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今日のまとめ1.ペトロブラスは長い間独占企業だった 2.深海探索により確認埋蔵量を伸ばした 3.生産量の成長は世界の石油会社の中でも高い方に属する 4.同社の成長ポテンシャルは株価に反映されていない 5.収益レバレッジの高さが逆に働くリスクが大きい 6.エタノールの登場はガソリンとの競合を招く ブラジルの石油産業の生い立ちブラジルの石油業界は長年独占事業の形態を取ってきました。ブラジル政府は1953年に石油事業を推進するためにペトロブラスを組織します。以降、石油事業の自由化が発表された1995年までの42年間、ペトロブラスは独占を享受します。1995年以降はブラジル政府はどの民間企業や外国企業とも石油の開発契約を締結することが出来るようになりました。因みにブラジルの法律では地中に眠る石油は全て政府の所有物であり石油会社には所有権はありません。その代わり石油会社には開発権(コンセッション)が付与されます。 お役所仕事からの脱却ラテン・アメリカの多くの政府系企業の例にもれずペトロブラスの社風も長い間官僚的でした。しかし近年は成果主義がすっかり定着し国際的な比較においても大変立派な実績を残しています。例えば石油の探索に於いては1970年以降、年率平均約8.2%の割合でリザーブ(確認埋蔵量=ここでは石油、NGL、天然ガスの総和)を伸ばしています。 ブラジルの油田の大半はオフショア(沖合い)の深海に位置しています。このため産油国としてのブラジルの潜在力が世界に知れ渡るようになったのは比較的最近のことです。 深海石油探索は高度な技術と長年に渡る油田のデータ収集、分析、操業ノウハウの蓄積が必要となります。その意味でブラジル政府がペトロブラスに独占権をずっと与えていた事は同社にとってプラスに働いたと見るべきでしょう。実際、2005年の試掘の成功率は55%にも達しており、これはたいへん高い数字です。それから同社の油田ポートフォリオの中で石油の所在が確認されているけれども未だ開発予定の無い油田(proved, undeveloped reserve)の比率がとりわけ高いことを指摘したいと思います。これは同社の将来のリザーブの追加が比較的高い確度で実現する可能性が高いことを示唆しています。因みに同社の探索コストは世界平均の半分以下($2.5/boe)です。 生産ペトロブラスが長期で見て年率約8.2%でリザーブを伸ばせてこれたという事は、大体、原油生産においてもそれと同じペースで増産してもリザーブ・リプレースメント・レシオ(原油の生産による費消を新たな発見でどれだけ補えるかの指標)で100%以上を維持出来ることを意味します。つまり「貯金」を喰い潰さずに増産できるというわけです。今、OPECの増産余地は年率せいぜい1~2%程度であるとされていますからこの8.2%という数字がいかに急成長かおわかり頂けると思います。深海油田には当然マイナス面もあります。海底の地中から石油を産出するコスト(これをリフティング・コストと呼びます)は割高にならざるを得ません。ただ、ブラジル政府が石油会社に課すロイヤリティーやその他の税金は比較的安いため石油会社の手許に残る利益は大きいです。(例えば原油価格が35ドル以上のシナリオではロシアの石油会社は原油価格が1ドル上昇した場合、10セント程度しか手許に残る金額が増えないのに対し、ブラジルの場合は原油価格上昇分の約半分が石油会社の懐に入ります。) 株式市場での評価ペトロブラスはこのように増産できる可能性が高く、結果として利益成長も世界の石油会社の中で最高の部類に属するにもかかわらず、株価評価的にはまだ割安に放置されていると考えられます。 上のグラフは世界の主要石油会社の時価総額に負債を加えたもの(=これをエンタープライズ・ヴァリュー、略してEVなどと呼んだりします)をリザーブ、つまり確認埋蔵量で割り算した倍率です。これは確認埋蔵量1BOE(barrel of oil equivalent=天然ガスを原油の価値に換算することにより原油と天然ガスを合算して比較できるようにした数値)当たりの株価評価が幾らになっているかを示す指標です。数字が高いほど評価が高い(別の言い方をすれば「割高」)わけです。ロスネフチやルクオイルといったロシアの石油会社の評価が一様に低い理由は折角原油価格が上昇してもその大半はロシア政府の懐に入ってしまう仕組みになっているからです。 リスクペトロブラスの株式に投資する際のリスクにはどんなものがあるでしょうか?