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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は読売新聞が行ったインタビューの中で弾薬や戦闘機を含む兵器をさらに供給するように訴えたようだ。戦闘が続いているドンバスでの戦況は「良くない」と大統領は認め、ロシア軍は連日ウクライナ軍の約3倍の弾薬を発射していると語っている。ロシア軍は武器弾薬が枯渇し、旧式の戦車を引っ張り出しているとする西側の有力メディアの宣伝をあっさり否定した。武器弾薬が供給されなけれは「反撃」は不可能だというわけだ。 アメリカ/NATOは2014年からウクライナの戦力を増強するために兵器を供給したり兵士を訓練し、東部などに地下要塞を建設してきた。当初からアメリカはHIMARS(高機動ロケット砲システム)を、イギリスはM270 MLRS(M270多連装ロケットシステム)を、フランスをカエサル155mm自走榴弾砲を提供してきたが、大半はロシア軍に破壊されたと言われている。 ここにきてアメリカ/NATOはドイツ製戦車「レオパルト2」数十両とイギリス製戦車「チャレンジャー2」を提供、アメリカ製の「M1エイブラムズ」は数週間後に届くという。イギリスはチャレンジャー2で使える劣化ウラン弾も供給、ウクライナ兵に扱い方を説明している映像をイギリス国防省は流している。 アメリカが提供した、あるいは提供を予定しているブラッドリー装甲戦闘車両やM1エイブラムス戦車はいずれも劣化ウラン弾を発射できることから注目されていたが、イギリスはすでに劣化ウラン弾を引き渡したわけだ。アメリカ軍はイラクのファルージャを攻撃した際に劣化ウラン弾を使用、放射能障害の原因になったとも言われている。劣化ウラン弾は小型核兵器のカモフラージュに使われたという噂もあった。 劣化ウランは比重が鉄の2.5倍、鉛の1.7倍あり、貫通力が大きい。そこで対戦車用の砲弾としてアメリカはイラクで使ったのだが、単に重いだけでなく、放射線を出す一種の核兵器でもある。環境を汚染することは確実。穀倉地帯を核汚染することになる。 ロシア軍は暗視装置、熱線暗視装置、射撃統制システムなどが装備されている改良型のT-72戦車のほか、新型のT-90Mを既に投入済み。さらに最新型戦車のT-14を準備中だとされている。こうした戦車を劣化ウラン弾で攻撃するためには射程圏内にターゲットが存在、そのターゲットを正確に砲撃して破壊しなければならない。そのためには戦車の性能と乗員の技量が問題になる。 キエフではロシア軍が旧型のT-54/55を引っ張り出さざるをえない状況になっていると主張しているようだ。キエフ側のレオパルト2、チャレンジャー2、M1エイブラムズがロシア側のT-54/55による戦車戦が展開されるかのように宣伝しているのだが、ロシア軍はチェチェン戦争以来、T-54/55を大砲として使っている。 また戦車は航空兵力の支援なしに戦うことはできない。ゼレンスキー大統領がF-16などの戦闘機を欲しがっている理由のひとつはそこにあるかもしれないが、ロシアはすでにMigG-31やSu-57がウクライナとの国境近くに配備されているようだ。これらが搭載できる極超音速ミサイルR-37Mは200キロメートル以上離れた航空機を撃墜した実績がある。 ウクライナの内戦は2014年2月にクーデターでビクトル・ヤヌコビッチが排除された直後に始まった。2010年の大統領選挙で勝利したヤヌコビッチの支持基盤は東部と南部で、7割以上が彼に投票していた。 クーデターを仕掛けたのはアメリカのバラク・オバマ政権で、手先として使われたのはネオ・ナチだ。ロシアの影響をウクライナから一層するという点で両者の思惑は一致していた。かつてシオニストがパレスチナで行ったようなことをウクライナで実行しようとしたわけだ。 キエフでネオ・ナチが行っている残虐行為を知ったクリミアの住民は2014年3月16日の住民投票を経てロシアと統合する道を選ぶ。80%を超える住民が投票に参加して95%以上が加盟に賛成したのだ。 それに対し、4月12日にCIA長官だったジョン・ブレナンがキエフを極秘訪問、22日には副大統領だったジョー・バイデンもキエフを訪問する。そして5月2日、クーデター軍が制圧していたオデッサでは反クーデター派の住民が労働組合会館の中でネオ・ナチの右派セクターによって虐殺された。 5月9日にはクーデター軍がドネツクのマリウポリへ戦車部隊を突入させ、住民を殺している。デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りした6月2日にキエフ政権はルガンスクの住宅街を空爆している。このマリウポリは内務省の親衛隊がドンバス支配の拠点にし、要塞化するのだが、親衛隊の主力はネオ・ナチにほかならない。 その間、ドンバス(ドネツクやルガンスク)でも自治(ドネツク)や独立(ルガンスク)の是非を問う住民投票が5月11日に実施され、ドンバスでは89%が賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が賛成(投票率75%)している。これが住民の意志であり、クーデター体制と戦うことになった。 それから8年かけてアメリカ/NATOはクーデター体制の戦闘力を増強させるが、そのための時間稼ぎが「ミンスク合意」だったことは本ブログでも繰り返し書いた。 そして2022年2月21日にロシアのウラジミル・プーチン大統領はドンバスの独立を承認、2月24日にウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃しはじめた。部隊がドンバス周辺に集まっていたこともあり、短期間にキエフ政権側は大きなダメージを受け、そして停戦交渉が始まる。 その交渉を仲介したのはイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットだ。そのベネットをインタビューした5時間近い映像が2月4日に公開された。話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだった。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はNATOへの加盟を諦めるとしたようだ。 2022年3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。ウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺したのはその3月5日だ。 4月に入ると西側の有力メディアはロシア軍がブチャで住民を虐殺したと宣伝し始める。マクサー・テクノロジーズなる会社から提供された写真を持ち出し、3月19日に死体が路上に存在していたと主張しているが、疑問が噴出した。 そうした中、4月9日にボリス・ジョンソン英首相はキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令。4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。 ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官とサマンサ・パワーUSAID長官は今年2月23日にCNNタウン・ホールでスピーチ、その中でサリバンは「ロシアはすでに(ウクライナでの)戦争で負けている」と主張、パワーはウクライナでの戦争をアメリカとロシアによるもので、アメリカが支持されていると語っている。 言うまでもなくサリバンの主張は嘘で、ウクライナでの戦闘でロシア軍が勝っていることは確実。ゼレンスキー政権は崩壊しつつある。ウクライナを舞台にした戦争でアメリカが支持されているわけではなく、この点、パワーの主張は正しくないが、アメリカとロシアの戦争だと言うことは事実だ。 ロシア軍のミサイル攻撃が始まって間もない段階でゼレンスキー政権はロシア政府と停戦交渉を始めていたが、その交渉はアメリカやイギリスによって壊された。両国はロシアを疲弊させ、最終的には破壊しようとしているわけで、ウクライナが破壊されてもウクライナ人が殺されても気にかけない。そこで「玉砕攻撃」が続くわけだ。今でもウクライナ兵はロシア軍のミサイル攻撃で殺されている。
2023.03.31
ロシアとドイツがバルト海に建設した2本のパイプライン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」が2022年9月26日から27日にかけての間に破壊され、天然ガスが流出した。 瞬間的に大きな穴が空いたと見られ、1カ所あたりの爆発エネルギーはTNTに換算して100キログラム以上だとされている。パイプの構造から考えて事故でそうしたことが起こる可能性は小さく、当初から爆破工作だと推測されていた。 この天然ガス流出について調査するように求める決議をロシアと中国は国連の安全保障理事会に求めたが、賛成したのはロシア、中国、ブラジルの3カ国にすぎず、アルバニア、イギリス、ガボン、ガーナ、マルタ、モザンビーク、アラブ首長国連邦、アメリカ、フランス、スイス、エクアドル、日本は棄権した。 国際的に大きな影響を及ぼした破壊工作が行われた可能性が高いにもかかわらず、真相を明らかにする必要はないと12カ国は考えたわけである。状況から考え、実行国はアメリカ、あるいはその従属国だと考えられているが、棄権した国々もそう判断したのだろう。 破壊直後、ポーランドで国防大臣や外務大臣を務めたラデク・シコルスキーは「ありがとう、アメリカ」と書き込み、その後、ノードストリームの破壊はプーチンの策略の余地を狭めるとも書いた。ロシアはバルブを締めれば天然ガスを止められるが、緩めれば再稼働できる。そうした状況ではロシアがEUへプレッシャーをかけられるわけで、そのことをシコルスキーは理解していた。 ロシアとヨーロッパは天然ガスを通じて関係を深めていた。輸送はパイプラインで行われ、その多くはウクライナを経由していたことから、アメリカの支配層はロシアとヨーロッパを分断するためにウクライナを完全な属国にしようとする。そこでバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでネオ・ナチを使い、クーデターを実行したわけだ。 しかし、ウクライナを迂回するため、ロシアとドイツはバルト海を経由する2本のパイプライン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」を建設した。 NS1は2010年4月に建設が始まり、11年11月から天然ガスの供給が始められる。ウクライナの体制がクーデターで変わった後の2015年6月にガスプロムとロイヤル・ダッチ・シェルは共同でNS2の建設を開始、18年1月にドイツはNS2の建設を承認、21年9月にパイプラインは完成した。 アメリカやポーランドはNS1やNS2の建設や稼働に強く反対し、ドナルド・トランプ政権下の2020年7月には国務長官のマイク・ポンペオがNS2を止めるためにあらゆることを実行すると発言。2021年1月に大統領がジョー・バイデンに交代しても状況に変化はなく、22年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官はロシアがウクライナを侵略したらNS2を止めると発言している。2月7日にはジョー・バイデン大統領がNS2を終わらせると主張し、アメリカはそうしたことができると記者に約束した。 2022年2月24日にロシア軍はウクライナに対する軍事作戦を開始、アメリカ政府の圧力でEUは新パイプラインの稼働を断念。アメリカはさらにNS1も止めさせようとした。 パイプラインが爆破された1分後にイギリスの首相だったリズ・トラスはiPhoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送ったと伝えられている。携帯電話がハッキングされたようだ。 その当時、イギリスの閣僚が使っていた電話がハッキングされていたことを疑わせるできごとがあった。イギリスのベン・ウォレス国防相は10月18日、アメリカの国務省や情報機関の高官と会うために同国を秘密裏に訪問しているのだ。 閣僚が使う通信手段はセキュリティーの信頼度が高いはずで、通常なら電話で済ませるはずなのだが、本人が出向いた。そこで通信のセキュリティーに不安があったと考える人もいたが、その推測は正しかったようだ。その直後、「ジョーカーDPR」と名乗るハッカー・チームがウクライナ軍の指揮統制プログラムにハッキングしたと主張している。 そして今年2月8日、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュはアメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表した。 ハーシュによると、アメリカのジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合ったという。そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。 2022年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官は、ロシアがウクライナを侵略したらノード・ストリーム2を止めると発言、2月7日にはバイデン大統領がノード・ストリーム2を終わらせると主張、記者に実行を約束した。こうした発言の背後には爆破計画があったわけだ。 爆破計画の拠点として選ばれたのはノルウェー。イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長の母国だ。ハーシュによると、3月にはサリバンのチームに属すメンバーがノルウェーの情報機関に接触、爆弾を仕掛けるために最適な場所を聞き、ボルンホルム島の近くに決まった。 プラスチック爆弾のC4が使われたが、仕掛けるためにはロシアを欺くためにカムフラージュが必要。そこで利用されたのがNATO軍の軍事演習「BALTOPS22」だ。その際にボーンホルム島の近くで無人の機雷処理用の潜航艇を使った訓練が行われた。 ハーシュの記事が発表される4日前、ジョー・バイデン大統領の命令で中国から飛来した気球をF-22戦闘機が高度1万8000メートルで破壊した。アメリカ政府はその時点でハーシュの取材内容を知っていただろう。西側の有力メディアはバルーンの破壊に熱狂することになる。
2023.03.30
アメリカのラーム・エマニュエル駐日大使は岸田文雄首相のウクライナ訪問を絶賛するコメントをツイッターに書き込んだ。中国の習近平国家主席は3月20日から22日かけてロシアを訪問、ウラジミル・プーチン露大統領と会談しているが、それに合わせて21日に岸田はウクライナを訪れている。エマニュエルはバラク・オバマ政権で大統領首席補佐官を務めた筋金入りの親イスラエル派だ。 中国とロシアの首脳会談は両国が強固な同盟関係にあることを世界に示すもので、アメリカを中心とする支配システムの終わりを告げているとも言える。アメリカ政府は自分たちが世界のリーダーだと叫んでいるが、岸田のウクライナ訪問はその虚しい努力を助けることが目的だったのだろう。 中国政府は習近平がロシアを訪問する前、2月24日にウクライナ危機への立場を発表している。すべての国の主権尊重、冷戦的な精神構造の放棄、敵対行為の終了、和平交渉の再開、人道危機の解決、市民と捕虜の保護、原発の安全維持、戦略的リスクの軽減、穀物輸出の促進、一方的制裁の中止、製造や供給の安全維持、紛争後の復興促進を掲げているが、アメリカ政府はこうした提案やウクライナでの和平実現を拒否している。 エマニュエル駐日大使は3月6日、岸田の成果を挙げている。確固たる新安全保障戦略の導入、防衛費の増額、経済政策、ウクライナへの支援、ロシアに対する政策の転換、防衛パートナーシップの構築、日本企業(大企業)から賃金を引き上げる約束の確保などだ。 軍事力を増強し、アメリカの代理戦争を行なっているウクライナへの支援、そしてロシアとの関係を悪化させる政策を成果だとし、さらに韓国と手を組んで中国やロシアと戦う準備をするように求めている。 岸田がウクライナを訪問したのはジョー・バイデン政権から命令されたからだと考えるのが自然だ。G7の首脳で岸田首相だけがウクライナを訪問しいないため、どうしてもウクライナを訪問したかったという考えは正しくないだろう。この訪問について「子どもじゃあるまいし」とコメントした人がいるようだが、国際情勢が見えていないようだ。 アメリカでは国際問題をネオコンが取り仕切ってきた。そのネオコンには東ヨーロッパ系の人物が多く、一貫して反ロシア/ソ連だ。統合参謀本部のマーク・ミリー議長は昨年11月、ウクライナ軍がロシア軍に勝利することはないかもしれないとニューヨークの経済クラブで発言している。これは常識的な見方だが、ネオコンに操られているバイデン政権はこの事実を認めたがらない。 歴史的に反ロシア感情が強いポーランドの大統領は昨年10月、アメリカに対して核兵器をポーランド領内へ配備するよう求めたと伝えられているのだが、ベラルーシへロシアが核兵器を配備するという話が出てくると、その発表を強く批判している。自分たちは何をしても許され、相手は何も許されないと考えているようだ。 習近平とプーチンとの会談では経済面だけでなく軍事面も話し合われたと見られている。言うまでもなく、軍事面はロシアが強い。日本は中国と戦争する準備を進めているが、ロシアが傍観するはずはない。開戦の前に高性能兵器を中国へ供与するだろう。その一つが対艦ミサイルだが、3月28日にロシア軍は日本海で超音速対艦ミサイルを100キロメートル離れた標的に向かって発射する実験を行った。日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、ロシアや中国から敵と認識されていることを日本人は自覚する必要がある。
2023.03.29
バフムート(アルチョモフスク)はロシア側が包囲したと言われている。ウクライナ兵の脱出路は確保されているが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の「死守しろ」と命令しているので、どのような展開になるかは不明だ。 ワーグナー・グループを率いるイェフゲニー・プリゴジンによると、ウクライナ軍は約20万人を軍事訓練、NATOから軍事物資の補給を受けているとしたうえで、バフムートの周辺に集結しているウクライナ兵は約8万人だと警告、ロシア軍の合流を要請している。ウクライナは最後の決戦を挑もうとしているようだ。 ここにきてワーグナー・グループの動きが静かになっているともいうが、その理由はロシア軍の合流を待っているのか、ウクライナ軍の動きを見ているのかもしれない。 ウクライナ軍はすでに数十両のドイツ製戦車「レオパルト2」とイギリス製戦車「チャレンジャー2」を受け取り、アメリカ製の「M1エイブラムズ」は数週間後に届くという。イギリスはチャレンジャー2で使える劣化ウラン弾も供給していると言われている。 ロシア軍は改良型で暗視装置、熱線暗視装置、射撃統制システムなどが装備されているタイプのT-72戦車を使ってきたが、さらに新しいタイプのT-90Mを既に投入済みだという。今年に入ってロシアは約3000両の戦車を製造したが、その大半はT-90Mで、最新型戦車のT-14は準備中だとされている。 アメリカ/NATOはミンスク合意を利用し、2014年から22年にかけて戦力を増強させたが、地下要塞の建設も進めてきた。それでもロシア軍の攻撃でウクライナ軍は壊滅状態。兵器を供給するだけでなく、ポーランドやイスラエルなどから傭兵を投入しているものの、追いつかないようだ。 今後、どこかの時点でロシア軍は動員した兵士を前線へ出してくるはずで、アメリカ統合参謀本部のマーク・ミリー議長は昨年11月、ウクライナ軍がロシア軍に勝利することはないかもしれないとニューヨークの経済クラブで発言している。 短期的に見ると、ウクライナの戦乱は2010年の大統領選挙で東部と南部を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチが勝利、それを嫌ったバラク・オバマ政権がクーデタを計画したところから始まる。アメリカのウクライナ侵略から始まったとも言える。戦乱を回避するためには、この時点で動かねばならなかった。 その計画に従い、オバマ政権のネオコンは2013年11月にクーデターを始動させる。その主力はNATOの軍事訓練を受けたネオ・ナチ。そして2014年2月にヤヌコビッチは排除された。 ヤヌコビッチの支持者が圧倒的に多い東部や南部ではクーデターを拒否する人が多く、クリミアの住民はロシアの保護下に入る道を選び、対応が遅れたドンバスでは内戦が始まる。オデッサではクーデターに抵抗した住民がネオ・ナチの集団に虐殺された。 この内戦ではドンバスの反クーデター軍が優勢だったこともあり、ドイツやフランスは停戦を持ちかけ、ミンスク合意の締結に漕ぎ着けたのだが、キエフ政権だけでなく、ドイツ政府もフランス政府も本気で戦争を止めるつもりはなかった。 当事者だったアンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューでミンスク合意が時間稼ぎにすぎなかったことを認めている。その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語った。ドイツやフランスはアメリカの命令に背く力を持っていない。日本と同じだ。 おそらく、ジョー・バイデン政権はウクライナで勝利することを諦めて東アジアへの「転進」を図っている。中国を破壊するための手先としてアメリカが考えているのは日本だろうが、そうした展開になったならば、日本は破滅する。アメリカが中国との戦争で拠点にするのはオーストラリアのようで、日本、台湾、韓国などは使い捨てだろう。台湾や韓国で戦争にブレーキがかかることを期待するしかない。
2023.03.28
台湾の蔡英文総統は3月29日から4月7日にかけてグアテマラとベリーズを訪れる予定だ。ホンジュラスが中国と外交関係を確立した直後の訪問である。 その途中、ニューヨークとロサンゼルスを経由するのだが、そこでケビン・マッカーシー下院議長は蔡総統と会談する意向だと伝えられていた。ところが3月21日にはこの件について口にしなかった。 蔡総統は台湾独立を主張してきた政治家だが、それを支持する台湾の有権者が多数派だとは言えない。そこでアメリカの甘言に乗ってしまった。昨年8月2日にはアメリカの下院議長だったナンシー・ペロシ台湾を訪問、1972年2月にリチャード・ニクソン大統領が中国を訪問してから続いていた「ひとつの中国」政策に挑戦した。中国とアメリカの関係が悪化するだけでなく、台湾周辺の軍事的な緊張が一気に高まることになった。 今年3月16日に陸上自衛隊は駐屯地を石垣島に開設したが、その前から自衛隊は南西諸島に軍事施設を建設していた。2016年には与那国島で、また19年には奄美大島と宮古島で施設を建設している。台湾周辺での軍事的な緊張が高まることを想定していたかのようだが、こうした動きはアメリカの戦略に基づいていた。 アメリカ国防総省系のシンクタンク、「RANDコーポレーション」が昨年に発表した報告書によると、アメリカ軍は中国をGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で包囲しようとしている。ところが配備できそうな国は日本だけで、しかも日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約がある。 そこでアメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。その一環として石垣島の駐屯地も建設された。 日本政府は射程距離が1000キロメートル程度のミサイルを開発して艦艇、戦闘機、そして地上から発射できるようにする計画をたてる。地上発射の改良型は2024年度にも配備する方針だとされたが、その後、日本政府はアメリカから亜音速の巡航ミサイル「トマホーク」を購入する意向だという話が出てきた。トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルだとされている。「反撃能力」というタグがつけられているが、実際は先制攻撃能力だ。攻撃する相手は中国だけでなく、その同盟国であるロシアも含まれる。 もし台湾周辺で軍事衝突が起こった場合、アメリカの空母戦闘群は短時間の間に撃沈される可能性が高い。すでに海上艦船の時代は去り、航空母艦は弱小国を威嚇することに使えるだけだ。 そうした時代の到来を告げる出来事は1982年4月にあった。アルゼンチン軍とイギリス軍がフォークランド(マルビナス)諸島の沖で軍事衝突したのだが、5月にアルゼンチン軍の対艦ミサイル「エグゾセ」がイギリスの軍艦「HMSシェフィールド」などを撃沈、他の艦船にもダメージを与えている。 この時はイギリスのマーガレット・サッチャー首相がパリでフランスのフランソワ・ミッテランと会談、ミサイルを無力化するコードを教えるように要求、それでイギリスは勝利することができたと言われた。現在、ロシアや中国が保有している対艦ミサイルはエグゾセとは比較にならないほど性能が向上している。 現在、海軍の主力は潜水艦へ移行している。オーストラリアは2021年9月にイギリスやアメリカとAUKUSを創設したと発表、それと同時にアメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられた。ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却するため、3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると語っている。 その潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上、アメリカ海軍の潜水艦になる。山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明した。中国との戦争を意識しているのだろう。その一方で自衛隊は南西諸島に軍事施設を建設した。これも中国と戦争する準備だ。 日本では「教育」や「報道」の成果で中国やロシアを敵視する感情を国民に刷り込み、中国やロシアは弱いという話を信じさせてきたが、台湾の有権者は中国との戦争を望んでいないようだ。台湾の総統を2008年5月から16年5月まで務めた馬英九が3月27日から4月7日にかけて学者や学生を率いて北京を訪問する。昨年11月に実施された地方選挙では蔡英文の民主進歩党が馬英九の国民党に大敗している。
2023.03.27
