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一週間前に続いての泉ヶ岳登山に格別な理由があるわけではない。今年は残雪が多くて、奥の高い山への選択肢が狭いこともある。もうひとつ、トラックデータの誘惑があった。先日の泉が岳からの帰宅後、GPSトラックデータを地図ソフトにダウンロードしたとき、昨年の泉ヶ岳の軌跡にそのときの新たな軌跡が重ねられた。それを見て、滑降コースと北泉コースの軌跡が加われば、全部の登山コースが私の足の軌跡で描かれることに気づいたのである。トラックデータのための登山というのはあまり立派な理由とは思えないのではあるが、今の体力相当ということも理由に付け加えて、決定したのだ。
登山口(スキー場)の大駐車場の桜は、一週間の間にすでに盛りを過ぎていた。スキー場の施設に植えられている八重桜は今が満開である。その駐車場の出発は5:30、もちろん、駐車場には私の車が1台だけ。できるだけ早く登り始めるのには、いくぶんの理由がある。確実に誰とも出会わない時間であれば、連れ(イオ、牝犬)を少しの間、リードなしで山道を歩かせることができるのである。後続登山者が追いついてくる時間になったり、他のコースから来る人がいる可能性がある場所ではリードなしというわけにはいかない。
歩き始めは少年自然の家のキャンプ場の中で、キャンプ場を過ぎて林に入ると古い鉄製の門扉(いつも開いている)があって、「←滑降コース」の標示板が括りつけられている(5:40)。
カラマツ林の登山路。 (2012/5/14 5:47)
薄紫のイカリソウや白花のミヤマイカリソウを見ながら小さな沢を渡り、沢の斜面を上がるとカラマツ林になる。一週間前と比べれば、カラマツの萌の緑はずっと多くなり、薄緑のガスで煙っているようで美しい。
カラマツの木に「三角山入口」という標示板が括りつけられている(5:58)。左手の小山のことらしい。そこから10分ほどで路が広くなって「見晴台」という標示板が地面に置かれている場所に出る(6:08)。実際には林に遮られ、見晴らしはない。その辺から林は雑木とカラマツの混じったものになり、道はその中を緩やかに上っていて、私には実に快適である。
見返平から仰ぐ泉ヶ岳の山容。 (2012/5/14 6:35)
やがて、「お別れ峠」といういくぶん感傷的なネーミングの十字路に出る(6:20)。直進は滑降コース、左は水神コースへ、右はかもしかコースの途中の兎平リフト(スキー場上端)への路である。そこからはやや急な坂となり、赤みがかった葉とピンクの花で彩られたヤマザクラを見ながらちょっとだけ頑張れば、すぐに平坦な道になる。「見返平」である(6:46)。見返平は、泉が岳のなかのお気に入りのスポットの一つである。正面には泉ヶ岳の全容を仰ぎ見ることができ、振り返れば仙台市街が青く霞んで広がっている。
霞む仙台市街(見返平から)。 (2012/5/14 6:44)
見返平の終わりは、急傾斜の登山路の始まりである。ちょうど水神から斜面に取りついた感じと同じである。大石の路を喘ぎながら登ると、少しだけ斜面をトラヴァースする「大壁」と呼ばれる場所に出る。この辺の残雪が多かったため、先週、このコースは通行止めだったのである。それなのに今日はまったく雪は残っていない。
大壁を過ぎると右手に眺望が開けて、遠くに残雪を載せた蔵王連峰が白く輝いている。路はすぐにかもしかコースと合流する(7:23)。そこからおよそ10分、少し頑張って頂上である(7:34)。頂上標には「表コースの下山はできません」と道路崩落のために通行止めとなった旨の表示が掲示されていた。先週、ちょうど私が崩落道路の脇を通った時からの通行止めである。
いつものように頂上台地を北に5分ほど進み、船形連山の眺望が開ける場所で休憩(今日は朝食)とする。今日も連れに狙われつつのワンパターン生姜焼き弁当である。
船形連山の眺め。右は北泉ヶ岳。 (2012/5/14 7:42)
朝食を終え、下山である(8:08)。北泉コースは、泉ヶ岳と北泉ヶ岳の鞍部を通っていく道である。遠回りの分だけ、全行程を平均すれば傾斜は緩やかな道と言える。つまり、膝が心配になりつつある私向きで、下りにはよく利用する。
まだ花の少ない季節だが、頂上付近にはショウジョウバカマがぽつぽつと咲いている。中には白花というか青みを帯びた淡いピンクというか、不思議な色のショウジョウバカマもあって、赤みの強い花と見比べながらの軽快な下りである。眼を上げれば、遠くに栗駒山がくっきりと浮かんでいる。
鞍部はちょっとした尾根道(8:30)で、見通しはないものの、まだ葉が茂っていないので明るくて気持ちがいい。鞍部からは緩やかな上りになり、まもなく北泉ヶ岳登山道との出会い、「三叉路」に着く(8:43)。例年であれば鞍部からこのあたりまでは残雪が多いところなのだが、今年はまったく雪が残っていない。先週までは残雪のための通行止めの登山道があり、谷にはまだたくさん残っているというのに、不思議なことではある。
三叉路(北泉ヶ岳登山路との出会い)。(2012/5/14 8:43)
三叉路を左折して水神に向かう。しばらくは大きなダケカンバの木がたくさん生えている林の中を歩く。やがて、大石だらけの急坂にさしかかると、下から私と同年配の登山者がやってくる(9:02)。挨拶をしてお互いの行く先や残雪の話、犬のことなどを話題にして、つまり二人とも休息をとったのである。それにしても、その人が以前に飼っていた犬と友人の飼い犬のことを話してくれたが、ともに凶暴でよく噛みつく犬だった、というのである。犬種によるかもしれないが、最近は噛みつく犬は少ないのに、巡り合わせでそんな犬が身近に多くなるのであろうか。
その急坂は、たしか「うぐいす坂」といったような記憶があるが、坂道が終わる頃になって思い出して、その標示板を探したが見落としてしまった。そこから10分ほど下ったあたりの右、山側の斜面は「お花畠」のはずだが、その看板も見落として過ぎてしまう。快調な下りなので、ついいい気になって早足になるためである。
そのあたりから、左手の沢沿いの道になり、谷にはたくさんの残雪が、谷の向こうには泉ヶ岳が木々の間から眺められる。すぐに案内標のある三叉路に出る。直進する道は山仕事用と思われ、案内表示はない。左、沢に向かって下ると、水神の沢に出る(9:22)。
水神の沢に出る。 (2012/5/14 9:23)
休息もせずに水神を通過して、水神コースを下る。この頃にトラックデータ取得の登山でもあること思い出し、「お別れ峠」経由の遠回りをすることにした。水神から10分足らずで「水神平」標のある三叉路となり、ここを左折して「兎平リフト」に向かう。途中、「お別れ峠」の十字路にふたたび出て、登りで使った滑降コースを横切り、兎平の草原に出るまで10数分である。
笹原の兎平からは泉ヶ岳の山容がよく見え、草原に点々と生えるダケカンバが美しい樹肌を輝かせていて、気分が上がる。道はすぐにスキー場の上端に付き、スキー場そのものの右端付近を急激に下っていく。
途中、何人かのワラビ取りに出会う。「まだ、早くてね」と苦笑する人や、連れに興味があって近寄ってくる人もいる。人怖じする私にとっては、連れは挨拶のための良い動機なのではある。
スキー場施設の満開の八重桜の付近には30人ほどの小学生が集まっている(10:10)。そこから5分、車に到着である。
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