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在原業平(ありわらのなりひら)世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし古今和歌集 53世の中にまったく桜がなかったら(今日は咲いたか、はたまた散ってしまったかとやきもきすることもなく)春の心はのどかだろうなあ。註たえて:(否定語を従えて)「まったく、全然、すっかり(ない)」を表わす副詞。語源は動詞「絶ゆ」だが、独立した別語と見なされる。この造語法は古語動詞「敢あふ」と副詞「あへて(あえて)」の関係と同様。せば・・・まし:「せば」は過去の助動詞「き」の未然形「せ」に接続助詞「ば」がついたもので、「~でなかったとすれば」の仮定条件となる。同様の文脈は、現代語でも(英文法でいえば)過去形になる。反実仮想の助動詞「まし」と合わせて、上記のような構文となる。のどけからまし:文法的には、形容詞「のどけし」(のどかな様子だ)の未然形の一つ「のどけから」に、「まし」が接続したもの。語源的には「のどけく・あら・まし」の約まったものである。
2014.03.31
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後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)桜咲く遠山鳥のしだり尾の ながながし日も飽かぬ色かな新古今和歌集 99桜が咲いている遠い山に棲む山鳥の枝垂り尾のように長々しい日も飽きない花の色だなあ。註柿本人麻呂作に擬せられている「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」(拾遺(しゅうい)和歌集778/小倉百人一首3)の本歌取り。この本歌は、万葉集2802の歌の詞(ことば)書き(註)に、別案(参考)として記載されている。ただ、この歌が柿本人麻呂作であるという確証はなく、歌風から見ても現在ではほぼ否定されているが、古来、年代を経るにつれて評価が高くなっていったのは事実であろう。なお、万葉集2802は「思へども思ひもかねつあしひきの山鳥の尾の長きこの夜を」(思っても思いは尽きない、山鳥の尾のように長いこの夜を)。
2014.03.31
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式子内親王(のりこ、しきしないしんのう)いま桜咲きぬと見えて うすぐもり春に霞める世のけしきかな新古今和歌集 83今桜が咲いたと見えて薄曇の春に霞んでいる馥郁たる世の景色だなあ。
2014.03.31
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小野老(おののおゆ)あをによし奈良の京みやこは 咲く花のにほふがごとく今さかりなり万葉集 328青と赤の彩りも美しい奈良の平城京は咲いた桜の花が輝くように今盛りだという。註上司・大伴旅人とともに九州・大宰府に左遷された部下である作者の切ない望郷の歌、という背景事情を知っても知らないでも名歌である。あをによし:「奈良」に掛かる枕詞。「青丹よし」(青緑色と朱色が美しい)の意味という。ちなみに、「にきび」の語源は「丹黍」(赤いキビの実)といわれる。 ウィキメディア・コモンズ パブリック・ドメイン奈良公園 鹿と桜 * 画像クリックで拡大ポップアップ
2014.03.31
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森山直太朗・御徒町凧かいとさくら(独唱)さくら さくら ただ舞い落ちるいつか生まれ変わる瞬間ときを信じ泣くな友よ 今惜別の時 飾らないあの笑顔で さあさくら さくら いざ舞い上がれ永遠とわにさんざめく光を浴びてさらば友よ またこの場所で会おうさくら舞い散る道の上で作曲・唄:森山直太朗* 歌詞全文
2014.03.31
