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今日のまとめ 1.南米の航空会社の操業環境は良い 2.ブラジルにおける拡張競争の行き過ぎが懸念される 3.ランとコパの市場は秩序だった競争が展開されている 4.航空会社のビジネスは多くのリスク・ファクターに晒されている 南米航空会社の操業状況これまで見てきたように南米の航空市場は旅客需要が堅調なことに加えて経営的にも工夫を凝らしたユニークな企業がそれぞれ腕を競うという状況になっています。このためこれらの企業のファンダメンタルズは概ね良好です。下のグラフは各社のロードファクター(Revenue Passenger KilometerをAvailable Seat Kilometerで割ったもの=稼働率の指標)です。全体に稼働率は右上がりであることがわかると思います。この中にあってゴールだけは最近稼働率に翳りが見えてきています。同社は近年積極的にキャパシティーを増やしたので、今、その消化に苦労しているわけです。 ブラジル市場の場合、これまではヴァリグが事業縮小していたので少々強気で拡張しても大丈夫な面がありました。しかし、ヴァリグの事業縮小はここへきて一巡した観があります。さて、ロードファクターは座席がどれだけ埋まっているかの指標ですが、次に運行キロ当たりの売り上げ高という視点で見てみることにします。旅客イールド(旅客売り上げ高÷運行キロ数)がその指標ですが、ブラジルの場合、インフレ修正後の旅客イールド(ピンク色)は近年、ずっとプレッシャーに晒されてきました。これは各社がキャパシティー増やしてきたこととディスカウント競争のためです。 ブラジル市場の状況をその他の地域を拠点とするランやコパのケースと比較してやるとこのことはより鮮明になると思います。下のグラフで見るとおり、ブラジル以外の航空会社のイールド(旅客売上高を運行キロで割った数字)は極めて安定しており、秩序だった拡張がなされていることを示唆しています。 リスクさて、ブラジルをはじめとするラテン・アメリカの航空会社の株式に投資する際のリスクですが、先ず航空会社の特徴として収益のブレが極端に激しい点を挙げずにはおれません。これは航空会社のビジネスが航空機や予約コンピューターなど莫大な資産を必要とすること、従って損益分岐点が高いビジネスであることによります。おまけにジェット燃料の高騰や景気後退によるビジネス客の減少など企業の経営努力だけではどうしようもない外部的ファクターが及ぼす影響が大きいです。ラテン・アメリカは歴史的にハイパー・インフレに悩まされてきましたがインフレは購買力の減退を招来します。もっと平易な言い方に直すとインフレになると生活するのに精一杯でとても旅行どころではなくなるということです。さらに航空会社は一般に借入れが多く、金利上昇は金利負担の増大を招きます。エマージング・マーケットの資本市場が荒れた場合は直接金融によるファイナンスが難しくなる場合もあります。ブラジルの航空会社の場合、売り上げの多くはブラジル・リアルで発生します。一方、コストの少なからぬ部分は米ドルで発生します。従って為替が動くと差益・差損が出る場合があります。また、キャパシティーの増強に合わせて旅客需要がちゃんと伸びなければとたんに収益性が悪化する恐れがあります。最後に株価評価面での考慮点ですが、ランやコパなどの国際線型航空会社の株価収益率は米国の比較対象企業(UAL、アメリカン)と比べると若干割高に買われています。ゴールの場合、一番ビジネス・モデルが近似しているのはサウスウエスト航空ですが、若干ディスカウントの評価がついていると言えるでしょう。
2006年12月18日

