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「――天宮先生、理科室借ります。」手代木先生が理科室の扉を開ける。科学部の生徒が一斉に私たちを見た。「――あっ、本庄。」天宮先生が声にする。「――そうだ、この時間は部活中ですよね。 すみません、失礼しました。」手代木先生が謝ると、天宮先生が扉に近づいてきた。「本庄、手代木先生に相談事か。 たまには僕にも相談に来てよ。 美味いコーヒーいれてやるから。」そう言うと前に立っている手代木先生に手を伸ばし、お尻をつねるように掴んだ。手代木先生の顔が一瞬ゆがむ。「すみません。」天宮先生はほんの少し手代木先生をにらむように笑い、お尻から手を離すと理科室の扉を閉める。2人で校門を出る。「本庄の家まで送ってくよ。」先生が自転車を転がし、私の横を歩く。「3日か4日位前、夏恋が昼休み先生の所へ行ったでしょ。・・・柏田君の話?」「違うよ。」「・・・。」「柏田が、どうかしたの?」「・・・先生、私、柏田君から――」私は、柏田君が夜、家の前に来てくれた時の話をした。「・・・でも、夏恋には何も話してないみたいで。」続けて、夏恋とマックでの話をする。「・・・先生は、どう思いますか?」「・・・。」「私・・・、すごく嬉しかった。大学に2人で受かったら、柏田君と付き合えるかも・・・。」「・・・。」「夏恋なんか、どうでもいいって思った・・・。」「・・・。」「でも・・・。 3、4日前のランチの時、夏恋がいなくて思い出したの。 中学の、独りぼっちだったころの事。 高校で夏恋と友達になって、夏恋のお陰でグループにも入れてもらえた。 ・・・夏恋は友達なの。 グループにいても、夏恋だけが私の友達なの。 だから・・・。」泣くつもりじゃないのに、目に涙が盛り上がってくる。”どうしよう。一回でもまばたきしたら、涙が落ちる。”「だから・・・柏田君とは付き合わないの。」涙声になり、涙が頬に落ちてしまった。「志望校変えるかも。 ・・・もっとも、大学なんてどこでもいいし。 柏田君と付き合ったら、夏恋とは友達でいられないもの。 夏恋とは友達でいたいの。 ・・・先生は、どう思う?」「迷ってないんだろう。 本庄の決めた事を応援するよ。」「先生、私、一人で考えて決めたの。 ――えらいでしょ。」「えらいよ。・・・辛い選択だもんな。」 ―つづく―皆さん、いつもお読みいただきありがとうございます!『恋愛か?友情か?』思春期の乙女がぶつかる究極の選択(?)かも。「あ~じれったい!ルミちゃんの恋が叶うチャンスなのに!」と思いつつ、私はたぶん、はっきりと『友達』を優先してしまう子でした。恋愛の微熱より、友情の温もりの方が居心地よかったし、大切だったし、・・つまりは怖がりだったって事かも。・・・皆さんはどうかな?