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後伏見院(ごふしみのいん)なにとなく見るにも春ぞしたはしき 芝生にまじる花のいろいろ風雅和歌集 291何ということもなく見るにつけても春は慕わしいものだなあ。芝生に交じる色とりどりの花。 ウィキメディア・コモンズ パブリック・ドメインサンドロ・ボッティチェリ プリマヴェーラ(春) * 画像クリックで拡大ポップアップ
2014.03.30
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額田王(ぬかたのおおきみ)熟田津にきたづに船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬいまは漕ぎ出でな万葉集 8熟田津で船出しようと月を待っていると潮汐も満ちてその時は来た。今こそ漕ぎ出でよう。註斉明7年(661)旧暦一月中旬頃(新暦2月半ば頃)に詠まれた名歌。この時、額田王は18~19歳。人生30年ぐらいの時代であった。熟田津にきたづ:現在、この名の地はないが、愛媛県松山市の道後温泉に近い 古三津地区・三津浜港 付近と比定されている。なお、「熟田(にきた)」の「にき」は「賑わう」や「賑やか」の語幹と同語源と推定され、「豊穣」を示す造語成分。高千穂に天孫降臨したという皇室の祖神 ニニギノミコト(アメニギシクニニギシアマツヒコヒコホノニニギ) の名にも含まれる。 ウィキメディア・コモンズ パブリック・ドメイン古代「熟田津」三津浜港(愛媛県松山市) * 画像クリックで拡大ポップアップ
2014.03.30
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後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)ほのぼのと春こそ空に来にけらし 天あまの香具山霞たなびく新古今和歌集 2ほのぼのと春は空にやって来たらしいなあ。天の香具山に霞がたなびいている。註新古今集編纂の「勅命者」であった後鳥羽院による、おおどかな名歌。「ひさかたの天あめの香具山このゆふべ霞たなびく春立つらしも」(万葉集 1812)の本歌取り。(春)こそ:強調・詠嘆のニュアンス。天:万葉集では普通「あめ」と読み、古今集以後は「あま」と読む。ちなみに「雨」は、あるいは「天」と同じ語源(推定「天つ水」などの約)かも知れない(筆者説)。
2014.03.30
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雄略天皇(ゆうりゃくてんのう、大泊瀬稚武天皇・おおはつせわかたけるのすめらみこと)御製(ぎょせい、おおみうた) 長歌籠こもよ み籠持ち 堀串ふくしもよ み堀串持ちこの岳をかに 菜摘なつます子 家聞かな 名告なのらさねそらみつ 大和の国はおしなべて われこそ居をれしきなべて われこそ座ませ われこそは告のらめ 家をも名をも万葉集 1籠かごだなあ 美しい籠を持って箆へらだなあ 美しい箆を持ってこの丘に春の若菜を摘んでいる娘よ。家を聞こう。お名のりなさい。そらみつ大和の国は押し靡なびかせて私がいるのだ。平らげて私が座しているのだ。私こそは告げよう 家をも名をも。註この岳をか:現・奈良県天理市付近の段丘と比定される。(家と名を)告のる:求婚の儀礼(プロポーズ)。
2014.03.29
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福山雅治桜坂逢えないけど季節は変わるけど愛しき人君だけが わかってくれた憧れを追いかけて僕は生きるよ愛と知っていたのに春はやってくるのに夢は今も 夢のままで君よずっと幸せに風にそっと歌うよ愛は今も 愛のままで作曲・唄:福山雅治* 歌詞全文 ウィキメディア・コモンズ パブリック・ドメイン桜坂(東京都大田区田園調布)
2014.03.29
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AIKO桜の時今まであたしがしてきたこと間違いじゃないとは言いきれないケドあなたと逢えたことで全て報われた気がするよ降ってくる雨が迷惑でしかめっ面したあたしに雨上がりの虹を教えてくれたありがとう「春が来るとこの川辺は桜がめいっぱい咲き乱れるんだ」あなたは言うあたしはうなずく作曲:AIKO唄:aiko* 歌詞全文