シリア北部にあるアメリカ軍の基地が3月23日に無人機で攻撃され、ひとりが死亡したと伝えられている。ジョー・バイデン米大統領は報復攻撃をロイド・オースチン国防長官に命令、アメリカ中央軍はシリア東部の施設を空爆したが、それに対する報復で24日にはアル・オマール近くにある別の基地がロケット攻撃を受けた。イランのネットワーク局アル・アラムによると、25日には20機以上のロケットでふたつのアメリカ軍基地が攻撃されたという。 ジョージ・W・ブッシュ米大統領はネオコンの戦略に基づき、「大量破壊兵器」に関する偽情報を流して環境作りをした上でアメリカ主導軍にイラクを先制攻撃させ、サダム・フセイン体制を破壊した。2003年3月20日早朝のことだ。 しかし、イラクに親イスラエル政権を築くことに失敗、アメリカ軍による占領は今も続いている。この軍事作戦で殺されたイラク人は100万人程度とも言われている。 例えば、アメリカのジョーンズ・ホプキンス大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究によると、2003年の開戦から06年7月までに約65万人のイラク人が殺され、イギリスのORBによると、07年夏までに94万6000名から112万人が死亡、またNGOのジャスト・フォーリン・ポリシーは133万9000人余りが殺されたと推測している。 正規軍の投入は機能しないと考えたのか、バラク・オバマ米大統領は2010年8月にPSD-11を承認してムスリム同胞団を使った体制転覆作戦を始動させる。そして始まるのが「アラブの春」だ。その流れの中でアメリカ、イギリス、フランスを含む国々がリビアやシリアに対する軍事侵略を始めた。この戦術はオバマの師にあたるズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に始めたもので、「アル・カイダ」の仕組みはその時に作られた。 リビアでは2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィ本人はその際に惨殺された。その際、アル・カイダ系武装集団とNATO軍の連携が明らかになり、反カダフィ勢力の拠点だったベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられている。 アル・カイダはCIAが訓練した戦闘員の登録リストで、戦闘員の募集活動をしていたのがオサマ・ビン・ラディンだと言われている。一般的にアル・カイダのリーダーだと言われ、イコンとして扱われていた人物だ。このビン・ラディンは2011年5月、アメリカ海軍の特殊部隊によって殺害されたとされている。イコンを消したとも言えるだろう。 2012年からオバマ政権はシリア侵略に集中する。リビアから戦闘員や武器をNATO軍がシリアへ運び、軍事支援を強化するのだが、そうした行為を正当化するためにシリア政府を悪魔化するための偽情報を流した。 例えば、シリア北部ホムスで2012年5月に住民が虐殺されると、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと宣伝した。イギリスのBBCはシリアで殺された子どもの遺体だとする写真を掲載しているが、この写真は2003年3月にイラクで撮影されたもの。オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく廃墟に変えて掲載していた。 こうした西側有力メディアの偽報道をローマ教皇庁の通信社が伝えている。例えば、メルキト東方典礼カトリック教会の修道院長を務めていたフィリップ・トルニョル・クロはホムスでの住民虐殺事件を調べるために現地へ入って調査、西側の宣伝が嘘だという結論に達し、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」と2012年6月に報告している。 西側の有力メディアは当初、現地の情報源としてシリア系イギリス人のダニー・デイエムなる人物を使っていた。ところがデイエムが撮影スタッフと演出の打ち合わせをしている場面が2013年3月にインターネット上へ流出、中継はフィクションだということが明らかになる。 2012年8月にはアメリカ軍の情報機関DIAが反シリア政府軍の主力はアル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだと指摘されていた)であり、その中心はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だと指摘、アル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)の名前も報告書の中に出している。オバマ大統領が主張する穏健派は存在しないということだ。 オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していたが、これは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)という形で現実になった。 その2012年8月にオバマ政権は軍事侵攻を正当化する口実として化学兵器を言い始めた。シリアに対する直接的な直接的な軍事介入のレッド・ラインは生物化学兵器の使用だと宣言したのだ。シリア軍が予想外に強く、アメリカ軍、あるいはNATO軍が介入しなければならないと判断したようだ。 2012年12月になると、ヒラリー・クリントン国務長官がシリアのバシャール・アル・アサド大統領は化学兵器を使う可能性があると語る。そして2013年1月29日付けのデイリー・メール紙には、イギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールにシリアで化学兵器を使ってその責任をアサド政権に押しつける作戦をオバマ大統領が許可したという記述があるとする記事が載った。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された) そして2013年3月にアレッポで爆発があり、26名が死亡したのだが、そのときに化学兵器が使われたという話が流れる。シリア政府は侵略軍であるジハード傭兵が使用したとして国際的な調査を要請するが、イギリス、フランス、イスラエル、そしてアメリカは政府軍が使ったという宣伝を展開する。 しかし、攻撃されたのがシリア政府軍の検問所であり、死亡したのはシリア軍の兵士だということをイスラエルのハーレツ紙が指摘、国連独立調査委員会メンバーのカーラ・デル・ポンテも反政府軍が化学兵器を使用した疑いは濃厚だと発言している。 2014年1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧される。ダーイッシュの登場だ。モスル制圧の際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられたのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで知っていたはず。そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動かなかった。 アメリカのチャック・ヘーゲル国防長官やマーチン・デンプシー統合参謀本部議長は上院軍事委員会で直接的な軍事介入に慎重な姿勢を示し、クリントン国務長官らと対立していたが、ダーイッシュは残酷さをアピール、アメリカ/NATO軍の介入を誘う。 オバマ大統領が主張する穏健派は存在しないとする報告を出したDIAの局長、マイケル・フリンは2014年8月に退役を強いられていたが、それだけでなくヘーゲルは2015年2月に解任、デンプシーは同年9月に再任を拒否されている。オバマ大統領は戦争体制を整えた。そこでロシアはシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュを含むアル・カイダ系武装集団を敗走させた。 そこでアメリカはクルドと手を組むのだが、これによってアメリカとトルコの関係が悪化する。現在、アメリカ軍はシリア領内に900名程度の部隊を侵攻させ、10カ所とも20カ所とも言われる数の軍事基地をシリアに建設、不法占領を続けている。 そうした基地のひとつであるアル・タンフではアメリカとイギリスの特殊部隊が反シリア政府軍を訓練、2018年9月にはアメリカ軍が軍事演習を実施、最近ではウクライナでロシア軍と戦わせるために戦闘員を訓練しているとも言われている。 シリア領内のアメリカ軍は侵略者以外の何ものでもない。アメリカ軍に対する攻撃はシリア人の権利である。
2023.03.26
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は3月17日現在、3万4604名に達した。VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%、あるいは数%にすぎないと言われている。
2023.03.25
厚生労働省は3月24日に今年1月分の「人口動態統計速報」を発表した。死亡者数は16万8970人で前年同月より2万4978名増えている。比率にすると17.3%増。2020年同月に比べると27.4%の増加になる。 COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の感染が世界的に拡大しているとWHO(世界保健機関)が宣言したのは2020年3月11日。その年の死亡者数は増えていなかった。死亡者数の増加が目立ち始めたのは「COVID-19ワクチン」の接種が始まった2021年だ。 早い段階から「COVID-19ワクチン」の副作用として帯状疱疹、TTP(⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病)、ギラン・バレー症候群による末梢神経の障害などが問題になるが、2021年3月にはアメリカのソーク研究所がスパイク・タンパク質によって病気が引き起こされている可能性があるとする発表、4月には解説記事が出された。呼吸器ではなく血管にダメージを与え、脳へウイルスが侵入した形跡がないにもかかわらず神経系の症状が出るのもそのためではないかと言われた。 広く打たれている「mRNAワクチン」は人間の細胞にスパイク・タンパク質を作らせ、それによって抗体を作る。その抗体によって免疫が高まることになっているのだが、事前に言われていたこととは違い、細胞は1カ月以上にわたって病気の原因であるスパイク・タンパク質を作り続けるため、人間の免疫システムは自分の細胞を攻撃することになる。 抗体には感染を防ぐ「中和抗体」と感染を防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させ、ADE(抗体依存性感染増強)を引き起こすと考えられている。接種が始まる前からADEを懸念する人は少なくなかったが、その通りになっているようだ。 細胞の中へmRNAを送り込むため、LNP(脂質ナノ粒子)が使われるのだが、この物質は有害。その有害物質が肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布すると報告されている。微量なので心配しなくて大丈夫だとする主張する人もいるが、ごく微量であろうと存在してはいけない物質が存在する。 ソーク研究所の発表があったころ、イスラエルでは「COVID-19ワクチン」を接種した若者の間で心筋炎や心膜炎の発症が報告され始めた。 こうした情報に対し、アメリカにおける伝染病対策の拠点、CDC(疾病予防管理センター)は「COVID-19ワクチン」と心臓の炎症に関連性はないと主張するが、5月に「ワクチン」のデータを見直すと言わざるをえなくなり、緊急会議を開催することになる。 そして、CDCのACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)は2021年6月23日に「mRNAワクチン」と「穏やかな」心筋炎との間に関連がありそうだと言わさるをえなくなる。6月25日にFDA(食品医薬品局)はmRNA(メッセンジャーRNA)技術を使ったファイザー製とモデルナ製の「COVID-19ワクチン」が若者や子どもに心筋炎や心膜炎を引き起こすリスクを高める可能性があると発表した。 接種が進むと「ワクチン」に病気を防ぐ効果がないだけでなく、接種者に深刻な副作用が現れ、死亡するケースが目につくようになる。そして言われ始めたのが「ブースター」。繰り返し接種しなければならないというのだが、これは問題をさらに深刻化させることになった。 FDA(の科学顧問パネルでさえ、16歳以上の人に対するBioNTech/ファイザーの「ブースター」接種を、65歳以上を例外として推奨しないと決議している。 FDAで「ワクチン研究評価室」を室長を務めていたマリオン・グルーバーと生物学的製剤評価研究センターで副センター長を務めてきたフィリップ・クラウスも執筆者に名を連ねる報告が2021年9月13日、イギリスの医学誌「ランセット」に掲載された。その中で「COVID-19ワクチン」の追加接種を慌てて実施することは危険だとしている。 その報告によると、mRNAを利用した製品は「心筋炎」を、またアデノウイルスをベクター(遺伝子の運び屋)に利用したジョンソン・アンド・ジョンソンやオックスフォード/アストラゼネカの製品はギラン・バレー症候群(根神経炎の一種)を引き起こす恐れがあるとしている。グルーバー室長とクラウス副センター長は辞意を表明した。 ブースターは回数が増えるほど免疫力を低下させ、感染しやすくし、命に関わってくる。東京理科大学の村上康文名誉教授が行った動物実験では7回から8回で全個体がほぼ死滅するとしている。 大手化学会社のバイエルで重役を務めるステファン・ウールレヒは2021年10月、「WHS(世界健康サミット)」の集まりで、「COVID-19ワクチン」は「遺伝子治療」の薬だと語っている。従来のワクチンとは違う未知の「治療薬」だということだ。 ファイザーと同じようにmRNA技術を利用しているモデルナの説明を読むと、彼らはその技術によってコンピュータのオペレーティング・システムと同じようなプラットフォームを作るつもりだ。同社の最高医療責任者のタル・ザクスが2017年12月にで行った講演の中で、癌を治療するために遺伝子を書き換える技術、つまりmRNA技術について説明した。 「COVID-19ワクチン」が危険な理由はmRNA技術以外にもある。スペインのパブロ・カンプラ教授は2021年6月、「mRNAワクチン」の中に「酸化グラフェン」があることを電子顕微鏡などで発見したと発表した。 有力メディアはこの発表に否定的な「報道」をしたが、7月になると少なからぬ人が注目するようになる。8月下旬には日本政府が「モデルナ製ワクチン」の中に磁石へ反応する物質が見つかったと発表、160万本が回収されたと伝えられた。グラフェンは磁石に反応する。 カンプラは11月、周波数の分析で酸化グラフェンが「ワクチン」に含まれていることを確認したと発表したが、その論文を読んだドイツの化学者、アンドレアス・ノアックは酸化グラフェンでなく水酸化グラフェンだろうと解説している。 ノアックによると、この物質は厚さが0.1ナノメートルの小さな板のようなもので、彼はカミソリの刃になぞらえていた。「mRNAワクチン」を接種すると、血管の中を小さな「カミソリの刃」が動き回り、傷つけるというわけだ。それ以外に何らかの影響を人体に及ぼす可能性は否定できない。 「COVID-19ワクチン」が危険だということは明らかで、個人の命だけでなく人類の存続を危うくする。 その危険な遺伝子操作薬を接種させるため、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)が世界に蔓延していると宣伝された。このパンデミック騒動は2019年12月の終わりに中国の湖北省武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が発見されたところから始まる。 この病気に関する発表は当初、疾病預防控制中心の高福主任が行っていた。この人物は1991年にオックスフォード大学へ留学して94年に博士号を取得したという経歴の持ち主で、99年から2001年までハーバード大学で研究し、04年までオックスフォード大学で教えている。NIAIDの所長を務めてきたアンソニー・ファウチの弟子とも言われている。コロナウイルスが全世界で流行するというシナリオのシミュレーション「イベント201」が2019年10月18日にニューヨークで実施されているが、それにも高福は参加していた。つまり高福は米英の医療利権と深く結びついている。 中国政府はCOVID-19対策を高福ではなく、中国軍の陳薇に任せた。この軍人は2002年から03年にかけて流行したSARSでも指揮している。その時の経験を活かし、今回もインターフェロン・アルファ2bを使ったところ、効果があった。そこで短期間に沈静化させることに成功したと言われている。 この医薬品はキューバで研究が進んでいるもので、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できた。この事実は中国やキューバなどで報道され、中国の習近平国家主席がキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたとも伝えられている。(中国紙、キューバ紙)中国はSARS1やSARS2に有効な薬があることを知っているはずで、ロックダウンの目的は病気以外にあったのだろう。 そのほか駆虫薬として知られているイベルメクチンが有効だということはメキシコの保健省と社会保険庁が実際に使って確認、また抗マラリア薬のクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文が2005年8月22日にウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載されている。 武漢ではSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が発見され、飛行機で感染が広まったと言うようなことが言われたが、疑問がある。武漢の患者、あるいは2020年2月に横浜港から出ようとしていたクルーズ船の「ダイヤモンド・プリンセス」で見つかった患者とパンデミック宣言後の「患者」とは症状が違うように思えるのだ。ソーク研究所は呼吸器でなく血管にダメージを与えるとしている。 WHOは2020年3月11日に「パンデミック」を宣言したのだが、それが可能だったのは「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前にパンデミックの定義が変更され、「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られたからだ。 しかもCOVID-19のケースでは、医学的な矛盾がなく、明白な別の死因がないならば、あるいは適度な確かさがあるならば死因をCOVID-19としてかまわないとWHOやCDCは2020年4月に通達している。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員によると、実際、病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいたという。その実態を告発する看護師も少なくなかった。患者数は大幅に水増しされたということだ。 患者数を大きく見せるために使われた仕掛けのひとつがPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)である。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だ。 アメリカでは検査のため、CDCがFDAに「2019年新型コロナウイルス(2019-nCOV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」のEUA(緊急使用許可)を発行させ、使用していた。 しかし、CDCは2021年7月、このパネルを同年12月31日に取り下げると発表した。この診断パネルはインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるとされていたが、区別できないことを認めざるをえなくなったようだ。コロナウイルスも「旧型」と「新型」を区別できないのではないだろうか。 この発表が出る前、5月1日にカリフォルニア大学、コーネル大学、スタンフォード大学を含む7大学の研究者は、PCR検査で陽性になった1500サンプルを詳しく調べたところ、実際はインフルエンザウイルスだったと発表している。この結論をカリフォルニア大学は間違いだと主張したが、その根拠は示されていない。CDCもこの報告を認めざるをえなかったのかもしれない。 実際に「新型コロナウイルス」が蔓延していたとしても、それは武漢で重症肺炎を引き起こしたウイルスとは違う可能性もある。全てが怪しい。
2023.03.25
4月21日午後7時から東京琉球館で「中露を中心に動き始めた世界でアメリカ帝国は生き残れるか?」というテーマで話します。予約受付は4月1日午前9時からとのことですので、興味のある方はEメールで連絡してください。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8Eメール:dotouch2009@ybb.ne.jp 中国の習近平国家主席が3月20日から22日にかけてモスクワを訪問、ウラジミル・プーチン大統領と両国の関係強化について話し合ったようです。習主席はウクライナの戦乱を終えるための提案をしたと言われていますが、それだけではないでしょう。両国の同盟を強化するため、中国が強い金融や経済、そしてロシアが強い軍事技術の問題も討議したはずです。 ロシアと中国には資源があり、技術力があり、金融や経済のインフラも整備されつつあります。アメリカやヨーロッパとは違い、侵略する必要がありません。 しかも中東ではアメリカの「同盟国」だったサウジアラビアがロシアに接近、中国を仲介者としてイランと国交を正常化させようとしています。ロシアの支援を受け、イランと関係の深いシリアがペルシャ湾岸の産油国と友好的な関係を結びつつありことも無視できません。またトルコやインドもロシアとの関係を強化、モンゴルも中露との関係を強めています。アメリカを中心とする支配システムが崩壊しつつあるという判断からロシアや中国と関係を深めているのでしょう。 アメリカの支配層は買収、恫喝、暗殺、クーデター、軍事侵攻といった手段で支配システムを維持、拡大してきました。支配される国々は快く思っていないはずです。 そのシステムを動かしているウォール街の金融資本はイギリスの金融資本、いわゆるシティと一心同体の関係にあり、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといったアングロ・サクソン系の国とも深く結びついています。日本が巻き込まれているのは、彼らの戦略上、必要だからにすぎません。 この勢力は19世紀にイギリスで始まった長期戦略に基づき、中国やロシアをミサイルで包囲、海洋支配を維持するために潜水艦を建造していますが、生産力の低下は軍事力の低下にもつながっていることは否定できません。 日本は極超音速ミサイルを開発する一方、極超音速滑空体を迎撃するミサイルの技術をアメリカと共同で研究しているようですが、ロシア軍はマッハ12で飛行するキンジャールを実戦配備しました。航空機、弾道ミサイル、巡航ミサイルに対応する防空システムS-500を生産していますが、こうした最新鋭の兵器が中国へ提供される可能性があるでしょう。 アメリカを中心とするシステムを動かしている人びとはメディアや学者を使い、幻影を人びとに見せて操ってきましたが、その手口は知られ始めています。バイオ技術やエレクトロニクス技術を駆使して人びとを操る仕組みを作ろうとしていますが、それに対する抵抗も弱くはありません。 世界は中国やロシアを中心に動き始めました。これまで世界を支配していたアメリカを中心とする勢力は支配者としての地位を維持しようと必死ですが、もがけばもがくほど状況を悪くしているようです。 4月21日には、アメリカ帝国が存続できるのかどうかについて考えてみたいと思います。櫻井春彦
2023.03.24
ロシア軍の一角を占めるワーグナー・グループはウクライナ軍の「地下要塞」があったソレダルを制圧した後、バフムート(アルチョモフスク)を包囲した。降伏しなければ戦死するしかない状況だが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「死守しろ」と命令、それに従って抵抗している兵士もいるようだ。 そうした中、ゼレンスキーはチャシブ・ヤー(チェソフィヤー)を訪れ、クリミアに対する攻撃を求めているアメリカ/NATOの意向を無視してバフムートの奪還を命じたという。ウクライナ軍は残った戦力をその攻撃に集中させるようなので、この作戦に失敗すると完全に壊滅することになる。最後の玉砕作戦になるかもしれない。 ドイツの戦車「レオパルト2」とイギリスの戦車「チャレンジャー2」をウクライナ軍は投入するというが、こうした戦車を操れるようにウクライナ兵を訓練する十分な余裕があったとは思えず、乗員も提供された可能性があるだろう。 イギリスのアナベル・ゴルディー国防相は3月20日、チャレンジャー2で使用する劣化ウラン弾をウクライナへ提供すると発表した。アメリカ軍はイラクのファルージャを攻撃した際に劣化ウラン弾を使用、放射能障害の原因になったとも言われている。劣化ウラン弾は小型核兵器のカモフラージュに使われたという噂もあった。 こうした戦車が投入されてもロシア側も高性能戦車は配備済み。しかも悪天候のために地面はぬかみ、戦闘でどの程度使えるか不明だ。戦力に余裕があり、ミサイルや航空兵力で圧倒しているロシア軍に対抗することは難しいと見られている。 この後、ウクライナ軍を操ってきたアメリカ/NATOがどのような行動に出るかは不明だが、ウクライナで戦争を始め、ウクライナ政府とロシア政府との停戦交渉を壊し、戦力を増強させる時間を稼ぐために停戦合意を利用したのは彼らだ。自分たちの目的を達成するためにウクライナを破壊することは厭わないだろう。
2023.03.23
台湾の総統を2008年5月から16年5月まで務めた馬英九が3月27日から4月7日にかけて学者や学生を率いて中国を訪問する。現総統の蔡英文は中国からの独立を実現するためにアメリカの属国になる道を選んだが、これは台湾の経済を破壊し、戦乱を招く行為。有権者に支持されていない。昨年11月に実施された地方選挙では蔡英文の民主進歩党が馬英九の国民党に大敗した。 アメリカのシステムは1970年代から金融が中心になり、国内の製造業は衰退、生産活動は低賃金国へ移動させた。アメリカの巨大資本は資源を支配、略奪するために海兵隊やCIAを利用してきたが、金融の仕組みも駆使している。ドルが基軸通貨として認められたことで、そうした支配システムが可能になったのだが、ドルが基軸通貨の地位から陥落しつつある。アメリカの支配システムがは崩壊し始めたということだ。 アメリカが軍事的にも弱体化していることが2008年8月の南オセチアによる戦闘とシリアでの戦争で明確になった。 南オセチアではイスラエルやアメリカの支援を受けたジョージアが奇襲攻撃したのだが、ロシア軍の反撃で惨敗。バラク・オバマが大統領に就任して3年目の2011年春、シリアはアメリカなどから軍事侵略を受けたが、バシャール・アル・アサド政権は倒れない。 そこでオバマ大統領は政府を好戦的な布陣に変更、2015年にアメリカ/NATO軍を直接介入させる動きを見せた。それに対し、シリア政府は2015年にロシアへ軍事介入を要請、マーティン・デンプシー統合参謀本部議長が退任した直後の9月30日にロシア軍は軍事介入、アメリカなどが手先として使っていたジハード傭兵を敗走させている。その年の10月7日にはカスピ海からシリアのターゲットへ向けて巡航ミサイルのカリブル26機を11のターゲットに向けて発射、いずれも数メートルの精度で命中した。そうしたミサイルの存在を認識していなかったアメリカ軍を震撼させたとも言われている。 ドナルド・トランプは大統領に就任して間もない2017年4月、地中海に配備されていたアメリカ海軍の駆逐艦、ポーターとロスからトマホーク59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したものの、約6割が無力化されている。ロシアの防空システムS-300やS-400だけでなくECM(電子対抗手段)で落とされたとも言われている。 翌年の4月にもトランプ政権は巡航ミサイルでシリアを攻撃する。この時はイギリスやフランスを巻き込み、100機以上のミサイルを発射したが、今度は7割が無力化されてしまった。前年には配備されていなかった短距離用防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったようである。 2014年2月にオバマ政権はウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行して政権転覆に成功しているが、これを切っ掛けにしてロシアと中国は戦略的な同盟関係を結び、世界がアメリカを見る目は厳しくなった。 こうしたことが影響したのか、中東で大きな変化が起こり始める。サウジアラビアがロシアへ接近、さらにイランとの関係修復に乗り出したのだ。 イラン側でメッセンジャーの役割を果たしていたのはイスラム革命防衛隊の「コッズ軍」を指揮していたガーセム・ソレイマーニー。この人物がサウジアラビアへの返書を携えてバグダッド国際空港に到着したところをアメリカ軍は2020年1月、無人機のMQ-9で暗殺している。イスラエルが協力していたともいう。 しかし、こうした暴力で流れを変えることはできなかった。今年3月10日に中国、サウジアラビア、イランは共同声明を発表、中国の仲介でサウジアラビアとイランが国交を正常化させ、それぞれ大使館を再開させることを明らかにした。サウジアラビア国王は自国にイラン大統領を招待している。 またシリアでの戦乱を終わらせるためにロシアはイランやトルコと協力して話し合いを進めていると伝えられているが、シリアはエジプトのほか、オマーンやアラブ首長国連邦といったペルシャ湾岸の産油国との関係を改善させている。こうした産油国の動きはサウジアラビアが事前に承認しているはずだと考えられている。 サウジアラビアをはじめとする産油国のアメリカ離れはドル体制を揺るがす可能性が高い。
