2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
全13件 (13件中 1-13件目)
1
お台場を後にして、ダブルヘッダーのもう一つは、東京都現代美術館で開催されていた「マルレーネ・デュマス ブロークンホワイト展」です。 マルレーネ・デュマスは南アフリカ出身の画家で、展覧会のギャラリートーク解説員によると「存命の女性作家の中で、もっとも高い値段で取引されるアーティスト」だそうです。 近年、世界的なバブルと金余りのため美術品が高騰しているのは有名な話ですが、この人の作品も、かなり上がっているそうです。十年前だったら東京都現代美術館でも1点買えた値段だったのが、とても手を出せない数千万まで上がっているということです。もしかすると、さんざん叩かれた「ヘアリボンの女」も、美術品の値段が高騰している昨今、含み益を出しているのかも? これからの現代美術館は「安いうちに仕入れておくという」キュレーターの目利き力が試されるようになってきたのではないでしょうか。能力が高ければ現代美術館が大きな含み益を持って、それを背景にして経営する、というなんだか投資ファンド的な運営方法も出来るかもしれませんね。価値が高くなれば、レンタルするときも強く出られそうですし。 閑話休題 南アフリカで生まれたデュマスは、現在、オランダを拠点にして活動しています。ヴェニスのビエンナーレやドクメンタで高い評価を得ています。去年の森美術館「アフリカ・リミックス」にも作品が展示されていたようですが・・・イマイチ、記憶に残っていません。 作品自体は、なるほど、と思いました。特に感慨はないのですが、非常に好まれそうな絵だなあ、と思うのです。独特の怪しい雰囲気、蒼白に塗られた顔、ブロークンホワイトという題名にもなったアラーキーの写真を元にした絵、などなど。どれも説明はほとんど無く、作家から、その解釈を狭めたくないということなので、あえてどの作品にも全く説明がないということだそうなのですが・・・。 全体的に、画風などは面白く感じられましたが、特に強いインパクトは残っていませんした。またカタログを見てチェックしておきます。 もう少し、手がかり的なものは残しておいた方が良かったかもしれません。あまり「何もない」ということだと、ちょっとつらい。せめて展示室に入る前に、作者のインタビュー映像を、なるべく見てください、とアナウンスしておくべきだと思いますね。ちょうどエスカレーターの途中、中二階の空間に置いてあったので、あれはもっと大きくプロジェクターで展示しておいた方がいいかもしれません。
2007.06.24
コメント(4)

前評判が非常に高く、私の周囲でも推す声の大きかった、お台場の「グレゴリー・コルベール作品展 Ash&Snow」に行ってきました。しかも最終日です! 遠くから、あの坂茂さんの設計したコンテナ製の建物は気になっていたのですが、ついに最終日まで足を踏み入れることはありませんでした。混むことを想定して、結構早い時間に来たのが大正解。さほど待たずに入ることが出来ました。 中に入りますと、坂さんの得意技、紙管(文字通り紙でできた管。トイレットペーパーの芯の大きいやつです)の構造と高い天井で、どこか砂漠の忘れられた遺跡の中に迷い込んだようです。もう、この瞬間があることで、この展覧会の成功は約束されていますね。写真を和紙に焼き付けるテクスチャー、色味など作品世界のカラーを徹底しています。永久に移動する拠点ということで「ノマディック美術館」というコンセプトなのですが、その黄土色のカラーが砂漠の遊牧民をイメージさせています。この体験がスペシャルな、一期一会なものなのだ、ということが徹底してブランディングされていますね。 閑話休題。 グレゴリー・コルベールさんは、カナダ出身の映画・写真家です。この「Ash&Snow」では、動物と人間が交流する瞬間を捉えた映像と写真に、彼自身の小説と特別な建築が合わさったプロジェクトです。