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2021.11.15

世界最初の石炭ガス化プロジェクト－Cool Water IGCC

テーマ：気になる技術動向(1282)

カテゴリ： Technology

地球温暖化防止に向け、脱炭素（Carbon Neutral）社会に向けて、石炭焚発電所の廃棄が各国で叫ばれ、消極的に見える日本は「化石賞」を授与される事態に陥っています。
実は、日本では石炭をガス化して、炭酸ガス低減且つ高効率の発電所を実証実験から従来の石炭焚き発電所を石炭ガス化複合発電(IGCC: Integrated coal Gasification Combined Cycle)に換装しようとしています。それに高効率で少なくなった排気炭酸ガスを回収固定する装置を付加すればカーボンニュートラルに合致することになりますので、世界を指導出来る立場にあるのです。

石炭の確認可採埋蔵量は109 年（8609 億トン）で、石油の 53 年（1 兆6689億バレル）、天然ガスの56 年（187.3兆m3）に比べ大きく、世界に広く分布していますので、将来に亘っても重要なエネルギー源と考えられるのです。
石炭は燃焼時の炭酸ガス排出量が多く、環境負荷低減が課題となることで、石炭をクリーンに利用する技術の開発が進められており、特に石炭ガス化複合発電 (IGCC) は、豊富な石炭資源を高効率で利用でき、環境特性にも優れていることから、次世代の火力電源の主力を担う新技術として国内外で開発が進められています。

このIGCCは、米エネルギー省が主導で米国電力研究所（EPRI）による実証実験が1979年に行われたことに、起因していますが、米国では沙汰止みとなりながらも、エネルギー資源の乏しい日本で検討され続けていたのです。

1982年2月に、IGCCの将来性に着目し、東電、電中研、東芝CGP、IHICGPが共同体を結成し参加した。
クールウォータープログラムは、建設資金調達の見通しが得られた1981年12月に着工し、約2年4ケ月後の1984年4月に約1ヶ月予定より早く完成した。

石炭は鉄道により持込まれ、石炭ホッパを通してサイロに貯蔵され、石炭スラリー調整装置で石炭は粉砕、水が加えられ、石炭スラリーとしてガス化炉に導入され、炉内で高温の燃料ガスを発生、ガスクーラーで熱回収、水スクラバ、脱硫装置で精製させる。
IGCCではこの精製ガスをガスタービン燃料として使用、更にガスタービン排熱で蒸気を発生させて蒸気タービンでも発電を行う複合サイクル発電なのです。

プラントの主たる諸元は次の通り
石炭処理量:　約1000T/日
発電装置:複合発電装置：　GE STAG107E
発電端出力:　120MW
ガスタービン:　65MW
蒸気タービン:　55MW
石炭ガス化炉:　テキサコ式(噴流床)
ガス精製:　湿式除じん
湿式脱硫：　Selexol法

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