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証拠を掴んだら・・・復讐だ薄暗い天守への階段を上って行く正人の姿があります。正人「父上の死因は何だ・・・何かある・・・殺されたのか・・・そうとすれば誰 に・・・証拠をつかまなければならぬ・・・、証拠を掴んだら・・・復讐 だ」 呟きながら天守の階段を一歩一歩踏みしめ登って行きます。父上はいつも平和を願い、叔父上は野望のために・・・その叔父上と母上はどうして寝床を同じくしたのか、正人の心中に複雑な思いがこみ上げてきたとき、下から「正人・・・正人・・」と母の声がしました。 母時子は雪野と共に、正人を求め階段を上がります。天守の外に身を隠していた正人が笑い声をあげ中に入って来ます。「どうしたのです・・・」と問いかける時子に答えず、手をはらうようにします。 雪野が時子に促され正人に「雪野ですよ・・・どうなすったんです」と近づくと、雪野の顔を両手で持ち上げ不気味な笑いを浮かべながら見て、「空は日本晴れだ」というのです。そんな正人に雪野が「私達の望みです、たった一つの誇りです、・・・お気を確かに・・・」と話しかけます。 すると、正人が「雪野」といい話しかけてきたのですが、正人「雪野、見目うるわしい女か・・・操は正しいか・・・美しさは操を売って売 女にかえる商人だ。・・・・・怖い・・・海は怖いな、怒ると人を呑むぞ」というと、再び笑い声をあげ外へと出て行きます。 師景は正人が気が触れた理由を探り当てるため、正人から片時も目を離さず尾行の者を二人つけるのです。天守から出て来た正人のところへ多治見庄司が駆け寄ってきます。正人は何もいわず速足である程度距離を歩いたところで、庄司の方を振り向くと丁寧にお辞儀をします。正人は尾行されているのを分っていたのです。 そしてゆっくりと歩きだし、庄司に話しかけます。正人「ニセ気違いともならないと殺されるところだった」と。 続きます。🎞️『炎の城』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。炎の城・・・(1)炎の城・・・(2)
2024年05月27日
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「よし、約束しよう、必ず、力の及ぶ限り・・・」農民達が大勢集まっている場所に顔を出した正人は農民達が年貢で苦しめられていることを知り、正人「よし、約束しよう、必ず、力の及ぶ限り・・・」農民達から歓声が上がった。 その夜、城では正人が帰って来た祝いの宴が開かれた。師景「正人、よく無事で帰って来たのう、・・・みんなお前の帰りを待っていたの じゃ。・・・今日は、お前の無事を祝って、無礼講で祝おうというのじゃ」そういう師景の方をじっと見つめる正人に、直之進が異国の面白い話を聞かせてほしいと投げかけます。 その様子を目にしていた人々は、正人の気が触れていることを察しました。正人が口を開く。正人「明国は広い、海は青い」そんな正人に、師景「ええ、お前は、父の死を聞いて心乱れたのかも知らんが、これからはのう、 この叔父を誠の父とおもってくれよう、よいか」 師景に対しての正人の返事は、ただうつろな、不気味な笑い声でした。そしてふらふらと歩きだし。正人の目は雪野を探し、答えるように正人を見つめる雪野の目を見つめると、ふらふらと宴の席を抜けていきます。 続きます。🎞️『炎の城』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。炎の城・・・(1)
2024年05月18日
