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「地獄のバスターズ」(1976) THE INGLORIOUS BASTARDS監督 エンツォ・G・カステラッリ製作 ロベルト・スバリジア脚本 サンドロ・コンチネンツァ、セルジオ・グリエコ ロマノ・ミグリオリーニ、フランコ・マロッタ ラウラ・トスカーノ撮影 ジョヴァンニ・ベルガミーニ音楽 フランチェスコ・デ・マージ出演 ボー・スヴェンソン、フレッド・ウィリアムソン ピーター・フートン、マイケル・ペルゴラーニ、イアン・バネン デブラ・バーガー 本編99分 カラー ビスタサイズ 1976年のイタリア映画「地獄のバスターズ」をレンタルDVDで鑑賞しました。 日本に輸入されず劇場未公開の作品で、テレビ局が「V-2ロケット強奪大作戦 」「ドイツ軍用列車 」のタイトルで放送したらしいが、今回はじめての鑑賞です。 原題は「THE INGLORIOUS BASTARDS」で、クエンティン・タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」(2009)は本作を元ネタにしているとか。 第二次大戦下の1944年ヨーロッパ戦線。軍法会議で有罪となった囚人たちが憲兵に護衛されてトラックで移送される場面から始まります。その護送の途中でドイツ軍の攻撃にあって、かろうじて生き残った囚人たちが、敵中をスイスへ向かって、つまり自由への旅をめざす。 囚人たちのリーダーはイエーガー中尉(ボー・スヴェンソン)と、あとは殺人犯の黒人や、盗人や、脱走兵たち。彼ら軍隊のはみ出し者たちがスイスへと向かう、その途中でのできごとを描いたロードームービーで、農家の納屋に隠れていた脱走ドイツ兵と出会って道案内をさせる。 渓流で水浴びをしていたドイツ軍の女性兵士たちの中に裸でとびこんで、アメリカ兵だとバレて撃たれそうになったり、ドイツの親衛隊につかまってあやうく銃殺にされそうになったり。 彼らは遭遇したドイツ兵の一隊と銃撃戦となって皆殺しにする。ところがそのドイツ兵たちが実は極秘任務で変装したアメリカの特殊部隊だった。フランスの抵抗組織に出会って、誤って味方を殺してしまったことを知らされる主人公たち。 戦争に駆り出されて、そのなかでマジメに?戦争しないではみ出し者となって有罪を宣告された男たちが、味方を殺してしまったことから、贖罪のためにその命がけの特殊任務を引き継ぐことになってしまう。 その特殊任務はドイツ軍の軍用列車に積まれた新兵器V-2号ロケットのジャイロ・コンパスを奪取することだった。警戒厳重な軍用列車にどうやって潜入するのか?「バスターズ」は「Busters」ではなく「Bastard」の複数形です。「地獄の破壊者たち」ではなくて、「地獄のくそ野郎ども」ですね。原題のイングロリアスでいうと「不名誉な」というより「無名のくそ野郎ども」か? 1960年代末期から70年代初頭にかけて製作されたマカロニコンバット(イタリア製ドンパチ娯楽戦争映画)の流れをくむもので、監督はエンツォ・G・カステラッリ。音楽のフランチェスコ・デ・マージなどもイタリア映画やマカロニウエスタンのファンにはよく知られた名前です。 ならず者たちが、なりゆきで極秘作戦を決行せざるを得ない状態に追い込まれ、男の意地を見せる話です。銃撃戦や列車への潜入と奪取など、アクション映画の、なかなか見ごたえのある佳作でした。
2020年09月02日
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「センター・オブ・ジ・アース」(2008)JOURNEY TO THE CENTER OF THE EARTH監督 エリック・ブレヴィグ製作 シャーロット・ハギンズ 、ボー・フリン原作 ジュール・ヴェルヌ「地底旅行」脚本 マイケル・ワイス、ジェニファー・フラケット マーク・レヴィン撮影 チャック・シューマンプロダクションデザイン デヴィッド・サンドファー衣装デザイン マリオ・ダヴィニョン音楽 アンドリュー・ロッキングトン出演 ブレンダン・フレイザー、ジョシュ・ハッチャーソン アニタ・ブリエム 本編92分 カラー ビスタサイズ ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」の映画化では1959年の「地底探検」(ヘンリー・レヴィン監督、アメリカ映画)がありますが、本作は2008年のCG技術を駆使した新しい作品です。 本編92分(エンドクレジットが長いので88分くらいで話が終わる)なので小さな子供でも見やすい映画になっている。ただ現在発売中のDVDもブルーレイも日本語吹替えがヘタクソなので英語と字幕で見ることになりますが(テレビ放送版の吹替えは良かったのに)。 講義が退屈で不人気な大学教授トレバー・アンダーソン(ブレンダン・フレイザー)は義姉から13歳の甥っこショーン(ジョシュ・ハッチャーソン)を10日間あずかることになります。10年前に行方不明になった兄マックスの息子ショーンは取っつきのわるい今ふうの、携帯ゲーム機に夢中になっている子。 トレバーは義姉が持ってきた兄の遺品が入った箱の中から兄の愛読書だったヴェルヌの「地底旅行」を見つける。その本のページに書き込まれたメモから、兄がアイスランドへ向かったこと、当時と現在の火山活動の状況がそっくり同じことを知ったトレバーは兄の足跡(そくせき)をたどろうと、甥っ子ショーンといっしょにアイスランドへと旅発ちます。 兄が接触したと思われる現地の火山研究所を訪ねた2人は、亡くなった所長の娘ハンナ(アニタ・ブリエム)をガイドに雇って、スネッフェルス火山へ登る。荒天となり、激しい落雷から避難した洞窟がくずれて閉じ込められた3人は出口をもとめて洞窟の奥へと入って行き、さらに深い縦穴に降りて行く。 大筋ではヴェルヌの原作小説と1959年の映画「地底探検」とほぼ同じですが、本作では先の映画とはちがって悪役も出ないしスウェーデンの教授夫人も出てこない。でも男ばかりで味気ないヴェルヌの小説とはちがって、山岳ガイドを女性にしたことで、現代ふうの新しさを出しています。ガイドの名前ハンスを女性形にしたハンナというのも、原作を尊重していて良い感じです。 地底で発見する広大な地底世界。巨大なキノコ林。地底の海にイカダで乗りだし、魚龍が出現する。 トロッコが暴走するアクションや、ショーンが磁力で浮いている岩の上を渡ったり、恐竜に追われたりするのはゲーム感覚があって、現代人には受けやすい趣向なのでしょう。 火山の爆発に乗って地上に戻るラストは原作のとおりであり、ご都合主義と云うなかれ、これがなかったらヴェルヌの「地底旅行」にはならない。 たくましいヒロインの活躍と、嫌みのない子役。とくに子役のジョシュ・ハッチャーソンがとても好印象を残します。ショーンがリュックの中に地底で見つけたダイヤモンドをちゃっかりと持ち帰っているのも可笑しい。 物語よりもアトラクションを主体とした映画といえそうだけれど、楽しい作品になっています。
2017年12月30日
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「地底探険」(1959) JOURNEY TO THE CENTER OF THE EARTH監督 ヘンリー・レヴィン製作 チャールズ・ブラケット原作 ジュール・ヴェルヌ脚本 ウォルター・ライシュ、チャールズ・ブラケット撮影 レオ・トーヴァー特殊効果 L・B・アボット音楽 バーナード・ハーマン出演 パット・ブーン、ジェームズ・メイソン ダイアン・ベイカー、アーレン・ダール、セイヤー・デヴィッド ピーター・ロンソン 本編130分 総天然色 シネマスコープサイズ ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」は1864年(日本では幕末の元治元年)に発表された冒険小説です。ヴェルヌの代表作のひとつであり、その映画化は「センター・オブ・ジ・アース」(2008年ブレンダン・フレイザー主演)が新しいところですが、この「地底探検」は1959年(日本公開1960年4月)のアメリカ映画。 ゴールデン洋画劇場(フジTV系)の1975年1月、2月に放送された作品リストです。1月3日「地底探険」(59) 監督ヘンリー・レヴィン、出演ジェームズ・メイソン1月10日「地球の危機」(61) 監督アーウィン・アレン、出演ウォルター・ピジョン1月17日「ブルー・マックス(前)」(66) 監督ジョン・ギラーミン、出演ジョージ・ペパード1月24日「ブルー・マックス(後)」(66) 監督ジョン・ギラーミン、出演ジョージ・ペパード1月31日「さらば友よ」(68) 監督ジャン・エルマン、出演アラン・ドロン2月7日「アパッチ」(54) 監督ロバート・アルドリッチ、出演バート・ランカスター2月14日「死の谷」(49) 監督ラオール・ウォルシュ、出演ジョエル・マクリー2月21日「北海の果て」(60) 監督ヴィンセント・シャーマン、出演リチャード・バートン2月28日「遠い喇叭」(63) 監督ラオール・ウォルシュ、出演トロイ・ドナヒュー この映画を初めて見たのはゴールデン洋画劇場で放送された時です。2時間枠、本編約95分くらいの放送なので、30分くらいカットされていたわけだが、洋画に接する機会として当時は充分に楽しく鑑賞したものです。 1880年。エジンバラ大学の地質学者リンデンブロック教授(ジェームズ・メイソン)は爵位を授与されることになり、お祝いとして教え子のアレック(パット・ブーン)が骨董品店で見つけた溶岩の塊をプレゼントする。教授はこの熔岩が異様に重いことに気づき、調べると、中から出てきたのはアイスランドの地質学者サクスセムが使用していた測量機器の重りだった。サクスセムは地底世界の探険に出たまま行方不明となっていた人物です。 地底世界の存在を確信したリンデンブロック教授は、スウェーデンのゲタボルグ教授へ手紙を出して意見を聞こうとするが、スウェーデンからの返事はゲタボルグ教授がゆくえをくらまして、どこへ行ったか分からないというもの。ゲタボルグ教授に先を越されたと考えたリンデンブロック教授は、アレックを連れて急いでアイスランドへと向かいます。しかし、現地に到着したリンデンブロック教授とアレックは何者かの策謀に遭って田舎の小屋に閉じ込められてしまう。ようやく抜けだしてホテルに帰るとゲタボルグ教授が殺されているのを発見する。 リンデンブロック教授が教え子アレックを連れて、ガイドのアイスランド人ハンス、殺されたゲタボルグ教授の未亡人カーラ(アーレン・ダール)とともに「地球の中心」に向かって地底奥深くへ探検に出発する話です。彼ら一行のあとを密かに追う者がいて、主人公たちは妨害にあいながらも地底の謎に満ちた神秘の世界を探検する。 探検隊に女性が同行すること、悪役が登場することはヴェルヌの原作小説にはないものですが、娯楽映画としては美女のヒロインと悪役の存在は欠かせないものと判断されたのでしょう。 とくにこの種の映画での女性のあつかいは足手まといになってイライラさせられることが多いものだけれど、本作ではそのようなことがない(怪獣から逃げるさいに転ぶのはお決まりだけど)。未亡人カーラは自分から探検の同行を申し出て、教授が反対するのをきかない、自分のことは自分で決めるという気が強い女性。女だからできないだろうと侮る男性に反発する現代風の強い女性です。冷静な判断力もあって、むしろ教授よりしっかりしているともいえる、この古いハリウッド映画の当時ではめずらしい女性キャラといえるのかもしれない。 登場する怪獣はハリーハウゼン先生のような人形アニメーション特撮でもなく、日本のような着ぐるみ怪獣でもなく、本物のトカゲに背びれを着けての撮影だけれど、昔テレビで見た時は「なんだかなー」と思ったが、いまDVDで完全な形(ノーカット、シネスコサイズの画面)で見るとなかなかどうして、けっして思っていたほど悪くはない。 洞窟の中を大きな丸い岩がころがってくるシーンは「失われたアーク」の元ネタだろうか?