2023.03.23
岸田文雄首相はウクライナを訪問する前、3月20日にインドで行った演説の中で、日本は2030年までに官民で750億ドル以上を投じると発表した。「自由で開かれたインド太平洋」のためだというが、その前には「アメリカにとって」という言葉が隠れている。 アメリカは2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ編成替えし、太平洋からインド洋にかけての海域を一体のものとして扱うことを明確にした。日本を太平洋側の拠点にし、インドを太平洋側の拠点にするのだという。両海域をつなぐのがインドネシアだとされている。 陸上自衛隊は南西諸島の離島に軍事施設を建設してきた。2016年に与那国島で、また19年には奄美大島と宮古島で建設され、今年3月16日には石垣島で開設された。 言うまでもなく、これはアメリカの戦略に基づくが、その戦略はアメリカ国防総省系のシンクタンク、「RANDコーポレーション」が昨年に発表した報告書のなかで明らかにされている。 それによると、アメリカ軍は中国をGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約がある。そこでアメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。 そこで、日本政府は射程距離が1000キロメートル程度のミサイルを開発し、艦艇、戦闘機、そして地上から発射できるようにする計画をたてた。地上発射の改良型は2024年度にも配備する方針だという。 その後、日本政府はアメリカから亜音速の巡航ミサイル「トマホーク」を購入する意向だという話が出てきた。トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。「反撃能力」というタグがつけられているが、実際は先制攻撃能力だ。攻撃する相手は中国だけでなく、その同盟国であるロシアも含まれる。 日本は射程距離が3000キロメートル程度のミサイルを開発し、2030年代の半ばまでに北海道へ配備する計画だとも伝えられている。それが実現するとカムチャツカ半島も射程圏内だ。岸田政権の与党である自由民主党と公明党は「敵基地攻撃能力」を日本が保有することで合意しというが、これは「先制攻撃」の言い換えにすぎない。 日本は技術力が低下しているアメリカを助けるため、高性能兵器の開発にも乗り出しているようだ。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。 極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。 アメリカ軍の別働隊であるNATOで事務総長を務めるイェンス・ストルテンベルグは2020年6月に「NATO2030」なるプロジェクトを始めると宣言したが、それによるとNATOの活動範囲を太平洋へ広げてオーストラリア、ニュージーランド、韓国、そして日本をメンバーにするのだとしている。 オーストラリアは2021年9月、イギリスやアメリカとAUKUSを創設したと発表したが、それと同時にアメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられた。ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると語っている。 その潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上、アメリカ海軍の潜水艦になる。山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明した。 アングロ・サクソンの世界戦略の基本はユーラシア大陸を取り巻く海域を支配することにある。そのためのインド・太平洋軍だ。その戦略にインドも取り込む必要があるのだが、そのインドはアメリカ離れし、ロシアに接近しつつある。日本はアメリカの代理人としてインドを750億ドル以上の資金で買収しようというわけだろう。
2023.03.22
インドを訪問していた岸田文雄首相はその足でウクライナへ向かったという。キエフでウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会うのだろうが、すでにウクライナは国として機能していない。 2004年から05年にアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権が仕掛けた「オレンジ革命」で大統領の座を奪取したビクトル・ユシチェンコは新自由主義的な政策を推進して経済を破壊、そうした政策への反発から2010年の大統領選挙で選ばれたビクトル・ヤヌコビッチは13年11月から14年2月にかけての時期に行われたネオ・ナチのクーデターで排除され、経済の崩壊は続いた。クーデターを仕掛けたのはバラク・オバマ政権だ。 ヤヌコビッチの支持基盤で、7割以上がロシア語を話す東部や南部では住民が憲法を無視したクーデターによる一方的な体制転覆を認めず、クーデター体制を拒否、内戦に発展する。当初、反クーデター軍が優勢だったが、ドイツやフランスが仲介する形で停戦が決まった。「ミンスク合意」だが、当事者だったアンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日、ツァイトのインタビューでこの合意はウクライナの戦力を増強するための時間稼ぎに過ぎなかったと語っている。メルケルと同じようにミンスク合意の当事者だったフランソワ・オランド元仏大統領もその事実を認めた。 キエフのクーデター体制はミンスク合意を守ろうとしなかったが、ドイツもフランスも平和を求めていなかった。勿論、アメリカもだ。戦力を増強するための時間が欲しかっただけである。つまりミンスク合意で平和が訪れるはずはなかった。 反ヤヌコビッチ政権のクーデターが計画されていると2013年11月20日にウクライナ議会で議員として警告したオレグ・ツァロフは22年2月19日に緊急アピール「大虐殺が準備されている」を出している。ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始すると警鐘を鳴らしたのだ。 その作戦にはロシア語系住民を狙った「民族浄化」が含まれ、キエフ政権の軍や親衛隊はドンバス(ドネツクやルガンスク)で自分たちに従わない住民を虐殺しようとしていると主張、SBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行するともしていた。 ツァロフがアピールを出した3日後にロシアのウラジミル・プーチン大統領がドンバスの独立を承認、2月24日にロシア軍はウクライナを巡航ミサイルなどによる攻撃を開始、航空基地や生物兵器研究開発施設を破壊したと言われている。 攻撃の際、ロシア軍は部隊を派遣して重要文書を回収している。そうした文書の中には、ゼレンスキーが1月18日に出した指示に基づいて親衛隊のニコライ・バラン上級大将が1月22日に攻撃の指令書へ署名、ドンバスを攻撃する準備が始まっていたことを示すものが含まれていた。2月中に準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたという。 その攻撃計画が始動する直前にロシア軍が動いたことになる。住民をウクライナの親衛隊は人質にとり、脱出を図った人などを殺傷しているが、少なからぬ住民がロシア軍の救出され、アゾフ大隊などクーデター体制側の残虐行為を証言している。 ロシア軍が攻撃を始めて間もない段階でゼレンスキー政権はロシア政府と停戦交渉を始めるが、アメリカやイギリスの命令で話し合いの道は断たれたわけだが、停戦交渉を仲介したイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットのインタビューが今年2月4日に公開されている。ベネットによると、話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだった。ゼレンスキー大統領はNATOへの加盟を諦めるとしたようだ。 2022年3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。ウクライナの治安機関SBUがゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺したのはその3月5日だ。SBUはCIAの下部機関だと見られている。 4月に入ると西側の有力メディアはロシア軍がブチャで住民を虐殺したと宣伝し始める。マクサー・テクノロジーズなる会社から提供された写真を持ち出され、3月19日に死体が路上に存在していたと主張しているが、その後の分析で事実でないことが確認されている。(この件については本ブログでも何度か書いているので、今回は割愛する。) そうした中、4月9日にボリス・ジョンソン英首相はキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令。4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。 その後、アメリカ/NATOはウクライナへ武器弾薬を供給、兵士を訓練して戦闘を継続させたが、ウクライナ軍は「玉砕攻撃」を強いられた兵士は戦死者の山を築く。昨年11月30日に欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長はウクライナの将校(将兵?)10万人以上が戦死したと語ったが、アメリカで2月に報道された情報によると、ウクライナ側の戦死者や負傷が原因で死亡した兵士の数は約26万人に達し、負傷者や障害者は約25万人、行方不明8万人、捕虜3万人だと推測されている。 ロシア側の戦死者は1万人余りだとみられているが、部分的動員で集めた30万人から40万人は訓練の終盤で、まだ大半は戦線に投入されていない。そうした中、3月20日に中国の習近平国家主席がモスクワを訪問、22日までロシアに滞在する。その際、習近平は和平案を提示、ウラジミル・プーチン露大統領は興味を示したようだが、ジョー・バイデン政権は和平を拒否した。 中国とロシアの首脳会談がモスクワで行われている最中の21日に岸田首相はキエフを訪問したわけだ。G7の首脳で岸田首相だけがウクライナを訪れていないので突如訪問したということではないだろう。バイデン政権の指示があった可能性が高い。 モスクワで中国とロシアの首脳がウクライナの和平だけを話し合ったとは思えない。ウクライナの問題はアメリカをはじめとするアングロ・サクソンの支配層が19世紀から維持している世界戦略の中から生まれたのである。ロシアを征服することが最終的な目標だが、中国もアヘン戦争以来、狙われている。 習近平は東アジアでの戦争を想定、最新型の防空システムや極超音速ミサイル(マッハ12)のキンジャールについても議論されたと推測する人もいる。日本が軍事力を急ピッチで増強していることが刺激になっているだろう。
2023.03.22
中国の習近平国家主席が3月20日、モスクワに到着した。22日までロシアを訪問、両国の関係が強化されていることを世界に示す。中国政府は2月24日にウクライナ危機への立場を発表しているが、アメリカは和平を拒否している。 その立場とは、すべての国の主権尊重、冷戦的な精神構造の放棄、敵対行為の終了、和平交渉の再開、人道危機の解決、市民と捕虜の保護、原発の安全維持、戦略的リスクの軽減、穀物輸出の促進、一方的制裁の中止、製造や供給の安全維持、紛争後の復興促進。この提案やウクライナでの和平実現をアメリカ政府は拒否している。 ウクライナの戦乱は短期的に見ても2010年の1月から2月にかけて実施された大統領選挙から始まる。この選挙でウクライナの東部と南部を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチが勝利、それを嫌ったバラク・オバマ政権がクーデタを計画、13年11月から実行に移したのだ。 クーデターは暴力的なもので、NATOの訓練を受けたネオ・ナチが利用された。ネオ・ナチのメンバーはチェーン、ナイフ、棍棒を手にしながら石や火炎瓶を投げ、トラクターやトラックを持ち出している。ピストルやライフルを撃っている様子を撮影した映像もインターネット上に流れていた。 ユーロマイダンでは2月中旬から無差別の狙撃が始まり、抗議活動の参加者も警官隊も狙われた。西側ではこの狙撃はヤヌコビッチ政権が実行したと宣伝されたが、2月25日にキエフ入りして事態を調べたエストニアのウルマス・パエト外相はその翌日、逆のことを報告していた。 2017年11月にはイタリアのドキュメント番組の中で3人のジョージア人が自分たちはユーロマイダンで狙撃したチームに参加していたと証言している。この3人は治安部隊のメンバーとしてジョージアから送り込まれたのだが、警官隊と抗議活動参加者、双方を手当たり次第に撃つよう命じられたとしている。(その1やその2) この3人も狙撃の指揮者はクーデター派の幹部だったアンドレイ・パルビーだと語っているが、パルビーが狙撃手と見られる人びとが建物から出てくる様子を撮影した写真も存在する。 2014年5月2日にはオデッサで反クーデター派の死因を虐殺する出来事もあった。その日、オデッサではサッカーの試合が予定されていて、フーリガンを含むファンが列車で到着、街に出るのだが、その一団をネオ・ナチの中核組織である「右派セクター」が挑発、ファンの集団を反クーデター派の住民が2月から活動の拠点にしていた広場へと誘導していく。 一方、ネオ・ナチのメンバーは広場に集まっていた住民に暴漢が迫っていると伝え、労働組合会館へ避難するように説得、女性や子どもを中心に住民は建物の中へ逃げ込んだ。その建物の中でネオ・ナチのグループは住民を虐殺、上の階へ逃げた人びとを焼き殺すため、放火した。屋上へ逃げられないようドアはロックされ、外へ逃げた住民は撲殺されたようだ。この時、会館の外で撮影された少なからぬ映像が存在、内部の無残な様子も撮影されている。 この時に50名近くの住民が殺されたと伝えられているが、これは地上階で確認された死体の数にすぎない。地下室で惨殺された人を加えると120名から130名になると現地では言われていた。 5月9日にはクーデター軍がマリウポリの市内へ戦車を突入させ、住民を殺しているが、その様子も携帯電話で撮影され、世界へ流された。5月11日にはドンバスで自治(ドネツク)や独立(ルガンスク)の是非を問う住民投票が実施され、ドネツクでは89%が賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が賛成(投票率75%)している。この結果を受けてドンバスの住民はロシア政府の支援を求めたが、ロシア政府は助けなかった。 デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りした6月2日にクーデター政権はルガンスクの住宅街を空爆、住民を殺しているが、その様子を撮影した映像もインターネット上にアップロードされていた。OSCE(欧州安保協力機構)も空爆があったことを認めている。 後にマリウポリはネオ・ナチを主体とするアゾフ特殊作戦分遣隊(通称、アゾフ大隊、あるいはアゾフ連隊)が拠点にしている。この武装勢力は内務省に設置された親衛隊の中核で、住民にとっては占領軍にほかならない。 アメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用してウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒してロシアに「チェックメイト」を宣言した当時、中国はアメリカの影響下にあると日本やアメリカなどでは信じる人が少なくなかった。「カネ儲けさせておけば中国人は言いなりになる」と言う人もいた。 しかし、こうした見方は間違っていた。ビジネスやアカデミーの世界はアメリカ支配層に支配されているが、政治の世界に食い込むことができなかったのだ。共産党の体制は盤石だった。2014年にはウクライナのクーデターと同時に香港で「佔領行動(雨傘運動)」と呼ばれる反中国政府の運動が実行されたが、中国の体制は揺るがない。この反政府運動はアメリカのCIAとイギリスのMI6が黒幕だと言われているが、そうした背景を中国政府もわかったはずだ。その後、パイプライン、道路、鉄道などでロシアと中国は結びつきを強め、戦略的同盟関係を結ぶことになった。
2023.03.21
ポーランドのジャン・エメリク・ロシシェフスキ駐仏大使の発言が話題になっている。「ウクライナが独立を守れない場合、私たちは選択の余地なく、紛争への参加を余儀なくされる」、つまりロシアと戦争を始めるというわけだ。 この発言をポーランド大使館は否定しているようだが、アングロ・サクソンの補完国として生きてきたポーランドの大使ならありそうな話だとは言える。 ポーランドは歴史的に反ロシア意識が強く、1904年には反ロシア運動の指導者だったユゼフ・ピウスツキが来日、運動へ協力するよう日本側の説得を試みている。反ロシア運動を強化するため、ポーランドでは1925年には「プロメテウス同盟」という地下組織も編成。ピウスツキの後、ポーランドの反ロシア運動で大きな影響力を持つのはウラジスラフ・シコルスキーだ。 ポーランドはカトリック国だが、中央ヨーロッパをカトリックで統一しようという動きがあり、インテルマリウムが組織された。その組織はイギリスやフランスの情報機関から支援を受け、国家間の勢力争いと深く結びつく。この構想は今も生きていて、現在は「3SI(三海洋イニシアチブ)」と呼ばれている。 1922年には中央ヨーロッパを統一する目的でPEU(汎ヨーロッパ連合)が創設された。その中心にはオットー・フォン・ハプスブルク、リヒャルト・フォン・クーデンホーフ-カレルギー、そしてウィンストン・チャーチルが含まれていた。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) クーデンホーフ-カレルギーの父親はオーストリア・ハンガリー帝国の外交官として1892年に来日、青山みつと結婚した人物で、イタリアの有力貴族であるバレリオ・ボルゲーゼと親しい。ボルゲーゼはファシストに近く、戦後もCIAと共同で秘密作戦に従事していた。 第1次世界大戦で負けたドイツは領土を削られ、ドイツ本国と東プロイセンの間にポーランド領(ポーランド回廊)ができる。東プロイセンは飛び地になったのだ。この領土問題を解決しようとドイツはポーランドに働きかける。 領土交渉が合意に近づき、1939年3月21日にポーランドのジョセフ・ベック外相がドイツのベルリンを訪問することになったのだが、ベックは姿を現さない。ロンドンへ向かったのだ。 ロンドンではアドルフ・ヒトラーをどうするかを決めるため、各国の指導者が集まっていた。そして3月26日にポーランドはドイツに対し、回廊をドイツに返還しないと通告する。 その年の8月11日にイギリスとソ連はドイツ問題で交渉を開始、ソ連の国防相(国防人民委員)と参謀総長はポーランドの反対が解決されれば、ドイツを封じ込めるために軍隊をドイツとの国境へ派遣する用意があると提案している。 イギリスのテレグラフ紙によると、部隊の規模は120歩兵師団と16騎兵師団だが、イギリスの代表は交渉する権限がないという理由で回答を拒否。イギリスとの交渉に見切りをつけたソ連は1939年8月23日にドイツと不可侵条約を結ぶ(Nick Holdsworth, “Stalin ‘planned to send a million troops to stop Hitler if Britain and France agreed pact’, the Telegraph, 18 October 2008)のだが、これは「ミンスク合意」のようなもので、守られない。 1939年9月1日にドイツ軍はポーランドへ軍事侵攻。チェコスロバキア侵攻のケースでは黙認したイギリス、フランス、オーストラリア、そしてニュージーランドが9月3日に宣戦布告して第2次世界大戦は始まったのだが、ドイツはそれから半年間、目立った戦闘を行なっていない。イギリスやフランスもドイツとの本格的な戦闘を始めない。「奇妙な戦争」の期間だ。ドイツはこの時点で大規模な戦争を始める準備をしていなかった可能性が高い。そしてバルバロッサ作戦へと進む。 シコルスキーはパリへ脱出、1939年9月に亡命政権を作り、翌年6月にウィンストン・チャーチルと会談、ポーランドがイギリスと一緒に戦うことを約束、亡命政権はロンドンへ移動する。 シコルスキーの側近のひとりだった人物がユセフ・レッティンゲルだが、この人物はヨーロッパをイエズス会の指導の下で統一しようと活動していた。大戦後の1952年にはオランダのベルンハルト(ユリアナ女王の夫)へ接近し、「ビルダーバーグ・グループ」を創設する。さらに、アメリカのハリー・トルーマン政権やドワイト・アイゼンハワー政権につながった。レッティンゲルはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントでもあった。
2023.03.20
ICC(国際刑事裁判所)は3月17日、ロシアのウラジミル・プーチン大統領と子どもの権利オンブズマンであるマリア・リボバ-ベロバに対する逮捕令状を発行した。子どもをウクライナから「強制移住」させたことが理由だという。ウクライナ軍によるドンバス攻撃が切迫する中、子どもを含む住民を避難させたことが犯罪行為だという主張だ。ちなみに、ICCの現裁判長はポーランド人のピョートル ヨゼフ ホフマンスキだ。 ウクライナ軍とはキエフ体制の軍隊だが、この体制は2014年2月にアメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した後に樹立された。ドンバスを含むウクライナの東部や南部はヤヌコビッチの支持基盤で、住民の7割以上がロシア語を使う。文化的にも宗教的にもロシアに近い。アメリカはウクライナを支配するために制圧しようとし、住民はクーデターを拒否し、内戦になった。こうした経緯は本ブログでも繰り返し書いてきた。 クーデター体制が制圧した地域にもロシア語系の住民は少なくない。そうした人びとをキエフ政権は弾圧してきた。イスラエルが「建国」される際、欧米の富豪を後ろ盾とするシオニストがパレスチナで行ったことの再現だとも言える。 キエフ政権が送り込んだ親衛隊が敗走した後、人質になっていた住民が脱出、外部のジャーナリストと接触できるようになった。そうした住民はマリウポリにおける親衛隊の残虐行為を証言、映像をツイッターに載せていた人もいた。その人のアカウントをツイッターは削除したが、削除しきれていない。(例えばココやココ) その後も脱出した市民の声が伝えられている。現地で取材していいる記者がいるからで、その中にはフランスの有力メディアTF1やRFIのほか、ロシアやイタリア人の記者もいたという。 マリウポリにある産婦人科病院を3月9日に破壊したのはロシア軍だという話を西側の有力メディアは広げていたが、そうした「報道」でアイコン的に使われたマリアナ・ビシェイエルスカヤはその後、報道の裏側について語っている。 彼女は3月6日、市内で最も近代的な産婦人科病院へ入院したが、間もなくウクライナ軍が病院を完全に占拠、患者やスタッフは追い出されてしまう。彼女は近くの小さな産院へ移動した。最初に病院には大きな太陽パネルが設置され、電気を使うことができたので、それが目的だろうと彼女は推測している。 そして9日に大きな爆発が2度あり、爆風で彼女も怪我をした。2度目の爆発があった後、地下室へ避難するが、その時にヘルメットを被った兵士のような人物が近づいてきた。のちにAPの記者だとわかる。そこから記者は彼女に密着して撮影を始めた。彼女は「何が起こったのかわからない」が、「空爆はなかった」と話したという。 病院についてはオンライン新聞の「レンタ・ル」もマリウポリから脱出した別の人物から同じ証言を得ている。その記事が掲載されたのは現地時間で3月8日午前0時1分。マリウポリからの避難民を取材したのだが、その避難民によると、2月28日に制服を着た兵士が問題の産婦人科病院へやってきて、全ての鍵を閉め、病院のスタッフを追い払って銃撃ポイントを作ったとしている。 イギリスのBBCは3月17日、ロシア軍が16日にマリウポリの劇場を空爆したと伝えたが、それを伝えたオリシア・キミアックは広告の専門家だ。マリウポリから脱出した住民はカメラの前で、劇場を破壊したのは親衛隊だと語っている。 アゾフスタル製鉄所から脱出したナタリア・ウスマノバの証言をシュピーゲル誌は3分間の映像付きで5月2日に伝えたが、すぐに削除してしまった。親衛隊の残虐な行為を告発、ロシアへ避難し、戻る場所はドネツクしかないとし、ウクライナを拒否する発言が含まれていたからだ。 シュピーゲル誌はこの映像をロイターから入手したとしているが、ロイターが流した映像は編集で1分間に短縮され、アメリカのジョー・バイデン政権やウクライナのゼレンスキー政権にとって都合の悪い部分が削除されていた。 親衛隊に占領されていた地域から脱出した住民はウスマノバと同じように親衛隊の残虐な行為を非難、ウクライナ軍の兵士も親衛隊を批判している。こうした証言を西側の有力メディアは隠していた。
2023.03.20
