全3件 (3件中 1-3件目)
1
生涯を、八幡大菩薩の旗の下で暮らすのだ右衛門太夫の船では、今夜イスパニアの船に女達を売り飛ばす前祝いをやっています。青影丸と住吉丸が静かにニセめくら船に近づいていました。ニセめくら船がそのことに気づいたときには、大砲が打ち込まれます。そして、その大砲の音を聞き、対岸に待機していた鹿門は「いまだッ」というと、鹿門「それッ」といい、先頭で海に飛び込みます。 青影丸、住吉丸の攻撃に気を取られている間に、泳いでニセめくら船に乗りこもうというのです。 帆をあげている船員に気がつかれたので、鹿門は「潜れ」と指示します。海中めがけ飛んでくる銛をかわしながら船まで近づくと、投げたかぎ縄を伝って船に上ります。 ここから、双方入り乱れての船上での立廻りになります。青影丸や住吉丸が応援に来ると新蔵人の名を呼ぶ鹿門がいました。寿賀、与太夫、も応援に右衛門太夫の船に斬り込んでいきます。 大混乱のなかでの、鹿門と右衛門太夫の一騎打ちが始まります。色んな手段でかかってくる右衛門太夫に応戦する鹿門。右衛門太夫は剣を振り払らわれ追い込まれ、鉄砲を鹿門にむけますが、新蔵人により鉄砲も蹴落とされ、帆柱に上って行きます。鹿門は蹴落とされそうになりながらも、右衛門太夫が上りきったところで一刺し、仇を討ちました。右衛門太夫は海へ落ちていきます。 小静と五兵衛は助かり、無事会うことができました。 澄みきった青空のもと、八幡船団は帆にいっぱいの風を受けて、一路目的地に向かって進んでいきます。めくら船の先端に、大海原をじっと見つめている鹿門の姿があります。寿賀が鹿門に近づきます。鹿門と寿賀のにこやかな表情がとても素敵です。寿賀「とうとう、海の男、八幡船の男になってしまったわね」鹿門「寿賀さん、俺は入道殿や父君の意志を継ぎ、八幡船の頭領として働くぞ」寿賀は優しく鹿門を見つめます。鹿門「・・・生涯を、八幡大菩薩の旗の下で暮らすのだ」そういって、風になびく八幡大菩薩の旗を見あげる鹿門の顔には、海の男の力強い誇らしさが溢れています。 (終)🎞️『海賊八幡船』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。海賊八幡船・・・(17)海賊八幡船・・・(16)海賊八幡船・・・(15)海賊八幡船・・・(14)海賊八幡船・・・(13)海賊八幡船・・・(12)海賊八幡船・・・(11)海賊八幡船・・・(10)海賊八幡船・・・(9)海賊八幡船・・・(8)海賊八幡船・・・(7)海賊八幡船・・・(6)海賊八幡船・・・(5)海賊八幡船・・・(4)海賊八幡船・・・(3)海賊八幡船・・・(2)海賊八幡船・・・(1)
2024年04月27日
コメント(0)
鹿門・・・寿賀の気持ちを受止めます鹿門が先頭で三艘の小舟が密林の狭い流れを進んでいきます。その周りはもうバランガ族に囲まれているのです。鹿門がそれに気づき、黒白斎に鹿門「見張られているぞ」といいます。 バランガ族の目が光るなか、伐採の作業を遂行します。鳥らしき異様な鳴き声が響くなか、切り倒した材木を小舟に結び付けるため水辺まで運んで行きます。小舟に材木を結びつけていた者達が水の中へ放り出されたかと思うと、バランガ族は矢を放ってきす。その矢が鹿門をめがけて来たところに陳が立ちふさがり、鹿門に逃げるよういいます。 森の奥から「ワーッ」というこえが聞こえバランガ族の大群が押し寄せて来ます。鹿門、新蔵人、黒白斎、寿賀はじめ八幡船の乗組員達は石銛が飛んでくる中を必死で逃げます。そんななか寿賀と黒白斎が捕まって連れて行かれてしまいます。鹿門や新蔵人達も追い詰められて身動きが取れなくなったとき、負傷しておいて行かれた伝馬がやって来ていて、爆薬をバランガ族に投げつけ助かり、今度は反対に鹿門達がバランガ族に向かって追いかけていきます。 しかし、あるところまで追って行くと誰もいなくなり辺りは静寂に、恐る恐る前進したところに見たのは、捕らわれ木に縛り付けられた黒白斎と寿賀でした。 鹿門 「爺」新蔵人「寿賀」と叫びかけより縄を切ろうとしたとき、銛が背後から突き付けられます。 全員木に縛り付けられ、バランガ族の儀式のようなものが始まります。 黒白斎が、鹿門に、我々は右衛門太夫の一味と間違えられている、といいます。鹿門「なに、右衛門太夫と・・・」親や兄弟が右衛門大夫に皆殺しにされ、その仕返しをめくら船に乗っていた我々に仕掛けて来たのだ、というのです。違うといっても、黒船が証拠だと聞かないのだと。 恐怖に耐えられなくなっている寿賀に、鹿門が声をかけます。 鹿門「寿賀さん、ほかのところを見るな。俺の目を見ろ」そういわれた寿賀は、ゆっくりと顔を鹿門のほうに向けます。 