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今日のまとめ 1.95年以降の世界の紙パルプ需要の増加分の約半分は中国による 2.中国は森林資源に乏しい 3.伝統的製紙手法は環境汚染の原因となっている 4.紙パルプの価格は堅調に推移してきた 中国の影響力ブラジルの林業を考える際、他の多くの産業と同様、中国の影響に言及しないわけにはゆきません。なぜなら1995年以降の世界の紙パルプ需要の増加分の約半分が中国からもたらされたからです。中国はその国土の大きさに比べると森林資源に乏しいです。従って製紙に必要な紙パルプも国内では不足しています。これは世界屈指の紙パルプ輸出国であるブラジルにとってまたとないビジネス・チャンスです。中国の一人当たりの紙の消費量は米国の約8分の1です。一般に紙の消費量とGDP成長には相関性があることが知られていますから今後も中国の紙の需要は順調に伸びると考えるのが順当でしょう。製紙原料木材に乏しい中国は製紙原料に工夫してきました。古紙リサイクルに対する高い依存度はそのひとつの表れです。しかし中国が米国や日本から買い付けている古紙は既に高い回収・リサイクル率を達成しており今後も古紙リサイクルの輸入に依存し続けるには自ずと限界があります。また、中国では昔から紙漉きなど木材以外の素材からの製紙が伝統的に行なわれてきました。しかしこの手法によって製造された紙は上質な印刷物や情報用紙などには不向きです。さらに紙漉きの加工過程で大量の水を費消しますし河川の汚染源として問題視されています。これらのことから伝統的製紙手法は今後減ってゆくと考えられます。実際、ここ数年は近代的で大規模な製紙工場が次々に建設されています。これらの近代的な工場が紙パルプを必要とすることは言うまでもありません。 紙パルプは比較的運搬が容易であるため世界的に取引されるコモディティーです。一般に指標とされる等級のひとつがNBSK(Northern-Breached Softwood Kraft)と呼ばれるものであり、下のグラフの通りここ数年は堅調に推移しています。
2006年11月29日

今日のまとめ 1.航空機産業は参入障壁が高い 2.座席数50~110席の旅客機が必要とされている 3.ジェット燃料の高騰で大き過ぎる旅客機を飛ばすと赤字になる 4.パイロットの雇用契約の改定と老朽機の廃棄処分の増加が需要を喚起 5.エンブラエルだけが市場のニーズに合致した商品を持っている 航空機産業はブラジルの誇り今日はブラジルの製造業の中でも特に同国の誇りとなっている航空機産業について考察してゆきたいと思います。航空機産業は米国や欧州のごく一部の企業による寡占が著しい分野であり新規参入の敷居はとても高いです。その中でなぜブラジル企業にチャンスが回ってきているのか、、、その辺りから話を始めましょう。従来のエアラインの路線構築米国のような国土の広い国で航空事業を展開するにあたり先ず大手航空会社が目指したのは「ハブ・アンド・スポーク」と呼ばれる路線構築でした。これは自転車の車軸(ハブ)から放射状に伸びるスポークのイメージから命名された名称です。ユナイテッド航空の本拠地であるシカゴのオヘア空港だとか、デルタ航空の本拠地であるダラス・フォートワース空港は「ハブ空港」と呼ばれます。地方空港からの便は先ずこのハブ空港に向けて飛び、乗客はハブ空港で最終目的地行きの便に乗り換えるわけです。大きなハブ空港間の幹線はワイドボディ・ジェット(120人乗り以上)が使用され、地方空港へはターボプロップやリージョナル・ジェット(50人乗り以下)が使用されます。この路線構築は主に大手航空会社の立場から見て都合の良い方法であったと言えます。こうした航空路線発達の歴史的経緯から、今、世界を飛んでいる旅客機の大半はその座席キャパシティーから見ると120人乗り以上の大型のものか、或いは50人乗り以下の小型のものかのどちらかに属します。格安航空会社の路線戦略一方、乗客の立場からすると乗り換え便は不便です。また、旅慣れたビジネス客の間では混雑するハブ空港を避ける習慣が定着してきました。