アメリカ主導軍がイラクを先制攻撃したのは2003年3月20日早朝のこと。今から20年前のことだ。 作戦に参加したのは事前にクウェートへ送り込まれていたアメリカ軍兵士24万8000人、イギリス軍兵士4万5000人、オーストラリア軍兵士2000人、ポーランドの特殊部隊GROMの隊員194名、そしてクルドの武装集団ペシュメルガから7万人だという。ここでもポーランドはアングロ・サクソンの補完国として動いている。なおGROMはアメリカ陸軍の特殊部隊デルタフォースとイギリスのSAS(特殊空挺部隊)が1990年代に組織、訓練した軍事組織だ。 イラクが「大量破壊兵器」を保有しているとアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権は主張していたが、これは嘘だった。2001年9月11日に実行されたニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃(9/11)にも無関係。そこで統合参謀本部の内部にはイラクへの軍事作戦に反対する声が存在、実施時期が半年から1年延びたと言われている。 イラクのサダム・フセイン体制を破壊することは1980年代からネオコンが計画していたこと。フセイン政権を倒して親イスラエル体制を樹立してイランとシリアを分断、それぞれを破壊しようと考えていた。 欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めたウェズリー・クラークによると、1991年に国防次官だったポール・ウォルフォウィッツはイラク、イラン、シリアを殲滅すると口にしていた。9/11から10日ほど後には統合参謀本部で見た攻撃予定国のリストにはイラク、ついでシリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランが載っていたという。(3月、10月) ネオコンは1992年2月、ソ連が消滅した直後に国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランを作成している。作成の中心がポール・ウォルフォウィッツ国防次官だったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。このドクトリンをベースにしてネオコン系シンクタンクPNACは2000年に「アメリカ国防の再構築」を発表、それに基づき、ジョージ・W・ブッシュ政権は軍事政策を作成している。 CIAは2002年に対イラク工作を始めているが、その年の11月に中東全域のCIA支局長がロンドンのアメリカ大使館に集められ、IOG(イラク作戦グループ)から対イラク戦争は決定済みであり、嫌なら辞めろと脅されたという。(James Risen, “State of War,” Free Press, 2006) 大量破壊兵器に関する偽情報をコリン・パウエル国務長官は国連で主張している。パウエルは2003年2月、国連でサダム・フセイン政権が間違いなく生物兵器を開発、生産能力もあると発言しているのだ。パウエルの次官だったシャルロット・ビアーズは「マディソン街の女王」と呼ばれる人物で、大手広告会社の会長兼CEOを務めていた。 ビアーズの手法は単純化と浅薄化。イメージが問題なのであり、詳しく丁寧には説明しない。イラクへの先制攻撃をアメリカ政府は「イラクの自由作戦」と命名したが、これもビアーズのアドバイスに従ってのことだという。ブッシュ大統領が「この戦争は平和のため」と発言したのも彼女のアドバイスによる。(Alexander Cockburn & Jeffrey St. Clair, “End Times”, CounterPunch, 2007) イラクに軍事侵攻したアメリカ軍は破壊と殺戮を繰り広げ、捕虜に対する拷問も明らかになっている。戦争で死亡したイラク人の数を西側の政府やメディアは小さく見積もっているが、アメリカのジョーンズ・ホプキンス大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究によると、2003年の開戦から06年7月までに約65万人のイラク人が殺されたとされている。またイギリスのORBは2007年夏までに94万6000名から112万人、NGOのジャスト・フォーリン・ポリシーは133万9000人余りが殺されたとしている。 イギリスのトニー・ブレア政権は戦争を支援している。2015年10月に判明したコリン・パウエルの書いたメモによると、2002年3月28日にブレア首相はパウエルに対し、アメリカの軍事行動に加わると書き送っている。CIAの動きを見てもブッシュ政権は2002年の段階でイラクを攻撃しようとしていたように見えるが、実行しなかった。統合参謀本部の内部に反対意見があったからだと言われている。イラクへの軍事侵攻に「大義」がなく作戦が無謀だと反対していたというのだ。 そうした中、ブレア首相はブッシュ大統領に助け船を出す。2002年9月にブレア政権は「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」というタイトルの報告書、いわゆる「9月文書」を作成している。これは有力メディアにリークされ、サン紙は「破滅から45分のイギリス人」というセンセーショナルなタイトルの記事を掲載している。 この報告書をパウエル国務長官は絶賛したが、大学院生の論文を無断引用した代物。別に執筆者がいるとも噂されているが、信頼できるものではなかった。その文書をイギリス政府はイラクの脅威を強調するため改竄する。 2003年5月にBBCの記者だったアンドリュー・ギリガンはラジオ番組で「9月文書」を取り上げ、内容が粉飾されていると語る。サンデー・オン・メール紙で彼はアラステアー・キャンベル首席補佐官が情報機関の反対を押し切って「45分話」を挿入したと主張した。 ギリガンが「45分話」を語った直後、デイビッド・ケリーが情報源だということをブレア政権は突き止める。ケリーは国防省で生物兵器防衛部門の責任者を務める専門家で、イギリスの情報機関から尋問を受けている。 ケリーの名前は7月9日にリークされ、7月15に地下要塞に彼は外務特別委員会へ呼び出される。そして7月17日に変死した。公式発表では手首の傷からの大量出血や鎮痛剤の注入が原因で、自殺だとされているのだが、手首の傷は小さく、死に至るほど出血したとは考えにくい。 ケリーと親しい言語学者のマイ・ペダーソンによると、ケリーは古傷のため、右手でブリーフケースを持ったりドアを開けたりすることができなかった。右肘に障害があったのだ。(Miles Goslett, “An Inconvenient Death,” Head of Zeus, 2018) ステーキを切ることもできなかったとも言われ、その右手で左手の手首を切ったという主張には無理がある。救急救命士のバネッサ・ハントによると、ケリーの左の手首には乾いた血がこびりついているだけで傷は見えなかったという。ハントの同僚であるデイビッド・バートレットはケリーの服についていた血痕は、ジーンズの膝についていた直径4分の1インチ(6ミリメートル)程度のものだけだったと証言している。(前掲書) しかも手首を切ったとされるナイフから指紋が検出されていない。死体の横には錠剤が入った瓶が転がっていたのだが、その瓶からもケリーの指紋は検出されていない。 また、最初に発見されたときには木によりかかっていたとされているが、救急救命士と救急隊員は仰向けになっていたと証言、ふたりの救急関係者が現場へ到着したとき、ふたりの警官だけでなく「第3の男」の男がいたともしている。これ以外にもケリーの死には謎が多い。 ケリーはイラクの大量破壊兵器がないとブレア首相に説明していたのだが、そのブレアは偽情報で世論を戦争へと誘導しようとしていた。それに恐怖したケリーはギリガンに事実を伝え、それから間もなく死亡した。その後、BBCはブレア政権から激しく攻撃された。執行役員会会長とBBC会長は辞任に追い込まれ、ギリガンもBBCを離れることになる。現在のBBCはそうしたトラブルに巻き込まれることはなさそうだ。 ブッシュ大統領は2003年の一般教書演説の中でサダム・フセインがアフリカから相当量のウラニウムを入手しようとしていると主張しているが、イラクがニジェールからイエローケーキを購入することで合意したという覚書を調査したジョセフ・ウィルソン元駐ガボン大使は大統領の発言が事実に反すると2003年7月6日付けニューヨーク・タイムズ紙に書いている。 IAEA(国際原子力機関)もその文書を入手、文書をチェックしたところ、基礎的な事実関係を間違えている稚拙な代物で、すぐに偽物だと見抜いている。 ウィルソンの告発記事が出た8日後、ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、ロバート・ノバクはコラムの中で、ウィルソンの妻であるバレリー・ウィルソン(通称、バベリー・プレイム)がCIAの非公然オフィサーだという事実を暴露した。 アメリカ主導軍がイラクを先制攻撃した後、中東から北アフリカにかけての地域は戦乱で破壊され、人びとは塗炭を舐めさせられている。ネオコンは戦乱をウクライナへも飛び火させ、現在、東アジアの破壊を目論んでいる。
2023.03.20
シリコンバレー銀行(SVB)が破綻したとアメリカの連邦預金保険公社(FDIC)は3月10日に発表した。アメリカで16番目に大きな銀行だというだけでなく、アメリカを中心とする金融システム自体が崩壊し始めたと懸念する人は少なくない。そうした中、スイスのクレディ・スイスが破綻するのではないかと言われている。金融危機のキーワードはデリバティブだろう。 こうした事態は以前から予想されていたことで、ドル体制の崩壊はイングランド銀行元総裁のマーク・カーニーも予見していた。だからこそWEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブは2020年6月、新たなシステムを築くために「資本主義の大々的なリセット」を実行すると宣言したのだ。そのための仕掛けがCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動にほかならない。 人びとを恐怖させる「悪霊」として使われてきたCOVID-19の正体は明確でないが、怪しい点が多いとは言える。そのCOVID-19対策だとして少なからぬ国がロックダウン(監禁政策)を実施、社会は収容所と化し、監視システムが強化された。人びとは囚人と化したとも言える。 人びとを管理するため、デジタルIDの導入も図られた。先行していたのは欧州委員会で、2019年に同委員会が公表した指針によると、EU市民向けの「ワクチン・カード/パスポート」を2022年に実現することになっていた。 その背景には、2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」がある。その中で示された「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を管理しようというのだ。日本では戸籍で管理しているが、そうしたシステムが存在しない国も存在する。全ての人を記録するため、デジタルIDの導入が進められることになったのである。 その計画をどのように導入を進めるかが2016年5月に国連本部で討議され、18年9月にデジタルIDが打ち出され、19年には新しいプログラムはスタートした。その年の1月にWEFでその方針が確認されている。このプログラムに合わせるかのようにしてCOVID-19騒動の幕は上がったのだ。 デジタルIDの将来についてWEFのシュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組で語っている。デジタルIDをマイクロチップ化し、そのチップをまず服に取り付ける。次の段階ではチップを皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するというのだ。一人ひとりの感情を監視するだけでなく、思想や記憶の管理も考えているようだ。 COVID-19対策として「ワクチン」と称する遺伝子操作薬の接種が推進されたが、すでに深刻な副作用が報告され、少なからぬ人が死亡している。中長期的にどのようなことが起こるかは不明だが、血管、心臓、神経などだけでなく卵巣や精巣がダメージを受けていることから、人類は次の世代を作れなくなるのではないかと懸念されている。トーマス・マルサス以来、人口を減らしたいと考える「エリート」が存在する。 こうしたことを含めての「リセット」だろうが、その前に立ち塞がっているのがロシアのウラジミル・プーチンであり、中国の習近平が協力し始めている。欧米の支配層はロシアや中国を屈服させるために戦争を始めたが、欧米は劣勢。ウォール街やシティは死に物狂いだろう。
2023.03.19
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は3月10日現在、3万4517名に達した。VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%、あるいは数%にすぎないと言われている。 以前に比べて死亡者数が減少しているが、その理由は「ワクチン」の接種数が減っているからだろう。2020年12月頃から接種が始まり、21年に本格化するが、すぐに深刻な副作用が報告され始めた。2022年に入ると世界的に接種件数は減少するが、そうした動きに逆らって打ち続け、死亡者数を増やしているのが日本にほかならない。正気ではない。 接種が始まる前からADE(抗体依存性感染増強)を懸念する人は少なくなかったが、懸念された通りになっているようだ。早い段階から帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)の発症が報告され、子宮内膜の癌が増えているとする話も出た。 コロナウイルスの表面にはスパイク・タンパク質と呼ばれる突起物があり、「mRNAワクチン」はそのスパイク・タンパク質を体内の細胞で製造して抗体を作らせ、免疫を高めることになっている。 しかし、抗体には感染を防ぐ「中和抗体」と感染を防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させ、ADEを引き起こすと考えられているのだ。 そうなると、人間の免疫システムに任せておけば問題のない微生物で深刻な病気になるのだが、スパイク・タンパク質自体が人体にダメージを与えていることが2021年3月の段階で指摘されている。アメリカのカリフォルニア州サンディエゴ郊外にあるソーク研究所がスパイク・タンパク質によって病気が引き起こされている可能性があるとする論文を発表したのだ。解説記事も出された。呼吸器ではなく血管にダメージを与えているという。脳へウイルスが侵入した形跡がないにもかかわらず、神経系の症状が出るのもそのためではないかと言われている。 人間の免疫システムは人体に害を及ぼす物質を作る細胞を攻撃するのだが、その細胞は人体。自己免疫疾患だが、それに対応するため免疫力が低下する。その結果、通常なら問題にならない微生物でも深刻な症状が現れ、癌ができる。いわば「エイズ状態」だ。 スパイク・タンパク質を生み出すだけでなく、「COVID-19ワクチン」は人体に有害な物質を含んでいると言われている。「mRNAワクチン」の場合、mRNAを輸送するためにLNP(脂質ナノ粒子)が使われているが、そのLNPは人体に有害な物質。投与されたLNPは肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布すると報告されている。そこでLNPが卵子に悪い影響を及ぼすのではないかた言われていたが、ここにきて精子にもダメージを与えると言われている。しかも遺伝する恐れがあるという。 また、スペインのパブロ・カンプラ教授は2021年6月、「mRNAワクチン」の中に「酸化グラフェン」があることを電子顕微鏡などで発見したと発表した。同教授は11月、周波数の分析で酸化グラフェンが「ワクチン」に含まれていることを確認したと発表したが、その論文を読んだドイツの化学者アンドレアス・ノアックは酸化グラフェンでなく水酸化グラフェンだろうと推測している。 世界に衝撃を与えたのはイスラエルからの心筋炎や心膜炎に関する報告。同国では2020年12月から21年3月にかけて一気に接種したが、4月から十代の若者を含む人びとの間で心筋炎や心膜炎が増えていることが問題になりはじめたのだ。 当初、CDCは「COVID-19ワクチン」と心臓の炎症に関連性はないと主張するが、5月になると「ワクチン」のデータを見直すと言わざるをえなくなり、緊急会議を開催することになる。CDCのACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)は6月23日、「mRNAワクチン」と「穏やかな」心筋炎との間に関連がありそうだと言わざるをえなくなった。 そして6月25日、FDAはmRNA(メッセンジャーRNA)技術を使ったファイザー製とモデルナ製の「COVID-19ワクチン」が若者や子どもに心筋炎や心膜炎を引き起こすリスクを高める可能性があると発表する。その後、「COVID-19ワクチン」が心筋炎、心膜炎、横紋筋融解を引き起こしていることも解剖で確認されている。 そうした状況を生み出した「COVID-19ワクチン」は正規の安全性確認手順を踏んでいない。「緊急事態」だというのだが、「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する前に使われていたパンデミックの定義には該当しない状況だった。定義の変更で「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られている。 治療薬がないとも主張されていたが、これは事実に反する。有効な薬の使用が認められなかっただけのことである。 COVID-19騒動は2019年12月に中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかったところから始まる。SARSは2002年11月から03年7月にかけて中国の広東省や香港を中心に8000人余りが感染したというが、「世界的な感染爆発」ではない。 今回、武漢で肺炎患者が発見されると、SARSを押さえ込んだ中国軍の陳薇が対策を指揮。陳薇はSARSの経験からキューバで研究が進んでいる「インターフェロン・アルファ2b」を試したところ、今回も有効だった。この薬はリンパ球を刺激して免疫能力を高める効果があるとされ、吉林省の長春にこの薬の製造工場がある。 そのほか駆虫薬として知られているイベルメクチンが有効だということはメキシコの保健省と社会保険庁が実際に使って確認、また抗マラリア薬のクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文が2005年8月22日にウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。 COVID-19を悪霊化するため、CDCは「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」を作り出し、FDAは2020年2月4日にEUA(緊急使用許可)を発行した。ちなみに、その当時、SARS-CoV-2は単離されていなかった。 しかし、CDCは2021年7月21日、この診断パネルのEUAを同年12月31日に取り下げると発表した。SARS-CoV-2とインフルエンザウイルスを区別できないからだというが、ならば「旧型」コロナウイルスと「新型」コロナウイルスの区別もできないのではないだろうか。 この発表が出る前、5月1日にカリフォルニア大学、コーネル大学、スタンフォード大学を含む7大学の研究者は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性になった1500サンプルを詳しく調べたところ、実際はインフルエンザウイルスだったと発表している。この結論をカリフォルニア大学は間違いだと主張したが、その根拠は示されていない。CDCもこの報告を認めざるをえなかったのかもしれない。 「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の危険性が広く知られるようになり、世界的に接種数は減少した。ところが日本だけは接種を推進、死亡者数が急増、福島県南相馬市ではmRNA技術を利用した製品を製造する工場が建設されている。
2023.03.18
中国やロシアを倒すしか生き残る道がないアメリカだが、その周囲から「同盟国」が離れ始めている。そうした中、アメリカの手先になろうとしているのが日本と韓国だ。3月16日には尹錫悦大統領が来日、岸田文雄首相と会談した後、すき焼きやオムライスを食べたらしい。その2日前、シリアのバシャール・アル・アサド大統領はモスクワを訪問している。 シリアは2011年春から軍事侵略を受けている。バラク・オバマ政権はリビアやシリアの体制を転覆させるため、ムスリム同胞団やサラフィ主義者を中心とする戦闘集団を送り込んだのだが、アメリカ政府の内部には、そうした政策を危険だと考える人もいた。そうした人びとをオバマ大統領は2015年に追い出している。 2月には国防長官をチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ交代、9月には統合参謀本部議長をマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させた。デンプシーが退任した5日後、9月30日にロシアはシリア政府の要請で軍事介入、アメリカの手先として活動していたジハード傭兵を敗走させた。 そこでアメリカは新たな手先としてクルドを使い始めるが、そのクルドとジハード傭兵の戦い、さらに傭兵相互の戦いが展開されている。しかもクルドを使いながらアメリカ軍はシリア領内に基地を建設、石油の盗掘も行ってきた。 そうした内戦を終わらせるため、ロシアはイランやトルコと協力して話し合いを進めていると伝えられているが、イランは中国の仲介でサウジアラビアと国交を回復、この3カ国は今年3月10日に共同声明を発表した。それぞれ大使館を再開させることを明らかにしている。 その前日、ロシア軍は極超音速ミサイル(マッハ12)のキンジャールを含む約80機のミサイルでリボフを攻撃した。地下80メートル、あるいは120メートルの場所にNATOの戦略司令部があり、その司令部が破壊されたと報道されている。 そこには300名以上のスタッフが常駐、その一部はイギリスやポーランドをはじめとするNATO諸国軍の将校で、アメリカ軍の将校もいたという。司令部は土砂で埋まり、死体の数は確認されていないようだが、相当数にのぼり、「影の参謀」とも言われているNATOの将校数十人が含まれているとも言われている。 ウクライナでの戦闘は昨年3月の段階でキエフ側の主体はNATO。アメリカのネオコンだけでなく、イギリスとポーランドがロシアとの戦争に積極的だ。ウクライナへ武器弾薬を供給、兵士を訓練、自国の特殊部隊を送り込み、軍事情報を提供しているだけでなく、作戦を指揮してきたと言われている。 3月14日には黒海をクリミアへ向かって飛行していたアメリカ空軍の偵察用無人機MQ-9が墜落したという。MQ-9は公海上を飛行していたとアメリカは主張するが、ウクライナに展開するロシア軍に関する情報を収集していた可能性が高く、その情報はウクライナ軍へ伝えられる。 アメリカが発表した映像では場所が特定できない。MQ-9は燃料をかけられたとされているが、レンズは汚れていないようだ。アメリカ側の主張が正しいなら、そうした行為はロシア軍機のパイロットにとっても危険だ。映像のつながりも不自然。 こうした疑問はあるが、この墜落がアクシデントでなかった可能性はある。ロシア軍のアメリカ軍に対する警告だったということだ。 ロシアとアメリカとの軍事的な緊張が高まる中、中国の習近平国家主席は3月20日から22日にかけてロシアを訪問してウラジミル・プーチン露大統領と会談する予定だ。 その後、ロシア軍は部分的動員で集め、軍事訓練を終えた兵士30万人から40万人ほどを戦線へ投入すると予想する人は少なくない。この予想が正しいならば、初めて本格的な軍事作戦を始めるということになる。
2023.03.18
陸上自衛隊の駐屯地が3月16日に石垣島で開設された。南西諸島の離島における軍事施設は2016年に与那国島で、また19年には奄美大島と宮古島で建設されている。日本では「防衛上の空白」を解消するためだと説明されているようだが、これは建前にすぎない。 日本はアメリカの属国であり、自衛隊はアメリカ軍の補完物にすぎない。軍事施設建設の目的はアメリカの戦略に基づく。その戦略はアメリカ国防総省系のシンクタンク、「RANDコーポレーション」が昨年に発表した報告書のなかで明らかにされている。 それによると、アメリカ軍は中国をGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけだ。ところが日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約がある。そこでアメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。その一環として石垣島の駐屯地も建設された。 そこで、日本政府は射程距離が1000キロメートル程度のミサイルを開発し、艦艇、戦闘機、そして地上から発射できるようにする計画をたてた。地上発射の改良型は2024年度にも配備する方針だという。 その後、日本政府はアメリカから亜音速の巡航ミサイル「トマホーク」を購入する意向だという話が出てきた。トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。「反撃能力」というタグがつけられているが、実際は先制攻撃能力だ。攻撃する相手は中国だけでなく、その同盟国であるロシアも含まれる。 日本は射程距離が3000キロメートル程度のミサイルを開発し、2030年代の半ばまでに北海道へ配備する計画だとも伝えられている。それが実現するとカムチャツカ半島も射程圏内だ。岸田政権の与党である自由民主党と公明党は「敵基地攻撃能力」を日本が保有することで合意しというが、これは「先制攻撃」の言い換えにすぎない。 日本は技術力が低下しているアメリカを助けるため、高性能兵器の開発にも乗り出しているようだ。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。 極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。 アメリカはロシアの周辺にもミサイルを配備しているが、これは軍事的に威嚇することが目的であり、状況によっては先制攻撃に使われる。アメリカは核兵器を開発して以来、常に先制攻撃のチャンスをうかがってきた。 例えばフォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキアー・リーバーとダリル・プレスの論文では、アメリカが近いうちにロシアと中国の長距離核兵器を先制第1撃で破壊する能力を持てるとしている。この雑誌はCFR(外交問題評議会)の定期刊行物で、アメリカ支配層の考え方が反映されている。 2019年にRANDが発表した「ロシア拡張」では、ロシアを弱体化させるためにウクライナへ殺傷兵器を提供し、シリアのジハード傭兵に対する支援の再開、ベラルーシの体制転覆を促進し、アルメニアとアゼルバイジャンの緊張を利用、中央アジアへの関心を強め、トランスニストリア(モルドバとウクライナに挟まれた地域)の孤立を強めるとしていた。 ウクライナでは昨年2月にロシア軍が介入したが、本体はまで戦場に姿を現していない。3月へ入る頃になるとキエフ政権は話し合いで解決しようとする動きを見せるが、アメリカやイギリスはそれを阻止するために恫喝、戦闘の継続を命じた。 しかし、ウクライナの軍事組織は壊滅、兵士の訓練、武器弾薬や軍事情報の提供だけでは対応できず、NATO軍が指揮しているようだ。事実上のNATO軍だが、ロシア軍の勝利は確実だと見られている。そうした中、戦争を推進してきたネオコンは好戦的な発言を繰り返し、東アジアでの軍事的な緊張を高めている。 ネオコンは1991年12月にソ連が消滅した直後、アメリカが「唯一の超大国」になったと認識、1992年2月にネオコンが支配していた国防総省において、DPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成した。その時の国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツだ。そのウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから、DPGは「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 ドイツを統一、日本を自らの戦争マシーンに組み込むことに成功したアメリカは世界制覇に乗り出したわけだが、その第1の目的は「新たなライバル」の出現を阻止することだ。旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジア、東南アジアにアメリカを敵視する勢力が現れることを許さないとしている。 1995年2月に発表されたジョセイフ・ナイの「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を受け入れた時点で日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。その延長線上に石垣島の軍事施設建設もある。 ところが、その世界制覇戦略はすでに崩れ始めている。世界的にアメリカ離れが起こっている一因はそこにあるのだが、明治維新からアングロ・サクソン系金融資本に従属してきた日本は破滅への道を歩き続けるようだ。
2023.03.17
