《櫻井ジャーナル》

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2009.05.06
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 NATO(北大西洋条約機構)軍のグルジアでの軍事演習を延期するようにロシア政府は求めてきたのだが、そうした要請を無視する形でロシアを「仮想敵」とする演習は始まった。その背景にはイスラエルが見える。

 昨年8月にグルジア軍は南オセチアに奇襲攻撃を仕掛け、ロシア軍の反撃で惨敗した。この出来事が今回の軍事演習の背景にあることは間違いない。演習開始の直前、グルジアでは戦車部隊の一部が、サーカシビリ大統領に反抗し基地内に立てこもり、クーデター未遂事件も摘発されたと報道されているが、眉唾ものだ。昨年の奇襲攻撃の直前にも公然と嘘をついている。

 実は、昨年の軍事衝突はグルジアのミヘイル・サーカシビリ大統領が分離独立派との対話を訴えてから約8時間後、深夜近くに始まった。絵に描いたような奇襲攻撃である。日本には「進攻」などと表現しているマスコミもあるようだが、サーカシビリ大統領に肩入れしすぎている。そういえば、昨年もマスコミは当初、「ロシアの挑発」という表現を盛んに使っていた。

 この戦闘ではアメリカのメディアもロシアを悪役にしようと努力していた。例えば、FOXニュースは南オセチアから脱出してきた12歳のアメリカ人少女とおばの証言を露骨に遮り、事実を封印しようとしている。このときの様子はYouTubeで流されて世界中の人が知ることになり、FOXは醜態をさらすことになった。同局が隠したかった証言とは、グルジア軍の攻撃による具体的な被害状況だった。

 グルジア軍の奇襲攻撃では、イスラエルの存在も注目されている。2001年からイスラエルの会社がグルジアに武器を提供、兵士に対する軍事訓練も行ってきたのだ。2002年にアメリカ政府は特殊部隊のメンバーを含む約40名のグループをグルジアへ派遣しているが、その前からイスラエルはグルジアに食い込んでいたことになる。

 サーカシビリ政権には「元イスラエル人」もいるほどで、グルジア側もイスラエルとの関係を隠そうとしていない。昨年の奇襲攻撃もイスラエルが支援していたとロシア軍は信じている。つまり、奇襲攻撃を仕掛けたグルジア軍は「小イスラエル軍」だったと見ることができる。

 おそらく、グルジア政府は南オセチアを占領できると考えていたのだろうが、思惑は外れた。グルジア軍によるミサイル攻撃が始まって間もなく、ロシア軍は戦車を含む戦闘車両150両を南オセチアに送り込み、グルジア軍を逆に圧倒してしまったのである。こうした経緯があるため、日本のマスコミや欧米の親イスラエル派が期待したほど、西ヨーロッパ諸国はロシアに強硬な姿勢を見せなかった。

 イスラエルがグルジアを押さえ、ロシアにプレッシャーをかけようとしている最大の理由は、おそらくイラン攻撃にある。グルジアをイラン攻撃の拠点にしようとしている可能性があるということだ。その際、ロシア軍が介入しないように、NATO軍の存在を見せつけておきたいと考えても不思議ではない。ボリス・エリツィン時代のように、ロシアをイスラエル系の人間が支配する体制にしたいと願っているかもしれないが、ロシアに軍事侵攻する可能性はきわめて小さいだろう。

 拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房)でも詳しく説明したように、NATOは、米英両国が西ヨーロッパを支配するための道具として機能してきた。NATOの内部に「秘密部隊」が存在してきたことは1990年にイタリア政府が公式に認めている。1960年代にフランスがNATOの軍事機構から離脱した理由も、この秘密部隊の存在なしには語れない。フランスの現政権はNATO軍への復帰を決めたが、西ヨーロッパ諸国のエリートたちはNATOを信用しているとは思えない。今回の演習も米英、特にアメリカの思惑が反映されているはずだ。バラク・オバマ米大統領はロシアとの関係修復を考えていると言われているが、大統領の政策に反対している人間も少なくない。






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最終更新日  2009.05.07 03:04:25


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