シカゴのミッドウエイ空港やサンフランシスコ対岸のオークランド空港などの大都市周辺の比較的混雑していない中小空港(それらを第二次空港=Secondary airportsと呼びます)がその例です。格安航空会社はそれらの小さい空港同士を直行便で結びました。これらの格安航空会社のパイロットや乗務員の雇用契約は既存の大手航空会社のそれより柔軟性があります。従って、同一都市間を一日に何回も往復するようなきつい職務でも彼らは厭わずこなしました。格安航空会社は使用機材をボーイング737(120~150人乗り)もしくはエアバスA320(150人乗り)一本に絞り込んでメンテナンスやサービスのコストを抑えました。格安航空会社の、わざとハブを外した戦略が功を奏して彼らは市場占有率を上げており、ボーイング737やエアバスA320はベストセラーになりました。 旅客需要のトレンドさて、旅客の需要という面から考えた場合、航空会社が現在使用している機材と最多需要帯との間でミスマッチが起きはじめています。下のグラフは米国運輸省の統計ですが、座席数100席を超える航空機を使用したフライトにおける実際の乗客数を示したものです。上で既に述べたように現在世界の航空会社で使用されている機材は大半が座席数120席以上か、そうでなければ座席数50席以下の航空機です。つまり座席数にして50席~110席の間は適切な機材が無く空白になっています。しかし下の図でみると全体の69%のフライトが50~110人の旅客を積んで離陸しているわけです。 これが何を意味するかというと通常使用されているボーイング737やエアバスA320などの機材は大きすぎて非効率であるということです。実際、航空会社のコストのうちに占めるジェット燃料の割合は大きいので昨今のような原油高の環境では利益に響きます。一方、50人乗り以下のリージョナル・ジェットを使用すると積み残しの乗客が出ます。また、リージョナル・ジェット市場における過去10年のトレンドをみると平均的なフライトの距離は230マイルから430マイルへ、また平均的なフライトの顧客数は25人から40人へといずれも増えています。小型のリージョナル・ジェットでは航続距離面でもキャパシティー面でも捌ききれなくなっているわけです。9・11以降のトレンド従来、大手航空会社の組合に属するパイロットは大手航空会社が格安航空会社子会社のビジネスに参入するに際して「小さな飛行機を飛ばすのは厭だ」と雇用契約書の中で主張してきました。このことを職務範囲条項(Scope Clause)と呼びます。なぜなら小さい飛行機を飛ばすと、何度も回数を飛ばないといけなくなり、労働強化につながるからです。また、「小さい飛行機を飛ばすパイロットはお給料が安い」という固定観念があることも見逃せません。パイロットの雇用契約の中のこの職務範囲条項のせいで航空会社は使用できる機体の種類や座席数、運行本数などを細かく規定され、その結果、これまで機体サイズの適正化が出来なかったのです。しかし、9・11の事件と、それに続く長期の航空不況で多くの航空会社が倒産の憂き目に遭い、パイロット達も「そんな贅沢は言っていられない」という認識に変わってきました。現在各航空会社がパイロットとの間で交わしている雇用契約の多くは向こう3年のうちに更新期限が来ます。更新に際して今後50~110人乗りの旅客機を航空会社が購入した際、パイロットから拒絶されるリスクが減ったわけです。一方、これまで格安航空会社などを中心に使用されてきた老朽化した旅客機が今後どんどんスクラップ処分されることが予想されます。1990年代を通じて年間のスクラップ機数は平均144機でした。去年はこれが年間300機のペースになっています。今後数年間でスクラップは年間350機のペースに加速してゆくと予想されます。なお、廃棄される機体の内訳を見るとボーイング727、DC-9、ボーイング737の3種類が圧倒的に多いです。これらはいずれも120~150人乗りの旅客機で、これらが買い直される場合、最多旅客需要帯である50~110人乗りの旅客機にダウンサイズされる可能性は極めて高いといえるでしょう。世界の航空機メーカー今、世界の航空機メーカーを見た場合、大型機を製作しているメーカーは欧州のエアバス(親会社はEADS)と米国のボーイング(ティッカー:BA)の2社です。