米国欧州軍司令部によると、黒海を飛行していたアメリカ空軍の偵察用無人機MQ-9へロシア空軍に所属する2機のSu-27が接近し、衝突してMQ-9は墜落したという。ロシア国防省によると、トランスポンダーをオフにした無人機がクリミア半島へ接近、Su-27は緊急発進した。その無人機はコントロール不能になって海中へ墜落したが、ロシア軍機は搭載した武器を使っていないという。 ロシア軍のECM(電子対抗手段)能力は高い。2013年9月に地中海から発射された2機のミサイルが海中へ落下しているが、これはシリアを軍事的に制圧しようとしていたバラク・オバマ政権の命令による攻撃だったと見られている。イスラエルはミサイルの発射実験を行ったと発表したが、事前の警告はなく、事実ではないだろう。ロシア軍がECMで落としたと推測する人は少なくない。 ウクライナではネオ・ナチによるクーデターで合法政権が倒された2カ月後の2014年4月、アメリカ海軍の駆逐艦ドナルド・クックが黒海へ入り、ロシア領に接近した。ウクライナ全域の制圧を目指すアメリカによる恫喝だったのだろうが、その艦船の近くをロシア軍のSu-24が飛行すると状況が一変した。 ドナルド・クックはすぐルーマニアの港へ入り、その後、ロシアの国境には近づかなくなったのである。ロシアでの報道によると、ロシア軍機は「キビニECMシステム」を搭載、ドナルド・クックのイージス・システムを麻痺させたという。 MQ-9は公海上を飛行していたというが、ウクライナに展開するロシア軍に関する情報を収集していた可能性が高く、その情報はウクライナ軍へ伝えられる。 アメリカ/NATOは2014年2月のクーデターを準備している段階からネオ・ナチを戦闘員として訓練、武器弾薬や軍事情報を提供し、軍事作戦はNATOが立てていたと言われている。こうしたことはアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターも語っていた。公海上であろうとどこであろうと、MQ-9はロシア軍を攻撃するための情報活動、あるいは軍事侵攻のシミュレーションを行なっていたのだろう。 ウクライナ軍はアメリカが供給したJDAM-ER(射程延伸型統合直接攻撃弾)を既に使用していると言われているが、それに対し、ロシア軍は3月9日から極超音速ミサイル(マッハ12)のキンジャールを含む約80機のミサイルで攻撃し、ウクライナ側に大きな損害を与えた。 リボフの地下80メートル、あるいは120メートルの場所にはNATOの戦略司令部があると言われていたが、その司令部がキンジャールに破壊されたと報道されている。そこには300名以上のスタッフが常駐、その一部はイギリスやポーランドをはじめとするNATO諸国軍の将校で、アメリカ軍の将校もいたという。 司令部は土砂で埋まり、死体の数は確認されていないようだが、相当数にのぼり、「影の参謀」とも言われているNATOの将校数十人が含まれているとも言われている。この事実が表面化すると、NATO軍は文字通りロシア軍と直接、戦争状態にあることが知られてしまう。 ロシア政府は昨年9月21日に部分的動員を発表した。30万人から40万人が集まったと言われ、その大半は軍事訓練に回された。準備が整うまでに半年は必要だと言われているので、3月に訓練は終わると見られている。その部隊が戦線へ投入される日が近づいている。始めてロシア軍がウクライナで姿を見せるということだ。 ちなみに、MQ-9の墜落は事故でなく意図的なものだと考える人がいる。 ロシア政府による警告ということだ。
2023.03.16
武漢病毒研究所(WIV)とCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の起源を結びつける可能性のある情報の開示を求める法律がアメリカの上院と下院を通過した。議員や有力メディアは全情報の開示を定めているかのように宣伝しているが、その対象は中国の武漢病毒研究所関係に限られている。 すでにアメリカのエネルギー省はCOVID-19が武漢病毒研究所から漏れ出た可能性が高いと考えているとウォール・ストリート・ジャーナルは伝えていた。これまでアメリカの有力メディアを含め、COVID-19パンデミックを演出していた勢力はWIVから漏れ出たとする説を否定してきたわけで、方針の転換だ。 考えられる理由のひとつは、サーシャ・ラティポワが情報公開法で入手した文書の分析結果かもしれない。ラティポワは医薬品業界で25年にわたって研究開発に携わってきた人物だ。彼女によると、「COVID-19ワクチン」と称する遺伝子操作薬を摂取させる計画はバラク・オバマ政権の時代(2009年1月から17年1月)にアメリカの国防総省が始めている。 当初、COVID-19パンデミックを宣伝していた勢力がWIVからウイルスが漏れたとする説を否定していた。WIVはアンソニー・ファウチが所長を務めるアメリカのNIAID(国立アレルギー感染症研究所)、そしてその上部機関であるNIH(国立衛生研究所)と密接な関係にあるためだろう。 WIVにかぎらず、中国のアカデミーやビジネス界はアメリカ支配層の影響下にあり、NIAIDはWIVに対し、エコヘルス連合を介して2014年から数百万ドルを提供してきたと言われている。ウイルスがWIVから漏れ出たということになると、アメリカの政府機関が矢面に立たされることになるわけだ。エコヘルス連合でカネを処理していたのはピーター・ダスザクだという。NIHからWIVの石正麗に対し、研究費として370万ドルが提供されていたとも伝えられている。 資金面のつながりだけでなく、技術面でも結びついている。例えば石正麗とノースカロライナ大学のラフル・バリックは2015年11月にSARSウイルスのスパイク・タンパク質をコウモリのウイルス(SHC014-CoV)のものと取り替えて新しいウイルスを作り出すことに成功したともいう。 WIVへ戻った石正麗はSARSに似たコロナウイルスのスパイク・タンパク質が人間などの細胞のACE2(アンジオテンシン変換酵素2)と結びつくメカニズムを研究している。 WIVと同じように注目されている武漢大学動物実験センターはアメリカのデューク大学を関係が深く、両大学は2013年に昆山杜克大学を創設した。デューク大学はアメリカ国防総省の「DARPA(国防高等研究計画局)」と協力関係にあり、そのDARPAは2018年からコウモリからヒトへコロナウイルスを伝染させる研究を開始、中国との国境近くに研究施設を建設している。 中国と似た仕組みがウクライナにもあった。ロシア軍は昨年2月24日からウクライナに対する攻撃を始めたが、その過程でウクライナ側の重要文書の回収、その中にはウクライナで進められてきた生物兵器の研究開発に関する資料も含まれていたのだ。ロシア軍のイゴール・キリロフ中将を中心に生物兵器の研究開発について調べている。 ロシア側の発表によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が約30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていた。 ロシア国防省が発表したスライドによると、アメリカの民主党を病原体研究の思想的な支柱としている。その思想を実体化させる役割を負っているのが国防総省やCDC(疾病予防管理センター)を含むアメリカの政府機関だ。 資金はアメリカの予算からも出ているが、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、クリントン財団、ハンター・バイデンのロズモント・セネカ・パートナーズ、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ロックフェラー財団、エコヘルス同盟などもスポンサー。 そのほか、生物兵器の研究開発システムにはアメリカ大使館、国防総省の契約企業であるメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、スカイマウント・メディカル、そしてCH2Mヒルなど、またファイザー、モデルナ、メルク、ギリアドを含む医薬品会社が組み込まれ、ドイツやポーランドも関係していた。 こうしたシステムは生物兵器の研究開発だけでなく、医薬品メーカーは安全基準を回避して利益率を上げるためにウクライナの研究施設を利用しているともいう。ファイザーやモデルナといった医薬品会社やエコヘルス同盟が関係していることからウクライナの研究所はCOVID-19にも関係している疑いがある。 キリロフが記者会見でウクライナにおける生物兵器の問題について発表した翌日の昨年3月8日、アメリカの上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語っている。マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。つまりウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 ロシア軍の攻撃を受け、アメリカ国防総省は研究拠点を中央アジアや東ヨーロッパへ移動させ、ケニヤ、シンガポール、タイとの協力関係を強化したと伝えられている。 中国における伝染病対策の責任者は疾病預防控制中心の高福主任なのだが、2019年12月の終わりに中国の湖北省武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が発見された後、対策を指揮したのは中国軍の陳薇だった。 この人物はSARSが2002年から03年にかけて流行した際にも対策を指揮、その時の経験を活かして今回もインターフェロン・アルファ2bを使い、短期間に沈静化させることに成功している。 この医薬品はキューバで研究が進んでいるもので、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できた。この事実は中国やキューバなどで報道され、中国の習近平国家主席がキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたとも伝えられている。 当初、前面に出ていた高福は1991年にオックスフォード大学へ留学して94年に博士号を取得したという経歴の持ち主で、99年から2001年までハーバード大学で研究、その後04年までオックスフォード大学で教えている。NIAIDの所長を務めてきたアンソニー・ファウチの弟子とも言われている。 コロナウイルスが全世界で流行するというシミュレーション「イベント201」が2019年10月18日にニューヨークで行われているが、それにも高福は参加していた。その主催者はジョンズ・ホプキンス健康安全保障センター、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、そしてWEF(世界経済フォーラム)だ。 武漢病毒研究所の問題を掘り下げていくとNIAIDやNIHを含むアメリカの医療利権、そして国防総省が現れ、その背後には深い闇が広がっている。そうした闇に光が当たらないよう、情報公開の対象を武漢病毒研究所関係に限ったのだろう。
2023.03.15
中国の習近平国家主席は来週にもロシアを訪問、ウラジミル・プーチン露大統領と会談すると伝えられている。2月22日に王毅がモスクワを訪れた際、プーチンは習国家主席のロシア訪問を期待していると伝えていた。現在、王は中央外事工領導弁公室の主任。つまり中国の外交部門で中心的な役割を果たしている人物だ。 ウクライナでは戦略的に重要なバフムート(アルチョモフスク)をロシアの傭兵部隊ワーグナー・グループが攻撃している。すでに包囲、中心部に向かって進んでいるが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領から「死守」を命令されているウクライナ軍の兵士が激しく抵抗しているようだが、大勢に影響はないだろう。 バフムートにおける戦闘をゼレンスキー政権やアメリカ/NATOはドイツ軍が敗北した「スターリングラード」に準え、反撃が始まる印象を広めようとしているが、言うまでもなく、両ケースは根本的に違う。 スターリングラードの戦いはドイツが1941年6月に始めたソ連に対する侵略戦争のひとつの結果。この作戦にアドルフ・ヒトラー政権は300万人以上を投入、西部戦線に残ったのは90万人だけだと言われている。西側からの攻撃を想定しているとは思えない作戦を命じたのはヒトラーだ。 7月にドイツ軍はレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)を包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点まで迫る。10月3日にヒトラーはソ連軍が敗北するという見通しを口にした。同じ頃、ウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官だったヘイスティングス・イスメイは3週間以内にモスクワは陥落すると推測している。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) しかし、ドイツ軍はレニングラードを制圧できず、1942年1月にモスクワでソ連軍に降伏した。スターリングラード市内へ突入したのは8月になってからだ。つまりスターリングラードで戦況が逆転したわけではない。11月にソ連軍が猛攻撃を開始、ドイツ軍25万人はソ連軍に完全包囲され、1943年1月に降伏した。ちなみに、バフムートで包囲されているのは戦力を集中させているウクライナ軍だ。 アメリカ/NATOが新たなバルバロッサ作戦を始めたのは1990年代のことである。NATOを東へ拡大させ、2014年2月にウクライナを侵略したのだが、東部や南部の住民はクーデターを拒否、クリミアはロシアの保護下に入り、ドンバスでは内戦が始まった。 この内戦で勝利するためにアメリカ/NATOは8年かけてキエフ政権の軍事力を増強した。ミンスク合意はそのための時間稼ぎだったとアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領は語っている。 アメリカ/NATOがドンバスに対する大規模な軍事侵攻を昨年3月に始めようとしたことを示す文書をロシア軍は回収しているが、その計画が実行される前にロシア軍が動いた。ロシア軍は昨年2月24日に巡航ミサイル「カリブル」などでウクライナ軍の基地や生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃しはじめたのだ。それ以降、アメリカ/NATO/ウクライナは劣勢のままである。 ウクライナでの敗北が自分たちの破滅に直結するネオコンはゼレンスキー政権にロシアとの話し合いを止めるように命令、昨年3月5日にはゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフをウクライナの治安機関SBUがキエフの路上で射殺している。 その一方、アメリカ/NATOは大量の兵器を供給、その中にはアメリカのHIMARS(高機動ロケット砲システム)、イギリスのM270 MLRS(M270多連装ロケットシステム)、フランスのカエサル155mm自走榴弾砲、最近ではドイツの主力戦車レオパルト2をポーランドが提供している。またJDAM-ER(射程延伸型統合直接攻撃弾)をアメリカ政府が渡していたことも明らかになった。こうした軍事支援が行われているにもかかわらず、戦況に大きな変化は見られない。 しかし、投入されているロシア側の戦力が十分でないことは確かなようだ。その不十分な戦力でロシア軍は戦ってきた。昨年、ロシアの戦闘部隊はハリコフやヘルソンから撤退したが、これは戦力に合わせてのことだったのだろう。撤退した後に入ってくるウクライナ軍を砲撃やミサイルで攻撃できるという判断もあったと見られている。つまりトラップだ。ロシア側は撤退した部隊をバフムートへ移動させたと言われている。 そうした中、ロシア政府は昨年9月21日、部分的動員を発表した。30万人から40万人が集まったと言われているが、その大半は軍事訓練に回されている。準備が整うまでに半年は必要だと言われているので、3月に訓練は終わると見られている。つまり、習近平国家主席がロシアを訪問した後、戦線へ投入される可能性がある。
2023.03.14
ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、ネオコンの中心グループの属しているポール・ウォルフォウィッツは1991年の段階でイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていた。イラクのサダム・フセイン体制を倒してシリアとイランを分断したうえでシリアとイランを倒すというプランだ。(3月、10月) このプランが実行されるのは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されたが、それから10日ほど後にドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという。 イラクは2003年3月にアメリカ主導軍が先制攻撃、レバノンにはイスラエルが繰り返し軍事侵攻、シリアとリビアは2011年春にアメリカなどがアル・カイダ系武装集団を使って軍事侵略を開始しているが、シリアでの戦闘がアメリカにとって大きな計算違いになった。シリア軍が強く、倒れないのだ。 そこで2012年からシリアの反政府軍に対する軍事支援をアメリカは強化、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の誕生につながる。ダーイッシュは残虐さを演出していた。 それによってアメリカ/NATO軍の介入を正当化しようとしたのかもしれないが、シリア政府の要請で2015年9月にロシア軍が介入、アメリカ/NATOの手先として動いていた武装集団は敗走する。 ドナルド・トランプ政権は2017年4月に地中海に配備されていたアメリカ海軍の2隻の駆逐艦、ポーターとロスから巡航ミサイル(トマホーク)59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したものの、6割が無力化される。2018年4月にはイギリスやフランスを巻き込み、アメリカは100機以上の巡航ミサイルをシリアに対して発射したが、今度は7割が無力化されてしまう。前年には配備されていなかった短距離用の防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったと言われている。 ロシアの防空システムがアメリカのシステムよりはるかに性能が良いことが判明、シリアでロシア軍はその強さを世界に示すことになった。 そうした中、2017年10月5日にサウジアラビアのサルマン国王はロシアを訪問、ロシア製防空システムS-400を含む兵器/武器の供給をサウジアラビアは購入する意向だと伝えられた。アメリカの圧力で実現しなかったが、サウジアラビアのアメリカ離れがこのころから目につくようになる。 その後、サウジアラビアはイラクを介してイランと秘密裏に接触しはじめる。イラン側のメッセンジャーはガーセム・ソレイマーニーが務めた。この人物はイスラム革命防衛隊の特殊部隊とも言われるコッズ軍を指揮していたイラン国民の英雄だ。 この秘密交渉が表面化したのは2020年1月3日のことだった。その日にソレイマーニーがバグダッド国際空港でアメリカ軍によって暗殺されたのだ。イスラエルが協力したと言われている。その時、イラクの首相だったアディル・アブドゥル-マフディは、ソレイマーニーが緊張緩和に関するサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えていたと語っている。2021年8月にはサウジアラビアのハリド・ビン・サルマン副国防大臣がロシアを訪れ、ロシアのアレキサンダー・フォミン国防副大臣と両国の軍事協力を発展させることを目的とする協定に署名している。 今回の国交正常化交渉は中国が仲介したようだが、中国の戦略的な同盟国になったロシアも深く関与している。サウジアラビアだけでなく世界の少なからぬ国がアングロ・サクソンの時代は終わりつつあると考えているようだ。(了)
2023.03.13
中国、サウジアラビア、イランは3月10日に共同声明を発表、中国の仲介でサウジアラビアとイランが国交を正常化させ、それぞれ大使館を再開させることを明らかにした。 アメリカは基軸通貨とみなされてきたドルを発行する特権を利用して支配システムを築いてきた。そのシステムを維持するためにはドルを実社会から吸い上げる仕組みが必要。そのために金融緩和で投機市場を肥大化させたが、その前に石油取引の決済をドルに限定させている。いわゆる「ペトロダラー」だ。 ペトロダラーの仕組みを可能にしたのはサウジアラビアの協力があったからにほかならない。サウジアラビアに集まったドルはアメリカの財務省証券や高額兵器の購入などでアメリカへ還流させ、その代償としてサウジアラビアを軍事的に保護、その支配者一族の地位を永久に保障することをリチャード・ニクソン政権は保証した。この協定は1974年に調印されたという。これと基本的に同じ内容の取り決めをほかのOPEC諸国も結んだ。同じ構図は日本にも当てはまる。 イランがアングロ・サクソンに支配される最大の原因は石油だろう。イランで世界最大規模の油田が発見されたのはペルシャ時代の1908年5月のこと。その翌年にAPOC(アングロ・ペルシャン石油)が創設されてストラスコナ男爵(ドナルド・スミス)が会長に就任し、イギリスは1919年にペルシャを保護国にしてしまった。 その2年後、1921年にペルシャ陸軍の将校だったレザー・ハーンがテヘランを占領、その4年後にカージャール朝を廃してレザー・シャー・パーレビを名乗り、王位につく。これがパーレビ朝のはじまりだ。この「王朝」を利用してイギリスはペルシャを支配する。 イギリスは支配地を中東全域に広げるため、第1次世界大戦の最中、1916年5月にフランスとサイクス・ピコ協定を結んだ。オスマン帝国を解体し、両国で分割することを決めていたのだ。これは秘密協定だったが、ロシアの十月革命で成立したボルシェビキ政権が明るみに出したのである。 この協定が結ばれた翌月、イギリス外務省アラブ局はアラブ人を扇動して反乱を起こす。その部署にトーマス・ローレンス、いわゆる「アラビアのロレンス」も所属していた。その際、イギリスの工作員がワッハーブ派のイブン・サウドに接触、1927年にサウドは国を作り上げ、32年から国名はサウジアラビアと呼ばれるようになる。1935年にAPOCは社名をAIOC(アングロ・イラニアン石油)へ変更した。 第2次世界大戦後、植民地にされていた国々が独立し始める。そのひとつがイランだが、そのイランで生産される石油の収入やインドで生産される食糧で「帝国」を維持していたイギリスはイランを再び植民地化しようとする。 例えば、1950年だけでAIOCが計上した利益は1億7000万ポンドにのぼるが、そのうち1億ポンドはイギリスに盗られている。イランが受け取る比率は、イギリス政府へ税金を支払った後の10から12%にすぎなかった。(Richard J. Aldrich,"The Hidden Hand," John Murray, 2001) つまり、石油が生み出す利益の大半をイギリスの巨大企業とイランの王族が独占していたのだ。AIOCの筆頭株主はイギリス政府で、発行済み株式の約半分を保有していたので、同社の利益がイギリスの財政を支えていたとも言える。イギリス政府としてはAIOCの利権を手放せないのだ。(Jonathan Kwitny, "Endless Enemies", Congdon & Weed, 1984) この現実にイランの庶民が不満を募らせる中、1951年3月にアリ・ラズマラ首相が暗殺され、ホセイン・アラが引き継ぎ、さらにムハマド・モサデクが選ばれた。この間、議会ではAIOCの国有化が決まり、6月にはアバダーン油田が接収されている。 怒ったイギリスの支配層は圧力を加え、1952年7月にモサデクは辞任に追い込まれる。アーマド・カバム・サルタネーが首相になるが、庶民の怒りを買うことになって5日間で職を辞し、モサデクが再び首相になった。 AIOCは独自の情報機関CIBを持っていた(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000)が、この機関はあらゆる手段を利用してモサデク政権を揺さぶり、油田が接収されるとAIOCは石油の生産と輸送を止めることで対抗している。この間、ほかの産油国が増産したため、世界の石油生産量は一日当たり1090万バーレルから1300万バーレルへ増加している。(Daniel Yergin, "The Prize", Simon & Schuster1991) モサデク政権は石油をオープン・マーケットで売却しようとしたが失敗、そこでイタリア石油公団(AGIP)のエンリコ・マッティ総裁に接触する。マッティはパルチザン出身ということもあり、植民地主義に反対していた。そこでイラン政府とAGIPとの交渉はうまくいくかと思われたのだが、合意には達しなかった。次にモサデクが選んだ交渉相手がソ連だ。(Richard J. Aldrich,"The Hidden Hand," John Murray, 2001) 石油施設の国有化を受け、1951年10月にAIOCのスタッフがイランを離れたが、その月の後半にイギリスでは労働党政権が倒れて保守党のウィンストン・チャーチルが首相へ返り咲いたことで状況が変化する。チャーチル政権はアメリカの情報機関を統括していたアレン・ダレスに接触、クーデターへの協力を要請した。 ハリー・トルーマン大統領はクーデター計画に反対したが、1953年1月に始まったドワイト・アイゼンハワー政権はクーデターへ向かう。その計画の中心にはCIA長官に就任したアレン・ダレス、そしてアレンの兄で国務長官になったジョン・フォスター・ダレスがいた。同年3月にアイゼンハワー大統領は計画を承認、5月中旬にアレン・ダレスは部下をキプロスに派遣、現地のMI6(イギリスの対外情報機関)の要員と情報の交換を行っている。 CIAとMI6は共同でモサデク派と見られていた主要な将校を誘拐、そして殺害する。反政府勢力を摘発していた警察庁長官のマームード・アフシャルタス将軍は1953年4月に拉致され、数日後に酷い損傷を受けた彼の死体がテヘランの道端で発見された。 ジョン・フォスター・ダレス国務長官は6月、モサデク政権転覆の準備することをCIAのアレン・ダレス長官、そしてカーミット・ルーズベルトに出している。この作戦遂行のための資金を動かしていたのは、後にロッキード事件でも名前が出てくるディーク社だ。(Richard J. Aldrich,"The Hidden Hand," John Murray, 2001) イラン国内の緊張が高まってくると、ムハマド・レザー・パーレビ国王は家族をスイスへ逃がすのだが、国王が国外にいては作戦に支障が生じるため、国王の妹であるアシュラフは兄の国王をテヘランに戻るように説得している。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) 一時期、クーデターは失敗したと見られ、パーレビ国王は妻のサラヤを伴って国外へ脱出した。イランではモサデク派と反モサデク派が衝突し、結局、モサデク政権は倒され、イギリスは石油利権を守ることに成功したが、その代償としてアメリカの巨大石油企業をイランへ引き込むことになる。AIOCはクーデターの翌年、1954年に社名をBPへ変更している。 このパーレビ体制は1970年代に崩れ始め、パーレビ国王は1979年1月に王妃を伴って脱出した。フランスに亡命していたイスラムの指導者アヤトラ・ルーホッラー・ホメイニが帰国したのはその直後、2月のことだ。その直後にシリアのハフェズ・アル・アサド大統領はホメイニへ祝電を打ち、アラブ世界で最初にイランの新体制を承認している。 ホメイニはムスリム同胞団に近く、ズビグネフ・ブレジンスキーは新体制をコントロールできると考えていたようだが、思惑通りには進まなかった。そこでネオコンはイランのサダム・フセイン政権を倒して親イスラエル体制を樹立、イランとシリアを分断して個別撃破する計画を立てた。これがイラクへの先制攻撃につながる。 アメリカ主導軍によってフセイン政権は倒されたものの、親イスラエル体制の樹立には失敗、アメリカは軍事力でイラクを抑えるしかない状態だ。(続く)
2023.03.13
