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今日のポイント ロシアの石油業界は世界全体にインパクトを持つ 過去5年の世界の石油増産を牽引してきたのはロシアである 今、ロシアの石油増産は限界にきている 今後の増産は大規模な新規油田の開発待ちとなる ■ロシアの石油/天然ガス業界今日から数回に渡ってロシアの石油ならびに天然ガス業界を見ていきます。先ず銘柄ですが、時価総額で100億ドルを超える主要企業を列挙してみますと:銘柄名業種/特徴時価総額(10億ドル)年初来上昇率ガスプロム天然ガス/世界最大23941%ノヴァテック天然ガス1390%ルクオイル石油/ロシア最大7855%TNK-BP石油/チュメニ油田/英BPと提携5419%スルグトネフチガス石油/東西シベリア4560%シブネフチ石油/西シベリア2436%タトネフチ石油/タタール共和国1380%となります。なお、この表には含まれていませんが、今年の夏にロスネフチという石油会社がIPOされる予定になっています。規模的にはルクオイルより若干小さい程度で、ロシア第2位の石油会社です。また、上記銘柄のうち、ニューヨーク証券取引所に上場されていて、我々ADRの投資家が簡単に売り買い出来る銘柄はタトネフチ(ティッカー:TNT)の1社だけです。NY上場の銘柄が1社だけしかないのでつまらないと感じる読者の方も多いでしょうが、それでもロシアの石油/天然ガスの業界は詳しく研究するだけの価値はあります。その理由はロシアや東欧に投資する投資信託を皆さんがお買いになった場合、そのポートフォリオのかなりの部分は上記の銘柄で占められている筈だからです。また、ロシアへの投資という事に限定しなくても、今、世界の原油市場の動向などを考える上でこれらの銘柄は大変重要です。今日は先ず石油産業から見ていくことにします。 ■ロシア石油産業の世界への貢献度ロシアは原油生産量ではサウジアラビアに次いで世界第2位(シェア12%)です。しかも、絶対量の貢献度が大きいだけでなく、過去5年の原油生産量の増加額を見ると実に世界全体での増産額の51.8%はロシアだけで稼ぎ出されたものであることがわかります。上のグラフに見られる通り、ロシアの石油産業はこれまで増産を一手に引き受けてきたわけですから、ロシアの石油株はエキサイティングな成長ストーリーとして世界の投資家の注目を浴びました。問題は今後もこの成長が維持できるか?ということです。これを考える前に先ずロシアの石油業界は何故過去5年間、急激な増産をすることが可能だったか?という事を歴史的に振り返ってみることが必要になります。 ■悪夢の大減産実はロシアの石油産業は1987年頃をピークに生産量の減少を経験しました。特に90年頃からの生産の減少は恐ろしいスピードで、僅か5年足らずの期間に総生産量がピーク時の6割程度にまで落ち込みました。その理由として: 最新技術の導入が遅れたこと 生産に際して数量目標の達成ばかりが重視され、油田を傷めたこと 新しい大規模な油田開発に必要な資本へのアクセスが限られていたこと など複合的な理由が考えられます。さらにロシアの石油サービス産業の中心地だったバクー(アゼルバイジャン地方)の政情が不安定になり、油田のメインテナンスに必要な機器の供給が滞ったことも追い討ちをかけました。その後、1998年くらいからようやく生産は再び拡大する方向へ向かいます。つまり見方を変えればロシアの原油生産は1980年代後半の水準に戻ったに過ぎないという風にも言えるのです。 ■欧米の最新技術の導入ロシアの石油生産が復活した背景には積極的に欧米の最新技術を導入したことがあります。それまでのロシアの油田は簡単に汲み出せるところから手当たり次第汲み出すというやり方で油田が「虫喰い状態」になっていました。それをホリゾンタル・ドリリング(水平掘り)、フラクチャリング(破砕法)などの手法で蘇らせたわけです。ハリバートンをはじめとする欧米の企業がそうした技術の伝授に貢献しました。ロシアの石油大手5社の設備投資額の合計額は1998年には9億ドル弱でした。しかし、2000年には50億ドル、2001年には70億ドルの設備投資を実行しています。このような先行投資が増産に結びついたわけです。 ■再び頭打ちへ?1999年から2004年までのロシアの石油生産量の年間増加率(CAGR)は8.5%でした。これは先に見たように世界的な比較でも大変立派な数字です。しかし、2005年に入ってからは生産量増加のペースが鈍化しはじめています。2005年の年間増加率は3%程度にとどまったのではないかと思われます。さらに今年に入ってからは生産のペースが一層減速している印象を受けます。これは一体、どうしてでしょうか?。