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「キング・オブ・エジプト」(2016) GODS OF EGYPT監督 アレックス・プロヤス製作 ベイジル・イヴァニク アレックス・プロヤス脚本 マット・サザマ バーク・シャープレス撮影 ピーター・メンジース・Jrプロダクションデザイン オーウェン・パターソン衣装デザイン リズ・パーマー音楽 マルコ・ベルトラミ出演 ニコライ・コスター=ワルドー、ブレントン・スウェイツ チャドウィック・ボーズマン、エロディ・ユン、コートニー・イートン ルーファス・シーウェル、ジェラルド・バトラー、ジェフリー・ラッシュ レイチェル・ブレイク、ブライアン・ブラウン、エマ・ブース、アビー・リー 本編127分 カラー シネマスコープサイズ 2016年9月に日本公開された作品。先日、映画専門チャンネルのムービープラスで放送されたのを録画して鑑賞しました。 神々と人間が現実に共存しているという設定の古代エジプトが舞台。王として民から慕われる神オシリスは王座を息子の天空の神ホルス(ニコライ・コスター=ワルドー )に譲ろうとする。その譲位に納得いかないオシリスの弟である砂漠の神セト(ジェラルド・バトラー)が、兄を殺してホルスの両眼を奪って追放し、王座を簒奪する。それ以来、人々は暴君セトの圧政に苦しめられていた。 ある日、こそ泥の青年ベック(ブレントン・スウェイツ )がホルスの片眼を神殿から盗み出すが、逃げる際に恋人のザヤ(コートニー・イートン )が弓で射られて死んでしまう。ベックはホルスを訪ねて盗みだした片眼を返し、神の力でザヤを生き返らせてほしいと頼む。ホルスは復讐と王座奪還のために、ベックは恋人を生き返らせるために協力し、暴王セトに挑戦することになる。 原題は「エジプトの神々」で、邦題は「エジプトの王」。神が王であるエジプトで、王の務めとは民を守ることにある、ということを考えれば「キング・オブ・エジプト」でもいいのかもしれません。信じる者あっての神であり、民があっての王です。 ギリシャ神話や古代エジプトの神話を題材にした映画が好きなので、何も考えないで気楽に見て楽しみました。こういう娯楽映画に難しい理屈をこねて難癖をつけるのはナンセンスです。 内容はCG特撮ばかりのアクション場面が連続して、物語というより考証無視のアトラクション的なもので、CGを使えばどんな場面でも作れる現代の特撮映画。 このような映画をエジプト考古学者の吉村作治先生がご覧になったら何とおっしゃるだろう?と想像したら可笑しくなりました。 今回は英語音声と翻訳字幕(昔はスーパーインポーズと云ったが、いまは死語か?)での鑑賞ですが、このようなお気楽アクション映画は日本語吹替え音声のほうが適しているのだろう。 しかし、本作の日本語吹替えの評判はよろしくないですね。 プロの声優をつかわずに、その時々の人気TVタレントや駆け出しの人気俳優を使った日本語吹替え。 そこには映画作品を少しでも良いものにしようとする映画への愛がなく、ただ話題性を持たせる商売優先な日本語吹替えです。映画を配給会社が私物化しているわけで、映画ファンの期待を無視した商法です。 セリフの棒読み、演技力のない下手くそな吹替は、作品を台無しにして、演じている俳優に対しても失礼だし、侮辱していることになるのに気が付かない日本の配給会社。いまだにそれが横行しているのは困ったものです。
2018年08月29日
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「ジャスティス・リーグ」(2017) JUSTICE LEAGUE監督 ザック・スナイダー製作 チャールズ・ローヴェン デボラ・スナイダー ジョン・バーグ、ジェフ・ジョンズ脚本 クリス・テリオ ジョス・ウェドン撮影 ファビアン・ワグナー衣装デザイン マイケル・ウィルキンソン音楽 ダニー・エルフマン出演 ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、ガル・ガドット エイミー・アダムス、エズラ・ミラー、ジェイソン・モモア レイ・フィッシャー、ジェレミー・アイアンズ ダイアン・レイン 本編120分 カラー ビスタサイズ 映画「ジャスティス・リーグ」をブルーレイソフトで鑑賞しました。 昨年11月に劇場公開され、今年3月にソフトが発売。8月8日に値下げされた廉価版ソフトが発売。安くなったブルーレイソフトは実売価格1500円です。 前作「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」(2016)のラストで強力な敵ドゥームズデイと相打ちになって死んだスーパーマン。さらなる脅威が地球に迫ろうとしている時、ブルース・ウェイン(バットマン)はダイアナ・プリンス(ワンダーウーマン)とともに、スーパーマン亡きあとの地球を守るためにチームを結成しようとする。 昔々の大昔、暗黒の惑星アポコリプスからステッペンウルフが驚異のパワーを秘める3個のマザーボックスを奪うために地球に来襲。それをアトランティスとアマゾン族、人類とギリシャの神々が加わって同盟し、激戦の末に撃退した。3個のマザーボックスはそれぞれアトランティス、アマゾン族、人類が封印して保管することとなって幾星霜。ふたたびステッペンウルフがマザーボックスを奪おうと地球にやってくる。 ステッペンウルフはセミッシラ島のアマゾン族を襲ってボックスを奪い、いまは海底に沈んだアトランティスからも奪い去る。もうひとつのボックスはアメリカ政府の研究施設S.T.A.R.ラボが保管していた。 ブルース・ウェインとダイアナ・プリンスは超人チームの候補として超光速の移動能力をもつフラッシュとサイボーグ、海棲人アクアマン(アトランティス女王の息子)をスカウトする。 友達を欲していたフラッシュはすぐにメンバーにうち解けるが、サイボーグは自分の機械の体を嫌悪して、秘められた未知の能力を恐れているし、アクアマンも最初は勧誘を拒否するなど、個性的で我が強い彼らをチームとしてまとめようとするブルース・ウェインだった。 地球を守るためにバットマンが発起人となって超人チームを結成する。 超人たちはそれぞれ悩みや葛藤を持ってるし、正義や人生にたいしての考えも各人それぞれ。 中心的リーダーのバットマン自身が、内向的で人間嫌いなところがある。スーパーマンとの確執も正義とはなんぞや?という考えのちがいからだった。 苦労しながらも超人メンバーをまとめあげていく過程がこの映画のテーマなのだろうか。 超人たちは戦いの場で殴られても投げられてもわりかし平気なのだが、バットマンは普通の人間なのでそうはいかず、満身創痍の奮闘ぶりです。フラッシュをチームに誘ったさいに「あなたのスーパーはなに?」と聞かれて「スーパーリッチだ」と答えるバットマンです。 超富豪のブルース・ウェインがその資産を駆使してスーパーメカを造ってバットマンとなって、これまでゴッサムシティの平和を守るために孤独に戦ってきた。しかし、いまや彼には信頼できる仲間ができて孤独ではない。 なによりも、バットマンのかたわらには、時には意見がちがうこともあるけれどワンダーウーマンが理解者として寄り添っている。 クライマックスの戦いで、敵を引き付けて苦戦するバットマンにフラッシュとアクアマンが救援する。なんで来た?みたいな顔のバットマンに「王女様が見殺しにするなと云ったので」と。「あんた自殺願望があるのか?」と云うアクアマンに「フォークを持ったやつに言われたくない」と返すバットマン。けっして一人で戦っているのではない。 アマゾン族の女戦士たちが自己犠牲的な戦いを見せる場面もあり、今作でもアマゾン族の王女ダイアナ・プリンス、ワンダーウーマンが大活躍して印象に残ります。 超人チームにスーパーガールも加わってほしいな、と思うけれどもヒロインは二人もいらないか?
2018年08月19日
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「グレートウォール」(2016) THE GREAT WALL監督 チャン・イーモウ製作 トーマス・タル チャールズ・ローヴェン ジョン・ジャシュニ、ピーター・ローアー原案 マックス・ブルックス エドワード・ズウィック、マーシャル・ハースコヴィッツ脚本 カルロ・バーナード ダグ・ミロ、トニー・ギルロイ撮影 スチュアート・ドライバーグ チャオ・シャオティンプロダクションデザイン: ジョン・マイヤー衣装デザイン: マイェス・C・ルベオ音楽 ラミン・ジャヴァディ出演 マット・デイモン、ジン・ティエン ペドロ・パスカル、ウィレム・デフォー、アンディ・ラウ 本編103分 カラー シネマスコープサイズ 映画「グレートウォール」をブルーレイソフトで鑑賞しました。 アメリカと中国が合作したファンタジーアクション映画で、2017年4月に日本公開された作品です。 中国の宗時代。欧州から黒色火薬を求めて宗にやってきたウィリアム(マット・デイモン)と仲間たちは、ある夜、正体不明の野獣らしきものに襲われる。その腕を斬り落として危うく難を逃れたウィリアムだったが、仲間は殺され、相棒のトバール(ペドロ・パスカル)と二人だけになってしまう。 翌朝、馬賊に襲撃されて追われた二人は万里の長城に辿り着く。長城は完全武装の軍勢が守備していて、その「禁軍」に捕らえられた二人は処刑されそうになる。 禁軍はウィリアムの持っていた怪物の片腕の正体を知っており、二人の話から怪物が近くに迫っていて襲来が近いと判断した禁軍の軍師ワン(アンディ・ラウ)の取りなしで命を助けられる。 ワン軍師は、怪物は饕餮(とうてつ)と呼ばれ、60年ごとに大挙して襲ってくるのだと二人に語る。その饕餮の襲来が始まり、ウィリアムの眼前で長城を防衛線にする禁軍は大群で押し寄せる怪物を相手に死闘を繰り広げる。 監禁されたウィリアムたちは禁軍のなかにいた白人バラード(ウィリアム・デフォー)に助けられ、壁を越えて来た饕餮を倒したことでシャオ将軍と腹心のリン隊長(ジン・ティエン)に弓の腕前と勇敢さを認められる。彼は報酬を得るだけが目的で傭兵として戦ってきたが、禁軍の兵たちが「信頼」のために自分を犠牲にする戦いを見てしだいに考えが変わってゆく。 黒色火薬を求めて欧州から中国にやってきた白人の主人公が、万里の長城を防衛線に、襲い来る怪物の大群を相手にして戦う守備軍に協力するアクション映画です。 世界の歴史上の三大発明とされる「印刷、火薬、方位磁針」。 中国で発明された初期の火薬である黒色火薬。日本の戦国時代に火縄銃などで使われたのはこの黒色火薬ですね。だけでなく、近代になって無煙火薬が開発される以前の、アメリカの西部開拓時代の西部劇に登場する銃器や大砲もすべて黒色火薬です。「饕餮」と呼ばれる怪物。「とうてつ」と読むのですが、難しい漢字です。こんなの読める人はいないぞ。これまでに映画でいろんな怪物を見ているので、この「とうてつ」という怪物には斬新さはないけれど、グレートウォール、「偉大なる壁」万里の長城は怪物から防衛するために築かれたというアイデアが面白いです。 映画を娯楽ではなくて小難しく考えて見るお方にはオススメしませんが、この映画は思っていた以上に面白かったです。三国志の「レッドクリフ」の戦闘シーンと怪物襲来をいっしょにしたような娯楽映画。戦うヒロインの甲冑姿が勇ましいリン隊長を演じるジン・ティエンが好演。こういう活劇ヒロインを演じられるのは中国の女優さんならではでしょうか。 大画面テレビと、ブルーレイソフト(この二つは絶対条件)で見るのをオススメします。
2018年05月04日
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「レッドソニア」(1985) RED SONJA監督 リチャード・フライシャー製作 クリスチャン・フェリー脚本 クライヴ・エクストン ジョージ・M・フレイザー撮影 ジュゼッペ・ロトゥンノ音楽 エンニオ・モリコーネ出演 ブリジット・ニールセン、アーノルド・シュワルツェネッガー ポール・スミス、サンダール・バーグマン、アーニー・レイズ・Jr ロナルド・レイシー、パット・ローチ 本編89分 カラー シネマスコープサイズ アーノルド・シュワルツェネッガーさんが英雄コナンを演じた作品では「コナン・ザ・グレート」(82)と「キング・オブ・デストロイヤー コナンPART2」(84)があって、同じような感じでシュワちゃんが出てるけれど、それらとは関係がない本作「レッドソニア」(85)。 私がこの映画を知ったのは28年も前の金曜ロードショーでの放送(1989年7月)です。VHSビデオに録画して当時は何度も見ました。 日本公開は1987年12月ですが、それより前に「キング・オブ・アマゾネス」のタイトルでビデオ発売されていたらしい。アマゾネスって女だけの部族なのにキングがいるのはおかしい、というツッコミはやめとくとして、映画「キング・オブ・デストロイヤー」に便乗した安っぽい命名だったのだろうか? 1987年頃っていうと、シュワルツェネッガーさんが「ターミネーター」(84年 日本公開85年5月)でその長い名前を映画ファンに知らしめ、つづいて「コマンドー」(85年 日本公開86年2月)と「プレデター」(87)のヒットで爆発的人気があった時期です。本作「レッドソニア」の公開がビデオ発売のあとになったのは、商業価値があるのを知った配給会社が遅ればせながら買い付けて劇場公開したのかもしれない。 昔々の大昔、力のある者が支配する世界。悪の女王ゲドレン(サンダール・バーグマン)は万物を創造したという強大な力をもつ聖玉(タリスマン)を奪い、その威力をもって近隣諸国を侵略していた。 ゲドレンに村を焼打ちにされ、家族を殺されたレッドソニア(ブリジット・ニールセン)は剣の修業を積んで免許皆伝をうけ、老師より名剣を授けられる。その時、カリドーと名乗る旅の戦士(アーノルド・シュワルツェネッガー)がゲドレンに襲われて瀕死のソニアの姉を運んでくる。姉は「聖玉タリスマンを奪い返して闇に葬らないと世界が滅亡する」と言い残して死に、ソニアは聖玉奪還と復讐のために女王の城へと旅立つ。 ソニアは旅の途中、女王の軍に滅ぼされた都の王子ターンとその忠臣ファルコンと出会って道連れとなる。目的地の城へ着いたソニアは異常な現象を目の当たりにする。聖玉の力が増大したことで大地は地割れがはしり、天には雷鳴と稲妻が。聖玉を野望に利用しようとした女王だったが、手におえなくなっていた。カリドーたち仲間の助けを得て城に潜入したソニアは、ついに女王と因縁の対決をむかえる。 男はみんなケダモノと思っている男嫌いの女戦士ソニアが、何かと助けてくれる旅の戦士(シュワルツェネッガー)に、しだいに心惹かれてゆく。男のほうも、自分と互角に戦う強さを持つ女戦士に惹かれてゆく。 村を焼かれ家族を殺されたヒロインが仇敵の女王に立ち向かい、ついに復讐を果たすヒロイックファンタジー映画。「コナン・ザ・グレート」のような重々しさがなく、お手軽なB級映画的作品です。主人公の女戦士があまり強そうな感じがしないのが欠点かと思うけれど、このような古代の剣戟がけっして嫌いではないので、最後まで楽しく見られました。 主人公のレッドソニアを演じるのは、当時はスタローンの奥さんだったブリジット・ニールセン。「ビバリーヒルズ・コップ2」(87)や旦那のスタローンと共演の「コブラ」(86)などがあったけれど、この1980年代限定的、代表的な、硬質な印象の女優さんです。
2017年10月21日
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「ワンダーウーマン」(2017) WONDER WOMAN監督 パティ・ジェンキンス製作 チャールズ・ローヴェン デボラ・スナイダー、ザック・スナイダー リチャード・サックルキャラクター創造 チャールズ・モールトン原案 ザック・スナイダー、アラン・ハインバーグ ジェイソン・フュークス脚本 アラン・ハインバーグ撮影 マシュー・ジェンセンプロダクションデザイン アリーヌ・ボネット衣装デザイン リンディ・ヘミング音楽 ルパート・グレグソン=ウィリアムズ出演 ガル・ガドット 、クリス・パイン ダニー・ヒューストン、デヴィッド・シューリス コニー・ニールセン、エレナ・アナヤ 本編141分 カラー シネマスコープサイズ アメリカのDCコミックスの女性スーパーヒーロー「ワンダーウーマン」の実写映画化作品。日本公開は8月25日。コミックスの映画化も最近はちょっと食傷気味傾向ですが、元来が助平な私なので、というより戦う強い女性が好きというほうが正確か?、今作には惹かれるものがあって、ひさしぶりの劇場での鑑賞です。 原作のコミックは読んだことがない(アメリカの漫画を手にする機会がない)ので知らないけれど、昔にあったテレビ映画「赤い旋風ワンダーウーマン」(1980年頃)は見たことあります。リンダ・カーター主演で。でもよく憶えていないのはそれほど熱中しなかったのでしょう。 今回の映画化は、もっとマンガ的な内容かと思ったら、意外にマジメな話でした。 世界から隔絶した女性だけの島セミスキラで生まれ育ったアマゾンの王女ダイアナ(ガル・ガドット)は、最強の戦士をめざして訓練にはげむ日々を送っていた。 ある日、その島の沖合に外界から飛んで来た戦闘機が不時着水する。そのパイロットを救助したダイアナは初めて見る男性に興味津々。男(クリス・バイン)はスティーブ・トレバーと名乗り、彼から外の世界では大きな戦争(第一次世界大戦)が起こっていて、ドイツ軍が開発中の新兵器によって破滅の危機が迫っていることを知らされます。 スティーブは英国諜報部に協力するアメリカ人で、ドイツ軍の研究施設に潜入して毒ガス新兵器の情報が書かれたノートを奪って戦闘機で逃げたが追われてこの島に不時着したことを語る。 ドイツ軍の恐るべき野望の中心人物ルーデンドルフ総監が人類に悪事をそそのかす軍神アレスだと直感したダイアナは、その野望を阻止すべく、スティーブとともに島を旅立ってイギリスへと向かうことに。 女性だけの部族アマゾンの王女ダイアナが現代社会、この映画では第一次大戦時末だから1918年くらいか、に現れて、人々をあやつって戦争をさせている軍神アレスを倒そうとする話です。 パワフルで頑強な女性スーパーヒーローが英雄的な活躍を見せる映画。 この映画を日本の配給会社は「強いヒーローが、女性だけの社会で育ったために、実は世間知らずで恋も男も知らない天然系女子だった」として売り出そうとしました。 男との恋を知らない、男を知らないのが女性としてふさわしくない、そんな考えは時代錯誤であり、女性を偏見視していることに気づいていないようであり、気高いアマゾンの王女という設定を貶めている宣伝文句です。「男を知らない」(男を知る、知らないとは下品な言い方だ)のがなぜスーパーヒーローらしくないなどというのか? 強くてパワフルな女性が主人公となって英雄的活躍を見せる映画です。ダイアナが映画の中で云う、「男は生殖のためには必要だけれど、快楽のためには必要ない」との台詞がすべてを表しているのではないか。女性だけの社会でも恋の経験はできるし、男なんかは子孫を残す目的にしか必要がない存在であると。 昔の映画は面白かったが、現在の映画はつまらなくなったと常々思っているのですが、現在の映画で良いところはこのような「男を必要としない強い女性」が描かれるようになったことです。これだけは昔の映画にはなかったものです。
2017年09月18日
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「ドラキュラZERO」(2014) DRACULA UNTOLD監督 ゲイリー・ショア製作 マイケル・デ・ルカ脚本 マット・サザマ、バーク・シャープレス撮影 ジョン・シュワルツマン衣装デザイン ナイラ・ディクソン編集 リチャード・ピアソン音楽 ラミン・ジャヴァディ出演 ルーク・エヴァンス、サラ・ガドン、ドミニク・クーパー ディアミッド・マルタ 本編92分 総天然色 シネマスコープサイズ 15世紀のルーマニア南部のワラキアを治める君主ヴラド(ルーク・エヴァンス)は、愛する妻ミレナ(サラ・ガドン)と一人息子との平穏な生活を送っていた。ある日、同国を属国とみなすオスマントルコ帝国の皇帝メフメト2世(ドミニク・クーパー)が、ヴラドの息子を含む少年1000人を貢納するよう迫ってくる。 皇帝メフメトの脅迫的要求を拒否したヴラドは、オスマントルコ軍の侵攻から愛する家族と国民を守るため、古くから伝わる山奥に棲む魔物に助力を得るが、魔物の条件はヴラド自身が魔物となることだった。 契約を結んだヴラドは魔物(吸血鬼)となって強大な力を手に入れ、攻め寄せるオスマントルコの大軍にただ一人で立ち向かう。 邦題の「ドラキュラZERO」は意味不明です。ZEROとは糖質ZEROじゃあるまいし、刺激がZERO?中身が含まれていないという意味か?中身が空っぽだとすれば、宣伝上こんなバカなタイトルはないだろうに。 原題は「DRACULA UNTOLD」。「ドラキュラの語られていない話」というような意味でしょうか。「昔むかしワラキアの国に、ギリシア正教のキリスト教徒で、ルーマニア語でドラキュラという名の領主がいた。その名前は悪魔という意味で、彼の一生はその名のとおり邪悪さに満ちたものだった」。 ヴラド4世(1431~1476)。ツェペシュ(串刺し公)とドラクル(悪魔あるいはドラゴンを意味するという)の二つの異名を持つ。オスマン帝国の侵略に対して勇猛果敢に戦った国民的英雄でありながら、いっぽうで数千人を串刺しにして喜んだ血に飢えた暴君でもあったという。 吸血鬼ドラキュラのモデルになったという人物ですが、なぜ彼が吸血鬼という魔物になったのか?というのが、この映画のテーマのようです。 強大なオスマン帝国が弱小国ワラキアに突きつけた1000人の少年を差し出せという要求。 それを拒否することは国を攻め滅ぼされるということである。領主ヴラドは要求に屈して1000人の少年を貢ぎ物とするつもりだったのが、オスマンの使者の無礼さに立腹し、怒りにまかせて斬ってしまう。 こうなった以上はオスマン帝国が大群で攻めてくるのは必至であり、その攻撃から国を守るために「魔物」と契約する。こうして彼は魔物(吸血鬼)となってしまった。 しかし、この映画はかなりいい加減なものです。 ワラキアという小さいながらも国家でありながら軍隊を持たない。オスマン帝国の脅威の前に、一矢でも報いようという国民がだれもいないありさま。これまで10年間平和が続いたと言い、これからも平和が20年も30年も続けばいいな、と呑気なことを言っている(どこかの平和ボケの国民のように)。 そのためにヴラド公は、そんな守りがいのない国民のために魔物となってただ一人で押し寄せるオスマン軍と戦うことになる。領民を守るために自分を犠牲にして魔物になったのに、その領民は領主が魔物になったというので放火して殺そうする。なんだ、これは? 首尾一貫しない、こんな脚本がよく映画として商品になったものだとあきれるばかりです。 ヴラド公が愛した妻が転落死してそれを救えなかったのですが、彼女は死の間際に、夫に「私の血を吸って、息子を助けて」と言い残します。それまでは3日間吸血の飢えを耐えれば魔物にならず、もとの人間に戻れたのが妻の血を吸ったことで永遠に魔物となってしまった。 これは変な話で、愛する妻の血を吸えばその妻も吸血鬼になり、愛妻を失うことなく、二人仲良く吸血鬼になってハッピーではないか。 ワラキア国の領民も臣下もまことにたよりがなく守りがいがない。民衆がみんなで団結して領主ヴラド公を盛り立てて戦う、という展開になれば見ていてもっと熱くなったものを。 アクション映画としても、魔物となったヴラド公が攻め寄せる数千人のオスマン軍を斬りまくるのだが、CGを多用しすぎて迫力もなく、チャンバラ場面としてもつまらない。もっと戦闘と剣さばきを描写できなかったものか。 見る前は、吸血鬼となった主人公が麾下の軍を率いてオスマン帝国の大軍と戦う話だと思っていたのですが、私の思い違いだったようです。脱力系の映画でした。