武田薬品系のアルカリスが明治グループのMeiji Seika ファルマが共同でmRNA技術を利用した製品の製造工場を建設している福島県南相馬市。ここは双葉郡の北に位置し、2011年3月11日の東電福島第1原発の「過酷事故」で大きな被害を受けている。 言うまでもなく、この事故は三陸沖で発生したマグニチュード9.0という地震が原因。その地震で引き起こされた津波が原因であるかのように言われているが、データを分析すると揺れで破壊されている可能性が高い。この地震で観測された震度は7だ。 その地震で原子炉内にあった核燃料のほぼ全量が溶融、周辺の装置などを含むデブリ(塊)は600トンと言われているのだが、それがどこにあるか明確でない。「チャイナシンドローム状態」で、それを大量の地下水が冷却、高濃度汚染水が太平洋へ流れ込んでいる可能性がある。 事故当初、福島第1原発から放出された放射性物質はチェルノブイリ原発事故の1割程度、あるいは約17%だとする話が流されたが、これは過小評価だと言わざるをえない。 福島第1原発のケースでは圧力容器が破損、燃料棒を溶かすほどの高温になっていた。漏れ出た放射性物質を除去することになっている圧力抑制室(トーラス)の水は沸騰し、水で放射性物質を除去することはできない。しかも急上昇した圧力のためトーラスへは爆発的な勢いで気体と固体の混じったものが噴出したはず。つまり、トーラスで99%の放射性物質が除去されるという計算の前提は成り立たないのだ。 原発の専門家であるアーニー・ガンダーセンが指摘しているように、福島第1原発から環境中へ放出された放射性物質の総量はチェルノブイリ原発のそれを大幅に上回るはず。(アーニー・ガンダーセン著『福島第一原発』集英社新書)漏洩した放射性物質は少なくともチェルノブイリ原発事故の2~5倍、あるいは十数倍以上に達した可能性もある。 放出された放射性物質に関する情報を政府や電力会社は情報を隠したが、そうした中、漏れてきた情報もある。例えば、2011年4月17日に徳田毅衆議院議員は「オフィシャルブログ」(現在は削除されている)で次のように書いている:「3月12日の1度目の水素爆発の際、2km離れた双葉町まで破片や小石が飛んできたという。そしてその爆発直後、原発の周辺から病院へ逃れてきた人々の放射線量を調べたところ、十数人の人が10万cpmを超えガイガーカウンターが振り切れていたという。それは衣服や乗用車に付着した放射性物質により二次被曝するほどの高い数値だ。」 つまり、事故の直後に相当数の人が放射性物質が原因で死んでいる可能性が高い。3月12日には1号機で爆発があり、14日には3号機も爆発、15日には2号機で「異音」がり、4号機の建屋で大きな爆発音があったとされている。 その後、建屋の外で燃料棒の破片が見つかる。この破片についてアメリカのNRC(原子力規制委員会)で新炉局の副局長を務めていたゲイリー・ホラハンは炉心にあった燃料棒のものだと推測すると2011年7月28日に開かれた会合で語っている。 その会議の直後、8月1日に東京電力は1、2号機建屋西側の排気筒下部にある配管の付近で1万ミリシーベルト以上(つまり実際の数値は不明)の放射線量を計測したと発表、2日には1号機建屋2階の空調機室で5000ミリシーベル以上を計測したことを明らかにした。ダメージ・コントロールのために発表したようにも思える。 また、マンチェスター大学や九州大学の科学者を含むチームは原子炉内から放出された粒子の中からウラニウムや他の放射性物質を検出、事故当時に双葉町の町長だった井戸川克隆によると、心臓発作で死んだ多くの人を彼は知っているという。 セシウムは筋肉に集まるようだが、心臓は筋肉の塊。福島には急死する人が沢山いて、その中には若い人も含まれているとも主張、東電の従業員も死んでいるとしている。 週刊ビッグコミックスピリッツ誌の「美味しんぼ」という漫画は井戸川元町長を作品の中で登場させたが、環境省、福島県、福島市、双葉町、大阪府、大阪市などは内容が気に入らないとして抗議、福島大学も教職員を威圧するような「見解」を出した。発行元の小学館は「編集部の見解」を掲載、この作品は次号から休載すると決めたという。 新聞や放送など有力メディアは「権威」とされる学者と手を組み、原発について「安全神話」を宣伝してきた。福島第1原発の事故後も安全宣伝を展開、COVID-19騒動ではあれだけ着用を宣伝したマスクは必要ないという姿勢だった。 その一方、電力会社やメーカーの社員はいち早く避難している。地震から4日後の3月15日朝、第1原発にいた所員の9割にあたる約650人が10キロ南の福島第2原発へ撤退したと伝えられている。制御不能になったと判断、少しでも遠くへ逃げたかったのだろう。 こうした原発関係者に次いで逃げ足が早かったのは有力メディアだったという。自分たちは逃げ出しているにもかかわらず、現地の住民にも心配ないと宣伝し続けていたのだ。政治家、官僚、大企業経営者、医者などの行動バターンはCOVID-19と同じだ。 ロシア科学アカデミー評議員のアレクセイ・V・ヤブロコフたちのグループがまとめた報告書『チェルノブイリ:大災害の人や環境に対する重大な影響』(日本語版)によると、1986年から2004年の期間に、事故が原因で死亡、あるいは生まれられなかった胎児は98万5000人に達する。癌や先天異常だけでなく、心臓病の急増や免疫力の低下、あるいは知能の問題が報告されている。 しかし、日本ではそれ以上に深刻な事態が生じている疑いが濃厚だ。原発事故の影響と似ているが、それ以上に悪い状況が作られると見られている。その原因は「COVID-19ワクチン」の接種だ。 イギリスのタイムズ紙は福島第1原発を廃炉するまでに必要な時間を200年としていたが、これは比較的に楽観的な見方。数百年はかかるだろうと推測する人が少なくない。その間に新たな大地震、台風などによって原発が破壊されてより深刻な事態になることも考えられる。 もっとも、現在行われていることを見ると、人類が数百年後に存在している可能性は大きくない。少なくとも日本人の未来は暗い。
2023.03.12
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は3月3日現在、3万4455名に達した。VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%、あるいは数%にすぎないと言われている。 いずれの「COVID-19ワクチン」とも接種が始まった直後から深刻な副作用が報告されるようになり、その危険性が人類の存続を脅かすものだということも判明してきたが、最も多く使われたタイプはmRNAを利用している。「ワクチン」の接種を推進している勢力は世界規模で検閲を実施、情報が広まらないようしたきた。中でも検閲が徹底している国は日本にほかならない。 日本の福島県南相馬市では、mRNA技術を利用した製品を製造する工場が建設されている。 武田薬品の湘南研究所がスピンオフして誕生したアクセリードはアメリカのアークトゥルスと合弁でアルカリスを設立した。同社はmRNA技術を利用した製品を製造する工場の建設計画を作成、その計画をMeiji Seika ファルマと経済産業省へ共同申請し、採択され、建設中だ。すでに危険性が明確になっているmRNAを利用した医薬品の生産供給体制を築くというのである。 生産はアルカリスとMeiji Seika ファルマが共同で行うようだが、より重要な役割を演じているのはアルカリス、アクセリード、武田薬品のラインだと言えるだろう。武田薬品はビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団と関係が深い。 例えば、武田薬品のグローバル・ビジネス・ユニットでプレジデントを務めるラジーブ・ベンカヤはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団でワクチン・デリバリー・ディレクターを務めていた。 そのほか、ベンカヤは同財団とも関係の深いワクチン・ロビー団体とも言えるGaviの理事、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)やIAVI(国際エイズワクチン推進構想)の理事会メンバーを務め、CFR(外交問題評議会)の終身会員でもある。 CEPIを創設したのはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、WEF(世界経済フォーラム)、ウェルカム・トラストなど。ウェルカム・トラストの理事長を務めていたジェレミー・ファラーはWHOの主任科学者になる予定。 ウェルカム・トラストは2020年5月にウェルカム・リープを創設、アメリカの国防総省で新技術を研究開発しているDARPA(国防高等研究計画局)の長官を務めていたレジーナ・デューガンを雇い、CEOに据えた。 Gaviはワクチンを推進するため、2000年にWEFの年次総会で設立された団体。活動資金はWHO、UNICEF(国連児童基金)、世界銀行、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団などから得ている。 武田薬品にはもうひとり、興味深い人物が幹部として在籍していた。同社の研究開発部門を統括、2021年に死亡した山田忠孝である。かれは同社へ入る前、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団でグローバル健康プログラムを指揮していた。その前はグラクソ・スミスクラインの重役だ。 ちなみに、ウェルカム・トラストは1995年にグラクソへ売却されてグラクソ・ウェルカムになり、後にスミスクラインを買収してグラクソ・スミスクラインになった。 山田忠孝の父親である山田忠義は渋沢敬三の秘書などを経て1952年に八幡製鉄へ入社しているが、戦争中の1940年代の前半、ヨーロッパから日本へ上海経由で逃げてきたユダヤ系の若者、ショール・アイゼンベルグを世話している。渋沢家の命令だろう。神戸へ着いた時、アイゼンベルグは19歳か20歳だった。 日本が敗戦へ向かう中、財界の大物たちに守られたユダヤ人難民は大戦後、アメリカ第8軍のロバート・アイケルバーガー司令官に可愛がられる。そのコネクションを活かし、アイゼンベルグはペニシリンの販売で大儲けしたという。 その後、アイゼンベルグは日本から追い出されるが、イスラエルの情報機関モサドの幹部としてさまざまな秘密工作に関わり、イスラエルと中国を結びつけたと言われている。似た境遇にあったジョージ・ソロスと緊密な関係にあったことでも知られている。 南相馬での工場建設の背景を見ても、「COVID-19ワクチン」には医療利権を超えた勢力が存在していることを理解できる。COVID-19騒動を計画したのはアメリカの国防総省であり、その国防総省はウクライナに生物兵器の研究開発施設を建設していた。 なお、ビル・ゲイツは長野県の別荘地、軽井沢町の千ヶ滝西区に敷地面積2万1969平方メートルという巨大な「個人の別荘」を建てたと言われている。地上1階、地下3階だという。ただ、軽井沢町役場も建設会社も秘密にしているので詳細は不明だ。
2023.03.11
ウクライナへ14両のドイツ製の戦車「レオパルト2」を引き渡しつつあるポーランドは歴史的に反ロシア感情が強い。昨年9月26日にロシアからドイツへ天然ガスを運ぶために建設されたパイプライン、ノード・ストリームとノード・ストリーム2が爆破された際、ポーランドのラデク・シコルスキー元外務大臣は「ありがとう、アメリカ」とツイッターに書き込んでいる。 爆破の1分後にイギリスの首相だったリズ・トラスはiPhoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送っていることからイギリスも関与していた可能性が高いが、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュはアメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りて実行したと書いている。 ハーシュによると、アメリカのジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合ったという。そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。 2022年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官は、ロシアがウクライナを侵略したらノード・ストリーム2を止めると発言、2月7日にはバイデン大統領がノード・ストリーム2を終わらせると主張、記者に実行を約束した。こうした発言の背後には爆破計画があったわけだ。 爆破計画の拠点として選ばれたのはノルウェー。イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長の母国だ。ハーシュによると、3月にはサリバンのチームに属すメンバーがノルウェーの情報機関に接触、爆弾を仕掛けるために最適な場所を聞き、ボルンホルム島の近くに決まった。 プラスチック爆弾のC4が使われたが、仕掛けるためにはロシアを欺くためにカムフラージュが必要。そこで利用されたのがNATO軍の軍事演習「BALTOPS22」だ。その際にボーンホルム島の近くで無人の機雷処理用の潜航艇を使った訓練が行われた。 シコルスキー元外相は1980年代前半にオックスフォード大学へ留学し、その際に学生の結社「ブリングドン・クラブ」へ入っている。メンバーの多くはイートン校の出身、つまり富豪の子どもたちで、素行が悪いことで知られている。 この結社が創設されたのは1780年で、シコルスキーと同じ1980年代のメンバーにはボリス・ジョンソン、デイビッド・キャメロン、ジョージ・オズボーン、トニー・ブレアといった後の政治家、そして金融界に君臨しているナット・ロスチャイルドも含まれている。 帝政ロシアの有力貴族だったユスポフ家のフェリックスもクラブのメンバーだった。彼は1909年から13年にかけてオックスフォード大学で学んだが、その時にフェリックスブリングドン・クラブに入っているのだ。留学時代、フェリックスはクラスメートのオズワルド・レイナーと親しくなるが、この人物は後にイギリスの情報機関SIS(秘密情報局、通称MI6)のオフィサーになった。 ユスポフ家が雇っていた家庭教師の中にはイギリス人もいた。その宮殿で教師の子どもとして1876年2月に生まれたスティーブン・アリーものちにMI6のオフィサーになる。ちなみにフェリックスが生まれたのは1887年3月である。 フェリックスがオックスフォードでの留学を終えた翌年の1914年には第1次世界大戦が勃発するが、ロシアの支配層は戦争に反対する大地主と参戦を主張する資本家が対立していた。地主の主張を代弁していたのがグレゴリー・ラスプーチンで、そのバックにはアレクサンドラ皇后がいた。 そうした中、ラスプーチンは腹を刺されて入院、その間にロシアは参戦を決めたが、退院後もラスプーチンは戦争に反対するのだが、1916年の後半に入るとフランス軍やイギリス軍は疲弊、ロシア軍を離脱させるわけにはいかない。 その年にイギリス外務省はサミュエル・ホーアー中佐を責任者とする情報機関のチームをペトログラードへ派遣、そのチームにはフェリックス・ユスポフと関係の深いステファン・アリーとオズワルド・レイナーも含まれていた。 ペトログラードにおけるイギリスのお抱え運転手だったウィリアム・コンプトンの日記によると、彼はレイナーをユスポフの宮殿へ1916年10月の終わりから11月半ばにかけて6回にわたり運んだという。ユスポフは1916年12月19日にレイナーと会ったと書き残している。(Joseph T. Fuhrmann, “Rasputin,” John Wiley & Son, 2013) 1916年12月30日にラスプーチンは暗殺されたが、殺害に使用された455ウェブリー弾はイギリスの軍用拳銃で使われていたもので、殺害現場にいた人の中でその銃弾を発射できる銃をもっていたのはレイナーだけだったという。 そして1917年3月の「二月革命」でロマノフ朝は倒されるが、この時にボルシェビキの幹部は亡命中か刑務所に入れられていた。革命後に成立した臨時革命政府は戦争を継続、ドイツは両面作戦を続けなけらばんらない。 そこでドイツは即時停戦を主張していたボルシェビキのウラジミル・レーニンキに目をつける。ドイツ外務省はボルシェビキの幹部32名を「封印列車」でロシアへ運んでいる。レーニンが帰国したのは1917年4月。ボルシェビキが実権を握ったのは11月の「十月革命」だ。 レーニンはドイツとの戦争を終結させたものの、アメリカが参戦していたこともあってドイツは敗北するのだが、こうした経緯があるため、ドイツとソ連の関係は良かった。悪化するのはアドルフ・ヒトラーが率いるナチスが台頭してからだが、そのナチスにイギリスやアメリカの金融界は資金を提供していた。 ドイツへ資金を流す上で重要な役割を果たした金融機関としてブラウン・ブラザース・ハリマンやディロン・リードが有名だ。ブラウン・ブラザース・ハリマンの重役の中にはW・アベレル・ハリマンやプレスコット・ブッシュも含まれていた。ハリマンとブッシュはドイツ企業との手形交換業務を行う名目で「ユニオン・バンキング(UBC)」を設立、ブッシュはその経営を任される。 ブッシュが金融界で出世できた理由のひとつはエール大学でハリマンと同じように「スカル・アンド・ボーンズ」に入会したことのほか、結婚した相手のドロシーが金融界の大物であるジョージ・ハーバート・ウォーカーの娘だったことが挙げられる。 ドロシーとプレスコットは1921年に結婚、24年にウォーカーが社長を務める投資銀行A・ハリマンの副社長に就任している。ユニオン・バンキングが創設されたのも1924年だ。1931年にブッシュはブラウン・ブラザース・ハリマンの共同経営者になった。この頃、アレン・ダレスは弁護士としてウォール街で仕事を始めている。ちなみに、ブッシュは1895年生まれだが、ダレスは93年生まれで、ふたりは親しくなる。 ポーランドはロシア革命の前から反ロシアの運動があった。その中心だったユゼフ・ピウスツキは日露戦争が勃発した1904年に来日、彼の運動に協力するよう、日本側を説得している。1925年に彼らは「プロメテウス同盟」という地下組織を編成した。 その当時、バルト海から黒海まで、つまり中央ヨーロッパをカトリックで統一しようという動きがあり、インテルマリウムが構想された。イギリスやフランスの情報機関から支援を受けていたのだが、そのインテルマリウムにもピウスツキは関係している。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) ウクライナの反ロシア派もプロメテウス同盟に加わったが、ポーランド主導の運動だったことから離反するウクライナの若者が増え、イェブヘーン・コノバーレツィなる人物が中心になってOUN(ウクライナ民族主義者機構)が組織される。OUNの中からステパン・バンデラ派が生まれた。 ピウスツキの後、ポーランドの反ロシア運動を率いた人物はウラジスラフ・シコルスキー。ポーランド軍の将校はこの人物を中心にまとまり、イギリスと連携、ナチよりもコミュニストを敵視していた。(Christopher Simpson, “The Splendid Blond Beast”, Common Courage Press, 1995) 第1次世界大戦後、ドイツとポーランドの間に領土問題が生じた。東プロイセンは飛び地になったのだ。その問題を解決するためにドイツ政府住民投票を提案する。ドイツへ回廊を返還する意見が多ければ返還、その際にドイツはポーランドに鉄道やバルト海へ通じる高速道路を渡すという内容だった。 その案をポーランドは受け入れ、1939年3月21日に同国のジョセフ・ベック外相がドイツの首都ベルリンを訪問することになるのだが、ベックは姿を現さない。ロンドンへ向かったのだ。そして26日にポーランドはドイツに対して回廊を返還しないと通告する。 ソ連はドイツの軍事侵攻に備えるため協力しようと各国に訴えたが、無視される。その計画が実現しなかった一因はポーランドの強い反ロシア感情にあったと言われている。 そこで1939年8月23日にドイツとソ連は不可侵条約を締結した。ドイツ軍は9月1日にポーランドへ軍事侵攻、3日にイギリスとフランスはドイツに対して宣戦布告して第2次世界大戦が始まるったのだが、そこから半年ほどの間、本格的な戦闘は行われていない。いわゆる「奇妙な戦争」だ。戦争の準備をしていなかったドイツは動けなかったということだろう。 その間、シコルスキーはパリへ脱出。1939年9月30日にそこで亡命政権を作り、翌年6月19日にウィンストン・チャーチルと会談、ポーランドがイギリスと一緒に戦うことを約束し、亡命政権はロンドンへ移動する。ソ連のNKVD(人民内務委員会)がポーランド軍将校を大量処刑したのは1940年の4月から5月にかけてとされている。 ドイツ軍は1941年6月、ソ連に対する侵略戦争を開始した。バルバロッサ作戦だ。この作戦で東へ向かったドイツ兵は約300万人、西部戦線に残ったドイツ軍は90万人だけだと言われている。この攻撃の準備には半年から1年は必要だったろう。 ドイツ軍は1940年9月7日から41年5月11日にかけてロンドンを空襲し、4万人から4万3000名の市民が死亡したという。バルバロッサ作戦の準備をしていたであろう時期と重なる。イギリス攻撃の準備をソ連攻撃に転用したとは考えにくい。おそらく陽動作戦だったのだろう。 1941年7月にドイツ軍はレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)を包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点まで迫った。この段階でアドルフ・ヒトラーは勝利を確信、ソ連軍は敗北して再び立ち上がることはないと10月3日に語った。ウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官だったヘイスティングス・イスメイは3週間以内にモスクワは陥落すると推測していた。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) ところがそうした見通しは外れ、1942年1月にドイツ軍はモスクワでソ連軍に降伏、8月にはスターリングラード市内へ突入して市街戦が始まる。当初はドイツ軍が優勢に見えたが、11月になるとソ連軍が猛反撃に転じ、ドイツ軍25万人はソ連軍に完全包囲される。1943年1月にドイツ軍は降伏した。 スターリングラードでの敗北でドイツの敗北は決定的になり、ソ連の敗北を期待していたイギリスは慌てる。しかも、このまま終わるとソ連がドイツに勝ったということになってしまう。 ポツダム宣言は即時無条件降伏を要求しているが、「無条件降伏」という語句が出てきたのは1943年1月。フランクリン・ルーズベルト米大統領とウィンストン・チャーチル英首相がフランスのシャルル・ド・ゴールらとカサブランカで会談した際のことだ。この会談で無条件降伏が主張されなければ、早い段階でドイツは降伏していただろう イギリスはアメリカと会談、1943年7月に両国軍はシチリア島への上陸作戦を実行した。ハリウッド映画で有名になったノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからだ。事実上、こうした作戦はコミュニスト主体のレジスタンスやソ連軍を念頭に置いている。 フランクリン・ルーズベルト米大統領が急死した翌月、1945年5月にドイツは降伏。その直後にチャーチルはJPS(合同作戦本部)に対し、ソ連を攻撃するための作戦を立案するように命令し、「アンシンカブル作戦」が提出された。 その作戦によると、攻撃を始めるのはその年の7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていたが、この作戦は発動していない。参謀本部が5月31日に計画を拒否したからである。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) 20世紀初頭以来、ポーランドの反ロシア政策は継続している。
2023.03.10
ポーランドはウクライナへ14両のドイツ製の戦車「レオパルト2」を渡すことになっている。そのうち4両はすでに渡した。残りの10両は今週中に引き渡すようだ。ロシア軍の攻撃でウクライナ兵は十数万人から数十万人が戦死、武器弾薬は枯渇している。そこでウォロディミル・ゼレンスキー大統領はアメリカ/NATOに戦車を提供するように求めていたのだ。 早い段階から欧米諸国は射程距離の長い兵器を提供してきた。例えばアメリカはHIMARS(高機動ロケット砲システム)、イギリスはM270 MLRS(M270多連装ロケットシステム)、フランスはカエサル155mm自走榴弾砲といった具合だ。西側の有力メディアはこうした兵器でロシア軍は粉砕されるかのように宣伝していたが、こうした兵器はロシア軍によってほとんどが破壊されたと見られている。 ウクライナに対してロシア軍と戦い続けるよう最も強く求めてきた国はイギリスで、自国の主力戦車である「チャレンジャー2」を提供するといち早く宣言していたが、これはドイツに「レオパルト2」を提供させるための催促だったと推測する人は少なくない。 アメリカも自国の主力戦車「M1エイブラムズ」の提供に消極的だったが、そのひとつの理由は乗員の訓練と補給、そして戦闘の支援体制を懸念していたからだとも言われている。支援体制が整っていない戦車は戦場で敵の餌食になってしまう。 チャレンジャー2、レオパルト2、M1エイブラムズという3種類の戦車を使うとなると、補給が複雑になり、訓練も面倒なことになる。レオパルト2に統一したかっただろうが、それでも半年以上、できれば数年は訓練したいはずだ。 しかもロシア軍の戦車は性能が向上している。西側にはイラク軍が使用していたソ連製のT-72戦車を思い浮かべる人がいるだろうが、現在、ロシア軍が使っているT-72は別物。アメリカは中身が同じでもタグを取り替えて人びとを騙すが、ロシアは中身が変わっていても同じタグを使うことが少なくない。 現在、ロシア軍が使っているT-72には爆発反応装甲がついているだけでなく、暗視装置、熱線暗視装置、射撃統制システムなどが装備されている。勿論、ロシア軍の乗員の熟練度はイラク軍と全く違う。乗員の能力は重要だ。 M1エイブラムズやレオパルト2は砲弾の装填を乗員が手作業で行うのだが、T-72やT-90には自動装填装置がある。そこで乗員の人数はエイブラムズやレオパルトの4人に対し、T-72やT-90は3名。訓練しなければならない兵士の数が違うとも言える。 戦車で戦況を変えることができないことは2006年7月から9月にかけてのレバノンにおける戦闘でもわかる。イスラエルの地上部隊はイスラエルが誇るメルカバ4戦車を使ってレバノンへ軍事侵攻したのだが、メルカバは破壊され、イスラエル軍はヒズボラに敗北した。イスラエルが地上戦を避けるようになったのはそのためだと言われている。 ゼレンスキーは戦車のつぎに戦闘機を欲しがり始めた。アメリカ製のF-16を求めているが、試乗したパイロットは満足できなかったようだ。この戦闘機は2015年1月にカリフォルニア州のエドワード空軍基地の近くでF-35と模擬空中戦を行い、完勝したと伝えられている。そのF-16を操るためには、短くとも半年の訓練が必要だ。 しかし、F-16は決して新しいタイプの戦闘機ではなく、ロシアの戦闘機より勝るとは言えない。ロシアの極超音速ミサイルR-37Mは200キロメートル以上離れた航空機を撃墜したようだが、そのミサイルの最大射程距離は400キロメートルだと言われている。このミサイルを搭載したMigG-31やSu-57がロシア領空を飛行、戦闘に備えているようだ。
2023.03.09