2017年12月24日
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「SF巨大生物の島」(1961) MYSTERIOUS ISLAND監督 サイ・エンドフィールド製作 チャールズ・H・シニア原作 ジュール・ヴェルヌ脚本 ジョン・プレブル、ダニエル・ウルマン クレイン・ウィルバー特撮 レイ・ハリーハウゼン音楽 バーナード・ハーマン出演 マイケル・クレイグ、ジョーン・グリーンウッド マイケル・カラン、ゲイリー・メリル、ベス・ローガン ハーバート・ロム 本編100分 総天然色 ビスタサイズ 南北戦争時、南軍の捕虜収容所から気球に乗って脱出した5人の男が暴風雨に流されて南太平洋の無人島に漂着する。彼らの前に巨大な蟹や巨鳥が出現。それらの巨大生物を倒して食料にする。 船が難破して浜辺に流れ着いた2人の女性が加わって、彼ら7人の男女は断崖に面した洞窟に生活環境を整え、サバイバル生活を始めるが、島が海賊船に襲われるという危機にみまわれる。 海賊船から砲撃を受けるが、なぜか突然、海賊船が爆発して沈没してしまう。彼らは島の洞窟内で謎の潜水艦を発見し、それは海賊船を沈めて助けてくれたネモ船長(ハーバート・ロム)のノーチラス号だった。 ジュール・ヴェルヌの「神秘の島」を映画化した作品です。 と云うより、ヴェルヌの小説「神秘の島」をモチーフにしただけといえるかもしれない。サイラス・ハーディング大尉(マイケル・クレイグ)・・・北軍の工兵大尉ジェデオン・スピレット・・・従軍記者ハーディング大尉の部下ナブ若い兵隊ハーバート気球を奪ったさいに乗っていた南軍のペンクロフト軍曹 原作小説と似たようなメンバーだが、キャラクターはずいぶん異なっています。 小説では彼らのサバイバル生活と、遭難者ではなく開拓者であろうとする不屈の精神と、そのメンバーの協調性に重点を置いているが、映画ではそういった要素は薄く、巨大生物を登場させた見世物的要素が印象に残ってしまい、けっきょくどちらを描きたいのか中途半端になっている。 原作にはない2人の女性を登場させた意図は? セクシーなミニの衣裳を着せたりして(ベス・ローガン)無人島生活ではトラブルのもとになるのではないかと思うが、観客サービスなのか。 ジュール・ヴェルヌの原作小説は登場人物が魅力に富んだ人物ばかりであり、それを面白く読んだ直後なので、どうしても比較してしまって、あまり感心しない印象を受けます。 巨大な蟹や巨鳥に襲われるが、ふつうなら怪物の出現に驚きおののくところだけれども、食べがいのある獲物だっ!逃がすんじゃないぞと、たくましい食欲を見せるのが可笑しい。 特撮の神様レイ・ハリーハウゼン先生の人形アニメによる巨大蟹や巨鳥、巨大な蜂などが見所か?
2017年12月22日
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「地底王国」(1976) AT THE EARTH'S CORE監督 ケヴィン・コナー製作 ジョン・ダーク マックス・J・ローゼンバーグ ミルトン・サボツキー サミュエル・Z・アーコフ原作 エドガー・ライス・バローズ脚本 ミルトン・サボツキー撮影 アラン・ヒュームプロダクションデザイン モーリス・カーター音楽 マイク・ヴィッカーズ出演 ダグ・マクルーア、ピーター・カッシング キャロライン・マンロー、サイ・グラント 本編91分 総天然色 ビスタサイズ エドガー・ライス・バロウズのSF冒険活劇小説「地底世界ペルシダー」の映画化作品「地底王国」を鑑賞。今月の3日に洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」での放送を録画したものです。 日本で公開されたのは1976年8月。香林坊にあった「金沢プラザ劇場」での上映(併映が何だったか記憶なし)。 1898年、科学者ペリー博士(ピーター・カッシング)は地底探検ロケット「アイアンモール」を完成。博士の研究に投資した青年実業家デヴィッド(ダグ・マクルーア)と2人で地底を目指す旅に出発する。しかし操縦系統が故障して制御不能となり、暴走の末に彼らが着いたのは、巨大な太古の植物が生い茂り、見たこともない怪獣が出現する地底世界だった。 そこでは、人間は翼竜のような姿をしたメーハー族に奴隷(食料でもある)として支配されていた。デヴィッドは王女ディア(キャロライン・マンロー)の危機を救い、彼らをメーハー族から解放するために協力して戦うことになる。 地球内部空洞説をモチーフにしたSF冒険活劇。主人公が異世界へまぎれこみ、そこの人たちの危難を救うために活躍する。現地人の王女と恋をするというのは、こういうジャンルでは定番のストーリーです。 英国のパインウッド・スタジオで撮影された、屋外ロケーションがない、100パーセントのセット撮影。登場する怪獣は着ぐるみというのは、人形アニメーション怪獣が主流の外国映画としては珍しいのか?、他愛のない着ぐるみ怪獣が主人公たちを追ってきたり、ドシンバタン、ギャアギャアと怪獣同士が戦ったりするのはB級映画感があって、くだらない楽しさを満喫できます。 エドガー・ライス・バロウズ作品の映画化では、2012年に「ジョン・カーター」(「火星のプリンセス」)がありました。私としては大いに楽しんで面白い作品だと思ったけれど興行的には不振だったようで、これは「スター・ウォーズ」などに先を越されたために、二番煎じのように受け取られてしまったのではないか? そういう点では、「火星のプリンセス」よりも「地底世界ペルシダー」を本格的に現代の特殊撮影技術を駆使して作った方が良かったのではないか? 火星のデジャー・ソリス姫と同じように地底の王女ダイアンを大活躍させれば現代風のヒロインになったのではないか、などと勝手な想像をしてしまいます。「地底世界ペルシダー」を初めて読んだのは1966年に「中学一年コース」(学研の学習月刊誌)の付録にあったダイジェスト本で福島正実さんの文でした。「火星のプリンセス」も同じ頃に付録の本で読んだ。 その後、「地底世界ペルシダー」は「ボーイズライフ」(小学館)に載ったのを、その後にハヤカワ文庫SF(佐藤高子 訳)で読んだ、というのが私の場合です。
2017年10月15日
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「ヘルファイター」(1968) HELLFIGHTERS監督 アンドリュー・V・マクラグレン製作 ロバート・アーサー脚本 クレア・ハフェーカー 撮影 ウィリアム・H・クローシア 美術 フランク・アリゴ 、アレクサンダー・ゴリツェン衣装デザイン イーディス・ヘッド音楽 レナード・ローゼンマン出演 ジョン・ウェイン、キャサリン・ロス、ヴェラ・マイルズ ジム・ハットン、ブルース・キャボット 本編121分 総天然色 シネマスコープサイズ 1969年1月に日本公開されたアメリカ映画です。 私が見たのは2月ですが(金沢ロキシー劇場)、自分的にはこの前後、68年から72年頃がもっとも映画が面白かった時代だと思っています。「猿の惑星」「荒鷲の要塞」「ブリット」「マッケンナの黄金」「雨の訪問者」「新 黄金の七人7×7」などなど。大スターがたくさんいた(今はスターがいない)し、映画もさまざまなジャンルとテーマがあったし、現在の外国映画の低迷凋落ぶりからは格段にちがう豪華で華やかな時代でした。 そんな私にとっての外国映画全盛期の1本である「ヘルファイター」。ジョン・ウェインさんは1979年に亡くなるので、その約10年前に撮られた作品です。 油田火災消火に命を賭けるプロフェッショナルたちの物語。 湾岸戦争時に、撤退するイラク軍がクウェートの油田地帯を爆破炎上させたさいに、油田火災の消火チームが活躍したニュースでその実在が広く知られた危険な職業です。 バックマン社の社長チャンス・バックマン(ジョン・ウェイン)は油田火災消火の依頼があればアメリカ国内だけでなく世界各地へ部下を率いて専用ジェット機で駆けつける。 テキサスの油井の猛火をニトロを爆発させて消火に成功するが、チャンスはブルドーザーの前に飛び出した無神経なテレビ局のリポーターが原因で起きた事故で瀕死の重傷を負ってしまいます。 危篤状態のボスを心配した部下のグレッグ(ジム・ハットン)は、離婚で長年別れたままになっている娘のティッシュ(キャサリン・ロス)を呼び寄せる。チャンスは驚異的な体力で持ち直しますが、その入院中にグレッグとティッシュは恋におちて、回復した父親は結婚すると言い出した二人に困惑する。 チャンスがティッシュの母親マデリン(ヴェラ・マイルズ)と離婚した原因は自分の危険な職業のためだった。夫の職業のために毎日神経をすり減らす生活を送る妻を見かねたチャンスは自ら身を引いて別れた。娘がその二の舞になることを恐れたチャンスは二人の結婚に反対するのだが。「私はお母さんとはちがう」と言うティッシュは新婚の夫グレッグの火災消火現場に同行する。しかし気丈なようでも夫を案ずる娘の不安な表情を見たチャンスは、バックマン社を解散すると宣言します。 なんで会社を解散するんだ?、俺たちのためかと納得がいかないグレッグは、ならば自分と妻がバックマン社を引き継ぐと言いだして、だったら勝手にしろと怒るチャンス。 バックマン社の新社長となったグレッグだが、そんな彼らに舞い込んだ仕事はベネズエラの油田が反政府ゲリラに爆破された大火災の消火。5本の隣接する油井を同時に消火しないとならない。1本でも残ると、消えても瞬時に引火してしまう。その作業現場を潜入したゲリラが狙撃する。 