2015年10月19日
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「黄金の眼」(1967) DANGER: DIABOLIK監督 マリオ・バーヴァ製作 ディノ・デ・ラウレンティス脚本 ディノ・マイウリ ブライアン・ディガス チューダー・ゲイツ マリオ・バーヴァ撮影 アントニオ・リナルディ音楽 エンニオ・モリコーネ出演 ジョン・フィリップ・ロー、マリサ・メル ミシェル・ピッコリ、アドルフォ・チェリ、テリー・トーマス 本編101分 総天然色 ビスタサイズ 外国映画専門チャンネルの「ザ・シネマ」で待望の「黄金の眼」が10月8日午前4時に放送されました。 DVDもブルーレイにもなっていない幻の作品として、40数年前の劇場公開時以来、ずっともう一度見たいと思っていた作品で、念願がかないました。 謎の怪盗ディアボリック(ジョン・フィリップ・ロー)を追っているジンコ警部(ミシェル・ピッコリ)。1000万ドルの現金輸送を護衛するのですが、まんまと出し抜かれて強奪されてしまう。 ディアボリックは愛車ジャガーEタイプで逃走し、警部はヘリを投入して空から追跡するが、ディアボリックは恋人エヴァ(マリサ・メル)とトンネルの中で落ち合って車を乗り換え、無人のジャガーを走らせ崖から転落させる。警察をまいて逃走に成功した2人は地下の秘密アジトに落ち着き、シャワーを浴びて、回転ベッドに1000万ドルの札を敷き詰めてイチャイチャとお楽しみ。 音楽はエンニオ・モリコーネ。「ディーディーダーン♪(Deep Deep Down )」というメロディが耳から離れません。 1967年(昭和42年)イタリア映画です。 金沢では1968年12月に北国第一劇場で上映され、同時上映は「バーバレラ」(67)。ともに製作者がディノ・デ・ラウレンティスで、ともにジョン・フィリップ・ローが主演している、このような組み合わせの2本立ては凄いというか、大変にめずらしいのでは。 監督はマリオ・バーヴァ。300万ドルの予算を与えられたのですが40万ドルで仕上げたとか。喜んだ製作者は余った予算で続編を撮るのを望んだけれど、バーヴァさんは断ったそうです。 この作品は1967年という時代ならではの、当時の流行をよく表しています。 「黄金の七人」(65)と「続 黄金の七人レインボー作戦」(66)が大ヒットしたことでの泥棒映画ブーム。「トプカピ」(64)「ニューヨーク泥棒結社」(67)「国際泥棒組織」(69)「盗みのプロ部隊」(69)「ミニミニ大作戦」(69)「ラスベガス強奪作戦」(68)「汚れた七人」(68)。テレビの「プロスパイ(スパイのライセンスに改題)」(68~70)など。 銀行や宝石店、現金輸送車などの泥棒だけでなく、「007シリーズ」で起こったスパイ映画ブームと合わさって、泥棒とスパイがいっしょになったようなアクション・サスペンス・コメディ映画がたくさん作られました。「おはようフェルプス君」の「スパイ大作戦 MISSION: IMPOSSIBLE」(66~73)などは、そのメンバーはそのまま一流の泥棒でも詐欺師でも通用します。「黄金の眼」の原作はイタリアのコミックだとか。このようなスーパーマン的怪盗が恋人の美女を相棒に、警察の追跡をかわして大活躍するという話は、ネタ切れで苦労している現代の映画界でリメイクすれば面白い映画ができるのでは、と思います。
2015年10月09日
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1983年 外国映画の興行成績です。 金額は配給収入。 1位 「E.T.」 94億円 2位 「スター・ウォーズ ジェダイの復讐」 37億2000万 3位 「フラッシュダンス」 32億8000万 4位 「007 オクトパシー」 19億4000万 5位 「ランボー」 12億 6位 「愛と青春の旅だち」 10億8700万 7位 「トッツィー」 9億9000万 8位 「スーパーマン3 電子の要塞」 9億1300万 9位 「食人族」 8億5000万 10位 「地中海殺人事件」 7億2000万円 第1位「E.T.」の配給収入94億円は、興行収入にすると170億円余くらいでしょうか? 日本公開は1982年12月です。 (1993年度の「ジュラシック・パーク」配収83億円がこれに迫り、98年度の「タイタニック」配収160億円で記録更新。日本では2000年度から興収(チケット売上げ合計)での発表に切り替えられる)。「E.T.」(1982) E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL監督 スティーヴン・スピルバーグ製作 スティーヴン・スピルバーグ キャスリーン・ケネディ製作補 メリッサ・マシスン脚本 メリッサ・マシスン撮影 アレン・ダヴィオー特撮 ILM特殊効果 カルロ・ランバルディ音楽 ジョン・ウィリアムズ出演 ディー・ウォーレス、ヘンリー・トーマス ロバート・マクノートン、ドリュー・バリモア ピーター・コヨーテ 本編115分 総天然色 ビスタサイズ 夜の森の中に異星の宇宙船が降りていて、異星人たちが何か(植物らしい)を採集している。 そこへライトを照らしながら人間たちが現れ、宇宙船は逃げるように離陸し、一人の異星人が取り残されてしまう。 森に隣接する郊外住宅地に住む10才の少年エリオット(ヘンリー・トーマス)が裏庭でその異星人と出会い、自分の部屋にかくまうことにする。高校生の兄と保育園の妹(ドリュー・バリモア)を巻き込んで、ETと名付けたその異星人との交流が始まります。 しかし、ETの存在を知っているのはエリオットたち兄弟妹だけでなく、NASAの科学者たちも密かに追っていて、エリオットの家は彼らに目を付けられる。 地球の探査にやって来て一人取り残された異星人と小学生の少年の交流を暖かく描いたファンタジー映画です。 劇場公開時に見た時はそれほど面白いとは感じなくて、その後ずっと再び見ることのなかった映画です。あれから約30年ぶりにブルーレイソフトでの鑑賞ですが、意外にも面白く、これは童心にかえるような、良い作品でした。 子供の頃に見るより、若い時に見るより、年を取ってからの方がいいのかもしれない。 先日見た「未知との遭遇」より、こちらの方が好みに適っているようです。 少年が異星人をかくまって、二人の間に心の交流がなされ友情が芽生える。 少年がかくまう対象が異星人ではなく、野生動物でも、犬や猫でもおなじようなもので、ようするに母子家庭の、父親がいない孤独な少年が愛情をそそいで人間の大人たちの追跡から守ってやる、その間に友情が芽生えるが、やがて別れの時がやってくる。そんな経験をすることで少年の成長を描いた作品です。 舞台となるのが夜空が美しく自然が豊富に残っている地方都市郊外の新興住宅地。 スピルバーグ監督(製作も含めて)作品では都市生活者ではなく郊外の新興住宅地に住む人たちの生活が描かれます。「ジョーズ」「未知との遭遇」「ポルターガイスト」「グレムリン」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「グーニーズ」、あの「トランスフォーマー」でさえも、そうですね。 そんなスピルバーグ監督お得意の世界である新興住宅地の家庭を舞台にして、少年の夢と冒険を経て成長する姿を描く。 ただそれだけの作品なのに、当時(1980年代)はそれが斬新であって、アメリカ映画だけでなく世界的に映画ではそのような「星に願いをかける少年の夢」を描いた映画が作られることがなくなっていたのでしょう。 この「E.T.」を見て、科学的にあり得ないとか、自転車が空を飛ぶなど荒唐無稽である、異星人が素裸なのはおかしい、死んだのに生き返るのはおかしい、とか重箱の隅をつつくような難癖をつける人がいますけれど、そうでは決してないですね。 何千光年、何万光年、何億光年かしらないけれど、そんな遠くから地球へやって来る異星人がいるとしたら、そんなことが可能な異星人だとしたら、彼らは地球人類の想像を絶した存在だろう、彼らのすることは人類から見て魔法のようなものではないか、ということです。どんなことができてもおかしくはないはずです。
2015年09月28日
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「エマニュエル 愛欲のチベット」(1993) LE SECRET D'EMMANUELLE監督 フランシス・ルロワ製作 アラン・シリツキー脚本 ジャン=マルク・ヴァスール ティモシー・フォックス撮影 ドゥニ・ルーダン音楽 ピエール・バシュレ出演 マルセラ・ワレルステイン、シルヴィア・クリステル ジョージ・レーゼンビー 本編89分 総天然色 ビスタサイズ(DVDはノンスクイーズ) フランス映画「エマニエル夫人」が日本で公開されたのは1974年12月。エマニュエル・アルサンの小説を映画化したもので、世界的に大ヒット。 その後、「続エマニエル夫人」(75)「さよならエマニエル夫人」(77)が製作され、さらにエマニエル(シルヴィア・クリステル)を改造手術?してミア・ニグレン主演として若返らせた「エマニュエル」(84)があります。 その後、亜流としていくつか作られましたが、本作「エマニュエル 愛欲のチベット」(93)はテレビシリーズとして作られたものです。「エマニュエル 媚薬の香り」のタイトルで、WOWOWが1993年に放送。全何話だったか記憶にありませんが、毎週土曜の夜でした。そのシリーズがDVDになって500円(税込)で発売されていて、全7巻。この「愛欲のチベット」は第1巻です。 高空を飛行するボーイング747ジェット旅客機のなかで、初老の男マリオ(ジョージ・レーゼンビー)の横にファッションモデルのような若く美しい女性(マルセラ・ワレルステイン)が座ります。彼女はエマニュエルだと名乗る。マリオは20年前のエマニエルと縁が深いのですが、その女性が年齢的にもエマニエルであるはずがない。 本気にしないマリオに、その若いエマニュエルは語り始める。その話がこの物語になっていて、第1巻では30分くらいの話が3話入っています。DVD各巻、3話構成になっているようです。 エマニエル(シルヴィア・クリステル)はチベットの山中にある寺院で修行をしていて、高僧から秘薬をさずけられます。その秘薬を一滴、胸に垂らすだけで、若返り、さらに別人に変身することも可能な、ひみつのアッコちゃんも顔負けの驚くべき効果の秘薬。 高僧はエマニエルに、その薬を全世界の女性たちのために使いなさいと言う。胸にその秘薬を一滴つけるとビカビカと稲光がはしり、不思議な煙が立ち上って、エマニエルは若く美しいエマニュエルに変身。世界の悩める女性を救うためにエマニュエルが旅立つ。 で、30分くらいの話がつづいて、全7巻のDVDになっています。テレビ放送時のような無粋なボカシがないので安心?して見られる。お薦めできる内容ではなく他愛のないものですが、興味のある方は500円なので買って見てはいかがかと。買うよりかレンタルがあれば、それで充分かも? この作品で特筆すべきは、エマニュエルを演じるマルセラ・ワレルステインさんの美しさもそうですが、彼女がエピソードを語る相手の男マリオを「女王陛下の007」(69)で二代目ボンドを演じたジョージ・レーゼンビーさんだということ。こんな所でお目にかかるとは、です。「エマニュエル 愛欲のチベット」「エマニュエル 香港の情事」「エマニュエル ギリシャの誘惑」「エマニュエル カンヌの悦楽」「エマニュエル マンハッタンの背徳」「エマニュエル ベニスの欲情」「エマニュエル アムステルダムの追憶」 エマニュエルを演じるマルセラ・ワレルステインさんは映画などで見かけたことがありませんが、ベネズエラの人だそうです。1971年生まれ。
2015年06月26日
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「ヘラクレス」(2014)HERCULES監督 ブレット・ラトナー製作 ボー・フリン バリー・レヴィン ブレット・ラトナー原作 スティーヴ・ムーア脚本 ライアン・J・コンダル エヴァン・スピリオトポウロス撮影 ダンテ・スピノッティ衣装デザイン ジェイニー・ティーマイム音楽 フェルナンド・ベラスケス出演 ドウェイン・ジョンソン、イアン・マクシェーン ルーファス・シーウェル、ジョセフ・ファインズ、ジョン・ハート レベッカ・ファーガソン、イングリッド・ボルゾ・ベルダル、アクセル・ヘニー リース・リッチー 本編98分 (ロングバージョン101分) 総天然色 シネマスコープサイズ ギリシャ神話第一の英雄ヘラクレスを演じられる映画スターは何人いるでしょうか。怪力無双のヒーローとして筋肉隆々な体格ということだけで限られてしまいます。 本作のドウェイン・ジョンソンさんはハマリ役ですね。 その出演作をそれほど見たわけではなく、「ハムナプトラ2黄金のピラミッド」(2001)「スコーピオン・キング」(02) 「ワイルド・タウン英雄伝説」(04)「ワイルド・スピードMEGA MAX」(11)「センター・オブ・ジ・アース2神秘の島」(12)「GIジョーバック2リベンジ」(13)くらいしか見ていませんが、その逞しい体格を活かした作品ということでは、この「ヘラクレス」が最も適役なのでは。「スコーピオン・キング」もそうですが、現代ものより古代の神話もののようなファンタジー・アクション映画が最も似合っているように思えます。 前から見たいと思っていた「ヘラクレス」をブルーレイソフトで鑑賞しました。2014年10月公開の作品です。 オリンポス主神ゼウスが人間の美女アルクメネとの浮気で生ませた子が英雄ヘラクレス。赤ん坊の時に嫉妬深いゼウスの妻ヘラが揺り籠に放った毒蛇をつかみ殺したエピソードや「十二の難行」で知られるヒーローです。「神の子である英雄」を生ける伝説として半ば創作し、それを売りにして5人の仲間とともに傭兵として渡り歩いている。 ある日、トラキアの王女ユージニア(レベッカ・ファーガソン)から、父コテュス王(ジョン・ハート)に反旗を翻した凶悪なレーソス(トビアス・ザンテルマン)が率いる反乱軍から国を守ってほしいと頼まれます。自分の体重分の金を報酬に引き受けたヘラクレスは、寄せ集めの兵士たちを鍛え上げて、反乱軍に備えるが、その裏で悪辣な陰謀が企まれていた。 いまの時代にギリシャ神話そのままのヘラクレス物語で映画を作ってもありきたりなものになってしまうのでは。そういった点から、この「ヘラクレス」は傭兵と仲間たちという設定とし、本物の神の子であるかはどうでもよく、自分が英雄だと信じて、というより信じようとして努力する。そして主人公の一人舞台ではなく、仲間たちとお互いが助け合うのが見ていて気持ちがいいです。 仲間の信頼を得ること。信頼できる仲間たちといっしょに行動できることがどれだけ人間にとって大切なことか。「七人の侍」というより、「荒野の七人」のほうに近い雰囲気があります。 雇い主の王にだまされて、利用される。報酬を与えられて追い払われるのですが、このままで立ち去ってたまるか。まさに「荒野の七人」を思わせる展開になります。「お前らはどうかしている!」と意見が合わずに立ち去った仲間が戻ってきて危機を救ってくれるというのも定石のようだけれど、それが気持ちの良い、男の胸を熱くするシーンになっている。 ヘラクレスを背後から守護する弓の名手である女戦士アタランテ(イングリッド・ボルゾ・ベルダル)が私のお気に入り。男をぶっとばすような強い女性が格好良く大活躍するのは、いいなと。 期待以上に面白く、清々しい気持ちになる映画でした。ドウェイン・ジョンソンさんの代表作になるのでは。
2015年05月18日
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「シンドバッド七回目の航海」(1958) THE 7TH VOYAGE OF SINBAD監督 ネイザン・ジュラン製作 チャールズ・H・シニア製作補 レイ・ハリーハウゼン脚本 ケネス・コルブ撮影 ウィルキー・クーパー特撮 レイ・ハリーハウゼン編集 エドウィン・ブライアント、ジェローム・トムス音楽 バーナード・ハーマン出演 カーウィン・マシューズ、キャスリン・グラント トリン・サッチャー、リチャード・エヤー 本編88分 総天然色 ヨーロピアンビスタサイズ シンドバッド船長(カーウィン・マシューズ)の船が食料と水を求めてある島に上陸すると、そこには一つ目の巨人(サイクロプス)に追われる魔術師ソクラ(トリン・サッチャー)がいた。 ソクラは一つ目巨人から「魔法のランプ」を盗もうとしていたのだが、彼を救けて船は一路バクダットへ。 シンドバッドはバクダットの王子で、船には近隣国の王女パリサ姫(キャスリン・グラント)を同行している。彼女と結婚することで両国間に平和同盟を結ぼうというのですが、腹黒い悪人の魔術師ソクラの陰謀でパリサ姫を10センチくらいに縮小させられてしまう。 ソクラの仕業だと気づかないシンドバットは彼に助けを求めます。ソクラは姫を元の姿に戻すには例の島に住むロク鳥(双頭の巨鳥)の卵の殻が必要だという。シンドバットは足りない乗組員を死刑囚から無実にすることを条件に募集し、島を目指すことに。 航海の途中で死刑囚たちが叛乱を起こしたりするが、なんとか目的地の島にたどり着く。 その島でシンドバッドと乗組員たちは一つ目巨人や巨鳥、ドラゴン、魔術師ソクラが出現させたガイコツ剣士との戦いが始まり、シンドバッドはソクラが狙う魔法のランプを手に入れ、愛するパリサ姫を元の姿に戻すことができるのか。「猿人ジョー・ヤング」(1949)「原子怪獣現る」(1953)「水爆と深海の怪物」(1955)「世紀の謎・空飛ぶ円盤地球を襲撃す」(1956)「地球へ2千万マイル」(1957)「シンバッド七回目の航海」(1958)「ガリバーの大冒険」(1960)「SF巨大生物の島」(1961)「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)「H.G.ウェルズのS.F.月世界探険」(1964)「恐竜100万年」(1966)「恐竜グワンジ」(1969)「シンドバッド黄金の航海」(1973)「シンドバッド虎の目大冒険」(1977)「タイタンの戦い」(1981)「ダイナメーション」と命名された、人形を少しずつ動かして一コマ一コマ撮影し、アニメーションのように動かし、実写映像と合成したレイ・ハリーハウゼン先生の特撮映画です。「千夜一夜物語」を題材にした「シンドバッド七回目の航海」(1958年12月、劇場公開時の題名は「シンバッド七回目の航海」。SINBADだからこちらが正しい発音?)で、このあと「黄金の航海」(73)と「虎の目大冒険」(77)と、シリーズは3作あります。「黄金の航海」と「虎の目大冒険」は劇場公開時に見て以来、テレビやDVDなどで何度も見ているのですが、この「七回目の航海」はずっとまえにレンタルビデオで見た時にあまり面白いと思わなかったために、これまで避けてきた作品。 今回、あらためての再見です。それなりに楽しい特撮映画だけれども、やはり「黄金の航海」と「虎の目大冒険」に比べると出来ぐあいは落ちるようです。 一つ目巨人や双頭の巨鳥、ドラゴン、ガイコツ剣士とのチャンバラなど、レイ・ハリーハウゼン先生の特撮は力が入っていて見ものだが、主人公シンドバッドがおバカなのか、魔術師が悪人なのに見抜けない。愛するパリサ姫を縮小させたのが魔術師だと自分の敵を見極められないヒーローで、こんな頼りない人が船長では部下は付いてけないかも。 魔法のランプをこすりながら呪文を唱えるとランプの精が現れて危機を救ってくれます。煙とともに現れるランプの精が少年というのは、子供たちが見ると楽しいのでは。怪物なども子供に見せたいとは思うけれど、今時の子供が見たらどうでしょうか? レイ・ハリーハウゼン先生がインタビューで語っていて、「A級作品でも廃れてしまうのに、私の作品が50年間も支持されるのは嬉しい」と。 根強いファンがいて今でも熱く語られるレイ・ハリーハウゼン先生の特撮映画は、一コマ一コマ丁寧に作った、手作り感のある特撮が魅力的だからですね。現在のコンピューターグラフィック製の特撮はもっとリアルな動きを見せて迫力もあるだろうけれど、それらが50年後、60年後もファンに支持されて残っているだろうか?
