全5件 (5件中 1-5件目)
1
不妊治療でもう一つ、ほお、と思ったのは、基本的には「自宅で、自分で」という方針である。投薬や注射は自宅に郵送されて来て、投薬やともかく、注射も自分で打つ。治療の流れなどに関しては指定のウェブサイトから30ページほどにものぼるマニュアルをダウンロードし、読んで、治療が開始される前に指定の電話番号に連絡をして、担当者に内容を理解しているかチェックされる。質問があれば、この時にできる。この内容に関しては、すでに医師からも説明を受けているので全く目新しいことはないのだが、こう、説明会があって医師や看護士が丁寧に教えてくれるというのではない。自分で読んでAny questions?と言う、まことにアメリカンな世界である。注射の打ち方に関してもウェブサイトの動画で見て・・・という方法で、それでも分からなければ看護士にアポイントメントを取って実際に手取り足取り教えてもらうという方式。私は筋肉注射はやらなかったけれど、それも自宅で自分でやるらしい。これは確かに病院にいちいち行く手間が省けるから(仕事や小さな子供がいると、病院に行くだけでも一大事だから)便利は便利だが、注射のやり方なんてビデオだけでわかるんだろうか。私は経口薬からインスリンに切り替える時は病院に行って看護婦さんに手取り足取り教えてもらったけど、これ、自分で全部学習しろと言っても結構大変だと思う。事実、私も排卵を促す皮下注射を打つことになっていて(結果的には自力で排卵してしまったので打たなかったのだが)、Boston IVFの看護士さんが、その注射方法について説明する時に私が「これって、インスリン注射と同じやり方?」と聞いたら、看護士さん、そうそうそう、とすごくホッとしたような表情をしていたので、きっと抵抗のある患者さんが多いんだと思う。そりゃそうだよね。自分で自分に注射するなんて怖いし、何だかヤクを打ってる感じでイメージ悪いし。その点、一日に3回も毎日インスリン注射している私は、たった一度の注射なんてへのかっぱで、まあ何事も人生経験だよな、と痛感した次第。
2007.05.09
アメリカと日本の医療の違いはいくつかあるが、アメリカの(少なくともボストンの)医療の特徴の一つとして挙げられるのは、徹底的な分業化である。ルナを妊娠・出産する時もそうだったが、不妊治療も然り。まず、ドクター何某、と呼ばれるお医者さん(いわゆる主治医)は、とてつもなくエライ。最後の最後になって、オラオラオラと水戸黄門のように登場する。私が不妊治療を受けたBoston IVFの場合は、この水戸黄門級のドクターは、カウンセリングをもとに治療方針を決定する人。その後、具体的な治療の指示(薬をいつ何錠飲むか、人工授精の時期をいつにするか等)は、すべて専任の看護士が電話で患者に対し直接行なう。人工授精の処置は別の看護士。妊娠すると、その初診はナース・プラクティショナー(診断・処方ができる上級看護士)が行なう。これは医療側にとっては個々の負担が少ない(といってもそれぞれ大変だとは思うが)という利点はあるが、患者にとっては複数の専門家と関わることの煩わしさみたいなのはある。Boston IVFのこの医療チームは連携が上手く取れているとは思ったけれど、それでも「この質問は誰にすべきなのか?」とちょっと悩んだこともあった。それに、私はいちおう言葉に問題はなかったけれど、英語が達者でない場合はたくさんの人と関わるということは、それだけ色んな英語に関わるということであってかなり大変なのではないかと思う。いつもの産婦人科は大病院だから、これにさらに毎回、医学生だのレジデントだの多々入り乱れていやまあ大変。患者も太刀打ちできるだけの気合が必要。
2007.05.09
何の面白みもありませんが、参考までに不妊治療のスケジュールを。9月末はじめての不妊カウンセリング10月 不妊原因を調べる検査の実施Cycle Day 2-3 と Cycle day 18-21にホルモンの量を調べる血液検査月経開始より7日目に卵管造影検査精子の検査BOSTON IVF(専門病院)に予約を入れる検査の結果はいずれも正常→原因不明(不妊の20~25%に当たるとのこと)11月末BOSTON IVF 初診 前月の検査の結果を元に治療のオプション呈示不妊治療のオプション第1段階 クロミッド(経口薬)+IUI(人工授精) 第2段階 hCG注射+IUI第3段階 体外受精各段階を3回やって妊娠しなければ1サイクル休んで次の段階へという仕組み2週間後にフォローアップの受診。それまでにどうするか決める12月半ばフォローアップの受診 結論→もう1度自然な妊娠を試み、ダメだったら治療を開始する12月末妊娠せず→年明けにBoston IVFに連絡して再受診の予約をとる1月半ば再受診。次回の月経周期より第1段階の治療(クロミッド+IUI)を開始することに。治療開始準備Consent(治療合意書)に夫婦ともに署名保険の認可を経て薬(クロミッドとOvidrel)が自宅に郵送される治療の内容に関する手引きを指定サイトよりダウンロード→自宅学習→電話で質問1月末 月経開始→第1回治療へ2月末 妊娠判明3月半ば 超音波検査・妊娠初診→BOSTON IVFを卒業4月初旬 いつもの産婦人科外来へ戻る
