今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

2024.05.24
XML
カテゴリ: 俳句

5月24日(金)

現代俳句(抜粋:後藤)(54)

著者:山本健吉(角川書店)

発行:昭和39年5月30日

原 石鼎(7)

大いなる花の すみれ に夜明け

昭和十六年作。

花のたたえた紫色に訪れた夜明けのほの明りが意識される。おおきな菫をぽっかり浮出させた朝の光に、この病者は一抹の心のなぐさめを見出している。

蜘蛛 くも 消えて只大空の 相模灘 さがみなだ

昭和二十六年作。

昨日までありどころに蜘蛛の姿を求めようとしてさまよった所在ない病者の眼が、その一点の黒を見失って、ただ虚空と融け合った輝かしい夏の海を見出した空虚さ。取り残されたのはうつろな空間ばかりではない。心の大きな空洞がぽっかりと埒もなく取り残されているのだ。裏にはやはり病者の心理が鋭く働いていると思える。

                 (つづく)






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2024.05.24 07:28:39コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: