うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

November 25, 2022
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カテゴリ: 百人一首



周防内侍(すおうのないし、平仲子・たいらのちゅうし)


春の夜の夢ばかりなる 手枕 たまくら
    かひなく立たむ名こそ惜しけれ



千載和歌集 964 / 定家八代抄 954

春の夜の夢ほどにも はかな いあなたの腕枕に
甲斐もなく立つだろう浮名が口惜しいのですわ。


千載集の詞書きに、「きさらぎばかり月あかきよ、二条院にて人人あまたゐあかして物がたりなどし侍りけるに、 内侍周防 ないしすはう 寄り臥して『枕をがな』と忍びやかに言ふをききて、大納言忠家『これを枕に』とて、かひなを御簾の下よりさしいれて侍りければよみ侍りける」とある。
──旧暦二月頃(新暦3月頃)の月の明るい夜、二条院(関白・藤原教道邸)で多くの人々が夜通し語らっていた時、周防内侍が何かに寄りかかって「枕があればなあ」と忍びやかにつぶやいたのを聞いて、時の大納言・藤原忠家(ただいえ)が、「これを枕にどうぞ」と言って自分の腕(かいな)を(男女の間を仕切る)御簾の下から差し入れてきたので、詠んで贈った(歌)とある。
手枕 たまくら 」は、夫婦や恋仲の男女がすることなので、忠家も半ば戯れだったと思われるが、チャラい男の強引な誘いを巧みにかわしつつ、余裕のユーモアも漂う優婉な大人の色香漂う佳品となっている。

かひなく:「甲斐なく」(詮無く、無駄に)と「腕(かいな)」を掛けている。





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Last updated  November 30, 2022 05:36:26 PM
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くまんパパ @ 体に気を付けて、のんびり行きたいですね やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
やすじ2004 @ Re:松任谷由実  ハロー、マイ・フレンド(08/16) お元気ですか 今日も湿度が高い一日でした…
くまんパパ @ 男と女の契り 七詩さん、いつもありがとうございます。 …
くまんパパ @ 新仮名づかいの悲劇ですかね、旧仮名に変更します(^^) 七詩さん、いつもありがとうございます(^^…
くまんパパ @ 短歌では、ありですね(^^) 七詩さん、そうですね、同感です。 私も…
七詩 @ Re:ニヒルなれども面白し(06/08) くまんパパさんへ あの「世の中にたえて…
くまんパパ @ ニヒルなれども面白し 七詩さん、いつもありがとうございます(^^…

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