今日のまとめ 1.タムは大胆な経営改革で競争力を取り戻した 2.ブラジルの航空業界は再び過大投資のリスクが高まりつつある 3.ブラジル以外のラテン・アメリカの航空市場も好景気である 4.ランはチリの会社と言う意識を捨て南米全域で競争している 5.コパは新しいタイプの企業である 旧勢力の反撃ブラジルにおけるディスカウント航空会社からの攻勢に対して旧勢力はどう対応したのでしょうか?。前回見たように経営改善が遅れたヴァリグはアッと言う間にリーダーの地位から引き摺り下ろされたのみならず、存亡の危機に瀕しています。一方、タム(ティッカー:TAM)ですが同社は創業から29年が経っていますので、一般には古いタイプの航空会社と理解されています。しかし同社は断固とした経営改革を進めており、ディスカウント航空会社と比べても遜色ない競争力をつけました。実際、タムの場合、所謂、「ハブ・アンド・スポーク」と呼ばれる一点集中型のルート構築は採っていません。また、費用構造の面から見てもゴールのそれに近いと言えます。タムの株式はブラジルのボルサ(取引所)でずっと取引されてきたのですが、今年の春にNY市場にもデビューし、活発に売り買いされています。使用機材はエアバスA320を中心に絞り込んでいます。同社は2000年頃まで大規模な先行投資計画を進めていて航空機を大量に購入しました。しかし、その後、9・11テロ事件や世界的な景気後退に見舞われ、経営が苦しくなりました。その際、フォッカー社との間で結んだリース契約を反故にしたり法人税減免措置の交渉をするなど、なりふり構わぬサバイバル戦略でなんとかしのぎました。今は逆に好況で旅客需要も増えているので、また攻めの経営に転じています。前回示したブラジル国内線におけるマーケット・シェアのグラフからもわかる通り、2003年には下降気味だったタムのマーケット・シェアはその後回復に転じ、ゴールに対しても一定のリードを保っています。今、ゴールとタムのコスト・ストラクチャー(費用面での経営体質)を比較してみると下のグラフのようになります。RASKとはRevenue per Available Seat Kiloの略で(売り上げ高)÷(座席キャパシティー×運行キロ数)という計算になります。別の言い方をすれば「単位売り上げ」と言えるでしょう。CASKとはCost per Available Seat Kiloの略で「単位コスト」の指標です。この単位売り上げと単位コストの差額をスプレッドとして示しておきました。これらのグラフから言えることは: (1)ゴールの方がもともとロー・コスト体質だった。 (2)タムは最初利幅(スプレッド)が薄かったが、経営努力でかなり改善してきている。 ということでは無いでしょうか?ブラジルの国際線市場これまではブラジルの国内線で起こっていることについて見ました。次に国際線市場を見てみましょう。ブラジルの航空会社の国際線のマーケット・シェアですがフラッグ・キャリアとして君臨したヴァリグはここでも劇的にシェアを落とし、タムに王座を明け渡しています。ヴァリグの失速で出来た空白を埋めるべく、タムもゴールも積極的な拡張計画を進めています。しかし、その性急な姿勢が再び過大投資を招きやすくなっていると考えられます。ブラジル以外の南米の市場ブラジルの旅客需要が急成長していることは既に見ましたが、実は旺盛な需要を享受しているのはブラジルだけではありません。ブラジル以外の南米、そして中米の航空市場も好調です。例えばチリ、アルゼンチン、ペルーなどを中心に展開する航空会社にラン(ティッカー:LAN)という企業がありますが、同社の売り上げ成長率はここ数年平均23%程度で伸びています。ランの特徴は旅客だけでなくカーゴ(貨物)を重視している点だと思います。下のグラフは世界の主要航空会社の旅客と貨物の比率を示していますがランの貨物比率がとりわけ高いことがお分かり頂けると思います。南米の場合、北米市場のような貨物専門の航空会社が比較的発達していませんから、ランのような戦略が意味を持つと思います。旅客を運ぶと同時に貨物も運べば旅客のロード・ファクターが少々低くても利益が出ます。ランはもともとチリのフラッグ・キャリアであり、ラン・チリという名称でした。しかし同国は国内航空市場が小さいため、下のパイ・チャートに見られるように国際線のビジネスに積極的に進出しています。その過程で自社名からチリを取り除き、ラテン・アメリカ全域で生きてゆく会社として企業戦略を改めています。とりわけ貨物の分野での国際線比率が高い点に注目してください。なお、ランは通常の旅客路線で貨物を運ぶほか貨物専用の路線も展開しています。