北アフリカに位置するセウタはスペインの領土で、約8万4000人が住んでいる。そこへ7月30日にモロッコ人が押し寄せて大混乱になり、41名以上が死亡したとされている。越境した「移民」は約6万人とされているが、スペイン治安警備隊の推計によると約7万5000人だ。そのうち約4万8000人が翌日の夕方までにモロッコへ戻ったという。



この騒動には奇妙なことがある。例えば、モロッコからフェンスを乗り越えて越境した集団は男性ばかり。インターネット上では、何台ものトラックが人びとをスペインとの国境近くへ運び込んでいる様子を撮影した映像が流れている。しかも警察や憲兵隊はそうした行為を阻止しようとしていない。越境者は国境へ向かうよう「暗黙の了解」を与えられていたように見えるのだ。モロッコ政府が越境に関係していると疑う人は少なくない。
そうしたセウタでの騒動を見たイスラエルのダニー・ダノン国連大使は喜びを隠さなかったが、モロッコ政府は親米であると同時に親イスラエルとしても知られている。2020年12月にモロッコはアメリカの仲介でイスラエルと国交を正常化、その見返りにアメリカは西サハラのモロッコ領有を認めた。 イスラエルとモロッコは2021年11月に防衛協定を締結 している。
それに対し、スペインは西サハラの先住民族であるサハラウィにスペインの市民権を付与するという案をスペインの議会委員会が採択。またスペインはモロッコと関係が悪化しているアルジェリアとの関係修復に乗り出している。
また、スペインのペドロ・サンチェス政権はパレスチナを国家として承認、またガザにおけるる住民虐殺をめぐり、イスラエルを「ジェノサイド国家」と非難。しかも自国の基地を経由したイスラエルへの武器輸送を阻止、イランに対する軍事作戦のためにモロン空軍基地やロタ海軍基地を使うことを拒否した。
7月19日にアメリカのニュージャージー州でFIFA(国際サッカー連盟)主催のワールドカップ決勝が行われ、スペインがアルゼンチンに1対0で勝ったが、この大会では審判がアルゼンチンに有利な判定を繰り返し、批判されている。
アルゼンチン・チームのエースであるリオネル・メッシは親イスラエルの象徴として使われている。だからこそメッシはイスラエルで絶大な人気があるのだ。
メッシは周辺をイスラエルの「元情報機関員」のボディガードで固めているほか、2020年にイスラエルのAI企業であるOrCamと提携した。この会社は着用できる人工視覚デバイスを製造するイスラエル企業で、イスラエルの電子情報機関、8200部隊の「元隊員」を雇用している。その会社でメッシはグローバル・ブランド・アンバサダーとして「顔」になっている。OrCamはパランティアと同様、ガザでの大量殺戮にも関与している。
パレスチナに「ユダヤ人の国」を築くことを目指すとして登場したシオニストは雄大な自然でも知られているアルゼンチンのパタゴニアを19世紀から目をつけていたとジャーナリストのセバスチャン・サルガドは語っている。
そのパタゴニアで今年1月5日から大規模な山火事が発生、当局は火災の一部は燃焼剤かガソリンを使った放火だと主張している 。知事は根拠を示すことなく先住民のマプチェ族に火災の責任を押し付けているが、現地では退役したイスラエル軍兵士が火をつけるところを目撃したと主張する人が少なくない。アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は熱烈なシオニストで、山火事の直前にパタゴニアを外国人が購入できるようにしていた。
パタゴニアへはガザで戦争犯罪を犯したイスラエル兵が逃げ込んでいるとも言われている が、第2次世界大戦後、アルゼンチンへはナチの高官や協力者が逃げ込んでいる。今はシオニストの戦争犯罪人の逃亡先になったわけだ。
勿論、アルゼンチンそのものが親イスラエルであり、パレスチナ人虐殺を支援しているというわけではない。アルゼンチンのサッカー界で伝説的な人物、ディエゴ・マラドーナは自らを「パレスチナの人びとの最大のファン」と公言し、自分の心はパレスチナにあると語っていた。彼は一貫してアメリカとイスラエルの行動を非難していたのだ。
マラドーナとは違う考え方をしているメッシが率いるアルゼンチンがワールドカップの決勝でパレスチナを支持しているスペインに負けた。そのスペインの領内へ親イスラエルのモロッコから約6万人と言われる「移民」が押し寄せ、スペインを混乱させている。
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