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Sep 10, 2015
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テーマ: 私の読書(24)
カテゴリ:
陸奥爆沈 吉村昭 1970年

 大格差(タイラー・コーエン)によると、アメリカ教育長官のアーン・ダンカンが、アメリカの従軍できる若い年齢層について4人中3人は不適格者と言ったそうだ。薬物、犯罪、借金、肥満などが原因だそうだ。もともと、アメリカは、ベトナム戦争まで徴兵制だったが、その後は、志願兵でまかなってきていると聞くが、適格者が四人に一人となると軍紀の維持は気を遣う状況かもしれない。非戦闘域の国で世界で一番多く米兵が駐留している日本では、兵の犯罪報道がなくなっていない。もともと、アメリカは刑務所に240万人入っている国だ。軍の中の犯罪はいかほどなのだろう。

 日本の「運命」について語ろう(浅田次郎)によると、日本では、1873年明治6年から国民皆兵で徴兵が始まり、身体能力で選別されて戦場にかりだされていったようだ。1942年昭和17年の兵役法では20歳甲種合格で陸軍2年、海軍3年の兵役で除隊し、その後、予備役・後備兵役に編入され、陸軍は15年間、海軍は9年間、召集令状で原隊復帰することになっていたそうだ。

 日本の軍紀は、厳しいものと聞いてきたし、坂の上の雲など読めば、将兵とも士気高く描かれ、ロシアや清の艦隊の将兵とは違う水準であると説明されてきた。日露戦勝後の旗艦三笠の佐世保港内での爆沈も自然発火によるとされていた気がする。これらが明治、大正の素顔であるのだろうか。

 吉村昭の取材は徹底的で、いつもその小説は冷徹な現実を簡潔に描き切っていて面白い。明治38年の三笠の爆沈も昭和18年の陸奥爆沈も、吉村昭が掘り起こした記録は説得力に溢れたものだった。軍紀のある世界のはずが、数多くの人間のあつまりであれば、やはり、うごめくものが生じることを鋭く突きつける。明かされる事件は人間の本性を突く身震いするものだった。

 戦死とならぶほどの大勢の無残な殉職死が明らかにされ、そもそも人間として武器を扱う資格のない者により引き起こされた死であったのかと知れば、戦わずしての死がますますはかない。戦場を潜り抜けた終戦後ともなればますますはかない。その思いがつのるほど、追い詰められた戦場で繰り広げられた多くの無念も際立つ。

 悲しい事実だ。





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Last updated  Sep 18, 2015 11:30:19 AM
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