貨物専用路線の基地はブラジル、メキシコ、マイアミなどに置かれ、旅客路線を補完しています。中米での新しい動きさて、南米はこれまで紹介してきたように航空事業のルネッサンスとも言える新しいトレンドが起こっているのですが、中米でもエアラインのビジネスは今大きな変化を見ています。その中心となっているのがパナマを本拠地にしたコパ(ティッカー:CPA)です。同社は1998年に米国のコンチネンタル航空が同社株の49%を取得し経営に参画してから見違えるような進歩を遂げました。コパの株式はほぼ1年ほど前にNY市場に上場されました。パナマは北米と南米のちょうど中間点にあり、ここにハブを設置するのは路線構築の上でとても理に叶っています。パナマはマイアミのほぼ真南に位置し、カリブ海諸国へのアクセスが良いうえ、ペルー、エクアドル、コロンビアなどのアンデアン地域の各国へのアクセスも良いです。さらにベネズエラなども近いです。コパは90年代に大々的なリストラクチャリングで見事に蘇生したコンチネンタル航空のコスト管理ノウハウを受け継いでいます。同社はこれまでのラテン・アメリカの航空会社には見られなかった新鮮なアプローチを持っているといえます。同社の使用機材はこれまでボーイング737が主流でした。しかし中小都市への便を効率よく増やすべく、リージョナル・ジェットのエンブラエルERJ190を漸次導入してゆくと発表しています。なお、同社は最近、コロンビア第2位の航空会社、アエロ・リパブリカを買収しています。
2006年12月13日

今日のまとめ 1.ブラジルの航空業界の大衆化が始まったのはつい数年前から 2.南米の航空市場は中国に次いで世界で2番目に急成長が見込まれている 3.老舗ヴァリグの凋落でマーケット・シェア地図が激変 4.新参者のゴールが台風の目になっている好調なラテン・アメリカ航空業界ラテン・アメリカの航空業界は近年たいへんな好況を享受しています。これはアルゼンチン危機や9・11テロ事件の後、ようやく地域経済が持ち直してきたということ、さらに最近の商品市況の高騰でアンデアン地方(アンデス山脈のふもとの各国)の経済が好調であることなどのマクロ経済面での要因に加えてディスカウント航空会社の出現で利便性やサービスの質が大幅に向上されたことも影響しています。つまり空の旅が庶民にとって身近になったわけです。この過程で従来のフラッグ・キャリアと呼ばれるその国を代表する航空会社が凋落し、既存の概念にとらわれない新しいタイプの企業が業績を伸ばしています。下は世界の航空会社の過去1年の株価の動きを示したものですが、ラテン・アメリカの企業がおしなべて好調であることがわかります。 古くて新しいブラジルの航空産業ブラジル最初の航空会社、ヴァリグが創業したのは1927年ですからブラジルの航空産業の歴史はとても長いです。しかし、ブラジルの庶民にとって空の旅はつい最近までは一般的ではありませんでした。それが2000年頃を境に空の旅の大衆化が凄い勢いで進み始めています。規制緩和を受けてゴール(ティッカー:GOL)というディスカウント航空会社が登場したことがその背景にあります。米国にディスカウント航空会社が現れたのはもう30年近くも前の話ですが、つい最近まではディスカウント航空会社というビジネスは主に北米と欧州だけに見られた現象でした。上のグラフからもわかるとおり2000年の時点では南米では未だディスカウント航空会社は運行を始めていませんでした。現在では週間便数で2000便くらいのフライトが運行されています。それでも北米や欧州に比べればまだまだディスカウント航空のビジネスは始まったばかりと言わざるを得ません。ゴールの参入で空の旅が始めて庶民の手に届く存在となり、それが需要を刺激しています。下のグラフはブラジルの国内線のRPK(Revenue Passenger Kilo=旅客数×運行キロ数)を示していますが、9・11テロ事件とその後の景気後退の影響で2003年まで伸び悩んでいた旅客需要が過去3年は猛然と伸び始めたことが読み取れると思います。業界関係者の予想ではブラジルを中心とした南米の航空旅客市場の年間成長率は約9%と見込まれており、これは中国に次いで世界で2番目に高い数字です。