2015年03月08日
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1953年外国映画興行成績です。 金額は配給収入。1位「地上最大のショウ」 2億270万円 2位「シェーン」 1億8175万円 3位「クォ・ヴァディス」 1億5251万円 4位「グレン・ミラー物語」 1億3422万円 5位「シンデレラ」 1億2714万円 6位「機動部隊」 1億2182万円 7位「地上より永遠に」 1億1472万円 8位「遠い太鼓」 1億686万円 9位「静かなる男」 1億627万円 10位 「ライムライト」 1億540万円「わが谷は緑なりき」(41)が1950年12月に公開され、「静かなる男」(52)が1953年3月に公開。 この時期はジョン・フォード監督作品が「荒野の決闘」(1947年公開)や騎兵隊三部作を始め、多く日本公開されているようです。 太平洋戦争が終わって、アメリカ映画が日本にワッと入って来た、そんな時期だったのでは? 生まれ故郷アイルランドの小村イニスフリーに戻ってきた背の高いアメリカ育ちの元プロボクサー ショーン・ソーントン(ジョン・ウェイン)が、村の美しい女性メアリー・ケイト(モーリン・オハラ)に恋をして巻き起こす騒動の物語です。美しいアイルランドの田舎の風景を背景に情感あふれる恋愛ドラマをコメディタッチで描いた素敵な映画。 ショーンとメアリーが、さまざまな障害を乗り越えて恋を成就させ、幸福な結婚に至るか。愛し合う男女が困難を克服し結婚するというありふれた物語ですが、ジョン・フォード監督のこれこそが撮りたかった映画であり、最もフォード的な世界であるということでしょうか。 主人公ふたりの恋路の最大の障害はメアリーの兄レッド(ヴィクター・マクラグレン)。根は人の良い大男だが乱暴者でへそ曲がり。彼は新たに村にやって来てたちまち人気者になったショーンが気に入らない。 ジョン・フォード監督が1936年に映画化権を獲得(原作は新聞小説)し、ずっと映画化を望んでいたのですが、興行価値がないとして映画会社が相手にしてくれなかったそうです。 1948年にリパブリック社がフォード監督と3本の映画製作契約を結び、その時でも「静かなる男」の製作には難色をしめされ、ようやく、まず1本目が成功を収めることを条件として認められたとか。 その条件となった1作目が「リオ・グランデの砦」(50)で、ジョン・ウェインとモーリン・オハラが初共演し大成功。その結果、念願の「静かなる男」が撮られることになったそうです。 原題は「The Quiet Man」。「静かなる男」で、大スター ジョン・ウェインさんの大らかで明るい魅力あってこその作品だと思うのですが、世の中にはよほどジョン・ウェイン嫌いなのか、彼がミスキャストだと言う人がいる。 ジョン・フォード監督がジョン・ウェインとモーリン・オハラの二人をイメージしてキャラクターを創ったとされるのにミスキャストだとはいったい何を言ってるんだろう? 好漢ジョン・ウェインが「静かなる男」らしくないというのが理由らしいけれども、「静かなる男」の意味を解していないのでは?「寡黙な男」という意味ではなく、「持っている強拳を封印した男」という意味だと思われるのに、映画を見ていてなぜそれが理解できないのでしょうか? かつてボクシングの試合で相手を死なせてしまった。それが理由でプロボクサーを引退して故郷へ帰ってきた男が、ある女性に恋をして、彼女を得るために反対する大男の兄貴と殴り合いをすることになる。恋のためにやむをえず封印を解くことになる話です。 アイルランドの小村を舞台にした恋愛ドラマ。主人公の周りに登場するのはみな好人物ばかりで、なんやかんやと世話を焼く。見ていて気持ちの良い人たちばかりで、アイルランドには悪人がいないのではないかと思ってしまうくらいです。 ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、ヴィクター・マクラグレン、ウォード・ボンド、バリー・フィッツジェラルド、ミルドレッド・ナトウィック。 撮影のウィントン・C・ホック、アーチー・スタウトも、音楽のヴィクター・ヤングもジョン・フォード監督とは気心の知れた人たちですね。 見たのは「わが谷は緑なりき」との2枚組DVD(宝島社 500円)。「わが谷は緑なりき」の画質は良好でしたが、この「静かなる男」は色彩はきれいだがピンぼけ。いつか美しい画質で見たいものです。
2015年01月30日
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「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」(2003) PIRATES OF THE CARIBBEAN THE CURSE OF THE BLACK PEARL 1930年代から60年代初頭にかけてアメリカ映画には「海賊映画」のジャンルがあって、たくさんの海賊映画が製作されたそうです。 マカロニ西部劇が作られる前のイタリア映画でもアメリカにならって海賊映画がいくつもあったとか。「海賊ブラッド」(35)「海賊黒ひげ」(52)「海賊旗を上げろ」(61)「海賊魂」(62)などのタイトルがあるのですが、このような作品は現在では見ることができるのでしょうか?(DVDになっているか不明) 私のような者にとっては、海賊は小学生の時に学校の図書室で読んだスティーヴンソンの「宝島」と、ディズニーアニメ映画「ピーターパン」くらいでしか知りません。「黒ひげ大旋風」(67)という、海賊黒ひげの幽霊が現れて珍騒動を展開する愉快な映画があったけれど、海賊映画とはいえないですね。 そんなわけで2003年に公開された「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」は私にとっては初めての海賊映画かもしれない。 海賊映画は製作費が高くなって、それを回収できないかもしれないという危険があって、近年は作られなくなったジャンルだそうです。 そんななかで「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」をあえて製作したジェリー・ブラッカイマーさんの意図はどのようなものだったのでしょうか?「カットスロート・アイランド」(95)が歴史的大赤字の結果におわった前例も当然のこと頭にあったはずです。それをあえて1億4000万ドルもの製作費をかけて挑戦したのは、成功させる自信があったのだろうと思われます。「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」の原題は「PIRATES OF THE CARIBBEAN:THE CURSE OF THE BLACK PEARL」です。「THE CURSE OF THE BLACK PEARL」は「ブラックパール(船名)の呪い」というような意味でしょうか? 昔、征服者コルテスが虐殺をおこなったとき、アステカの人々が虐殺をやめてもらおうと黄金で作られた882枚の金貨を石櫃に入れて捧げたという。コルテスはアステカの人々の願いを無視して虐殺をつづけ何千人もの人を皆殺しにした。兵士だけでなく、女も子供もみんな殺され、アステカの大地は悲鳴と涙と血に覆われた。アステカの神々は怒り、アステカの民の怨念を黄金に託して呪いをかけた、という。 海賊バルボッサたちはその呪われた金貨が納められた石櫃を発見し、その金貨を湯水のように使って快楽を得ようとしたのですが、呪いの結果、生きる亡者になってしまった。 それが邦題の「呪われた海賊たち」の意味となっています。 映画の導入部ではイギリス植民地の港町ポート・ロイヤルの様子が描かれて、風や空気の振動、空の黒い雲などで不吉な予感を表現して雰囲気を盛り上げます。 海賊映画の王道である、海賊船の砲戦や剣戟アクションだけでなく、新しくVFX映像を取り入れて、「生きる死者」として呪われた海賊たちが月の光を浴びてガイコツ姿に変貌する描写の新趣向が成功の要因になったのでしょうか。 それとジョニー・デップ、オーランド・ブルームの2人にはさまれたキーラ・ナイトレイさんが現代ふうのイケてる強い女性を演じて存在感がありますね。
2015年01月04日
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2003年の外国映画興行成績です。 金額は興行収入。1位「ハリー・ポッターと秘密の部屋」 173億円2位「マトリックス・リローデッド」 110億円3位「ターミネーター3」 82億円4位「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」 79億円5位「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」 68億円6位「マトリックス レボリューションズ」 67億円7位「マイノリティ・リポート」 52億4000万円8位「HERO」 40億5000万円9位「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」 35億円10位「シカゴ」 35億円 近年、海賊映画はめずらしいのですが、その海賊映画「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」がアメリカだけでなく日本でも大ヒットしました。日本公開は2003年8月2日。「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」(2003) PIRATES OF THE CARIBBEAN: THE CURSE OF THE BLACK PEARL監督 ゴア・ヴァービンスキー製作 ジェリー・ブラッカイマー脚本 テッド・エリオット、テリー・ロッシオ、ジェイ・ウォルパート撮影 ダリウス・ウォルスキー音楽 クラウス・バデルト、ハンス・ジマー出演 ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ ジェフリー・ラッシュ、ジョナサン・プライス、ジャック・ダヴェンポート 本編147分 総天然色 シネマスコープサイズ 製作費は1億4000万ドル。全米での興行収入3億500万ドル、日本で68億円、全世界で6億5400万ドルの興収を得ました。 同じ海賊映画でありながら「カットスロート・アイランド」(95)が1億ドルの製作費をかけて全米での興収が約1割の1000万ドルでしかなかったという、歴史的大赤字を呈したのと比べるとなんという大きな差でしょうか。 海賊映画はヒットしないというジンクス?があったそうですが、「カットスロート・アイランド」が失敗した原因は海賊映画だから売れなかったということだけではないようです。 正直言って「カットスロート・アイランド」という映画があったのを最近まで知らなかったし、金沢で公開されたのかどうかも知らない。それに比べると「パイレーツ・オブ・カリビアン」は私でさえ劇場へ足を運んで鑑賞したくらいです。宣伝の差なのかも? 例えば両作品のDVD(ブルーレイでも)ソフトを並べて置いて、どちらを買うか?見たいか?とすると、圧倒的に「パイレーツ・オブ・カリビアン」の方が選ばれるだろう。購買客の関心を引きつける印象という点で大きな違いが感じられます。 上の写真は主演ジョニー・デップのジャック・スパロウ船長を中心にオーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイ、それに悪役のジェフリー・ラッシュ(バルボッサ船長)を横一列に配しています。 下の「カットスロート・アイランド」は爆発する海賊船とタイトルを大きく描き、その中心にジーナ・デイヴィスとマシュー・モディーンの小さな写真を配しただけ。 ジーナ・デイヴィスとマシュー・モディーンが主演では観客の関心を引かないのでは?と思えるのに加えて、ポスター等のデザインがこれでは映画館に観客が集まらないのは当然だったのかもしれません。(せっかくジーナ・デイヴィスさんが頑張ったのに) つづく。
2015年01月03日
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「忠臣蔵」を「日本史B用語集」(山川出版社)で調べようとしたら載っていませんでした。 そのかわり、「赤穂事件」として項目があって、「赤穂事件」1701年、勅使接待役の播磨赤穂藩主浅野長矩が、高家(幕朝の儀礼を管掌する旗本)の吉良義央を殿中で斬りつけ、切腹となる。翌年大石良雄ら赤穂浪士46人(一説47人)が義央を討ち復讐、46人が切腹を命じられた事件。浄瑠璃や歌舞伎に脚色・上演され話題となる。 と書かれています。 またウィキペディアには、 ・・・・・ 元禄赤穂事件(げんろくあこうじけん)は、江戸時代中期の元禄期に発生した赤穂浪士にまつわる事件。 元禄14年3月14日(西暦1701年4月21日)に播磨赤穂藩主の浅野長矩(内匠頭)が、高家旗本・吉良義央(上野介)に対して江戸城殿中において刃傷に及ぶも失敗し、殿中抜刀の罪で即日切腹・赤穂藩改易となったが、浅野の遺臣である大石良雄(内蔵助)以下、赤穂浪士47名(四十七士)が翌元禄15年12月14日(1703年1月30日)深夜に吉良屋敷に討ち入り、主君が討ち漏らした吉良義央を討った事件である。 この事件は一般に「忠臣蔵」としても知られているが、この名称は本件を題材とした人形浄瑠璃と歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』の通称、およびそこから派生したさまざまな作品群の総称であり、本来は本件自体を指す語ではない。 ・・・・・ と書かれています。「忠臣蔵」が日本史用語集に載っていないのは当然で、歴史用語ではないからです。 日本人にお馴染みの「忠臣蔵」物語は、ようするに「赤穂事件」を素材とした浄瑠璃や歌舞伎から始まったフィクションだということです。 それがなぜか史実のように勘違いされているふしがあって、だからそれを大きく改変して製作されたアメリカ映画「47RONIN」を批判したりする。 もともとがフィクション、作り話である「忠臣蔵」を、現代のアメリカ映画が自由な発想を加えてファンタジー冒険ものに仕立てたからといって、それを批判して、バカ映画、クソ映画という悪い言葉で罵る人がいるのは、そんな貧しい鑑賞しかできないのかと嘆かわしい思いがするし、汚く罵るのは映画ファンの言ではないのでしょう。「忠臣蔵」ってどんな意味?と、いちどは考えたことがあるのではないでしょうか。 映画やテレビを見たり、小説を読んだ時に誰もが抱く疑問だと思います。 普通に考えれば、「忠臣内蔵助」ですよね。忠臣大石内蔵助。1.「忠臣」は47士のことで、蔵は大石内蔵助の蔵からと考える説。2.「忠臣」は同上で、蔵は吉良上野介が蔵の中で発見されたからという説。3.忠臣が蔵一杯にいるから、という説。 1~3の説があるようで、2と3の説はこじつけのような感じがして、自分的には1の説が自然だし、単純に考えてこれがいちばん妥当です。 アメリカ映画「47RONIN」。 大石内蔵助の妻りくを演じたのは國元なつきさん。息子の大石主税を演じたのは赤西仁さんです。 この母と子を演じた2人ですが、顔立ちが似ていて、そのようなキャスティングにしたのかは知らないけれど、母子の2人として良い感じがしました。 特に武家の妻女であり母である役の國元なつきさんが台詞ではなく表情で見せる演技が素晴らしかったです。
2014年10月11日
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ハリウッドが日本の忠臣蔵を映画化した「47RONIN」。 日本公開は2013年12月6日。 DVD&ブルーレイソフト発売が2014年4月9日。 低価格化されて再発売されたのが今週10月8日です。 興味があって見たかった作品でもあり、安くなるのを待っての購入で、ブルーレイソフト1490円です。「47RONIN」(2013)監督 カール・リンシュ製作 パメラ・アブディ、エリック・マクレオド原案 クリス・モーガン、ウォルター・ハマダ脚本 クリス・モーガン、ホセイン・アミニ撮影: ジョン・マシソン衣装デザイン ペニー・ローズ音楽 イラン・エシュケリ出演 キアヌ・リーヴス、真田広之、浅野忠信、菊地凛子 柴咲コウ、赤西仁、田中泯、ケイリー=ヒロユキ・タガワ 本編121分 総天然色 シネマスコープサイズ 将軍徳川綱吉の治世下である鎖国時代の日本。赤穂藩主 浅野内匠頭(田中泯)に行き倒れていたところを救われた混血の異端児カイ(キアヌ・リーヴス)。 カイは浅野の娘ミカ(柴咲コウ)と心を通い合わせ、恩を受けた浅野への忠義を誓い、領地の片隅で一人静かに暮らしていた。 将軍綱吉が赤穂を訪れることになり、浅野家では名誉をかけて迎えることになる。 豊かな赤穂藩を我が物にしようと企む隣国の藩主 吉良上野介(浅野忠信)は、謎の妖術使いミヅキ(菊地凛子)と共に奸計をめぐらせ、浅野に刃傷沙汰を起こさせてまんまとお家取り潰しに追い込むことに成功する。 浅野内匠頭は切腹、忠臣 大石内蔵助(真田広之)は吉良によって地下牢に入れられ、家臣たちは浪人となって四散する。 一年後、牢を出された大石は出島でオランダ人の奴隷となっていたカイを助け出すと、吉良に婚儀を強制され軟禁されているミカの救出と主君の仇討ちへの助勢を要請する。 亡き主君を慕い集まった大石内蔵助たち47人の赤穂浪士は、ついに吉良への仇討ちへ立ち上がることに。 「47RONIN」予告編はこちらです。 この映画、賛否両論ですね。「こんなもの忠臣蔵ではない!」として認めない心の狭い人たちがいる反面、「面白いではないか」と許容して楽しんで見る人たちもいる。 堅苦しく考えないで、忠臣蔵らしさにこだわらなくてもいいのでは。 日本の忠臣蔵をモチーフにしたファンタジー映画、それでいいではないですか。「忠臣蔵」を見たければこれまでにたくさんの映画があるし、東映の「忠臣蔵」でも見ていればいい。今さら同じようなものを作っても意味がないでしょう。 アメリカの人たちが日本のサムライに憧れ、武士道に憧れ、美化してくれる。ありがたく思うべきだろうし、感謝してもいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
2014年10月10日
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映画「リーグ・オブ・レジェンド時空を超えた戦い」(2003)をDVDで鑑賞。何度も見ている作品で、ブルーレイソフトを持っているのに、取り出しやすい所にあったDVDでの鑑賞です。「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」 THE LEAGUE OF EXTRAORDINARY GENTLEMEN監督 スティーヴン・ノリントン製作 トレヴァー・アルバート、ドン・マーフィ 原作 アラン・ムーア、ケヴィン・オニール 脚本 ジェームズ・デイル・ロビンソン撮影 ダン・ローストセン音楽 トレヴァー・ジョーンズ出演 ショーン・コネリー、スチュアート・タウンゼント、ペータ・ウィルソン シェーン・ウェスト、トニー・カラン、ジェイソン・フレミング ナセールディン・シャー 本編110分 総天然色 シネマスコープサイズ 字幕翻訳:林 完治 吹替翻訳:久保喜昭 この映画については2012年8月28日に「怪紳士連盟?」のタイトルで書きました。 以下はその再掲です。 ・・・・・ 映画「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」(2003)。 原題は「THE LEAGUE OF EXTRAORDINARY GENTLEMEN」です。EXTRAORDINARY(エクストラオーディナリー)を辞書で調べると「驚くべき、非凡な、途方もない。風変わりな」という意味のようなので、原題は「怪紳士連盟」とか「超人紳士連盟」というような感じでしょうか。 邦題の「リーグ・オブ・レジェンド」って、なんのことかよくわからないですね。映画の内容は時空を超えてないし。 このカタカナ邦題はなんのこっちゃ?、ですが冒険ファンタジー活劇映画としてはおもしろく、大いに楽しみました。現在DVDは990円くらいで、ブルーレイは1490円。ブルーレイは高画質で、どうせならこちらがオススメ。冒頭シーンの菱形戦車がガタゴト出てきて英国銀行を襲うところなどサラウンド効果満点です。 古典文学の主人公たちが集まって悪の組織に対抗するSF?ファンタジー・アクション映画です。 1899年のロンドン。英国銀行が世界征服をたくらむ謎の組織に襲われるところから始まって、ヴェネツィアで開かれる国際平和会議を妨害し、世界大戦を起こそうとする武器商人ファントム(仮面で顔の傷跡をかくしている)の陰謀を「怪紳士連盟」が阻止すべく立ち向かう。 アラン・クォーターメイン・・・・冒険家 トム・ソーヤ・・・・アメリカの若い諜報員 ミナ・ハーカー・・・・女吸血鬼 ドリアン・グレイ・・・・不死身の男 ジキル博士・・・・ハイド氏に変身する ネモ船長・・・・ノーチラス号を指揮する海賊? ロドニー・スキナー・・・・透明人間(透明になる薬を盗んだ泥棒) 以上が怪紳士連盟の顔ぶれで、英国情報部のMに呼び出され、ファントムの陰謀阻止を依頼されます。 これもアメリカのコミック(DCコミック)が原作なんですね。アメリカのコミックは日本では読む機会がないようで、書店で普通に買えればいいのにと思います。 辞書を片手に読めば英語の勉強にもなるのでは。「怪紳士連盟」のいちおうリーダー格(年の功?)としてアラン・クォーターメイン。 最近は書店で見かけることがないですが、かつてハヤカワ文庫や創元推理文庫で出ていたヘンリー・ライダー・ハガードの秘境冒険小説の主人公です。 「ソロモン王の洞窟」「洞窟の女王」など、読んだことがありますが、内容は忘れました。 映画化もされていて「キング・ソロモンの秘宝」(1985)ではリチャード・チェンバレンがアラン・クォーターメイン役でした。 この「リーグ・オブ・レジェンド」ではショーン・コネリーさん(2006年に俳優引退)が演じていますが、俳優として最後の出演になりました。最後のセリフは「私の時代は終わった。これからは君たちの時代だ」です。 追記。女吸血鬼ミナ・ハーカーですが、本来は吸血鬼ではないはずです。 「ドラキュラ」(1992年 フランシス・F・コッポラ監督)ではウィノナ・ライダーさんが演じたドラキュラ伯爵に愛されたヒロイン。 ・・・・・ ショーン・コネリーさんの事を書こうと思って、参考のため、とりあえずの再掲です。 長くなるので、明日につづきます。
