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小説「ゲノムと体験が織りなす記憶」 第 7 話「さてと、鳥居をくぐるよ」リョウはそう言って立ち止まった。「わたしを試しているのね。見てらっしゃい」マリはリョウを横目で軽くひとにらみすると鳥居の前で立ち止まり一礼して参道へ一歩足を踏み出した。真ん中を避けて端を・・・「マリ、分かってるねえ、感心感心」「ちゃんと作法どおりでしょ」「ああ、ちゃんとしてる。ところで、この神社は古いって言ったよな。だからなのか、ここに祀られている御祭神は『神話』に登場する神々だって聞いたことがある」「それはこの看板?ここに書いてあるんでしょ」「それはね『制札』(せいさつ)って言うんだよ。どれどれ、昔見たことあるんだけど・・あった。まず名前は、早吸日女神社(はやすいひめじんじゃ)な。主祭神は、八十枉津日神(やそまがつひのかみ)、大直日神(おおなほびのかみ)、住吉三神(底筒男神(そこつつおのかみ)、中筒男神(なかつつおのかみ)、表筒男神(うはつつのおのかみ)、大地海原諸神(おほとこうなはらもろもろのかみ)をお祀り申し上げている。 うん?住吉三神とあるが、名前は四つ?良くは分からんが、なんせ紀元前667年創建だから由緒あるんだろうな」「確かに由緒ありそうね。ところで作法の事だけど、我が家ではね、おじいちゃんの家は大昔から仏教一筋だったんだけど、曾祖父が、ある神社のお嬢様を見初めてお嫁さんに来てもらってからは神社の方も大事にするようになったの。だから私の作法は一応正しいはず」 「えー!・・・」「どうしたのよ、素っ頓狂な声出して!」「だってよ、あまりにも似てるからさあ、俺んちと」「どういうふうに?」「だから、俺んところも約800年前、近隣の砂浜に一遍上人ご一行が上陸、村の人達とこれを歓迎した時から念仏を称えるようになったんだけど、ちょっと一息入れさせてくれ・・・」 マリの話には流石に驚いて、手水舎で手を清めてから飲料用の湧き水を飲んで息を整えた。「それ以来ずっと仏教一筋だった。(こでマリを見た。マリも驚いたように目を見張り、頷いた )けど、俺んとこも、そっちと同じように俺の母方の曾祖父にあたる爺さんが、ある神社の娘と恋に落ちて嫁にもらったっていう、それを知って以前俺、確かめたんだけど、その神社の若い宮司さん、俺よか若干年上だったが『ああ、宮〇さんの御親戚の方ですね。祖父から聞いていました。当時としては非常に珍しいことでしたでしょうから、かなり長い間、噂になっていたようですね』だと・・・」「えー!ちょっと、これって激レアな話じゃない?」「ああ、間違いないな」すると、俺を振り返ったマリが、何だか嬉しそうにしてて・・・「あたしたち、やっぱり縁があったってことじゃない?」「・・・・・さて作法通りお参りしようか」「あれ、無視なの・・・」「いやいや、俺だってそう感じてたさ」「ふん、怪しいもんだわ」「まあ、そう言うなよ」と、リョウがマリの肩に手を置き異常接近を試みようとした、その時!せきばらいする声が人気のない境内に響いた。声のした方を見ると、知った顔だ!急いでお参りを済ませて帰ろうとした、またもその時!「この罰当たり者が・・・」やっぱり、あの先輩の声だった。いつも有難うございます。
2025.01.21
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今日から、時々カテゴリーをメルヘンに入れ替えてみます。第1話は、アオサギくん です。(^^♪アオサギくん僕の住む町に、小さな池がある。どこかへ出かけた帰り道、ちょっと遠回りになるけどその池を半周して帰るその道を車で帰る。今日も池の周りに差し掛かるとスピードをグッと落とす。 (あ、いた!)車を止めて窓を開けると話しかける。「おおい、アオサギくん。久しぶりだねー」「あ、おじさん。