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今日のまとめ タイは事業会社の生産拠点の移転先として人気がある株式市場は割安ではない物価の見通しはアジア諸国の中では安定している 今回はタイの成長可能性について考えてみたいと思います。 チャイナ・プラス・ワン時代の東南アジア これまでは日本企業が生産拠点を海外に移転する場合、中国が真っ先にその候補にあがりました。しかしこの常識が最近少し崩れつつあります。 下のグラフに見られるように製造業一般職の給与という点では中国は既に割高になっています。今後も賃金の上昇は続くでしょう。 一方、人民元も今後上昇が予想されます。これは中国で生産された製品の輸出競争力にマイナスの影響を及ぼします。 さらに最近は領土問題などを巡って国際間の摩擦も起きています。 これらの事から「卵をひとつの籠に盛るのはあぶない」という考え方が日本の経営者の中に芽生え始めています。つまり中国の他にもどこかに拠点を分散すべきだという考え方が出てきているわけです。 このような価値観を「チャイナ・プラス・ワン戦略」と呼ぶことが出来ると思います。 どの国が直接投資に適しているか? 中国以外のどの国が直接投資に適しているかについて経営者は思いを巡らせています。 工場移転などの海外直接投資は投資回収期間が極めて長期であるため事前調査をしっかりやる必要があります。その意味では直接投資の投資判断は我々一般投資家のポートフォリオ投資より遥かに綿密な調査に基づいて下されていると言って良いでしょう。逆に言えば直接投資のトレンドを調べることはポートフォリオ投資の投資家にとっても勉強になるのです。 下は中国、インドを除く主なアジア諸国への最近の海外直接投資の傾向を示したグラフです(なおインドネシアの2002年以前はデータがありません)。 このグラフを見ればタイが多くの直接投資資金を集めていることがわかります。 タイが選ばれる理由 近年の政情不安にもかかわらずなぜタイは事業主の間で人気を集めているのでしょうか? 先ずは同国がインドと中国の中間に位置しアジアのどこへもアクセスが良いからです。 さらに今後発展が期待されるラオスやカンボジアなどの諸国に足がかりを作る場合にもサポート・センターをタイに設置することが出来ます。つまり地域の統括をする場所としてタイが適しているのです。 空港、港湾、道路などのアクセスも近年充実してきています。 既に自動車や自動車部品をはじめとする多くの日本のメーカーが進出しており、サプライのネットワークがしっかり確立していることも製造業の立地として同国の魅力を増している理由です。 製造業以外の経済活動 タイの製造業はこのように可能性に満ちていますが、同国の国民の約半数は農業に従事しており依然として農業は重要な産業です。また漁業、ゴム、砂糖 の生産なども盛んです。これらの産業の多くは国内の消費量を上回る収穫高を持っており、輸出する立場にあります。従って昨今の食品インフレは同国にとって マイナスよりプラス面が多いのです。 観光業は同国のGDPの6%を占めており、他の国に比べて重要です。下のグラフは海外からタイへの旅行者数を示したものです。 2001年には米国で9・11の同時多発テロがありました。2003年にはSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生しました。2004年には鳥イン フルエンザが発生したほかスマトラ島沖地震による津波でプーケット島を中心に大きな被害が出ました。2006年には軍部のクーデターが発生しました。 2009年にはH1N1ウイルスの発生がありました。 このように旅行業界にとっては度重なる大きな問題に見舞われ、不運続きだったと言えます。しかしタイの観光業はそのような試練から何度も立ち直っています。今後は中国人の所得の増加や個人旅行の自由化やタイのテレビドラマの中国への紹介などを通じて中国からの観光客が増える可能性もあります。従って同国の旅行産業の未来は明るいと言えるでしょう。 タイの株式市場 タイの株式市場は東南アジアの株式市場の中ではよく整備されており、上手く機能しています。 セクター構成としては金融が最も大きく34%を占めており、次に石油が322%を占めています。 現在のタイ株式市場のPERは12倍です。これは過去4年間の平均である10倍に比べると割高です。歴史的にタイ市場は8倍から12倍の範囲内で取引されてきました。 タイの消費者物価指数は+3%程度で推移しています。これはアジア諸国の中では安定しているほうです。 このためインフレによる株式評価の低下(=マルチプル・コントラクション)のリスクは他のアジア市場より小さいと思われます。
2010年12月17日