彼らは旅客機のビジネスでは主にワイドボディ・ジェットの分野で競争しており、50~110人乗りの商品はありません。一方、小型機のメーカーではセスナ、ボンバルディエ(カナダ)の2社がビジネス・ジェットのリーダーです。それより一回り大きいリージョナル・ジェットの分野ではボンバルディエとブラジルのエブラエル(ティッカー:ERJ)が競争しています。下のグラフはリージョナル・ジェット各社の受注残を比較したものですが、9・11以降の航空不況で各社とも受注残が減っていることがわかります。なおドルニエは既に倒産しています。リージョナル・ジェット市場におけるボンバルディエの主力機はCRJ705(75席)とCRJ900(90席)です。しかし、CRJ900の90席というのが現在の同社の商品の座席数での上限であり、ボーイング737などからのダウンサイジングを検討中の航空会社のニーズとは少しズレています。エンブラエルの場合、ER170/ER190/ER195といった商品が取り揃えられており、最大118席までカバーしています。つまり旅客需要のスウィート・スポットをまさに捉えているわけです。この商品の取り揃えの差が最近の新規受注動向にハッキリ現れており、ボンバルディエの受注が伸び悩んでいる一方でエンブラエルのリージョナル・ジェットの受注は好調です。現在のER170~195 の納品予定は2007年が123~127機、2008年が131~137機です。エンブラエルの成功の理由は市場のニーズを徹底的に分析し、経営戦略上航空会社が最も必要とする性能や仕様を備えた旅客機を企画設計した点にあります。航空機産業を巡るリスク航空機産業は市況産業です。従って世界経済や空運業界の景気に左右されます。9・11のようなテロの後は航空業界全体が沈滞し航空機産業も不振に陥ることが予想されます。また、SARS(重症急性呼吸器症候群)のような疫病の発生も航空産業にとってリスクです。こうした場合、受注のキャンセルなどが起こる可能性があります。また、航空会社の経営はジェット燃料高の影響で苦しいところが多く、倒産する顧客が出るケースもあります。さらにM&Aにより航空会社の経営が変わり、発注方針や指定業者が変更されるリスクもあります。エンブラエルの場合、売り上げの95%、費用の85%はUSドルで発生します。従ってブラジル・リアルの変動は同社の業績に余り影響はありません。ボンバルディエは現在90席以上のキャパシティーをもった旅客機を製造していませんが、エンブラエルのER195に対抗し、さらにボーイング737などの買い替え需要を狙うため、90~149席のキャパシティーを持った『Cシリーズ』の開発の検討に入っています。若しボンバルディエがこの開発に踏み切った場合、競争が激化することが予想されます。
2006年11月21日

今日のまとめ 1.ブラジルの鉄鋼業は輸出市場に依存した体質である 2.ブラジルは安く鉄鋼を生産するための条件に恵まれている 3.ブラジルの鉄鋼業界は統合がかなり進んでいる 4.業界全体として生産能力の拡張が今後加速する 5.過剰投資のリスクが懸念されるブラジルの鉄鋼業界 前回はブラジルの鉄鉱石の業界について見ました。今日はブラジルの鉄鋼業界について考えてゆきたいと思います。先ずブラジルの鉄鋼業界の特徴の第一点として国内の消費市場(年間約2160万トン)に比べて生産キャパシティー(年間約3000万トン)の方が遥かに大きく、明らかに輸出市場に依存した体質になっているという点が挙げられます。ブラジルの鉄鋼業界が輸出市場を重視した戦略を採っている理由として先ず国内の一人当たりの鉄の消費量は年間100kg程度であり、国内市場が小さいという点が指摘できます。第2の理由は、ブラジルの鉄鋼業は世界的に見てもかなり輸出競争があることによります。 下のグラフはスラブ(粗鋼)の生産コストを示していますが、ブラジルのメーカーのコスト競争力が強いことがお分かり頂けると思います。この主な原因は鉄鉱石やコークスなどが国内で廉価に手に入ることによります。 この他、ブラジルの製鉄業の強さの原因として、廉価な人件費、エネルギー・コストが比較的安いこと、鉄道、港湾施設などのインフラストラクチャーが整備されていることなどが挙げられると思います。