2014.03.29
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吉田大蔵さくらそっと僕の肩に 舞い落ちたひとひらの花びら手に取り 目をつむれば君が傍にいるさくら舞い散る中に忘れた記憶と 君の声が戻ってくる吹き止まない春の風 あの頃のままで君が風に舞う髪かき分けた時の 淡い香り戻ってくる二人約束した あの頃のままで作曲:田中亮唄:ケツメイシ* 歌詞全文
2014.03.29
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志貴皇子(しきのみこ)石いはばしる垂水たるみの上のさわらびの 萌もえ出いづる春になりにけるかも万葉集 1418岩をほとばしる滝のほとりのさ蕨が萌え出る春になったのだなあ。 ウィキメディア・コモンズ パブリック・ドメイン赤目四十八滝(三重県名張市赤目町) 荷担滝(にないだき)
2014.03.28
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良寛(りょうかん)ひさかたの雪解ゆきげの水に濡れにつつ 春のものとて摘みに来にけり春のものとして(若菜を)摘みに来た。子供らと手たづさはりて 春の野に草菜を摘めば楽しくもあるか子供らと手をたずさえて。この宮の森の木下こしたに 子供らと手毬つきつつ暮らしぬるかな子供らと手毬つきつつこの里に 遊ぶ春日はるひは暮れずともよし霞立つ長き春日を子供らと 手毬つきつつけふも暮らしつ君歌へ我立ち舞はむ ぬばたまの今宵の月に寝らるるべしや君は歌え、私は舞おう。こんなに見事な今宵の月に安穏と寝ていられようか。○ 遊ぶ良寛と子供の像(新潟市) 〔けん家持さん提供〕
2014.03.28
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坂本野原 吹雪の夜青森の杳き木霊こだまのうち寄せり 太宰、棟方、寺山修司大雪に思い出したり新婚の頃もゆひらもほんかくてきも二千年前の先祖はいかにして生き延びたるか吹雪の夜を亡き母はモロと呼びいし剥き鮫の煮付けを妻も得意となせりしもつかれ源氏に登場するという噂はあれど発見できず断念ののちの悟りが幸福といいことを言う島田雅彦山ほどのマッシュド・ポテト・サラダ食み幼砌おさなみぎりの夢叶いたりニッカには済まぬと思うスコッチのホワイトホースわれ見出せば大塚の三業地なる二十代昭和の夜を今も夢みつ三業地ときどき夢と追憶と宇田川さんの歌に出で来も大塚の三業地なるうわばみの心は石田比呂志のごとしその刹那向井ちはるに魅せられて一瞬後には見失いたり外交が外交らしくなってきて悪にでもなる蛇の道は蛇オマーンが急所だというそのほかは目晦ましだと佐藤優氏はプーチンが嫌いにあらず腕力で抑えこむしかなきこともあり* 「モロ(剥き鮫)」「しもつかれ」は、いずれも栃木の郷土料理。2014年2月作新仮名遣い著作権を有します。(c) 2014 Nohara Sakamoto Daddy Bear All rights reserved.
2014.03.27
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坂本野原 「短歌人」4月号掲載作品青森の杳き木霊のうち寄せり 太宰、棟方、寺山修司 *1二千年前の先祖はいかにして生き延びたるか吹雪の夜を亡き母はモロと呼びいし剥き鮫の煮付けを妻も得意となせり *2断念ののちの悟りが幸福といいことを言う島田雅彦大塚の三業地なる二十代昭和の夜を今も夢みつ三業地ときどき夢と追憶と宇田川さんの歌に出で来もオマーンが急所だというそのほかは目晦ましだと佐藤優氏は*1 「杳き」の訓は「とおき」でも「くらき」でもいい。 *2 「モロ(剥き鮫)」は栃木県の郷土料理。2014年2月作新仮名遣い著作権を有します。(c) 2014 Nohara Sakamoto Daddy Bear All rights reserved.
