《櫻井ジャーナル》

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2009.06.12
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 言うまでもなく、現実の世界で「哲人政治」が仕組みとして存在することなどはありえない。たとえ高潔な人物がトップに立ったとしても、それは一過性の出来事。どんなに立派な人間でも老いと死は避けられないわけで、遅かれ早かれ、私腹を肥やそうとする人たちが頭をもたげてくる。そうした腐敗にブレーキをかけるために先人が考え出したシステムが民主主義であり、情報の公開である。このふたつが機能していない日本の体制が腐敗するのは当然。そうした流れの中で実施された郵政民営化の裏で不正が行われることは不思議でも何でもない。

 日本で民営化の推進を宣言したのは中曽根康弘首相であり、その政策をさらに進めたのが小泉純一郎首相。中曽根の民営化を象徴するのが「国鉄」だとするならば、小泉は「郵政」だ。その郵政民営化の過程に疑惑があると主張、日本郵政の西川善文社長の再任を拒否すると宣言した鳩山邦夫総務相が更迭された。それだけ明るみに出したくない事実が郵政にはあると多くの人は感じているはずだ。

 小泉政権が誕生したのは2001年4月。郵政民営化が動き始めたのは翌年の12月に開かれたある会合からだ。この集まりには、三井住友出身の西川をはじめ、竹中平蔵、ゴールドマン・サックスのCEO(最高経営責任者)を務めていたヘンリー・ポールソン、そしてCOO(最高業務執行責任者)だったジョン・セインが参加したと伝えられている。

 その後、ポールソンは財務長官に就任、またセインはメリルリンチのCEOになった。つまり、郵政民営化の背後にはゴールドマン・サックス、メリル・リンチ、そしてジョージ・W・ブッシュ政権が存在していたことになる。竹中や西川はアメリカ側の代理人にしか見えない。

 リーマン・ブラザーズの倒産を切っ掛けにして表面化した金融破綻の中でセインは不適切な行動の責任を取らされて追放、ポールソンもホワイトハウスを去った。ゴールドマン・サックスは大統領選でバラク・オバマに対して98万ドル寄付、新政権にも大きな影響力を持っているが、ここで西川が退陣すると、アメリカ側にとっても困ったことになるだろう。

 ある種の人々に取って、民営化が大儲けのチャンスだと言うことは、日本以外でも言えること。例えば、ボリス・エリツィン時代のロシアでも「民営化」で一部の人間が巨万の富を手にしているが、そうして誕生した「少数独裁者」は犯罪組織との関係が指摘されている。ライバルを蹴落とすためには、暴力装置が必要だったということだ。

 チェチェン・マフィアとの関係が報じられ、イスラエルの市民権も持っていたボリス・ベレゾフスキーは中でも有名な存在で、アメリカのフォーブス誌の編集者だったポール・クレイブニコフが詳しく報告している。

 ベレゾフスキーのような「少数独裁者」、日本のマスコミに言わせると「実業家」が使う「暴力装置」の凶暴さはヤクザの比ではない。何しろ、多くはソ連/ロシア軍の特殊部隊や情報機関のメンバーあるいは元メンバーで、戦い方は「犯罪組織」を超越していた。

 2006年11月に変死したアレキサンダー・リトビネンコもKGB(ソ連国家保安委員会)やFSB(ロシア連邦保安庁)に所属していた人物で、FSB時代から「アルバイト」でベレゾフスキーの下で働いていたと言われている。リトビネンコが信奉していたのは祖国でも自由でも民主主義でもなく、ベレゾフスキーのカネだったとしか思えない。






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最終更新日  2009.06.13 01:11:33


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