写真には一切、説明はなく、象やオランウータン、鯨や鳥など様々な動物たちと交流する人間たちが写されています。 いやあ、これは対したものですよ。和紙を使っているので、ボヤーっと色の粒が荒いのですが、それが絵画とも写真ともつかない、独特の雰囲気を出しています。そして、決定的な瞬間を捉えた数々の映像や写真・・・。 これ、全部がCG処理などしていないナマだというから驚きです。ここまで撮るには、かなり辛抱強い撮影、そして動物と人間の忍耐強さが求められるでしょう。制作するだけでも、かなり大変なものに違いありません。しかも、動物と人間の間に、なにか事故が起きないかどうか、も心配ですが・・・。 技術的には、かなり凝ったつくりになっています。この写真展は本当に「ファンタジーの世界」ですね。本来ならば、あんな子供の僧侶みたいな子が、象の近くで、あんなことをする必然性は無いわけですから、構図含めて、それはフィクションなのです。でも、その本来ならば有り得ない、人間と野性の世界を交差させて、そこに有り得ない交流を生み出す、というのは面白いアプローチだと思いました。質の良いファンタジーですね。 そのファンタジーには自然と人間の共存や交流、というテーマもあると思うのですが、動物の近くに人間が居るというだけで、かなり不自然な情景ではあります。彼らは本当は、どんな事を考えているのかなあ・・・人間は迷惑だなあ・・・と思っているかもしれない、とも思うのですが。 ともかく、1900円という決して安くはない値段分の体験は得られる展覧会ではありますが、今のところ、また見ようかとは・・・あんまり思わなかったり。そのほか参考サイトhttp://www.veritacafe.com/event/070307/
2007.06.24
コメント(0)
この展覧会、首都圏でも開くようです。横浜美術館ですね。 内容に関しては、特に熊本版と変わっていないようですが・・・願わくばレーニンとヒトラーのバージョンも流してもらいたいです。講演会もやるみたいなので、行ってみようかな・・・。
2007.06.23
コメント(0)

熊本市現代美術館で開催中の「森村泰昌 美の教室、静聴せよ」に行ってきました。森村泰昌さんといえば、世界的に有名な名画や女優に扮する写真で有名な現代美術家です。今回は「美の教室」と題しまして、先生に扮した森村さんが授業を行う、という形で構成されています。 まず、ホームルームに入りますと、小学校の教室を模した空間になっており、見学者は教壇に置かれたテレビで森村さんのレクチャーを受け、その後にMP3プレイヤーを渡されます。中には森村さんの解説音声が入っており、それを聞きながら中を巡っていきます。これは、なかなかシャレが効いた構成と展示です。別に、授業として受ける必要性は無いのですが、なかなか楽しい。あまり多くの見学者がいなかったので、十分、余裕を持って見ることができました。 まず入りますのは、フェルメールの「画家のアトリエ」が再現された部屋。2004年にフェルメールの同作品がウィーンから来日した際に作られたものですね。たしかNHKの番組で制作の一部始終を見た記憶があります。ここで使われていた小道具が展示されておりました。 この展覧会では、撮影に使われた小道具が色々な場所に展示されています。例えば、森村さんの出世作であるゴッホの自画像の場合は、釘を挿した帽子が展示してあります。これは原画が羽のような素材なのに、そのままではぜんぜんツンツンしていなかったから、あえて釘をさすことで再現した、というものでした。 そうなんです。森村さんの作品は、作家たちの制作に対する追体験のような要素があるのですね。この場合でも、ゴッホのとげとげしさというのは、実際に制作してみて、初めて分かるものです。あるいは、レンブラントの自画像に扮するときには、その画家の一生から描かれた背景を、すべて追体験しながら写真に納まっていく・・・そのことで、実際のモデルの、どこをデフォルメしているのか。その像に変身することで、作家の内面に迫る、ということの面白さでしょうか。