2007.05.07
私が受けた治療は、クロミッドという経口薬の服用と人工授精(IUI - intrauterine insemination 「子宮腔内受精」)の組み合わせであった。生理3~7日目の5日間、クロミッドを2錠飲んで卵を複数育て、排卵のタイミングを狙って人工授精を行なうという治療法である。さて、この治療について日本語での情報も仕入れるべく”IUI”のキーワードでネットを検索してみると、ほとんどヒットしない。おかしいなあと思っていたら、いろいろと調べるうちに日本では一般的に”AIH"と言っていることが分かり、さらに、これは「artificial insemination by husband/husband's semen(配偶者間人工授精)」の頭文字を取ったものであることが分かった(ちなみに、ドナー精子による人工授精はAID - artificial insemination by donor という)。これは面白いと思った。勝手に想像するに、アメリカでも昔はAIH/AIDと言われていたのが、時代の流れと共にIUIと言うようになったのではないだろうか。つまり、アメリカでは結婚していないカップルや同性愛のカップルに対してまで治療を行なうようになったから、AIH/AIDという区分は合わなくなったのではないだろうか。IUIというのは、人工受精の方法に着目した言い方であって、精子が誰のものであるかは関係ない。もう一つ面白いなと思ったのは、「不妊治療」という言葉である。英語では、infertility treatmentといわず、fertility treatmentという。「不妊を治療する」のではなく、「妊娠に至らせる治療」なのである。事実、私が行ったクリニックでも、明らかに同性愛者と思われる女性のカップルが待合室にいたのだが、彼女達にとって、この治療は「不妊」治療とは限らないのだ。どちらも「妊娠できる」身体であるにも関わらず、女性同士の組み合わせではどう頑張っても妊娠には至らないから、妊娠に至らせる処置を行なっているわけだ。もちろん、いわゆる不妊のカップルにとっても、精神的・肉体的・経済的にも負担のかかる辛い治療をinfertility treatmentではなく fertility treatment と言ってもらった方が明るい気持ちになれるんじゃないだろうか。単に気持ちの問題かもしれないけど。ある言葉が社会状況の変化によってふさわしくなくなり別の言葉に代わる・・・とはよくあることだが、どうなんだろ、日本でもそのうち不妊治療を取り巻く状況というのは変わって行くのだろうか?
2007.05.07
ルナが1歳を過ぎた頃から次の妊娠に向けて糖尿病の強化治療を開始した。ルナが1歳5ヶ月で卒乳してから約半年後に妊娠。しかし、ごく初期の流産に終わる。それから1年近く経っても一向に妊娠しない。毎月、生理が来るたびに味わう絶望感、ママ友の2人目妊娠・出産の報告に素直に喜べない自分への嫌悪感。糖尿病の強化治療をあまりに長く続けていることによるマンネリ化。このままトライし続けるか、医学の助けを借りるか。年齢的にもそうのんびりとはしていられない。夫と話し合った末、不妊治療の専門クリニックの門を叩くことにした。不妊原因を調べる検査では夫婦ともども何の問題もなかったのだが、その上で治療の選択肢を示された。すぐには決心がつかず、もう一度だけ自然にトライしてみることにした。しかし、結果はやはり妊娠せず。これといった不妊の原因もないのに治療に踏み切ってよいものか、自然の摂理に反しているんじゃないか、といった疑問が100%消えたわけではなかったが、迷っているヒマはない。最初の治療を開始した。クロミッド(経口薬)と人工授精(IUI)。約1ヶ月間の度重なる病院通い。しかもいずれも早朝の時間帯。治療そのものの苦痛はほとんどなかったが、通院の都度、ルナの預け先を確保しつつ治療をこなすことが一番の苦痛だった。不妊治療をストレスを感じずにこなせる人がいたら、その人はよほど強靭な精神力の持ち主だと思う。それでも努力は報われた。IUIより2週間後の妊娠確認検査。陽性。
2007.05.07
全5件 (5件中 1-5件目)
1