銛が二人の間を・・・そのなか、少し落ち着いた寿賀が鹿門に話しかけます。寿賀「あたしのために・・・小静さんが探せなくなって・・・」鹿門「いうな・・・寿賀さん、・・・美しい因島の浜辺を、馬に乗って走っている と思え。・・・俺と一緒に並んでな」寿賀が、それに首を縦に振り答え、そして寿賀「鹿門様・・・好きよ・・・好きよ・・・」鹿門も寿賀の気持ちを受止めます。 同じ木の後ろに縛り付けられていた新蔵人が鹿門に声をかけ、新蔵人「お主だけは生かしておきたいなあ」鹿門 「何をいうんだ、ここまで来て仲間外れにするな。俺は八幡船の男ではない か」新蔵人「八幡船の男だから、生かしておきたいのだ」そんな二人を見ていて、「これが船の上だとな」と嘆きます。 かしらの合図で物音が止み、次の合図で槍を鹿門達に向けあわやというとき、右衛門太夫の手下で船の見張りをしていた男をみつけたといって連れてきました。その男の息をかしらが止めました。そして、鹿門のところへ行くと縄を切ったのです。 続きます。🎞️『海賊八幡船』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。海賊八幡船・・・(16)海賊八幡船・・・(15)海賊八幡船・・・(14)海賊八幡船・・・(13)海賊八幡船・・・(12)海賊八幡船・・・(11)海賊八幡船・・・(10)海賊八幡船・・・(9)海賊八幡船・・・(8)海賊八幡船・・・(7)海賊八幡船・・・(6)海賊八幡船・・・(5)海賊八幡船・・・(4)海賊八幡船・・・(3)海賊八幡船・・・(2)海賊八幡船・・・(1)
2024年04月21日
コメント(0)
頭領だからこそ行くのだ波を見つめ、決心に間違いないことを確かめたあと、月影のもれる密林をさまよっていた鹿門は、沼で水浴びをしている寿賀にきずき足を止めます。寿賀も鹿門に驚き、鹿門は目のやりどころに困り、急いでそこから立ち去ろうとしたとき、 寿賀が「鹿門様」と呼び止めます。寿賀のほうを見た鹿門に、「さっきは有難う、すっかり元気よ」と明るい寿賀に何もいえず、恥ずかしそうな表情をして行こうとする鹿門に、寿賀は「待って・・いま行くわよ」と声をかけます。 二人は楽しそうに歩いています。 鹿門「そなたは何でもできるんだなあ」寿賀「男勝りのお転婆といいたいんでしょ」鹿門「いや、褒めてるんだよ」鹿門「妹の小静も泳ぎが上手かった」寿賀「お可哀想に・・・早く見つかるといいのにね。・・・でも、小静さんが見つ かったら、鹿門様は堺に帰っておしまいになるんでしょ」 鹿門は笑みを湛え鹿門「・・・俺が帰ると思うか」といった鹿門に寿賀は嬉しそうに、寿賀「帰るような人だったら、・・もう、めっちゃくちゃに・・・」と、鹿門に寄っていくと、鹿門のほうも寿賀がすがって来るのをうれしそうによけながら、鹿門「ほれ、また激しいのがはじまった、・・・さっき褒めたばかりじゃないか」寿賀「・・・あたし・・・鹿門様に、もう・・・意地悪いえなくなっちゃった」 そのとき、鹿門は何かに気づいたようで、さっきまでの表情とは違い、険しさのある顔で寿賀に寄って行きます。 そして、寿賀を見つめると、鹿門「寿賀さん・・・・・」そういうと、寿賀を押し倒します。寿賀は「なにすんのよ」と突然の鹿門の行為に驚きと抵抗しますと、鹿門が寿賀に「見ろ」といった方向の木に矢が飛んできたのです。 二人は急いで安全なところに身を隠します。そして、鹿門が短刀を木の茂みに向かって投げますと、地面に咲いている花に血が垂れ、太鼓の音が聞こえたかと思うと死体が落ちてきました。周りを見て逃げます。太鼓の音が遠く鳴り響くなり響き、新蔵人、黒白斎はじめ八幡船の乗組員達は、バランガ族に囲まれていることがわかりました。 翌日、バランガ族が獰猛な土人だということを黒白斎から聞いても、鹿門「俺は、何としても行く」頭領の鹿門に万一のことがあっては、という黒白斎に、鹿門「いうな。頭領だからこそ行くのだ」新蔵人は、修理の材木がなくてこれから先の航海をどうするのだ、といった鹿門が気に入り一緒に行くといいます。「舟を出せ」と鹿門がいいます。 続きます。🎞️『海賊八幡船』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。海賊八幡船・・・(15)海賊八幡船・・・(14)海賊八幡船・・・(13)海賊八幡船・・・(12)海賊八幡船・・・(11)海賊八幡船・・・(10)海賊八幡船・・・(9)海賊八幡船・・・(8)海賊八幡船・・・(7)海賊八幡船・・・(6)海賊八幡船・・・(5)海賊八幡船・・・(4)海賊八幡船・・・(3)海賊八幡船・・・(2)海賊八幡船・・・(1)
2024年04月10日
コメント(0)
全3件 (3件中 1-3件目)
1