先ず同社の収益は先に述べたようにブラジルの税制の関係から原油価格が高くなると収益がずんずん伸びる構造になっています。このため、若しアナリストが収益予想を立てるにあたって比較的高い予想原油価格を根拠にEPS(一株利益)予想を弾き出していたとするなら、原油価格が急落した局面では業績の下方修正が続出することになります。(こういう風に原油価格に収益が敏感に反応することを「収益レバレッジが高い」と表現したりします。) ペトロブラスの普通株の56%は未だにブラジル政府が所有しています。(ペトロブラスは優先株も沢山発行しています。政府は優先株の方は持っていません。)このため、政府の意向でペトロブラスの経営が左右されるリスクがあります。 次に価格統制に関してですが、2002年以降ブラジルの石油製品は自由価格となっています。しかし、ブラジルには長い価格統制の歴史があったわけであり、むしろ自由価格の歴史の方が短いわけですから、政治の風向きが変わることによってまた価格統制が復活するリスクも考えておかないといけないでしょう。 さらにブラジルでは最近、サトウキビから採れるエタノールが代替エネルギーとして注目されています。エタノールでもガソリンでも走る、所謂、フレックス車の販売が急速に伸びています。これは国内市場における競合を意味します。
2006年09月26日

今日のまとめ 1.ブラジルは鶏肉の輸出国としてメキメキ頭角を現している 2.養鶏・養豚業に特有の経営上のリスクに注意を払うこと 3.大豆市場は大手同士の激しい競争が展開されている 4.サトウキビは代替エネルギーの切り札として注目されている 5.苛性カリはロー・コストの業者が有利ブラジルの養鶏業 大豆とならんでブラジルが最近輸出をどんどん伸ばしている品目が鶏肉です。 ブラジルの大手養鶏・養豚業者は大豆の加工工場に隣接する形で飼料工場を配置し、大豆の絞りかすを利用するなどのコスト削減に努めています。飼料コスト安が同国の養鶏・養豚業の国際競争力が強い理由のひとつです。また、鶏肉を自動的に加工、包装、冷凍する一貫工場の整備、さらに輸出市場への物流ロジスティクスを改善するなどの経営努力も市場占有率の上昇に寄与しています。 鶏肉の主な輸入国はサウジアラビアをはじめとする中東諸国、日本などのアジア諸国、欧州諸国、ロシアなどです。中でもロシアの鶏肉輸入の拡大ペースは著しく、2005年は金額ベースで実に+65%という猛烈な成長を記録しました。(これにはブロイラー関連の一部品目の輸入制限緩和という一時要因も或る程度影響しています。)このセクターの関連銘柄としてはサディア(ティッカー:SDA)とペルディゴン(ティッカー:PDA)という2つの銘柄が挙げられます。両社とも鶏肉ならびに豚肉、さらにそれらに関連する加工食品(ハム、ソーセージ、ラザーニャ、ピザなど)を生産・販売しています。規模的にはサディアの方が若干大きいのですが、輸出比率も大体似ていますし、マーケット・シェアも拮抗しています。しかも7月にサディアがペルディゴンに買収提案を行ない、「鶏肉戦争」は最高潮に達しました。しかし、この買収提案をペルディゴンが拒否し、サディアが買収提案を取り下げたことで一応この戦いは休戦しています。 養鶏業への投資の際の注意点 過去の両社の売り上げおよび利益成長を見ると、急成長を示しています。さらにサディアの株価収益率(PER)は9.26倍(過去12ヶ月の実績ベース)、株価対売り上げ比(PSR)は0.59倍となっています。しかし、このセクターの株価収益率等が低いのにはそれなりのわけがあります。先ず、鶏肉や豚肉には市況性があるという点を忘れてはいけません。また、大豆価格が急騰した場合、飼料コストが上がりますからマージン圧迫要因となります。また、鳥インフルエンザ、ニューカッスル病、口蹄疫などの疫病のリスクもあります。例えば口蹄疫の発生を理由にロシアと南アフリカは去年11月にブラジル産の食肉の輸入を停止しました。逆に世界の他の地域での疫病発生がプラスに働くケースもあります。例えばアジアで鳥インフルエンザが発生した際、これまでのところ鳥インフルエンザの発生が報告されていないブラジルの鶏肉への需要が急に高まりました。さらに市況高騰でブラジルの業者がその恩恵に浴しました。市況リスク、疫病リスクに加えて、食品衛生関連の各国の法律が変わるリスク、輸入数量制限などのリスクもあります。さらにブラジル・リアルが高騰した場合、輸出品の価格競争力が損なわれますし、逆にブラジル・リアルが弱含んだ場合、米ドルとの相関性の高い大豆価格が相対的に上昇することでマージン圧迫要因になったりします。