考えられるシナリオとしては長年の無計画な生産で傷んだ油田を最近の技術で生き返らせるという生産性向上の機会をほぼ全て当り尽くしたのでは?という事が挙げられます。くたびれた既存の油井を蘇らせるのと、全く新しい油田を発見、開発するのとではプロジェクトに要する時間が根本から異なります。また、先行投資した資金が利益を生み出すまでのサイクルも当然異なるわけです。別の言い方をすれば、今後の増産は大規模な油田の新規開発待ちとなると言えるわけです。この手の新規のプロジェクトは莫大な先行投資を必要としますし、すぐには利益に結びつかないので、待っている間は石油会社のバランスシートの「体力」が勝負となります。最近、話題になっているロスネフチ(元ユコスの生産部門であったユガンスクネフチガスを受け継いだ、ロシア第2の石油会社)のIPOは従って資金調達力を蓄え、念願のシベリアにおける新規油田の開発に乗り出していこうという試みなわけです。 CAGR: Compound Annual Growth Rate
2006年04月28日

今日のポイント 企業収益の成長は原油価格次第 株価収益率(PER)で見たバリュエーションは我慢できる水準である 外貨準備高は高水準 利上げ圧力が強い 原油価格高騰局面では強気で臨んで良い 原油価格下落局面では複合的な弱気相場もありうる ■成長今日はロシアの株式市場の投資戦略について考えてみたいと思います。先ずロシアの成長についてですが、GDP成長に関しては過去3年間ほど大体6.5~7.3%前後の成長を記録しています。中国やインドのGDP成長率には及びませんが、立派な数字だと思います。一方、ロシア企業の純利益成長率ですが、去年は原油価格の高騰の影響で40%以上という驚異的な成長率を示しました。今年はそれに対して一ケタ台にとどまると予想されます。これは原油価格が既に高い水準から新年スタートしているので前年比較が苦しくなるのが原因です。但し、ロシアの企業収益成長は原油価格の動向に大きく影響されますから、原油価格が70ドルを超えてどんどん上伸するようだと去年に引き続いて今年も高水準の利益成長を見る可能性も十分にあります。つまりロシアの企業収益成長は原油価格次第であり、予想は極めて立てにくいわけです。■バリュエーションさて、ロシア株のバリュエーションですが、ここでは株価純資産倍率(PBR)と株価収益率(PER)の両面から検証してみたいと思います。まず株価純資産倍率から見た株価水準ですが、過去10年間のロシアの平均株価純資産倍率は約1.3倍であり、現在の水準(2.9倍)は極めて高いと言わざるを得ません。しかし、株価純資産倍率ベースで株式市場が割高なのは何もロシアに限ったことではなく、BRICs全てのマーケットについても言えると思います(下のグラフを参照)。 一方、ここ数年、BRICs各国企業の利益成長には著しいものがありました。その結果、株価収益率(PER)で見たバリュエーションは株価純資産倍率で見た株価評価より安く見えます(下のグラフ参照)。ロシアの現在の株価収益率は10倍程度です。これは過去10年間の平均値である7倍に比べると割高ですが、過去においてロシアの株式市場は40倍近い水準で取引されたこともあり、それに比べると今の水準はまだ我慢の出来るレベルであると言えるでしょう。 ■金利ロシア経済の弱点のひとつは慢性的にインフレ傾向が見られる点だと思います。消費者物価指数はここ数年年率12%くらいの上昇を見ています。しかも最近は住宅価格の高騰や公共料金の値上げなどのプレッシャーが強まっています。このことを反映してロシアの政策金利は上昇トレンドに入っています。ロシアの場合、国民が銀行をあまり利用しないため、利上げが消費などに与えるインパクトは米国などの銀行サービスが浸透している国ほど大きくはないかもしれませんが、一応、注意を払っておく必要のある問題でしょう。 ■貿易統計などロシアの輸出は原油価格の高騰などの影響で順調に伸びています。2000年の輸出額に比べて2005年は2.4倍の規模に膨れ上がっています。この好調な輸出の伸びに支えられてロシアの貿易収支も2005年には約1250億ドルの黒字を記録しました。経常収支も2005年は950億ドルと高水準でした。外貨準備高を月々の輸入額で割り算した外貨準備カバレッジ・レシオは18ヶ月を超えており、これはBRICs諸国の中では最高です。さらにロシアはBRICs各国の中では唯一財政黒字(GDPの6%程度)を維持しており、財政政策は極めて堅実です。これらのことを総合するとロシアの通貨、ルーブルを巡る環境は大変健全であると言えるでしょう。■原油価格が鍵結論的にはロシアの株式市場は原油価格さえ上昇トレンドにあればまだまだ現在の好調を維持できるし、バリュエーション的にもそれほど無理を感じない水準であると言えます。しかし、一旦、原油価格が下落しはじめると全ての歯車が狂い始める危険を孕んでいます。まず油価の下落は企業収益の成長率に響きます。場合によっては去年に比べてゼロ成長、ないしはマイナス成長に陥る危険性も否定できません。また、原油価格の下落は輸出代金の減少を意味しますから貿易収支などにも悪影響が出るでしょう。さらに石油会社はロシア政府の大事な税金の取り立て先であり、業績悪化は税収の未達などの問題を生ずる可能性があります。こういう因果関係を良く理解した上でロシアの株式に投資して下さい。