ジョン・ウェインさんが油田火災消火を請け負う会社の社長を演じます。「グリーンベレー」(68)で共演したジム・ハットンに、「戦う幌馬車」(67)などで共演したブルース・キャボット。「卒業」(67)と「明日に向って撃て!」(69)で注目されたキャサリン・ロスなど。 監督のアンドリュー・V・マクラグレンは、ジョンウェインとは「大いなる男たち」(69)「チザム」(70)でこのあともコンビを組むことになります。 ベネズエラでの5本同時の消火を前に途方に暮れるグレッグたちは、この難しい仕事はやはりチャンスに指揮をとってもらわないと不可能だと。頼まれたチャンスの方も、意地を張って喧嘩別れのようになっていたが、たよりにされて嬉しい気持ちである。 出迎えた部下たちの前に輸送機で必要機材と共に、テンガロンハットをかぶって現れるジョン・ウェインさんの嬉しそうな笑顔がたのもしくも微笑ましい。 もう半世紀ちかくも前のアメリカ映画なので、現代の目で見るとのんびりした展開で緊迫感が薄く感じるかもしれないけれど、自分の職業に誇りを持つ男たちを描いた大らかな作品です。鑑賞後は暖かな気持ちになる、娯楽映画はこうあるべき。この大らかさが現代の映画に失われているのではないか。 CGではない本物の猛火とともに、衣裳デザインのイディス・ヘッド(52年間に8個のオスカーを受賞した衣裳デザイナー。「刑事コロンボ 偶像のレクイエム」に本人役で出ていた)によるキャサリン・ロスのファッションも見ものです。 ただ一つ、この作品で失敗していると思うのは、巻頭の消火現場に女たらしのグレッグがメキシコからの飛行機内で知り合ったという女性を連れてくるのだが、この女優さんがキャサリン・ロスとちょっと似ていて、知らない人が勘違いしてしまいそうなことです。
2017年09月15日
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「恐竜グワンジ」(1969) THE VALLEY OF GWANGI監督 ジェームズ・オコノリー製作 チャールズ・H・シニア製作補 レイ・ハリーハウゼン原案 ウィリス・H・オブライエン脚本 ウィリアム・E・バスト撮影 アーウィン・ヒリアー特撮 レイ・ハリーハウゼン音楽 ジェローム・モロス出演 ジェームズ・フランシスカス、ギラ・ゴラン リチャード・カールソン、ローレンス・ネイスミス 本編96分 総天然色 ビスタサイズ「原子怪獣現わる」(53)「シンドバッド七回目の航海」(58)「アルゴ探検隊の大冒険」(63)「恐竜100万年」(66)などで人形アニメーション(モデルアニメーション、ストップモーションアニメとも云う)技術で神話伝説上の異形の者たちや恐竜、怪獣をスクリーン上に生み出したレイ・ハリーハウゼン先生による冒険特撮映画です。 1900年代初頭のアメリカとメキシコ国境リオグランデ河に近い土地。ジプシーが「禁断の谷」として恐れる谷から一人のジプシーが世にも珍しい猫くらいの大きさの馬を持ち帰る。 その馬は5000万年前に絶滅したとされる馬の原種で、この小馬で大儲けしようとする西部ショーの興行一座。一座の男たちは荒野で化石を掘っている古生物学者と共に、禁断の谷へと足を踏み入れることに。 彼らはその呪われた谷で、小馬だけでなく絶滅したはずの恐竜や翼手竜に出くわします。恐竜に襲われるが、なんとか捕獲した一団は町へ運んで、西部ショーの見世物にするが、ジプシーが恐竜を逃がしたことから、檻を出た恐竜は街中で暴れ回り、人々は大混乱になる。 原案のウィリス・H・オブライエンは「キング・コング」(1933)でストップモーション特撮を手がけた人で、レイ・ハリーハウゼン先生の師匠です。 オブライエンは1962年12月に亡くなったのですが、彼が残した台本をもとに本作品を完成させたのが弟子のレイ・ハリーハウゼンさん。 西部劇の舞台であるアメリカ・メキシコ国境地帯に太古の恐竜が生存していたという怪獣特撮映画です。 大儲けしようと町へ運んできて、その怪獣が逃げ出して町中がパニックになる、のは「キング・コング」と同じような設定であり、物語的には特に真新しいものではないようです。バッファロー・ビルの西部ショーほど大規模ではないようだけれど、西部ショーの目玉として怪獣を出して観客を集めようとする、新趣向といえば云える? レイ・ハリーハウゼン先生の特撮映画としては、「猿人ジョー・ヤング」(1949)ウィリス・H・オブライエンと共同。「原子怪獣現わる」(1953)単独初作品。「水爆と深海の怪物」(1955)「世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す」 (1956)「地球へ2千万マイル」(1957)「ガリバーの大冒険」(1960)「SF巨大生物の島」(1961)「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)「H.G.ウェルズのS.F.月世界探険」(1964)「恐竜100万年」(1966) とあって、「恐竜グワンジ」(1969)の次には「シンドバッド黄金の航海」(1973)「シンドバッド虎の目大冒険」(1977)「タイタンの戦い」(1981) が最後の作品。 人形を作って、それを少しずつ動かして一コマ一コマ撮影する。ただそれだけのものではなく、それが細かい仕草を見せるというか、演技をします。そのモデルアニメーションと俳優が演じる実写を合成する、ハリーハウゼン先生の作品を見た人ならご存じだと思いますが、大変な手間暇をかけた職人の技術です。「アルゴ探検隊の大冒険」のガイコツ戦士とのチャンバラ。「シンドバッド黄金の航海」では6本の手があるカーリー像が動き出して人間とチャンバラをする。 恐竜グワンジを捕らえようと、馬に乗った男達が投げ縄を首にかけて引っ張る。縄が張ったり緩んだり、どこまでが模型で、どこからが実写の縄なのかわからないくらい良くできています クライマックスの恐竜グワンジが大聖堂の中に入ってくるシーンは特に見ものです。「ゴジラ」を代表とする日本の特撮映画が中に人間が入った着ぐるみ方式なのは、モデルアニメーションの手間暇がかかる方式を嫌ったからでしょうか。
2016年03月09日
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「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 3」(1990) BACK TO THE FUTURE PART III監督 ロバート・ゼメキス製作 ボブ・ゲイル製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ フランク・マーシャル キャスリーン・ケネディ原案 ロバート・ゼメキス ボブ・ゲイル脚本 ボブ・ゲイル撮影 ディーン・カンディ特撮 ILM音楽 アラン・シルヴェストリ出演 マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド メアリー・スティーンバージェン、リー・トンプソン トーマス・F・ウィルソン、エリザベス・シュー、マット・クラーク 本編119分 総天然色 ビスタサイズ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ第3作で完結編。日本公開は1990年7月。 配給収入47億4000万円(現在のような興行収入にすると80億円くらい?)の大ヒットで、本作を西部劇とすれば、西部劇映画史上最高の興行成績です。 西部劇や戦争映画は男性を相手にしていて、女性はそんなものに関心がない。 現代の映画は女性客を呼び込まないとヒットしないそうですが、この「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の大ヒットもそういうことなのでしょう。 前作PART2は自分的にはあまり面白くなく、イマイチ感があったけれども、この第3作完結編は第1作に劣ることなく良かったです。「スポーツ年鑑」で大儲けしたビフのために歴史が変わって無法地帯になった1985年の世界を修正することに成功したマーティとドクだが、落雷のアクシデントでドクが乗ったデロリアンが1885年へ飛ばされてしまう。雨の中、この年、この場所でということで70年間あずかっていたと云う郵便局員から手渡された1885年の手紙を持ってマーティは、マーティを1985年へ送り出した直後のドクに再び助けを求める。 鉱山の廃坑に隠されていると云うデロリアンの所在を手紙で知った2人はデロリアンを見つけるが、それと共に1885年の日にちが記されたドクの墓石だった。ドクが憎きビフの曽々祖父「マッドドッグ・タネン」に背中を打たれて殺されたと知ったマーティはデロリアンで1885年の西部開拓時代に向う。 この映画の面白さは西部劇の面白さからくるものです。 西部劇のパロディというかオマージュが各所に見られます。 マーティ(マイケル・J・フォックス)がクリント・イーストウッドと名乗るのは、決闘でのポンチョに下に鉄板を着て防弾にするのは、もちろん「荒野の用心棒」(64年イタリア)ですが、それだけではありません。 ドク(クリストファー・ロイド)とクララ(メアリー・スティーンバージェン)がフォークダンスを踊る場面。 町民たちが楽しそうに踊っている。クララが軽く手拍子をとっている横でドクが意を決して「踊っていただけますか?」と誘うのを待ちかねていたクララが「はい、喜んで」と受けて、2人が町民たちの中に混ざって踊り出す。これは「荒野の決闘」(46)のワイアット・アープとクレメンタインです。 列車から飛び降りたクララが町へ向かって走り出すのは、もちろん「真昼の決闘」(52)。 そしてクライマックスの列車が爆走するアクションも、これも西部劇の醍醐味です。 走る列車に馬で併走して乗り移り、屋根伝いに先頭の機関車まで行って、運転士を拳銃でおどすのは列車強盗の常套です。 第1作はマーティの両親をくっつける話。第2作は悪役ビフ(トーマス・F・ウィルソン)を前面に出して印象が強く、マーティとドクは脇にまわった感じ。第3作はドクの大恋愛を描いて、ドクが主役。 アクションとロマンスをコミカルに描き出した、この第3作はなかなかの良作です。
