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2006年03月06日

多くのプロガーが既に言及していて、おかげて私もその記事を読むことができたのであるが、毎日の世論調査で、「憲法改正：「賛成」６５％、「反対」は２７％」（３／５）という結果が出た。少し長いが全文を掲載する。

　毎日新聞が実施した全国世論調査によると、憲法改正について「賛成」と答えた人は６５％で「反対」は２７％だった。一方、戦後日本の平和維持や国民生活の向上に現憲法が果たした役割の評価については、「役立った」とする評価派が８割に達した。
　調査は２月１０、１１の両日、電話で実施した。毎日新聞の世論調査では「分からない」との選択肢も加え同趣旨の質問を過去に面接方式などで実施しており、８２年から０４年まで改憲賛成派は２～４割台で推移した。
　０４年４月から過去３回行った改憲の賛否を二者択一で聞く調査では、賛成派はいずれも６０％前後。単純比較はできないが今回、賛成派は最高を記録した。
　性別では男性が「賛成」６７％、「反対」２６％に対し、女性は「賛成」６４％、「反対」２７％。世代別では「賛成」は２０～４０代が６７～７２％と高く、５０、６０代は６０％台前半、７０代以上だけは半数を割り４７％だった。
　政党支持別では、自民、公明支持層の約８割、民主支持層の約６割が賛成したが、共産、社民両党支持層では「反対」が過半数だった。
　賛成派に理由を聞いたところ「今の憲法が時代に合っていない」が５３％と最多で、「一度も改正されていない」（１８％）、「自衛隊の活動と憲法９条にかい離がある」（１３％）が続いた。「米国に押しつけられたものだから」は１０％にとどまり、憲法の制定過程を問題視する自主憲法論は改憲派の主要な動機とはなっていない。
　反対派の理由は「９条改正につながる恐れがある」が５４％と圧倒的に多く、９条改正反対が大きな論拠となっている。「国民や政党の議論がまだ尽くされていない」が２６％、「改正するほどの積極的理由がない」が１１％などだった。
　戦後日本の平和維持や国民生活の向上に現憲法が果たした役割については「かなり役立った」が２６％、「ある程度役立った」が５４％で評価派の合計は８０％。「あまり役立っていない」は１４％、「まったく役立っていない」は２％にとどまった。政党支持別では自民支持層の８３％、民主支持層の７５％が評価派だった。

一つ目は、この調査によって自民の憲法改正案が支持されたわけでは全然ないということである。
二つ目は、自民の憲法改正案が示されたのにもかかわらず、５％ほど賛成が増えた意味をきちんと分析する必要があるということである

現在の改憲の目的はほとんどの人がいっているように、「時代にあわす」からでも「押し付けられたから」でも、「一度も改正されていない」からでもない。ほとんどの新聞は改憲の目的は９条であるということをきちんと論じた。では「自衛隊の活動と憲法９条にかい離がある」（１３％）からなのだろうか。この言葉を普通の人はどう考えたのだろう。「もう既にイラクに行っているのだから、９条で軍隊を持たないといっても既に破られているじゃないか。」ぐらいに思って答えた人が相当数いるのではないか。それなら、「今のままなら憲法を変える必要はない」ときちんと説明すれば済む。自民党の改憲案と６５％の中味はそうとうのはく離がある。

二つ目、しかし今回の調査を「だから心配ない」で済ますことは私には出来ない。実際の新聞を持っていないので、ほとんど分析することが出来ないのであるが、前回調査がいつあったのか知らないが、自民大勝利、自民憲法草案発表がその間にあったのだろうと思う。憲法草案が出たことで、彼らの目的ははっきりした。それでも「賛成」が増えるということはどういうことなのか。「九条の会」を初めとする反対勢力はこの一年間で倍増以上の勢いで増えたはずである。それでも、彼らの勢いをとめることはできなかった。それは何を意味するのか。単に自民勝利が影響しているのか。それとも九条を変えて戦争が出来る日本にするべきだという層が本当に増えたのか。申し訳ないが、私は分析するための材料も能力もない。

ただ、甘く見てはいけない、と思った。国民投票法が、もし一括方式で通ってしまえば、あるいは３０～６０日ぐらいの活動期間しか設けられないとすれば、あるいは（マスコミは規制されないとしても）公務員教師はじめさまざまな規制がかかるとすれば、あるいはそれらはもし修正されるとしても、自民民主公明が一致団結して国民投票法に賛成し、憲法改正への流れを一挙に作ってしまうとすれば、今のままでは「雰囲気だけで」憲法改正が一気に決まってしまうかもしれない。

次は五月の憲法記念日前の調査だろうか。危機意識は持ちながらも、明るくがんばっていきましょう。

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最終更新日 2006年03月06日 22時01分55秒
コメント(10) | コメントを書く

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■コメント

読んでから

ポンボさん

読むんじゃなかった...なんて暗く思っていてはいけないのでしょうけれど...鬱々...
いけいけどんどん南京後。日本だけで400万弱が戦争による死者数でしたっけ... (2006年03月06日 22時43分32秒)

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Re:読んでから(03/06)

KUMA0504 さん

ポンボさん
コメントありがとうございます。
いや、暗くしようとは思っていなくて、ちょっと戸惑い気味です。私なんかは、毎日新聞良くぞこの時期にこういう調査をしてくれました！と本気で感謝したいくらいです。（だってこの時期なら世論誘導にはあまりならない）護憲派がこの結果をきちんと分析して、闘い戦略を練り直せば、勝利は自ずと見えてくる、はずです。 (2006年03月07日 00時11分56秒)

