うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

2014.12.01
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カテゴリ: 芭蕉俳諧
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まさに、工夫する句風、詠風、作風である。芸能の淵源、能の用語で言えば「芸風」とも言えよう。

代表作といわれる名句でも、

古池や蛙とびこむ水の音

夏草やつはものどもが夢の跡

しづかさや岩にしみ入る蝉の声

荒海や佐渡に横たふ天の河

など、驚くほど愛用・多用している。

「や」は、「か」と並び、もともと疑問の係助詞・終助詞だったが、その後疑問の意味はほとんど失われて、詠嘆や強調の間投助詞になった。

ちなみに、芭蕉は伊賀出身の関西人である。
現在の関西弁の語尾の「や」(「あいつはほんまもんのアホや」などと使う)は「にてあり(にてある)」が転訛して→「ぢゃる(おぢゃる)」→「ぢゃ(じゃ)」→「や」と音便化したもので、文法的には助動詞に分類され、語源は全く異なると思われる。

なお、よく知られた土佐弁の語尾「ぜよ」は、おそらく「ぢゃ(じゃ)」が別に変化した「ぜ」に「よ」が付いたものだろう。

・・・が、言葉の来歴はそう単純明快なものではなく、一部は助詞の「や」の詠嘆的なニュアンスも取り込まれているとも考えられなくもない。

「にて」は現代語でも決して死語ではない。改まった表現では普通に用いられる。
「ホテルにて挙式」、「ホテルで挙式」、どちらも可である。
が、日常語としての趨勢は「で」が優勢であろう。

「にて」を含む文節は、口語としてはたいてい「ダ」行になってしまうようである。
これは、現代語「じゃん」ときわめて似た経緯である。
僕と妻は普段、ごく普通に「じゃん」言葉で話しているが、これも「にてはないか」→「ぢゃないか」→「じゃない?」→「じゃん」と転訛したものである。





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Last updated  2014.12.02 10:33:53
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くまんパパ @ 新仮名づかいの悲劇ですかね、旧仮名に変更します(^^) 七詩さん、いつもありがとうございます(^^…
くまんパパ @ 短歌では、ありですね(^^) 七詩さん、そうですね、同感です。 私も…
七詩 @ Re:ニヒルなれども面白し(06/08) くまんパパさんへ あの「世の中にたえて…
くまんパパ @ ニヒルなれども面白し 七詩さん、いつもありがとうございます(^^…
くまんパパ @ めっきり蒸し暑くなってきました やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
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