2015年12月27日
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「中共脱出」(1955) BLOOD ALLEY監督 ウィリアム・A・ウェルマン製作 ロバート・フェローズ原作 A・S・フライシュマン脚本 A・S・フライシュマン撮影 ウィリアム・H・クローシア音楽 ロイ・ウェッブ出演 ジョン・ウェイン、ローレン・バコール、ポール・フィックス マイク・マズルキ、アニタ・エクバーグ、ジョイ・キム 本編115分 総天然色 シネマスコープサイズ 昨日につづいてジョン・ウェイン主演の海洋冒険映画です。 同じ1955年作品で、日本では「男の魂」(55)が1955年9月に公開、「中共脱出」(55)は1956年4月に公開されました。 この2作品のDVDは現在、ワーナーから2本がパックになって発売(定価1600円+税)されていて、Y電機さんでは1200円+税ですが、近くのレコード店で950円+税で売られていたのでそれを買っての鑑賞です。(ついでに「リオ・ブラボー」と「捜索者」の2作品パックも買った) 厦門(アモイ)の獄に捕らえられていたワイルダー船長(ジョン・ウェイン)が村人の手引きで脱獄する。 彼を救い出した村人たちは村を逃げ出して香港に亡命したいと願っていて、船で脱出する計画を立てているのですが、その船長になってくれるよう彼に頼みます。 海図もなく、しかも船は鈍足のオンボロ川蒸気船。「血の小路」と呼ばれる難所の海峡を荒海の航海には耐えられそうもない川蒸気船で渡れるはずがないと反対するが、彼らの熱意にほだされて承知することになる。 かくして共産党政権の圧政から自由を求めて亡命を希望する村人たちを乗せたオンボロ蒸気船での脱出行が始まります。昨日の「男の魂」と同じような海洋冒険脱出行を描いた作品。「男の魂」もそうだったけれども、海洋冒険小説を読んでいるような面白さがあって、今回も楽しい鑑賞でした。 主人公ワイルダー船長は厦門の獄中にいて独房や拷問に耐えるために幻想の相棒(ベイビーという名前)を作り出して語りかける独り言を言う癖があって、ヒロインのローレン・バコールさんのキャシーがベイビーに妬いたりするのが可笑しい場面になっています。 燃料がなくなって、座礁した難破船から調達するあたりも、「男の魂」同様です。 この映画の主役はジョン・ウェインさんの船長かと思われるけれども、案外にたくましい村人たちであったり、オンボロの蒸気船がいい味を出しています。面白い、良い娯楽映画でした。
2014年12月24日
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「男の魂」(1955) THE SEA CHASE監督 ジョン・V・ファロー 原作 アンドリュー・ギア 脚本 ジェームズ・ワーナー・ベラ、ジョン・ツイスト 撮影 ウィリアム・H・クローシア 音楽 ロイ・ウェッブ 出演 ジョン・ウェイン、ラナ・ターナー、タブ・ハンター デヴィッド・ファーラー、クロード・エイキンス 本編117分 総天然色 シネマスコープサイズ 初めて見るジョン・ウェイン主演の海洋冒険映画です。 ドイツ軍がポーランドへ侵攻して第二次大戦が始まろうとしている頃が時代背景になっている。 ジョン・ウェイン扮する主人公カール・アーリックはドイツ貨物船(老朽船)の船長で、元はドイツ海軍の巡洋艦艦長でしたがナチス政権に逆らって退役し、いまはオンボロ貨物船の船長をやっているという、根っからの海の男。 オーストラリアのシドニーに補給のために入港していたドイツ貨物船エルゲンシュトラセ号は、連合国に拿捕され抑留されることを嫌って出港する。 目指すのは南米の中立港だが、食糧も燃料も不足しており、そんなエルゲンシュトラセ号を英国海軍の巡洋艦が追跡する。 途中で燃料補給に上陸したオークランド島で、ナチス党員の一等航海士が島に避難していた漁民たちを虐殺。誇り高い海の男が指揮するドイツ貨物船だが、戦争犯罪を負わされて執拗な英国海軍の追跡をうけることになる。 武骨な船長(ジョン・ウェイン)と、彼の貨物船に同乗して帰国するドイツの女スパイ エルザ(ラナ・ターナー)。二人の間にやがて愛が芽生えるが。 英国海軍の追跡をかわして帰国をめざすオンボロ貨物船の船長と乗組員を描いた海洋冒険映画です。 石炭が枯渇したために船内の木造部を壊して燃料にし、救命艇までを燃やすというので乗組員の反発を受けたり、島に上陸して木を伐って材木を積み込む作業を強いたり。 やがて艱難辛苦の末に目的地に着くのだけれど、ドイツ政府は彼らの英雄的行為を宣伝に利用し、さらに掌を返すように今度は囮として英国海軍に追わせようとする。 「男の魂」(1955)予告編はこちら。 ジョン・ウェイン主演作としてはあまり知られた作品ではないようで、見るのは初めてですが、これは良かったです。ドイツ人の船長役を典型的アメリカ人のウェインさんが演じるのがひじょうに珍しい。でもどんな役を演じても、いつもの「ジョン・ウェイン」ですね。
2014年12月23日
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アクション映画としての「戦略大作戦」(1970)。 戦闘シーンの演出は迫力があって上手ですね。 ブライアン・G・ハットン監督でなくて、第2班監督のアンドリュー・マートンさんの演出かもしれないけれども、「荒鷲の要塞」(1968)のドイツ軍との銃撃戦もそうでしたが、バタバタ倒れるドイツ兵の撃たれ役の人たちも上手なのだと思います。「荒鷲の要塞」の第2班監督はヤキマ・カナット(Yakima Canutt)で、ブライアン・G・ハットン監督作品における第2班監督としてのアンドリュー・マートンさん、ヤキマ・カナットさんによる銃撃アクションシーンは迫力満点で盛り上げてくれます。「荒鷲の要塞」(68) ドイツ軍の司令部があるシュロス・アドラーという山上の古城。 その城内での銃撃戦、城を脱出して麓の町からバスに乗っての逃走から、追跡隊との銃撃戦、飛行場での銃撃戦。 主人公たちが持っているMP40短機関銃、ドイツ軍も同じ短機関銃を持っていて、この作品はMP40短機関銃の映画と言っても過言ではない。「戦略大作戦」(70) オッドボール軍曹(ドナルド・サザーランド)が率いる3台のM4シャーマン中戦車が鉄道の線路上を進み、トンネルから出てドイツ軍の操車場を奇襲し蹂躙する場面。 地雷原に踏み込んでしまったケリー(イーストウッド)たちが、そのあと駆けつけてきたドイツ軍パトロール隊のトラックを待ち伏せての銃撃戦。 クライマックスでは銀行がある町でのドイツ軍守備隊との銃撃戦。「荒鷲の要塞」がMP40の映画だとすれば、この「戦略大作戦」はアメリカ兵たちが持っているトンプソン短機関銃の映画です。 「戦略大作戦」(1970)予告編はこちら。 ケリー(クリント・イーストウッド)やビッグジョー(テリー・サヴァラス)たちが持っているトンプソンは「M1」(M1A1かもしれない)です。テレビ映画「コンバット!」のサンダース軍曹が使っているのはM1928でコッキングハンドル(ボルトハンドルとも)が上面にあるのが特徴で、禁酒法時代のギャングの愛銃。 M1、M1A1は作動機構を変更して生産工程を簡略化したタイプで、コッキングハンドルが右側面にあるので見ればすぐわかります。銃身の放熱フィンもなくなっているし、ドラム弾倉も装着できないそうで。 兵隊たちが持っているトンプソン短機関銃は金塊強奪作戦に出発するにあたって、ケリーが調達したものです。字幕では「自動小銃」となっているのが気になるところですが、参加者全員に行き渡るようにしたらしい。なかには狙撃ライフルとM1カービンを持った兵隊もいますが、重機関銃(M1919)を担いだ兵隊もトンプソンを持っていますね。 戦車兵オッドボール軍曹(ドナルド・サザーランド)が腰に下げている拳銃はドイツ軍のルガーP08です。 愛車のシャーマンにはドイツ兵の鉄カブトが飾りに着いてるし、砲塔後部にはアメリカの衛生兵の鉄カブトが下げてある。 トンネルから出てドイツ軍の操車場を蹂躙する場面では戦車に付けたスピーカーから「線路はつづくよどこまでも~♪(I've Been Working on the Railroad)」が流れ、アメリカ民謡の明るい音楽のもとでドイツ兵を機関銃で撃ち倒してゆく。 この映画は、戦闘車輌、銃器、装備品、描写など、細部にこだわっているようで、そういったところがマニア受けするのでしょう。
2014年09月20日