・・・・まあ、やっていることは「コスプレ」なんですけど。 モナ・リザやフリーダ・カーロ、マネの「フォリー=ベジェールの酒場」など男性だけではなく女性にもドンドンとなっていきます。女優シリーズにもつながっていく一連の作品ですが、やはりメイク次第でナントカなる部分もあるようですね。モノマネもそうなのですが、似ているポイントさえ押さえれば、有る程度そう見えるようです。前田健さんの「あやや」なども同じですね。 そうそう、モナ・リザのところには、顔が切り抜かれたモナ・リザが置いてあります。そうです。よく観光地においてある、顔を出せる看板ですね。記念撮影ができるので、カメラをお忘れなく。ケータイでも、もちろん撮れますけど。 で、平面の作品は最後のゴヤ「ロス・カプリチョス」を再構成した作品、ゴヤ・ルームです。元々のゴヤの作品も風刺画なのですが、現代版に直されていきます。最初は本当にそっくりにすることが主眼だったようですが、それに独自の解釈を森村さんが加えていく様を見ることが出来ます。でも、ここで気になったのは、ブリューゲルの作品をパロディにした作品です。バブル直後に作られた作品ですが、お金に目がくらんだ人が先導している列で、先頭の人がコケて、後続がつぎつぎに転んでいく、という作品ですね。あれから、日本全体、いや世界全体がそのような状況になって、それが今でも続いているように思います。 そしてミシマルーム。「七生報国」ならぬ「七転八起」の鉢巻をした森村さんが、三島由紀夫が演説した市谷の自衛隊のバルコニーから演説をします。内容は、もちろん当時、三島の行った演説を「芸術」に置き換えたもの。三島の訴えたかった日本と森村さんの訴えたい芸術がオーバーラップしていきます。そして、誰も決起しないと知った絶望・・・・森村さんの必至の訴えに、バルコニーからは・・・・。 中央には、三島邸にあったアポロン像を森村さんで作ったものが置かれてありました。これは、かなり来ていますね。この題名の「静聴せよ」というのは、三島が演説を妨げようとしたヤジに対して言ったセリフです。 一芸術家、いや「男一匹」の叫びを、とくとごらんアレ。 これらのシリーズで、大阪の労働者を前に制作した「レーニン」、「ヒトラー(に扮した「独裁者」のチャップリン)」など、いままで平面作品しか作ってこなかった森村さんの新境地が制作されているようですが、展示されているのは三島のみ。はやくレーニンは見たいですね。ヒトラーは見る機会が別のところであったのですが。 あと、最後に脱力系の質問に答えると「修了証書」が貰えます。ちゃんと笑いを忘れないのは、森村さんならでは、ですね。
2007.06.23
コメント(2)
![]()
上野の森美術館まで「アートで候。 会田誠山口晃展」を見に行ってきまして、この日は会田さんのサイン会に来ておりました。 場所は、渋谷のブックファースト渋谷店。ここで、会田さんの画集を買った人にサイン会があったのです。 こちらが、その画集。いままでの作品から、上野で展示されていた製作途中の「滝の絵」まで網羅されたものです。美々ちゃんや映像作品も載っている、かなり大きな本です。さて、サイン会開始時刻は午後7時。時間の少し前に行ったのですが・・・・。あれ?あんまり人が居ないのです。限定100人なのに、12人ぐらい。日本の現代美術のホープがサイン会を開くのに、これは・・・・。ちょっとさびしいものがありました。 しかし、それだけでは終わりませんでした。急遽、店員から「今から会田さんからご挨拶がありますので、地下1階のサイン会場まで集まってください」といわれ、ぞろぞろとついていきます。座っているのは、会田誠ご本人。参加者と会釈しつつ、12人が机をはさんで会田さんを取り囲みます。 なぜか急遽、挨拶の時間が設定されたらしく、会田さんも緊張していました。いやあ、こんな世界中見ても、あんまり無さそうな本を買ってもらって、有難うございます。上野の森の展覧会に合わせる予定だったのですけど、スケジュールが延びてしまって、いま出来上がりました。