ロシアと中国の政府はアメリカ支配層に対し、軍事的な攻撃には軍事的に反撃する意思を鮮明にしている。これはアメリカ支配層の中でも好戦的なネオコンが1991年に作成した世界戦略の基盤を崩すものだ。
ジョージ・H・W・ブッシュ政権は1991年1月にイラクへ軍事侵攻した。「砂漠の嵐作戦」だ。ネオコンはその作戦でサダム・フセインを排除し、親イスラエル政権を樹立するともりだったのだが、ブッシュ大統領はフセイン政権を倒さずに攻撃を終了。
ポール・ウォルフォウィッツ国防次官などネオコンは怒ったが、その一方でソ連軍が出てこなかったことを収穫だと考えた。アメリカ軍が何をしても妨害する者はいないと思い込んだのである。
1991年夏までの段階でブッシュ大統領をはじめとするCIA人脈はイスラエルの情報機関を介してソ連の情報機関KGBの中枢と話をつけ、ソ連を乗っ取ることで合意していた。ハンマー作戦だ。これは本ブログでも書いたことがある。
この乗っ取り作戦には関与していなかったようだが、ミハイル・ゴルバチョフはアメリカや西ヨーロッパを民主的な体制だと考える「牧歌的親欧米派」で、当時のソ連政府は軍事的に欧米と向き合うよう状況になかった。
1991年の後半にはゴルバチョフを排除することに成功、欧米支配層の傀儡でこの年の7月にロシア大統領となったボリス・エリツィンが実権を握る。このエリツィンは同年12月にウクライナやベラルーシの首脳をベラルーシにあるベロベーシの森に集め、秘密裏に、国民に諮ることなくソ連からの離脱を決めてソ連を消滅させる。
その後のロシアがアメリカやイギリスをはじめとする西側巨大資本の属国になり、国民の資産は彼らに略奪されることになった。この時期に巨万の富を築いたオリガルヒは西側巨大資本やKGB幹部の手先になった人びとだ。
ソ連の消滅によってアメリカ支配層は自分たちに逆らえる国はなくなったと判断する。つまり、アメリカが唯一の超大国になったと信じたのである。1992年2月に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンをネオコンは「詰め」だと考えたのだろう。
ネオコンの基本戦術は「脅せば屈する」。1991年の経験はこの考え方を強化することになった。この戦術をネオコンたちはロシアや中国にも適用しているのだが、機能していない。ゴルバチョフ時代のソ連とは違って現在のロシアは慎重ながら、対抗する意思を鮮明にしている。アメリカ支配層は中国について、カネ儲けさせておけば自分たちの戦略に楯突かないと信じていたようだが、2014年以降、雰囲気は大きく変化した。ウクライナにおけるネオ・ナチを使ったクーデターを見てアメリカ支配層の危険性を悟ったようだ。
アメリカ支配層の危険性を悟っているという点では韓国も同じ。本ブログでは繰り返し書いてきたが、韓国のエリートはロシアや中国とのつながりを強めていた。朝鮮半島の動きはこうした状況が影響している。アメリカ支配層に従属している日本に対する韓国の姿勢が変化するのも必然だ。