2014.03.27
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川江美奈子桜色舞うころどうか木々たちだけはこの想いを守って「永遠」の中にふたりとどめてここに 生き続けてめぐる木々たちだけがふたりを見ていたのひとところにはとどまれないとそっとおしえながら桜色舞うころ私はひとりあなたへの想いをかみしめたまま作曲:川江美奈子唄:中島美嘉* 歌詞全文 画像はアフィリエイトです。
2014.03.26
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秋元康桜の花びらたち卒業写真の中私は微笑んで過ぎる季節見送りたいサヨナラ涙の花びらたちがはらはらこの頬を流れ落ちて歩き出す青い空を見上げ 大きく深呼吸しながら涙の花びらたちがはらはら思い出のその分だけ 美しく目の前の大人の階段一緒に登って手を振ろう桜の花びらたちが咲く頃どこかで 希望の鐘が鳴り響く私たちに明日の自由と勇気をくれるわ桜の花びらたちが咲く頃どこかで 誰かがきっと祈ってる新しい世界のドアを自分のその手で開くこと作曲:上杉洋史唄:AKB48* 歌詞全文 画像はアフィリエイトです。
2014.03.26
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秋元康桜の木になろう 教室の日なたの中 クラスメイトと語った未来は今君が歩き出した その一歩目の先にある満開の季節だけを 君が懐かしんでいてはいけない木枯らしに震えていた 冬を越えて花が咲く誰も居ない校庭 時にひとり帰っておいで卒業したあの日の 輝いている君に会えるよ永遠の 桜の木になろうスカートの 目印になるように花びらの 全てが散っていても枝が両手 広げながら待っている作曲:伊藤心太郎唄:AKB48* 歌詞全文、
2014.03.26
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宇多田ヒカルSAKURAドロップス止まらない胸の痛み超えてもっと君に近づきたいよ一周りしては戻り青い空をずっと手探り恋をして 終わりを告げ誓うことは:今日が最初の good day桜まで風の中で揺れてそっと君に手を伸ばすよ好きで好きでどうしようもないそれとこれとは関係ない作曲・唄:宇多田ヒカル* 歌詞全文
2014.03.25
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水野良樹SAKURA君がいない日々を超えて あたしも大人になっていくこうやって全て忘れていくのかな「本当に好きだったんだ」 さくらに手を伸ばすこの想いが 今 春に つつまれていくよ さくら ひらひら 舞い降りて落ちて揺れる 想いのたけを 抱き寄せた君が くれし 強き あの言葉は今も 胸に残る さくら舞いゆく作曲:水野良樹唄:いきものがかり* 歌詞全文
2014.03.25
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荒井由実卒業写真話しかけるように ゆれる柳の下を通った道さえ今はもう 電車から見るだけあの頃の生き方を あなたは忘れないであなたは私の 青春そのもの人ごみに流されて 変わってゆく私をあなたはときどき 遠くでしかってあなたは私の 青春そのもの作曲・唄:荒井由実* 歌詞全文
2014.03.25
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阿木燿子(あき・ようこ)想い出がいっぱい大人の階段昇る 君はまだシンデレラさしあわせは誰かがきっと 運んでくれると信じてるね少女だったといつの日か 想う時がくるのさ少女だったとなつかしく 振り向く日があるのさ作曲:鈴木キサブロー唄:H2O* 歌詞全文
2014.03.25
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松本隆制服桜が枝に咲く頃は違う世界でひとりぼっちひとりぼっち生きてる雨にぬれたメモには東京での住所が…握りしめて泣いたのそうこのままでいいのただのクラスメイトだけで失うときはじめてまぶしかった時を知るの作曲:呉田軽穂(松任谷由実)唄:松田聖子* 歌詞全文
2014.03.25
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松本隆木綿のハンカチーフ恋人よ 君を忘れて変わってく ぼくを許して毎日愉快に 過ごす街角ぼくは ぼくは帰れないあなた 最後のわがまま贈りものをねだるわねえ 涙拭く 木綿のハンカチーフ下さいハンカチーフ下さい作曲:筒美京平唄:太田裕美* 歌詞全文