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シェイクスピアを翻案した時代劇というと黒澤明監督の「蜘蛛巣城」「乱」の二作品があることはご存じでしょう。ここで紹介する「炎の城」と黒澤監督の二作品に共通するところは、時代背景を戦国時代にしていることと、4大悲劇にもとづいていることです。加藤泰監督は、黒沢作品「羅生門」ではチーフ助監督をやっていました。「蜘蛛巣城」からはモノクロで水墨画を思わせる画面と力強さで描かれていますが、「炎の城」は華やかな美しい色彩感覚の映像の中に細やかな心理劇が展開されていきます。ラストの燃えさかる城の凄まじい変化の状態を描いていきますが、その中での殺陣の場面は東映時代劇の要素を見せないものになっているといえましょう。加藤監督は「炎の城」は”失敗作だ”と自戒の言葉を残した最大の理由には、ラストシーンにありました。当時のスター中心の考えの会社側との意見の違いから思うように撮影できず、不条理な結末にしてしまったことです。◆第68作品目 1960年10月30日封切 「炎の城」 王見正人 大川橋蔵六角雪野 三田佳子王見時子 高峰三枝子王見師景 大河内傅次郎多治見庄司 黒川弥太郎六角直之進 薄田研二六角祐吾 伊沢一郎相楽宗恵 坂東吉弥王見勝正 明石潮陀七 河野秋武シェークスピアの有名な「ハムレット」を時代劇風に脚色、1560年頃の瀬戸内海沿岸の玉見城を舞台に繰り広げられる復讐劇。留学先の明から帰国した王見城の若殿・王見正人を待ち受けたのは父・勝正の急死だった。叔父の師景が正人の母・時子を妻にして城主となり、悪政によって民を苦しめていることを知った正人は、乱心を装って周りの目を欺き、父の死は師景の謀略であることを追及、討とうとするが・・・。真相を確かめるのだ海岸沿いの映像・・・今から400年近く以前、瀬戸内海の沿岸に・・・場所は王見城、六角直之進に城主王見師景は、昨夜正人の乗っている船が嵐にあって沈む夢を見た、これが正夢ならわしは運がいい男だ、と話しているところへ、物集港から早馬で正人の姿を見たという知らせが届いたのです。その知らせを聞いた王見城の若い家臣達は正人の帰るのを希望をもって待ちこがれ、また、時子に仕える雪野もまた正人の帰りを喜んでいます。師景と直之進は正人の帰国をどう迎えるか考えている頃、多治見庄司が小舟でやって来た正人を出迎えていました。父上のこと、叔父師景の悪事と師景の妻となった母時子のこと等、変ってしまっている王見城の様子を教えてくれた庄司に正人は感謝するのです。 このままでは、叔父師景にも母時子にも会えぬという正人。庄司が、正人にこれからどうされるのかと聞くと、正人「真相を確かめるのだ、証拠をにぎるのだ。父上が急病で亡くなったというの は表向きのことで、その本当の死因については、いろいろなことをいう者が いると、お前いったではないか」ひとまず城へ帰らないと・・・という庄司に、明国へ連れて行った供の者達を先に返してある、といい父上が亡くなってお役御免になり国へ帰った老臣二人から何か聞けるかもしれない、と訪ねます。まずは一色主女を訪れたが。すでにこの世の人ではなくなっていました。お役御免になって帰って来ると、すぐ城からの使者が来て、先君の殉死を求め、その場で切腹させたというのです。「恐らく、主女殿は何か大事なことを知っていたのです」と庄司がいいます。 正人は庄司に先に城へ帰るように、そして、「雪野に俺も間もなく帰るからと伝えてくれ」海の向こうの新しい知識を得、誰も彼もが安穏に暮らせる天国にしたかった、しかしそのために父が一番自分を必要とした時にその場に居合わすことが出来なかった、と正人は悔やみます。正人は庄司に先に城へ帰るように、そして、正人「雪野に俺も間もなく帰るからと伝えてくれ」といい、もう一人の相楽伊賀亮を訪ねます。が、伊賀亮もこの世の人ではありませんでした。国へ帰って来た翌日、裏の沼で釣りをしているところに、急に矢が飛んできて胸板を貫いた、というのです。城へ訴えたが何の音沙汰もなく泣き寝入りで・・・それでいやになって百姓になった、という息子宗恵の気持ちを思い、正人「無理もないことだと思う・・・が、伊賀亮に聞きたいことがあって来たん だ」その言葉に宗恵が正人の方を振り返ったとき、「より合いだあ」という声が聞こえに、「何事だ」と聞くと、宗恵は正人を誘い村の話を聞いてほしい、と。宗恵「今村は大変なことになっている、みんな正人様の帰りを待っていたんだ」正人「・・・うん」 続きます。
2024年05月08日
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