《櫻井ジャーナル》

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2012.09.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 シリアで激しい戦闘が続き、破壊と殺戮が繰り返されている。こうした事態に立ち至った最大の責任がアメリカのネオコン(親イスラエル派)にあることは間違いない。この事実から目を背けて問題を解決することはできない。

 本ブログではしつこく書いているが、現在の戦争は、1990年代の初頭に彼らが描いた世界支配の青写真に基づいている。そこにイギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタールなどが合流して軍事介入を開始したわけだ。

 ネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン体制を敵視、それに対してフセインを湾岸産油国の守護神と位置づけ、支援していた勢力もアメリカ支配層の中には存在した。例えば、ジェームズ・ベイカー、ジョージ・H・W・ブッシュ、ロバート・ゲーツたちだ。

 しかし、ブッシュ・シニアが大統領に就任してから国防総省ではネオコンの影響力が強くなり、西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアがライバルに成長しないように全力を挙げ、アメリカ主導の新秩序を築き上げるという戦略を打ち出した。そこで作成されたのがDPG(国防計画指針)だ。

 この草案はリチャード・チェイニー国防長官の下、アンドリュー・マーシャルの戦略に基づいてポール・ウォルフォウィッツ国防次官、そしてI・ルイス・リビー、ザルメイ・ハリルザドというネオコン人脈がDPG(国防計画指針)によって作られている。

ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官 によると、DPGの草案が作成される直前に、ウォルフォウィッツは旧ソ連圏の国々、シリア、イラン、イラクを掃除すると話していた。こうしたネオコンの戦略がDPGのベースになっていたということだろう。

 しかし、次の大統領選挙でビル・クリントンが当選、ホワイトハウスにおけるネオコンの影響力が小さくなり、マーシャルの戦略は棚上げになってしまう。そのクリントン大統領は「パレスチナ和平」を進め、1993年にPLOのヤセル・アラファトとイスラエルのイツハク・ラビン首相は「暫定自治原則宣言」(オスロ合意)に正式署名した。

 そして2000年、ネオコンに担がれたジョージ・W・ブッシュは裁判所の力も借りて大統領選に勝利する。この選挙ではブッシュを当選させるために投票妨害などの工作が報告されているが、投票のカウントに不正があったとも疑われている。



 この出来事を引き金にしてふたつのプロジェクトが動き始める。ひとつは1980年代にロナルド・レーガン政権が始めたCOG(一種のクーデター計画)、もうひとつはDPGのベースにもなった攻撃計画である。COGの始動でアメリカの憲法は機能を停止、 イラクに続き、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃するという計画 も動き始めた。

 アフガニスタンに軍事侵攻した後、統合参謀本部内の反対意見を押し切る形でブッシュ政権がイラクを先制攻撃したのが2003年3月。開戦に反対していた人びとが予想したとおりに戦争は泥沼化した。この戦争で軍需産業、傭兵会社、監視ビジネスなどは大儲け、アル・カイダも勢力を拡大していったが、国民には戦費負担がのし掛かる。

 ネオコンのウィリアム・クリストルとローレンス・カプランは著書の中で、イラク攻撃は21世紀におけるアメリカの世界における役割を決める意味があるとしている。つまりアメリカが世界を支配する道を開く最初の一歩だということである。「DPGの草稿」を始動させたということだろう。

 2005年2月にはレバノンでラフィク・ハリリ元首相らが殺され、「西側」のメディアはシリア黒幕説を流し始めた。この年の10月には国連国際独立委員会のデトレフ・メーリス調査官は、「ラフィク・ハリリ元首相の殺害がシリアの治安機関幹部の許可なく、またレバノンの治安機関内部の共謀なしに実行されることはありえないと信じる有望な根拠がある」としていた。要するに「証拠はないものの、シリアが怪しい」ということだ。

アメリカ政府は国連に対し、緊急行動を要求 するのだが、その一方でシリア黒幕説を否定する事実が明らかになっていく。事実関係に不審な点が出てきたほか、2006年にはアル・カイダのメンバーが登場、ハリリを暗殺したと証言している。後に「拷問による自白」とされたが、拷問があったとする根拠は示されていない。

 2010年8月には ヒズボラの指導者、ハッサン・ナスララーがハリリ暗殺の背後にはイスラエルが存在すると主張 、ブッシュ・ジュニア政権は中東の勢力図を自分たちに都合良く書き換えようとしていると批判していた。

 アメリカの国務省がシリアの反政府派を育成しはじめるのは、それから間もなくしてのことである。 内部告発支援サイト、ウィキリークスが公表したアメリカ政府の外交文書 によると、米国務省はシリアの反政府派へ2000年代の半ばには資金援助を開始、ロンドンに拠点を持つ衛星放送のバラダTVを創設、プロパガンダを始めている。

シーモア・ハーシュ はニューヨーカー誌で、アメリカがサウジアラビアと手を組み、シリアやイランを攻撃する秘密工作を始めたと警告、現在はアメリカ、イギリス、フランス、トルコといったNATO加盟国とサウジアラビアやカタールという湾岸産油国がアル・カイダ系武装集団とも手を組み、シリアの体制転覆を目指して軍事介入している。





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最終更新日  2012.09.02 19:18:34


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