2014年10月04日
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前作までの、「賢者の石」「秘密の部屋」「アズカバンの囚人」までのロン・ウィーズリー(ルパート・グリント 写真→)はハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)の良き友人であり相棒であり、そのような脇役としてなんの迷いもなく、常に主役ハリーの傍らにいました。 それが第4作「炎のゴブレット」になると、これまでのロンとは違います。成長したからといえるかもしれないけれど、または自我が目覚めたのか?「どうせ僕はハリーのオマケだ」という台詞があって、ハリーと仲違いしてしまいます。 魔法学校の対抗試合が催され、その代表選手に立候補するには17歳という年齢制限がある。 それなのに14歳のハリー・ポッターが代表選手に選ばれます。 ロンはハリーに「どんな手を使ったんだ?僕にも教えろよ」と迫るのですが、ハリーは自分でもわからない。 ハリーは何もしていないのに、何者かの陰謀で代表選手になってしまったのです。 何もしてないというハリーの言をロンは信じない。「水くさいではないか、なぜ教えてくれないんだ」と、ロンはハリーを難詰します。ここでロンの台詞「どうせ僕はハリーのオマケだ」が出てくる。ロンの本音はこちらの方なんですね。さらに「ふざけるな」という捨て台詞まではきます。 主役ハリーに対する妬みです。主役を引き立たせる役目であるロンの立場はあくまでも脇役に徹すべきはずなのに、いつも主役ハリーが中心になっているのが不愉快だ、というところか。 前の3作まではハリーもロンもハーマイオニー(エマ・ワトソン)もまだ幼くて、そこまで考えていなかっただろうけれど、この4作になると彼らも成長している。自分というものを自覚するようになり、なぜハリーばっかり?と思うようになったのでしょうか。 親友であったロンが、ひねくれてしまう。 なぜこの「炎のゴブレット」を初めて見たときに面白くなかったのか? 仲良し3人組が仲違いするのを見て、こういうのは見たくないと思ったからでしょうか。 親友であるロンがなぜハリーを信じないのか? ハリーが選手選抜でインチキをするはずがない、そのような子であるはずがない。なぜそう信じないのだろう?、頭っからなにか細工をしたんだと決めてかかっている、なぜそれを僕に教えないんだと。 ハリーに言わせると「僕を見損なうな!」です。お互いを理解し合い、気ごころを知り合った親友であるはずのロンがなぜハリーを見損なうんだろう? この第4作以降は、ハリー、ロン、ハーマイオニーの関係はなにかギクシャクしていって、これまでのお気楽な仲良し3人組ではなくなってしまう。 ダニエル・ラドクリフ Daniel Radcliffe 1989年7月23日生まれ 出身地はイギリスのロンドン ルパート・グリント Rupert Grint 1988年8月24日生まれ 出身地はイギリスのハートフォードシャー エマ・ワトソン Emma Watson 1990年4月15日生まれ 出身地はイギリスのオックスフォード。
2014年09月17日
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映画「ハリー・ポッター」は、主演の若者たちをベテラン俳優たちが支えています。 魔法・魔術などといった一見すると荒唐無稽な世界を、見ている人にそうと感じさせない「ハリー・ポッター」の世界は、このベテラン俳優たちの存在によるのだと思います。 ホグワーツ魔法魔術学校の校長ダンブルドアを演じるのはリチャード・ハリス。 古くからの英国俳優で、「ナバロンの要塞」(61)「ダンディー少佐」(65)「テレマークの要塞」(65)。 私が映画を見るようになった頃からでは「馬と呼ばれた男」(69)「ジャガーノート」(74)「カサンドラ・クロス」(76)「黄金のランデブー」(77)などのアクション作品があり、近年では「ハリー・ポッター」の他にも「グラディエーター」(2000)のローマ皇帝役などでお顔を拝見しました。 リチャード・ハリスさんは2002年10月にお亡くなりになり、第3作「アズカバンの囚人」からダンブルドア校長役はマイケル・ガンボンに交代。日本語吹替えが同じ永井一郎さんなので違和感がまったくありません。 写真はスネイプ先生を演じているアラン・リックマンさんです。 スネイプ先生は主人公ハリー・ポッターの両親と同級生だったそうで、ハリーの父とは仲が悪かったことからハリーに対して好感情がなく厳しい態度をとります。 声の吹替えは土師孝也(はし・たかや)さんで、キャラクター的にピッタシ合った日本語吹替えを聞かせてくれます。 アラン・リックマンといえば、髪の色も風貌も変えているのでわかりにくいけれども、「ダイ・ハード」(1988)の悪役ハンス・グルーバー役で知られています。 他にも、マクゴナガル先生のマギー・スミスさんは「ミス・ブロディの青春」(68)「素晴らしき戦争」(69)「名探偵登場」(76)「ナイル殺人事件」(78)などの古くからのベテラン女優です。 巨漢の森番ハグリッドを演じるロビー・コルトレーンは「007ワールド・イズ・ノット・イナフ」(99)に出ています。ハグリッドはハリーやハーマイオニーと仲良しの良い役ですねぇ。 このようなイギリス俳優のベテランたちが「ハリー・ポッター」世界の土台をしっかりと支えています。 ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)と親友のロン(ルパート・グリント)、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)たちは4年生に進級。 今年は、三大魔法学校・対抗試合が100年ぶりに行われるという。ダームストラング校とボーバトン校、ホグワーツ校の魔法学校3校の代表選手1名ずつが魔法競技を競うもの。 代表選手は立候補した生徒の中から「炎のゴブレット」が選ぶのだが、各校の代表3名が選ばれた後、立候補をしていないハリーがなぜか4人目の選手として選ばれてしまう。 なぜ自分が競技に?、理由も分からぬままハリーは始まる3つの危険な試合に挑むことになる。 公開時に映画館で見た時にあまり面白くなかった、と書きましたが、なぜか? つづく。
2014年09月16日
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2005年外国映画興行成績です。 金額は興行収入1位「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」 115億円 2位「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」 91億7000万円3位「宇宙戦争」 60億円 4位「チャーリーとチョコレート工場」 53億5000万円 5位「Mr.インクレディブル」 52億6000万円 6位「オペラ座の怪人」 42億円 7位「ターミナル」 41億5000万円 8位「オーシャンズ12」 36億円 9位「私の頭の中の消しゴム」 30億円 10位「四月の雪」 27億5000万円「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」をブルーレイソフトで鑑賞しました。 劇場公開時にも見たのですが、家で見ると異なった印象を受けるものです。映画館ではあまり面白いとは思わなかったのに、これはけっこういけるではないかと。 写真はスネイプ先生(アラン・リックマン)に「授業中におしゃべりするな!」と頭を押さえつけられるロンとハリー。このような場面を見ると、自分の学校時代を思い出してつい笑ってしまう。授業中のおしゃべりで先生に叱られるのは万国共通なのでしょう。ハリー・ポッターと炎のゴブレット(2005) HARRY POTTER AND THE GOBLET OF FIRE監督 マイク・ニューウェル製作 デヴィッド・ハイマン原作 J・K・ローリング脚本 スティーヴ・クローヴス撮影 ロジャー・プラット美術 スチュアート・クレイグ衣装 ジェイニー・ティーマイム編集 ミック・オーズリー音楽 パトリック・ドイル出演 ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン トム・フェルトン、ケイティ・ルング、マシュー・ルイス レイフ・ファインズ、マイケル・ガンボン 本編157分 総天然色 シネマスコープサイズ 製作会社が「アズカバンの囚人」まではイギリスの「ヘイディ・フィルムズ」とアメリカの「1492ピクチャーズ」だったのが、この第4作以降はヘイディ・フイルムズのみになりました。 ヘイディ・フイルムズはデヴィッド・ハイマンのプロダクション、1492ピクチャーズはクリス・コロンバスのプロダクションです(クリス・コロンバスは第1、2作を監督)。 この第4作「炎のゴブレット」からは製作者にクリス・コロンバスの名が見られなくなっています。 第3作まではイギリス・アメリカ映画だったのが、第4作からイギリス映画になったということか? つづく。
2014年09月15日
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その罵詈雑言にキレたハリーがおばさんを風船にしてダーズリー家を飛び出してしまう。 現れた3階建バスに乗ってハリーはダイアゴン横町の「漏れ鍋」へ。 夏休みが終わって新学期が始まるが、ハリーはアズカバンを脱獄したシリウス・ブラックが自分を狙っていることを知ります。 シリウス・ブラックはハリーの父の親友で、ハリーの名付け親でもあるが、裏切ってヴォルデモート卿がハリーの両親を殺害するのに関与したとされる男。 大量殺人の凶悪犯としてアズカバンに収監されていた、そのシリウス・ブラックが脱獄し、ハリーの命を狙ってホグワーツ魔法魔術学校に近づいているという。 シリーズ第3作で、前作までのような学園もの、魔法の楽しさ、といった感じが薄れて、全体にダークな雰囲気になったようです。 監督が交代したことよりも、前作までが序章前章だったとすれば、いよいよハリー・ポッターの運命が動き出して敵の存在が見えてきた、ハリーと宿敵ヴォルデモートの戦いが幕開きといったところか。 「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」予告編(YouTub)はこちらです。 私は原作小説を読もうと思ったが第1巻の数ページで投げ出してしまったくらいで、そんなわけだから原作にはまったく思い入れがありません。だからか、この「ハリー・ポッター」をファンタジー映画として楽しんで、面白く見ています。 今回はブルーレイソフトでの「賢者の石」「秘密の部屋」と「アズカバンの囚人」鑑賞です。 当然と言えば当然ですが、ブルーレイはいいですね。このシリーズは山や森、湖など自然の風景シーンが多いのですが、以前にDVDで見た時とは別な映画を見ているような新鮮な印象を受ける、まさに精細なブルーレイ画質に最適な映画です。 このシリーズ、そもそもの対象観客はどの年齢層なのか?、冒険魔法ファンタジーの学園ものならば小学生でもいいだろうけれども、この第3作のダークな画面作りを見ると、もっと対象年齢層が高いようです。 ハリーとロン、ハーマイオニーが「賢者の石」のまだ幼い子供だった時は、小学生にも身近な共感できる主人公だったのが、今作のように成長してしまうと、観客年齢も当然に高くなってしまうのでは。 この後、さらに彼らも成長してゆくのですが。 この第3作では中心になるのはシリウス・ブラックとヒロインのハーマイオニーですね。ロンなど出番がないといってもいいくらいで。 知性抜群で小生意気なヒロイン ハーマイオニー(エマ・ワトソン)は、男性ファンだけでなく女性にも好まれているようです。 マルフォイの顔面にパンチをくらわすところなど溜飲が下がる場面で、ゲスなマルフォイ(この人、意外に人気があるらしい)も女の子に殴られたとは沽券に関わるので、誰にも言えない。
2014年09月14日
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2004年の外国映画興行成績です。 金額は興行収入1位「ラストサムライ」 137億円2位「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 135億円3位「ファインディング・ニモ」 110億円4位「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」 103億2000万円5位「スパイダーマン2 」 67億円6位「デイ・アフター・トゥモロー」 52億円7位「トロイ」 42億円8位「アイ,ロボット」 37億5000万円9位「ホーンテッドマンション」 34億円10位「ヴァン・ヘルシング」 28億円 第1作「ハリー・ポッターと賢者の石」 2001年12月1日公開 第2作「ハリー・ポッターと秘密の部屋」 2002年11月23日公開 「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」は2004年6月26日に日本公開されたシリーズ第3作です。 監督が前2作のクリス・コロンバスからアルフォンソ・キュアロンに交代。 それとダンブルドア校長の役がリチャード・ハリス(2002年10月25日没)からマイケル・ガンボンに交代しています。「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」(2004) HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN監督 アルフォンソ・キュアロン 製作 デヴィッド・ハイマン、クリス・コロンバス、マーク・ラドクリフ 原作 J・K・ローリング 脚本 スティーヴ・クローヴス 撮影 マイケル・セレシン 編集 スティーヴン・ワイズバーグ 音楽 ジョン・ウィリアムズ出演 ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン ゲイリー・オールドマン、ロビー・コルトレーン、マイケル・ガンボン アラン・リックマン、マギー・スミス 本編142分 総天然色 シネマスコープサイズ「ハリー・ポッター」の映画化は、 面白く見て楽しんでいる人と、つまらないとして否定的にみている人との両極端なようです。 自分が興味がないからということで批判するのは、興味がないなら見なければいいのに、それだけでの理由でこのシリーズをけなすのはまったくの的外れ。 多いのは、原作を端折りすぎだとか、原作にあったあの場面がないこの場面がないということでの批判ですが、これも的外れです。 原作小説を2時間余の映画にするには短縮や省略は当然のことで、原作小説を寸分違わずに映像化するとすればどれだけの長時間を要するか?、そんなことを少しも理解しないでの批判です。そもそもが原作小説を寸分違わずそのまま映像化するのは無意味であり、小説と同じものを求めるならば小説を読んでいればいい。 映画は小説と同じである必要はなく、映画オリジナルの場面があってもいいはず。小説は小説であり、映画は小説のイメージをそこなわない範囲での、別物であると考えるべきです。 明日につづく。
2014年09月13日
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「ハリー・ポッターと賢者の石」 2001年12月1日公開 203億円「ハリー・ポッターと秘密の部屋」 2002年11月23日公開 173億円「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 2004年6月26日公開 135億円「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」 2005年11月26日公開 115億円「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」 2007年7月20日公開 94億円「ハリー・ポッターと謎のプリンス」 2009年7月15日公開 80億5000万円「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 1」 2010年11月19日公開 68億6000万円「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2」 2011年7月15日公開 96億7000万円 J・K・ローリング著、静山社刊の原作小説は1999年「ハリー・ポッターと賢者の石」 初版2万7000部、累計508万部 税込価格1995円2000年「ハリー・ポッターと秘密の部屋」 初版16万部、累計433万部 税込価格1995円2001年「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 初版80万部、累計382万部 税込価格1995円2002年「ハリー・ポッターと炎のゴブレット(上・下)」 初版230万部、累計350万部 税込定価3990円2004年「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(上・下)」 初版290万部、累計290万部 税込価格4200円2006年「ハリー・ポッターと謎のプリンス(上・下)」 初版200万部、累計212万部 税込価格3990円2008年「ハリー・ポッターと死の秘宝(上・下)」 初版180万部、累計185万部 税込価格3990円 (部数は2008年8月19日時点) 映画の興行収入は第1作が203億円の記録的好成績だったのが回を重ねるごとに低下してゆき、最終作では第1作の半分以下になっています。 原作小説の場合は、第1作は、どれだけ売れるかわからない状態での刊行とすれば様子見ということで2万7000部の初版。それが思った以上に評判が良くて売れたので増刷されて、結果的に508万部の発行となった。ただ実売数はどれだけだったのか?、私にはわからない。 それが最終作の「ハリー・ポッターと死の秘宝(上下)」は初版が180万部で、累計が185万部。初版以降はまったく伸びていなくて、ほぼ初版のままで終わったということです。 本を買う立場から見れば、3990円は高いですね。こんなに高い本を誰が買うのか?、よほどのファンでないと買わないのではないか、と思います。 そして、古書店に大量の数が出回ったのはどういうことなのか?、先にも書いたけれど、近所のブックオフでは105円で投げ売り、もってけ市のようなありさまでした。 買ったけれど、すぐに売ったという人が大勢いたのだろう、古書店に大量に売られたのだと思います。 我が家ではカミさんが全巻買いそろえたので、その第1巻を見せてもらったのですが、とても読めない内容でした。最初の数ページを読んだだけでギブアップ。私には受け付けない文体です。 文体が読みにくく、さらに特殊フォントや太字、囲み文字、網かけ文字など、なんだこれは? 司馬遼太郎さんや池波正太郎さんのような気持ちが良いくらいに頭にスラスラ入ってくる文体に慣れ親しんだ身としては、とても読めたものではない。 もしも自分がお金を出して買っていたら・・・、ブックオフに大量に積まれていたのが納得です。 映画は面白く見たのですが(第1作から第3作までが面白く、とくに第3作の「アズカバンの囚人」がベストだと思う)、原作小説は、翻訳のせいなのか、私には合わないようです。
