイドウという海賊の力を借り、ワノ国を思うがままに牛耳るオロチ。将軍の座を継承するはずのおでんの帰還後の行動は、誰もが理解に苦しむもので、人々から「九里のバカ殿」と呼ばれるようになってしまう。帰還から5年、遂におでんは赤鞘九人男と共にカイドウに戦いを挑むが、力尽きて捕らえられ、釜茹での刑に処せられる。その処刑の最中、ようやく人々はおでんの行動の背景にあった真実を知る。そして、おでんは人々に呼びかける。 大昔…この国を海外から閉ざしたのは…「光月家」だった!! -それは…”巨大な力”からワノ国を守る為…!! 「ワノ国」は いや…世界はある人物を待っている………!! その者が800年の時を超え現れた時、 迎え入れ協力できる国でなきゃならぬ -はっきり言うぞ あいつらは今日…必ずおれを殺す おれの代わりに「ワノ国」を”開国”して欲しい!! おでんの遺言に従い、トキは自らの能力を使って、モモの助らを20年後の世界に送るが、自身は敵の放った銃弾に倒れる。また、傳ジローは狂死郎、日和は小紫に姿を変え、オロチに近付きつつ、20年の時が過ぎるのを待っことに。そして、おでんの死から20年後、討入決行の日。嵐の中、集まるはずの同志たちの姿は見えない。それは、仲間だと思っていた者の中に、敵の内通者がいたから。モモの助はカン十郎にさらわれるが、そこにルフィ、ロー、キッドが現れる。 ***本棚に立てかけたまま、読むのをすっかり忘れている間に、先日、巻96と巻97が同時に手元に届いたので、大慌てで読み始めました。ロジャーのエピソードでは、このお話の核心に迫る部分がいくつもありましたね。そして、「800年の時を超え現れる者」とは?いよいよ面白くなってきました!!
2021.02.11
コメント(0)
今回も、ほぼ1年ぶりの新刊。 慣れ親しんだ筆致と世界観にどっぷりと浸りながら、 「やっぱり、イイなあ」と、またしてもひとりごと。 お話の方は、大きく展開し始めました。 ***壬氏の命で家鴨の飼育をすることになった馬閃は、その孵化方法を、都の北西にある紅梅館に身を寄せていた里樹から教えてもらうことに。そして月日が流れ、馬閃が壬氏に従って西都に向け出発する日が迫る。馬閃は、再び紅梅館を訪れることを里樹に約束し、旅立った。猫猫たちに遅れること3日、馬閃が西都に到着する。そして、猫猫は、馬閃、雀と共に、念願の農村視察に出発。その途上、甘藷や馬鈴薯の育て方を広めるため西都に来ていた羅半兄と合流。目的地に着くと、羅半兄は、村人たちの手抜き仕事を大いに嘆くのだった。そんな中、唯一まともに畑仕事に取り組む念真という老人を、猫猫たちは訪ねる。念真は、かつて武闘派の遊牧民で、他所の部族や村を襲う盗賊の一員だった。遊牧民の中でも、風読みの民には手を出すなという暗黙の了解があったが、念真たちの部族は、それを破り、風読みの民を襲ったのだった。 風読みの民ってのは、あれだ。 いわば草原全体の祭祀を任されている神官みてえな存在だった。 鳥を飼い、風を読んで草原を移動する。 知恵者が多く、その年の天候をぴたりと当てる。(p.151)それから何年か過ぎ去った頃、飛蝗の群れが草原一帯を襲った。この災厄の元となった念真たちの部族は、草原共通の敵として追われることに。そして、領主である戌の一族によって、念真は弓を弾く指を切断され、農奴にされ、風読みの民の代わりに祭事をさせられたのだった。念真の話を聞いた猫猫は、村人たちを集め、祭事を行ってから西都に戻る。そこでは、飛頭蛮という首が飛び回る妖怪騒ぎが起こっていた。猫猫はその真相を明らかにし、捕らえられた女児・庫魯木(クルム)から風読みの民について、有益な情報を手に入れることに成功する。羅漢の元副官・陸孫と共に、再び農村視察へと向かう猫猫に、羅半兄からの手紙が。それは、飛蝗襲来の知らせであり、猫猫は村人たちに収穫を急ぐよう訴える。そして、収穫を7割ほど終えた頃、飛蝗は来た。西都も散々な有様となっていたが、そこでは甘藷の粥が配られていた。 ***飛蝗襲来の場面は、これまでにはなかった緊迫感溢れるものでした。そして、この蝗害には、何か裏がありそうです。 飢えたくないなら飢えないように、畑を作ればいい。 なのに、まともに作らなくても不作だったら銭がもらえる。 下手に真面目に耕作するより、 よほど気前よくもらえるのならどうするかい、あんたは?(p.171)念真のこの言葉には、何者かが蝗害を意図的に発生させようとしている印象を受けます。そして、これに大きく関わっていそうなのが、風読みの民であろう女性を妻とした玉袁と、その息子・玉鶯。玉袁の娘であり、玉鶯の妹である玉葉の行動にも注目したいですね。
2021.02.07
コメント(0)
全9件 (9件中 1-9件目)
1