2014.03.25
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武田鉄矢贈る言葉 これから始まる 暮らしの中でだれかがあなたを 愛するでしょうだけど 私ほど あなたの事を深く愛した ヤツはいない遠ざかる影が 人混みに消えたもうとどかない 贈る言葉作曲:千葉和臣唄:海援隊* 歌詞全文
2014.03.24
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谷村新司遠くで汽笛を聞きながら 悩みつづけた日々がまるで嘘のように忘れられる時が来るまで心を閉じたまま暮らしてゆこう遠くで汽笛を聞きながら何もいいことがなかったこの街で作曲:堀内孝雄唄:アリス、堀内孝雄、谷村新司* 歌詞全文
2014.03.24
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仰げば尊し仰げば尊し わが師の恩教おしへの庭にも はや幾年いくとせ思へばいと疾とし この歳月としつき今こそ別れめ いざさらば互に睦むつみし 日ごろの恩別るるのちにも やよ 忘るな身を立て 名を揚げ やよ 励めよ今こそ別れめ いざさらば朝夕慣れにし 学びの窓蛍のともし火 積む白雪忘るる間ぞなき 行く歳月今こそ別れめ いざさらば作曲:大槻文彦、里見義、加部厳夫(文部省音楽取調掛)作曲:不詳明治17年(1884)3月刊『小学唱歌集』註いと疾とし:とても速い。「愛(いと)し」とは無関係。「今こそ別れめ」:今こそ別れよう。「今別れむ」の強調の係り結び。「分かれ目」ではない。勧誘の意味の助動詞「む」が已然形「め」に活用。やよ:古語の呼びかけの感動詞。なあ。ねえ。おい。 cf.)「思ふらむ心のほどや やよいかに まだ見ぬ人の聞きか悩まむ」(あなたが思っているという心の程は、ねえ、どんなでしょう。まだ会ってもいない人が噂で悩むでしょうか)紫式部「源氏物語 明石」
2014.03.24
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梅高野辰之(たかの・たつゆき) 春が来た 春が来た 春が来た どこに来た 山に来た 里に来た 野にも来た 花が咲く 花が咲く どこに咲く 山に咲く 里に咲く 野にも咲く 鳥がなく 鳥がなく どこでなく 山でなく 里でなく 野でもなく作曲:岡野貞一文部省唱歌明治43年(1910)7月刊 『尋常小学読本唱歌 第三学年用』* 「尋常小学唱歌」一覧白木蓮
2014.03.24
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藤原定家(ふじわらのさだいえ、ていか)梅の花にほひをうつす袖の上に 軒のき洩る月のかげぞあらそふ新古今和歌集 44梅の花の彩りを映し妙なる香りを移す袖の上に軒先を洩れてきた月の光が争っている。註にほひをうつす:「(視覚的な)色彩を映している」意味と「(嗅覚上の)芳香を移している」の両義が掛かっている。軒洩る月のかげぞあらそふ:軒端の梅を漏れて来た光が、風に揺れて袖の上で争っている(ように見える)。かげ:中古までは「光」の意味。「光」という漢字を「かげ」と訓じることも多かった。近現代でも、文語的な言い回しでは光の意味に用いることがしばしばある(「星影」、「影射す」など)。やがて、光が映し出す形の意味から「陰、翳り」の意味を生じ、「影」の字もろとも意味が180度変わってしまった、日本語では珍しい例である。もとの意味は、動詞「光る」の連用形である「光」に取って代わられた。
2014.03.24
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藤原定家(ふじわらのさだいえ、ていか)おほぞらは梅のにほひに霞みつつ 曇りもはてぬ春の夜の月新古今和歌集 40大空は梅の彩りと香りに霞みつつそうかといって曇り切るわけでもない夢幻のような春の夜の月。註和歌の最高傑作のひとつといわれる名歌。有心幽玄(うしんゆうげん)の新古今調を代表する、作者彫心鏤骨(ちょうしんるこつ)の一首。大江千里「照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき」(前エントリー)の本歌取り。にほひ:一語で簡明に対応する現代語はない。主として、はなやかで溢れこぼれるような美しい情景や色合い(視覚)について言うが、妙なる芳香(嗅覚)や余韻(一種の詩情、脳内感覚)なども含意する。この意味の一部(嗅覚)だけが現代語「匂い、臭い」に残った。具体的には、花や紅葉、女性の美しさなどについて用いることが多い。 ○ 井上陽水/奥田民生/小泉今日子「月ひとしずく」歌詞