2006年04月21日

今日のポイント ロシアを代表する取引所であるべきRTSは閑散 国内投資家はMICEX市場を選好 ブルー・チップ(優良株)なのにロシア国外の方が出来高が多い銘柄もある 銘柄ごとに最適執行市場を考える必要あり ロシア政府はこの不都合を是正する努力中 セクター構成ではエネルギー・セクターが圧倒的 株式市場の生い立ちロシアで最初に株式が売買されはじめたのは1993年末頃です。それまで分散していた取引を一箇所にまとめてちゃんとした取引所としてRTS(ロシアン・トレーディング・システム)が発足したのは1994年末の事です。RTSは所謂、ディーラー・ドリブン・マーケットで、アメリカの機関投資家専用の電子店頭市場である『ポータル』市場をモデルに設計されました。アメリカの『ポータル』市場は大口機関投資家同士が比較的流動性の低い銘柄を大きなブロックで取引するのに適した仕組みでした。従って、このシステムは機関投資家同士の売買には向いていますが、個人投資家には使いにくいものでした。これとは別にロシアにはMICEX(モスクワ・インターバンク・カレンシー・エクスチェンジ)が存在しました。MICEXはもともと為替や債券の取引のための市場でしたが、1997年から株式も取り扱うようになり、今では国内投資家が株を買う場合、主にMICEXを利用しています。 分散してしまったロシア株の取引ロシアにおける株式の売買は、折りしも「ショック療法」と呼ばれる性急な方法で計画経済から市場経済へ移行する経済の混乱期に始まったため、そのときの都合でいろいろな制度や習慣が泥縄式に生み出されました。それがロシア株式市場の正常な発育を妨げ、結果としてかなりいびつな市場になっています。このことはロシアのブルー・チップ(優良株)が何処の市場で最も活発に取引されているかという点を見ると一目瞭然です。下の表は代表銘柄の大まかな1日平均出来高を市場別に示したものです。(数字はいずれも概算。百万USドル。計算はコンテクスチュアル・インベストメンツによる。) 銘柄/取引所RTSMICEXロンドンGDRNY ADRガスプロム30(*)130(*)110 ルクオイル10200160 スルグトネフチガス24040 タトネフチ 7 10統一エネルギー機構1029045 ロステレコム140 5システマ 10 モバイル・テレシステムズ 4 50ヴィンペル 30ノリリルスク・ニッケル44040 メチェル 5ウイン・ビル・ダン 2ズベルバンク430 (*)=ガスプロムがRTS、MICEXで取引されるようになったのは今年に入ってから。 この表からもわかる通り、本来、ロシアの主力市場となるべく発足したRTSにおける出来高は意外に少ないのです。(もっともRTSではすべての成立した売買を報告する義務が無いため、実際の出来高はここに現れている数字よりは大きいと言われています。)銘柄によってはロンドンやニューヨークでの取引の方が圧倒的に多いのです。これは当初海外投資家が受け渡しリスクやカウンター・パーティー・リスク(売買当事者の信用リスクのこと)を嫌気し、ロシアでの取引を避け、地元であるロンドンやニューヨークでの取引にこだわったことの名残でしょう。それにしても買いたい銘柄ごとに「どの市場に買いにいくべきか?」を考えないといけないのは煩わしいですね。 現在はこのような歪みを徐々に矯正している最中です。例えば、ロシア政府は「今後、ロシア企業が海外市場でIPOする際は発行する株式の少なくとも10%はロシア本国でも売り出さないといけない」という新しいルールを設けて、IPOがロシア国内の取引所を完全に素通りしてしまうことを避けようとしています。それから今年からガスプロム株が本国市場で本格的に取引できるようになったこともいびつなマーケットの是正という面では大きなプラスでした。(ガスプロム株のリストラクチャリングに関しては重要かつ複雑な話題ですので別の機会に説明したいと思います。) ロシア市場のセクター構成下の図をご覧ください。ロシアの株式市場に占める石油セクターの割合(時価総額ベース、2006年4月3日時点)は34.57%です。次に天然ガスは33.82%です。つまり、これらのエネルギー部門だけで株式市場の実に68.39%を占めてしまうわけです。したがって、ロシア株を理解するということは、取りも直さずエネルギー株を理解するという事になるわけです。