自分でいま見ても、いろいろやっていて、もっと的を絞って仕事をしろ、と思います・・・。 というような挨拶がある、非常にアットホームなサイン会でした。私は最初の方だったのですが、先頭に並んでいた女性二人には「何を書こうかな?」といいつつ、会田さんはチ○コのキャラクターを描いていて「ええ!?サインにチ○コですか!」と驚きつつも、会田さんらしいなあ、と思っておりました。 そして私の番。「あー、男性には何を描くか考えていなかったなあ」と言う会田さん。チ○コだけは勘弁して欲しいなあ・・・でも美少女描いて!とも言えないし。そもそも、そんなのサインじゃムリそうだし・・・・。しかもテンパってそうだし、自分で「落ち着いて書かなきゃな」なんて言っているし。 と思っていたところ、会田さんの筆は進み、「ウ○コ」の絵が・・・。ウ、ウ、ウ○コ! そりゃ「スペースウンコ」という、宇宙空間に巨大なウ○コが漂っている作品を描いた人だけに、らしいといえばらしいですけど・・・。「あ、でも何か分からないと困るから、ちゃんと書かなきゃな」 と、ウ○コの絵の横に「ウンコ」と書き込んでしまいました。いや、わかりますって、書かなくってもわかりますって!とは言えませんでした・・・。でも、会田さん本人にサインをもらえてか良かったなあ。「本人は安いTシャツを着ているのに、自分の作品がプリントされているTシャツが一万円以上で売られている、というのは、どうなんだろう・・・?」と挨拶で言っておられたTシャツを着ている会田さん。一人一枚、写真を撮る事もできました。帰ってから画集を見つつ・・・いやあ、これは凄い画集ですね。いままで各所で見てきた会田作品が大集合。こんなに濃いのは無いですね。オゲレツな部分を含めて会田作品が嫌いではない人は、買っておいて損はないボリュームと内容でした。
2007.06.22
コメント(1)
ひそかに始めておりました、Project H.I.Kの公開です。アメブロで作っております、紺洲堂の「最長」俳句集という形で、出来る範囲内でブログに公開しているわけですが・・・・。なかなか手間がかかります。 なんといっても、全部、手動でアップしているので、本当は自動でアップするプログラムでもあればいいとは思うのですが・・・。そんな技術は無い上に、自分でアップすることが「自分の作品」である証だと思っていますので。さて、22日にvol.100をアップできたので、この時点で5千句を世間に公表しました。最初は有名な「あああああ あああああああ あああああ」ですが。アップしていると、時々面白い句が出てくるんですね。自分で作っておきながら、また新しい発見が出てきます。なので、面白いと思った句を、これから随時、ここでも紹介していこうと思っています。連続で50句が並んでいるブログは、ある種、壮観です。
2007.06.22
コメント(4)
今日、遅めの昼食を東急百貨店のレストラン街で食べていたところ、突然に窓が揺れ、室内にもかすかな揺れが起きました。最初は地震かと思ったのですが、室内の他の場所が揺れていない。かといって、何が起こったのか、まったくわかりませんでした。発砲やタイヤのパンク、交通事故でも、これだけの衝撃はないだろう、と思いましたが、良く分からない。ちょうど近くの道で工事をしていたので、クレーンが倒れたのかと思っていたのですが、窓から見えるほかのビルの人たちが、工事中の場所と違うところを見ているのです。 となると不発弾か・・・。いや、不発弾とすればもっと爆音や衝撃があるかも、まさかテロ? そのまま食べていたのですが、消防車や救急車が引きもきらず近くを走り回っているので、これは何か重大な事件だったのか、と改めて知りました。段々とあたりは騒然としていく一方です。食べ終わって出るころには、ヘリコプターの爆音も聞こえ始めました。Bunkamuraの近くまで出てみたのですが、緊急車両がひっきりなしに来て、あたりに止まっていきます。大勢の人が心配そうに見ていました。緊急車両と、入り込んだ一般車で大混乱。しかし、現場は全く見えません。