特に目先は去年までの一連の疫病のせいでブラジルの養鶏業者が得をした関係で売り上げ・利益面で前年比較が苦しいという事情があることに注意すべきでしょう。 大豆を投資のヒントにするには さて、前回論じた大豆関連の銘柄としてはアメリカ株のブンゲ(ティッカー:BG)が挙げられます。同社は世界最大級の植物油、脂肪種子の生産者です。また、南アメリカ最大の肥料メーカーでもあります。もともと19世紀にオランダで創業した穀物商社ですが、今では本社をニューヨークに置いています。同社に投資する際の問題点としてはもともと利幅の薄い商品を扱っている上に市況に左右されるということ。天候や疫病など、その年の作柄に影響する要因にも気をつけないといけません。さらに競争という面でもアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ティッカー:ADM)やカーギル、ルイス・ドレイファスなどの大企業とシェアを争っています。さらに遺伝子組み換え作物に関しては安全性の見地から輸入に消極的な消費国も多いのです。なお、遺伝子組み換え大豆の主な生産地は米国とアルゼンチンで、ブラジルはこれまで遺伝子組み換え大豆の生産には消極的でした。一方、消費国の方に関しては日本、中国、EUなどでは既に遺伝子組み換え作物は解禁されています。 さとうきび ブラジルの農業でもうひとつ今注目を浴びているのがサトウキビです。サトウキビは代替燃料であるエタノールの原料となります。ブラジルは世界で最もエタノール車の普及が進んでいます。これは1970年代後半にブラジル政府が強力な行政指導でエタノール車の普及に努めたことが原因です。ブラジルがエタノール車に注目した理由は同国でふんだんにとれるサトウキビがエタノールの抽出にとりわけ適した作物だからです。しかし、エタノール車は1980年代に一旦普及するかに見えたのですが、その後、原油価格の低迷でガソリン価格がエタノール価格より安くなり、消費者がエタノール車を敬遠したため頓挫しました。この教訓を生かしてエタノールでもガソリンでも走る車、所謂、フレックス・フュエル型のエンジンが開発され、消費者がその時々でエタノールとガソリンの安いほうの燃料を入れられる工夫がされたため、最近またフレックス車の売り上げが伸びてきました。現在ではブラジルで売られている新車の大半がフレックス車だそうです。 現在ブラジルで生産されているサトウキビの用途はエタノール向けとそれ以外(さとうなど)が約半々です。しかし、今後はエタノールの需要拡大が予想されていますから、ブラジル政府はサトウキビ価格の安定の為に新たな開墾を奨励しています。さて、このサトウキビの増産を株式市場でプレイする方法ですが、開墾にあたって地味改良の為に投入される苛性カリを生産しているポタシュ・コープ・オブ・サスカチュワン(ティッカー:POT)という会社がカナダにあります。同社は世界最大の苛性カリの鉱山を有しています。同社の鉱山は露天掘りで採掘コストが安いし、規模が大きいのでスケール・メリットがあります。同社の投資リスクとしては苛性カリの供給契約の交渉が不調に終わるリスク、仕向け先における過剰在庫で売り上げが減るリスク、不作から農家の収入が落ち込んだ場合、苛性カリを購入する余裕がなくなるリスクなどが考えられます。
2006年09月19日

今日のまとめ1.セラードの開墾がブラジル農業の飛躍に貢献した 2.穀物メジャーが開発の原動力として重要な役割を果たした 3.企業化は良い面と悪い面を持っている 4.中国の人々の食生活の変化が穀類のグローバル・トレードを促進した 5.セラードの開墾の終焉が世界の需給関係に与える影響を考える必要があるブラジル農業の企業化今日はブラジル農業のもうひとつの特徴である企業化について見てみたいと思います。ブラジルはもともと大土地所有制度があった為、大規模な企業化が受け入れられやすい素地がありました。加えて前回見た農産物のグローバライゼーションの過程で大豆のような大規模経営に適した商品に対する需要が高まったことも欠かせない要素です。ブラジルの農業は1970年代から大きな変革を経験しました。その理由は内陸地のセラードと呼ばれる耕作に適さない土地の開墾が進んだことによります。それまでセラードは不毛の地と考えられてきたのですが、積極的な苛性カリの投入、施肥、灌漑施設の整備などにより大豆の生産に適した土地に改良できることがわかりました。そこでブラジル政府もこれを積極的に後押しし、日本の面積の5倍にものぼる土地が新しく開墾されたのです。