《櫻井ジャーナル》

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2013.08.03
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 NSAによる監視活動を内部告発したエドワード・スノーデンの一時亡命を認めたロシアに対し、アメリカ政府や一部議員が怒りの声を上げている。ホワイトハウスのジェイ・カーニー報道官はスノーデンについて、内部告発者でも反体制派でもなく、機密情報を漏らしたので告発されていると「説明」したようだが、何も言っていないに等しい。

 内部告発とは、政府や企業が秘密裏に行っている不適切な行為を外部に伝えることであり、機密情報を明らかにすること。カーニー報道官は内部告発を認めないと言っているわけで、国民から知る権利を奪うという宣言だとも言える。

 こうした反応に対し、ロシアは自分たちがアメリカに対して強制送還を要請し、拒否されたイリヤ・アーモドフやタマズ・ナルバンドフのケースを引き合いに出し、反論している。

 アーモドフはソ連軍の元将校で、1990年代にチェチェンの武装グループに合流、シャミーリ・バサーエフと一緒に戦っていた人物。バサーエフはチェチェンで本格的な戦闘を始める前、アフガニスタンやパキスタンを訪問、1999年にチェチェンの武装グループを率いてダゲスタンに軍事侵攻している。その翌年、アル・カイダがチェチェン独立派との共闘を宣言、アル・カイダが戦闘員や資金を提供、チェチェン側はアフガニスタンでアル・カイダの訓練を行うという合意が成立したと伝えられている。その後、チェチェンをロシア軍が制圧、アーモドフは2003年にアメリカへ移住、翌年には亡命が認められた。

 ナルバンドフはオセチア出身。2000年にアメリカへ渡って政治亡命を求め、2002年に許可された。彼はロシアで誘拐や強要の罪を犯した容疑がかけられていた人物で、2001年には国際手配されている。

 このふたりはロシア絡みだが、それ以外にもアメリカが国際手配されている人物を亡命させ、強制送還を拒否している事例は少なくない。例えば、「CIAのテロリスト」と呼ばれたルイス・ポサダ・カリレス。キューバ生まれのベネズエラ人で、1963年から64年にかけてアメリカの特殊部隊が拠点を置くベニング基地でCIAから破壊活動などの訓練を受けている。

 ベネズエラの情報機関で工作部門を率いた後、1976年10月6日にキューバの旅客機を爆破して73名を殺害した事件で名前が出てくる。爆破から数時間後にはトリニダード当局に逮捕されたふたりのベネズエラ人が、爆破工作はポサダ・カリレスとオルランド・ボッシュの命令だと証言したのだ。

 ポサダらは10月14日にベネズエラのカラカスで逮捕され、起訴されたものの、1985年に脱獄に成功する。その直後、彼が会ったフェリックス・ロドリゲスはCIAのエージェントで、ジョージ・H・W・ブッシュと親しいことで有名。そして、ポサダはニカラグアの反革命ゲリラ「コントラ」を支援する秘密工作に参加する。

 キューバ機爆破の直前、1976年9月にチリの元外相、オルランド・レテリエルがワシントンDCで暗殺されているのだが、この事件にポサダも参加していた疑いがもたれている。ちなみに、当時のCIA長官はジョージ・H・W・ブッシュ。



 1994年とは別のカストロ暗殺計画をパナマ当局が暴き、2000年11月にポサダは逮捕され、2004年4月に8年から9年の懲役が言い渡された。が、特赦になった。その翌年の3月にはメキシコ経由でアメリカへ不法入国し、アメリカへ「亡命」を求め、「自由の身」になった。

ボリビアの元大統領、ゴンサロ・サンチェス・デ・ロサダ もアメリカの保護を受けている「お尋ね者」。2003年、彼の政策に対する抗議活動を暴力的に鎮圧しようと試み、合計すると約100名が殺されたようだ。

 2003年にサンチェスはアメリカへ逃亡、その2年後にボリビア議会は彼を大量殺人容疑で起訴、アメリカに強制送還を求めたが、拒否されている。本人は現在、アメリカで優雅な生活を送っていると伝えられている。

 最近では、イタリアからINTERPOLを通じて指名手配されていた ロバート・セルドン・レディ元CIAミラノ支局長 を保護している。7月17日にパナマ当局が逮捕したが、19日には釈放されてアメリカへ向かったという。イタリアへは引き渡されなかったということ。言うまでもなく、アメリカ政府が引き渡しを妨害したわけだ。

 いわゆる「アラブの春」を欧米、湾岸産油国、イスラエルが仕掛けた理由のひとつは、中東や北アフリカでBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の影響力が強まり、自分たちの利権が揺らいでいることにある。スノーデンの一件で、BRICSの中心的な存在と言える中国とロシアがアメリカの思い通りに動かないことが再確認され、しかもアメリカが行ってきた不正行為も多くの人が知るようになった。

 ロシアとアメリカとのやりとりを世界の人びとは注意深く見守っている。アメリカは支配システムを守るために強硬な姿勢を見せているが、強硬策を取れば取るほど信頼をなくし、世界で占める位置は低下するというジレンマに陥ってしまった。





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最終更新日  2013.08.03 17:00:48


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