最初は、私も写真を撮ろうかとも思ったのですが、そんな気にもなれませんでした。あまりにも衝撃が強すぎて、こんな現場を写そうという気にもなれなかった。報道の立場に居たら別ですが、野次馬根性で撮ってはいけないものだ、という感じがしたのです。とりあえずオフィスに戻ったのですが、その途中でも、ヘリコプターの数はどんどん増えていきました。帰ってから温泉施設、シエスパが爆発したことを知ったのですが、身近な女性からは、行ったことがある、という声も多く、その時点では何名か怪我をした方がいる、という話しか報道されていなかったのですが・・・その後、亡くなった方が出たことをニュースで知りました。ご冥福をお祈りいたします。
2007.06.19
コメント(0)
五島美術館を後にして、そこから上野まで一気に移動しまして、やってまいりましたのが上野の森美術館で開催されていた「アートで候。会田誠 山口晃展」です。 いやあ、これもまた取り合わせとして、一番勢いと力がある、面白い展覧会でした。以前、美術手帖でも二人を特集していたこともありましたが、対照的のように見えて、実は近いような感じもある両者。はたして、どんな形になるのでしょう。 結論からいえば、かなり力の入った展覧会でした。もっと長く開催していても、いいんじゃないでしょうか!ちょっと会期が短すぎますよ。それでも、会田さんと山口さんの代表作が難点も展示されていて、各地でバラバラにしか見たことがなかった私としては、見ごたえがある展示でした。会田誠さんの作品、 たとえば大きなサンショウウオに少女2人が取り付いている「大山椒魚」、戦争画Returns、スク水姿の女の子が水遊びをしている「滝の絵」など、本当にうまい。もう、これだけ妄想を絵に出来たら、幸せでしょうねえ・・・。女の子も綺麗で可愛い。思わず、後ろにいた大学生くらいの女の子2人が「あの子、かわいくない?」「あ、ほんとー」みたいな会話をしていて、女性も認める可愛さですよね。描いている人はアレ(失礼)なのですが。 しかも、ただきれいなだけではなく、エグさがあったり、ちゃんと一枚一枚に意味性を隠し持っていたり、あるいは持っていなかったり、このワケノワカラン感じ。いいなあ・・・。 ビデオ作品の、酒に酔ったビン・ラディンになりきる会田誠も、笑ってしまいます。これらの作品は、ザッピングと言う形で一部が展示されていただけですが・・・展示の都合上、しかたがないものです。 そして今回、いちばん会田誠さんの作品で印象に残ったのは「風景の光学的記録におけるイコン化の確率に関する研究」でしょう! どういう作品かといいますと、新幹線に乗ってひたすら風景を自動的に撮らせて、あとでその何万枚というデータをチェックして、中から「イコン化」(要するに、芸術として意味ありげなもの)を選別し、どれぐらいの確率で作品として成立するか、というプロジェクト!手前味噌ですが、私も俳句で同じようなことをやっているのですが(噂の「Project H.I.K」です)、中の作品価値を吟味しようとすると・・・・かなりキツイ。会田さんは凄い! 山口晃さんの作品は、前にも三越で開かれた個展を見ていたので、そこで見たことのある作品もちらほらあったのですが、今回、あらためて感じたことがありました。 それは、過去と現代、未来が同居している絵の中に、それら人々の間に過去とのつながりがあることです。。 別に日本の伝統、という大それたものではなくって、ちょうど自分と同じく生きている(生きていた)人たちとの絆といいますか、つながりといいますか。それが、絵の場面のところどころハイテクになっていたり、ちょんまげ頭と現代人が同居していたりする光景につながっていくのではないか、と。死んだ人も私たちの中に生きている、というのでもなく、もっと隣に住んでいそうな身近さとでもいいましょうか。そういうファンタジーとしても、あるいは私たち自身を振り返ったとしても、どこか感じられる絆のように思います。 いまと過去だけではなく、現代同士、あるいは現代と未来も同様ですね。 また、この展覧会で面白かったのは「山口晃 澱エンナーレ」です。 