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今日のまとめ 1.ペトロブラスの人気は剥落した 2.超深海油田の開発を巡る不透明要因は減りつつある 3.長期に渡って高い生産量の伸びが期待できる興奮が冷めたブラジルの石油業界世界の石油関係者にとって2007年以降、ブラジルのリオデジャネイロ沖で相次いで大型油田が発見されたというニュースはとてもエキサイティングな出来事でした。ペトロブラス(PBR)の株価はどんどん上昇し、世界の大手石油会社の株の中で最も割高な水準までプレミアムがつきました。その後、リーマン・ショックがあり、世界の石油の需要は低迷しました。これに呼応して最近ではペトロブラスの人気も剥落しています。実際、去年の12月以降、同社株のパフォーマンスはひときわ悪かったです。しかし株式市場での人気離散とはウラハラにブラジル石油業界の長期ストーリーはかなりしっかり描けるようになってきました。最近の進展先ず2008年の春頃までは世界の景気が良かったので深海油田の探索や生産に必要なオイルリグやサービス船などの供給がひっ迫しました。傭船料の高騰でちゃんと採算が合うような値段で契約が結べるか見通しが立たなくなりました。また造船所も一杯で納期が守れない可能性がありましたし、鉄鋼価格をはじめとした材料費も高騰しました。ペトロブラスがリオデジャネイロ沖で進めている超深海油田の開発には無数の大掛かりな機材を動員する必要があります。大袈裟な言い方をすれば連合艦隊を編成して戦争をおっぱじめるような準備が必要となるのです。実際、ペトロブラスは2009年の第3四半期の比較で前年同期より沢山の設備投資額を計上した数少ない企業であるばかりでなく、投下した設備投資金額も他のどの大手石油会社より多かったです。ペトロブラスはなるべく手際よく次々に超深海油田からの生産を開始できるように使用機材の標準(スタンダード)化を進めています。そういう長期に渡る大掛かりな傭船計画を策定する時期に首尾よく傭船市場が鎮静し造船所のキャパシティーに余裕が出来たことは同社にとって幸運でした。また余りにリオデジャネイロ沖で次々に大型油田が発見されたことでブラジル政府が鉱区の入札を中止し、入札条件の見直しに入りました。こうした政府の「心変わり」は時として石油会社に不利な条件をもたらしたり、開発のための資金計画に狂いを生じたりしやすいです。その点、新しくブラジル政府が打ち出した入札方式はリーズナブルでフェアなものだと評価できると思います。ペトロブラスって、どんな会社?ペトロブラスは1953年にブラジル政府の石油開発機関として発足した独占企業です。その後ブラジル政府は持ち株比率を引き下げ、現在政府は時価総額ベースで39.8%、投票権ベースで55%を所有しています。上のグラフのうち、紫色の政府保有部分は株式市場に出てこない死蔵された株です。流通株の39%を外国人が保有しており、ニューヨークでADRの形で投資されている比率が30%と最も高いです。現在の生産高を世界の上場大手石油会社と比較するとペトロブラスの生産高はシェブロン・テキサコ(CVX)にほぼ匹敵する規模であることがわかります。ペトロブラスは現在既に世界のどの石油会社よりも深海油田での生産高が多いです。このことは同社の技術力の証しだと思います。また現在の生産と確認埋蔵量(=即ち将来の生産)の内訳を比較すると今後、超深海油田からの生産比率が上昇することが予測できます。超深海油田は上に述べたように大掛かりな準備が必要となりますので、段取りの良し悪しが生産コストに大きく響いてきます。昔、ペトロブラスは「仕事が遅い会社」として知られていたのですが、近年はどんどん手際良くなっています。ここ5年くらいの生産量の伸びを見てもペトロブラスは優秀です。しかもペトロブラスの場合、過去2年間に相次いで発見された大型油田の生産が向こう5年くらいの間に立ちあがって来るので、長期的に見ても高い生産量の伸びを維持し、世界の石油会社でもトップクラスの成長率を維持できると思われます。
2010年02月15日

今日のまとめ 1.消費者物価指数の上昇幅は予想を下回った 2.その他の経済指標は1月特有の季節要因に影響されている 3.今年はじめてリスク・トレードのチャンスが巡ってきている中国政府はインフレとの戦いに勝ちはじめている中国の1月の経済統計が幾つか出てきています。この中で最も重要なものは消費者物価指数の統計です。下のグラフに見られるように1月の消費者物価指数は+1.5%の上昇にとどまりました。市場は+2.0%程度を予想していました。これは歓迎すべきニュースです。もちろん、1月の数字だけを見て「中国政府はインフレとの戦いに勝った」と断定することは出来ません。実際、生産者物価は+4.3%と引き続き急上昇しています。しかしようやく引締めの効果が表れてきたことはたいへん心強い展開だと思います。融資の急増は季節的な現象一方、1月の銀行融資は1.39兆人民元と高い水準でした。しかしこれは春節前に中国のビジネス界が手元資金を確保するための毎年恒例のことであり、異常事態ではありません。貿易の数字は冴えない一方、1月の貿易統計は輸出、輸入ともに冴えない数字でした。これも季節要因によるもので異変が起きているわけではないと思います。ドル高は隠れた人民元高さて、このところギリシャ問題などの影響でドルのバスケットは強含んできました。人民元は実質的にドルにペグされている関係上、これは人民元高になっていたことを意味します。欧州との貿易において中国の輸出の苦戦が予想されます。最近の中国株の値動きは既にこうした不利な状況を織り込んでいると思います。ギリシャ問題が一段落すればリスク・トレードが復活するさて、そのギリシャに対してドイツが支援するということが決まりました。ギリシャのデフォルト・リスクが無くなった以上、このまま一本調子でドルを買い進むことは困難です。ドル安局面で価格が上昇する資産、具体的にはゴールドや原油や新興国株式へ投資する戦略のことをリスク・トレードと呼びます。あくまでトレーディング・ベースでの話ですが目先は久しぶりにリスク・トレードが復活しやすい環境になるだろうと考えています。
