今が生死

今が生死

2023.09.16
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カテゴリ: 読書
JAFの雑誌ジャフメイト夏号に小説家の羽田圭介さんが「幸せって何だろう」のコーナーに「(幸福の)質の変化と没頭」の文章を書いていた。17歳で文芸賞を受賞して小説家になり、29歳で芥川賞を受賞して多くの人に受け入れられた気がして多大なる幸せを感じて数年間を過ごした。
37歳になった今ここ数か月間あまり強めの幸せを感じられない日々が続いている。心躍るような楽しみが減る一方で日常の中で安らぎを覚えやすくなってきている。幸せの質が変化している時期にいるのだと思うがどっちつかずで少し辛い。質の異なる幸福の種類がそれぞれ半分ずつ位、生きる原動力となっているのが今の自分の状態なのだろうと分析していた。
最近初めてハワイに行った。2週間くらい前から英語の勉強を始めたが現地で聞き取りが出来ず、無力感を感じた。英語圏では自分は何も持ってない人間に過ぎないのだとの認識は久しぶりにワクワクさせられた。
日本語で小説を書き有名になって日本国内では顔や名前を知ってもらっているが、日本語の通じない国に行くだけで安定していたと思っていた自分の力を失う感覚が愉快で仕方なかった。それで今英語の勉強を続けている。あまりにもやらなければならないことが多くて没頭している。没頭できるものがあるというのが最も確かな幸福の種類なのかもしれない。と結んでいた。
小説家を目指している人は何万人もいると思われるが、何度応募しても落選で世に出れる人は少ない。羽田さんは若くして芥川賞をとり、脚光を浴びてきた。幸せだったと素直に感想を述べていた。対して何万人という小説家志望者は報われないまま悲しみに暮れ不幸に打ちひしがれている。その違いは実力もさることながら運が大きく作用していると思う。羽田さんは運のいい人だったのだと思う。日本語の通じない外国に行って自分の力が通じなくて有名人でなくなってしまうことが愉快でならなかったとのことだが、生まれながらにしてちやほやされてきたのかもしれない。そういう運を背負ってきた人だから、外国では誰もかまってくれないということが新鮮で痛快に感じられたのかもしれない。
英語の勉強に没頭することに幸せを感じているとのことで、もともとどんなことにも幸せを感じられる素質を持っているのではないかと思う。世の中にはどんなことにも不幸を感ずる人もいる。羽田さんを見習いたいと思った。





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Last updated  2023.09.16 21:36:52
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