2014.03.24
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式子内親王(しきし、のりこないしんのう)ながめつるけふは昔になりぬとも 軒端のきばの梅はわれを忘るな新古今和歌集 52物思いに沈んで眺めている「今日」という日が「昔日せきじつ」になってしまっても軒端の梅はわたしを忘れないでね。註菅原道真「東風吹かばにほひおこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな」(拾遺和歌集1006)の本歌取り。
2014.03.24
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大江千里(おおえのちさと)照りもせず曇りもはてぬ春の夜の 朧月夜に如しくものぞなき新古今和歌集 55照りもせず そうかといって曇り切ってもしまわない春の夜の朧月夜に及ぶものはないなあ。註はてぬ:「果てぬ」だが、現代語と異なり「~しきらない」の意味。
2014.03.24
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2014.03.23
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山上憶良(やまのうえのおくら)春さればまづ咲く屋戸やどの梅の花 ひとり見つつや春日はるひ暮らさむ万葉集 818春が来ればまず真っ先に咲くわが家の梅の花を独りで見ながら私は春の日を過ごすのだろうか。(・・・いや、そんなわけがないだろう。)註さる:現代語「去る」の語源だが、古くは方向を問わず距離や時間が移動する意味。「来る」「訪れる」意味になる場合が多い。屋戸やど:屋敷。わが家。ひとり見つつや春日はるひ暮らさむ:反語的疑問形。「独り寂しく一日いられるわけがない。みんなで一緒に楽しみたい。」
2014.03.23
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大伴三依(おおとものみより)世の中は恋繁しげしゑや かくしあらば梅の花にも成らましものを万葉集 819陽気のせいか世の中はどいつもこいつも恋だ愛だとうつつを抜かして喧かまびすしいことだ。やれやれもうこうなったら私は物言わぬ梅の花にでもなってしまいたいものだ。註万葉集に散見される、ちょっとシニカル(皮肉)な戯笑歌。近世以降の狂歌・川柳などの源流といえよう。ゑや:詠嘆の感動詞。かくし(あらば):こうであるならば。「かく」→「かう」→現代語「こう」になった。「し」は強調・整調の助辞(副助詞)で、特定の意味はない。
2014.03.23
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小島ゆかり(こじま・ゆかり)終ります白梅散りて 終ります紅梅散りて いつか終ります歌集『エトピリカ』(平成14年・2002)
2014.03.23
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宮柊二(みや・しゅうじ)梅の花ぎつしり咲きし園ゆくと泪なみだぐましも日本人われ歌集『晩夏』(昭和26年・1951)
2014.03.23
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塚本邦雄(つかもと・くにお)飛梅の飛ぶ香はるけき寒昴かんすばる耳の迷宮に光刺すなり歌集『されど遊星』(昭和50年・1975)
2014.03.23
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塚本邦雄(つかもと・くにお)紅梅もみのれるあはれ明盲あきじひの彼ら他界をさしのぞくとや歌集『されど遊星』(昭和50年・1975)
2014.03.23
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塚本邦雄(つかもと・くにお)紅梅は明日散る蘂の逆睫毛さすがさしぐむわが名呼ばざれ歌集『青き菊の主題』(昭和48年・1973)紅梅は明日散る雄しべと思えば逆さ睫毛のごとくさすがに涙さしぐむ。願わくはわが名を呼ばないでくれ。
2014.03.23
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佐藤佐太郎(さとう・さたろう)ひとときに咲く白き梅玄関をいでて声なき花に驚く歌集『星宿』(昭和58年・1983)