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「戦略大作戦」(1970) KELLY'S HEROES監督 ブライアン・G・ハットン脚本 トロイ・ケネディ・マーティン撮影 ガブリエル・フィゲロア音楽 ラロ・シフリン出演 クリント・イーストウッド、テリー・サヴァラス ドナルド・サザーランド 、ドン・リックルズ キャロル・オコナー、ハリー・ディーン・スタントン 本編144分 総天然色 シネマスコープサイズ 1970年12月に公開された戦争アクション・コメディ映画です。 監督は「荒鷲の要塞」(68)のブライアン・G・ハットンですが、今年の8月19日にお亡くなりになったのをいま知ったばかりです。 ブライアン・G・ハットン Brian G. Hutton 1935年1月1日生まれ、2014年8月19日没。 代表作はやはり「荒鷲の要塞」(68)と「戦略大作戦」(70)で、この戦争アクション映画2本と云えそうで、当時高校生だった私が憶えた映画監督の1人です。その後の作品では1983年に「ハイ・ロード」という複葉機で飛ぶ冒険痛快作があります。「戦略大作戦」原題は「ケリーのヒーローたち」。金沢では「金沢ロキシー劇場」での上映。 近年、このような戦争娯楽アクション映画がまったく見られなくなったのは、1970年と2000年代との時代差ではないか、と思います。 1970年はまだ第二次大戦が終わって25年しか経っていない。当時の40代、50代といった世代は戦争体験者たちなので第二次大戦を扱った映画を現実感を持って見ていたのではないかと。 クリント・イーストウッド扮する主人公ケリーは、元中尉だった男で、味方を誤攻撃した責任を取らされて二等兵に降格されたという設定。 将校など偉そうな顔をしているがみんな無責任なバカばかり、こんな戦争なんかやってられるかと思っているようなキャラクターです。 そんなケリーが捕虜にしたドイツ軍の将校から、ある町の銀行に金塊が保管されているという情報を得る。彼はその金塊をいただこうと、いっしょに行く仲間を集めることに。 そんなケリーを苦々しく見ているビッグジョー曹長(テリー・サヴァラス)。 曹長の分隊長?と思ったのですが、曹長(ファースト・サージャント)が分隊を指揮しているというよりも、小隊長の少尉がおそらく戦死したことによって少尉を補佐していた彼が一時的に小隊を指揮していると見るべきなのでしょう。小隊の人数が減って分隊規模になっていて、まだ補充がされていない状態らしい。 ビッグジョーは兵隊たちに危険をおかさせたくないので、危険なケリーのお遊びに反対します。しかし兵隊たちがケリーといっしょに行くと決めたためにやむなく同行することになる。 最初は2台の装甲車と2台のジープに分乗して出発したが、途中で味方機の誤爆をうけて大破小破し、修理不能になったために、あとは目的地まで歩きに。 地雷原に踏み込んだり、敵のパトロール隊との交戦があったりして、ようやく目的地の町に到着するが、金塊が保管されている銀行は守備隊とドイツ軍のタイガー戦車3台が守っている。 この時期のクリント・イーストウッドさんは、まだアメリカ映画ではスターではないですね。マカロニ西部劇で少しは名を知られたけれどアメリカではまだもう少し。 彼がスターとして認められたのは、翌年の「ダーティハリー」(71)からです。 この「戦略大作戦」は、まだマカロニ西部劇の寡黙で無愛想なキャラを引きずっている。 敵地にある銀行から金塊をいただく、という設定はそのままマカロニ西部劇に置き換えても通用するものです。 たとえばメキシコ革命の時代を背景にし、ならず者たちが集まって、メキシコの政府軍が保管している金塊を奪いに行く。その行程で敵と交戦して、クライマックスは大銃撃戦に、というぐあいに。 ケリーたちの金塊奪取作戦に参加するオッドボール軍曹(ドナルド・サザーランド)。M4シャーマン戦車の車長で、ちょっとイカれた感じが愉快です。 明日につづく。
2014年09月18日
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1982年度外国映画の興行成績です。 金額は配給収入1位 「E.T.」 35億円2位 「ミラクル・ワールド/ブッシュマン」 23億6千万3位 「キャノンボール」 20億7千万4位 「ロッキー3」 16億7千万5位 「少林寺」 16億5千万6位 「レイダース 失われたアーク(聖櫃)」 13億8千万7位 「エンドレス・ラブ」 11億 1千万8位 「マッドマックス2」 9億8千万9位 「ドラゴン・ロード」 6億10位 「ザ・カンニング」 5億8千万円 スティーブン・スピルバーグ監督の「レイダース 失われたアーク(聖櫃)」(81)は第6位。 もっと上位でもいいのではないか?と思うけれど、その時代の流行というか、観客の興味の対象が現代とはちがうのでしょう。 1936年。プリンストン大学の考古学教授インディアナ・ジョーンズ博士(ハリソン・フォード)のもとに陸軍情報部から依頼がある。 ナチス・ドイツ軍が古代エジプトの砂漠に埋没したタニスの遺跡を発掘し、失われたアーク(聖櫃)を探しているという。聖櫃がアドルフ・ヒトラー総統の手に入ればどうなるか?、それをなんとしても阻止するために、ナチス・ドイツより先に見つけ出してほしいというものです。 インディ・ジョーンズの宿敵であるフランスの考古学者ベロック(ポール・フリーマン)がドイツ軍に協力してカイロ近郊で遺跡を発掘中で、インディは発掘現場に潜入し、彼らを出し抜いて先に聖櫃を見つけ出す。 ドイツ軍に発見されたインディは古い馴染みの恋人マリオン(カレン・アレン)とともに地中に閉じ込められるが、脱出し、トラックで空港へ向けて運ばれるのを追跡、妨害して奪還する。 インディとマリオンは聖櫃を積んだ貨物船で地中海を渡るが、途中でUボートの臨検を受け、ふたたび聖櫃を奪われる。ドイツ軍とベロック博士は聖櫃をベルリンに運ぶ前に中身を確かめようと、祭壇を設け聖櫃を開くが・・・。 本編115分。前半は失われたアークを発掘・発見するまで。後半は発見したアークの争奪戦です。 スティーブン・スピルバーグ監督が「007のような映画を作りたい」ということから生まれた冒険活劇。このような活劇映画は昔はいくつもあったようだけれど、私のような年齢でもそういう時代は知らない。戦前・戦中派の人たちの昔懐かしい冒険活劇ですかね。 ドイツ軍がトラックに聖櫃を積んで走るのを、インディが馬で追って併走し飛び移る。 トラックの運転席、ボンネット上、車体の下でのアクション。荷台に乗っていたドイツ兵が側面を伝わって運転席に迫ってくる。 実際に疾走するトラック上での、スタントマンが大活躍する格闘アクションはこの映画の最大の見せ場ではないかと思います。 ドイツのアフリカ軍団が大戦前の1936年に存在したか?という史実よりも、娯楽映画の面白さを追求するほうが優先ということのようです。 1981年の作品だから、今から32年も前の映画ということに。はやそんなに経ったのか?と、年月の経過の早さを実感します。 ちなみに「失われたアーク(聖櫃)」とはモーゼの十戒が刻まれた石版が収められた櫃(箱)のことで、「契約の箱」、「掟の箱」ともいわれる。「聖櫃」は宗教上重要な物が収められた櫃のことで、キリスト教やユダヤ教でも使われ、「聖櫃」イコール「モーゼの十戒が収められた櫃」というわけではない。
2013年11月24日
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「レイダース 失われたアーク(聖櫃)」が日本で公開されたのは1981年12月。 このような秘境冒険活劇映画のジャンルは、当時の映画では見られなかったものです。 古くは「キング・ソロモン」(1950)などがあってテレビ洋画劇場で放送されたりしたけれど、この原作小説の英国の冒険作家ヘンリー・ライダー・ハガード作品は創元推理文庫から「ソロモン王の洞窟」や「二人の女王」、「洞窟の女王」「女王の復活」など何冊も出ていてよく読んだものですが、いまは一冊も持っていません。 H・R・ハガードだけでなく、英雄コナンシリーズの「征服王コナン」「不死鳥コナン」「風雲児コナン」などロバート・E・ハワードの作品は秘境探検ではなく、冒険ファンタジー。「コナン」は創元文庫からも出ていましたが、ハヤカワSF文庫版のほうが圧倒的に表紙イラストがすばらしかったですね。 このような、昔懐かしい、ヒーローが活躍する冒険活劇映画が復活したのが1980年代初頭です。60年代、70年代にはこのようなジャンルは皆無だったといえるくらいです。 それが1981年暮れに、「レイダース 失われたアーク(聖櫃)」が公開され、大ヒットした。この上映は、それまでなかったジャンルなのですごく新鮮なものでした。「英雄コナン」が「コナン・ザ・グレート」として映画になったのも1982年。 アーノルド・シュワルツェネッガー主演。監督が黒澤映画ファンであるというジョン・ミリアス。このような冒険活劇ファンタジーも斬新なジャンルとして、この80年代初頭に復活したものですね。 近年はまた忘れられたジャンルになったような感じですが、「英雄コナン」は「コナン・ザ・バーバリアン」(原題は「Conan the Barbarian」で、そのままの邦題)が2012年6月に日本公開(石川県は上映館なし)されたけれど、ほとんど話題にならずじまい。 エドガー・ライス・バローズの「火星のプリンセス」(創元推理文庫)の映画化「ジョン・カーター」(2012)はなぜか興行的にコケてしまって、続編は中止だとか。 インディアナ・ジョーンズやアラン・クォーターメインの「秘境冒険活劇」。 英雄コナンやジョン・カーターの「冒険ファンタジー」。 このような子供でも大人でも楽しめるヒーローが活躍する冒険映画は、現在ではあるようでないようなジャンルになってしまったようで、興行的にも受けないのでしょうか?
