イランで施設の爆破が続いている。最初は 6月25日にテヘランの東であった爆発 で、その後 十数カ所が破壊された と見られている。そのひとつが7月2日にナタンズのウラン濃縮施設でのもの。この時は遠心分離機がダメージを受けたと伝えられた。
クウェートの新聞によると、ウラン濃縮施設が爆発した原因はイスラエルによるサイバー攻撃だったというが、他の有力メディアと同じようにCIAの影響下にあり、ネオコンが宣伝に使っているメディアのひとつ、 ニューヨーク・タイムズ紙が7月5日に掲載した記事 には中東の情報機関幹部の話として、イスラエルが強力な爆弾を使って破壊したと伝えている。
ニューヨーク・タイムズ紙が掲載したということは、ネオコンを操っている支配者の意向がその記事に反映されている可能性が高いのだが、狂信的なユダヤ至上主義者と言われているアビグドル・リーバーマンは、 同紙へ情報を流したのはイスラエルの情報機関モサドのヨシ・コーエン長官だとほのめかす発言 をしている。
コーエンはベンヤミン・ネタニヤフ首相の後継者と噂されている人物。リーバーマンの示唆が正しいなら、ネタニヤフを排除して自分が首相の座に座ろうと考え始めたのだろう。
アメリカだけでなくイスラエルも内部対決が激しくなっている。ドナルド・トランプ米大統領はバラク・オバマ政権が高めたロシアとの軍事的な緊張を緩和させるとして当選したのだが、オバマの後継者であるヒラリー・クリントンを担いでいた勢力、つまりロッキード・マーチンをはじめとする戦争ビジネス、ウォール街の金融資本、そしてネオコンなどからトランプ派は激しく攻撃された。トランプをホワイトハウスから追い出すために始められた「ロシアゲート」なるでっち上げ事件には司法省、FBI、CIAといった機関の幹部、そしてイギリスの情報機関MI6が関係している。
すでに国防長官だったジェームズ・マティスがシリアから撤兵させるというトランプ大統領の発言に抗議して2018年12月に辞任、国家安全保障補佐官だったジョン・ボルトンやマイク・ポンペオ国務長官も大統領の意向に逆らっていた。
またマイク・ペンス副大統領はポンペオとキリスト教系カルトの仲間で、立場は同じ。シリア特使を務めていたジェームズ・ジェフリーも大統領と対立、結局、アメリカ軍の撤退計画は立ち消えになった。
こうした人びとだけでなく、ここにきて軍需産業と深く結びついているマーク・エスパー国防長官やCIA出身のウィリアム・バー司法長官もトランプから距離を置き始めているように見える。
トランプは2016年の大統領選挙ではロシアとの関係修復を訴えたものの、最大のスポンサーだったカジノ経営者のシェルドン・アデルソンはイランに核兵器を落とせと公言していた人物で、ネタニヤフにも大きな影響力を持っている。アデルソンは単なるカジノ経営者ではない。
アメリカの支配者層の内部で逆風が強まっているトランプはアデルソンとネタニヤフのラインに頼ることになるかもしれないが、そうした動きの表れとしてイランに対する攻撃があるのかもしれない。イランの体制転覆はネオコンも1980年代から主張していた。イランに対する攻撃があるとしたなら、それは戦闘機やミサイルなどで行われるのではなく サイバー攻撃が中心になる という見方もある。