穀物メジャー セラードの開墾の過程で重要な役割を果たしているのがブンゲ(米国、ティッカー:BG)、カーギル(米国)、ルイス・ドレイファス(フランス)、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(米国、ティッカー:ADM)などの穀物メジャーです。彼らは農家への積極的な融資、出荷経路の整備、輸出ファシリティーの整備、搾油・食品加工プラントへの投資などにより収穫の増加、生産性の向上を実現しました。下のグラフはブラジルで操業する穀物メジャーの中で最大手級のブンゲ社の過去3年の長期資産の増減を示しています。同社がブラジルにおける事業を積極的に拡張していることがわかると思います。 これまでブラジルの農家は銀行からの融資などをあまり受けてきませんでした。このため、種子や農薬の買い付け、作付け面積拡大に必要な資金などを穀物メジャーからのプリペイド契約による融資に依存しています。プリペイド契約ではまず穀物メジャーが必要な資金を融資し、農家は収穫期に作物を一定の価格で買い付けてもらうことで返済に充当します。或る意味では穀物メジャーが銀行、ないしは農協のような役回りを演じているわけです。2005年末のブンゲ社のバランスシートではこのような融資の残高が9.24億ドルあります。加えてブンゲ社の場合、農家が使う肥料の購入代金も売掛金という形で信用貸しした形になっており、その残高は6.63億ドルあります。このような穀物メジャーの関与はブラジルのセラード開発の原動力となった一方で農家の穀物メジャーへの従属体質が強まったことは懸念すべきことです。また、大規模な単一作物の栽培は土地利用の偏向を招き、環境への長期的インパクトが懸念されます。穀物のビジネスは商品相場に左右されるので複雑な市況リスクに晒されます。大豆価格など、商品そのものの相場変動がまずその第一です。例えばブンゲ社の損益計算書を見ると2005年度のアグリビジネス部門の売り上げ高は2004年のそれと比べるとマイナスになっています。これは出荷量が減ったのではなく(事実、ボリュームは+11%でした)、大豆価格の下落に伴って平均販売価格が前年水準を割り込んだことが原因です。一方、為替相場ではブラジル・リアルは相場変動が比較的激しい通貨であることが知られています。ブンゲ社の場合、殆どのアグリビジネスの商品の売買契約はUSドル建てです。従って、ブラジル・リアルが弱含むと、ブラジル国内で発生する営業コストは会計上減りますから利益にとってプラスになります。この他、農業を営む上での様々な価格変動リスクに対峙する際、穀物メジャーの方が個々の農家より有利である場合が多いです。このように高度なリスク管理を個々の農家ではなく穀物メジャーに任せるという面で穀物メジャーの庇護の下で操業するメリットがあることは否定できません。今後の大豆価格を占う 先ず断っておくと大豆に限らず、商品相場の先行きを占うことは株式市場の専門家である私にはできません。ただ、巨視的なトレンドについて指摘することはできると思います。下の図は大豆の輸入国のパイ・チャートですが中国が巨大な存在になったことがわかります。一方、輸出国のパイ・チャートでは米国とブラジルが主なプレーヤーであることがわかります。この中で特にブラジルの重要度が近年格段に増したことは前回議論した通りです。 中国の人々の食生活は今、急激な変化を遂げています。この背景には(1)所得向上ならびに(2)地方から都市へと人口が流入していることが原因となっています。具体的には摂取されるカロリーが急増していること、それに呼応して穀類中心の食生活から乳製品や肉類や果物などにバラエティーが広がっています。中国の農家の作付けパターンもそうした需要の変化を反映して変わってきており、作付け全体に占める穀類の比率は急減しました。これは中国の農家が穀類を作るより果物など他の作物を作ったほうが有利なことが原因です。国内での穀類の作付けが減った分を埋め合わせているのがブラジルからの輸入なのです。このような食材の国際化は中国の場合、まだ端緒についたばかりです。今後、中国が豊かになればなるほど食生活のバラエティー化のトレンドは強まるわけですから大豆輸入の必要は高まりこそすれ、昔に逆戻りすることは無いと思われます。中国政府は時々中国国内の農家からの大豆の買い付け量を増やし、余りに急激に海外依存が進行しないように配慮しています。これにより過去2年くらいは中国国内での穀類の作付け面積は増加に転じました。大豆の市況が去年以降下落に転じたひとつの原因はここにあります。しかし、長期的なトレンドとしてはもはや農作物のグローバル・トレードの流れに抗することはできないと思われます。さて、我々が深く考えてみないといけないファクターのひとつはセラード開墾が終盤戦に入ってきているという点でしょう。勿論、未だ増産余地は残っています。その一方で土地の供給は無限でないことも明白です。ですから原油市場を襲った市況高騰と似たような強気相場が大豆などの穀類にも及ぶことが無いとは言えないでしょう。