2013年11月23日
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映画「インディ・ジョーンズ」シリーズ全4作が収録されたブルーレイBOXを買いました。「インディ・ジョーンズ コンプリート・アドベンチャーズ」です。 定価13650円が半額の6825円(さらにポイントが5%付くので6484円)。 12月20日に単品でも発売されるそうですが、それまで待ちきれないのと、500円程度高くなるけれど、約7時間の特典映像(メイキングやドキュメンタリ)の特典ディスクが付いているので、こちらのほうが良いかと判断したしだい。 このブルーレイBOXでの最大の特徴は第1作の「レイダース 失われたアーク(聖櫃)」の画質が格段に鮮明に美しく発色していることです。 フレーム単位でリストアされたそうで、その画質向上はDVD版と比較すると一目瞭然。 シリーズ中で最も好きなのが、この第1作「失われたアーク(聖櫃)」と第3作「最後の聖戦」なので、美しい画面になっての鑑賞が楽しみです。「冒険映画が復活した時代」長くなるので、明日につづきます。
2013年11月22日
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映画「レイダース 失われたアーク(聖櫃)」のブルーレイを鑑賞。 1981年12月の公開時に映画館で見て以来、これまでに何度見たでしょうか? テレビ洋画劇場、レンタルビデオ、DVD購入、そしてブルーレイ購入です。 何度も見た映画なのに、これまでタイトルの意味を考えたことがありませんでした。「RAIDERS OF THE LOST ARK」。「レイダース」とは何か? インターネットでは「インディ・ジョーンズのレイダースの意味は?」という問いに対して「侵入者」とか「侵略者」です、と答えているサイトがあったりするけれど、それでは回答になっていません。 侵入者、侵略者、とするなら、インヴェージョン(INVASION)、インヴェーダーも侵入、侵略者ではないか。それとどう異なるのか?、まったく答えになっていない。「RAID」を辞書で調べると、「(奪取、制圧しようとする)襲撃、急襲」とあって、それに「ER」を付けることで襲撃者、急襲する者、となる。「RAIDERS OF THE LOST ARK」は、「失われた聖櫃を奪おうとする襲撃者たち」という意味ではないだろうか。 邦題ではレイダースとロスト・アークを単独に切り離しているので、意味がよくわからないものになっています。 ビデオ化された時に原題が変更されて、「INDIANA JONES AND THE RAIDERS OF THE LOST ARK」になりました。 頭に「インディアナ・ジョーンズと」を付けて、「インディアナ・ジョーンズと失われた聖櫃を奪おうとする襲撃者たち」ですね。 アンジェリーナ・ジョリーさんが主演のアクション冒険映画の「トゥームレイダー」(2001)は「TOMB RAIDER」です。 こちらは「奪取しようとする襲撃者」に「墓石」が付いていて、「墓地をあばいて副葬品を奪おうとする襲撃者」、というような意味になるのでしょうか?
2013年11月21日
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映画「暴走機関車」(85)、日本公開1986年。 原題「RUNAWAY TRAIN」、をDVDで見ました。公開当時大きな話題になったのですが、見るのはこれが初めてです。 1966年、黒澤プロダクションがアメリカでエンバシー・ピクチャーズと共同で製作する予定だった作品。 契約が済み、あとは黒澤明監督が渡米してクランクインする直前まで進んでいた段階になって、黒澤監督がなれないアメリカでの撮影への不安からノイローゼになったことでドタキャンし、お流れになったいわく付きの話題作です。 その時にアメリカに残されていた脚本が再び世に出て映画化され、 監督はソ連のアンドレイ・コンチャロフスキー。 脚本 ジョルジェ・ミリチェヴィク、ポール・ジンデル、エドワード・バンカー。 原案 黒澤明。 出演 ジョン・ヴォイト、エリック・ロバーツ、レベッカ・デモーネイ アラスカの重犯罪刑務所を脱獄したマニー(ジョン・ヴォイト)とバック(エリック・ロバーツ)が操車場で回送中の4重連ディーゼル機関車に隠れて乗り込む。 折悪しく、心臓発作で倒れた機関士を振り落として走り出した機関車。脱獄に成功したかのように思えた2人だったが、取り残された機関助手サラ(レベッカ・デモーネイ)から状況を聞かされ、制御不能におちいった機関車をなんとか止めようと試みる。 極寒アラスカの雪原と森林地帯を4重連の巨大な機関車が暴走するアクションに、2人の脱獄囚をからませ、それに脱獄囚マニー(ジョン・ヴォイト)と刑務所長(ジョン・P・ライアン)の根深い憎悪と確執。 刑務所長がテレビのインタビューで、「やつらは人間ではなく野獣だ」と自らの正当性を主張しますが、たしかに野獣のような囚人たち。しかしそう言う所長も彼ら以上に野獣である。 罪人だから囚人だから野獣だというのでなく、凶暴な野獣性を持った存在が人間である、ということです。 黒澤明さんの原案ということで、黒澤監督の映画で見たかったという意見があり、それがさも傑作だと決めつけて、できもしなかった幻の作品を見たいというのは無い物ねだりだし、それを理由にこの作品をけなすのはナンセンスです。 冷静でありながら時に狂気をしめす囚人マニーを演じるジョン・ヴォイトが好演。 刑務所長は囚人仲間に英雄として奉られる彼が気に入らず、これを狂的に圧殺しようとする異常さもきわだっています。 暴走機関車に取り残されていた女性機関助手のレベッカ・デモーネイさんが可愛い。 ジョン・ヴォイトさんは女優アンジェリーナ・ジョリーさんのお父さん。 親娘の不仲がずっと続いていたようですが、「トゥームレイダー」での共演もある。
2013年07月04日
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1969年 外国映画興行成績です。 金額は配給収入 1位 「ブリット」 4億4020万円 2位 「チキ・チキ・バン・バン」 3億5374万 3位 「ウエスト・サイド物語」 2億66092万 4位 「荒鷲の要塞」 2億6349万 5位 「マッケンナの黄金」 2億2491万 6位 「新・黄金の七人 7×7」 2億1000万 7位 「空軍大戦略」 2億454万 8位 「あの胸にもういちど」 1億9000万 9位 「カラマーゾフの兄弟」 1億8500万 10位 「北極の基地 潜航大作戦」 1億7966万円 この年は英国の冒険小説作家アリステア・マクリーンさんの映画化作品が2本入っています。 第4位の「荒鷲の要塞」(1968)と第10位の「北極の基地 潜航大作戦」(1968)です。「荒鷲の要塞」は好きな映画なので何度もDVDを見ています。 先日、後半の1時間ばかりを何気なく見ていたのですが、クリント・イーストウッドさんが若いですね。 クリント・イーストウッド Clint Eastwood 本名 Clinton Eastwood Jr. 1930年5月31日生まれ。 イタリア製西部劇に出張出演した「荒野の用心棒」(65)の時は35才。「夕陽のガンマン」(66)は36才。 その後、アメリカに帰って出演した作品が「奴らを高く吊せ!」(68)で、同時期に連続してアメリカ映画に出演しています。「マンハッタン無宿」と「荒鷲の要塞」も1968年作品。イーストウッドさんが38才の時です。続いて「戦略大作戦」(70)「ダーティハリー」(71)と、大スターへの道を歩むことになります。「荒鷲の要塞」は雪に覆われたアルプス山中の森林地帯が舞台。 第二次大戦中の冒険スパイ活劇で、山の上にある古城と、その麓の小さな町で銃撃と爆破アクションが繰り広げられる。 主演はリチャード・バートンで、イーストウッドさんは脇役というか相棒的なモーリス・シェイファー中尉の役。見ていて思ったのは、原作小説はずいぶん陽気でおしゃべりな男なのに、映画でのイーストウッドさんはセリフが少ないこと。あまりしゃべらない。 マカロニ西部劇の頃から寡黙なガンマンを演じてきたせいか、そのようなキャラクターが定着してしまったようです。 この1968年、69年頃にはアリステア・マクリーンの冒険小説が流行しました。 私が早川ノヴェルズの「荒鷲の要塞」(翻訳 平井イサク)を買って読んだのは映画が公開される直前で、たしか定価360円くらいだったかと? 同じ頃に早川ポケットミステリの「ナヴァロンの要塞」(これも平井イサクさんの訳)も読んで、この本は製本のせいかページが取れてバラバラになってしまった。その後しばらくして早川ノヴェルズで再刊されたのを買ったのですが、いまは紛失してしまって持っていない。持っているのは文庫版で、これも絶版になっている現状です。 アリステア・マクリーンの冒険小説の人気は1975年くらいまで続き、いくつもの作品が映画化されました。昨日書いた「八点鐘が鳴る時」、「黄金のランデブー」、「麻薬運河」、「恐怖の関門」、「ナヴァロンの嵐」、「軍用列車」・・・・。映画化しやすいというか、映画に向いている小説だったということでしょうか。