久しぶりですね」「そうだよねえ、元気にしてた?」「はい、元気でしたよ」「ふーん、元気にしてたのに随分と久しぶりじゃないか、何処か遠くに行ってたのかい?」「いいえ、あの山の中のいつもの所にいましたよ」「えー、なら何で姿を見せてくれなかったんだい、最近はカラスくんや鴨くんたちばかりでアオサギくんの姿が見えなかったから心配してたんだよ」「おじさん心配していてくれたんですかあ、嬉しいです。実は僕、ジャンケンに負けっぱなしだったんです」「ジャンケン?」「はい、この池は小魚が沢山いるので皆ここに来たがるんです。だから公平にするためにジャンケンで一番勝った者がここに来ることになっているんですが、ここのところ僕は運が悪くてずっと負けてばかりだったんです」「へえ、そうだったのか、それで最近はカラスくんや鴨くんばかりやって来てたんだね」「はい、そうなんです」 アオサギくんは少しだけ恥ずかしそうに羽根の先で頭をかいた。「そうかー、じゃあ今日は沢山小魚を食べてお腹が一杯なんだね」「ところが今日は小魚があまりいなくて・・昨日大雨が降ったせいでしょうか?」「ああ、なるほど。せっかくジャンケンに勝ったっていうのに、残念なことだねえ」「はい、もうお腹が空いて目が回りそうです」「それは可哀そうに・・・じゃあオジサンの家に来てご飯を食べるかい?」「え、本当ですか!」「ああ、でも生の魚は無いから・・・メザシでいいかい?」「はい、ぼくメザシ大好物です!」「そうか・・・でもタダでってのもあれだから、なんか芸を見せてもらおうかその方がアオサギくんも遠慮なく食べれるだろ?」「ええ!ぼくが芸をするんですかー」「いやならいいんだよ、鴨くんなら直ぐに芸を見せてくれるのに」「ええー、あの鴨くんが芸を・・・どんな芸をするんです?」「彼はね・・・えーっと、そうだ彼は人間が酔っぱらったときの歩き方、千鳥足の真似が上手だね」「そ、そうなんですか、意外だなあ」「どうする?やるの、やらないの、どっち」「や、やります。なんでもいいですか?」「いいよ、何でも、僕は親切なおじさんだからね」「・・・・・わかりました。じゃあ『鶴の恩返し』をやります」「え、『鶴の恩返し』!?アオサギくんが?」「だめですか?」「そうじゃなくて、笑えるだろアオサギくんが『鶴の恩返し』だなんて!ああ、苦しい!!」 そう言ってオジサンは腹を抱えて笑い転げました。「車の中で、よくそんなに笑い転げていられますよね・・・」「あ、ごめんごめん、悪気はないんだよ、でも君の発想が、プップフフー!」ただでさえ鋭いアオサギくんの目が怒りに燃えた。 「あ、すまんすまん、じゃあ行こうか」「あ、オジサン待ってください」走り始めた車を追ってアオサギくんは大慌てで池から飛び出た! おじさんの家は直ぐ近くです 「はいはいアオサギくん、入って、遠慮しなくていいから」「はい、じゃあお邪魔します」「うん、いいよ」とオジサンは居間の端に座る「はい、どうぞ見せて見せて」「じゃあ、やります」オジサンの拍手が家中に鳴り響く中アオサギくんの演技が始まった。アオサギくんは、首をうんと細く長く伸ばして見せた。「これが鶴くんの擬態です」「ほう、なかなかじゃないか、それで『恩返し』は?「これからやりますから、良く見ててください」 そう言うとアオサギくんはその場でぴょんと飛んでバク転して奇麗に着地した。アオサギくんは得意げにオジサンを見た。オジサンは精一杯の拍手をしてアオサギくんを褒めたたえた。「いや、見事!・・・まあ、正式に言えば、『鶴の宙返り』だけどな、上手だったから良しとしよう」そう言うとオジサンはメザシを沢山レンチンしてアオサギくんに食べさせてくれたとさ。 おしまい。初のメルヘン、どうでしたか?(^^♪
2025.01.16