今日のまとめ物価統計は事前の懸念通り悪い数字だったその他の経済統計は安定している引き続き金融引き締めが予想される中国の11月の経済統計が出揃いました。今回は物価統計の内容が悪くなるだろうということで通常の経済統計スケジュールを変更し、週末に経済統計が発表されました。事実、物価統計の内容は悪かったです。物価統計11月の消費者物価指数は+5.1%でした。これはコンセンサスの+4.7%より悪い数字でした。因みに10月は+4.4%です。11月の生産者物価指数は+6.1%でした。こちらもコンセンサスより悪い数字でした。因みに10月は+5.0%でした。鉱工業生産11月の鉱工業生産は+13.3%でした。コンセンサス予想は13.0%でした。10月は+13.1%でした。小売売上高11月の小売売上高は前年比で+18.7%増加しました。これは10月の+18.6%より少し早いペースでした。銀行融資11月の銀行融資は5640億人民元でした。これは10月の5877億人民元より若干減っています。これで年初来の累計は7.45兆人民元となり、ターゲットである7.5兆人民元にほぼ到達しています。貿易統計中国の11月の輸出は1533億ドルで前年同期比+35%でした。一方、輸入は1304億ドルで前年同期比+38%でした。輸入と輸出の変化率はそれぞれ加速している事が下のグラフからわかります。一連の経済統計から言えることは目先の中国の課題はインフレをいかに防ぐかにかかっているということです。すでに今月だけでも3回、預金準備比率(リザーブ・リクワイアメント・レシオ)が引き上げられました。預金準備比率を引き上げる事は外国からのホットマネーの流入などの好ましくない副作用を伴わない措置なので、中国政府が専らこの方法で対処しようとすることは容易に理解できます。しかし預金準備比率の引き上げだけでは十分ではないということになれば、更なる政策金利の引き上げなどの措置が必要になるかも知れません。
2010年12月13日

今日のまとめ昔、フィリピンは東南アジアで最も豊かな国のひとつだったビジネスのやりにくい国、投資のしにくい国という評判が定着してしまった金融危機の影響は軽微だった経済のファンダメンタルズはそれほど悪くなく、ホットマネーも介在していない取り残された国1960年代まではフィリピンは東南アジアで最も豊かな国のひとつでした。しかし1980年頃を境に一人当たりの所得は頭打ちとなり、それ以来、他のアジア各国の成長からひとりだけ取り残されています。同国が他のアジア諸国から大きく立ち遅れた理由はいろいろありますがマルコス大統領の独裁や1983年におきたベニグノ・アキノ上院議員の暗殺事件などを経て次第に外国企業にとってビジネスのやりにくい国、投資のしにくい国になってしまったことが関係しています。ホットマネーと無縁の国このためタイ、中国、ベトナムなどの経済が次々にテイクオフする中でフィリピンは世界の投資家や企業から顧みられず、GDPに占める海外直接投資(FDI)は1.7%程度とアジア諸国の中でも最低の部類に入っています。GDPに占めるインフラ投資額は僅か3%に過ぎず、アジア諸国の平均値の半分程度です。フィリピンのインフラストラクチャは貧弱で、とりわけ道路、鉄道、エネルギーなどの社会資本の立ち遅れが目立ちます。GDP成長に占める資本の貢献度も極めて低いです。金融危機後のフィリピンしかしこのように出遅れていたフィリピンを見直す動きが最近出始めています。その第一番目の理由はリーマン・ショックから受けた影響が比較的軽微だったことによります。フィリピンの輸出の中で最大の項目は電子部品であり、それらはリーマン・ショックの直後に瞬間的に落ち込みましたがその後立ち直っています。フィリピンは銀行ローンの残高がGDPの35%に過ぎず、銀行サービスは余り一般庶民に浸透していません。また銀行の資産のうち融資が占める割合は49%に過ぎません。銀行の自己資本比率は比較的高く、不動産セクターへの貸付は保守的でした。またフィリピンはデリバティブなどのレバレッジ商品へのエクスポージャーも低かったです。外銀のシェアは10%程度であり、彼らの経営悪化が国内の信用市場に与える影響は少なかったです。これらの理由から金融危機はフィリピンを素通りしました。フィリピンの潜在力フィリピンは比較的「小さい政府」の国であり国家予算がGDPに占める割合はアジアで最低です。財政赤字はGDPの4.4%ですが政府予算の構造的な不健全性はそれほど目立ちません。公的負債の金額は小さいですし、外貨準備も適正です。経常収支は安定的に黒字を保っています。フィリピンの政策金利はインフレ率に照らして高目に設定されており、保守的です。インフレは比較的安定しています。GDP成長率はリーマン・ショック後に落ち込みましたが、鋭角的に戻してきています。こうした経済のファンダメンタルズを反映してフィリピンの株式市場は右肩上がりのトレンドを堅持しています。いまのところ市場参加者は専ら地元の投資家に限られています。最近の新興国はホットマネーの介入で活況を呈しているところが多いですが、その中にあって手垢のついていないフィリピンは貴重な存在と言えそうです。
2010年12月06日
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