2014年09月12日
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2002年外国映画興行成績です。 金額は興行収入1位 「ハリー・ポッターと賢者の石」 203億円 2位 「ハリー・ポッターと秘密の部屋」 173億円 3位 「モンスターズ・インク」 93億7000万円 4位 「スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」 93億5000万円 5位 「ロード・オブ・ザ・リング」 90億7000万円 6位 「スパイダーマン」 75億円 7位 「オーシャンズ11」 70億円 8位 「メン・イン・ブラック2」 40億円 9位 「I am Sam アイ・アム・サム」 34億6000万円 10位 「サイン」 34億円 1位と2位が「ハリー・ポッター」ですが、「賢者の石」が2001年12月1日、「秘密の部屋」が2002年11月23日公開なので1年間に2本が入ることになりました(興行成績は12月~翌年11月までの統計)。「ハリー・ポッターと賢者の石」(2001) HARRY POTTER AND THE PHILOSOPHER'S STONE監督 クリス・コロンバス 原作 J・K・ローリング 脚本 スティーヴン・クローヴス 撮影 ジョン・シール 音楽 ジョン・ウィリアムズ 出演 ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン リチャード・ハリス、マギー・スミス、アラン・リックマン ロビー・コルトレーン、トム・フェルトン 本編152分 総天然色 シネマスコープサイズ 世界的ベストセラー児童向けファンタジー小説「ハリー・ポッターと賢者の石」の映画化作品です。 J・K・ローリング(J・Kは何の略?)著。原作小説が英国で出版されたのは1997年6月。日本では1999年12月に静山社から刊行されました。 その映画化されたのが2001年で、英国の公開は11月4日、アメリカは11月16日、日本では12月1日です。この公開時点では原作は第3作「アズカバンの囚人」までが刊行されている(2001年7月、日本の場合)。 原作の第1巻「ハリー・ポッターと賢者の石」。日本での累計発行部数508万部(定価は税抜1900円)。 2000年度のベストセラーランキングでは、1位「だから、あなたも生きぬいて」 大平光代 講談社 2位「話を聞かない男、地図が読めない女」 アラン・ピーズ 主婦の友社3位 「ハリー・ポッターと賢者の石」「ハリー・ポッターと秘密の部屋」 J.K.ローリング 静山社 このランキングデータはおかしくないでしょうか?「賢者の石」と、2000年9月14日発行の第2巻「秘密の部屋」を合わせても第3位だとは。「賢者の石」の初版は2万7000部(重版されて一ヶ月で28万部、累計508万部)、「秘密の部屋」初版は16万部。累計433万部。 ちなみに最終作の「ハリー・ポッターと死の秘宝」2008年刊行は初版180万部、累計で185万部。 べストセラーは発行部数だけで決められるものではないのですが、実売数はどれくらいだったのか? 第1作「賢者の石」と第2作「秘密の部屋」の時は話題作というか、大きな流行になったからというだけで、普段は本を読まない人までが買ったという現象が起きたのではないかと? 古書店にはたくさんの冊数が出ていて、ブックオフでは大安売りされました。1冊105円で特売セールがあったくらいで、買ったけれどもすぐに売ってしまった人が多かったのではないかと。 最終作まで付き合った人たち、その人たちが本当の「ハリー・ポッターのファン」なのではないだろうか? 第1作「賢者の石」の累計509万部と最終作「死の秘宝」の累計185万部、この落差がそれを表しているのではないかと。
2014年09月11日
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「アイアン・スカイ」(2012) 「IRON SKY」 本編93分 フィンランド・ドイツ・オーストラリア合作映画監督 ティモ・ヴオレンソラ脚本 マイケル・カレスニコ、ティモ・ヴオレンソラ衣裳デザイン ジェイク・コリアー出演 ユリア・ディーツェ、ゲッツ・オットー、 クリストファー・カービイ 他 映画チャンネルのムービープラスで放送された時の録画で鑑賞したのですが、SF映画ともいえず、社会風刺ドラマというにはブラックなおふざけが過ぎて、見ている間ずっと居心地の悪さを覚えました。 2018年という時代設定で、アメリカ合衆国大統領が再選キャンペーンとして46年ぶりに月面に有人宇宙船を送る。ダークサイド・ムーン、地球からは見えない月の裏側ですが、そこで発見したものはナチス・ドイツの巨大な基地だった。ナチスは1945年のベルリン陥落の際に秘密裏に開発した宇宙ロケットで月へと脱出していて、再び地球に舞い戻る侵攻計画を準備していた。 1945年の時点でナチスが月へ脱出するには宇宙ロケットだけでなく、それ以前から受け入れるための月面施設を建設しておかなければならないわけで、いきなり行けるものではない、という荒唐無稽さについては、漫画的娯楽映画なのだから野暮を言うつもりはないし、荒唐無稽なB級SF映画は大好きです。 しかし、居心地悪く見ることになったのは、プロの作品とは思えないようなアマチュア感があるからか、登場するナチス式の黒い制服の邪悪な禍々しい不快感のためか、とにかく見ていて愉快な映画ではなかった。「ナチスが月から攻めて来た」というキャッチコピーで、べつにナチスが月から地球侵略に来たっていいけれど、このような映画を見てナチスやその制服がカッコ良いとあこがれる人がいたらどうしよう、というそんな心配をしてしまいました。 月からナチスが円盤に乗って地球に攻めてくる。それを迎え撃つアメリカの女性大統領、以下、地球を代表する国々の宇宙船が戦うわけですが、彼らはお互いエゴのかたまりで、勝利のあとも月面にナチスが蓄えていた未来燃料ヘリウム3の奪い合いで、世界大戦が起こったのか、核弾頭ミサイルの撃ち合いになってしまう。 ナチス・ドイツをパロディにして笑い飛ばしているわけではなくて、しょせん人間のやることは欲望の結果であり、ナチスもアメリカも、エゴをむき出しにする各国々もおなじことだ、といっているようです。 作中で、チャップリンの映画「独裁者」(1940)が出てきます。地球の形をした風船をチャップリンがもてあそぶシーンを中心に編集したものをヒロインのレナーテ・リヒター(ユリア・ディーツェ)が見て、「総統がいかに地球を愛していたかが分かりますね」と子供たちに言う。 チャップリンがヒトラーを批判風刺した「独裁者」を編集してナチス礼賛の短篇映画として少年少女の教育に使う。映像を意図的に編集してテーマを逆のものにすりかえてしまう恐ろしさ、を感じました。
2014年03月14日
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1989年の外国映画興行成績です。 金額は配給収入。1位 「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」 44億円2位 「レインマン」 32億6000万3位 「カクテル」 17億5000万4位 「ロジャー・ラビット」 14億4600万5位 「ブラック・レイン」 13億5000万6位 「ツインズ」 12億4000万7位 「星の王子ニューヨークへ行く」 12億1000万8位 「ダイ・ハード」 11億5000万9位 「子熊物語」 7億6000万10位 「3人のゴースト」 7億3800万円 この10作品では「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」と「ダイ・ハード」が自分的にはベストで、「レインマン」も素敵な映画だと思います。 しかしながら、この年で忘れてならないのが香港映画「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」です。1987年作品で、日本公開は1989年1月。 大ヒットして、続編も作られて、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2」(90)と「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー3」(91)があります。 このシリーズは3本ともリアルタイムで劇場鑑賞していて、当時は映画館へ行く回数は極度に減っていたけれど、このシリーズは気に入って映画館で見たのをよくおぼえています。 昔々の、いつの頃かわからないけれど、昔々の時代の中国が舞台。 貧乏書生のツォイサン(レスリー・チャン)は貸金の集金をする仕事で各地を旅している。 途中で雨に降られて、貸金の書いてある帳面が濡れてしまい文字が読めなくなります。 集金が出来ないために宿泊する金もなく、蘭若寺という古ぼけた寺に泊まることに。 その夜、聞こえてきた琴の音に誘われて湖へ出たツォイサンは美女スーシン(ジョイ・ウォン)と出逢う。 ツォイサンが出会った美しいスーシンは幽霊で、1年前に悪漢に襲われて死んだという。蘭若寺の裏に埋葬されたが遺骨をロウロウという悪い妖怪に握られ、男を誘惑するよう強制されている。 幽霊スーシンはツォイサンを誘惑するが、彼の優しく純朴な人柄に惹かれてゆく。ツォイサンは蘭若寺に住むイン道士(ウー・マ)の助けを得て、スーシンの霊を救うために妖怪ロウロウに立ち向かう。 スーシンの生い立ちが真実とすれば、本人は冗談だよーと笑うが、きっと真実で、だとすればあまりにも哀しく悲惨で不幸なこと。彼女の霊を救おうとするツォイサンの健気で善良な優しさが見る者の胸を打つ、哀しいラブストーリーです。 初めて見た時は、アクションシーンではほんとうに空を飛んでいるように感じて、このワイヤーアクションはすごいな!と。 日本映画は香港映画に完全に負けていると思いましたね。 ジョイ・ウォンさんがとても美しく、1990年前後の時代を代表する女優です。 娯楽映画としても素晴らしく、このようなファンタジー世界をなぜ日本映画は作れないのか、と思ったものです。
2014年03月13日
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「タイタンの戦い」(2010)の続編「タイタンの逆襲」(2012)をブルーレイで鑑賞。 この映画は劇場公開時に3Dで見てがっかりしたのですが、ふつうに家のテレビで見るとそれほどひどくはない。 確かに内容はないに等しいけれど、ギリシャ神話を題材にした映画が好きなので、それなりに退屈せずに楽しめました。劇場よりテレビで見るのに合っているのかも。 前作の「タイタンの戦い」はギリシャ神話のペルセウスの物語を映画にした、1981年の同名作品を現代のCG技術を使ってリメイクするという熱意があって良かったのですが、この続編はギリシャ神話にはないまったくのオリジナルストーリーです。 ゼウスに騙されて冥界の王になってしまった兄のハデスが、ゼウスの息子アレスと結託して、かつてゼウスたちが地の底タルタロスに落として封じ込めたクロノス(ゼウスの父)を蘇らせようとする。 その前兆として地中の冥府から怪物が現れ、人間たちが苦戦していて、その先頭に立って軍隊の指揮をしているのがアンドロメダ女王(ロザムンド・パイク)です。 ハデスとアレスが冥界にゼウスを捕らえている、それを救出に向かうペルセウスと、ポセイドンの息子アゲノール、アンドロメダ女王たち。 炎と鍛冶の神(ゼウスの息子で妻がアフロディーテ)が登場してペルセウスたちを道案内したりするけれど、話が神話から離れてしまっているのでストーリーに奥行きがないのが欠点のようです。 だいたいがゼウスやポセイドンが死んで砂になって崩れてしまうというのはいかがなものか? 人間の崇拝が薄れたことで神としての力が衰えたとはいえ、死なせてしまってはどうしようもないのでは。ゼウスやポセイドンが死んで、そのあとの神々の世界はどうなるのか? 冥府から飛び出して襲ってくる怪物とギリシャの軍隊が戦う場面はよくできていて、これは見ものです。最高指揮官のアンドロメダ女王の甲冑姿も凜々しくてカッコ良い。 襲ってくる怪物にひるむことなく、一歩も引かずに戦う兵隊たちも「熱い」ですね。この兵隊たちの熱い男ぶりは主人公ペルセウスより上かも。「タイタンの逆襲」という邦題は、ずっと昔のイタリア映画(1962)と同じものです。 ジュリアーノ・ジェンマ主演、ドゥッチオ・テッサリ監督の、ジェンマさんがマカロニ西部劇で人気を得る前の史劇ですが、それとは何の関係もないようです。 今はギリシャ神話を題材にした映画が流行なのでしょうか?「トロイ」(2004)あたりから始まって、「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」(2010)、「インモータルズ 神々の戦い」(11)など。 古くは「アルゴ探検隊の大冒険」(63)や「トロイのヘレン」(55)があって、このようなジャンルの映画が好きです。
2014年01月02日
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2010年の外国映画興行成績です。 金額は興行収入(チケット売上げ)。1位 「アバター」 156億円2位 「アリス・イン・ワンダーランド」 118億3位 「トイ・ストーリー3」 108億4位 「カールじいさんの空飛ぶ家」 50億5位 「バイオハザード IV アフターライフ」 47億6位 「インセプション」 35億7位 「オーシャンズ」 25億8位 「ナイト&デイ」 23億1000万9位 「シャーロック・ホームズ」 21億6000万10位 「ソルト」 20億5000万11位 「セックス・アンド・ザ・シティ2」 17億4000万12位 「シャッターアイランド」 17億13位 「タイタンの戦い」 15億8000万円 第13位の「タイタンの戦い」(2010)はギリシャ神話を題材にしたアクション・ファンタジーで、1981年の同名映画をリメイクしたものです。 1981年版は特撮の大御所レイ・ハリーハウゼンさんによるもので、「アルゴ探検隊の大冒険」や「シンドバッド黄金の航海」の系列です。 人形アニメーションの特殊撮影だったのですが、2010年版はCGを駆使して現代風に新しく再製作しました。 オリンポスの最高神ゼウスを頂点として神々が世界に君臨していた古代ギリシア時代。 ゼウスは空、ポセイドンは海を司り、ハデスはゼウスに騙されて冥界の王となっていた、そのような神と人間が共存していた時代。 神が人間を創造し、人間たちの崇拝を糧に不老不死を保っている。しかし、傲慢な神のおこないに対して人間たちは不信感を抱くようになっていて、ついにアルゴスの都の人々が神々に反旗を翻す。 ゼウスの石像を破壊したり、神を冒瀆したりする人間たちに対してゼウスとハデスは懲らしめが必要だと。 神を侮辱する人間たちを痛めつけて、神を恐れるようにしないとならない、ということになって、ハデスはアルゴス王の愛娘アンドロメダ姫を海の怪物クラーケンの生け贄に差し出さないとアルゴスの都を徹底的に破壊し、人間たちを滅ぼすであろうと脅迫します。 神ゼウスが人間の王妃に生ませたペルセウス(サム・ワーシントン)は、怪物クラーケンを倒すために必要な魔女メドゥーサの首を求めてアルゴス王の警備兵たちとともに旅立ちます。 神ゼウスの息子でありながら善良な漁師夫婦に育てられたペルセウスが人間側に味方して、アルゴスの警備隊長や若い兵隊、猟師の兄妹、ペルセウスを守護するイオ(ジェマ・アータートン)らとチームを組んで魔女メドゥーサを、クラーケンを、冥界の王ハデスを倒すべく立ち向かってゆく。 選抜された一筋縄ではいかないような猛者たちがチームになって困難に挑戦する。 途中で次々と仲間たちが倒されてゆくのですが、荒くれだけど人間味のある男ども。こういう設定は昔からあるアクション活劇の定番ですが、「熱い男たち」が描かれていて気持ちの良いものです。ゼウスが人間の王女ダナエ(映画は王妃)に生ませた半神の英雄ペルセウスがゴルゴンの三姉妹の末妹メドゥーサの首を取ってくる話と、それに続くアンドロメダ姫を海の怪物から救う話を題材にしています。 髪が蛇で、その恐ろしい姿を見た者は石になってしまうというメドゥーサを知らない人はいないでしょう。 日本人にもよく知られたギリシャ神話の物語ですが、このようなよく知られた話は映画の題材としてわかりやすく、とくに背景の解説もいらないので、見ていて楽しめますね。
2014年01月01日
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近年の流行のひとつで、「ヴァンパイア・ロマンス」というのがあります。 映画の「トワイライト-初恋-」(08)がその代表かと思うのですが、テレビシリーズの「ヴァンパイア・ダイアリーズ」や「トゥルーブラッド」などは、本屋へ行くと原作本がずらりと並んでいる。 かつては忌まわしい存在だった吸血鬼(ヴァンパイア)のハンサム青年に人間の女の子が恋をする。 このような恋愛を中心にしたものは女性の観客・視聴者・読者を対象にしていると思われ、女性を相手にした方が儲かるということですね。 現代は「若い女性客を集めなくてはだめだ」というのが興業の常識になっているようです。なぜか女性は吸血鬼に魅かれるようで、なぜだろう?被虐趣味なのか、映画でも吸血鬼に血を吸われる時は、うっとりした顔になっている。 1931年の「魔人ドラキュラ」(トッド・ブラウニング監督、ベラ・ルゴシ主演)あたりから始まった吸血鬼映画。 1850年代後半にイギリスのハマー・プロが製作した「吸血鬼ドラキュラ」(58)が初の総天然色作品となって登場し、クリストファー・リーのドラキュラとピーター・カッシングのヘルシング教授。 これがシリーズ化されて、「吸血鬼ドラキュラの花嫁」(60)「帰ってきたドラキュラ」(68)「ドラキュラ血の味」(70)「ドラキュラ血のしたたり」(71)「ドラキュラ'72」(72)など。 クリストファー・リーとピーター・カッシングのご両人が出たり出なかったりはするけれど、このハマー・プロの怪奇映画は現在でも人気があるようです。 そんな怪奇が前面に出ていた「吸血鬼」が、近年は「ヴァンパイア」となって、若い女性の恋愛の対象になっています。けったいな時代になったものだ。
2013年07月30日
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昨年11月に日本公開された映画「リンカーン秘密の書」(2012)をブルーレイで鑑賞。 邦題はニコラス・ケイジさんの「ナショナル・トレジャー」みたいな感じですが、原題の「ABRAHAM LINCOLN: VAMPIRE HUNTER」は内容そのものです。製作ティム・バートン、ジム・レムリー監督ティムール・ベクマンベトフ出演ベンジャミン・ウォーカー、ドミニク・クーパー、メアリー・エリザベス・ウィンステッド 出演者は知らない俳優ばかりで、近年のアメリカ映画は俳優がつぎつぎと新しい人が現れているようです。 アメリカで最も尊敬され、偉大な大統領とされるエイブラハム・リンカーン。実はヴァンパイア・ハンターだったという奇想天外どころか荒唐無稽、ぶっ飛ぶような、日本では考えられないような設定。 南部がヴァンパイアに支配され、奴隷制度がヴァンパイアどもの食糧供給源になっていて、その毒牙が北部にまで及ぼうとしている。 子供の頃にヴァンパイアに母親を殺されたエイブラハム・リンカーン(ベンジャミン・ウォーカー)は、ヴァンパイア・ハンターとなる傍ら、弁護士をめざして法律を勉強。やがて大統領となって、奴隷解放宣言を出し、アメリカ国土をヴァンパイアの魔手から守るための南北戦争へと。 日本でいえば、徳川幕府が吸血鬼に支配されていて、それを倒すために西郷吉之助(のちの隆盛)が討幕軍を組織して日本を吸血鬼から守るために立ち上がるといったぐあいか? 日本には尊敬される政治家がいないので作りようがないし、もし作っても、くそまじめな日本人には受けないのではないでしょうか。日本とアメリカの国民性の差だと思います。 第16代大統領エイブラハム・リンカーンがヴァンパイア・ハンターで、南北戦争がヴァンパイアとの戦いだったとはねぇ。 どちらかといえば未公開B級映画の500円DVDのワゴンセールにあるような感じの作品。こういうの嫌いじゃないのでそれなりに楽しんだ、です。
2013年07月29日