日本の厚生労働省は危険性が明確になっている「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」を年少者にも接種させ続けるつもりのようだ。常識的に考えると「正気ではない」のだが、おそらく非常識な理由があるのだろう。予防効果がなく、深刻な副作用が現れている「ワクチン」をカネだけのために打たせているとは思えない。 この高リスク薬の使用を半ば強制するため、WHO(世界保健機関)を含む世界の医療利権はまず「パンデミック」を演出した。この騒動は2019年12月に中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかったところから始まる。翌年の2月4日、横浜港から出港しようとしていたクルーズ船の「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が見つかり、人びとを恐怖させた。 武漢やクルーズ船で何らかの病原体が病気を引き起こしたことは確かだろうが、その実態は明確でない。それにもかかわらず国際ウイルス分類委員会は2020年2月11日に病原体を「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」と命名した。 この段階では感染爆発が起こっているとは言えず、死亡者が街にあふれているというわけではないのだが、WHOは2020年3月11日に「パンデミック」を宣言した。それが可能だったのは、「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前にパンデミックの定義が変更され、「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られたからだ。 それでも死亡者が多いという印象を広める必要がある。そこでWHOやCDCは2020年4月、医学的な矛盾がなく、明白な別の死因がないならば、あるいは適度な確かさがあるならば、死因をCOVID-19としてかまわないとしている。日本では「明白な別の死因」があっても「新型コロナ扱い」したケースもあるようだ。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員によると、実際、病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいたという。その実態を告発する看護師も少なくなかった。患者数は大幅に水増しされたということだ。 患者数を大きく見せるために使われた仕掛けのひとつがPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)である。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だ。 アメリカでは検査のため、CDCがFDA(食品医薬品局)に「2019年新型コロナウイルス(2019-nCOV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」のEUA(緊急使用許可)を発行させ、使用していた。 しかし、CDCは2021年7月、このパネルを同年12月31日に取り下げると発表した。この診断パネルはインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるとされていたが、区別できないことを認めざるをえなくなったようだ。 EUAの取り下げが発表された際、SARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できる手段を探すように求めている。「旧型」コロナウイルスと「新型」コロナウイルスの区別もできないのではないだろうか。ちなみに、このパネルが発行された当時、SARS-CoV-2は単離されていなかった。 また、COVID-19の症状と風邪の症状は区別できず、PCRで陽性になっても感染したとは言えない。パンデミックと呼べるような状況だったのかどうかわからないわけだ。 しかも、PCR陽性者で風邪と同じ症状が出ても治療薬は存在する。武漢で患者が派遣された後、2020年2月から中国では中国軍の陳薇が感染対策を指揮するようになる。 陳は生物化学兵器の専門家で、2002年から中国で広まったSARSを押さえ込んだのも彼女のチームだった。その時の経験からインターフェロン・アルファ2bを使ったところ、2019年のケースでも効果があり、早い段階で沈静化させることに成功した。 インターフェロン・アルファ2bはキューバで研究が進んでいる医薬品で、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できたことも幸いした。今回の件で中国の習近平国家主席はキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたと伝えられている。 そのほか駆虫薬として知られているイベルメクチンが有効だということをメキシコの保健省と社会保険庁が実際に使って確認、また抗マラリア薬のクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文が2005年8月22日にウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。 COVID-19とされている病気に効果的な医薬品が存在することは医学的に実証されているのだが、これを世界の医療利権は使うことを拒否してきた。インターフェロン・アルファ2bやイベルメクチンの使わせないようにするキャンペーンには有力メディアも協力している。 日本では第2次世界大戦中、軍医学校が東京帝国大学医学部や京都帝国大学医学部と協力して生物化学兵器の開発していた。そのための生体実験を中国で行うために編成された部隊には「関東軍防疫部(731部隊)」、「関東軍軍馬防疫廠(100部隊)」、「南方軍9420部隊」、「北支那方面軍1855部隊」、「南支那派遣軍8604部隊」がある。 言うまでもなく、日本の新聞や放送局は当時、「大本営発表」を垂れ流し、日本を破滅への導いていた。 731部隊の隊長を1936年から42年、そして45年3月から敗戦まで務めたのは石井四郎中将、1942年から45年2月までは北野政次少将。石井たちは大戦後、アメリカ軍へ研究結果を提供、その代償として保護されている。 朝鮮戦争が始まると輸血の必要に迫られ、「日本ブラッドバンク(のちのミドリ十字)」が設立されるが、北野は同社の顧問に就任。日本の生物化学兵器人脈は戦後、「伝染病対策」の中枢を形成することになるが、その拠点として国立予防衛生研究所(予研)が1947年に設立されている。この研究所は1997年に国立感染症研究所(感染研)へ改名された。
2023.03.08
ロシア軍の一角を占めるワーグナー・グループが地理的に重要なバフムート(アルチョモフスク)を包囲したようだ。相当数のウクライナ兵は撤退したようだが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の「死守しろ」という命令に従った兵士もいるだろう。降伏しなければ戦死するしかない。 アメリカで2月末に報道された情報によると、ウクライナ側の戦死者や負傷が原因で死亡した兵士の数は約26万人、負傷者や障害者は約25万人、行方不明8万人、捕虜3万人。60万人以上が戦線から消えたことになる。ロシア側の戦死者は1万人余りだとみられている。しかも部分的動員で集めた約30万人は訓練の終盤で、まだ大半は戦線に投入されていない。 本ブログでも書いてきたが、昨年2月24日にロシア軍が巡航ミサイル「カリブル」などでウクライナ軍の基地や生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃しはじめて間もなく、ゼレンスキー政権とウラジミル・プーチン政権はイスラエルのナフタリ・ベネット首相(当時)を仲介役として停戦交渉を進め、ほぼ合意に達したという。 同年3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつける。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会うのだが、その日にウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺した。 4月に入ると西側の有力メディアはロシア軍がブチャで住民を虐殺したと宣伝し始める。マクサー・テクノロジーズなる会社から提供された写真を持ち出し、3月19日に死体が路上に存在していたと主張しているが、疑問が噴出、実際はウクライナ側の親衛隊がロシアに敵対していないと判断された住民が殺された可能性が高い。 そうした中、4月9日にボリス・ジョンソン英首相はキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令。4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。つまり、戦闘を早い段階で終えようとしたゼレンスキー政権の動きをアメリカ/NATOは潰し、惨状を招いたのだ。 アメリカ/NATOはロシアの軍事力と経済力を見誤ったのだが、アメリカやイスラエルの支援を受けたジョージアが2008年8月に南オセチアを奇襲攻撃した際、ロシア軍の反撃で完膚なきまで叩きのめされているわけで、学ぶチャンスはあった。 イスラエルがジョージアに武器/兵器を含む軍事物資を提供、将兵を訓練しはじめたのは2001年のこと。ジョージア軍を訓練したのはイスラエル軍のガル・ヒルシュ准将(予備役)が経営する「防衛の盾」で、予備役の将校2名の指揮下、数百名の元兵士が教官としてグルジア入りしていた。イスラエルから供給された装備には無人飛行機、暗視装置、防空システム、砲弾、ロケット、電子システムなども含まれていた。 そのほか、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズが元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣して軍事訓練を実施、同年7月にはコンドリーサ・ライス国務長官がジョージアを訪問している。南オセチアへの奇襲攻撃はその翌月だ。 アメリカは2011年春からリビアやシリアに対する侵略をイスラム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を使って実行した。シリア軍を倒せないため、バラク・オバマ政権は支援を強化し、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を生み出すことになった。 ダーイッシュは残酷さを演出、それを口実にしてアメリカ/NATO軍を介入させようとしたようだ。2015年2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代、好戦的な陣容ができた。その直後、2015年9月末にロシア軍がシリア政府の要請で介入、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュの支配地域は急速に縮小した。このシリアでの戦闘でもロシア軍の強さ、ロシア製兵器の優秀さは証明された。 ウクライナの場合、ロシア側にとっての懸念材料は最前線で戦う部隊の司令官とセルゲイ・ショイグ国防大臣の対立。ジョイグは十分な兵力や武器弾薬を供給していないというのだ。昨年10月にセルゲイ・スロビキンをドンバス、ヘルソン、ザポリージャの統合司令官に据えた一因はそうした不満を和らげるためだったのだろう。 ウクライナ軍が地下要塞を築いていたソレダルをワグナー・グループが制圧した直後、ワレリー・ゲラシモフ参謀総長をウクライナにおける軍事作戦の統合司令官にし、スロビキンは副官になるという発表があった。指揮はスロビキンが行うので実態に変化はないと言われた。 バフムートの制圧を目前にして、ワーグナー・グループからショイグに対する批判があった。十分な武器弾薬が供給されていないというものだが、ほぼ同時にショイグと司令官たちが武器の供給について話し合っている。これまでの例からすると、司令官たちの要求が受け入れられるだろう。バフムート制圧後、ワーグナー・グループは休養に入り、訓練を受けていた兵士が投入されるかもしれない。
2023.03.07
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権は西側から高性能兵器の供給を受けてきた。アメリカのHIMARS(高機動ロケット砲システム)、イギリスのM270 MLRS(M270多連装ロケットシステム)、フランスのカエサル155mm自走榴弾砲などだが、ここにきてNATO加盟国の主力戦車、あるいはアメリカのF-16戦闘機などを要求してきた。 そうした要求を正当化するため、ゼレンスキー大統領はウクライナが敗北するとロシア軍はNATO加盟国へ軍事侵攻すると主張している。そうなるとアメリカは自国の息子や娘を戦場へ送り込み、戦わせなければならず、戦死することになるというわけだ。 ウクライナを戦乱に巻き込んだのはアメリカにほかならない。2010年の大統領選挙で東部と南部を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチが勝利、それを嫌ったバラク・オバマ政権がクーデタを計画、13年11月から実行に移し、NATOの訓練を受けたネオ・ナチが途中から前面に出てくる。そして2014年4月にヤヌコビッチは排除された。ヤヌコビッチを支持した人びとはクーデターを拒否、クリミアの住民はロシアの保護下に入り、ドンバスでは内戦が始まる。オデッサではクーデターに抵抗した住民がネオ・ナチの集団に虐殺されている。 軍や治安機関にもネオ・ナチ体制を許するメンバーは存在、ドンバスの反クーデター軍へ合流したと言われている。そうしたこともあり、ドンバスでの戦闘は当初、反クーデター軍が優勢だった。そこでドイツやフランスが仲介するかたちで成立したのがミンスク合意だが、キエフのクーデター政権は守らなかった。 それどころか、この合意が時間稼ぎにすぎなかったことをアンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューで認めている。その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語っている。1インチたりともNATOを東へ拡大させないという約束が嘘だったように、ミンスク合意も嘘だった。 アメリカ/NATOは8年かけてキエフ体制の軍事力を増強し、ウォロディミル・ゼレンスキー政権は2022年1月に入ると部隊をドンバスの近くに集中させ、砲撃を激化させていく。3月にドンバスへの軍事侵攻を開始、ロシア語系住民を一掃する予定だったとする情報や文書がある。 その直前、2月21日にウラジミル・プーチン露大統領はドンバスの独立を承認、2月24日にウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃しはじめた。部隊がドンバス周辺に集まっていたこともあり、短期間にキエフ政権側は大きなダメージを受ける。そして停戦交渉が始まった。 その交渉を仲介したのはイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットだ。そのベネットをインタビューした5時間近い映像が2月4日に公開された。話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだった。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はNATOへの加盟を諦めるとしたようだ。 2022年3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。ウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺したのはその3月5日だ。 4月に入ると西側の有力メディアはロシア軍がブチャで住民を虐殺したと宣伝し始める。マクサー・テクノロジーズなる会社から提供された写真を持ち出し、3月19日に死体が路上に存在していたと主張しているが、疑問が噴出した。 そうした中、4月9日にボリス・ジョンソン英首相はキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令。4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。 ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官とサマンサ・パワーUSAID長官は今年2月23日にCNNタウン・ホールでスピーチ、その中でサリバンは「ロシアはすでに(ウクライナでの)戦争で負けている」と主張、パワーはウクライナでの戦争をアメリカとロシアによるもので、アメリカが支持されていると語っている。 言うまでもなくサリバンの主張は嘘で、ウクライナでの戦闘でロシア軍が勝っていることは確実。ゼレンスキー政権は崩壊しつつある。ウクライナを舞台にした戦争でアメリカが支持されているわけではなく、この点、パワーの主張も正しくないが、アメリカとロシアの戦争だと言うことは事実だ。 平和の到来は戦争を推進してきたネオコンやその黒幕にとって悪夢にほかならない。そうした時代が訪れるということは彼らの支配システムが崩壊することを意味し、これまでに彼らが犯した行為が問題になるはずだ。すでにネオコンは台湾を利用して東アジアに火をつけようとしている。そうなると、日本も巻き込まれるだろう。アメリカの下院議長だったナンシー・ペロシの台湾とウクライナへの訪問を偶然と考えるべきではない。
2023.03.06
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は2月24日現在、3万4387名に達した。VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%、あるいは数%にすぎないと言われている。 時間の経過に伴い、「COVID-19ワクチン」が人体へ深刻なダメージを与えることが明確になってきた。その危険な「ワクチン」を人びとに接種させる切っ掛けになる出来事が起こったのは2019年12月のこと。中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかったのだが、その翌年の2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が見つかる。 何らかの病原体が存在していたことは確かだろうが、その病原体が世界へ広がったことを示す証拠はない。WHOやCDCは2020年4月、医学的な矛盾がなく、明白な別の死因がないなら、あるいは適度な確かさがあるなら死因をCOVID-19としてかまわないとしている。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員によると、実際、病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいたという。その実態を告発する看護師も少なくなかった。患者数は大幅に水増しされたということ。 CDCでさえCOVID-19以外に死因はないと言えるケースは全体の6%にすぎないとしている。ヨーロッパでも患者数、死亡者数が水増しされていた。イタリアでは健康省の科学顧問を務めるウォルター・リッチアルディがSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)を直接的な原因として死亡した人数は死者全体の12%だとしていたほか、ビットリオ・スガルビ議員は、このウイルスが原因で死亡したとされる患者のうち96.3%の死因は別に死因があると主張していた。 FDAは2020年2月4日、「2019-nCoVリアルタイムRT-PCR診断パネル」のCDCによるEUA(緊急使用許可)を発行したが、SARS-CoV-2は単離されていなかった。 PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)は特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術で、診断に使うことは想定されていない。この技術を開発し、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリス自身もPCRを病気の診断に使うべきでないと語っていた。 増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になる。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。 COVID-19に感染して死亡したとされた人の大半は高齢者で、心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肺疾患、肝臓や腎臓の病気を複数抱えていることは世界共通。何が本当の死因でもPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性になれば、COVID-19で死亡したかのように伝えられてきた。 ところで、コロナウイルスの表面にはスパイク・タンパク質と呼ばれる突起物があり、「mRNAワクチン」はそのスパイク・タンパク質を体内の細胞で製造して抗体を作らせ、免疫を高めることになっている。 しかし、抗体には感染を防ぐ「中和抗体」と感染を防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させ、ADE(抗体依存性感染増強)を引き起こすと考えられている。その結果、人間の免疫システムに任せておけば問題のない微生物で深刻な病気になる。 スパイク・タンパク質自体が人体にダメージを与えていることは2021年3月の段階で指摘されている。アメリカのカリフォルニア州サンディエゴ郊外にあるソーク研究所がスパイク・タンパク質によって病気が引き起こされている可能性があるとする論文を発表したのだ。解説記事も出された。呼吸器ではなく血管にダメージを与えているという。脳へウイルスが侵入した形跡がないにもかかわらず、神経系の症状が出るのもそのためではないかと言われている。 人間の免疫システムは人体に害を及ぼす物質を作る細胞を攻撃するのだが、その細胞は人体。自己免疫疾患だが、それに対応するため免疫力が低下する。その結果、通常なら問題にならない微生物でも深刻な症状が現れ、癌ができる。いわば「エイズ状態」だ。 スパイク・タンパク質を生み出すだけでなく、「COVID-19ワクチン」は人体に有害な物質を含んでいると言われている。「mRNAワクチン」の場合、mRNAを輸送するためにLNP(脂質ナノ粒子)が使われているが、そのLNPは人体に有害な物質。投与されたLNPは肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布すると報告されている。そこでLNPが卵子に悪い影響を及ぼすのではないかた言われていたが、ここにきて精子にもダメージを与えると言われている。しかも遺伝する恐れがあるという。 また、スペインのパブロ・カンプラ教授は2021年6月、「mRNAワクチン」の中に「酸化グラフェン」があることを電子顕微鏡などで発見したと発表した。同教授は11月、周波数の分析で酸化グラフェンが「ワクチン」に含まれていることを確認したと発表したが、その論文を読んだドイツの化学者アンドレアス・ノアックは酸化グラフェンでなく水酸化グラフェンだろうと推測している。
2023.03.05
ウクライナではウォロディミル・ゼレンスキー大統領が追い詰められている。ロシアの傭兵部隊、ワーグナー・グループはソレダルを陥落させた後、バフムート(アルチョモフスク)を攻撃、包囲したようだ。ウクライナ軍は橋を破壊して抵抗を試みているが、戦闘を続ければ戦死者が増えるだけだろう。動員して集めた兵士の大半はまだ訓練中のロシア軍だが、その状態でもウクライナ軍は厳しい状況にあり、政府は分裂状態のようだ。 そうした中、アメリカのジョー・バイデン政権はセルビアのアレクサンドル・ブチッチ大統領に対し、コソボの独立を認めるように圧力をかけている。 アメリカ政府はウクライナのクーデターでネオ・ナチを使ったが、コソボでは麻薬業者を使った。その麻薬業者が中心になって組織したのがKLA(コソボ解放軍、UCKとも表記)にほかならない。このグループにはクロアチアのネオ・ナチも入り込んでいた。 KLAを率いてたひとりで、後に首相となるハシム・サチはアルバニアの犯罪組織とつながり、麻薬取引や臓器の密売に関与していたと言われている。 アングロ・サクソンの支配層はアヘン戦争だけでなく、ベトナム戦争でCIAは東南アジアの山岳地帯、通称「黄金の三角地帯」でケシを栽培してヘロインを製造して儲け、1970年代にアフガニスタンで秘密工作を始めた後にはアフタニスタンへケシの栽培地を移動させた。ニカラグアでの秘密工作を始めるとCIAはコカインの生産を始める。 アフガニスタンで生産されたヘロインの主要な輸送ルートはコソボを通過、それにともなう儲けがKLAの資金源になった。麻薬資金を処理するためにベトナム戦争の際にはオーストラリアのナガン・ハンド銀行が使われている。ロッキード事件でも名前が出てくる香港のディーク社も闇の資金を扱っていた。こうした金融機関は全て「CIAの銀行」だ。 UNODC(国連薬物犯罪事務所)のアントニオ・マリア・コスタはイギリスのオブザーバー紙に対し、麻薬資金と銀行との関係について語っている。 彼によると、2008年に世界の金融システムが揺らいだ際、麻薬取引で稼いだ3520億ドルの大半が経済システムの中に吸い込まれ、いくつかの銀行を倒産から救った疑いがあるというのだ。(The Observer, December 13, 2009 )麻薬資金は流動性が高く、銀行間ローンで利用された可能性がある。(The Observer, April 3, 2011) 麻薬取引による利益は年間6000億ドル、金融機関でロンダリングされている資金の総額は1兆5000億ドルに達する(UNODC, “Annual Report 2010”)、あるいは麻薬の年間売上高は8000億ドル以上という推計もある(EIR, “Dope, Inc”, Progressive Press, 2010)。また銀行が行っている違法資金のマネーロンダリングは1年で5000億ドルから1兆ドルに達するという話が1999年にアメリカ上院で出ている。(Minority Staff Report For Permanent Subcommittee On Investigations (Senate Committee On Homeland Security & Governmental Affairs) Hearing On Private Banking And Money Laundering, November 9, 1999) アメリカを後ろ盾としてコソボの独立を宣言したサチたちは麻薬だけでなく臓器の密売も行っていたと報告されている。旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で検察官を務めたカーラ・デル・ポンテは自著(Chuck Sudetic, Carla Del Ponte, “La caccia: Io e i criminali di guerra,” Feltrinelli, 2008)の中でKLAによる臓器の密売に触れている。コソボで戦闘が続いている当時、KLAの指導者らが約300名のセルビア人捕虜から「新鮮」な状態で、つまり生きた人間から臓器を摘出し、売っていたというのだ。 この話は欧州評議会のPACE(議員会議)に所属していたスイスの調査官ディック・マーティの報告書にも書かれている。KLAの幹部はセルビア人を誘拐し、彼らの臓器を闇市場で売っていたという。捕虜の腎臓を摘出し、アルバニア経由で臓器移植のネットワークで売り捌いていたともされている。 こうした行為を隠しきれなくなったのか、サチたちは2020年4月、ハーグの特別法廷に起訴された。勿論、これで問題が解決されたわけではない。黒幕は今でも大手を振って歩いている。
2023.03.04