2013年01月08日
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数年前にDVD-Rに録画した「八点鐘が鳴るとき」(1971年 英国映画)を見ました。 放送がまだHDでなかった頃だから、映像はボンヤリしたものです。 英国情報部員フィリップ・カルバート(若き日のアンソニー・ホプキンス)が現代の海賊相手に活躍する冒険活劇。 原作は「ナヴァロンの要塞」や「荒鷲の要塞」で知られる冒険小説家アリステア・マクリーンが1966年に発表した「八点鐘が鳴る時」で、早川書房から刊行されていましたが(翻訳 矢野徹)現在は絶版です。このような冒険小説はほとんどが絶版になっていて、読むことが出来ない状態が続いています。 スコットランド沖で金塊を積んだ輸送船が行方不明になるとともに、付近で海難事故が続発する。英国情報部はフィリップ・カルバート中佐に調査を命じます。 カルバートは相棒といっしょに海洋生物学者を名乗って調査開始。早々に船の無線機を壊されるなど妨害を受ける。 カルバートが海軍のヘリコプターで荒海にそそり立つ断崖地帯を低空で飛んで調査する場面が見もので、雰囲気が出ている。漁村や断崖上の古城など、ロケーションが生かされています。 物語の大部分がスコットランドの寒々しい荒海と海岸線に面した土地が舞台になっている。 海洋冒険小説はたくさんあるけれど、映画では、このような海洋冒険アクションはあまり見たことがありません。 アンソニー・ホプキンスさんが007のボンド中佐のように海軍の制服姿で登場します。「通常任務には不向きだが、極度な緊迫状態下では無類の能力を発揮する」という評価を得ていて、しかし「上司に反抗的だ」と言われる孤高の人物。 英国情報部のアンクル・アーサー(ロバート・モーレイ)から任務を受けるときも、ポケットに手を入れたままだし、勝手に椅子に座るし。 この英国情報部のお偉いさんアンクル・アーサーを演じるロバート・モーレイさんがとぼけた味で好演しています。 定時連絡が絶たれ気味なために、しびれを切らしたのか直々に一人で現地にやって来る。 007でいえば、Mが現場へやって来てボンドといっしょに働くようなもので、フィリップ・カルバートの荒っぽさにあきれながらも、この2人がコンビになって働く後半はユーモアがあって愉快です。 ヒロインとしては、当時人気絶頂だったナタリー・ドロンさんが謎めいた役で出ている。敵に内通しているのですが、ラストではカルバートが金塊1本を与えてボートで海に逃がしてやる。 クライマックスはサメ狩りの漁師たちを味方に得て、敵の拠点になっている古城下の艇庫に漁船で殴り込んで銃撃戦になる。 海と船と古城と漁港の小さな町を舞台に、アクション場面など見せ場もあるけれど、「007」のような大作感はなく地味な印象を受ける佳作です。 シリーズ化が予定されたらしく、でも一作のみで終わった、私の好きな映画です。「八点鐘が鳴るとき」という邦題(原題は「When Eight Bells Toll」)も海洋冒険物らしくて良い感じ。原作小説は「鳴るとき」が「鳴る時」と漢字になっています。
2013年01月07日
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英国の冒険小説作家アリステア・マクリーンの「ナヴァロンの要塞」。 この小説を初めて読んだのは高校生の時で、早川のポケットミステリ版です。新書サイズのかなり厚めの本でしたが、ページが取れてバラバラになってしまいました。その後、早川ノヴェルズとしてソフトカバー単行本になったときに買い直し、それも紛失して、現在は文庫版を持っています。 1961年に映画化(邦題「ナバロンの要塞」)され、監督はJ・リー・トンプソン、音楽ディミトリ・ティオムキン。 出演はグレゴリー・ペック、アンソニー・クイン、デビッド・ニーヴン、イレーネ・パパス。 この映画は1970年頃にリバイバル上映された(金沢ロキシー劇場)時に見て、以来テレビ放送やレーザーディスクやDVDで何度も見ています。 第二次大戦中の1943年。エーゲ海のケロス島に孤立したイギリス軍2000人を撤収させようとするのですが、ナバロン島にあるドイツ軍要塞が海峡をにらんでいて艦船を近づけることができない。 ナバロンの要塞は断崖をくり抜き、そこにレーダー照準の2門の巨砲が据えられている。 このままでは全滅確実なケロス島の2000名を救出するために駆逐艦隊の派遣が決定され、その日時までにナバロンの要塞を爆破しないと、射程内を通らざるをえない艦隊が全滅することになります。 そのために英軍は6人の特務隊を編成し、島に潜入させることに。 予告編はこちらです。 島への上陸は断崖絶壁を登攀するしかなく、砂漠挺進隊の大尉で世界的な登山家キース・マロリー(グレゴリー・ペック)が呼び寄せられます。 他のメンバーは、隊長としてフランクリン少佐(アンソニー・クエイル)、マロリー大尉の古い馴染みであるギリシャ軍のスタブロス大佐(アンソニー・クイン)、爆発物の専門家ミラー伍長(デビッド・ニーヴン)、ナイフ使いの殺し屋ブラウン(スタンリー・ベイカー)、ナバロン島出身のパパディモス(ジェームズ・ダーレン)。 この6人の男たちの案内人として、現地パルチザンの2人の女性が途中から同行します。 彼らは、オンボロ機帆船で嵐の海から島に上陸。断崖絶壁を登攀するのですが、隊長のフランクリン少佐が滑落して重傷を負ってしまう。 戦争ものには違いないけれど、これは冒険アクション映画です。実行不可能な任務に挑戦するプロの男たちの物語。 沈着冷静なリーダー役としてのマロリー大尉をグレゴリー・ペックさんが熱演しています。 これまでに何度も見た映画ですが、いま見ると、スタンリー・ベイカーが演じるナイフ使いの殺し屋ブラウン(電信員でもあり、船舶機関士でもある)の立場が印象に残りました。 彼はこの戦争で多くのドイツ兵を殺してきた。銃で撃つのではなく、ナイフで刺す、その血の感触にうんざりしているのですね。もう敵を殺すのはいやだと思っています。 マロリー大尉は、この重大な時に何を言っているのか、と非難するのですが、彼は敵兵を刺すのをためらったために相打ちになってしまう。 もう一人、隊長のフランクリン少佐ですが、断崖を上るときに滑落して重傷を負う。このような潜入任務で重傷を負って歩けなくなるということは、仲間の足手まといであり、全体を危険にさらすことになる。 マロリー大尉には二つの選択があり、歩けないフランクリン少佐を置いていくか、これは捕虜になることを意味していて、任務内容を白状させられる可能性が大きい。 それを避けるには、彼の口を封じるために射殺するしかない。マロリー大尉は結局、少佐に任務は中止になったと嘘を教えて、捕虜にさせることを選びます。 作戦を指令し、メンバーを死地に送り出したたジェンセン准将が、「作戦は失敗するだろう。失うには惜しい男たちだが、しかしもしかすると成功する可能性もあるかもしれない」と言う。 人間は危機に陥った時には、信じられないような力を出す。それを期待しよう、というような意味のセリフをいいますが、ケロス島に孤立している英軍2000名の生命と救援に向かう駆逐艦隊の運命は、彼ら6人による決死の勇気と実行力と努力と、その結果にかかっている。 不可能な任務に挑戦する男たちが降りかかる困難を乗り越えてゆく冒険映画の傑作で、この映画の面白さは原作小説に負っています。 この映画化の成功でアリステア・マクリーンの小説がいろいろ映画化されることになったけれど、「荒鷲の要塞」(68)のほかはイマイチな小粒ばかりでした。「八点鐘が鳴るとき」(71)は地味なスパイアクション活劇で、自分的には好きな作品。「麻薬運河」の映画化「デンジャーポイント」(70)はアムステルダムの運河でのモーターボートチェイスが印象に残っています。 あと面白かったといえるのは西部劇「軍用列車」(75)くらいかな?
