アメリカ軍は南西諸島とフィリピンに臨時基地を設置し、ミサイル部隊を配備すると伝えられている 。すでに アメリカ軍の戦略に基づいて自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させている。その間、韓国へも2017年4月にTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が強引に持ち込まれた。
当時は日本の立場をアメリカ側は配慮している。専守防衛の建前と憲法第9条の制約があるため、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたのだ。が、その後、そうした日本の憲法に対する配慮はなくなった。
与那国島にミサイル発射施設を建設する前年、 2015年の6月、総理大臣だった故安倍晋三は赤坂の「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道されている 。安倍首相は南シナ海における中国との軍事衝突を見通していた。
南西諸島にミサイルを並べつつあった2017年にアメリカ、オーストラリア、インド、日本はQuad(日米豪印戦略対話)を復活させるが、これは中国を意識してのこと。このうちインドは現在、アメリカと一線を画している。NATO(北大西洋条約機構)の事務総長を務めていたイェンス・ストルテンベルグは2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言した。
ジョー・バイデンが大統領に就任した翌年、2022年の4月にアメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するという計画を公表。その年の9月にはオーストラリア、イギリス、アメリカでAUKUSなる軍事同盟を発足させると発表され、 2022年12月にアメリカではNDAA2023(2023年度国防権限法)が成立、アメリカの軍事顧問団が金門諸島と澎湖諸島に駐留し、台湾の特殊部隊を訓練していると伝えられている。
また、フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア(ボンボン・マルコス)を取り込んだアメリカはJAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なる軍事同盟を築こうとしているが、これはアメリカ軍が南西諸島とフィリピンに臨時基地を設置し、ミサイル部隊を配備するというプランにつながる。
日本は韓国、台湾、フィリピン、オーストラリア、イギリス、アメリカと戦争の準備を進めている。ターゲットは中国だが、その中国と戦略的同盟関係にあるロシアも敵ということになる。
アメリカが東アジアにミサイルを配備した場合、そのロシアは中短距離ミサイルを配備して対抗する可能性があるとロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は語っている。マッハ10という極超音速で飛行する中距離弾道ミサイル、オレーシニクが配備される可能性もある。オレーシニクは広い地理的範囲を破壊することができるが、放射性物質を撒き散らすことがない。
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