2014.03.22
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玉城徹(たまき・とおる)いずこにも貧しき路がよこたはり神の遊びのごとく白梅第一歌集『馬の首』(昭和37年・1962)
2014.03.22
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米川千嘉子(よねかわ・ちかこ)お軽、小春、お初、お半と呼んでみる ちひさいちひさい顔の白梅歌集『滝と流星』(平成16年・2004)註お軽:人形浄瑠璃(文楽)、歌舞伎を代表する演目「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」(竹田出雲・三好松洛・並木千柳作)の重要な登場人物。例えば、映画「四十七人の刺客」(市川崑監督、高倉健主演、1994年)では、この役を宮沢りえが務めた。小春:近松門左衛門の傑作「心中天網島(しんじゅうてんのあみしま)」のプロタゴニスト(主人公)。映画「心中天網島」(篠田正浩監督、中村吉右衛門共演、1969年)では、岩下志麻が演じた。お初:同「曽根崎心中」の主人公。お半:菅専助「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」。
2014.03.22
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前川佐美雄(まえかわ・さみお)月ヶ瀬の谷の空わたる月あれば昼間見し梅花うめ忘れてねむる* 月ヶ瀬観光協会ウェブサイト* コメント欄からリンクのけん家持さんのブログもどうぞ。
2014.03.22
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紀貫之(きのつらゆき)梅の花匂ふ春べはくらぶ山 闇に越ゆれどしるくぞありける古今和歌集 39梅の花が匂う春辺はくらぶ山を暗い闇に越えたけれどもきわだっていたなあ。註くらぶ山:未詳だが、「比ぶ」で、比叡山のことか(筆者説)。「暗し」と掛けている。しるし(著し):はっきりしている。際立っている。名詞「白」、動詞「知る」、「しるす(記、標)」、形容詞「白し」「いちじるし(著し)」などと同源といわれる。 パブリック・ドメイン重要文化財 尾形光琳 竹梅図屏風
2014.03.22
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紀貫之(きのつらゆき)暮ると明くと目離かれぬものを 梅の花いつの人まにうつろひぬらむ古今和歌集 45明けても暮れても目を離さないでいたものを梅の花は、ほんのちょっと目を離した隙にいつの間に散ってしまったのだろうか。註離かる:離れる、離す。うつろふ:枯れる。萎しおれる。萎なえる。散る。
2014.03.22
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よみ人知らず梅が香を袖にうつしてとどめてば 春は過ぐとも形見ならまし古今和歌集 46梅の香りを袖に移して留められたら春は過ぎても思うよすがになるだろうなあ。註てば:(もし)~することができたなら。完了の助動詞「つ」の未然形に「ば」がついたもの。形見:現代語の「形見」よりかなり意味は広く、記憶のよすがとなるもの全般について言った。
2014.03.22
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紀友則(きのとものり)君ならでたれにか見せむ梅の花 色をも香かをも知る人ぞ知る古今和歌集 38あなたでなくていったい誰に見せようかこの梅の花の彩りも香りも知っている人は知っている。(それはもちろん、あなたです。)註結句「知る人ぞ知る」は、現代でも使われる成句となった。ならで:~ではなくて。
2014.03.21
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紀友則(きのとものり)花の香かを風のたよりにたぐへてぞ 鶯うぐひすさそふしるべには遣やる古今和歌集 13梅の花の香りを風の便りの供としてウグイスを誘う案内役には遣つかわすよ。註現代でも普通に使われる「風の便り」という言葉の典拠の一つ。たぐふ:伴わせる。供をさせる。しるべ:案内。道標(みちしるべ)。○ ちなみに、「風のたより」つながりで、当地・栃木の人気名店レストラン「風だより」はこちらです
2014.03.21
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