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2015年9月17日★★★★直木賞受賞の伊良部シリーズの町長選挙以来8カ月ぶりに奥田英朗の別のシリーズ物?を読んでみた。及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供二人と東京郊外の建売り住宅に住む。スーパーのパート歴一年。平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広がる。 日常に潜む悪夢、やりきれない思いを疾走するドラマに織りこんだ傑作。九野薫、36歳。本庁勤務を経て、現在警部補として、所轄勤務。7年前に最愛の妻を事故でなくして以来、義母を心の支えとしている。不眠。同 僚・花村の素行調査を担当し、逆恨みされる。放火事件では、経理課長・及川に疑念を抱く。わずかな契機で変貌していく人間たちを絶妙の筆致で描きあげる犯罪小説の白眉。(裏表紙引用)シリーズ1作目の最悪と同様に主人公は3人(主婦、刑事、高校生)で、それぞれの語り口で物語は進んでいく。最初はごく普通の暮らしをしている中の小さな出来事から話は展開していくのだが、途中から、まぁこれほどまでに最悪の展開になるものかと同情を通り越して呆れてしまうほど悲しい物語である。なかでも大手企業の経理課長を夫に持つ及川の妻恭子の夫の放火容疑から、みるみる人生を狂わせて低落していく有り様はみていて哀れに感じて仕方がなかった。最後がハッピーエンドにならないのも前作同様でこれまた世の中そんなに甘くはないと言うことでしょう。及川恭子のその後と残された小さな子供たちは一体この先どうなるのか心配です…。ただ3人の中でも高校を退学となったが祐輔だけは希望を残した終わりたかで少しは救われた気持ちで読後感は良かった。このシリーズ3作目の無理はまた違った最悪な物語のようだか是非読み比べてみたいと思う。
2015.09.17
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2015年9月5日★★★★麻見和史のヒット作である警視庁殺人分析班シリーズの第2作を現在WOWOWで連続ドラマ化されている第1作の石の繭以来、約半年ぶりに読んでみた。頭蓋骨に白い花、掛け時計にスープ皿―テーブルの上の惨殺遺体を囲むように置かれた謎めいた品々。絵画を模したような現場を作り、さらに「過去の亡霊」を名乗って警察OBの自宅に電話をかけてきた犯人。自らの存在をアピールしたいのか。如月塔子ら殺人分析班が鋭い推理で明かす、歪んだホシの正体とは。(裏表紙引用)前作はモルタルで石像のように固められた死体の謎解きから始まったが、本作は死体の傍におかれた不可解な遺留品の謎解きから始まる。連続殺人が起こり前作同様、犯人の名前は早い段階で判明するが、その姿がなかなか見えてこない。警察の常に先を行く犯人の狙いは何か?また、殺人の動機はなんなのか?最後に明かされた、全ての謎解きを聞いて、こんなの解るわけないやんって突っ込みたくなるぐらいの真相でした。小柄な塔子と塔子の指導係である長身の鷹野とのデコボココンビが相変わらず微妙で、今回はこれに脇役として定年後、妻に先立たれて独り身の元刑事の多賀見が加わり、前作より面白かった。また捜査班のメンバーもそれぞれが個性的な味を出していて、名脇役として良かったと思う。前作を読んだときに塔子と鷹野が次第に良い関係になるんじゃないかと勝手に予想したが、今回読んでみて、なんかそういう展開にはなりそうもない気がしてきました。まぁ、今後の展開に期待して次回作も読んでみようと思う。
2015.09.05
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