2010年02月12日

今日のまとめ 1.リスク・トレードの不人気、輸出競争力の減退、インフレ懸念が原因 2.ブラジルは選挙の年なので要注意 3.ロシアが堅調だったのは緩和的金融政策のため 4.インドは引締めに入っているがIT産業には回復の兆候が見られる 5.中国は金融引締め、需給悪、企業経営指標の劣化が見られる冴えない新興国株式市場BRICsに元気がありません。年初からのパフォーマンスは先週金曜日まででブラジルが-8.49%、ロシアが+1.27%、インドが-9.58%、中国が-10.1%となっています。不調の原因BIRCs不調の背景には新興国全体に共通する問題と個々の国の抱える問題が存在すると思います。私の考えでは今の段階では新興国全体に共通する問題がこれらの国々の株価に大きな影を落としていると感じています。新興国全体に共通する問題先ず世界の機関投資家が所謂、リスク・トレードから身を引いているという点が大きいです。リスク・トレードというのはドル・ベースの投資家(=つまりアメリカ国内の機関投資家のこと)がドルの先安を見越して、それから恩恵を蒙る投資対象に賭けるような戦略を指します。具体的にはドル安の場合、国外にお金を持って行った方が得ですから(アメリカ人の目から見た)外国株が良いことになります。またドル建てで値段が表示される原油やゴールドなどの商品の場合、ドル安になるとそれだけ「割安」に見え、その分、余計に商品を手当てすることが出来ます。その意味で原油やゴールドはドル安局面では上がりやすいのです。【リスク・トレードの対象】 ブラジル株、ロシア株、インド株、中国株、原油、ゴールドなど次に去年以来の投資資金の流入で新興国通貨は堅調であり、それがこれらの国々の輸出競争力を減退させたという点が指摘できます。また国内景気の回復と緩和的な金融政策が組み合わさることによって再びインフレ懸念が台頭しています。とりわけ食品に対する価格プレッシャーには各国中央銀行は神経を尖らせています。既に中国やインドは金融を引き締め始めており、株式市場にとっては逆風になっていると言えるでしょう。ブラジルブラジル・レアルは去年の秋、リオデジャネイロ・オリンピック招致が決まってから投機資金が流入したので割高になっていました。このため輸出業者の台所事情は苦しくなっていると言えます。ブラジル政府は海外から投資目的でブラジルにお金を持ち込もうとする投資家に対して取引税を課すという方法でホットマネーを撃退しました。今年、ブラジルは大統領選挙の年です。通常、大統領選挙がある年は春頃に相場が崩れ始め、投票が終わる頃(年末)までぐずぐずした展開になります。今回がそのパターンを踏襲するかどうかはわかりませんが、経験則的には不利な投資環境だと言えます。ロシアロシア株式市場は世界の株式市場の中でも最も年初来パフォーマンスが良い市場のひとつとなっています。ロシア市場は毎年、正月に10日間前後の長期休暇がありますのでチャートの期間が短くなっていると同時に年初の最初の立会日は世界市場の動きに一気に追いつくために大きく変動します。今年は1月11日がその日に相当しました。ロシア市場のパフォーマンスが意外に良かった最大の理由はロシアの場合、引き続き国内景気は悪く、緩和的金融政策が維持されているということが大きいです。また、下がっているとはいえ比較的原油価格の値崩れが小さかった点もロシアにとってはラッキーだったと思います。その原油価格ですが先週末は原油取引で有名な某ヘッジファンドが大きなポジションを処分しているのではないか? という観測が出て、最近では珍しく荒っぽい展開になりました。今後の原油価格の動向はロシア市場に影響を与えると思います。インドインド市場は中国市場と並んで下げがきついです。去年の降雨が不十分で作柄が悪く、食品インフレの懸念があるため、インド準備銀行は引締めに入っています。企業の業績的にはITアウトソーシングを中心としてかなりムードは明るくなっています。このところルピーは安くなっていますが、これはインドの輸出企業にとって歓迎すべき傾向です。中国中国株式市場はBRICsの中で最もパフォーマンスが冴えません。これは中国政府が食品インフレに神経を尖らせていること、また過度の不動産投機を抑制しようと試みていること、工業部門での過剰設備の問題が取り返しがつかなくなる前に調整したいと考えていることなどを総合すると極めて当然だと思います。中国は新規の株式の売り出しも多く、しかもその案件の大半は魅力に欠けます。このため現在の中国市場は世界の株式市場の中で最も需給関係の悪い市場になっていると論ずることも出来るでしょう。中国企業の業績を概観すると、近年、ボトムライン(純利益)よりトップライン(売上高)を重視する傾向が強まっているように思います。これは雇用創出を優先する中国政府の意向とも一致したトレンドです。その結果、経営の効率という面では後退している企業が散見され、キャッシュフローなどの本当の経営の健全性を示す指標は悪くなっているところが多いです。
2010年02月08日
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