これには驚きました。山口さんが数々の現代美術家になりきって(?)一人でビエンナーレならぬ「澱エンナーレ」を開いているのです。しかも出品作家は山口晃さん一人、なおかつ略歴まで一つ一つの作風に合わせて変えているのです。しかも2007年の新作ぞろい。 たとえば、一本の筆に平行していくつもの筆を準備し、一回描くと他の紙にも同じように書くことができたり、カーボン紙を使って何枚も描いたり、絵がマッサージ器で動いたり(これは動画?)、とまあ現代芸術家っぽい作品が、これでもかと並んでおりました。とまあ、見ごたえ十分、大変楽しめる展覧会でしたねぇ。
2007.06.17
コメント(2)

五島美術館は、その名の通り東急電鉄の会長だった五島慶太の収集した美術品をもとに作られた美術館ですが、常設でコレクションを展示している部分は、ほとんどありません。それにしても、戦前から戦後にかけての財界人は、みなさん美術品や文化についてお金を使っていらっしゃいますねえ。 そんなことはともかく、東急に乗って上野毛という駅に降りますと、ここがまったくの住宅街で、そのなかに「お屋敷」然とした建物がありまして、ここが五島美術館です。 ここで開催されていたのが、「蒼海 副島種臣 全心の書」です。普段は、あまり書を見なかったのですが、この展覧会は、大当たりでした。副島種臣は、佐賀県出身の幕末の志士で明治政府の政治家だった人なのですが、書家としても有名だったそうです。私も、どっかでチラッと「副島はすごい」ということを聞いていたのですが、聞きしに勝るすごさです。 幕末~明治時代の人なのに、カンディンスキーやジャクソン・ポロックなどの抽象画と同じか、それ以上の冒険を「書」というジャンルで実現してしまっているのですよ! まあ、考えたら書は字を書いているわけで、字は何かといえばモノではなく概念ですよね。漢字のように、もともとのモノの形から派生しているとしても、やはり概念です。なので、書自体が具体的なモノを描いていない絵画だ!といえば、抽象画だったといっても過言ではないのかもしれませんよ。 それにしても、幅広い作風を持った人でした。ある作品は、本当にカンディンスキーを思わせるような「軽み」「遊び」を感じますし、ある作品はアクションペインティングのような勢いを感じさせます。ちょっと入る前は「なんか政治家の揮毫したやつの、ちょっと上手いバージョンでしょう?」ぐらいにしか思っていなかったのですが、正直ヤラレますね。しかも、それを墨一色で表現しているわけですから・・・。 やれ洋画だ日本画だ書だとジャンル分けして見がちですが、書を抽象画として捉えれば、これは物凄い蓄積のある大きな芸術分野であるように思います。今回は、それに大きく気づかされました。いやあ、作品はグーグルなどで検索してご覧ください。今回は図録の他にも絵葉書まで購入してしまいました。代表作の「帰雲飛雨」も展示されており、佐賀で開かれた没後100年の記念展の東京バージョンだったようです。しかし・・・・すみません。私が行った日が最終日でした。個人コレクションも多かったのですが、佐賀県立美術館のコレクションもありますので、SAGAに行ったときに見てみるのもいいかもしれません。次回は副島の書にも影響を与えたという佐賀県出身の書家、中村悟竹の展覧会だそうなので、ご興味があればぜひ。
2007.06.17
コメント(2)

青山にある岡本太郎記念館は、岡本太郎のアトリエ兼住宅だった建物を使っています。あまり大きい建物ではないのですが、今回は特別展「タナカカツキの太郎ビーム展」に行ってきました。入り口庭においてある鐘。懐かしのCMで太郎が鳴らしていたやつですね。叩くところによって、いろいろな音が鳴ります。 タナカカツキさんといえば、バカドリルでしょうか。でも、今回はそうではなく、『オッス、トン子ちゃん!』という漫画がきっかけとなって特別展を開くことになったそうです。この漫画(私も読みましたが)ちょっと太めで元気な女の子トン子ちゃんの青春の揺れ動きと、岡本太郎作品との交流が、非常に面白い作品でした。