《櫻井ジャーナル》

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2013.05.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 西側諸国や湾岸産油国の支援を受け、アル・カイダ系の武装集団はシリアの体制転覆を目指して戦ってきたが、崩壊寸前にあると伝えられている。シリアでの戦闘が始まったのは2011年3月。その1カ月前、リビアでも欧米の巨大資本にとって都合の良い体制を樹立させるためのプロジェクトが始まり、8カ月後に体制は倒された。反政府軍の構図は基本的にシリアと同じ。リビアで戦った戦闘員は武器/兵器を携えてシリアへ移動した。

 リビアやシリアにおいて、反政府勢力を構成するのはイギリス、フランス、アメリカ、トルコのNATO諸国、サウジアラビア、カタールの湾岸産油国、イスラエル、そしてアル・カイダ。リビアを攻撃した最大の理由は、ムアンマル・アル・カダフィ政権が計画していたアフリカ諸国の自立を阻止することだと考えられている。債務の返済に協力し、貿易の決済をドルやユーロでなく「金貨ディナール」にしようとカダフィは計画していたようなのだ。それに対し、シリアの場合はイランが絡んでいる。

 アメリカの調査ジャーナリスト、 シーモア・ハーシュ は2007年に興味深い記事を発表した。ジョージ・W・ブッシュ政権はイスラエルとサウジアラビア(スンニ派)と手を組み、手スンニ派の武装グループ(アル・カイダも含まれる)を手先として使いながら中東の支配構造を変えるための秘密工作を始めたというのだ。

 2003年にアメリカのブッシュ・ジュニア政権はイギリスのトニー・ブレア政権を引き連れてイラクを先制攻撃、サダム・フセイン体制を倒した結果、イラン(シーア派)の影響力が増大する。フセインはCIAの協力者としてスタートした人物だが、イスラエルは排除したいと考えていた。

 イランの影響力が大きくなると、今度はイランを叩きにいく。イランを後ろ盾とするヒズボラ、イランと同盟関係にあるシリアもターゲットにしたプロジェクトを始めた。この工作の延長線上にシリア攻撃はあり、当然のことながら、反シリア政府軍としてアル・カイダが出てくる。

 ブッシュ・ジュニア政権はネオコン(親イスラエル派)が主導権を握っていた。そのネオコンで中心的な存在だったポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)は1991年、シリア、イラン、イラクを掃討すると語っていたという。これは ウェズリー・クラーク 元欧州連合軍最高司令官の話。当時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュだ。

 イスラエル/ネオコンは1980年代からフセインを排除すべき敵だと位置づけていた。そして1991年にはシリアやイランも体制を破壊する対象とみていたわけで、2007年当時の動きは「計算違い」でなく「計算通り」だと考えるべきだろう。イラクもイランも倒すべき対象だったのだ。シリアの体制を転覆させるという計画は成功していないが。



 リビアで戦闘が始まる3カ月前、2010年11月にフランスの情報機関員や軍人が「通商代表団」に紛れ込んでベンガジへ入って反カダフィ派と接触、戦闘開始の後、2011年3月にはイギリスはSAS(特殊部隊)の隊員とMI6(対外情報機関)のメンバーもベンガジへ潜入している。

 リビアの体制転覆プロジェクトではNATO軍が空爆しているが、地上では アル・カイダ系のLIFG が主力として戦った。この組織は2007年11月、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアが秘密工作を始めて間もなく、アル・カイダの参加団体になっている。このLIFGとアメリカ政府をつないでいたのがリビア駐在の大使だった故クリストファー・スティーブンス。カダフィが惨殺された直後、 ベンガジで裁判所の建物にアル・カイダの旗 が掲げられたのも必然だ。

 シリアではリビアの場合より、NATO、湾岸産油国、イスラエルは反政府軍に対する支援体制を整備していた。トルコにあるアメリカ空軍のインシルリク基地は、アメリカの情報機関員や特殊部隊員、イギリスとフランスの特殊部隊員が反シリア政府軍を訓練、ヨルダンやレバノンにも反政府軍の拠点があるようだ。トルコやヨルダンで 反シリア政府軍に化学兵器の扱い方を教えた とも報道されている。

 シリアで反政府軍が劣勢になっていることを危惧してなのか、最近、イギリス、フランス、トルコはシリア政府軍が化学兵器を使ったと宣伝しはじめた。が、化学兵器の使用を最初に指摘、調査を求めたのはシリア政府であり、 反政府軍が使ったと分析 されていた。

 シリアの体制転覆を目指す勢力はメディアの力で化学兵器を使ったのはシリア軍だというイメージを広めようとしたようだが、国連独立調査委員会メンバー、 カーラ・デル・ポンテ は反政府軍が化学兵器を使った疑いが濃厚だと発言、プロパガンダの出鼻をくじくことになる。トルコ政府は巻き返そうと必死。アメリカやイスラエルがロシアに接近しているのは体勢を立て直すための時間稼ぎだという見方もある。シリアが安定するのは、まだ先になりそうだ。





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最終更新日  2013.05.14 01:15:13


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