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アメリカの漫画主人公ディック・トレイシー。 アメリカン・コミックの好きな人ならともかく、日本ではバットマンやスーパーマンに比べると知名度が低いような気がします。 映画「007死ぬのは奴らだ」(73)でペッパー保安官(クリフトン・ジェームズ)がモーターボートで爆走するボンドを逮捕しようとする場面で、英国秘密諜報員のジェームズ・ボンドだと身分を明かすと、「ボンドだと?、ふざけるな、だったら俺はディック・トレイシーだ!」と言う(字幕翻訳は高瀬鎮夫さんだった)。 世界一有名なスパイ、ジェームズ・ボンドと肩を並べるくらいにアメリカ人にとっては有名なヒーローなのでしょう(007映画はイギリスだけれど)。 アメリカの漫画家チェスター・グールドという人が生みだしたキャラクターで、コミック雑誌ではなく新聞に載った漫画のようです。 1930年代、禁酒法が廃止されたばかりのアメリカのある街で凶悪犯罪捜査班を指揮する主任刑事。 トレードマークの黄色い帽子とコートを身にまとい、腕時計型の無線機で部下と連絡を取りつつ、明晰な頭脳と果敢な行動力で街にはびこるギャングたちと日夜戦っている正義感あふれるヒーローです。 その本格的な劇場実写映画「ディック・トレイシー」(1990)。 製作・監督・主演ウォーレン・ベイティ。 出演 アル・パチーノ、ダスティン・ホフマン、マドンナ、グレン・ヘドリー 1930年代のとある犯罪都市。刑事ディック・トレイシー(ウォーレン・ベイティ)は、街を牛耳るギャングのボスであり宿敵でもあるビッグ・ボーイ・キャプリス(アル・パチーノ)を追っている。 恋人のテス(グレン・ヘドリー)には「安全な内勤に移ってよ」と言われているが、あくまで現場で悪と戦う日々を生きがいにしているディック・トレイシーです。 暗黒街組織を傘下に収めてビッグボスになろうと、邪魔者を消していくビッグボーイ。 その支配下に置かれたナイトクラブの歌手の役でマドンナさんが出演しています。 ビッグボーイ逮捕に協力する条件としてトレイシーの愛を要求したりする。 自分的にはマドンナさんよりも、トレイシーの恋人テスのグレン・ヘドリーさんのほうが100倍も魅力的に思えるのですが、このイカした恋人とトレイシーを慕う孤児の少年が少年探偵のような感じで物語の幅を広げています。 コミックの映画化ですが、ふつうの実写映画化ではなく、その画面がまさにコミックの世界そのものの赤・青・緑・黄・白・黒で彩色したマンガ感のある世界が展開する。 主人公側の人物を除いて悪漢たちはすべて特殊メイクをほどこして誇張したキャラになっているけれど、漫画らしさを出すのが目的だとすれば少々やりすぎか?、でも出演者たちが楽しんでいる感じがあっておもしろいです。 コミックの実写映画化はリアルなものより、このような漫画世界感のあるものが好きです。 製作・監督・主演のウォーレン・ベイティさん。「俺たちに明日はない」(1967)で銀行強盗ボニーとクライドのクライド・バロウを演じて一躍有名スターになったのですが、「Warren Beatty」は、かつてはビューティー、ビーティー、そして最近はベイティと表記されるようになりました。本人の要望で日本語表記が改められたそうです。 先年に公開されてヒットしたバットマンの「ダークナイト ライジング」(2012)、その前作の「ダークナイト」(08)、その前作「バットマンビギンズ」(05)よりも、1989年のティム・バートン監督の「バットマン」(主演マイケル・キートン)のほうが100倍も好きだと思うのは、その漫画らしさ感があるからです。「バットマン」(89)、「バットマンリターンズ」(92)、「バットマンフォーエヴァー」(95)、「バットマン&ロビン Mr・フリーズの逆襲」(97)の4本がバットマン映画のベストで、バットマンはこの4本につきると思っている。「バットマンビギンズ」(05)からの新しいバットマン映画は嫌です。コミックをリアルに映画化してどうするんだ?と思うし、見ていて気分が悪くなるリアルな悪役には嫌悪感があるだけです。
2013年07月14日
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特撮監督の大先生レイ・ハリーハウゼンさんが5月7日にお亡くなりになったのを知りました。 1920年6月29日生まれ、2013年5月7日没(92歳)。 ご冥福をお祈りいたします。 現代ではCGでどんな特撮(と言えるか?)も可能で、撮れないシーンはないといえる時代ですが、かつては「キング・コング」(1933)あたりから始まった、人形を少しずつ動かして撮影する方式の特撮。「人形アニメーション」とか「ストップモーション・アニメーション」と呼ばれるものが主流でした。 日本では東宝の怪獣映画やSF映画など着ぐるみに人間が入っての特撮が主流で、費用と手間がかかる人形アニメの特撮が根付かなかった。 レイ・ハリーハウゼンさんは「キング・コング」に憧れて特撮の道に入ったそうで、「ダイナメーション」とか「ダイナラマ」と名付けられた人形特撮の大家でした。 その手作り感のある特撮は多くの映画人に夢を与え、影響を与えました。 スティーブン・スピルバーグさんやジョージ・ルーカスさん、ティム・バートンさんやピーター・ジャクソンさんも影響を受けた方々ですね。 私が初めてハリーハウゼン先生の特撮を映画館で見て「これはすごい!」と驚いたのは香林坊にあった金沢プラザ劇場での「シンドバッド黄金の航海」(73)です。 悪い魔法使いの魔術で動き出した仏像カーリー(写真)。6本の腕に剣を持つ生命を吹き込まれた仏像が動き出してシンドバットたちと剣劇をくりひろげる。 カクカクとした動きが逆にリアル感があって、大見得を切ったようなポーズがすごい。これを見た時に、「今時のウルトラマンしか知らない子供たちに見せてやりたい」と思いました。 現在ではDVDでそのほとんどの作品を見ることができます。「原子怪獣現る」(53)「水爆と深海の怪物」(55)「空飛ぶ円盤地球を襲撃す」(56)「地球へ2千万マイル」(57)「シンドバッド七回目の航海」(58)「SF巨大生物の島」(61)「アルゴ探検隊の大冒険」(63)「恐竜100万年」(66)「恐竜グワンジ」(69)「シンドバッド黄金の航海」(73)「シンドバッド虎の目大冒険」(77)「タイタンの戦い」(81)。 最後の「タイタンの戦い」が1981年で、この頃になるとすでに「スター・ウォーズ」が登場していて、時代はCG特撮に移っていました。 レイ・ハリーハウゼンさんが手作り感あふれる人形アニメ特撮で生み出した冒険ファンタジーやSF世界の魅力。これはけっしてCGでは味わえないものです。
2013年05月10日
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1982年の映画「コナン・ザ・グレート」をDVDで鑑賞。 原題は「CONAN THE BARBARIAN」で「野蛮人コナン」といったところだが、邦題はなぜか「偉大な人」となっています。 英雄コナンの少年期から物語が始まって、両親や村の人々を殺戮した邪教集団のタルサ王に復讐するまでの話。コナンの苦難の生涯はこのあとも続き、最後には王になるとしても「コナン・ザ・グレート」の邦題は気が早すぎる感じがします。 時は1万2000年くらい昔のハイボリア文明の時代。アトランティスが沈んだすぐあとで、現在の歴史文明がまだ始まっていない有史以前の物語です。 キンメリア族の村が、ある日突然に黒衣の騎馬集団に襲われる。少年コナンは刀剣鍛冶の父母を殺され、村の大人たちは皆殺しになり、子供たちは捕らえられて奴隷にされる。 コナンも巨大な挽き臼を一生涯引かされる奴隷として、彼一人が生き残って重労働で筋骨たくましく成長する。 その後、剣闘士として売られ、数多くの決闘の末に最強の闘士となった彼は、逃がしてくれる者があって奴隷の身から脱走。記憶にある2匹のヘビが向かい合った紋章を手がかりに両親や一族の仇である邪教集団のタルサ王を探す旅に出ます。 旅の途中で、弓の名人である盗賊と女盗賊ヴァレリアを仲間にしたコナンはついにタルサの邪教集団と宿命の対決に。 予告編はこちらです。「名探偵コナン」でも「未来少年コナン」でもない「英雄コナン」。 原作はロバート・E・ハワードで、いまの若い人にはなじみがないと思われるが、1970年から74年頃に早川書房の「ハヤカワ文庫SF」から「英雄コナン・シリーズ」として刊行されていました。「征服王コナン」、「風雲児コナン」、「冒険者コナン」以下、たしか全8冊くらいあったのでは。 E・R・バロウズの「火星のプリンセス」や「地底世界ペルシダー」などとともにヒロイック・ファンタジーの代表的な作品で、私も読んだのですが、いまは1冊も手元に持っていません。もういちど読みたいと思っても絶版で、本はそう簡単に処分するものではないということか。 映画「コナン・ザ・グレート」は凡作という人と傑作という人の正反対の評価があるようです。私には「傑作」とまではいかないにしても「好きな映画」です。 アーノルド・シュワルツェネッガーさんが「ターミネーター」(1984)と「コマンドー」(85)で有名になる前のメジャー映画デビューといえるもので、筋骨ムキムキの英雄コナンの役はシュワちゃんのハマリ役でしょう。 クライマックスの邪教集団との対決。監督のジョン・ミリアスさんは黒澤監督のファンだそうで、先日見た「風とライオン」もそうだったし、今作でも「七人の侍」を思わせるような戦闘シーンになっています。 重量感のある剣を両手で振り回すチャンバラは、ぶった斬る感じで迫力がある。 女盗賊ヴァレリア(サンダール・バーグマン)がしんがりになって追ってくる敵を斬り伏せる場面もカッコいい。「私が死んだら、あなたの危機には地獄からでも加勢に駆けつけるわ」というセリフもあって、これが現実になる。ヒロインが死ぬのは見ていてつらいのですが、この「地獄から加勢に」というのでちょっと救われた気持ちです。
2013年04月13日
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正式な邦題は「黄金の七人1+6エロチカ大作戦」です。 1+6はどんな意味なのか、1人の男に女性が6人か? イタリアの泥棒映画の傑作、「黄金の七人」(1965)には「続・黄金の七人レインボー作戦」(66)があり、監督はマルコ・ヴィカリオ。音楽アルマンド・トルヴァヨーリ。 第3作目の「新・黄金の七人7×7」(68)は監督が代わってミケーレ・ルーポになりました。この第3作目は見る機会がなく、公開時に映画館(北国第シネラマ会館)で見て以来、40数年が経ちます(その間にTV洋画劇場で1回見た?)。 そして「黄金の七人 1+6 エロチカ大作戦」(71)。「黄金の七人」と題されるけれど、シリーズとは関係のない作品です。これは北国シネラマ会館の隣にあった北国第一劇場で見ました。 監督がマルコ・ヴィカリオ、音楽がアルマンド・トルヴァヨーリ、主演女優のロッサナ・ポデスタさんが共通するだけで、泥棒映画ではないし、「黄金の」というのは意味がちがいますね(笑)、同じ金でも、男の金○○が三つあるということから来ているのでしょうか? シチリー島からイタリア北部の町にやってきた青年ミケーレ(ランド・ブッツァンカ)は同郷の知人の紹介で大実業家のお屋敷に執事として住み込みで働くことになり、ご主人の奥さま(ロッサナ・ポデスタさん)のお気に入りとなる。 健康診断で彼にはなんと睾丸が3個あることが判明。精力絶倫の3つ玉男という噂が町中に広まり、上流階級の有閑奥さま達が彼に興味をしめし、あの手この手の誘惑合戦が繰り広げられます。 予告編はこちらです。 この映画、DVDが最近まで定価3990円でしたが、先月末に499円の低価格になって発売された。このお買い得価格はなになのか?、嬉しいことではあります。 これは買わないと損だと、さっそく近所のショッピングセンターにあるレコード店で購入しました。 近年はイタリア映画はどうなったのか?、かつてあれほど大盛況だったのに。 もっともイタリア映画だけでなく、アメリカ映画も含めて外国映画そのものが低調なのですが。 いまでは見かけることのない艶笑喜劇です。こういう明るく陽気で天真爛漫な他愛のない映画は好きです。いいなあ、こういうくだらないエッチな話。 ロッサナ・ポデスタさんをはじめイタリア映画のきれいな女優さんが勢揃い。 あのシルヴァ・コシナさんも出ています。 精力絶倫の三つ玉男で、奥さま達から大モテという、男の夢のような話。うらやましくもあるが、なったらなったで、彼なりの悩みも苦労もあるのだろうな、きっと。
2013年03月07日
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映画「赤ずきん」をDVDで鑑賞しました。 2011年3月に日本公開されたアメリカ映画で、監督キャサリン・ハードウィック、出演アマンダ・サイフリッド、シャイロ・フェルナンデス、マックス・アイアンズ・・・・知らない若手俳優ばかりです。 ヒロインのヴァレリー(赤ずきん)のおばあちゃん役にジュリー・クリスティ、お母さん役にバージニア・マドセン、狼男退治のソロモン神父がゲイリー・オールドマン、このあたりの年齢の俳優さんならわかります(笑) 原題は「RED RIDING HOOD」、レッド・ライディング・フード、乗馬用のフード(ずきん)です。ヒロインのヴァレリーがおばあちゃんからもらった赤い、ずきんというよりマントのような裾の長いものです。「赤ずきん」の話を知らない日本人はいないでしょう。ペロー童話とグリム童話でおなじみの話ですね。 この映画は「赤ずきん」の後日譚と宣伝されていましたが、童話の「赤ずきん」とはまったく関係のないオリジナルストーリーです。 中世ヨーロッパの雪深い山中にある小さな村が舞台。 その森には人狼がいて、村人たちは生け贄をささげることで村人を襲わないという暗黙の了解を得ている。 ところがある日、ヴァレリーの姉が何者かに殺される。村人たちは人狼の仕業だとして狼退治に出かけます。犠牲者が出たものの、狼を退治して一安心と思ったのもつかの間、人狼退治の専門家ソロモン神父が村にやってきて、それはただの狼にすぎず、人狼は村人になりすまして村内にいると言う。 ヒロインのヴァレリーには将来を約束しあった幼なじみのピーターという青年がいて、親が勝手に決めた婚約者ヘンリーがいる。 ヘンリーとの望まない結婚に反発したヴァレリーはピーターと駆け落ちを決心するが、その時に姉が殺害されるという事件が起こり、村は人狼の恐怖におびえることになります。 人狼(字幕では)、日本語吹替え音声では「狼人間」と言っていますが、はたしてその正体は誰か?、というサスペンス映画で、若い男女の三角関係の恋愛があって、雪深い辺境の村が舞台という、ファンタジー色もある。ヒロインの赤い乗馬用フードが雪に映えてファンタジー色が強まっています。 「おばあちゃん、大きな目ね」、「お前がよく見えるようにさ」、「おばあちゃん、大きな耳をしてるのね」、「お前の言うことがよく聞こえるようにさ」、「おばあちゃん、大きな口をしてるのね」、「お前を食うためさ」、このおなじみのセリフがあって、ラストで狼人間の腹を割いて大きな石をつめて湖に沈める、このあたりが原作のエピソードを思わせるものですが、あとはオリジナルのホラー・サスペンス・ファンタジー映画です。 公開時にちょっと興味があった映画で、でも映画館で見るほどでもなく、DVDで充分かと思って今まで見なかったものです。 先日見た「スノーホワイト」のような大がかりな話題作ではなく、どちらかといえばB級(低予算)映画ですね。 見ていて退屈することもなく、最後まで狼人間の正体がわからず、意外にもけっこう面白かった小品です。 いちばん恐いのは狼人間ではなく人間の醜い心だということでしょうか。 この世の中で、いちばん恐いのは人間だということですかね。
2013年01月16日
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2008年外国映画興行成績です。 金額は興行収入。1位 「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」 57億1千万円2位 「レッドクリフ Part I 」 50億5千万3位 「アイ・アム・レジェンド」 43億1千万4位 「ライラの冒険 黄金の羅針盤」 37億5千万5位 「ハンコック」 31億6位 「ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛」 30億7位 「魔法にかけられて」 29億1千万8位 「ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記」 25億8千万9位「ウォンテッド」 25億10位「アース」 24億円 この2008年度興収ベスト10にはディズニー作品が3本も入っています。 第6位の「ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛」と、7位の「魔法にかけられて」。8位「ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記」。 新年になって見た映画3本目は、その2008年3月公開の「魔法にかけられて」。ウォルト・ディズニー・スタジオのファンタジー・ラブコメで、990円で買ったDVD鑑賞です。 おとぎの国のアンダレーシアで運命的に出会ったエドワード王子と乙女のジゼル。 しかしエドワード王子の継母ナリッサ女王が、息子が結婚すると王位を明け渡さなければならなくなるので、結婚を妨害し、花嫁ジゼルを魔法の井戸に突き落としてしまう。 魔法の井戸は現代の大都会ニューヨークのタイムズスクエアにつづいていて、ジゼル(エイミー・アダムス)は生き馬の目を抜く大都会で迷子になってしまう。 そんなジゼルを保護したのが、離婚専門の弁護士ロバートと娘のモーガン。 ジゼルを追ってエドワード王子もニューヨークに現れ、ナリッサ女王の密命を受けた王子の従者ナザニエルが毒リンゴを持って現れ、ついには業を煮やしたナリッサ女王もやって来ることに。 冒頭のおとぎの国シーンがアニメで、ジゼルが井戸を通ってニューヨークのマンホール下の地下に落っこちる場面から実写になります。「白雪姫」「シンデレラ」「眠れる森の美女」、あとなんだっけ?、そんなヒロインたちを足して割ったような主人公のジゼル。人を疑うことを知らない天真爛漫で心優しくマイペースな彼女が、男やもめの親娘に助けられて、その家庭にごやっかいになる。 やがてジゼルはおとぎの国の世界とのカルチャーショックにとまどいながらも、現実世界を学んでゆき、周囲の人々へも彼女の純真な心が影響を与えてゆきます。 予告編はこちら。 ジゼル役のエイミー・アダムスさん、弁護士ロバート役のパトリック・デンプシーさん、その娘モーガン役のレイチェル・コヴィーちゃん(アメリカ映画の子役の魅力ここにあり)、そして常にハイテンションなエドワード王子のジェームズ・マースデンさん、登場人物みんなが好演(小さなリス君も)しています。「真実の愛のキス」「歌ってお仕事」「想いを伝えて」「そばにいて」などの劇中歌が歌い踊られる。 公園で歌って踊る場面やクライマックスの舞踏会など、このようなミュージカル場面はアメリカ映画の独擅場です。とても上手です。 心と気持ちがホッコリと暖かくなるアメリカの古いミュージカル映画が大好きなので、この「魔法にかけられて」は、予想以上に楽しくて、これは良い映画でした。
2013年01月03日
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昨年6月に日本公開されたファンタジー映画「スノーホワイト」(2012年。原題「SNOW WHITE AND THE HUNTSMAN」 )をブルーレイで鑑賞しました。 グリム童話の「白雪姫」の映画化で、私が持っている角川文庫「完訳グリム童話I」(関 敬吾・川端豊彦 訳)では「雪姫」というタイトルになっています。 悪い継母が白雪姫の美しさに嫉妬し、猟師に森へ連れて行って殺すように命ずる。かわいそうに思った猟師は白雪を逃がしてやる。 森で出会った七人の小人の家で煮炊きや掃除をすることを条件に、彼らと一緒に暮らすことになる。 白雪が生きていることを知った継母は物売婆に変装して小人たちの留守に白雪に毒リンゴを食べさせて殺害。帰宅した小人たちは白雪が死んでいるのを発見し泣き悲しむ。まだ生きているように見える白雪を埋めるに忍びなく、ガラスの棺を作って彼女を入れる。 この「白雪姫」の物語を知らない人はいないでしょう。 2012年の映画「スノーホワイト」は基本部分は童話と同じだけれど、大きく異なるのはスノーホワイト(白雪)を自らの意思で行動する現代的な強いヒロインにしたことです。 王を騙して王妃となり、王を殺して女王となって王国を乗っ取った悪い魔法使いの継母。 演じるのはシャーリーズ・セロンさんで、その熱演ぶりはスノーホワイト(クリステン・スチュワートさん)とどちらが主人公かわからないくらいです。 ただの悪女というのではなく、その不幸な生い立ちが描かれ、童話のような単純な悪役ではないのも、戦う白雪姫と同じく現代的なキャラクターになっています。 暗黒の圧政を敷く悪の女王がスノーホワイトを探し出して連れてくるように猟師に命ずる。女王をよく思っていない猟師はスノーホワイトとともに逃走し、8人の小人たち(好演)と協力して、女王に抵抗する勢力と合流。彼らはスノーホワイトの下に立ち上がって反乱軍として女王の城に攻め寄せる。 クライマックスの攻城戦は迫力があるもので、城門を開けるために潜入した小人たちが門を開けるのに手間取ったために、門前で立ち往生した攻撃軍に矢が降りそそぐ場面はハラハラさせられます。 スノーホワイトの若い血と心臓を求めて女王が魔手を伸ばす。その女王との一騎打ち。 剣をとって戦う白雪姫です。 森の番人である小人たち(8人いる)が白雪に従って戦うことになるのですが、途中で追っ手の軍勢の矢から彼女を守る盾となって一人が死んでしまう。 白雪に、いっしょに踊ってとか、ハグしてとかずうずうしく甘えていた男が、彼女の危機に盾となって自分を犠牲にする。「姫君、いつまでもお側に・・・」と言って息を引き取る、その死を見取って白雪がこぼす涙。 このような場面を見て大いに感動するのですが、男の働きがい、死にがい、とはこういうものだと思うのです。 そんなわけで、これは心を熱くさせる、良い映画を見ました。