画風は、少し前の少女マンガっぽいので、一瞬「え?」となってしまいますが、読んでいくうちに奇妙に面白いものです。 実はタナカカツキさんはアニメーション映像も制作しており、今回はそれが展示のメインになっています。今回のキュレーションは日本美術応援団などをしている美術史家の山下裕二さん。トン子ちゃんを見て、オファーしたそうです。 2階に上がってみると、部屋の左手に据えられた太陽の塔の背中にアニメーションが映されていたり、右手には太郎の作品が溢れかえっている映像が流されていたり、と見飽きません。 特に右手。いろいろな紙ふぶきのような紙テープのようなものが飛び出してきつつ、太郎の様々な作品が現れて回転しては消えていく・・・祝祭的な映像といいますか、にぎやかで喜びに溢れた太郎賛歌といえるでしょうか。 また、渡り廊下を渡ってみると、部屋一面が赤く染まっており、太郎の未完成作品に対してタナカさんの映像が映されているのですが、それが非常に美しい「いこい」という名前の作品なのですが、まるで本当に一つの絵のように見え、中に写された浜辺の風景が移り変わっていく・・・。 こういうコラボレーションも、アリなんですね。鮮やかな色彩がとても綺麗でした。庭に置かれたトン子ちゃんの巨大フィギアや、アトリエの床に落ちている、タナカさんが落書きしたと思われる太郎の写真など、微妙に他の部屋にもお遊びが隠れている、好感の持てる特別展でした。 あと、館内は写真撮影自由なので、カメラをお忘れなく。太郎の作品が溢れていて、いろいろ撮りたくなりますよ。デジカメで撮ると、本当に原画以上に鮮やかに撮れて、ちょっと驚きましたが。
2007.06.10
コメント(2)

藝大美術館に来るのも久しぶりです。 今回は、東京藝術大学創立120周年企画パリへ―洋画家たち百年の夢~黒田清輝、藤島武二、藤田嗣治から現代まで~(日経のページの方が詳しいです)を見てきました。 藝大は、設立から120年も経つのですね。その間、様々なアーティストを輩出してきたわけですけど、その元々といえば、パリに留学して法律から絵画の道に入った黒田清輝でした。良くも悪くも、彼が日本の洋画をリードし、藝大を代表とする油絵のアカデミズムを形成してきた、というような展示が1階です。 まあ、それはそうですね。美術の教科書の定番である「湖畔」など、明治初めの洋画の名作が並びます。そして、パリで黒田に油絵を教えたラファエル・コランの作品も並んでいました。非常に端正な作風で、清潔ではあるものの毒の少ない感じの絵でしたが、黒田の作品と並べてみると、やはりそれが作品の共通点のように見えました。(コランのほうが、もっとファンタジーといいますか、浮世離れしているような感じを受けましたが)。 そこから浅井忠や梅原龍三郎など日本洋画の巨匠の作品、洋行帰りの画家の作品が並びますが・・・ちょっと定番過ぎて物足りない感じがします。別に、展示されているのは洋行当時の作品でもないわけで、この展覧会のコンセプトである「パリ」というキーワードが、ほとんど意味のない段です。 まあ、この時代は誰もが芸術の都パリに留学する時代でしょうから、巨匠の作品を出しておけばいい、みたいな感じでしょうか。 ただ、ここから非常に面白かったのは、この次です!! 藝大では卒業時に自画像を描かせるそうです。以前、東京都現代美術館で、それが勢ぞろいしたのを見たことがあります。様々な巨匠が、卒業時に若々しい(尻の青い?)自画像を残しているわけですが、その絵とパリやパリから帰った後の作品を並べているのです。藤田嗣治など、後の乳白色からは想像できないぐらい作風が変わっています。 そうなんです。藝大でアカデミックに染まってからパリに来てガラリと変わっていく様は、非常に面白いですし、ここの美術館でしか出来ない展示でしょう。油絵、藝大、パリのキーワードが、非常に良い展示になっていました。これで全体を統一すればいいのに、何にフォーカスしたいのか、よく分からない展示になっていました。 