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2004.08.19
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カテゴリ: 欧米露の本
料理人

 おそらくイギリスと思われる国の田舎町に自転車で現れた男コンラッド。
 名家に住み込みの料理人として雇われ頭角を現していく。
 料理を通じて主人一家、もう一つの名家をコントロールするようになる。
 といっても金銭的な野心があるわけではない。両家を実質的に我がものにし、富を手に入れるが、結局何をするかというと城にこもって延々とパーティを開くという結末。
 料理を作ること、食べることにとりつかれた人間たちの物語でもあるのだが、グルメ小説ではない。旧家乗っ取りの成り上がり小説でもない。
 何とも言いようのない不思議な小説なのである。
 コンラッドが人々を操っていく様は見事だ。
 主人一家の体重をコントロールし、じゃまになりそうな執事は病気にして追い出す。

 主人はそれまで執事の仕事だった飲み物の調合に、その妻はテーブルセッティングや皿洗いに、息子はコンラッドの弟子として料理に、それぞれ嬉々として取り組むようになり、常にコンラッドの指示を仰ぐ存在になってしまう。
 訳者あとがきによると、これは悪魔物の一つなのだそうだ。
 人間の欲望を刺激し、人間を意のままに操る。悪魔とはそういう存在であるらしい。
 一箇所誤植発見。「喚起設備の貧弱」(p145)は「換気設備の貧弱」だろう。





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Last updated  2006.12.02 19:56:16
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