2012年07月07日
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私の大好きな戦争スパイ・冒険活劇映画「荒鷲の要塞」(1968年)。 監督 ブライアン・G・ハットン 原作・脚本 アリステア・マクリーン(ハヤカワ文庫刊) 音楽 ロン・グッドウィン その主題曲のオーケストラ演奏です。 低音が響く格好いい曲です。 YouTubeより 映画「荒鷲の要塞」予告編はこちらです。 アルプス山中にそそり立つ鉄壁の鷲の城(シュロス・アドラー)にあるドイツ軍情報部本部に捕らえられているアメリカの将軍を救出するために、8人の英国情報部員が潜入をはかる冒険アクション映画です。 冒頭のオープニングではドイツ軍の輸送機ユンカースJu52/3mがアルプス山上を縫うように飛行する場面があり、ファンを嬉しがらせるのですが、その反面、当時は時代的に実用化されていなかったヘリコプター(ベル47。H-13)が出てくるのが不評だったりします。 麓にはドイツアルプス軍団が駐屯し、山上の古城まではケーブルカー(日本ではロープウェイといいますが英語ではケーブルカーだそうです)が通じているのみで、車輌では城へ行くことができない。 このヘリコプター、ベルリンからドイツ国防軍参謀総長のローゼマイヤー元帥が城へ乗ってきて中庭に着陸します。おそらく麓の町まで列車で来て、飛行場からヘリに乗ったと推測される。 ドイツ軍の鉄十字の標識が描かれているヘリコプターですが、時代考証的にありえないという人が多いようですね。 でも、このドイツ軍が情報部の本部を置くシュロス・アドラー(鷲の城)が山上にあるという設定を活かすためにはヘリコプターがうってつけの舞台装置なのではないだろうか。 映画制作のスタッフは、第二次大戦末期1944年初頭において、まだヘリコプターが実用化されていないことなど充分に承知しているはずだし、あえてそのヘリコを登場させたのは、このドイツ軍要塞が、麓からのケーブルカーに乗るか、歩いて登るしかない山上にあるという設定を見る人に意識させるために必要だと考えたのでは? ベルリンからはるばるやって来た元帥を歩かせるわけにはいかないし、ケーブルカーに乗るのも様にならない。ここはやはりヘリコプターしかないのではないか。
2012年05月16日
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久しぶりに戦争映画の話題です。 1970年12月に日本で公開された「戦略大作戦」は「荒鷲の要塞」(1968)のブライアン・G・ハットン監督とクリント・イーストウッドが再び組んだアクション映画です。「荒鷲の要塞」の時は重々しい低音が響く主題曲(ロン・グッドウィン)だったけれど、こちらは軽快なポップス調の音楽(ラロ・シフリン)。「戦略大作戦」という意味不明の邦題から勘違いされがちですが、この映画は軍隊をおちょくった厭戦、反戦映画なんですね。 ドイツ軍が占領している、ある町の銀行に金塊が保管されているという情報を入手したアメリカ兵たちが、3日間の休暇を利用して金塊を奪いに行く。 タイガー戦車で銀行を守備しているドイツ軍の隊長と交渉して、戦いをやめ、金塊を仲よく山分け。味方の部隊が到着する直前にバイバイ~と。 登場する戦車や銃器、装備が正確に描かれているというので戦争映画好きにはそっちの意味で評価されているようです。 アメリカ軍のM4シャーマン中戦車の実物。ドイツ軍のタイガー戦車(写真)が登場しますが、これは改造車だそうで、これが見ものになっている。 銃撃戦も派手で、主人公たちが横一列に並んでドイツ軍と交渉に行く場面ではマカロニ西部劇調の音楽が入り、歩くとシャキンシャキンと拍車の音がするといった遊び心もある。 主役のクリント・イーストウッド演じる「ケリー」という男は何者なのか?。テリー・サバラスの軍曹(曹長とすべき?)と対等の口をきいていますが、階級章をつけていない。元は中尉で、味方を誤って攻撃した責任転嫁されて兵卒に降格になったようです。 軍隊のバカバカしさ、将軍だ将校だと勲章を付けて威張っているけど、みんな無責任で無能なバカたちだ、みたいに思っているような、そんな主人公です。 予告編はこちらです。 この映画のテリー・サバラスさん、とても良いですね。ビッグ・ジョーと呼ばれて分隊をしっかりと統率している。テレビの「刑事コジャック」で有名になる前の脇役専門時代ですが、「バルジ大作戦」でのM24戦車の車長の役は印象的だったし、「特攻大作戦」の変質者(ジャック・パランスが役を嫌って降板したため、テリー・サバラスに代わった)はひどい役でしたが、今回は彼らしい頼りになる良いキャラクターです。「戦争で生き残りたければ、何にでも顔を出さないことだ」と言います。英雄になりたいなら別だが、後ろに引っ込んでいて何もするなと。 そんな彼らがドイツ軍のタイガー戦車3台が守備する銀行を襲撃して金塊をまんまと手に入れて逃げる。あとから来たお偉いさんたちが何もわからないで「英雄だ」と讃える。 原題は「Kelly’s Heroes」、「ケリーのヒーローたち」と皮肉をこめたものです。 製作年は「マッシュ」と同じ1970年。ベトナム反戦運動が盛んな時代の映画です。 それと銀行から金塊をいただくという設定は、当時流行した泥棒映画の名残でしょうか。
2011年10月31日
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映画「荒鷲の要塞」(1968)は1968年12月14日公開。 英国の冒険小説作家アリステア・マクリーンの「荒鷲の要塞」の映画化で、お正月映画として公開された70ミリの大作です。 金沢では「金沢ロキシー劇場」で上映され、同時上映はマカロニウエスタンの「復讐のガンマン」でした。 初めてアリステア・マクリーンの冒険小説を読んだのは、もう40数年前になります。個人的な思い出ですが、高校1年の冬休み、年末に郵便局で年賀状のバイトをしていて、その帰りに寄った書店で手に取ったのがこの「荒鷲の要塞」の単行本(早川ノヴェルズ版で、 確か380円?)でした。 映画を見たのはそのあとで、年が明けて3学期が始まったすぐの日曜日。雪が降る寒い日だった記憶があります。 映画の方はちょっと難解なストーリーなので初めて見るとコンガラカルかもしれないけれど、この原作(映画脚本から小説化されたので正確には原作とはいえない?)を先に読んでいると映画の展開を理解しやすいですね。 アルプス山中にそそり立つ鷲の城(シュロス・アドラー)の鉄壁のドイツ軍情報部本部に捕らえられているアメリカの将軍を救出するために、8人の英国情報部員が潜入をはかる。 「荒鷲の要塞」の予告編はこちらです。 積雪と森、極寒の山中と古城、麓の町を舞台にしたスパイ・冒険・アクション映画です。 麓にはドイツ軍の精鋭 アルプス軍団が駐屯し、山上の城まではケーブルカーが通じている。日本ではロープウェイというけれど、英語ではケーブルカーなのだそうです。 後半は城から脱出となり、爆破シーンと銃撃戦のたたみかけるようなアクションの連続になる。ロン・グッドウィンの音楽が場面を盛り上げます。 オープニングテーマ曲のオーケストラ演奏。低音が響くカッコいい曲です。 バスに乗って脱出した主人公たち。森の木を爆破して倒し、追跡して来るドイツ軍の車輌を妨害するが、一台のサイドカーが果敢に追ってくる。 この勇敢なドイツ兵2人も、美女メアリー・ユーアさんのMP40短機関銃の掃射をうけて、あえない最期をとげます。短機関銃の猛射でドイツ軍のキューベルワーゲンが炎上してひっくり返るなど、スタントマンが大活躍しているのでしょう。 この原作小説(翻訳は「ナヴァロンの要塞」の平井イサクさん)では、「5、6人の兵士が両方のドアからとびこんできた。全員がシュマイザーのマシン・ピストルをかまえている」というふうに、マシン・ピストルという言葉が出てきます。 ドイツ軍が使用するMP40短機関銃(通称シュマイザー)のことで、初めて読んだときはピストルから「拳銃」を連想してしまって変な感じでした。シュマイザーときて、すぐにその形を頭に思い描けるならいいのだろうけど。 MP40のMPはマシネン・ピストーレ(マシン・ピストル)の略で、「機関短銃」と訳した本もありますが、ここはやはり「短機関銃」と言う方がカッコ良いと思います。 映画「荒鷲の要塞」は、このMP40短機関銃の映画と言ってもよいくらいに敵も味方もハデに撃ちまくって、クリント・イーストウッドがマカロニ西部劇を思わせるような、二挺持って撃つシーンがあります。 この銃はテレビの「コンバット!」にも毎回出てきますし、戦争映画だけでなく、「007」でも「ロシアより愛をこめて」や「ゴールドフィンガー」で敵が使っている。 映画「荒鷲の要塞」。1968年で、その緻密に計画された潜入作戦(あらかじめ逃走手段と経路まで計画されている)など、テレビの「スパイ大作戦」がヒットした時代に作られた作品だと、今見るとあらためて感じます。70ミリフィルムの大作で、劇場で見てこそ真価発揮するアクション映画の代表的なものではないかと。
2011年07月16日
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グレゴリー・ペックさん主演映画といえば、やはり「ローマの休日」と「大いなる西部」、そして「ナバロンの要塞」。 あとは・・・「白鯨」と「アラバマ物語」か、アルフレッド・ヒッチコック監督でイングリッド・バーグマンさんと共演したサスペンス映画「白い恐怖」あたりでしょうか? まさか「マッカーサー」や「オーメン」をあげる人がいるとは思えない。 で、「ナバロンの要塞」ですが、日本で公開されたのは1961年8月です。 原作は英国の冒険小説作家アリステア・マクリーンの「ナヴァロンの要塞」で、ハヤカワ文庫から出ている冒険小説です。 1957年に出版された原書が日本で翻訳されたのは1966年。ということは映画が公開された5年もあと。映画公開が先で、原作小説の出版がずっとあとというのはめずらしい現象です。 地中海のケロス島にイギリスの陸軍部隊が孤立して全滅寸前。救出に駆逐艦隊が行くには、ナバロン島にあるドイツ軍の巨砲がにらみを利かしていて近づけない。 断崖絶壁の洞窟にあるため、空からの爆撃もできず、少人数の特務隊員を送り込むことになる。 主役キース・マロリー大尉を演ずるのがグレゴリー・ペックさんです。マロリー大尉は偉大なロッククライマーで、ナバロン島の断崖絶壁を登攀するために選ばれた。 ほかにマロリーと旧知の戦闘能力に長けたアンドレア(アンソニー・クイン)、以下爆発物の専門家や、無線や機械類のエキスパートなど、特技を持ったメンバーたち。 嵐の海からの断崖絶壁登攀、案内役の女性パルチザン(原作では男性)との接触、ドイツ軍の追跡、要塞への潜入、巨砲の爆破、脱出、など危機また危機の連続。味方内に敵に内通する裏切り者がいるというサスペンス。 映画はこの6人の特務隊員と2人の地下抵抗組織の女性による要塞砲爆破任務の冒険を描いています。 それぞれが特技を持つ、選ばれたメンバーによる実行不可能とされる任務への挑戦、という設定は、この「ナバロンの要塞」が最初なのではないでしょうか? 1961年のこの映画が大ヒットし、この後、同じような設定の映画やテレビ映画が続々と作られるようになるのですね。 西部劇では「プロフェッショナル」や「五人の軍隊」「七人の特命隊」など。 泥棒映画では「黄金の七人」で、これは「続 黄金の七人 レインボー作戦」、「新 黄金の七人 7×7」とシリーズ化されました。 戦争映画では、代表的なのが「特攻大作戦」で、これはメンバーが服役中の死刑囚や終身刑の囚人というのが斬新でした。この「特攻大作戦」を発展させたのがテレビの「特攻ギャリソン・ゴリラ」。 1960年代後半から70年代前半にかけて、スパイ物、戦争物、泥棒物など、不可能や困難な任務に挑戦する話はたくさんありました。 テレビでは「スパイ大作戦」が1967年に日本で放送開始(アメリカでは1966年)されました。映画の「五人の軍隊」は「スパイ大作戦」のピーター・グレイヴスさんがリーダー役だった。「ミッション:インポッシブル」はトム・クルーズさんが「スパイ大作戦」を映画化したのですが、オープニングの、あの導火線にマッチで点火、テーマ曲が始まると嬉しくなってワクワクしましたね。
2011年06月14日
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