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10:00 朝兼昼食:カレーライス。
19:30 夕飯:水菜、南瓜の煮付け、鶏ウイングスティックのチリソース炒めにて焼酎お湯割り。
23:30 就寝。
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せっかくの連休、時間を有効利用して勉強のため、読み終えた武田泰淳「F花園十九号」のレジュメを以下に作ってみた。
<いつ・どこで>
第二次大戦終結期の中国・上海。日本の敗戦が決まり、憲兵隊も武装解除されて集中営に入っている。中国側の警察機能も曖昧で、都市はいずれの司法権も届かない危うい真空状態にある。毎夜窓の外からは銃声が聞こえ、強盗団なども悠々と出没する状態だった。一方水面下では、日本軍解体後の上海占領を狙う国民党系重慶側とそれを阻止しようとする延安側の地下工作員との暗闘が繰り広げられていた。
上海西部の租界地、F花園の十九号館。かっての欧米風な清潔と快適を誇る瀟洒な洋館立ち並ぶ住宅区も、その一角だけは投げやりな荒廃にまかせたままで、見下げ果てた姿を晒している。
<だれが>
亡国の民となって上海に居留する日本人美術商の丘と、人妻で恋人の冬子。
<なぜ>
F花園からの立ち退きを迫られている丘。恋人の冬子も夫が還らぬうちに街中のアパートを引き払い、安全な集中地区へ脱出して一緒に暮らす計画を実行しようとしている。
<ハザードは>
殺害された謝女士の屍? 謝を殺した呉? 日本人の財産を狙う中国人たち、守衛、ブローカー、俄仕立ての軍事委員会、略奪者たち? 大いなる妄想を描いて人間たちを翻弄する権力や主義が引き起こした戦争そのものか? それとも丘自身のなかに巣くう寄せては返す灰色の泡の群れ…か?
<物語のはじまりは>
荒廃した洋館十九号に棲む主人公丘の所へ、自転車に乗ったドイツ系ユダヤ人弁護士が立ち退きの時期確認に訪れる。予期せぬ来訪者の呼び鈴に慌てる丘。何故ならば、その館の三階は凄惨な殺害現場と化し、女の無惨な屍が回転椅子に凭れ掛かっていることを発見した直後だったからだ。
【人物プロフィール】
<主人公の丘>
南京路に店を構えていた美術商の日本人中年男。敗戦が決まって店を閉じ、F花園の十九号館の二階に棲んでいる。日本には妻子があり送金も絶やしてはいないが、冬子とは恋人関係にある。(精神の)投げやりな荒廃。紳士と称して差し支えのない人物だが、甘い人間、取り入りやすい人物。柵を構えて中がつかめない。おとなしく用心深くしているが実はどん欲。我が身に危険が及ばぬ範囲ならば、どう進展しようがかまわないと思われている。ニヒリズム、エゴイズム、或はもっと冷たい自己保存欲をモットーと自称している。そんな彼と恋人が脱出時に小盗児の集団に襲われて絶体絶命の窮地に陥る…。
<恋人の冬子>
丘の恋人で人妻。夫は徐州武昌にいるが、もう半年も送金が途絶えている。胸に病があり、自分の陰気さをよく意識しているたちで、それが淋しい大輪の花ににて男心を誘う。丘と同じ屋根の下に暮らす謝への嫉妬心を垣間見せる。愛する男の生活に密着した女の存在が目障りだった。
<謝女士>
かって日本の大学で法律を学び東京の大使館にも勤めていた。上海では監獄や警察での特別な地位を得て重慶側、延安側の愛国者の処刑にも立ち会うなど日本側機関の協力者として奮闘していた。利発な社交家で、美麗な容姿と立ち居振る舞いは男たちの欲情の視線を集めていた。丘の顧客の外交官に依頼して十九号の三階に棲むようになった。
謝は丘の恋人冬子を軽蔑していた。男の洗濯物を丸めた大きな風呂敷づつみをかかえて帰っていく日本の女、そのせせこましい家庭的な行為を、誰でもできるつまらぬ仕草と観ていた。
日本の敗戦が決まった今、表面には現さないが祖国を売った“漢奸”としていずれはさらし者にされ殺されるであろう自分の運命を予期している。
そんな彼女は終戦後の深夜、「淋しいからここで寝かせて」と丘の眠るベッドに忍び込んで来ることが三度あった。それは愛だったのか、それとも…。
<中国青年の呉>
東京の大学時代から謝の知り合いで恋人。自己主張の少ない万事控えめな青年。週に一度は十九号に通って謝との逢い引きを重ねていた。しかし、八月十五日の終戦以降、突然姿を見せなくなっていた。謝の殺害を告白、延安側地下工作員となって姿を消す。脱出決行の朝、呉から丘たちに手紙が届いていた。
<桜井>
同じF花園に棲む好色な日本人医師。田舎者で自己認識のない醜い中国女を妻に持つ。立ち退きを強く迫られており、十九号へ引っ越しさせて欲しいと丘に取り入るが断られ、丘たちをロシア女たちの裸踊り見物に誘う。
檻の中で獣性を失った熊に似て、滑稽でむさくるしく、たよりなく、図々しく爪を隠していると見られている。脱出実行の日、大事なトランクを引っさげて丘たちに合流する。
………
以降は明日の日記に記す予定。