2006年09月11日

今日のまとめ1.農業は川下部分まで含めるとブラジルのGDPの3割を占めている 2.農産物のグローバル・トレードが今後も活発化する 3.発展途上国の人々が豊かになると食生活のパターンが変わる 4.それが農産物の交易を一層加速させる要因となる 5.ブラジルは潜在的耕地面積や水資源の面で圧倒的に有利 農業のブラジル経済に占める地位農業はブラジルにとって重要な産業です。コーヒーや大豆の生産は皆さんもご存知でしょうが、その他にもオレンジやサトウキビ、畜産、そして最近では養鶏業もたいへん盛んです。農産加工、農産物流通などの所謂川下部門までを含めるとGDPの約3割が農業関連ということになります。ブラジルの農業セクターがわれわれ株式市場の投資家にとっても重要な理由は、1.農産物のグローバル・トレードが活発化していること、2.その中にあってブラジルの農業はとりわけ企業化の度合いが進展しており、国際競争力を持った優良企業が登場していること、などによります。そこで今日は農産物のグローバル・トレードについて見ていくことにしましょう。 農産物のグローバル・トレードBRICsをはじめとするエマージング・マーケットにおける所得の向上は食生活の多様化をもたらします。下のグラフは世界の全人口を所得階層別に色分けしたものです。今、食肉の消費と所得水準とは密接な関係があることが知られています。FAOなどによると年間所得が1500ドル以下の人々が肉および魚から摂取するカロリーは一般に200カロリー以下であるとされています。しかし、1500ドルから5000ドルの所得層では300カロリーを超える水準へと上昇します。つまり「喰うのに精一杯」の状態から食生活にバラエティーが出てくるのがこの所得層というわけです。このグラフにある通り、過去10年においては1500ドルから5000ドルの所得層が著しく増加しました。これが鶏肉などの需要の増加の一因です。向こう10年では年間所得5000ドルから13000ドルの階層が倍増すると見られています。このように更に所得が増えると次には牛肉などへ需要が広がってゆくわけです。※FAQ・・・Food and Agriculture Organization(国連食糧農業機関)大豆大豆は農作物のグローバル・トレードの中でも最も重要な品目です。それは取引金額が大きいのとグローバライゼーションが最も急速に進んでいることによります。それでは一体、何故大豆にそうした大きな変化が生じているのでしょうか?大豆は家畜の飼料になります。つまりエマージング・マーケットの消費者の食生活にバラエティーが出てきて、カロリー値が上昇してくると大豆の需要を刺激することになるのです。さて、ブラジルに限らず中国にも広大な土地があります。そこで中国でも大豆を作れば良いではないかという風に考えてしまうのですが、増産に際しては様々な制約があります。そのひとつが降雨量です。下の図は穀物メジャー、ブンゲ社の資料から取ったイメージですが、世界各国の水資源の多寡をベースに世界地図を描き直したものです。(オリジナルの出典はモスクワ国立大学がUNEPのプロジェクトの為に1996年に作成した資料によります。) これで見るとブラジルは水資源が豊富なのに対して、中国はその広大な土地に比べると比較的水資源に乏しいことがわかりますね。また、ブラジルには潜在的耕地面積が1.7億ヘクタールあると言われており、その面でも今後の成長の余地は大きいのです。勿論、農産物の輸入は国内雇用の問題や食糧自給による安全保障上の問題など、様々な要素が絡んできます。しかし、それらを考慮した上でも、今世界で起こっている消費パターンの構造変化というものを考えた場合、品目によってはますます農産物の輸入依存度が高まることが予想されるわけです。事実、下のグラフは米国農務省による世界の主要地域における大豆の生産実績ならびに予想ですが、中国はほとんど増産することができない見通しです。 このため中国は今後も大豆の輸入を増やし続ける必要があると考えられます。
2006年09月04日
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