ただ、現代作家の部門も、見ごたえのある作品が数点あったのですが、いまいちパリが効いていません。藝大を卒業してからパリで作家活動をされているアーティストたちだったのですが・・・。非常にポピュラーかつありふれた題材であるからこそ、パリと日本人作家という点で捉えなおすなら、もうちょっとスパッとパリという都市や文化が与えた影響にフォーカスし、周辺部分を省く工夫があっても良いかもしれません。 あと、この展覧会で一番気になったのは、同時開催の東京藝術大学創立120周年企画芸大コレクション展新入生歓迎・春の名品選に出品されていた、加山又造の《倣北宋深山凍林》。かなり後期の作品ですが、凍てつく山の林の迫力。この一枚があればクーラーが要らなくなるほどの冷気を感じられる作品でした。
2007.06.09
コメント(2)

銀座の「なびす画廊」といえば、小沢剛さんが「なすび画廊」を括りつけた場所、ぐらいの認識で、実際に行ったことは無かったのですが、今回は初めて参りました。まさつ5180さんこと、永井雅人さんの個展です。 近年、多くのコンペで受賞を続けている若手の版画家さんですが、今回も見に行き、やっと初めて本人にお会いすることができました。 今回の出典作品は総じて、今まで見た永井さんの作品の中では、一番良かったと思いました。 特に、メインのシリーズである、白黒の草木が絡み合っている作品2点は、自然の深さが立体的に表現されていると思います。部分部分で、複数の作品から力の強いものを貼りこんでいるからでしょうか。森の中の水面に緑が移りこんでいるような立体感を感じ取ることができました。切り貼りの手法は、非常に面白いですね。 切って貼る元となる作品は、どちらも画家本人が書いたものですから「始めから、そんなふうに書いたらいいじゃん」ともいえるのでしょうが、なぜか面白く感じました。きっと、他の作品の文脈と切り離されてしまって、なおかつ同じような画風であるからこそ、違和感がないようで、でもその部分だけが妙に際立つ、ということがあるのでしょうか。 また、版画風に制作したカラーの作品が一点あり、それは表面を破いて、その破いた断面を画面上に貼り付けている作品でしたが、こちらの方は、あまりピンと来ない感じではありました。破き方も、それほど鬼気迫るような迫力もなく、画面に統一感がないように思え、また破いたあとに残る白い紙の地の部分の見せ方も、あまり良いとは思えませんでした。この手法自体は非常に面白いと思ったので、破いた後と破いた破片の構成を工夫すれば、かなり力が出てくるのでは、と思いました。 また、古代中国の壁画をモチーフにした版画を何枚も大きな紙に張り付けた作品があり、こちらは色味やモチーフが非常に良い雰囲気になっており、見た目にも面白いものになっていました。何枚も貼った作品の相互にストーリー性や意味性を持たせてみると、より深く鑑賞できるのではないか、と思った次第。次回の個展も楽しみにしていますので、頑張ってください! そうそう。永井さんのお友達が、バッハをバイオリンで弾くというミニコンサート(?)も開催されていました。クラシックは好きなのですが、ここ最近は生演奏を聴く機会がめっきり減ってしまったので、大変ありがたかったです。
2007.06.07
コメント(2)
久しぶりの更新です。 正式には、ほぼ半年ぶりでしょうか。皆様、ご無沙汰しておりました。相変わらず美術館巡りはしていたのですが、なかなか書くことが溜まってきますと、次第におっくうになってきまして。活動休止中に訪れてくださった人には、大変失礼いたしました。 ということで、また以前と同じように更新を進めていこうと思います。が、今まで過去の展覧会のレビューも全部書いてしまおうとしているので、やや過去の話が多くなるのはご容赦ください。もう終わっている展覧会も多々あると思いますが、全国を巡回しているものもありますので、お近くで開催されていたときは参考にして頂ければ幸いです。主人軽薄
2007.06.06
コメント(0)
全13件 (13件中 1-13件目)
1