2013年01月02日
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新年あけましておめでとうございます。 金沢の元旦は雪で、昼頃から時折晴れ間も見えましたが、足下の悪い年明けになりました。日中は気温5度くらいに上がったでしょうか?、それほど寒くないのが救いです。 昨年8月に公開された話題作映画「アベンジャーズ」(2012)をブルーレイで鑑賞。 正月最初に見るのは、このような「お祭り映画」がふさわしいのではないかと。 アメリカの漫画、マーベルコミックのヒーローたちが「アベンジャーズ」というチームを組んで(組まされて)宇宙からの外敵と戦う物語です。「アイアンマン」(08)、「インクレディブル・ハルク」(08)、「アイアンマン2」(10)と、「マイティ・ソー」(11)、「キャプテン・アメリカ」(11)を見ていれば、この作品をより一層楽しめるし、まったく見ていなくて知らなかったら、それほど楽しめないかも?、そんな映画ですね。 漫画界のヒーローである、超人ハルクやアイアンマン、ソー、キャプテン・アメリカが国際平和維持組織S.H.I.E.L.D.長官のニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)の下に集められ、S.H.I.E.L.D.エージェントのホークアイとナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)が加わって、宇宙からの邪悪な侵略に立ち向かう。 予告編はこちら。 基本的には「マイティ・ソー」のソーと、その野心家の弟ロキの兄弟げんかが元になっているようで、そのケンカを宇宙の邪悪な種族に利用されたということらしい。 その侵略で世界滅亡の危機に陥ったときに、それまで互いに好き勝手ばかり言ってバラバラだったヒーローたちが結束する。 ニューヨークの街が侵略者の攻撃で破壊される光景はどこかで見た感じがする(「トランスフォーマー」あたりか?)が、結束したヒーローたちが力を合わせて戦う場面は熱くなります。 強敵の前に、これはかなわないかと思った時にハルクが飛び込んできて敵の前に立ちふさがってガッシと食い止める場面は、思わず拍手です。 野球でも、強打者ばかりを集めてきても強いチームにはならない。 仲間意識とチームワークが肝心だということでしょうか。 漫画を映画化した、このような荒唐無稽な作品を受け付けない人は別ですが、私はノー天気な性分だから大いに楽しみました。ただ記憶力が悪いので、もういちど2008年から始まった一連の作品群をもう一度見てみないと、忘れた部分がたくさんあります。 引き続き、「アイアンマン3」と「アンベンジャーズ2」が作られるそうですね。
2013年01月01日
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2010年の春に劇場公開された映画「タイタンの戦い」は、1981年の「タイタンの戦い」のリメイクです。 昨夜、その1981年版「タイタンの戦い」をDVDで鑑賞。 ギリシャ神話を題材にしたもので、内容を一口で言うとゼウスが人間の女性(王の娘)に産ませた主人公ペルセウスの冒険譚。 海の怪物クラーケンの生け贄にされそうなアンドロメダ姫(写真。ジュディ・バウカーさんが可愛らしい)を救うために魔女メドゥーサの首を求めて旅立ち、そのメドゥーサの首をクラーケンに突きつけて石に変えてしまう。 ペガサス、メドゥーサ、大サソリ、クラーケンなど怪物や伝説の生物が登場するファンタジー映画で、特撮はレイ・ハリーハウゼン先生の人形アニメーション(ストップモーション・アニメーション。ハリーハウゼン先生はダイナメーションと名付けた)です。 2010年のリメイク版はそんな特撮を最新のCG技術(VFX、Visual Effects)を駆使して作り直したのですが、昔の特撮(VFXなどよりも、日本語で特撮と言うほうが感じが出る)のほうが手作り感があって良いですね。 特撮の神様レイ・ハリーハウゼン先生は1920年生まれ。若いときから人形アニメーションを自主製作していたそうで、「キング・コング」(33)のウィリス・オブライエンに弟子入り。 実質デビューは「原子怪獣現る」(53)で、以降「水爆と深海の怪物」、「空飛ぶ円盤地球を襲撃す」、「地球へ2千万マイル」などの特撮を担当する。 1950年代は怪獣映画が流行したそうで、ハリーハウゼン先生はそんな近未来的な怪獣や宇宙人に嫌気がさし、過去の伝説や神話の方に興味が移っていったそうで、「シンドバッド七回目の航海」、「アルゴ探検隊の大冒険」などが作られました。 1960年代後半から70年代には「恐竜100万年」(68)、「恐竜グワンジ」(69)。 そして「シンドバッド黄金の航海」(73)、「シンドバッド虎の目大冒険」(77)と続き、この「タイタンの戦い」が最後の作品となって1981年。時代はすでにジョージ・ルーカスさんの「スター・ウォーズ」の、いわゆるCGによるVFX時代になっている。 人形を作って、それを少しずつ動かして一コマずつ撮影するという、いかにも手作り感がある特殊撮影は、現代のCGが当たり前になって見慣れた人には物足りないだろうし、ダサい、古くさいと言われるかもしれない。でも私はこのような昔の特撮の方が味わいがあって好きです。
2012年12月20日
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特撮映画は「ジュラシック・パーク」(1993)あたりから、すっかり変わってしまって、CGで映像を製作加工したものになってしまいました。 近年では「アバター」などから始まった3Dになったりして。こうなるともう実写というよりもCGアニメになってしまったような感すらある。 先日、「シンドバッド虎の目大冒険」をDVDで見ました。 1977年に日本公開(香林坊にあった金沢プラザ劇場で上映)されたもので、特撮の神様レイ・ハリーハウゼンのストップモーション・アニメーションによる特撮ファンタジー冒険映画です。 このような昔の、いかにも手作り感のある特撮を見ると、確かに古さを感じますが、職人芸を見るようで嬉しくなります。 主演はパトリック・ウェイン(ジョン・ウェインの息子さん)。ヒロインのお姫様には「007死ぬのは奴らだ」のジェーン・シ-モアさん。 ヒロインが二人いてもう一人は賢者の娘役にタリン・パワーさん(タイロン・パワーの娘。ロミナ・パワーの妹)です。 悪い王妃(魔女)に魔法をかけられ、ヒヒに変えられた王子を元の姿に戻すために極地の神殿へ向かうシンドバッドたちの話です。 例によってレイ・ハリーハウゼン先生の人形アニメーション、これまでに怪獣や伝説の巨人やガイコツ戦士など、模型を一コマずつ撮影して動かすという手法の特撮を駆使して生み出した異形のものたち。 今作では巨大セイウチ、一角原始人、剣歯虎、ミナトンが登場。ミナトンというのは悪い魔女が造りだした首が牛で体が人間型のロボット?です。 このミナトン、せっかくの登場なのにほとんどギッコンギッコンと船をこぐだけでもったいない扱いです(予算の制約上だった?)。 魔法でヒヒに変えられた王子など、実在の動物のヒヒやセイウチまでもが人形アニメで作られています。日本の円谷英二さんが、その映画の中でパトカーや普通の自動車までを模型で撮影したのと同じで、特撮を愛する者のこだわりだろうか。 前作「シンドバッド黄金の航海」(1973)では男の魔法使いが敵だったが、今回は魔女ということで女性です。そのために敵としては邪悪さはあるけれどちょっと物足りない感じもする。でも日本語吹き替えでは声を来宮良子さんが担当していて、なかなか気分を出しています。 DVDでは英語音声と日本語音声が収録されていますが、この映画は劇場公開時に日本語吹替版として上映されたという、当時としては珍しい興行だった。 日本では、なぜか昔から「シンドバッド」と表記するが、「Sinbad」なので「シンバッド」ではないか? 映画の中でも「シンバッド」と発音しています。
2012年12月19日
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1985年の映画「ブライド」(The Bride)をDVDで鑑賞。「フランケンシュタインの花嫁」(35)のリメイクとされていますが、内容に共通するものはなく、むしろ「マイ・フェア・レディ」のフランケンシュタイン版といった感じです。 フランケンシュタイン男爵が創った女性の人造人間。先に創った「モンスター」(名前を付けてもらった様子もなく、現在まで「名前はまだない」状態)の連れあいにするはずだったのに、男爵はその美しさのためか惜しくなってしまう。 モンスターは「彼女はオレのものだ~」と言って暴れたために男爵の屋敷を追い出され、偶然に出会った小人リナルドといっしょにサーカスへ入ろうとブダペストへ向かって旅をすることに。 モンスターはリナルドと知り合ったことで友情を知り、人間らしい思いやりや優しさを覚える。リナルドにビクターと名前を付けてもらい、2人はサーカス団に入る。 フランケンシュタイン男爵は美しい人造人間に「イーバ」と名付け、行儀作法やレディとしてのたしなみ、高い教養を身につけさせる。社交界にデビューしたイーバだが、男爵は彼女に近づく男たちに嫉妬をおぼえるようになる。 イーバは自分が何者なのか悩み、男爵に反発し、自由を求めるようになってゆく。 科学者にとって人工的に生命を創り、人間を創造するというのは究極の夢なのかもしれない? そして、それが実現できたとしたら、科学者が男であるかぎり「男性」を創ってもおもしろくない。「女性」を創ろうとするのは当然の成り行きではないか。 自分好みの美しい女性を創って完璧な恋人にしようとする。知性を与え、読み書きを教え、行儀作法を教え、高い教養を与える。そして美しいレディに仕立て上げたら、その結果は・・・。 自分が生み出したその美しい最高の作品がはたして自分を慕ってくれるか? 作品が「人間」である以上、その保証はないってことです。 監督 フランク・ロッダム 出演 スティング (フランケンシュタイン男爵) ジェニファー・ビールス (イーバ) クランシー・ブラウン (ビクター) デヴィッド・ラパポート (リナルド) 美しい人造人間を演じるのは「フラッシュダンス」(1983)のジェニファー・ビールスさん。 居間で男爵がくつろいでいるところへ、すっぽんぽんで階段を降りてくるシーンはボカシがないのにビックリ。
2012年09月02日
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映画「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」(2003)。 原題は「THE LEAGUE OF EXTRAORDINARY GENTLEMEN」です。EXTRAORDINARY(エクストラオーディナリー)を辞書で調べると「驚くべき、非凡な、途方もない。風変わりな」という意味のようなので、原題は「怪紳士連盟」とか「超人紳士連盟」というような感じでしょうか。 邦題の「リーグ・オブ・レジェンド」って、なんのことかよくわからないですね。映画の内容は時空を超えてないし。 邦題はなんのこっちゃ?、ですが冒険ファンタジー活劇映画としてはおもしろく、大いに楽しみました。現在DVDは990円くらいで、ブルーレイは1490円。ブルーレイは高画質で、どうせならこちらがオススメ。冒頭シーンの菱形戦車がガタゴト出てきて英国銀行を襲うところなどサラウンド効果満点です。 古典文学の主人公たちが集まって悪の組織に対抗するSF?ファンタジー・アクション映画です。 1899年のロンドン。英国銀行が世界征服をたくらむ謎の組織に襲われるところから始まって、ヴェネツィアで開かれる国際平和会議を妨害し、世界大戦を起こそうとする武器商人ファントム(仮面で顔の傷跡をかくしている)の陰謀を「怪紳士連盟」が阻止すべく立ち向かう。 アラン・クォーターメイン・・・・冒険家 トム・ソーヤ・・・・アメリカの若い諜報員 ミナ・ハーカー・・・・女吸血鬼 ドリアン・グレイ・・・・不死身の男 ジキル博士・・・・ハイド氏に変身する ネモ船長・・・・ノーチラス号を指揮する海賊? ロドニー・スキナー・・・・透明人間(透明になる薬を盗んだ泥棒) 以上が怪紳士連盟の顔ぶれで、英国情報部のMに呼び出され、ファントムの陰謀阻止を依頼されます。 これもアメリカのコミック(DCコミック)が原作なんですね。アメリカのコミックは日本では読む機会がないようで、書店で普通に買えればいいのにと思います。辞書を片手に読めば英語の勉強にもなるのでは。「怪紳士連盟」のいちおうリーダー格(年の功?)としてアラン・クォーターメイン。 最近は書店で見かけることがないですが、かつてハヤカワ文庫や創元推理文庫で出ていたヘンリー・ライダー・ハガードの秘境冒険小説の主人公です。「ソロモン王の洞窟」「洞窟の女王」など、読んだことがありますが、内容は忘れました。 映画化もされていて「キング・ソロモンの秘宝」(1985)ではリチャード・チェンバレンがアラン・クォーターメイン役でした。 この「リーグ・オブ・レジェンド」ではショーン・コネリーさん(2006年に俳優引退)が演じていますが、俳優として最後の出演になりました。最後のセリフは「私の時代は終わった。これからは君たちの時代だ」です。 追記。女吸血鬼ミナ・ハーカーですが、本来は吸血鬼ではないはずです。「ドラキュラ」(1992年 フランシス・F・コッポラ監督)ではウィノナ・ライダーさんが演じたドラキュラ伯爵に愛されたヒロイン。
2012年08月28日
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「ヘル・レイザー」(1987)と、続編「ヘルレイザー2」(88)、「ヘルレイザー3」(92)がスター・チャンネルで放送され、BD-Rに録画してもらいました。「1」はもう20年くらい前にレンタルビデオで見て面白いと思った作品ですが、「2」と「3」は一度も見たことがありません。 まず、ちょっと気になるのは、原題「Hellraiser」なのに、なぜ邦題が「ヘル」と「レイザー」の間に「・」が入るのか? ヘルレイザーで一つの単語なのに、「・」で分割してどうするんだ?(第2作以降は「・」なしになっている) 「ヘル・レイザー」(1987)予告編 YouTube はこちらです。 血みどろのホラー映画は好きではなく、昔の怪奇映画(ホラー映画とは言わない)のドラキュラやフランケンシュタインや狼男や透明人間や半魚人や、楳図かずおさんの漫画のヘビ女の「ママがこわい」や、「ひびわれ人間」は中学生の時に「週刊少女フレンド」や「週刊少年マガジン」で面白く読んだけれど、ホラーとかスプラッタとかいわれる殺人鬼がチェンソー持って追いかけて来るようなのは大嫌いで、見たいとも見ようとも思わない。 そんな私ですが、この「ヘル・レイザー」は血みどろ、グチャグチャ、ぬるぬる、ドロドロなのに、地獄の番人?の4人の魔導士、とくに頭や顔に釘がいっぱい刺さったピンヘッド(写真)が妙なことにカッコいい。ヒロイン(アシュレー・ローレンス)が大ピンチになったときに、4人が現れると、助けに来てくれたような安心感があるのはなぜ? 解けば究極の快楽を得られるというゲーム・キューブ(寄せ木細工のような箱)があって、ジゴロみたいなフランクという男が、それを解く。とたんに地獄から魔導士が現れ、鋭い鉤がついた鎖に引き裂かれる。 フランクが消えた、その家に弟のラリー(アンドリュー・ロビンソン)が妻ジュリアをつれて越してくる。ジュリアはかつてフランクと関係を持っていて、フランクをこの世に復活させるための生き血を得るために、男を家の屋根裏部屋に誘い込んで殺害する。その血と肉を得てフランクの体はしだいによみがえる。 ラリーの娘カースティがそれを知って、フランクの毒牙にかかりそうになったところを4人の魔導士が現れ、フランクを地獄に送り、カースティも地獄へ連れて行こうとする。「痛みイコール快楽」という、よくわからん文芸的テーマ?があるそうで、マッサージや肩もみをされて「痛いけど気持ちいい」というあれと同じようなものか。 たいした映画ではないとは思うけど、でも4人の地獄の番人、魔導士のキャラクターは強烈です。そのピンヘッドに安堵感を感じるのは、その顔が優しく、言葉遣いが穏やかだから? ヒロイン、カースティ(アシュレイ・ローレンス)が可愛い。女の子が頑張るというのは、この1980年代あたりからの映画の一つの特徴のようで、こういったホラーでは女の子がキャーキャー悲鳴を上げながらも、そのくせ魔物や殺人鬼に勇敢に立ち向かっていく。
2012年08月24日
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1985年度外国映画興行成績です。(金額は配給収入)1位 「ゴーストバスターズ」 40億9900万円 2位 「グレムリン」 31億820万 3位 「ランボー 怒りの脱出」 24億5000万 4位 「ネバーエンディング・ストーリー」 22億 5位 「007 美しき獲物たち」 12億 6位 「スパルタンX」 11億1000万 7位 「ビバリーヒルズ・コップ」 10億2000万 8位 「コットンクラブ」 8億7300万 9位 「アマデウス」 8億200万 10位 「マッドマックス サンダードーム」 7億6300万円 第1位の「ゴーストバスターズ」(84)は大ヒットした作品で、自分も幽霊退治会社に入っていっしょに仕事したいと思ったくらいに楽しんで見ました。 第2位の「グレムリン」(84)は面白かったというよりも、どちらかといえば「好き」な映画です。 製作スティーブン・スピルバーグ、監督ジョー・ダンテ。出演ザック・ギャリガン、フィービー・ケイツ。 主人公の父親が出張先のチャイナタウンの店先で見つけた奇妙な生き物モグワイ。店主に黙って連れてかえり、息子へクリスマスプレゼントとして贈り、家で飼うが、3つの決まり事(水をかけない、光に当てない、夜中に物を食わせない)を守らなかったために奇怪な小怪物(小鬼)グレムリンが大量増殖し、平和な田舎町のクリスマスは大パニックになる。 モグワイ、ギズモは、Tシャツにプリントしたのを着ている人を見かけたし、スーパーの駐車場で車にぬいぐるみをアクセサリーに置かれているのを見たこともあり、ペットにしたいと思った人がいたものと思われます。 このモグワイからグレムリンが大量増殖すると、それまでの青春ほのぼのドラマがホラーになります。「ゴーストバスターズ」と「グレムリン」のどちらが子供向け映画か?と問われたら、「グレムリン」と答える人が多いのでは? アメリカでは、この「グレムリン」は最初、R指定(17歳以下は保護者同伴が必要)だったそうで、クリスマス向けのファミリー映画のはずが、スピルバーグさんかダンテさんが悪のりしてR指定をくらってしまったそうです。 グレムリンが増殖して暴れだし、一人暮らしの車いすのおばあちゃんを惨殺する。 侵入してきたグレムリンを主人公のお母さんがミキサーで粉砕したり電子レンジに入れてボンと爆殺したり、包丁を持ってグレムリンを撃退する強いお母さんですが、このような場面を子供に見せるのは不適当と判断されたのだろうか。 現在のアメリカでは、「PG13」(13歳未満の子供の観賞については、保護者の厳重な注意が必要)というレイティングが「R」と「PG」(小学生以下は保護者同伴が必要)の中間にできて、その「PG13」指定になっています。 この「PG13」のレイティングはスティーブン・スピルバーグさんがMPAA(アメリカの映倫)にかけあって「R」と「PG」の中間に作らせたそうです。 作品中で、喫煙シーンがあったり、人が殺される、血が出る、暴力や残酷描写があれば、アメリカでは子供の鑑賞に規制がされます。「グレムリン」は日本ではまったくの無規制で、テレビでも子供向け、ファミリー向け映画として放送された。日本のテレビやメディア界は暴力描写には甘いようですね。 自分的には、この「グレムリン」はクリスマスの季節になると思い出すし、音楽もノリノリで好きな映画です。 映画の中でフィービー・ケイツさんが、サンタ姿のお父さんが煙突の中で死んで発見されたというクリスマスの思い出を語る場面がありますが、スピルバーグさんにもクリスマスにそんなような思い出があるのでしょうか?