淘汰の進行一方、ゴールの参入によりフラッグ・キャリアであるヴァリグは目を覆わんばかりの凋落を示しています。下のグラフは国内線のマーケット・シェアの推移を示したものですが、ヴァリグの最近のマーケット・シェアがつるべ落としに下がっていることがわかると思います。これはヴァリグが会社更生法の下で操業を強いられているためで、これまで運行していた272の便数を一挙に124便まで減らしたことが原因です。ブラジルの空運当局はヴァリグから返還されたフライト運行権を直ちに他の航空会社間に再分配しました。従って仮にヴァリグが再生した場合でも一度奪われたマーケット・シェアを取り返すのは容易ではないと思います。ディスカウント航空会社の経営構造それでは台風の目になったゴールという会社がどんな会社なのか?ということについて簡単に説明したいと思います。ひとことで言えば米国のサウスウエスト航空(ティッカー:LUV)を彷彿とさせる、短距離のシャトルを徹底したコスト管理で頻繁に飛ばす会社、という風に説明出来ます。下のグラフは世界の代表的なディスカウント航空会社のステージ・レンクス(平均運行区間距離)と、到着してから再離陸するまでの所謂、ターン・アラウンド・タイムを比較したものです。これを見るとゴールは短距離の区間が中心で、なおかつ旅客機がゲートに駐機している時間が25分ととても短いことがわかります。つまりアグレッシブに回転率を上げる経営を目指しているわけです。ゴールはその使用機材をボーイング737で固めています。その点でも先輩格のサウスウエストを彷彿とさせます。
2006年12月11日

今日のまとめ 1.ユーカリの木から採れるパルプがシェアを伸ばしている 2.ユーカリの木は生育が早くブラジル企業の競争力の源泉となっている 3.アラクルーズはブラジル企業で最初にADRをNY市場に上場 4.市況リスクに注意 パルプについて紙の原料となるパルプは大まかに分けてハードウッド・パルプとソフトウッド・パルプの2種類に大別されます。ハードウッド・パルプはアカシア、楢、ユーカリ、ポプラ、かばの木などから採れるパルプで一般に繊維が短く、コート紙やアンコート紙、ティッシュ・ペーパーなどを作るのに適しています。一方、ソフトウッド・パルプは松などの軟質な木から採れるパルプであり繊維が長いのが特徴です。ソフトウッド・パルプは紙質を強化したりするためにハードウッド・パルプに混ぜられます。パルプの製法には(1)化学パルプ製法と(2)機械パルプ製法があります。機械パルプ製法による紙は時間が経つと褪せるため、日本などでは化学パルプ製法によるパルプが主流です。化学パルプ製法では化学物質によって木の中にあるリグニンと呼ばれる繊維を繋ぎとめている物質を溶解します。普通、この過程を「クラフト過程」と呼びます。こうして溶解された原料はマーケット・パルプ(自由に取引されるパルプ原材料)として世界の製紙会社に買われてゆくわけです。2005年の時点での世界のパルプの生産キャパシティーは約1.9億メトリック・トンです。生産キャパシティーの地域別の分散は下のパイ・チャートのようになっています。上のグラフからわかるように南米のパルプの生産キャパシティーは世界の8%です。しかし、これらのパルプの生産能力は植林から伐採、パルプの採取、製紙までの全ての過程を垂直的に統合した製紙会社の所有になるキャパシティーが過半を占め、原材料が不足している製紙会社が市場から買い付けてくるマーケット・パルプは全体の25%、4700万トン程度に過ぎません。 ユーカリの木から採れるパルプさらにこのマーケット・パルプの中でユーカリの木から採れるクラフト・パルプで漂白されたもの(それをBEKと呼びます)は約1000万トンです。このBEKの市場の中での構成比はアラクルーズが26%、残りのブラジル企業が30%で、ブラジル勢が全体の過半数を占めています。なおマーケット・パルプの需要は年率4%成長、BEKは年率10%で成長しています。換言すればマーケット・パルプに占めるBEKの比率は年々上昇しているわけです。