さらに歩留まりデータから推察される品質管理能力も世界的な水準に達していると思われます。なお、輸出市場への依存度が高いということは当然、世界の景気動向に業績が左右されやすいことを意味します。 業界の統合鉄鋼業は事業規模が大きいほど有利なビジネスの典型ですが、世界の鉄鋼業界を見ると意外にフラグメント化されています。今、世界のトップ16社の市場占有率を見ると全体の約3分の1を占めるに過ぎません。 従って、同一地域内でのM&Aが今後も盛んに行なわれると思います。事実、中国では大手に設備を集約する行政指導の下、M&Aが相次いでいます。ただ、ブラジルの場合に限っていて言えば国内市場における業者の数は既に適正だと言えるでしょう。下の円グラフはブラジルの鉄鋼メーカーの生産量を示したものですが、ゲルダウ(ティッカー:GGB)は長物中心、ウジミナスとCSN(ティッカー:SID)は鋼板を中心としており、アセロール・ブラジルのみが長物と鋼板の両方のビジネスに関与しています。つまりごく限られたメーカーが分野を絞って競争しているわけです。 若しブラジルの鉄鋼メーカーが海外からのM&Aに晒されるとすれば、それはスラブ(粗鋼)などの余剰生産能力を狙った買収になると考えられます。2005年にアセロールがCSTを傘下に組み入れた狙いはまさにそれですし、最近では米国のウィーリング・ピッツバーグ(WPC)がCSNとの事業統合を発表したばかりです。 これまでのブラジルの製鉄会社のM&Aを一覧表にします。 リスクブラジルの鉄鋼業の株式に投資する際、先ず注意しなければいけないリスクは過剰投資だと思います。過去数年、ブラジルの鉄鋼業界の生産キャパシティーは余り増えていませんでした。これは業界全体がM&Aに忙しかったことが一因だと思います。しかし、一連の合併が完了し、それぞれの企業連合の事業規模がスケール・アップした今、各社とも生産能力増強を目論んでいます。このため、現在約3000万トンであるブラジル全体の生産キャパシティーが向こう5年間で70%増加すると予想されます。新規設備の殆どが輸出向け粗鋼のキャパシティーに集中していることも心配の種です。若し世界景気が減速すると過剰設備に苦しむ局面があるかもしれません。これ以外のリスクとしては国内コークス価格の上昇、環境コストの上昇などが挙げられます。また、CSNはM&A期待も手伝って株価収益率(PER)に基づいたヴァリュエーションがかなり高くなっていることを指摘しておきます。
2006年11月13日

今日のまとめ 1.価格競争力ではオーストラリア産の鉄鉱石が最も有利 2.市場占有率ではブラジルのCVRDが首位 3.鉄鉱石は年1回のレファレンス価格交渉により指標価格が決められる 4.CVRDはインコとの合併で世界第2位の総合資源企業に躍進 鉄鉱石市場の構造前回は中国の鉄鋼業界が今急速に成長していること、しかし中国の鉄鋼業界は零細企業がひしめいており過当競争に陥っていること、投資対象としては寡占構造になっている鉄鉱石の株を買うほうが良いというところまで説明しました。世界の鉄鉱石の埋蔵量を見ると埋蔵量の多い順からウクライナ、ロシア、中国、オーストラリア、カザフスタン、ブラジルとなります。 しかし、鉄鉱石はどのくらい安く消費地まで届けられるかという事が重要です。一度に大量の鉄鉱石を運搬できるバラ積み船のほうが貨車やトラック輸送より効率的です。そのためウクライナやロシアは中国市場への供給という観点からは競争力はありません。輸送コスト込みでの価格競争力から見るとオーストラリア、インド、ブラジルの順で安いです(下図参照)。オーストラリアから中国への航行は鉄鉱石を積んだバラ積み船では15日を要しますが、ブラジルからだと30日が必要となります。この海上運賃の差が価格差の一因であることは言うまでもありません。インドは近年著しい経済成長を記録しており、国内での鉄鋼需要も急速に増える見通しです。このため輸出に回せる余剰キャパシティーは今後逼迫してくると考えられます。従って今後もオーストラリアとブラジルが主要なサプライヤーであり続けると考えられます。今、海上輸送による鉄鉱石輸出市場のマーケット・シェアを見ると下の図のようになります。