アルバニアのエディ・ラマ首相が2月21日に来日、翌22日には岸田文雄首相と総理大臣官邸で会談、「ロシアのウクライナ侵略」を強く非難することで一致したというが、アルバニアはコソボを併合して「大アルバニア」を実現しようと目論んでいる。その構想をアメリカは支援しているが、その理由は大アルバニアをアメリカの軍事拠点にすることにあると見られている。 現在、セルビアのアレクサンドル・ブチッチ大統領はコソボの独立を認めるようにアメリカから強い圧力を受けているのだが、昨年5月に議会で「コソボとメトヒヤを含むセルビアの主権と領土全体をその不可欠な部分として維持する」と誓っているが、フランスとドイツが作成したコソボ独立の計画が今年1月20日に公開された。キエフのクーデター体制の軍事力を増強する時間稼ぎをするためにロシアと「ミンスク合意」を結んでみせたコンビだ。 言うまでもなく、セルビアはユーゴスラビアの一部だった。そのユーゴスラビアを解体する工作をアメリカが始めたのは1984年のことだ。当時のアメリカ大統領、ロナルド・レーガンは「NSDD133(ユーゴスラビアに対する米国の政策)」に署名したのである。 この地域にはカトリック、ギリシャ正教、イスラムなどの宗教を信じる人びとが生活していたが、内戦が行われるようなことはなかった。すでにポーランドではレーガン大統領とローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が手を組み、秘密工作を始めている。その一端はバチカン銀行の不正融資という形で発覚していた。 ソ連が自壊し始めた1991年にはユーゴスラビアも壊れ始める。その年の6月にスロベニアとクロアチアが独立を宣言、9月にはマケドニア、翌年の3月にはボスニア・ヘルツェゴビナが続いた。4月になるとセルビア・モンテネグロがユーゴスラビア連邦共和国を結成、社会主義連邦人民共和国は解体される。 そしてコソボではアルバニア系住民が連邦共和国から分離してアルバニアと合体しようと計画、それをNATOが支援しはじめた。この間、西側の有力メディアはセルビア人による「人権侵害」を口実にしてユーゴスラビアを攻撃するよう求めているが、後にこの人権侵害話は嘘だったことが明らかになっている。 当初、コソボの分離独立運動を主導していた組織はイブラヒム・ルゴバの率いるLDK(コソボ民主化連盟)。この組織は非暴力で、セルビア側も事態の悪化を懸念して運動を許していた。 ソ連消滅後の1992年2月にはフランスのランブイエで和平交渉が始まり、セルビア側はコソボの自治権を認め、弾圧もやめることで合意、交渉はまとまりかけるのだが、それをNATOは嫌う。そこでNATOはセルビア側が受け入れられない条件、つまり車両、艦船、航空機、そして装備を伴ってNATOの人間がセルビアを自由に移動できるという項目が付け加えたのだ。セルビアをNATOが占領するということにほかならない。(David N. Gibbs, “First Do No Harm”, Vanderbilt University Press, 2009) これについて日本の外務省は「セルビアがNATO軍のコソボ展開を受け入れず決裂」したと説明している。1992年3月にはユーゴスラビア駐在アメリカ大使だったウォーレン・ジンマーマンはサラエボでボスニアのイスラム指導者だったアリヤ・イザドベゴビッチと会談したが、この人物は第2次世界大戦中、「青年ムスリム」に参加していた。この組織はナチスと行動を共にし、セルビア人やユダヤ人の虐殺に加担したと言われている。(F. William Engdahl, “Whom The Gods Would Destroy,” mine,Books, 2016) この当時、西側の有力メディアは軍事介入を煽る「報道」を続けていた。例えば、1992年8月にボスニアで16歳の女性3人がセルビア兵にレイプされたとニューズデーのロイ・ガットマンは報道しているが、別のジャーナリスト、アレクサンドラ・スティグルマイアーやマーティン・レットマイアーらの取材によってガットマンの話が嘘だということが判明している。 当時、ガットマンはドイツのボンで支局長を務めていた人物で、自分で取材したわけではない。ヤドランカ・シゲリなる人物から得た情報をそのまま書いたのだが、このシゲリはクロアチアの与党で民族主義の政党、HDZ(クロアチア民主団)の副党首を務め、クロアチアの亡命者が創設したプロパガンダ組織CIC(クロアチア情報センター)のザグレブ事務所の責任者でもあった。1996年にはジョージ・ソロスの人権擁護団体HRWがシゲリを主役にしたドキュメント映画を発表、ガットマンは1993年にピューリッツァー賞を贈られている。 ボスニアでの状況について、ICRC(赤十字国際委員会)は全ての勢力が「不適切な行為」を行ったとしている。セルビア人による組織的なレイプが行われた証拠はない。(Diana Johnstone, "Fools' Crusade," Monthly Review Press, 2002) アメリカなどNATO加盟国の情報機関はジハード傭兵をボスニア・ヘルツェゴビナへ送り込み、破壊と殺戮を拡大していた。戦闘員が運ばれた主なルートはクロアチア経由だったとされている。 ジハード傭兵の仕組みは1970年代にズビグネフ・ブレジンスキーが作った。サラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心に戦闘員を集めてCIAが訓練、訓練を受けた戦闘員をデータ・ベースに記録するというものだ。 1997年5月から2001年6月までイギリスの外務大臣を務めたロビン・クックが2005年7月にガーディアン紙で説明したように、このデータ・ベースが「アル・カイダ」にほかならない。アラビア語でアル・カイダはベースを意味、データベースの訳語としても使われる。戦闘員の募集活動をしていたのがオサマ・ビン・ラディンだ。なお、クックは2005年8月6日に休暇先のスコットランドで散歩中に心臓発作で急死した。 ジャーナリストのレナテ・フロットーによると、サラエボにあるイザドベゴビッチのオフィスで1993年から94年にかけてオサマ・ビン・ラディンを何度か見かけたという。(F. William Engdahl, “Manifest Destiny,” mine.Books, 2018) ビン・ラディンはセルビアに対する戦闘の準備を進め、その一環として1994年7月にロンドンでARC(助言改革委員会)を設立する。ビン・ラディンは1996年にスーダンを追放されてアフガニスタンへ移動、そこから98年までの期間にロンドンの仲間へ電話連絡している。その回数は238回に達するという。(T. J. Coles, “Manufacturing Terrorism,” Clairview, 2018) ビル・クリントン政権は1995年11月に関係勢力の代表をアメリカのオハイオ州デイトン近くにあるライト・パターソン空軍基地へ集めて合意を成立させた。アメリカはコソボを分離させ、そこへアメリカ軍の基地を建設して居座ることを考えていたと言われている。 この頃、アメリカ政府はセルビアと協調していたLDKを排除し、麻薬業者のKLA(コソボ解放軍、UCKとも表記)に置き換える。KLAの活動は1996年2月にコソボ北部にいたセルビア人難民を襲撃することからスタートした。(Gregory Elich, 'The CIA's Covert War,'CovertAction Quarterly, April-June 2001) クリントン政権は1997年1月に国務長官をクリストファー・ウォーレンから反ロシア感情の強い好戦派で、ブレジンスキーの教え子でもあるマデリーン・オルブライトへ交代させる。オルブライトは1998年秋にユーゴスラビア空爆を支持すると表明した。 この空爆の地ならしとして有力メディアはセルビア人を悪魔化する偽情報を流す。そうした偽情報を流したひとりがウィリアム・ウォーカーなる人物。コソボにあるユーゴスラビアの警察署で45名が虐殺されたと主張したのだが、警察側とKLAとの戦闘で死亡したのだ。その様子をAPのテレビ・クルーが撮影していたことから嘘はすぐに露見した。 このウォーカーは1988年から92年までエル・サルバドル駐在の大使を務めていた。1989年にエル・サルバドル軍の部隊がカトリックの指導的立場にあった司祭6名とハウスキーパーやその娘を殺害した際、事件に関する調査を彼は妨害している。 ユーゴスラビアのスロボダン・ミロシェビッチ大統領は1998年10月の終わりにコソボからの撤退計画を発表するが、KLAは和平を受け入れない。軍事的な緊張を高めてNATO軍を戦争へ引き入れるため、KLAはセルビアに対して挑発的な行動に出た。これはアメリカ側の意向を受けたものだ。決して親セルビアとは言えないヘンリー・キッシンジャーでさえ、1998年10月から99年2月までの期間で、停戦違反の80%はKLAによるものだと語っている。(David N. Gibbs, “First Do No Harm”, Vanderbilt University Press, 2009) そして1999年3月から6月にかけてNATO軍はユーゴスラビアへの空爆を実施、4月にはスロボダン・ミロシェビッチの自宅が、また5月には中国大使館も爆撃されている。勿論、この攻撃で多くの市民が殺され、建造物が破壊された。 この空爆の司令部はアメリカ大使館にあったと考えられている。その中心にいたのはアメリカ外交団のトップだったリチャード・マイルズ。体制転覆の専門家と言われている。6月3日にロシアのボリス・エリツィン政権はセルビアのスロボダン・ミロセビッチ大統領に対して降伏するように勧告、コソボをめぐる戦争は終了するが、セルビアもロシアもコソボの独立を認めていない。
2023.03.03
アメリカのロニー・ジャクソン下院議員は2月26日、ジョー・バイデン大統領の認知機能が低下しているとツイートした。ジャクソンは海軍の退役准将で、2013年7月から18年3月にかけて大統領医務官を、また2019年2月から19年12月にかけて大統領首席医療顧問を務めている。ちなみに2009年1月から17年1月までの大統領はバラク・オバマ、17年1月から21年1月まではドナルド・トランプだ。 バイデンの認知能力は大統領選挙中から疑問視されていたので、ジャクソン議員の書き込みは驚きでないが、現在の世界情勢を考えると深刻である。 バイデンは大統領に就任して間もない2021年3月16日、ABCニュースの番組でインタビュアーからウラジミル・プーチン露大統領は人殺しだと考えるかと問われ、バイデンは「その通り」と答えている。どの国が相手でも大統領として口にしてはならないことだが、ロシアはアメリカに核兵器で対抗できる国である。 その発言だけでなく、バイデン政権はロシアや中国に対して経済戦争を仕掛け、軍事的な緊張を高めてきた。そうした中、オバマ政権から続くウクライナの軍事力増強政策を続け、反クーデター派が支配するドンバス(ドネツクやルガンスク)への攻撃が近いと言われるようになる。ウクライナ軍がドンバス周辺に集結、砲撃が激しくなったからだ。 それに対してプーチン大統領は2月21日にドンバスの独立を承認、2月24日にウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃しはじめた。ウクライナ軍が先手をとったならドンバスへ地上部隊が入り、民族浄化作戦が展開された可能性が高い。その段階でロシア軍が介入しても手遅れで、住民の殺戮も西側の有力メディアはロシア軍のせいにしただろう。 2月24日以降もロシア軍は現時点まで本格的な軍事介入をしていないが、ウクライナ軍は壊滅状態。キエフ政権を操るアメリカ/NATOはウクライナ軍に対して「玉砕戦法」を強要、戦死者は15万人程度に達していると見られている。ロシア側はその約1割と言われている。 ウクライナ政府は早い段階に18歳から60歳の男子が出国することを禁止、動員の対象にし、45歳以上の男性だけでなく少年兵も前線へ送り込んだと言われていた。最近では60歳程度の男性が街角で拘束され、前線へ送り込まれているという。その様子を撮影した複数の映像がある。 アメリカやイギリスなどは自国の特殊部隊を投入しているが、それでも兵士は足りず、傭兵を集めてきた。その傭兵の多くはポーランド人やイスラエル人だということが携帯電話のやりとりから判明しているが、それだけでなく、シリアのアル・タンフにあるアメリカ軍の基地で訓練しているダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の兵士を投入する可能性もあるようだ。 そうした戦況ではあるが、アメリカ/NATOによる軍事支援を受けたウクライナ軍と戦うロシア軍は不十分で、軍の内部からもクレムリンに対する不満が高まる。そこでロシア政府は昨年9月21日に部分的動員を発表した。30万人から40万人が集まった。 しかし、大半は訓練が必要で、準備が整うまでに半年は必要だと言われていた。つまり3月に訓練は終わると見られているが、実際に投入されるのは中国の習近平国家主席がロシアを訪問した後だと推測されている。 そうした中、昨年9月26日にロシアからドイツへ天然ガスを運ぶために建設されたパイプライン、「ノード・ストリーム(NS1)とノード・ストリーム2(NS2)が爆破された。状況からアメリカ/NATOが実行したと見られていた。今年2月8日には調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュがノード・ストリーム爆破に関する記事を発表、その中でアメリカ海軍のダイバーがノルウェーを拠点として実行したとしている。 ノルウェーはイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長の母国だ。ハーシュによると、3月にはサリバンのチームに属すメンバーがノルウェーの情報機関に接触、爆弾を仕掛けるために最適な場所を聞き、ボルンホルム島の近くに決まった。 バイデン大統領の下、ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官、アントニー・ブリンケン国務長官、ビクトリア・ヌランド国務次官が中心になり、統合参謀本部、CIA、そして財務省の代表が参加したという。 CIAがパイプラインの爆破計画を提出したのは2022年の初頭。ノルウェーは爆破地点の選定や工作の拠点作りに協力し、スウェーデンやデンマークも関係したという。ウクライナで戦っているのはロシア軍とアメリカ/NATO軍だとすでに指摘されているが、ハーシュの記事はその分析と合致する。 プラスチック爆弾のC4が使われたが、仕掛けるためにはロシアを欺くためにカムフラージュが必要。そこで利用されたのがNATO軍の軍事演習「BALTOPS22」だ。その際にボーンホルム島の近くで無人の機雷処理用の潜航艇を使った訓練が行われた。 バイデン政権を核戦争へと導いているのはネオコンだが、中でもサリバン国家安全保障補佐官、ブリンケン国務長官、ヌランド国務次官が重要な役割を果たしている。 サリバンはエール大学時代、ローズ奨学生としてイギリスのオックスフォード大学へ留学している。ちなみに、2011年12月から2014年までロシア駐在アメリカ大使としてプーチン政権の転覆を目論んだマイケル・マクフォールもローズ奨学生としてオックスフォード大学に留学している。この奨学制度に資金を出しているローズ・トラストは1902年にセシル・ローズの意志に基づいて創設された。 ローズは優生学を信奉していた。彼は1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に『信仰告白』を書くが、その中で彼はアングロ・サクソンこそが最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど人類にとって良いと主張している。領土を拡大して大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務だという。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) ローズは帝国主義者であり、その人脈にはウィンストン・チャーチルも含まれている。チャーチル家にカネを出していたのはローズのスポンサーだ。ネオコンの中心グループに属しているダグラス・フェイスが国防総省のオフィスにチャーチルの胸像を飾っていたのは必然だと言える。チャーチルを「最初のネオコン」と呼ぶ人がいる理由もそこにある。 ブリンケンは父方の祖父がウクライナ出身、ヌランドは父方の祖父母がウクライナからの移民。こうした出自が彼らの行動に影響しているのかもしれない。なおズビグネフ・ブレジンスキーはポーランド生まれ、マデリーン・オルブライトはチェコスロバキア生まれだ。
2023.03.02
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アメリカのエネルギー省はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)が中国の武漢病毒研究所(WIV)から漏れ出た可能性が高いと考えているという。アメリカの有力メディアを含め、COVID-19騒動を演出してきた勢力は研究所から漏れ出たとする説を否定してきたわけで、その主張を変えた何らかの理由があるのだろう。 中国のアカデミーやビジネス界はアメリカ支配層の影響下にあり、中国科学院のWIVへはアンソニー・ファウチが所長を務めるアメリカのNIAID(国立アレルギー感染症研究所)がコロナウイルスの研究費として2014年からエコヘルス連合を介して数百万ドルを提供してきたと言われている。ウイルスがWIVから漏れ出たということになると、アメリカの政府機関が矢面に立たされることになる。エコヘルス連合でカネを処理していたのはピーター・ダスザクだという。 NIAIDの上部機関であるNIH(国立衛生研究所)からWIVの石正麗へ研究費として370万ドルが提供されていたとも伝えられているが、石とノースカロライナ大学のラフル・バリックは2015年11月にSARSウイルスのスパイク・タンパク質をコウモリのウイルス(SHC014-CoV)のものと取り替えて新しいウイルスを作り出すことに成功している。コウモリのコロナウイルスを操作してほかのシュを攻撃させる方法をバリックは石に教えたともいう。その後、石正麗はWIVへ戻る。 WIVで石正麗を中心とするチームはSARSに似たコロナウイルスのスパイク・タンパク質が人間などの細胞のACE2(アンジオテンシン変換酵素2)と結びつくメカニズムを研究している。 WIVと同じように注目されている武漢大学動物実験センターはアメリカのデューク大学を関係が深く、両大学は2013年に昆山杜克大学を創設した。デューク大学はアメリカ国防総省の「DARPA(国防高等研究計画局)」と協力関係にあり、そのDARPAは2018年からコウモリからヒトへコロナウイルスを伝染させる研究を開始、中国との国境近くに研究施設を建設している。 これに似た構図の仕組みがウクライナにもあった。ロシア軍は昨年2月24日からウクライナに対する攻撃を始めたが、その過程でウクライナ側の重要文書の回収、その中にはウクライナで進められてきた生物兵器の研究開発に関する資料も含まれている。ロシア軍のイゴール・キリロフ中将を中心に生物兵器の研究開発について調べている。 ロシア側の発表によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が約30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていた。 ロシア国防省が発表したスライドによると、アメリカの民主党を病原体研究の思想的な支柱としている。その思想を実体化させる役割を負っているのが国防総省やCDC(疾病予防管理センター)を含むアメリカの政府機関だ。 資金はアメリカの予算からも出ているが、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、クリントン財団、ハンター・バイデンのロズモント・セネカ・パートナーズ、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ロックフェラー財団、エコヘルス同盟などもスポンサー。 そのほか、生物兵器の研究開発システムにはアメリカ大使館、国防総省の契約企業であるメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、スカイマウント・メディカル、そしてCH2Mヒルなど、またファイザー、モデルナ、メルク、ギリアドを含む医薬品会社が組み込まれ、ドイツやポーランドも関係。 こうしたシステムは生物兵器の研究開発だけでなく、医薬品メーカーは安全基準を回避して利益率を上げるためにウクライナの研究施設を利用しているともいう。ファイザーやモデルナといった医薬品会社やエコヘルス同盟が関係していることからウクライナの研究所はCOVID-19にも関係している疑いがある。 キリロフが記者会見でウクライナにおける生物兵器の問題について発表した翌日の3月8日、アメリカの上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語っている。マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。つまりウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 ロシア軍の攻撃を受け、アメリカ国防総省は研究拠点を中央アジアや東ヨーロッパへ移動させ、ケニヤ、シンガポール、タイとの協力関係を強化したと伝えられている。 医薬品業界において25年間研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワは情報公開法を利用して「COVID-19ワクチン」に関する文書を入手、この接種計画はバラク・オバマ政権の時代(2009年1月から17年1月)にアメリカの国防総省が始めたことを発見したが、これはロシア軍がウクライナの研究開発施設で発見した文書の内容と合致する。 そうした背景があるため、医薬品業界を含む医療利権だけでなく、政治家や官僚も「安全保障」という「護符」で守られている。有力メディアもその「御利益」を得ているわけだ。そうしたメディアのひとつであるウォール・ストリート・ジャーナルの「報道」には裏があると思わなければならない。 ウォール・ストリート・ジャーナルはジョー・バイデン政権と緊密な関係にあるが、バイデン政権の背後にはネオコンが存在する。ネオコンはシオニストの一派で、米英の金融資本と結びついている。その金融資本のために働いていたウィンストン・チャーチルを「最初のネオコン」と呼ぶ人がいるのはそのためだ。米英金融資本の代理人として世界制覇を始めたのはセシル・ローズ。チャーチルもローズと深いつながりがある。 ローズ以来、その人脈はアメリカやイギリスの国際戦略を策定してきたが、最終的な目的はロシア/ソ連の征服だ。ロシア/ソ連を征服できれば世界の覇者になれると彼らは信じた。そして1991年12月にソ連が消滅し、その目的はほぼ達成できたと考える。そして作成されたのがウォルフォウィッツ・ドクトリンにほかならない。 ところが、21世紀に入り、ウラジミル・プーチンを中心とする勢力がロシアの再独立に成功、ウォルフォウィッツ・ドクトリンが揺らぐ。ネオコンは計画を変更することなく、揺らぎを力で抑えにかかった。それがウクライナでの戦争につながり、昨年9月26日にはロシアからドイツへ天然ガスを運ぶためのパイプライン、ノード・ストリーム(NS1)とノード・ストリーム2(NS2)が爆破された。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2月8日、この工作を実行したのはアメリカ海軍の特殊部隊だとする記事を発表した。ハーシュによると、3月にはサリバンのチームに属すメンバーがノルウェーの情報機関に接触、爆弾を仕掛けるために最適な場所を聞き、ボルンホルム島の近くに決まった。 爆破にはプラスチック爆弾のC4が使われたが、仕掛けるためにはロシアを欺くためにカムフラージュが必要。そこで利用されたのがNATO軍の軍事演習「BALTOPS22」だ。その際にボーンホルム島の近くで無人の機雷処理用の潜航艇を使った訓練が行われた。 当然のことながら、爆破されるとパイプライン内の圧力が減少する。その事実をロシアのガスプロムは異常をアラームで知るのだが、詳しい状況は理解できなかった。 そのアラームが鳴った1分後、イギリスの首相だったリズ・トラスはiPhoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送っている。この情報は10月30日に報じられたが、その前日、ロシア国防省はこれらのパイプラインを破壊したのはイギリス海軍だと発表、トラスはその4日前に辞任している。 トラスのメールは傍受されていた可能性が高いが、その事実をうかわせる出来事が10月18日にあった。イギリスのベン・ウォレス国防相がアメリカを秘密裏に訪問したのだ。 アメリカでは国務省や情報機関の高官のほか、ロイド・オースチン国防長官やマーク・ミリー統合参謀本部議長と会談、ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官と会ったというが、その際、なぜ電話でなく直接会いに行ったのかが話題になったのである。通信のセキュリティーに不安があったので直接会いに行ったと疑う人もいたが、それが事実だったようだ。 トラスがメールを送った話が事実なら、イギリス政府もパイプライン爆破に関係していたことになる。アメリカ海軍、イギリス海軍、そしてノルウェーの合同作戦ということも考えられるだろう。 パイプラインの爆破はドイツをはじめとするEUの経済、そして人びとの生活を破壊した。この破壊工作の目的はロシアとEUとの関係を断ち切り、両者を弱体化させることにあったと考えられている。2014年2月のクーデターと目的は同じだが、パイプラインの爆破はロシアだけでなくドイツに対する戦争行為。こうした情報やウクライナにおけるアメリカの敗北という事実、あるいはCOVID-19と国防総省との関係をネオコンは隠したいはずだ。そうしたことへ人びとの目が向かないようにするためには「餌」が必要で、WIVがそうした餌として機能するかもしれない。
2023.03.01
厚生労働省は2月28日に昨年12月分の「人口動態統計速報」を発表した。死亡者数は15万8387人で前年同月より2万4361名増えている。比率にすると18.2%増だ。昨年1月から12月までの合計死亡者数は158万2033人、前年に比べて12万9744名増加している。 WHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言したのは2020年3月11日。2019年12月に中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかり、その患者のサンプルを「BAL(気管支肺胞洗浄)」によって調べた結果、SARSに似たコロナウイルスが病原体だと判断された。翌年の2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似た患者が出て騒ぎになっている。 しかし、2020年には日本における死亡者数の増加は見られない。死亡者数の増加が見られるのは「COVID-19ワクチン」の接種が始まった2021年のことである。その直後から接種者の中に帯状疱疹やTTP(⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病)が現れ、2021年4月にはイスラエルで心筋炎や心膜炎の発症が報告された。 2021年3月にはカリフォルニア州サンディエゴ郊外にあるソーク研究所はスパイク・タンパク質自体が副作用の原因になっている可能性があると発表する。スパイク・タンパク質は血管にダメージを与え、ウイルスが侵入できない脳へも入り込み、神経細胞に損傷を与えているのではないかということだ。論文だけでなく解説記事も出された。 広く使われている「mRNAワクチン」はmRNAを人間の細胞へ送り込むためにLNP(脂質ナノ粒子)で包んでいる。このLNPは有害で、接種前から副作用の原因になるのではないかと懸念されていたのだが、スパイク・タンパク質自体が病気の原因だと言うことになると、「mRNAワクチン」の仕組み自体がダメだということになる。 細胞へ侵入したmRNAはすぐに消えるかのように言われていたが、この「ワクチン」にはすぐ消えないような仕掛けがあり、1カ月以上は存在してスパイク・タンパク質を作り続け、体中に広がる。人間にとって「トロイの木馬」状態だ。免疫系はこの「敵」を排除しようとするが、それは人間の細胞にほかならない。 そこで免疫力を低下させるのだが、そうなると本来なら問題にならないような病原体でも深刻な症状が現れ、癌になりやすくなる。エイズのような状態だと言えるだろう。 有害物質のLNPは肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布すると報告されていた。そこでLNPが卵子に悪い影響を及ぼすのではないかと言われていたが、ここにきて精子にもダメージを与えると報告されている。しかも遺伝する恐れがあるという。 また、スペインのパブロ・カンプラ教授は2021年6月、「COVID-19ワクチン」の中に「酸化グラフェン」があることを電子顕微鏡などで発見したと発表した。 ちなみに、8月に日本政府は「モデルナ製ワクチン」の中に磁石へ反応する物質が見つかったと発表、160万本が回収されたと伝えられているが、その物質はグラフェンの誘導体だった可能性がある。 パンプラは11月、周波数の分析で酸化グラフェンが「ワクチン」に含まれていることを確認したと発表したが、その論文を読んだドイツの化学者アンドレアス・ノアックは酸化グラフェンでなく水酸化グラフェンだろうと解説している。 2021年の段階で「COVID-19ワクチン」の危険性が明らかになり、世界的に接種件数は減少していくが、これは当然だろう。そうした中、例外的に接種を推進し続けているのが日本だ。そして死亡者数が増えているのだが、これは短期的な問題に過ぎない。本当に深刻な副作用が現れるのはこれからだ。
2023.03.01
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