今、漂白されたハードウッドのクラフト・パルプ(略してBHKPと呼ばれます)の世界各国での生産コスト(運賃込み)を比較すると下のグラフのようにブラジル産のBHKPが世界で最も安価です。これはブラジルのBHKPが主にユーカリの木を原料としていることによります。パルプは最初に書いたようにユーカリに限らずいろいろな木から採ることができます。しかしユーカリの木が特にパルプの原料として向いている理由は生育の速度がたいへん早く、植林から7年程度で伐採できるまでに育つことによります。さらにユーカリの木は比較的枝が少なく真っ直ぐに高く生育します。このため木と木の間隔を詰めて植林できますし切り出し作業が簡単です。これらのことからBHKPに占めるユーカリの木の比率は1980年の29%から去年は43%にまでシェアを伸ばしています。なおアラクルーズなどのブラジルの大手パルプ業者の場合、生産の殆どを人工の植林に依存しています。 ブラジルの林業ブラジルのパルプの業者を規模の大きい順に並べると: アラクルーズ セニブラス ヴォトランチン スザノ ジャリ となります。最大手のアラクルーズは約43万ヘクタールの土地を持っており、うち26万ヘクタールが実際に植林されています。ブラジルのパルプ業者のうちADRのあるのはアラクルーズ(ティッカー:ARA)とヴォトランチン(ティッカー:VCP)です。両社の売り上げの推移を下のグラフに示します。なおヴォトランチンは垂直統合されたメーカーであり、パルプ(生産量の4割を社内で消費、残りの6割をマーケット・パルプとして国際市場でさばいています)だけでなくコート紙、アンコート紙などの最終製品も作っています。 アラクルーズはブラジル企業の中で最初にニューヨーク取引所にADRを上場した企業であり草分け的な存在です。林業は自然を相手にしたビジネスですから特に企業の倫理や社会的責任や環境保全に対する考え方が重要になります。その点、アラクルーズは株主のみならず植林作業に当たる農家や従業員、コミュニティーの人々、NGO(環境保護団体などの非営利団体)までを含めてステーク・ホールダー(関係者)と看做し、責任ある企業活動を行なっていこうとする努力が見られます。環境保護に関するディスクロージャーも良いですし、NGOなどとの対話もきちんとやっているほうではないでしょうか?。(勿論、問題が全然無いわけではありません。具体的には去年、原住民インディアンのコミュニティーと先祖代々の土地の所有権を巡って論争がありました。しかし、それらの問題をつつみ隠すことなくディスクロージャーしている点は評価できます。)エマージング・マーケットの企業は一般に金儲けをするのに忙しすぎて、こういった面では大変遅れている企業が多いのですが同社の姿勢は今後BRICsのほかの企業のお手本になると思います。リスクさて、ブラジルのパルプの銘柄に投資する際のリスクですが、先ず林業という性格上、やはり市況に左右される面を考慮しておく必要があります。先進国経済が減速すれば紙の消費も鈍りますから市況が悪化します。また需要成長の約半分が中国からもたらされていることを考えれば、若し中国経済の成長が鈍化した場合、ブラジルのパルプの企業もその影響を当然受けると考えられます。さらに林業は環境を巡る法規制などに厳格に縛られた業界であり、ルール違反があった場合、伐採許可が取り消しになったりするリスクもあります。さらに山火事などの自然災害のリスクも考慮すべきでしょう。株式の所有関係の観点からですが、ヴォトランチンはもともと同族経営の会社であり、今でもエミリオ・デ・モラエス一族に支配されています。従って少数株主権の擁護の点からは好ましくありません。一方、アラクルーズの場合、投票権の28%、発行済み株式数の12.35%に相当する株式がヴォトランチンに握られています。10人のアラクルーズのボードメンバーのうち3名はヴォトランチンが送り込んだ役員です。従ってアラクルーズの首脳が考える通りの経営政策が役員会の反対で実行できないなどの支障が出る可能性があると思われます。
2006年12月04日
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