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小説「ゲノムと体験が織りなす記憶」 第 5 話「俺は、お寺とか神社とかに格式とか関係ないと思ってる・・けど歴史は好きなんだ。ロマンがあるよ・・君はどう?」「・・・今一つピンと来ないけど・・・リョウさんが歴史に感じるロマンってどういう・・・」「良く聴いてくれたねえ・・・未来は変えられるけど過去は変えられない・・・動かせない時間って好きなんだ。これから作っていく未来は輝いていて素敵だけど・・・そうだな・・・今思い出したんだけど、17歳の夏の海だった。夕方になって人がいなくなったからクラスの連中とみんなでね、すっ裸になって泳いでた・・・あの夏の日」「えー!何も身につけずに!!泳いでたの!?」「ああ、あん時は小学校からの仲間たちだけだったからかな、恥ずかしくは無かったなあ・・・そうそう、ある時ね、海岸のすぐ上の道にバス停があるんだけど、黄色い声がして、見上げたら、なんと!停車したバスの中から女の子たちがこっちを見下ろしてキャアキャア騒いでてね、あわてて海ん中に潜って隠れたんだけど・・・」「うひゃー!、それで!」「で、良く考えたら、潜る時って頭からだから、一瞬だけど下半身丸見えになってたのに気付いてさあ・・・あれは参ったなあ」「・・・なんか想像してしまったわー!」「おいおい、勘弁してくれよー」 「あれも変えられたなら、そうするけど、無理だろ・・・過ぎ去った出来事は動かせないからこそ、かえって新鮮に感じるんだと思う」マリが二度ばかり頷いて「わかるような気がする」と言ってくれた。 神社の鳥居の傍まで来て、「ここな、歴史は相当に古いんだ。何しろ皇紀・・・皇紀って知ってる?・・」「勿論、日本人だから」「その皇紀より古い」「え!それほんと!?」「ああ、何しろあの神武天皇が即位されたのが紀元前660年だけど、この神社の創建は紀元前667年。つまり皇紀より7年古い」「ワォ・・・」応援して頂ければ嬉しく思います。(^^♪
2025.01.12
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小説「ゲノムと体験が織りなす記憶」 第 5 話「母さん、夕食まで時間あるよね?」「そうだねえ、1時間くらいかな」「それじゃあ、マリにその辺を見せてくるよ」「ああ、行っておいで」 道に出るとすぐ目の前に公園がある。「ここで毎年盆踊りをやる」「へえ、じゃあリョウさんちの二階の部屋なんて特等席じゃない」「ま、それは言えてるな・・ところで滅多に来ることもないだろうから、歴史に興味あるなら一番古い所に行こうか」「いいけど、古いってどのくらい?」リョウの口元に笑みが生じたが、それは(聞いて驚くなよー)という声がリョウの心の中に生じたからだった。「『えー!』って言うくらい」「えー・・ってもう言っちゃったけど、なにそれ?そんなに驚くほどなの?」「実はな、この町にはあの神武天皇の父君誕生の地とされる社があるんだ」「・・・神武天皇って確か一番最初の天皇じゃなかった?」「ほう、良く知ってるじゃないか。その神武天皇が即位された年が皇紀の始まりとされているな」「そんな、だってその神武天皇のお父様が生まれたって言ったよね。だったらどれだけ古いのこの町の歴史って?」「まあ、正式に神社庁が認めているんじゃないと思うんだけど、だってそれならあんな小さな社で収まるはずがないだろうし」 「ほら、話しているうちに見えてきたぞ」リョウが指さす方向に社が見えてきた。 応援いつもありがとうございます。短文ですが、今年の目標は更新の間隔をあまり空けないようにすることにしました。(^^♪
2025.01.04
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謹賀新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
2025.01.01
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