COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)という悪霊が世界を徘徊しはじめた、つまりパンデミックだとWHO(世界保健機関)が宣言する9年前の3月11日、東電の福島第一原発で炉心が溶融、環境中に大量の放射性物質を放出するという事故が引き起こされた。
原子炉内の状態は明確でないが、炉心が溶融してデブリ(溶融した炉心を含む塊)が落下していることは間違いなく、その一部が地中へ潜り込み、地下水で冷却されている可能性もある。福島第1原発の周辺は水の豊かな場所。その地下水は汚染水となり、補足されていないルートを通って海へ流れ出ていることも考えられる。
しかし、東電はデブリを冷やしている水を全て回収、トリチウム以外の「ほとんどの放射性物質」を除去した上で保管しているとしている。保管されている水の量は約123万トンに達しているが、限界は137万トンだという。2022年秋にはその限界点に到達するので、その前に「薄めて」大気中や海洋へ放出することになるわけだ。
水俣病など公害が問題になった時も「薄める」という儀式を行った上で環境中へ放出していた。排水溝の近くの海から水をくみ上げ、廃液とまぜて濃度を下げるという子ども騙しのようなことが行われていたのである。言うまでもなく、汚染物質の総量に変化はない。そこで総量規制という考え方が出てきた。
日本政府は2051年までに廃炉させるとしていたが、イギリスのタイムズ紙は この原発を廃炉するまでに必要な時間を200年だと推定 したが、数百年はかかるだろうと考える人が少なくない。その間、放射性物質は環境中に垂れ流されるだろう。廃炉作業が終了しても10万年にわたって放射性廃棄物を保管する必要があると言われているが、そんなことが可能だと信じている人は10年前の人類を考える必要がある。
処理したところで汚染水であることに変わりはない。そのようなものを環境中へ放出してはならないのだが、そうせざるを得ない状況になっている。つまり、そうした事態を招く原子力発電を始めてはならなかったのだ。
福島第一原発で事故が起こった翌日、つまり2011年3月12日に1号機で爆発があり、14日には3号機も爆発、15日には2号機で「異音」があり、4号機の建屋で大きな爆発音があった。
医療法人の徳洲会を創設した徳田虎雄の息子で衆議院議員だった徳田毅は事故の翌月、2011年4月17日に自身の「オフィシャルブログ」(現在は削除されている)で次のように書いている:
「3月12日の1度目の水素爆発の際、2km離れた双葉町まで破片や小石が飛んできたという。そしてその爆発直後、原発の周辺から病院へ逃れてきた人々の放射線量を調べたところ、十数人の人が10万cpmを超えガイガーカウンターが振り切れていたという。それは衣服や乗用車に付着した放射性物質により二次被曝するほどの高い数値だ。」
事故当日にメルトダウン、つまり内部は破壊されて温度と圧力は急上昇、放射性物質は環境中へ放出されはじめる。12日の午後2時半頃にベント(排気)したとされているが、双葉町ではベント前に放射線量が上昇していたと伝えられている。そして午後3時36分に爆発。
建屋の外で燃料棒の破片が見つかるのだが、この破片について NRC(原子力規制委員会)新炉局のゲイリー・ホラハン副局長 は2011年7月28日に開かれた会合で、発見された破片は炉心にあった燃料棒のものだと推測できるとしている。マンチェスター大学や九州大学の科学者を含むチームは原子炉内から放出された粒子の中からウラニウムや他の放射性物質を検出した。
事故当時に 双葉町の町長だった井戸川克隆 によると、心臓発作で死んだ多くの人を彼は知っているという。セシウムは筋肉に集まるようだが、心臓は筋肉の塊。福島には急死する人が沢山いて、その中には若い人も含まれているとも主張、東電の従業員も死んでいるとしている。
事故で環境中に放出された放射性物質の放出総量はチェルノブイリ原発事故の1割程度、後に約17%に相当すると発表されているが、その算出方法に問題があるとも指摘されている。
この計算の前提では、圧力抑制室(トーラス)の水で99%の放射性物質が除去されることになっているが、今回は水が沸騰していたはずで、放射性物質の除去は困難。トーラスへの爆発的な噴出で除去できないとする指摘もある。そもそも格納容器も破壊されていた。
原発の元技術者であるアーニー・ガンダーセンは少なくともチェルノブイリ原発事故で漏洩した量の2~5倍の放射性物質を福島第一原発は放出したと推測している(アーニー・ガンダーセン著『福島第一原発』集英社新書)が、10倍程度だと考えても非常識とは言えない。
福島第一原発の事故では事実が明らかにされてこなかった。少しずつ情報は漏れているが、政府にしろマスコミにしろ、重大な事実を隠しているとしか思えない。そうした人びとに処理水の海洋放出は安全だといわれても信じることはできない。
本来、人間の健康を考えなければならないWHOも信頼できない。この組織はIAEA(国際原子力機関)と関係が深いのだ。以前にも書いたことだが、1959年にWHOとIAEAはある 合意文書 に調印している。その第1条第3項の規定により、一方の機関が重大な関心を持っている、あるいは持つことが予想されるテーマに関するプログラムや活動の開始を考えている場合、プログラムや活動を考えている機関はもうひとつの機関に対し、問題を調整するために相談しなければならない。
つまり、IAEAの許可がなければ、WHOは放射線の健康被害に関して発表することはできない。放射線被害の問題でWHOに期待することはできないということだ。
WHOが影響を受けている相手はIAEAのほかにも存在する。WHOにはさまざまな国や団体が寄付、最も多いのはアメリカだが、その次はCOVID-19の恐怖を煽り、ワクチンを接種するように宣伝しているビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団だ。この財団は巨大な私的権力の実働部隊にすぎないだろう。