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世論誘導

ポンボさん

いつなら誘導でいつなら誘導ではないのでしょう...
選挙前になるとうるさくなる街角、広報車、配布物...　いつも疑問なんですが、国会って一年中開会していたっていいと思うんですよね、私は。あの歳費なんだから。そして、予算の頃だけは、予算だけに集中して他の問題は持ち込まない、ってすればいいのに。なんでも、短期間の、それも原稿ができあがっている討論ばかり... (2006年03月07日 14時15分28秒)

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まとまらんけど・・・

ももたろうサブライさん

　「今の憲法が時代に合っていない」が５３％って、どこが？
　何だかよくわからない世論調査ですね。

　大切なのは「この国をどうしたいのか」ということ。今の憲法でいくのか、変えるのかという議論はそれに基づいてされるべきです。

例えば
　尖閣諸島問題を解決するために中国に対する軍事的圧力を強化すべきか？
　民主的な選挙制度をもたない国を軍事力で民主化すべきか？
　日本企業の海外拠点を守るために軍隊を派遣すべきか？
　など等が先に問われるべきでしょう。
（もちろんイエスなら憲法改正が必要だという議論になる）
　世論調査の結果は軽視できないですが、こういった調査方法そのものが世論操作を意図していると言えると思います。 (2006年03月07日 20時31分55秒)

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Re:世論誘導(03/06)

KUMA0504 さん

ポンボさん
＞いつなら誘導でいつなら誘導ではないのでしょう...
＞選挙前になるとうるさくなる街角、広報車、配布物...　いつも疑問なんですが、国会って一年中開会していたっていいと思うんですよね、私は。あの歳費なんだから。そして、予算の頃だけは、予算だけに集中して他の問題は持ち込まない、ってすればいいのに。なんでも、短期間の、それも原稿ができあがっている討論ばかり...
-----
うーむ。私の感覚はもしかしたら一般の人の感覚とは違っているのかなあ、とコメントを見て思いました。私なんかはこういう世論調査を見ても、これでは憲法改正とは内容が違うなあ、すぐ思ってしまうのですが、普通の人はやはり一つ一つの数字に目が行ってしまって、それが記憶に残るのかもしれませんね。 (2006年03月07日 23時56分43秒)

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Re:まとまらんけど・・・(03/06)

KUMA0504 さん

ももたろうサブライさん
＞　「今の憲法が時代に合っていない」が５３％って、どこが？
＞　何だかよくわからない世論調査ですね。
＞
＞　大切なのは「この国をどうしたいのか」ということ。今の憲法でいくのか、変えるのかという議論はそれに基づいてされるべきです。
＞
＞例えば
＞　尖閣諸島問題を解決するために中国に対する軍事的圧力を強化すべきか？
＞　民主的な選挙制度をもたない国を軍事力で民主化すべきか？
＞　日本企業の海外拠点を守るために軍隊を派遣すべきか？
＞　など等が先に問われるべきでしょう。
＞（もちろんイエスなら憲法改正が必要だという議論になる）
＞　世論調査の結果は軽視できないですが、こういった調査方法そのものが世論操作を意図していると言えると思います。
-----
そうですね。そういう世論調査してみるのも面白いかもしれませんね。
ただ、私はとりあえず５％増の意味について知りたい。誰もここを注目していないのが不思議でなりません。
(2006年03月07日 23時59分29秒)

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24条

haha さん

９条だけでなく、大切な、基本的な２４条も改憲しようとしていることを　もっと世間は知らなければならないと思います。 (2006年11月12日 16時34分09秒)

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Re:24条(03/06)

KUMA0504 さん

hahaさん
コメントありがとうございました。
教育基本法改悪案にしても、本当は愛国心の問題だけではなく、全面的に書き換えられていますね。どういう問題があるのか、半年あってもまだ国民に浸透していないのが実情です。
確かに九条のことだけではなく、２４条だけではなく、いろんなことが問題である、とやっていく必要はあると思います。安倍さんの言う６年なんてあっという間に過ぎますから。 (2006年11月12日 22時11分03秒)

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憲法改正への企業のかかわり

伊藤さん

たとえば経団連の提言した武器輸出三原則の見直しには、じっさいには米国の防衛産業もかかわっています（日米安全保障産業フォーラムという団体の文書
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2003/005j.html）。

ここから、つぎのことがわかります。政党は、自衛隊の軍隊としての位置づけを、「国民のしあわせ」や国際協調のためだとしか書いていません（
http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2004_seisaku/kenpou/など）。

しかしじっさいは企業のためでもあります。なぜなら、国家が軍事行動をおこしたときが一番製品がうれるからです。上のように主体的に米国産業も日本の政策にかかわっているのなら、一層憂慮すべきでしょう。

戦争問題があると、政府批判ばかりがされますが、国内のみでなくアメリカなどの企業も大きく関与しており、そこに金が行っている面が、もっと考えられてもいいと思います。
(2007年07月12日 14時36分30秒)

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Re:憲法改正への企業のかかわり(03/06)

KUMA0504 さん

伊藤さん
私の最近の記事、品川さんの講演や本が、まさにそのことを言っています。だんだんとそのことに関心が高まっているように感じます。 (2007年07月12日 22時16分32秒)

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