Feb 17, 2008
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手代木先生と話したくて、放課後の体育館を探す。バレー部の男子と先生の準備運動中の姿を見つけた。近づいていくとバレー部の男子たちの口から「――本庄さんだ。」って、口々に喜ぶようなささやくような声がもれる。悪い気はしない。先生と目が合う。少し恥ずかしいけど、大声を出す。「練習、見ててもいいですか。」先生は返事の代わりに、両手で大きくマルを作る。練習を見ながら、あの頃の柏田君を思い出す。夏恋と2人で、何度も試合を見た。夏恋と2人で柏田君を応援した。引退試合の日の柏田君は、目に焼きついている。アタックを打つ体のしなりは美しいとさえ感じた。”柏田君・・・。”1年生にボールを拾わせ、2年生がアタックの連打を始めた時、先生が私に近づいて来る。「――どうした? 本庄が来たから、生徒が張り切っちゃってるよ。 単純だろ?」「・・・。」「体が止まると汗が冷えるから、着替えていい?」私が何も答える前から、白の長袖シャツを脱ぐ。”えっ・・・”顔をそむける前に脱がれてしまって。初めて見る先生の裸の身体――。男の裸なんて、弟たちや父親で見慣れてるはずなのに。・・・全く違う。毎日の運動で鍛えられた大人の男の身体。「先生ぇー!脱いでんじゃねーよ!!」「本当、わざとらしいよ。スケベ教師!」先生への親しみを込めたヤジが飛ぶ。先生は半そでT シャツにジャージを羽織ると「本庄、何か話があってきたんだろう。」体育館の明かりのせいか、先生の目が緑色に見える。「先生、部活いいんですか?」先生は私に答える代わりにバレー部員たちに叫ぶ。「――俺、帰るから。」先生が脱いで丸めたTシャツを片手に持ち、私の前を歩く。背中にバレー部員のブーイングがささる――。 ―つづく―みなさま、いつもお読みいただきありがとうございます!昨日は首都圏にこの冬3度目(かな?)の雪が降りました。それが昨夜は今までのより大きな固まりで振ってきたので雪の結晶大好きな私は、より大きなのを掴もうと手を伸ばしていました。ふんわりした固まりの中に六角形のアートが~。ほんとにきれい・・。雪の結晶は『儚いからこそ美しい』、それの最たるものかもしれませんね。初恋も憧れも、儚いからこそ胸に残る・・・ってことかな?な~んてきれいにまとめてみましたが、ほんとは昨日、「温泉で雪見酒でも飲みみたいよ~!」と叫んでた私です。ハハハ。皆さんも、あったかくしててくださいね!(aco)
Feb 10, 2008
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「先生は・・・、いつもママの味方。 パパの話だって、先生は関係ないじゃない。 ママにぶたれても、まだ分からなくて、 泣かせて、あげくの果てに抱きしめて! ママを救ったとでも思ってるの?! 」「救ったなんて思ってないよ。・・・救えないよ。 ただ、自分を責めるのだけは終わりにしてあげたかったの。」「でも、抱きしめる事はない。」「あの泣き方見ただろ。 切なくて、見てらんなかったよ・・・。」先生は私から視線を外す。「――そろそろ昼休み終わるぞ。教室に戻れ。」時計を見ると、昼休みは後10分。急いだ気持ちが背中を押す。「――ママの事、好きなの?」「・・・どうかな。」先生は机にひじをつき、その手で自分の髪をクシャクシャといじっている。「・・・好きかどうかより、 今日の喜春さんが幸せであって欲しい、と思う。」そしてこげ茶色の目が再び私を見る。「――もう教室に戻れ。」5時間目の休み時間、友達から昼食はどうしたのかと聞かれたけど、なんて答えたか覚えていない。6時間目の授業は全く耳に入ってこない。ノートの端に、 『手代木夏恋』と書いてみる。”夫じゃなくて、父親・・・・。” 『手代木 喜』――まで書いて、消した。消しゴムで、文字の痕跡が残らないくらい、強く。放課後、柏田君と帰宅する。”・・・柏田君は、 今日の私が幸せであって欲しい、と思う・・・?” ―つづく―お読みいただいている皆さん、いつもありがとうございます!今日はemyちゃんからの嬉し~い差し入れを食べながらの更新です♪(硬くて、辛くて、焼きたてが美味しいもの、な~~んだ?)夏恋ちゃんと先生の気持ちの温度差が・・・これぞ片想いの『体温』ってとこでしょうか。でも・・・誰かが自分の事を『今日幸せであって欲しい』と願ってくれるなんてなんだか素敵ですね。そう思える人も、そんなふうに想われる人も。次回からは再びルミちゃん登場です!わたし的に大注目の彼女の弟クンも?!どうぞお楽しみに~~。-aco-
Feb 2, 2008
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