2006年04月11日
今日のポイントロシアは多宗教、多民族、多言語の国家である 識字率は高い 医療は無料だが医療サービスの偏在化が起こっている 男性の平均寿命が異常に短い 組織犯罪、腐敗などが深刻化している 宗教、民族、言語ロシアは多宗教、多民族、多言語の国家です。宗教の内訳は、ロシア正教会75%、回教19%、その他7%となっています。民族的には、ロシア人81.5%、タタール人3.8%、ウクライナ人3.0%、その他11.7%です。なお、旧ソ連邦の時代に周辺国に転勤になったロシア人がソ連解体後それらの各共和国が独立したことで足止めを食ってしまい、在外ロシア人として、言わば華僑や印僑のような存在になってしまったことは注目に値します。特にウクライナとカザフスタンには多くのロシア人が未だ残っており、外交問題の種になるケースがあります。ロシアの公用語はロシア語です。しかし、国土が広いこともありロシア国内では100以上の言語が存在すると言われています。 識字率と産業別就業人口ロシアの識字率は98%と高く、一般に労働者の教育水準は高くなっています。しかし、計画経済時代の価値観がロシアの公的教育をずっと規定してきましたので現在の市場経済体制とはミスマッチが生じはじめているという指摘もあります。セクター別の就業人口をみると、サービス業37%、工業28%、農業15%、建設業11%、交通および通信8%となっています。 医療、寿命ロシアでは医療は基本、無料です。しかし実際には都市に住んでいないと適切で迅速な治療は受けられません。また、最近では良いお医者にかかろうとするとお金がモノを言う社会になりつつあると言われています。ロシアのお医者さんは一般に低賃金でトレーニングの程度も低いとされています。このほか、病院の設備が老朽化していること、看護婦の絶対数が不足していること、医療機器などの供給が不足していることなどが指摘されています。医療支出対GDP比は約2.3%に過ぎず、これはWHO(世界保健機構)が奨励している最低支出額、5%の半分にも満たない水準です。ロシアの平均寿命ですが、男性が57.3歳、女性が71.1歳と男女間で大きな開きがあります。しかも男性の平均寿命が世界的に見ても大変短くなっています。この男性の平均寿命の短さはアフリカの諸国並みです。また、男性、女性ともにソ連の崩壊後から急に平均寿命が短くなっていると指摘されています。乳児死亡率が特に高いのが平均寿命が激減した主因ですが、これはロシアの医療がソ連崩壊後後退したことのあらわれであると言えるでしょう。これに加えてアルコール中毒などの問題も影を落としていると思われます。これらのことからロシアの人口は年々0.6%程度減少しています。これではロシアが将来、消費大国になることは期待薄ですね。さて、その消費ですが、足元の数字は堅調です。ロシアの消費者はブランドものや口紅、香水などのビューティー・ケア商品、高級車などが大好きで、既に世界の高級ブランドにとって大変重要な市場として認識されています。高級品の消費が好調な理由はオリガルヒに代表されるニュー・リッチ層の登場がその一因だと思われます。また、ソ連時代に国営企業に勤めていた社員は社宅に相当するアパートを支給されていたわけですが、1993年にそれらの住宅が無償で国民に譲渡され、これが多くの国民が住宅ローンの負担なくマイホームを手に入れることを可能にしました。このように住居費負担が低いことさらにロシアでは暖房費などの公共料金がソ連時代の名残でとても低く設定されていることなどからも見かけ上の所得に比べて、自由になるお小遣いが多いことの原因だと考えられます。 地下経済、組織犯罪、腐敗ロシア社会の問題として地下経済が大きいこと、組織犯罪の活発化、賄賂などの腐敗がはびこっていることなどが指摘されています。ソ連崩壊当初はこれらの問題の増大は市場経済移行に伴う経済混乱が原因であるとされていました。しかし、ロシア経済が好調だったここ数年の間もこれらの問題の多くに改善の兆しは見られていません。最近では例えば有名大学に進学するにしても「袖の下」を使わないと駄目な場合があると報道されています。国民経済に占める地下経済の比率が高いことは徴税基盤が弱く、税収が安定しないことを意味します。現在は原油価格が高騰していますからロシアの国庫は潤っています。しかし、税収に占めるエネルギー産業の貢献度が全体の40%を占めるということは、逆に言えば原油安になった場合、国家予算の策定、実施に大きな支障をきたす危険性も孕んでいるわけで、これは根の深い問題です。
2006年04月11日
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