2012年07月27日
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「マルコヴィッチの穴」(1999)という摩訶不思議な映画をDVDで見ました。 マンハッタンの古い由緒ありそうなオフィスビルの7階と8階の間にある、7と1/2階。背をかがめないとならない天井の低いフロアにある会社に就職した主人公(ジョン・キューザック)。 彼は売れない人形師(操り人形を作って人形劇を演じる)で、ペットショップで働く妻ロッテ(キャメロン・ディアス)の願いもあって新聞の求人広告欄を見て就職したのですが、そのオフィスの戸棚の裏に小さなドアを発見する。 そのドアの向こうには暗いトンネルがあって、俳優ジョン・マルコヴィッチの頭脳に続いている。入れば、マルコヴィッチの視点になって、彼の感覚を体験することに。 マルコヴィッチに同化できる時間は15分間だけで、それが過ぎると郊外の高速道路付近の土手に放り出される仕組みになっています。 主人公は、同じフロアで働く美女マキシン(キャスリン・キーナー)といっしょに、この不思議な現象を利用して商売をしようと計画。 一回200ドルの料金で、「俳優ジョン・マルコヴィッチになれる」という企画は大成功し、行列ができる繁盛ぶり。 しかし、どこか、何かが変だと感じた当人のジョン・マルコヴィッチまでが、変装して訪れて、「穴」の中に入ることになる。 予告編はこちらです。 これは、ほんとうに摩訶不思議な、でも魅力的な、近年まれにみるおもしろい映画でした。 最初は半信半疑だった主人公の妻ロッテ(キャメロン・ディアス)ですが、「穴」に入ってマルコヴィッチを体験して大変化を起こす。自分は性的倒錯者だわと言い出して、亭主をおっぽり出して、その共同経営者?の美女マキシンに一目惚れ。 ジョン・キューザックは髭を生やして眼鏡をかけて、言われないと誰だかわからない変貌ぶりで好演。妻ロッテのキャメロン・ディアスさんも愉快だし、美女マキシン(キャスリン・キーナーさん)も魅力たっぷり。 おもしろいのは、ジョン・マルコヴィッチさんが本人役で出演し、その頭の中を他人に占拠され、しまいには主人公に乗っ取られ、俳優から人形師に転業することになったりと大混乱。 英語音声と字幕で見るより、日本語吹替え音声で見たほうがよりいっそう面白く感じます。 (DVDは日本語音声があるのにブルーレイは英語音声のみ)
2012年06月29日
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映画「魔法使いの弟子」(2010)をDVDで鑑賞。 ジェリー・ブラッカイマー・フィルムズが製作した作品で、配給はウォルト・ディズニー ・スタジオです。 映画製作者ジェリー・ブラッカイマー作品といえば、娯楽映画としての「面白さ保証書」のようなもので、俳優ニコラス・ケイジさんとは相性がいいのか、「ザ・ロック」(96)「コン・エアー」(97)「60セカンズ」(2000)「ナショナル・トレジャー」(04)など、どれも良作ばかりです。 「魔法使いの弟子」はニコラス・ケイジさんが企画を持ち込んで製作されたそうで、子供の頃に見たアニメ「ファンタジア」(ディズニーアニメで1940年)の夢を現代の子供たちに見せたいということらしいです。 アーサー王伝説に登場する「魔法使いマーリン」の弟子バルサザール(ニコラス・ケイジ)は、マーリンの後継者「選ばれし者」を1000年のあいだ探し続けていたが、ついに現代のニューヨークでデイヴ(ジェイ・バルチェル)と出会う。 世界を滅ぼす邪悪な魔女に対抗できるのはこの「選ばれし者」しかいないと、気弱な現代っ子の物理オタク大学生デイヴに魔法の技を伝授しようとするが、「そんなこと、いきなり言われても、できるわけないじゃん」ってなデイヴを相手に、なかなかうまくいかない。 バルサザールによって魔法の監獄「グリムホールド」に封じ込められていた悪の魔法使いたちが次々と甦りはじめ、ニューヨークの大都会を舞台にした、善と悪の魔法使いの戦いを描いたファンタジー・アクション映画です。 この映画の中で、主人公デイヴが箒(ほうき)に魔法をかけて掃除させようとして大失敗する場面が「ファンタジア」をもとにしているのでしょうか。 映画のできは可もなく不可もなく、といった印象で、魔術師マーリンについての知識や、「ファンタジア」を知っていれば、もっと面白く感じるのかもしれない。 スター俳優のニコラス・ケイジさんが出ていなければ、あとは知らない顔の出演者ばかりだし、500円で売られている日本未公開のB級映画DVDのような趣もあり、それは敵となる悪の魔法使いたちがそれほど凶悪に見えず、人の良ささえ感じてしまうあたりもそうだし、大作感がないですね。 主人公はいかにも現代のヒーローらしく、ヘタレ気味な気の弱い男の子です。悪と戦うよりも、気になる幼なじみの可愛い子ちゃんに夢中になっているあたり、青春ラブストーリーのようです。 この幼なじみの可愛い子ちゃんベッキー(テリーサ・パーマー)にいかに気に入られるか、ラストでの「友達じゃなくて彼女よ」というセリフは、主人公に肩入れして見ている身としては、「やったあ、良かったね」と祝福したくなります。
2012年06月15日
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「タイタンの逆襲」を見てきました。4月21日の公開から、まだ10日しか経っていなく、しかも黄金週間だというのに、観客はわずか10人。 現在では映画の入りはこんなものなのでしょうか?、私が映画館通いに熱中していた1970年頃は斜陽産業といわれながらも、このようなものではなかったです。 映画の大ヒット作というものは、普段は映画など見ない、小説など読まない、そのような人たちが見に来て、はじめてヒット作になるのだそうです。そういわれると、この「タイタンの逆襲」などは、映画にも小説にも無縁な人たちが見に来るような作品ではないですね。「タイタンの戦い」(2010年)の続編で、前作が面白かっただけに期待したのですが、ガッカリ。その内容のなさ、物語性のなさは退屈ともいえるくらいでした。 前作は1981年の「タイタンの戦い」をリメイクしたもので、ビヴァリー・クロスの同じ脚本を基にしています。しかもギリシャ神話の物語を映画化したものなので、ストーリーに厚みがあって、面白さがありました。今作は、それから10年後という設定のオリジナル脚本ですが、見終わって何も心に残らないという内容の薄さです。 しかもヒーローに魅力があれば、それなりに救われるのに、主人公ペルセウス(サム・ワーシントン)にアクション・ヒーローらしい強さや頼もしさが感じられないですね。 彼がその息子との平穏な生活のためにゼウスからの協力依頼をことわったのに、その肝心のペルセウスの息子役になんとも演技力のない子役を選んだことか。この人選ミスの影響が大きいのでは?(子役の影響をあなどるなかれ) 悪役も大物としての貫禄がなく、ゼウスの兄ハデスと、ゼウスの息子アレスが結託して、身長500メートルの巨神「クロノス」を復活させようとするけれど、そのハデスが改心してゼウスを助けるといった締まりのなさ。 予告編はこちらです。 唯一というか、自分的に気に入ったのはペルセウスと行動を共にするアンドロメダ女王を演じるロザムンド・パイクという女優さん。 どこかで見覚えのある顔・・・と思ったら、「007ダイ・アナザー・デイ」(02)で悪のボンドガールをやった人でした。あのときはまだ新人だったためか演技がイマイチだったけれど、今作のアンドロメダ女王役は、毅然とした美しさと力強さがあって良かったです。 ゼウス役のリーアム・ニーソン、ハデス役のレイフ・ファインズ、ほかにもビル・ナイとか、有名俳優がそろっているのに、存在感がないというか、生かされていないような。 結局のところ、脚本の弱さ、監督の力不足、といったところでしょうか。 この映画で、はじめて3Dを体験。映画を3Dにする必要性が感じられず、こんな程度では3Dの将来は飽きられて尻すぼみに消えるのでは?と思いました。 この「タイタンの逆襲」は普通のDVDかブルーレイで見れば、もう少し面白く感じるかも?
2012年05月02日
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エディ・マーフィ主演のコメディ・アドベンチャー・ファンタジー映画「ゴールデン・チャイルド」のDVDを突然見たくなって鑑賞。(このDVDソフトは古い仕様で、ビスタサイズだがスクイーズ仕様ではない) 監督はマイケル・リッチー。1986年作品で、私がこの映画を初めて見たのはテレビのゴールデン洋画劇場でした。エディ・マーフィさんの日本語吹替えが絶品で、大笑いして楽しんだのを憶えています(DVDには吹替え音声が入っていないのが残念) ロサンゼルスで失踪した子供を捜す仕事をしているチャンドラー・ジャレル(E.マーフィ)。行方不明になった少女を捜索中の彼のもとに、チベットで悪魔に誘拐されたゴールデン・チャイルドを取り戻してほしいと謎の美女キー・ナン(シャーロット・ルイス)に依頼される。このあたりは私立探偵ドラマみたいな雰囲気があって嬉しい。 千年に一度生まれてくるという聖なる子供ゴールデン・チャイルドを救出するために魅力的(とても素敵でセクシー)なシャーロット・ルイスと行動を共にするエディ・マーフィの、ちょっと珍しい冒険ファンタジー映画です。 1980年代の特撮技術は現在の目で見ると見劣りする感じだが、笑いとお色気、ちょっと感動的な恋愛もあって、楽しめるし、私の好きな映画のひとつです。「ビバリーヒルズ・コップ」よりもこちらが好きかもしれない。 ゴールデン・チャイルドを救わなければ、この世界は地獄になると言われた主人公が、誘拐や殺人が日常茶飯事の「今の世界も地獄さ」と言う。
2012年04月06日
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2006年2月に劇場公開された3D映画「シャークボーイ&マグマガール」をDVDで鑑賞。3Dではなくて普通のDVDです。 昨日の「ザスーラ」と2枚入っていて990円(定価1480円)。「ザスーラ」を見たくて買ったDVDで、こちらはさほど興味がなく、でもロバート・ロドリゲス監督なので、いちおう見ておいてもいいかと。 原題は「Adventures Of Shark Boy And Lava Girl」。「Lava Girl」は「溶岩少女」という意味だと思いますが、邦題では「マグマガール」。「ラヴァ」より「マグマ」の方が日本では語感がいいのでしょうか。 友達と遊ぶよりも空想にふけっているほうが好きというようなタイプの10才の少年マックスが主人公。 自分が夢の中で生み出したスーパーヒーロー、シャークボーイとマグマガール。シャークボーイはサメに育てられたエラとヒレを持つ少年。マグマガールは灼熱のマグマを自在にあやつる少女。 マックスはその活躍を書き込んだ夢日記を学校で発表したところ、いじめっ子がバカにして、大事な日記にイタズラ書きをされてしまう。 ある日、竜巻とともに教室にシャークボーイとマグマガールが本当に現われ、彼らの星「よだれ惑星」が危機に陥り、創造主であるマックスの力が必要になったというので、マックスは2人と一緒によだれ惑星へと向かうことになる。「ザスーラ」や「センター・オブ・ジ・アース」も子供向け映画だけれど、これはさらに子供向けといった感じの作品。現代の日本の子供たちにこのような素朴な映画が受けるかは疑問だが、自分的には嫌いではないですね(精神年齢が低いせいかもしれない)。 わざわざ料金を払って映画館で見るようなものではないと思うけど、家のテレビで見るぶんには充分に楽しみました。 ただ、このような子供向け映画を見て、子供向けでくだらないと言ってけなす人がいるのはどうなんでしょう?、そのような人の気持ちがわからない。いやだったら見なければいいだけのことです。 監督(脚本、撮影、編集も)のロバート・ロドリゲスさんは、「エル・マリアッチ」(92)と「デスペラード」(95)、「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」(03)や、「シン・シティ」(05)「マチェーテ」(10)のような、子供には見せられないヴァイオレンス性の強い映画を撮るかと思えば、「スパイキッズ」(01)や今作のような子供向け映画も撮るという、妙な人ですね。
2012年04月02日
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子供向けに作られたファンタジーアドベチャー映画「ザスーラ」(2005)を見ました。 先日テレビの日曜洋画劇場で放送された「センター・オブ・ジ・アース」(08)が意外にも面白く、ジョシュ・ハッチャーソンという子役の好演が印象に残ったこともあって、彼が以前に出ていた作品ということで、ぜひ見てみようと。 ケンカばかりしている幼い兄弟。弟が地下室で見つけた「ザスーラ」というボードゲームを始めると、いつのまにか家の外が宇宙空間になっている。 ゲームの内容は宇宙を舞台にしたアドベンチャーゲームで、そのコマが進むとカードが出て、それに書いてあることが現実に起きる。 もとの世界に戻るにはゲームを進めて「上がる」しかないという、魔法のゲーム盤だった。 「ザスーラ」の予告編はこちらです。 この映画は兄弟の、兄の視点からのもので、見ていて感じたのは、兄というのは、弟を「憎らしいやつ」と思っているのではないか?と。 この映画の兄弟の弟は6才ということで、いっしょにゲームをすればインチキをする。いけないことをしても「ゴメンなさい」といえば許されると思っているような、10才の兄貴からすると小憎ったらしい存在。こんな弟なんか生まれてこなければよかったと思っている。 うちは、この映画と同じく、いちばん上に姉がいて、その下に男が2人で、私は末っ子です。 姉から見れば、下の弟どもは「うざったい」存在だったのか?と。 そして兄にすれば、両親は弟ばかり可愛がっているように見え、弟をひいきしているように感じるのかもしれない。 いまにすれば、そのように思えますね。確かに私は親に対して甘え上手だったかもしれないし、とくに母親は兄よりも私を可愛がってくれたようです。 兄貴にすれば、そんな私を調子の良いやつ、と思っていたかもしれないし、憎らしいやつだと思っていたのかも?と。 兄弟の兄ウォルターを演じたのがジョシュ・ハッチャーソン。1992年生まれだそうで、この時は13才。「センター・オブ・ジ・アース」の時は16才。 この年齢の子供は、わずか3年でずいぶん成長しますね。 お姉ちゃんを演じているのはクリスティン・スチュワートという子で、「トワイライト」シリーズに出ている女優さんです。どこかで見た顔だと思った。
2012年04月01日
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