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子供が母から自律し分離していく過程で、
最初は母との一体・融合感の中に赤ちゃんは居ます。
母という対象を認識することなく、母と自分が分けられない状態で、オッパイでさえ、自給自足していると思っています。
匂いを嗅ぎ、音・声を聞き、目が見え、味覚へと、知覚が発達してきます。
母の声とまなざしとスキンシップによる母との二者関係で、第三者の介入なく、母は24時間態勢で赤ちゃんの傍に居ます。
笑顔の母のまなざしが自分だけに 100 %向き、母に見守られて赤ちゃんはホッとします。
これが子供だけに向けられることが“独占”になり、「母の関心は私だけ」と赤ちゃんが思える母の対応と世話行動が大事です。
スキンシップにより安心と安全を学び、庇護されます。
自分一人では何もできない無力で寄る辺ない存在ですから、放っておかれて守られていると感じられないと、基底不安を学びその不安が一生付きまとい続きます。
何かがある訳ではないのに不安で仕方がないという人は、この最初期の安心と安全が無かったということです。
母が赤ちゃんを見たり見なかったりという中途半端なまなざしでは、母の関心は私だけに向いているとはならず、後に羨望と嫉妬を抱きます。
因みに、多くの大人の女性は自分だけに声をかけ、見ていて欲しい。他の女性に関心が向くと嫉妬します。
母との二人だけの世界が不完全であれば、後の病理の種を作ります。
子供は成長と共に、母と徐々に離れていきます。
母が不在の時間がやってきます。
母の不在の時間を埋めるのは、母と一緒に居た時の母の映像、母の名残です。
そもそも母が 2 歳まで子供の傍にいて、一緒に過ごす体験があることが前提です。
子供である私が母の映像と共に母を憶えているように、母も私を憶えていると子供が思えること。
これで「母と共に」が子供の中に登録されます。
子供は言葉を憶えていくと、母を言葉に置き換えることができるようになります。
フロイトが言ったのは、母がいつも使っていた糸車を母と見做します。
この糸車を投げたり、拾ったりして、在不在の遊びに置き換えて母の不在を凌ぎます。
ウィニコットの言う移行対象は、母の柔らかい肌触りを毛布やぬいぐるみに置き換えて、それに触れることで母の不在の不安を和らげます。
子供なりに言葉を憶え、母と見做せる言葉を持っているということです。知性の芽生えです。
それは子供が自分の母からどういう文字を抽出するかです。
例えば、母の温もり、柔らかさ、優しさ、守るなど。
子供に言語能力が必要で、母を言葉してそれをものに置き換え、また言語によってどんどん物・事・人に置き換えていきます。
この言葉も、母との会話の中で学びます。
当然、母が適切に子供に話しかけ、子供の話を聞きコミュニケーションすることです。
無口な母、語彙数の少ない母ではいけません。子供にわかる言葉で話せる言語力など、知性が必要です。

母の声とまなざしとスキンシップによって、子供は安心安全の快の中で母と一緒に居たい。
そして母を真似、「母のようになりたい」と思います。
母のように料理を作りたい、掃除したりして家を綺麗にしたい…を積み重ねて、言語を学び発展していきます。
母に豊富なバリエーションがなければ、子供はすぐに真似てしまい、母から学ぶことはないと見切ります。
「母のようにはなりたくない」と思う人は、適切に世話され守られなかったため、不快と不満を抱き、不満は攻撃性、破壊へ向かいます。
これでは真似る、学ぶ心が子供に育ちません。
自分以外のものに興味関心を持って学ぶがなければ、学校の勉強にも心が向かず身が入りません。
しかも母が笑顔で楽しそうにしていること。つまらなさそうにしている母を子供が真似ようとは思いません。
この母を模倣する時期をラカンは鏡像段階と言いました。
いずれ子供が母を真似て、母からもう学ぶものはないと悟り、エディプス期になると父に愛着対象を移し、幼稚園移行は社会に目を向け、世界が広がって行きます。
そこまで子供を導く母の役割は大変大きく、子供の将来を輝かしいものにするかどうかも、子供にとっての最初の対象である母にかかっています。
私も、母の役割がこんなに子供に影響するとは精神科学、精神分析の理論を学ぶまで知りませんでした。更にエディプス期の 4 歳からは、言語で子供を諭す父の登場です。
これから子供を産む方たちには是非理論を知って、実践して欲しいと願います。
また、子育て中の方たちにも、知ることで軌道修正し、子供を活かす方向に歩んで頂きたいと思います。
ライト .a 精神科学研究所 登張豊実
( LAFAERO1 大澤秀行 『精神発達論、基礎の基礎』講座より、筆者まとめ)
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