鉄鉱石は産地によって品質や成分に大きなバラツキがあり、鉄鋼メーカーがそれらの産地別に受け入れ側の生産設備を予め調整することが慣習となっていることからゴールドや銅のように商品取引所で自由に売買され、仕向け先も臨機応変に対応するということができません。そこで年1回の価格交渉でレファレンス価格というものが決められ、その指標価格に準拠する形で個々の契約が結ばれます。下のグラフは過去数年の鉄鉱石ならびにペレット(粒子状の鉄鉱石)のレファレンス価格の推移を示したものです。鉄鉱石の価格上昇幅は2004年が+18.6%、2005年が+71.5%、2006年が+19%でした。またペレットの価格上昇(下落)幅は2004年が+19%、2005年が+86.7%、2006年が-3.0%でした。 鉄鉱石の価格交渉はその年に交渉相手として選ばれた大口需要家の代表が鉄鉱石の生産者の代表とじっくりネゴシエーションして決められます。従って価格交渉の結果が判明する前後は思惑によって鉄鉱石の会社の株価が乱高下するケースもあります。その反面、ひとたびその年のレファレンス価格が決まってしまえば、その年の業績は比較的予想しやすくなります。世界の総合資源会社の顔ぶれさて、世界最大の鉄鉱石の業者はブラジルのCVRD(ティッカー:RIO)です。同社はブラジルのみならず米州で最大の鉱山資源会社であり、また時価総額で見るとラテン・アメリカで最大級の企業です。CVRDはブラジル国内に870万ヘクタールの採掘権を所有しているほかブラジル国外にも1980万ヘクタールの採掘権を有しています。また、鉱山資源の搬出・輸出に必要な鉄道や港湾施設などの物流システムを所有・運営しています。CVRDの売り上げのうち鉄鉱石は全体の75%を占めています。ブラジル国内では北部システムと南部システムと呼ばれる2箇所の基幹採掘・輸送システムを所有しています。ブラジル国内における鉄鉱石のリザーブ(確認埋蔵量と推定埋蔵量の合計)は79.8億トンです。ライバルのリオ・ティント(ティッカー:RTP)のリザーブが23.4億トン、BHPビリトン(ティッカー:BHP)のリザーブが28.4億トンであることを考えるといかにCVRDのリザーブが大きいかがわかります。CVRDの売り上げ高に占める欧州の割合は28.7%、続いてブラジル国内が22.6%、中国が21.2%という順番になります。先のグラフで見たように距離的な問題からオーストラリアの鉱山のほうがアジアの顧客にとってコストは安いのですが、それでもアジアの顧客がCVRDからも鉄鉱石を購入する理由はヴォリュームの確保ということに加えて、ブラジルの鉄鉱石はアルミナの混入量が少なく、一般に加工コストがオーストラリアのそれに比べて低いことが指摘されています。CVRDは先日カナダのニッケル大手、インコ(ティッカー:N)を総額170億ドルで買収すると発表しています。これによりCVRDとインコを合わせた時価総額は789億ドルとなり、これまでの世界第4位から世界第2位に躍進する計算になります。 鉄鉱石・鉄鋼業界を巡るリスクさて、鉄鉱石・鉄鋼業界を巡るリスクについて言及しておきたいと思います。先ず鉄鉱石は毎年価格交渉がなされるわけですが、彼らの顧客である鉄鋼メーカーが儲かっていないときには当然、すんなりと値上げが通らないことが考えられます。場合によっては前年よりマイナスで交渉が妥結するというケースも想定しておかなければいけません。次に昨今の需要増でCVRDなどの企業は増産体制を強化していますが、生産が需要に追いつかない事態もありうると思います。単に鉱山における生産性だけが問題なのではなく、輸送ボトルネックなどの可能性も考慮しなければなりません。港湾施設のキャパシティーが追いつかず、デマレージ(滞船料)が発生するという可能性もあります。さらに露天掘りの採掘現場で使用される超大型鉱山機械の不足も心配されます。特に大型トラックの大口径タイヤは慢性的な品不足に陥っています。これらの不足で契約通りの出荷量を確保できなかったり、売り上げ目標を達成できないなどの問題が生ずる可能性があります。さらに採掘現場での事故やコスト・オーバーランのリスク、環境問題が発生するリスクもあります。
2006年11月06日
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