《櫻井ジャーナル》

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2013.01.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 2013年を迎え、 ローマ教皇ベネディクト16世が出した最初のメッセージ

 かつて、日本では「勝ち組」や「負け組」といった表現が流行った。勝負の前提は「公正なルール」なのだが、新自由主義は公正さと無縁。つまり、この表現自体が詐欺的だ。

 たとえルールが公正であっても、球技であろうと格闘技であろうと、あらゆる競技の勝負には「時の運」がつきものである。遊びならそれでも良いだろうが、社会生活では大きな問題。「運」を修正する必要がある。が、そうした修正の仕組みを「規制緩和」や「小さな政府」という呪文を使って破壊したのが新自由主義者たち。

 この新自由主義を国の政策として最初に採り入れたのはチリの軍事独裁政権だ。チリでは1973年、CIAの支援を受けたオーグスト・ピノチェトを中心とする軍人がクーデターを起こし、サルバドール・アジェンデ政権を倒した。アジェンデは民主的なプロセスを経て誕生していたが、アメリカの巨大資本にとって都合が悪いということで、暴力的に排除したわけである。アメリカは民主主義の破壊者だ。

 クーデター後、シカゴ大学のフリードマン教授やアーノルド・ハーバーガー教授といった経済学者の弟子たち、いわゆる「シカゴ・ボーイズ」が大企業/富裕層を優遇する政策を実施する。勿論、大企業の中心はアメリカの多国籍企業。フリードマンとハーバーガーも1975年にチリを3日間訪問、3万ドルを報酬として受け取ったという。

 シカゴ・ボーイズは国有企業を私有化し、労働者を保護する法律を廃止するだけでなく労働組合を禁止、そして外国からの投資を促進した。1979年頃になると、年金や教育まで全てを私有化しようとしている。こうした政策が新自由主義の核心であり、TPPも同じ方向を目指すことになる。日本の「エリート」はこうした社会を築こうとしているわけだ。

 規制緩和でチリは外国の金融機関から多額の資金を調達するのだが、1980年代に債務危機が起こると外国の金融機関は銀行の「国有化」を求めてくる。国有化された彼らの債権は私有化された国有企業の株券と交換され、チリの重要な企業は外国の投資家に格安のコストで乗っ取られることになった。

 フリードマンの師にあたるフリードリッヒ・フォン・ハイエクはイギリスのマーガレット・サッチャーに新自由主義を売り込む。1982年にアルゼンチンとの間で「フォークランド/マルビナス戦争」が始まると、これを利用してサッチャー政権は新自由主義を一気に導入した。戦争で興奮状態になったイギリス人は、何が起ころうとしているのかを考えなかったようだ。



 ビルダーバーグ・グループでの決定(ヘンリー・キッシンジャーの意向)に基づいて1973年に石油価格が大幅に上昇、北海油田が利益を生み出すようになり、イギリス経済は立ち直っている。勿論、これは新自由主義と無関係な話。

 サッチャーの後をアメリカのロナルド・レーガン大統領や日本の中曽根康弘首相も追いかけたが、1980年代に入ると中国が、1990年代にはロシアも新自由主義を採り入れた。

 中国では社会主義という箍が機能して「害」は緩和されたものの、ボリス・エリツィン政権のロシアは惨憺たる事態になる。不公正な取り引きで巨万の富を得る人物が登場する一方で、大多数の庶民は貧困化したのだ。これを修正したのがウラジミール・プーチン。「西側」のメディアがプーチンを嫌う最大の理由はここにあるのだろう。





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最終更新日  2013.01.02 18:15:40


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