ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2月21日に予定されている連邦議会における演説でベラルーシとの関係強化やNATOと戦争状態にあることを認めると言われている。その前日、アメリカのジョー・バイデン大統領は2月20日にキエフを訪問、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対して軍事的な支援を約束した。
ゼレンスキー政権が揺らぎ、ヨーロッパ諸国でもアメリカ政府への疑念が高まる中、バイデン政権はロシアに対する好戦的な姿勢を見せている。2月10日にはセレスト・ワランダー国防次官補がウクライナ軍によるクリミア攻撃に反対しないと発言、2月16日にはビクトリア・ヌランド国務次官がウクライナ軍によるクリミアの軍事基地攻撃を支持すると語っている。ロシア政府から見ると、これはロシア領への攻撃をアメリカ政府が支援するということだ。
アメリカの属国と化しているドイツでは アンナレーナ・ベアボック外相 が今年1月24日に欧州議会で「われわれはロシアと戦争している」と主張、そうした状況でウクライナのロシア領攻撃をアメリカ政府が支援するなら、それはアメリカとロシアとの戦争ということになる。
アメリカの対外政策を決めてきたネオコンは「脅せば屈する」という思い込みで政策を決めてきた。1991年の湾岸戦争でソ連が軍隊を出してこなかったことで、その考えは強固なものになったようだ。その年の12月にソ連は消滅、ロシアの経済は破綻、軍事力は弱体化したと彼らは判断、ロシアを気にぜず何でもできると考えるようになる。そして作られたのが「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。
21世紀に入ってロシアは曲がりなりにも再独立に成功、経済力や軍事力は急速に回復していくが、そうしたことをアメリカの支配層は受け入れられなかった。フォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載された論文はそうした心情を表していると言えるだろう。 キアー・リーバーとダリル・プレス はその論文の中で、アメリカが近いうちにロシアと中国の長距離核兵器を先制第1撃で破壊する能力を持てるとしている。この雑誌は外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物で、記事には支配層内部の雰囲気が影響している。
その後、ロシア経済は急回復、軍事力も復活した。ウクライナの戦闘でもアメリカ/NATOは兵器や弾薬の生産でロシアに圧倒している。しかも戦闘能力が高く、ウクライナ側の半分から数分の1の人数で戦い、勝利は確定的だ。
ロシア軍の中で職業軍人は約21万5000人、そのうちドンバスでの軍事作戦に投入されたのは約15万人で、前線で戦っているのは8万人から10万5000人だという。そこへドンバス軍、ワーグナー・グループの傭兵、チェチェンの義勇兵が加わり、前線で戦っている人数は合計15万人から17万人だと推計されている。キエフ側は19万人から22万人。
ロシア政府は昨年9月21日に部分的動員を発表、30万人から40万人が加わったが、そこから前線に出ているのは4万人程度で、残りは後方で待機、あるいは訓練を受けていると言われている。
それに対し、ウクライナ側の兵士は「玉砕戦法」で戦死者が膨らんでいる。欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は11月30日、ウクライナの将校(将兵?)10万人以上が戦死したと語ったが、これは少なめの数字だ。ロシア/ドンバス側の戦死者はその約1割だという。
ゼレンスキー政権は兵士を補充するため、18歳から60歳の男子が出国することを禁止、動員の対象にしていた。45歳以上の男性だけでなく少年兵も前線へ送り込んでいると言われていたが、最近は60歳程度の男性が街角で拘束され、前線へ送り込まれているという。傭兵の多くがポーランド人やイスラエル人だということが携帯電話のやりとりから判明している。